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特開2023-148361冷凍サイクル装置及び冷媒漏えいの判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148361
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置及び冷媒漏えいの判定方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20231005BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231005BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20231005BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20231005BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F25B49/02 520D
F25B1/00 304G
F24F11/36
F24F11/65
F25B43/00 B
F25B1/00 385Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056337
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】師井 直紀
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA52
3L260CB06
3L260CB16
3L260DA15
3L260FA02
3L260FB07
3L260FB08
3L260GA02
3L260GA17
3L260JA14
3L260JA22
3L260JA23
(57)【要約】
【課題】冷凍サイクル装置について、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らす。
【解決手段】空気調和装置10は、圧縮機30、室外熱交換器31、室内熱交換器25、各膨張弁24,34を含む冷媒回路40と、冷媒圧力センサ35及び冷媒温度センサ36と、冷媒回路40を制御すると共に、冷媒回路40における冷媒漏えいの有無の判定処理を実行する制御部50と、を備え、制御部50が、通常の冷房運転を行う場合の第1モードM1、及び、判定処理を実行する場合の第2モードM2で空気調和装置10を運転可能であり、制御部50が、第2モードM2時の室外熱交換器31の出口における第2過冷却度SC2を第1モードM1時の第1過冷却度SC1に比べて低下させると共に、第2モードM2時の室内熱交換器25の第2蒸発温度T2を第1モードM1時の第1蒸発温度T1に近づける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置(10)であって、
冷媒配管(40G,40L)で接続された圧縮機(30)、凝縮器(31)、蒸発器(25)、及び弁(24,34)を含む冷媒回路(40)と、
前記冷媒回路(40)内の所定の箇所の冷媒の温度又は圧力を計測するセンサ(35,36)と、
前記センサ(35,36)の計測値に基づいて、前記弁(24,34)の開度及び前記圧縮機(30)の回転数を調整して前記冷媒回路(40)を制御すると共に、前記冷媒回路(40)における冷媒漏えいの有無の判定処理を実行する制御部(50)と、を備え、
前記制御部(50)が、通常の冷房運転を行う場合の第1モード(M1)、及び、前記判定処理を実行する場合の第2モード(M2)で前記冷凍サイクル装置(10)を運転可能であり、
前記制御部(50)が、前記第2モード(M2)時の前記凝縮器(31)の出口における冷媒の第2過冷却度(SC2)を、前記第1モード(M1)時の前記凝縮器(31)の出口の冷媒の第1過冷却度(SC1)に比べて低下させると共に、前記第2モード(M2)時の前記蒸発器(25)における冷媒の第2蒸発温度(T2)を、前記第1モード(M1)時の前記蒸発器(25)の第1蒸発温度(T1)に近づける、冷凍サイクル装置(10)。
【請求項2】
前記弁が、前記凝縮器(31)の出口における冷媒の圧力を調整する第1弁(34)と、前記蒸発器(25)の入口における冷媒の圧力を調整する第2弁(24)と、を含み、
前記制御部(50)が、前記第1弁(34)を制御して、前記第2過冷却度(SC2)を、前記第1過冷却度(SC1)に比べて低下させると共に、前記第2弁(24)の開度及び前記圧縮機(30)の回転数を制御して、前記第2蒸発温度(T2)を、前記第1蒸発温度(T1)に近づける、請求項1に記載の冷凍サイクル装置(10)。
【請求項3】
前記冷媒回路(40)が、当該冷媒回路(40)における余剰冷媒を貯留するタンク(38)を有する、請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル装置(10)。
【請求項4】
前記制御部(50)が、前記冷凍サイクル装置(10)を前記第2モード(M2)で定期的に運転させると共に、当該第2モード(M2)による前記冷凍サイクル装置(10)の運転中に前記判定処理を実行する、請求項1~3の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置(10)。
【請求項5】
前記冷凍サイクル装置(10)の運転モードに関する情報を表示する表示部(42)をさらに備える、請求項1~4の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置(10)。
【請求項6】
前記第2モード(M2)による前記冷凍サイクル装置(10)の運転を開始するタイミングに関する第1設定値(X1)と、前記第2モード(M2)による前記冷凍サイクル装置(10)の運転を終了するタイミングに関する第2設定値(X2)と、を設定可能な操作部(41)をさらに備え、
前記制御部(50)が、設定された前記第1設定値(X1)及び前記第2設定値(X2)に基づき前記冷凍サイクル装置(10)を制御する、請求項1~5の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置(10)。
【請求項7】
冷媒配管(40G,40L)で接続された圧縮機(30)、凝縮器(31)、蒸発器(25)、及び弁(24,34)を含む冷媒回路(40)と、
