(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148379
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】アンカー部材の枠体への取付け構造および取付け方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/60 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056359
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】井上 航太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 定彦
(72)【発明者】
【氏名】稲田 容子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 毅
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA00
2E011KA03
2E011KC01
2E011KC07
2E011KD26
2E011KD28
2E011KD35
(57)【要約】
【課題】躯体側にアンカー部材を介して枠体を取付けるにあたり、簡単且つ強固な状態でアンカー部材を枠体に取付けできるようにする。
【解決手段】枠体2に、躯体側が開口した溝部2Aと、溝部の開口側に設けられ、間隔Sを存して対向する一対の対向片部2Abとを設ける一方、アンカー部材5を、対向片部2Abに溝部の外方側から当接する第一部材6と、対向片部2Abに溝部の内方側から当接する第二部材7と、これら第一、第二部材6、7同士を緊締する一対の緊締部材8とを用いて構成する。さらに、第二部材7を対向片部間の間隔から溝部内外に出入りできるようにするとともに、第二部材7に、対向片部に形成の係止凸部2Acが嵌入係止する係止凹溝7bを設けて、アンカー部材5の枠体2に対する相対回転を規制できるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に形成された開口部の周囲に設置される枠体に、躯体側に固定されるアンカー部材を取付けるにあたり、前記枠体に、該枠体の長手方向に沿って延び、躯体側が開口した溝部と、該溝部の開口側に枠体の長手方向に沿って延びる状態で設けられ、間隔を存して互いに対向する一対の対向片部とを設ける一方、前記アンカー部材は、躯体側に固定される固定部を有するとともに前記一対の対向片部に溝部の外方側から当接する第一部材と、一対の対向片部に溝部の内方側から当接する第二部材と、これら第一、第二部材で一対の対向片部を挟持するべく第一、第二部材同士を緊締する一対の緊締部材とを用いて構成されるとともに、第二部材は、所定の取付け姿勢では溝部幅方向の長さが一対の対向片部間の間隔よりも長いが、取付け姿勢を溝部幅方向中心部を軸として回転させた回転姿勢では溝部幅方向の長さが対向片部間の間隔よりも短くなるように設定されていて、回転姿勢にすることで対向片部間の間隔から溝部内外に出入り自在に構成される一方、対向片部と第一、第二部材の少なくとも何れか一方との間に、第一、第二部材が緊締部材により緊締されている状態で対向片部に対するアンカー部材の相対回転を規制する規制手段を設けたことを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造。
【請求項2】
請求項1において、アンカー部材を枠体に取付けるにあたり、第一、第二部材を前記一対の緊締部材により相対回転が阻止され、且つ、第一、第二部材間に間隙がある非緊締状態で仮止めし、該仮止めした状態で回転姿勢の第二部材を枠体の溝部内に挿入して溝部内に位置せしめる一方、第一部材は溝部外に位置せしめ、該第二、第一部材を溝部の内外に位置せしめた状態でアンカー部材を回転させて取付け姿勢にした第二部材と第一部材とを緊締部材で緊締することを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造。
【請求項3】
請求項1または2において、規制手段は、一対の対向片部の先端部に枠体の長手方向に沿って延びる状態で形成され、第一または第二部材側に向けて突出する凸部と、第一または第二部材に形成され、前記凸部が嵌入係止する凹部とを用いて構成されることを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造。
【請求項4】
請求項3において、第一または第二部材に形成される凹部はU字形状あるいはV字形状であることを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造。
【請求項5】