前記冷媒回路(40)内の所定の箇所の冷媒の温度又は圧力を計測するセンサ(35,36)と、
前記センサ(35,36)の計測値に基づいて、前記弁(24,34)の開度及び前記圧縮機(30)の回転数を調整して前記冷媒回路(40)を制御すると共に、前記冷媒回路(40)における冷媒漏えいの有無の判定処理を実行する制御部(50)と、を備えた冷凍サイクル装置(10)における冷媒漏えいの判定方法であって、
前記制御部(50)が、通常の冷房運転を行う場合の第1モード(M1)、及び、前記判定処理を行う場合の第2モード(M2)で前記冷凍サイクル装置(10)を運転可能であり、前記第2モード(M2)時の前記凝縮器(31)の出口における冷媒の第2過冷却度(SC2)を、前記第1モード(M1)時の前記凝縮器(31)の出口の第1過冷却度(SC1)に比べて低下させると共に、前記第2モード(M2)時の前記蒸発器(25)における冷媒の第2蒸発温度(T2)を、前記第1モード(M1)時の前記蒸発器(25)の第1蒸発温度(T1)に近づける、冷媒漏えいの判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置及び冷媒漏えいの判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象空間の温度調整を行う冷凍サイクル装置について、冷媒回路における冷媒漏えいの有無を判定する技術が知られている(特許文献1参照)。前記冷凍サイクル装置では、制御装置によって、凝縮器出口の過冷却度がより低くなるように冷媒回路を制御した状態(以下「冷媒漏えいの判定に適した状態」とも称する)とすることで、冷媒漏えいの有無を精度良く判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-099059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記冷凍サイクル装置は、冷媒漏えいの判定に適した状態では給気温度が低下し、前記対象空間におけるユーザの快適度が低下する場合があった。このため、前記冷凍サイクル装置では、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定することができるタイミングが、前記対象空間について空気調和を行う必要がないときや、前記対象空間に人がいないとき(例えば、夜間)等に限られていた。
【0005】
本開示は、冷凍サイクル装置について、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷凍サイクル装置は、冷媒配管で接続された圧縮機、凝縮器、蒸発器、及び弁を含む冷媒回路と、前記冷媒回路内の所定の箇所の冷媒の温度又は圧力を計測するセンサと、前記センサの計測値に基づいて、前記弁の開度及び前記圧縮機の回転数を調整して前記冷媒回路を制御すると共に、前記冷媒回路における冷媒漏えいの有無の判定処理を実行する制御部と、を備え、前記制御部が、通常の冷房運転を行う場合の第1モード、及び、前記判定処理を実行する場合の第2モードで前記冷凍サイクル装置を運転可能であり、前記制御部が、前記第2モード時の前記凝縮器の出口における冷媒の第2過冷却度を、前記第1モード時の前記凝縮器の出口の第1過冷却度に比べて低下させると共に、前記第2モード時の前記蒸発器における冷媒の第2蒸発温度を、前記第1モード時の前記蒸発器の第1蒸発温度に近づける。
【0007】
本開示の冷凍サイクル装置によれば、第2モードによる運転を実行した場合に、蒸発器を通った空気の温度が低下するのを抑制することができるため、当該空気が給気される対象空間の快適度が損なわれず、前記対象空間にユーザがいる場合であっても、第2モードによる運転が実行可能となる。これにより、冷凍サイクル装置について、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【0008】
(2)本開示の冷凍サイクル装置は、前記弁が、前記凝縮器の出口における冷媒の圧力を調整する第1弁と、前記蒸発器の入口における冷媒の圧力を調整する第2弁と、を含み、前記制御部が、前記第1弁を制御して、前記第2過冷却度を、前記第1過冷却度に比べて低下させると共に、前記第2弁の開度及び前記圧縮機の回転数を制御して、前記第2蒸発温度を、前記第1蒸発温度に近づけると好ましい。
【0009】
この場合、冷凍サイクル装置について、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【0010】
(3)本開示の冷凍サイクル装置は、前記冷媒回路が、当該冷媒回路における余剰冷媒を貯留するタンクを有すると好ましい。
【0011】
この場合、冷媒回路に余剰冷媒を貯留するタンクを有する冷凍サイクル装置について、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【0012】
(4)本開示の冷凍サイクル装置は、前記制御部が、前記冷凍サイクル装置を前記第2モードで定期的に運転させると共に、前記判定部が、当該第2モードによる前記冷凍サイクル装置の運転中に前記判定処理を実行すると好ましい。
【0013】
この場合、冷凍サイクル装置について、精度の良い冷媒漏えいの有無の判定を、定期的に行うことができる。
【0014】
(5)本開示の冷凍サイクル装置は、前記冷凍サイクル装置の運転モードに関する情報を表示する表示部をさらに備えると好ましい。
【0015】
この場合、表示部によって、冷凍サイクル装置が第2モードで運転されていることをユーザに知らせることができる。
【0016】
(6)本開示の冷凍サイクル装置は、前記第2モードによる前記冷凍サイクル装置の運転を開始するタイミングに関する第1設定値と、前記第2モードによる前記冷凍サイクル装置の運転を終了するタイミングに関する第2設定値と、を設定可能な操作部をさらに備え、前記制御部は、設定された前記第1設定値及び前記第2設定値に基づき前記冷凍サイクル装置を制御すると好ましい。
【0017】
この場合、ユーザが、第2モードを実行するタイミングを選ぶことができる。さらにユーザが、第2モードを実行する期間を選ぶことができ、これにより、冷凍サイクル装置における冷媒漏えいの有無の判定精度をユーザが選ぶことが可能となる。
【0018】
(7)本開示の冷媒漏えいの判定方法は、冷媒配管で接続された圧縮機、凝縮器、蒸発器、及び弁を含む冷媒回路と、前記冷媒回路内の所定の箇所の冷媒の温度又は圧力を計測するセンサと、前記センサの計測値に基づいて、前記弁の開度及び前記圧縮機の回転数を調整して前記冷媒回路を制御すると共に、前記冷媒回路における冷媒漏えいの有無の判定処理を実行する制御部と、を備えた冷凍サイクル装置における冷媒漏えいの判定方法であって、前記制御部が、通常の冷房運転を行う場合の第1モード、及び、前記判定処理を行う場合の第2モードで前記冷凍サイクル装置を運転可能であり、前記第2モード時の前記凝縮器の出口における冷媒の第2過冷却度を、前記第1モード時の前記凝縮器の出口の第1過冷却度に比べて低下させると共に、前記第2モード時の前記蒸発器における冷媒の第2蒸発温度を、前記第1モード時の前記蒸発器の第1蒸発温度に近づける。
【0019】
本開示の冷媒漏えいの判定方法によれば、対象空間にユーザがいる場合であっても、第2モードによる運転が実行可能となり、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の冷凍サイクル装置の概略的な構成図。
図2】第1実施形態に係る空気調和装置の概略的な構成図。
図3】第1実施形態に係る空気調和装置のブロック図。
図4】判定処理の流れを示すフロー図。
図5】第2実施形態に係る空気調和装置の概略的な構成図。
図6】第2実施形態に係る空気調和装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ、冷凍サイクル装置の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
[冷凍サイクル装置の全体構成について]
図1は、本開示の冷凍サイクル装置の概略的な構成図である。図2は、第1実施形態に係る空気調和装置の概略的な構成図である。図3は、第1実施形態に係る空気調和装置のブロック図である。図1には、本開示の冷凍サイクル装置の一実施形態である空気調和装置10を示している。以下の説明では、第1実施形態に係る空気調和装置10を第1空気調和装置11と称し、後述する第2実施形態に係る空気調和装置10を第2空気調和装置12と称する。なお、以下の説明において、単に「空気調和装置10」と称する場合は、第1空気調和装置11及び第2空気調和装置12に共通する構成を説明している。なお、本説明では、本開示の冷凍サイクル装置について空気調和装置を例示して説明するが、本開示の冷凍サイクル装置を空気調和装置に限定するものではなく、本開示の冷凍サイクル装置には、例えば冷蔵装置、冷凍装置等が含まれる。
【0023】
図1及び図2に示す空気調和装置10は、空調を行う対象空間の空気の温度を所定の目標温度に調整する。空気調和装置10は、熱源側ユニット(室外機)21及び利用側ユニット(室内機)22を備えている。本実施形態では、1台の熱源側ユニット21に1台の利用側ユニット22が接続されている構成を例示している。ただし、熱源側ユニット21及び利用側ユニット22の台数は限定されず、1台の熱源側ユニット21に2台以上の利用側ユニット22が並列に接続された構成であってもよい。なお、利用側ユニット22が熱源側ユニット21に対して複数台接続される構成の場合、冷暖切換型でヒートポンプ式の空気調和装置であってもよいし、冷房と暖房を利用側ユニット22毎に個別に切り換え可能な、いわゆる冷暖フリー型の空気調和装置であってもよい。
【0024】
空気調和装置10は、連絡配管23を有する。連絡配管23は、熱源側ユニット21と利用側ユニット22との間で冷媒を循環させる。空気調和装置10は、圧縮機30、四路切換弁32、室外熱交換器31、室外膨張弁34、液閉鎖弁37a、室内膨張弁24、室内熱交換器25、ガス閉鎖弁37b、及びこれらを接続する冷媒配管を含む冷媒回路40を備える。冷媒回路40は、ガス冷媒配管40G及び液冷媒配管40Lを含んでいる。
【0025】
利用側ユニット22は、室内膨張弁24及び室内熱交換器25を備える。室内膨張弁24及び室内熱交換器25は、冷媒回路40の一部を構成する。室内膨張弁24は、冷媒流量の調節を行うことが可能な電動弁により構成される。室内熱交換器25は、クロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器とされ、室内の空気と熱交換するために用いられる。
【0026】
利用側ユニット22は、室内ファン26及び室内温度センサ27を備える。室内ファン26は、室内の空気を利用側ユニット22の内部に取り込み、室内熱交換器25において取り込んだ空気と冷媒との間で熱交換を行わせた後、当該空気を室内に吹き出すように構成される。室内ファン26は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備える。室内温度センサ27は、室内の温度を検出する。
【0027】
熱源側ユニット21は、圧縮機30、四路切換弁32、室外熱交換器31、室外膨張弁34、閉鎖弁37(液閉鎖弁37a及びガス閉鎖弁37b)、及びアキュムレータ38を備える。圧縮機30、四路切換弁32、室外熱交換器31、室外膨張弁34、液閉鎖弁37a及びガス閉鎖弁37bは、冷媒回路40の一部を構成する。空気調和装置10では、膨張弁として、室外熱交換器31の出口における冷媒の圧力を調整する室外膨張弁34と、室内熱交換器25の入口における冷媒の圧力を調整する室内膨張弁24と、を含んでいる。
【0028】
圧縮機30は、低圧のガス状冷媒を吸引し高圧のガス状冷媒を吐出する。圧縮機30は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。圧縮機30は、モータがインバータ制御されることによって容量(能力)を変更可能な可変容量型(能力可変型)である。ただし、圧縮機30は一定容量型であってもよい。本開示の空気調和装置10は、1台の圧縮機30を備えているが、本開示の冷凍サイクル装置(空気調和装置)における熱源側ユニットの構成は、この構成に限定されず、2台の圧縮機を備える構成であってもよい。この場合、1台目の圧縮機を容量可変型として、2台目の圧縮機を一定容量型としてもよい。
【0029】
四路切換弁32は、冷媒配管における冷媒の流れを反転させ、圧縮機30から吐出される冷媒を室外熱交換器31と室内熱交換器25との一方に切り換えて供給する。これにより、空気調和装置10は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる。
【0030】