建物躯体に形成された開口部の周囲に設置される枠体に、躯体側に固定されるアンカー部材を取付けるにあたり、前記枠体に、該枠体の長手方向に沿って延び、躯体側が開口した溝部と、該溝部の開口側に枠体の長手方向に沿って延びる状態で設けられ、間隔を存して互いに対向する一対の対向片部とを設ける一方、前記アンカー部材は、躯体側に固定される固定部を有するとともに前記一対の対向片部に溝部の外方側から当接する第一部材と、一対の対向片部に溝部の内方側から当接する第二部材と、これら第一、第二部材で一対の対向片部を挟持するべく第一、第二部材同士を緊締する一対の緊締部材とを用いて構成されるとともに、第二部材は、所定の取付け姿勢では溝部幅方向の長さが一対の対向片部間の間隔よりも長いが、取付け姿勢を溝部幅方向中心部を軸として回転させた回転姿勢では溝部幅方向の長さが対向片部間の間隔よりも短くなるように設定されていて、回転姿勢にすることで対向片部間の間隔から溝部内外に出入り自在に構成される一方、アンカー部材の枠体への取付けは、第一、第二部材を前記一対の緊締部材により相対回転が阻止され、且つ、第一、第二部材間に間隙がある非緊締状態で仮止めする工程と、該仮止めした状態で回転姿勢の第二部材を枠体の溝部内に挿入して溝部内に位置せしめる一方、第一部材は溝部外に位置せしめる工程と、該第二、第一部材を溝部の内外に位置せしめた状態でアンカー部材を回転させて取付け姿勢にした第二部材と第一部材とを緊締部材で緊締する工程とを含むことを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け方法。
【請求項6】
請求項5において、対向片部と第一、第二部材の少なくとも何れか一方との間に、第一、第二部材が緊締部材により緊締されている状態で対向片部に対するアンカー部材の相対回転を規制する規制手段を設けたことを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体側に固定されるアンカー部材をサッシ等の枠体に取付ける場合のアンカー部材の枠体への取付け構造および取付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物躯体に形成された開口部の周囲にサッシ枠等の枠体を取付けるにあたり、躯体側にボルトや溶接等により固定されるアンカー部材を用いることがある。
このようなアンカー部材を枠体に取付けるにあたり、枠体に躯体側が開口した溝部を設け、該溝部の開口側に互いに対向する一対の対向片部を設ける一方、アンカー部材を平板状の単部材で形成し、該アンカー部材の長手方向両端部に上記一対の対向片部を挟み込んで係止する二股状の係止部を設けたものが、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、アンカー部材の短手方向の長さが、枠体の一対の対向片部間の間隔よりも短く設定されており、これにより、アンカー部材を一対の対向片部間に位置せしめることができるようになっているとともに、該対向片部間に位置せしめたアンカー部材を回転させることで、係止部を簡単に対向片部に係止させることができるようになっている。
一方、アンカー部材を、枠体の対向片部に溝部の外内から当接する第一部材、第二部材の二つの部材で構成し、これら二つの部材同士をビスで締め付けることでアンカー部材を枠体に取付けるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。このものでは、予め第二部材を溝部内に挿入しておき、該溝部内の第二部材のタップ孔に、溝部外方から対向片部に当接させた第一部材に形成の長孔からビスを挿入して締め付けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-195833号公報
【特許文献2】特許第2912276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のものでは、枠体の対向片部とアンカー部材との係止が、アンカー部材を回転させて該アンカー部材に形成の二股状の係止部で対向片部を挟み込むだけのものであるため、アンカー部材の枠体への取付けは簡単であるが、例えば台風等の強風時にアンカー部材が対向片部を挟み込んでいる以上の力が枠体に作用した場合に、枠体がアンカー部材から外れてしまう惧れがあるという問題がある。
一方、特許文献2のものは、溝部内に配置される第二部材が、短手方向でも枠体の対向片部間の間隔よりも長いため、予め第二部材を枠体の長手方向から溝部内に差し込んでおき、該溝部内の第二部材と溝部外の第一部材とをビス止めすることになるが、このように第二部材を溝部内に差し込んでおいてから該第二部材と第一部材とをビス止めする作業は、第一部材と第二部材との位置合わせも必要であって作業性に劣る。