室外熱交換器31は、例えばクロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するために用いられる。室外膨張弁34は、冷媒流量の調節等を行うことが可能な電動弁により構成される。
【0031】
液閉鎖弁37a及びガス閉鎖弁37bは手動の開閉弁である。液閉鎖弁37a及びガス閉鎖弁37bは、閉じることによってガス冷媒配管40G及び液冷媒配管40Lにおける冷媒の流れを遮蔽し、開くことによって、ガス冷媒配管40G及び液冷媒配管40Lにおける冷媒の流れを許容する。
【0032】
アキュムレータ38は、冷媒回路40内に存在する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。アキュムレータ38は、圧縮機30の吸入側配管に接続されており、気液二層状態の冷媒から液冷媒を分離して、圧縮機30にガス冷媒を流す役割を果たす。本開示の空気調和装置10を構成する熱源側ユニット21は、所謂チャージレスタイプの室外機であり、アキュムレータ38には、連絡配管23を許容可能な最大の配管長とした場合に対応可能な量の冷媒が予め封入されている。このような熱源側ユニット21を含む空気調和装置10では、連絡配管23の配管長が許容可能な最大の配管長以下であれば、冷媒の追加充填が不要である。
【0033】
熱源側ユニット21は、室外ファン33、複数の冷媒圧力センサ35、複数の冷媒温度センサ36、及び外気温度センサ28を備える。室外ファン33は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備える。室外ファン33は、屋外の空気を熱源側ユニット21の内部に取り込み、取り込んだ空気と室外熱交換器31との間で熱交換を行わせた後、当該空気を熱源側ユニット21の外部に吹き出すように構成される。
【0034】
熱源側ユニット21は、冷媒圧力センサ35として、吸入圧力センサ35a及び吐出圧力センサ35bを備える。吸入圧力センサ35aは、圧縮機30に吸入される冷媒の圧力を検出する。吐出圧力センサ35bは、圧縮機30から吐出される冷媒の圧力を検出する。なお、熱源側ユニット21は、これらの冷媒圧力センサ35(吸入圧力センサ35a及び吐出圧力センサ35b)以外の冷媒圧力センサ35をさらに備えていてもよい。
【0035】
熱源側ユニット21は、冷媒温度センサ36として、吸入温度センサ36a、吐出温度センサ36b、及び熱交液管温度センサ36cを備える。吸入温度センサ36aは、圧縮機30に吸入される冷媒の温度を検出する。吐出温度センサ36bは、圧縮機30から吐出される冷媒の温度を検出する。熱交液管温度センサ36cは、室外熱交換器31の液管温度を検出する。なお、熱源側ユニット21は、これらの冷媒温度センサ36(吸入温度センサ36a、吐出温度センサ36b、及び熱交液管温度センサ36c)以外の冷媒温度センサ36をさらに備えていてもよい。外気温度センサ28は、熱源側ユニット21に取り込まれる外気の温度を検出する。
【0036】
[制御部について]
図2及び図3に示すように、空気調和装置10は、当該空気調和装置10の動作を制御する制御部50を備えている。以下の説明では、第1空気調和装置11の制御部50を、第1制御部51と称する。第1制御部51は、利用側ユニット22に配置された室内制御部29と、熱源側ユニット21に配置された室外制御部39と、を含んでいる。室内制御部29と室外制御部39とは、伝送線を介して相互に通信可能に接続されている。
【0037】
室内制御部29は、利用側ユニット22の動作を制御する装置であり、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリを備えたマイクロコンピュータにより構成される。室内制御部29は、LSI、ASIC、FPGA等を用いてハードウェアとして実現されるものであってもよい。室内制御部29は、メモリにインストールされたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の機能を発揮する。利用側ユニット22は、上述した室内温度センサ27の他に、室内ファン26のモータ電流値を検出する室内ファン電流センサ45を有している。利用側ユニット22に設けられた各センサの検出値は、室内制御部29に入力される。室内制御部29は、各センサの検出値等に基づいて室内膨張弁24や室内ファン26の動作を制御する。
【0038】
室内制御部29には、ユーザが利用側ユニット22の運転・停止、及び設定温度の変更等を行うリモコン41が接続されている。リモコン41は、ユーザによる空気調和装置10の操作部となる装置であり、空気調和装置10によって空調を行う対象空間内に配置される。
【0039】
リモコン41は、表示部42を備えている。表示部42は、第1空気調和装置11の運転状態や設定温度等を表示する部位であり、液晶パネルにより構成される。第1空気調和装置11では、制御部50が、現在実行されている運転モードを表示部42に表示する。第1空気調和装置11では、表示部42によって、現在実行中の運転モードをユーザに知らせることができる。
【0040】
室外制御部39は、熱源側ユニット21の動作を制御する装置であり、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリを備えたマイクロコンピュータにより構成される。室外制御部39は、LSI、ASIC、FPGA等を用いてハードウェアとして実現されるものであってもよい。室外制御部39は、メモリにインストールされたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の機能を発揮する。室外制御部39は、CPU等が演算を行う処理部39a、ROM,RAM等が処理部39aの演算結果等を記憶する記憶部39b、及び処理部39aの演算結果等を出力する出力部39cを有している。
【0041】
熱源側ユニット21には、上述した冷媒圧力センサ35、冷媒温度センサ36、及び外気温度センサ28以外に、圧縮機30の電流値を検出する圧縮機電流センサ43、及び室外ファン33のモータ電流値を検出する室外ファン電流センサ44を有している。熱源側ユニット21に設けられた各センサの検出値は、室外制御部39に入力される。室外制御部39は、各センサの検出値等に基づいて、室外膨張弁34、圧縮機30、室外ファン33等に発揮させる機能を調整し、空気調和装置10の動作を制御する。
【0042】
空気調和装置10では、制御部50が、冷媒圧力センサ35、冷媒温度センサ36、及び外気温度センサ28の検出値を用いて、室外熱交換器31及び室内熱交換器25の蒸発圧力、凝縮圧力、過熱度等を算出し、これらの値を調整するように圧縮機30の回転数や室外膨張弁34の開度等を制御すると共に、後で説明する判定処理を実行する。なお、本実施形態では、冷媒圧力センサ35及び冷媒温度センサ36を備えた空気調和装置10を例示するが、空気調和装置10では、冷媒圧力センサ35及び冷媒温度センサ36の何れか一方を省略してもよい。この場合、例えば、冷媒圧力センサ35の検出値から、冷媒回路40における各部の冷媒の温度を算出する。
【0043】
上記構成の空気調和装置10が冷房運転を行う場合に、四路切換弁32が図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機30から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁32を経て室外熱交換器31に流入し、室外ファン33の作動により室外空気と熱交換して凝縮・液化する。空気調和装置10が冷房運転を行う場合、室外熱交換器31は、凝縮器として機能する。液化した冷媒は、室外膨張弁34を通過して各利用側ユニット22に流入する。利用側ユニット22において、冷媒は、室内膨張弁24で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器25で室内空気と熱交換して蒸発する。冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、室内ファン26によって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。室内熱交換器25で蒸発した冷媒は、ガス冷媒配管40Gを通って熱源側ユニット21に戻り、四路切換弁32を経て圧縮機30に吸い込まれる。空気調和装置10が冷房運転を行う場合、室内熱交換器25は、蒸発器として機能する。
【0044】
空気調和装置10が冷房運転を行う場合、室外制御部39が、室外熱交換器31の出口における冷媒の過冷却度(後で説明する第1過冷却度SC1)を目標値(目標過冷却度SC0とも称する)に一致させるように圧縮機30の回転数及び室外膨張弁34の開度を調整する。空気調和装置10が冷房運転を行う場合、室内制御部29が、室内熱交換器25の蒸発温度(後で説明する第1蒸発温度T1)を目標値(目標蒸発温度T0とも称する)に一致させるように室内膨張弁24の開度を調整する。目標過冷却度SC0及び目標蒸発温度T0は、例えば、第1モードM1時の室内の設定温度及び実際の室内温度に基づいて、制御部50が算出する。なお、蒸発温度の制御は、室内膨張弁24に相当する膨張弁を熱源側ユニット21側に設け、前記膨張弁と室外膨張弁34の開度を室外制御部39が制御することにより行ってもよい。この場合、室内膨張弁24は省略してもよい。
【0045】
空気調和装置10が暖房運転を行う場合、四路切換弁32が図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機30から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁32を通過して各利用側ユニット22の室内熱交換器25に流入する。室内熱交換器25において、冷媒は室内空気と熱交換して凝縮・液化する。空気調和装置10が暖房運転を行う場合、室内熱交換器25は、凝縮器として機能する。冷媒の凝縮によって加熱された室内空気は、室内ファン26によって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器25において液化した冷媒は、液冷媒配管40Lを通って熱源側ユニット21に戻り、室外膨張弁34で所定の低圧に減圧され、さらに室外熱交換器31で室外空気と熱交換して蒸発する。室外熱交換器31で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁32を経て圧縮機30に吸い込まれる。空気調和装置10が暖房運転を行う場合、室外熱交換器31は、蒸発器として機能する。
【0046】
制御部50は、空気調和装置10の運転中における冷媒圧力センサ35又は冷媒温度センサ36の検出値に基づいて、凝縮器の出口における冷媒の過冷却度(後で説明する第1過冷却度SC1)を算出する。制御部50は、算出した過冷却度と目標過冷却度SC0との差異から、冷媒の漏えい量を算出する。本開示の空気調和装置10では、設置当初に冷媒回路40に充填された冷媒の総量を基準(100%)として、冷媒の漏えい量が設定量(例えば30%)を超えた場合に冷媒漏えい「有り」と判定し、冷媒の漏えい量が設定量(例えば30%)を超えていない場合には冷媒漏えい「無し」と判定する。
【0047】
[運転モードについて]
空気調和装置10は、通常の冷房運転を行う運転モードである第1モードM1と、冷媒漏えいの判定処理に適した運転モードである第2モードM2で運転可能に構成される。空気調和装置10では、制御部50が、ユーザが希望するタイミングで、又は定期的に、運転モードを第2モードM2に切り替えて、空気調和装置10の運転を制御する。なお、第1モードM1は、通常の冷房運転及び暖房運転を行う運転モードであってもよい。
【0048】
第1モードM1では、制御部50が、室外熱交換器31の出口における冷媒の過冷却度SC1(以下、第1過冷却度SC1とも称する)が、目標過冷却度SC0となるように、室外膨張弁34の開度を調整すると共に、室内熱交換器25の蒸発温度T1(以下、第1蒸発温度T1とも称する)が、目標蒸発温度T0となるように、圧縮機30の回転数及び室内膨張弁24の開度を調整する。
【0049】
第2モードM2は、冷媒回路40における冷媒漏えいの有無を判定するのに適した運転モードである。空気調和装置10では、第2モードM2による運転を実行する場合、四路切換弁32の切り替え位置を、第1モードM1で冷房運転するときの位置(図1の実線で示す位置)とする。第2モードM2では、制御部50が、室外熱交換器31の出口における冷媒の過冷却度SC2(以下、第2過冷却度SC2とも称する)が、第1モードM1時の第1過冷却度SC1よりも低くなるように、室外膨張弁34の開度を調整すると共に、室内熱交換器25の蒸発温度T2(以下、第2蒸発温度T2とも称する)を、第1モードM1時の第1蒸発温度T1に近づけるように、圧縮機30の回転数及び室内膨張弁24の開度を調整する。
【0050】