そこで、特許文献2のものでは、第一部材に形成のビス貫通孔を長孔にしているが、このように長孔にすると第一部材と第二部材とが長孔の長径方向に相対移動しやすくなってしまうという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建物躯体に形成された開口部の周囲に設置される枠体に、躯体側に固定されるアンカー部材を取付けるにあたり、前記枠体に、該枠体の長手方向に沿って延び、躯体側が開口した溝部と、該溝部の開口側に枠体の長手方向に沿って延びる状態で設けられ、間隔を存して互いに対向する一対の対向片部とを設ける一方、前記アンカー部材は、躯体側に固定される固定部を有するとともに前記一対の対向片部に溝部の外方側から当接する第一部材と、一対の対向片部に溝部の内方側から当接する第二部材と、これら第一、第二部材で一対の対向片部を挟持するべく第一、第二部材同士を緊締する一対の緊締部材とを用いて構成されるとともに、第二部材は、所定の取付け姿勢では溝部幅方向の長さが一対の対向片部間の間隔よりも長いが、取付け姿勢を溝部幅方向中心部を軸として回転させた回転姿勢では溝部幅方向の長さが対向片部間の間隔よりも短くなるように設定されていて、回転姿勢にすることで対向片部間の間隔から溝部内外に出入り自在に構成される一方、対向片部と第一、第二部材の少なくとも何れか一方との間に、第一、第二部材が緊締部材により緊締されている状態で対向片部に対するアンカー部材の相対回転を規制する規制手段を設けたことを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造である。
請求項2の発明は、請求項1において、アンカー部材を枠体に取付けるにあたり、第一、第二部材を前記一対の緊締部材により相対回転が阻止され、且つ、第一、第二部材間に間隙がある非緊締状態で仮止めし、該仮止めした状態で回転姿勢の第二部材を枠体の溝部内に挿入して溝部内に位置せしめる一方、第一部材は溝部外に位置せしめ、該第二、第一部材を溝部の内外に位置せしめた状態でアンカー部材を回転させて取付け姿勢にした第二部材と第一部材とを緊締部材で緊締することを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、規制手段は、一対の対向片部の先端部に枠体の長手方向に沿って延びる状態で形成され、第一または第二部材側に向けて突出する凸部と、第一または第二部材に形成され、前記凸部が嵌入係止する凹部とを用いて構成されることを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造である。
請求項4の発明は、請求項3において、第一または第二部材に形成される凹部はU字形状あるいはV字形状であることを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け構造である。
請求項5の発明は、建物躯体に形成された開口部の周囲に設置される枠体に、躯体側に固定されるアンカー部材を取付けるにあたり、前記枠体に、該枠体の長手方向に沿って延び、躯体側が開口した溝部と、該溝部の開口側に枠体の長手方向に沿って延びる状態で設けられ、間隔を存して互いに対向する一対の対向片部とを設ける一方、前記アンカー部材は、躯体側に固定される固定部を有するとともに前記一対の対向片部に溝部の外方側から当接する第一部材と、一対の対向片部に溝部の内方側から当接する第二部材と、これら第一、第二部材で一対の対向片部を挟持するべく第一、第二部材同士を緊締する一対の緊締部材とを用いて構成されるとともに、第二部材は、所定の取付け姿勢では溝部幅方向の長さが一対の対向片部間の間隔よりも長いが、取付け姿勢を溝部幅方向中心部を軸として回転させた回転姿勢では溝部幅方向の長さが対向片部間の間隔よりも短くなるように設定されていて、回転姿勢にすることで対向片部間の間隔から溝部内外に出入り自在に構成される一方、アンカー部材の枠体への取付けは、第一、第二部材を前記一対の緊締部材により相対回転が阻止され、且つ、第一、第二部材間に間隙がある非緊締状態で仮止めする工程と、該仮止めした状態で回転姿勢の第二部材を枠体の溝部内に挿入して溝部内に位置せしめる一方、第一部材は溝部外に位置せしめる工程と、該第二、第一部材を溝部の内外に位置せしめた状態でアンカー部材を回転させて取付け姿勢にした第二部材と第一部材とを緊締部材で緊締する工程とを含むことを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け方法である。
請求項6の発明は、請求項5において、対向片部と第一、第二部材の少なくとも何れか一方との間に、第一、第二部材が緊締部材により緊締されている状態で対向片部に対するアンカー部材の相対回転を規制する規制手段を設けたことを特徴とするアンカー部材の枠体への取付け方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、アンカー部材の枠体への取付け作業が容易になるとともに、アンカー部材を相対回転が規制された強固な状態で枠体に取付けできる。
請求項2の発明とすることにより、取付け姿勢した状態での第一部材と第二部材との位置合わせが不要となって、アンカー部材の枠体への取付作業の作業性がさらに向上する。
請求項3の発明とすることにより、アンカー部材の相対回転の規制を確実に行うことができる。
請求項4の発明とすることにより、第一部材または第二部材に設けられる凹部を簡単な加工で形成することができる。
請求項5の発明とすることにより、アンカー部材の枠体への取付け作業の作業性を向上させることができる。