空気調和装置10では、第2モードM2を実行すると、室外熱交換器31の出口における冷媒の第2過冷却度SC2が第1モードM1時の第1過冷却度SC1よりも低くなると共に、アキュムレータ38に溜まっている余剰冷媒がアキュムレータ38から排出される。空気調和装置10では、アキュムレータ38に余剰冷媒が溜まっている場合、冷媒回路40から冷媒が漏えいすると、アキュムレータ38内の余剰冷媒が補給されるため、余剰冷媒で代替できる量の冷媒の漏えいであれば、正常な運転状態が維持される。このため、アキュムレータ38を有する空気調和装置10では、冷媒漏えいの有無を正確に判定することが困難である。
【0051】
本開示の空気調和装置10では、第2モードM2を実行することによって、アキュムレータ38に溜まっている余剰冷媒をアキュムレータ38から追い出すことができ、アキュムレータ38内に余剰冷媒が無い状態で判定処理を実行することができる。空気調和装置10では、このような構成によって、冷媒漏えいの有無を正確に判定することが可能となる。
【0052】
空気調和装置10では、第2モードM2を実行し、室外熱交換器31の出口における冷媒の第2過冷却度SC2が第1モードM1時の第1過冷却度SC1よりも低くなると、室内熱交換器25の蒸発温度が下がるため、何も対処しなければ、室内へ給気する空気の温度(給気温度)が低下して、ユーザに不快感を与える可能性がある。
【0053】
空気調和装置10では、第2モードM2を実行した場合、室外熱交換器31の出口における冷媒の第2過冷却度SC2を第1モードM1時の第1過冷却度SC1よりも低くすると共に、室内熱交換器25の第2蒸発温度T2を第1モードM1時の第1蒸発温度T1に近づけるように、室内膨張弁24の開度を調整する。このため、空気調和装置10では、第2モードM2の実行中に、室内熱交換器25の第2蒸発温度T2の低下を抑制し、給気温度の低下を抑制することができるため、室内にいるユーザに対して不快感を与える可能性を低くすることができる。
【0054】
空気調和装置10では、制御部50において、以下に説明する第1設定値X1及び第2設定値X2が設定されていると好ましい。第1設定値X1は、例えば、第2モードM2による運転を開始する時刻である。なお、第1設定値X1は、第2モードM2による運転の実行後において、次の第2モードM2による運転を実行するまでの期間(間隔)を規定した値(例えば、24時間)であってもよい。制御部50に第1設定値X1が設定されている場合、制御部50が、第1設定値X1に従って、ユーザが希望するタイミングで、又は、定期的に、空気調和装置10を第2モードM2で運転させる。
【0055】
第2設定値X2は、例えば、第2モードM2による運転を終了する時刻である。なお、第2設定値X2は、第2モードM2による運転を開始してから終了するまでの期間(間隔)を規定した値(例えば、1時間)であってもよい。制御部50に第2設定値X2が設定されている場合、制御部50が、第2設定値X2に従って、ユーザが希望するタイミングで、第2モードM2による空気調和装置10の運転を終了させる。
【0056】
空気調和装置10は、制御部50に記憶されている第1設定値X1及び第2設定値X2を、ユーザが変更可能に構成されると好ましい。空気調和装置10では、第1設定値X1及び第2設定値X2を、ユーザがリモコン41を操作して変更することができるように構成する。このような構成の空気調和装置10では、ユーザが希望するタイミングで、空気調和装置10の運転モードを第2モードM2に切り替えると共に、ユーザが希望するタイミングで、第2モードM2による空気調和装置10の運転を終了させることが可能となる。
【0057】
[制御部が行う判定処理について]
図4は、判定処理を示すフロー図である。空気調和装置10では、制御部50が、上記の通り説明した判定処理を、図4に示すフローに沿って実行すると好ましい。
【0058】
空気調和装置10では、運転が開始されると、制御部50が、図4に示すフローに沿って、冷媒漏えいの有無についての判定処理を開始する。空気調和装置10では、判定処理が開始されると、制御部50が、ステップ(S01)を実行する。
【0059】
ステップ(S01)では、制御部50が、第2モードM2による運転を開始するタイミングに関する判定を行う。ステップ(S01)では、制御部50が、現時点が第1設定値X1で規定されたタイミングに該当するか否かについて判定する。制御部50は、現時点が第1設定値X1で規定されたタイミングに該当すると判定した場合、ステップ(S02)を実行する。制御部50は、現時点が第1設定値X1で規定されたタイミングに該当しないと判定した場合、該当すると判定するまでステップ(S01)の処理を繰り返し実行する。
【0060】
ステップ(S02)では、制御部50が、空気調和装置10の運転モードを第2モードM2に切り替える。制御部50は、第2モードM2への切り替えが完了すると、次にステップ(S03)を実行する。
【0061】
ステップ(S03)では、制御部50が、第2モードM2を実行中の空気調和装置10について、各センサ35,36の測定値に基づいて冷媒漏えいの有無を判定し、次にステップ(S04)を実行する。
【0062】
ステップ(S04)では、制御部50が、第2モードM2による運転を終了するタイミングに関する判定を行う。ステップ(S04)では、制御部50が、現時点が第2設定値X2で規定されたタイミングに該当するか否かについて判定する。制御部50は、現時点が第2設定値X2で規定されたタイミングに該当すると判定した場合、ステップ(S05)を実行する。制御部50は、現時点が第2設定値X2で規定されたタイミングに該当しないと判定した場合、該当すると判定するまでステップ(S03)の処理(冷媒漏えいの有無の判定)を継続する。
【0063】
空気調和装置10では、より多くの運転データに基づいて、時間を掛けて冷媒漏えいの有無を判定したほうが、冷媒漏えいの有無をより正確に判定することができるが、この場合、第2モードM2による運転が長時間となって、室内にいるユーザに不快感を与える可能性が高くなる。一方、第2モードM2による運転をより短時間にした場合、室内にいるユーザに不快感を与える可能性は低くなるが、この場合、少ない運転データに基づいて冷媒漏えいの有無を判定することになり、冷媒漏えいの有無の判定精度が低下する。このように空気調和装置10では、冷媒漏えいの判定に掛ける時間(第2モードM2による運転時間)を長くした場合と短くした場合にそれぞれ一長一短がある。このため、空気調和装置10では、冷媒漏えいの判定に掛ける時間(第2モードM2による運転時間)を、ユーザが選択できるように構成している。具体的には、空気調和装置10では、ユーザがリモコン41を操作して第1設定値X1及び第2設定値X2を変更することができる。空気調和装置10では、このような構成によって、空気調和装置10の状態やユーザの好みに合わせた判定処理を行うことができる。
【0064】
ステップ(S05)では、制御部50が、空気調和装置10の運転モードを第2モードM2から第1モードM1に切り替える。制御部50は、第1モードM1への切り替えが完了すると、一連の判定処理を終了する。
【0065】
なお、本開示の空気調和装置10では、制御部50のうち、室外制御部39が、判定処理を実行する場合を例示しているが、室内制御部29が判定処理を実行する構成であってもよい。
【0066】
なお、空気調和装置10では、制御部50に第1設定値X1及び第2設定値X2が設定されていなくてもよい。この場合、図4に示すフローのステップ(S01)及びステップ(S04)を省略する。第1設定値X1及び第2設定値X2の設定を省略した空気調和装置10は、例えば、判定処理の開始を指示するスイッチを設け、ユーザが当該スイッチを操作した場合に、制御部50が、予め設定された時間の間だけ第2モードM2に切り替えて空気調和装置10を運転させると共に、その間に冷媒漏えいの有無を判定する構成としてもよい。
【0067】
なお、上記の通り説明した冷媒漏えいの有無の判定方法は、アキュムレータ38を有する空気調和装置10に対して特に有効であるが、本開示の冷媒漏えいの判定方法は、アキュムレータ38を有さない空気調和装置10について適用してもよい。
【0068】
[第2実施形態に係る空気調和装置について]
図5は、第2実施形態に係る空気調和装置の概略的な構成図である。図6は、第2実施形態に係る空気調和装置のブロック図である。本開示の空気調和装置10は、図5に示す構成であってもよい。図5に示す第2空気調和装置12は、本開示の空気調和装置10の第2実施形態である。図5及び図6に示すように、第2空気調和装置12は、制御部50の構成が第1空気調和装置11と異なっている。以下の説明では、第2空気調和装置12が有する制御部50を、第2制御部52と称する。
【0069】
図5及び図6に示すように、第2空気調和装置12は、監視装置60を備えている点で、第1空気調和装置11と異なっている。監視装置60は、例えばビルの中央監視室に設置される。監視装置60は、熱源側ユニット21及び利用側ユニット22の動作を監視(管理)する。
【0070】
監視装置60は、制御部61を備える。制御部61は、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリを備えたマイクロコンピュータにより構成される。制御部61は、LSI、ASIC、FPGA等を用いてハードウェアとして実現されるものであってもよい。制御部61は、メモリにインストールされたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の機能を発揮する。制御部61は、CPU等が演算を行う処理部61a、ROM,RAM等が処理部61aの演算結果等を記憶する記憶部61b、及び処理部61aの演算結果等を出力する出力部61cを有している。
【0071】
第2空気調和装置12は、さらに管理サーバ70を備えている点で、第1空気調和装置11と異なっている。なお、第2空気調和装置12は、管理サーバ70を省略してもよい。
【0072】
管理サーバ70は、空気調和装置10が設置される建物とは離れた遠隔地に設けられている。管理サーバ70は、例えば、CPU等の演算部及びROM,RAM等の記憶部を有する制御部71を含むパーソナルコンピュータにより構成されている。制御部71は、CPU等が演算を行う処理部71a、ROM,RAM等が処理部71aの演算結果等を記憶する記憶部71b、及び処理部71aの演算結果等を出力する出力部71cを有している。監視装置60と管理サーバ70とは、インターネット等のネットワーク80を介して通信可能に接続されている。
【0073】
図5及び図6に示すように、第2制御部52は、室内制御部29、室外制御部39、監視装置60の制御部61、及び管理サーバ70の制御部71を含んでいる。室内制御部29及び室外制御部39は、伝送線を介して監視装置60に接続される。室内制御部29、室外制御部39、及び制御部61は、ネットワーク80を介して管理サーバ70に接続される。このような構成の第2空気調和装置12では、第2制御部52に含まれる制御部61によって、第2空気調和装置12の運転を制御することができる。第2空気調和装置12では、制御部61が、判定処理に適した第2モードM2で第2空気調和装置12を運転制御すると共に、前述した判定処理を実行してもよい。
【0074】
制御部61が判定処理を実行する場合、記憶部61bに記憶されている第1設定値X1及び第2設定値X2に基づいて、処理部61aが判定処理を実行する。処理部61aが実行した冷媒漏えいの有無の判定結果は、記憶部61bに記憶される。制御部61では、記憶部61bに記憶された判定結果を、出力部61cが表示部42に表示させる。このような第2空気調和装置12では、記憶部61bに記憶されている第1設定値X1及び第2設定値X2を、ユーザによるリモコン41の操作によって変更可能に構成される。
【0075】
あるいは、管理サーバ70を有する第2空気調和装置12では、第2制御部52に含まれる制御部71によって、第2空気調和装置12の運転を制御することができる。第2空気調和装置12では、制御部71が、判定処理に適した第2モードM2で第2空気調和装置12を運転制御すると共に、前述した判定処理を実行してもよい。
【0076】
制御部71が判定処理を実行する場合、記憶部71bに記憶されている第1設定値X1及び第2設定値X2に基づいて、処理部71aが判定処理を実行する。処理部71aが実行した冷媒漏えいの有無の判定結果は、記憶部71bに記憶される。制御部71では、記憶部71bに記憶された判定結果を、出力部71cが表示部42に表示させる。このような第2空気調和装置12では、記憶部71bに記憶されている第1設定値X1及び第2設定値X2を、ユーザによるリモコン41の操作によって変更可能に構成される。
【0077】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の空気調和装置10は、冷媒配管40G,40Lで接続された圧縮機30、室外熱交換器31、室内熱交換器25、及び室内膨張弁24及び室外膨張弁34を含む冷媒回路40と、冷媒回路40内の所定の箇所の冷媒の温度又は圧力を計測する冷媒圧力センサ35及び冷媒温度センサ36と、各センサ35,36の計測値に基づいて、室内膨張弁24及び室外膨張弁34の開度及び圧縮機30の回転数を調整して冷媒回路40を制御すると共に、冷媒回路40における冷媒漏えいの有無の判定処理を実行する制御部50と、を備える。空気調和装置10では、制御部50が、通常の冷房運転を行う場合の第1モードM1、及び、判定処理を実行する場合の第2モードM2で空気調和装置10を運転可能である。空気調和装置10では、制御部50が、第2モードM2時の室外熱交換器31の出口における冷媒の第2過冷却度SC2を、第1モードM1時の室外熱交換器31の出口の第1過冷却度SC1に比べて低下させると共に、第2モードM2時の室内熱交換器25における冷媒の第2蒸発温度T2を、第1モードM1時の室内熱交換器25の第1蒸発温度T1に近づける。
【0078】
このような空気調和装置10によれば、第2モードM2による運転を実行した場合に、蒸発器を通った空気の温度が低下するのを抑制することができるため、当該空気が給気される室内の快適度が損なわれず、室内にユーザがいる場合であっても、第2モードM2による運転が実行可能となる。これにより、空気調和装置10について、冷媒漏えいの判定に適した(換言すると、第2モードM2で運転した)状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【0079】
(2)上記実施形態の空気調和装置10は、膨張弁が、室外熱交換器31の出口における冷媒の圧力を調整する室外膨張弁34と、室内熱交換器25の入口における冷媒の圧力を調整する室内膨張弁24と、を含んでいる。空気調和装置10では、制御部50が、室外膨張弁34を制御して、第2過冷却度SC2を第1過冷却度SC1に比べて低下させると共に、室内膨張弁24の開度及び圧縮機30の回転数を制御して、第2蒸発温度T2を第1蒸発温度T1に近づける。この場合、空気調和装置10について、冷媒漏えいの判定に適した(換言すると、第2モードM2で運転した)状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【0080】
(3)上記実施形態の空気調和装置10は、冷媒回路40が、当該冷媒回路40における余剰冷媒を貯留するタンクであるアキュムレータ38を有する。この場合、冷媒回路40に余剰冷媒を貯留するアキュムレータ38を有する空気調和装置10について、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【0081】
(4)上記実施形態の空気調和装置10は、制御部50が、空気調和装置10を第2モードM2で定期的に運転させると共に、当該第2モードM2による空気調和装置10の運転中に判定処理を実行する。この場合、空気調和装置10について、精度の良い冷媒漏えいの有無の判定を、定期的に行うことができる。
【0082】
(5)上記実施形態の空気調和装置10は、空気調和装置10の運転モードに関する情報を表示する表示部42をさらに備える。この場合、表示部42によって、空気調和装置10が第2モードM2で運転されていることをユーザに知らせることができる。
【0083】
(6)上記実施形態の空気調和装置10は、第2モードM2による空気調和装置10の運転を開始するタイミングに関する第1設定値X1と、第2モードM2による空気調和装置10の運転を終了するタイミングに関する第2設定値X2と、を設定可能なリモコン41をさらに備えている。空気調和装置10では、制御部50が、設定された第1設定値X1及び第2設定値X2に基づき空気調和装置10を制御する。この場合、ユーザが、第2モードM2を実行するタイミングを選ぶことができる。さらにユーザが、第2モードM2を実行する期間を選ぶことができ、これにより、空気調和装置10における冷媒漏えいの有無の判定精度をユーザが選ぶことが可能となる。
【0084】
(7)上記実施形態の冷媒漏えいの判定方法は、冷媒配管40G,40Lで接続された圧縮機30、室外熱交換器31、室内熱交換器25、及び室内膨張弁24及び室外膨張弁34を含む冷媒回路40と、冷媒回路40内の所定の箇所の冷媒の温度又は圧力を計測する冷媒圧力センサ35及び冷媒温度センサ36と、各センサ35,36の計測値に基づいて、室内膨張弁24及び室外膨張弁34の開度及び圧縮機30の回転数を調整して冷媒回路40を制御すると共に、冷媒回路40における冷媒漏えいの有無の判定処理を実行する制御部50と、を備えた空気調和装置10における冷媒漏えいの判定方法である。制御部50が、通常の冷房運転を行う場合の第1モードM1、及び、判定処理を行う場合の第2モードM2で空気調和装置10を運転可能である。本開示の冷媒漏えいの判定方法では、制御部50が、第2モードM2時の室外熱交換器31の出口における冷媒の第2過冷却度SC2を、第1モードM1時の室外熱交換器31の出口の第1過冷却度SC1に比べて低下させると共に、第2モードM2時の室内熱交換器25における冷媒の第2蒸発温度T2を、第1モードM1時の室内熱交換器25の第1蒸発温度T1に近づける。
【0085】
本開示の冷媒漏えいの判定方法によれば、室内にユーザがいる場合であっても、第2モードM2による運転が実行可能となり、冷媒漏えいの判定に適した状態で冷媒漏えいの有無を判定するタイミングについての制約を減らすことができる。
【0086】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
10 :空気調和装置(冷凍サイクル装置)
21 :熱源側ユニット
22 :利用側ユニット
23 :連絡配管
24 :室内膨張弁(弁、第2弁)
25 :室内熱交換器(蒸発器)
30 :圧縮機
31 :室外熱交換器(凝縮器)
34 :室外膨張弁(弁、第1弁)
35 :冷媒圧力センサ(センサ)
36 :冷媒温度センサ(センサ)
38 :アキュムレータ(タンク)
40 :冷媒回路
40L :液冷媒配管(冷媒配管)
40G :ガス冷媒配管(冷媒配管)
41 :リモコン(操作部)
42 :表示部
50 :制御部
M1 :第1モード
M2 :第2モード
X1 :第1設定値
X2 :第2設定値
SC1 :第1過冷却度
SC2 :第2過冷却度
T1 :第1蒸発温度
T2 :第2蒸発温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6