請求項6の発明とすることにより、アンカー部材を相対回転が規制された強固な状態で枠体に取付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第一の実施の形態の
図1のX-X断面図である。
【
図3】第一の実施の形態のアンカー部材を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は底面図、(E)は分解斜視図である。
【
図4】(A)、(B)、(C)はアンカー部材の枠体への取付け手順を示す図である。
【
図5】第二の実施の形態の
図1のX-X断面図である。
【
図6】第二の実施の形態のアンカー部材を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は底面図、(E)は分解斜視図である。
【
図7】第三の実施の形態の
図1のX-X断面図である。
【
図8】第三の実施の形態のアンカー部材を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は底面図、(E)は分解斜視図である。
【
図9】第四の実施の形態の
図1のA-A断面図である。
【
図10】第四の実施の形態のアンカー部材を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は底面図、(E)は分解斜視図である。
【
図11】(A)、(B)は第四の実施の形態においてビスの取付け位置が異なる場合のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図である。
【
図12】(A)は参考例1のアンカー部材の斜視図、(B)は参考例1のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図、(C)は参考例2のアンカー部材の斜視図、(D)は参考例2のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図である。
【
図13】(A)は参考例3のアンカー部材の斜視図、(B)は参考例3のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図、(C)は参考例4のアンカー部材の平面図、(D)は参考例4のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図である。
【
図14】(A)は参考例5のアンカー部材の平面図、(B)は参考例5のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図、(C)は参考例6のアンカー部材の平面図、(D)は参考例6のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図である。
【
図15】(A)は参考例7のアンカー部材の平面図、(B)は参考例7のアンカー部材の枠体への取付け状態を示す図、(C)は参考例8のアンカー部材の平面図、(D)は参考例8のアンカー部材の正面図である。
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第一の実施の形態を
図1~
図4に基づいて説明すると、これらの図面において、1は建物に開設された開口部に設置される窓であって、該窓1は、四周の枠体2(上枠2a、下枠2b、左右の縦枠2c、2d)を備えて形成される矩形状の窓枠(サッシ枠)3と、該窓枠3の内側に固定あるいは移動自在に装着される障子4とを備えて構成されている。尚、本実施の形態では、モルタル等の充填材で窓枠3周りを充填しない乾式工法が採用されている。また、
図1は、後述する他の実施の形態や参考例にも共用する。
【0009】
前記各枠体2には、躯体側が開口し、枠体2の長手方向(上枠2a、下枠2bでは躯体開口部の開口幅方向、左右の縦枠2c、2dでは躯体開口部の上下方向)に沿って延びる溝部2Aが形成されている。該溝部2Aは、躯体側に突出する一対の溝側面部2Aaを備えるとともに、該一対の溝側面部2Aaの躯体側先端部からは、互いに対向する側に向けて延びる一対の対向片部2Abが折曲形成されている。これら一対の対向片部2Abの先端部同士は間隔Sを存して離間しており、これにより、溝部2Aの開口側に、間隔Sを存して互いに対向する一対の対向片部2Abが設けられているとともに、該一対の対向片部2Abの先端部には、枠体2の長手方向に沿って延び、溝部2Aの内方側に向けて膨出状に突出する係止凸部(本発明の凸部に相当する)2Acが形成されている。尚、図中、2Bは障子4の端縁部を内嵌支持するべく枠体2に形成される障子用溝であって、該障子用溝2Bは、本実施の形態では、前記アンカー部材5が取付けられる溝部2Aの見込み方向中間部に位置する状態で設けられている。
【0010】
一方、5は枠体2を躯体側に固定するために用いられるアンカー部材であって、鋼材等を用いて形成されていて、枠体2の長手方向に間隔を存して複数取付けられるが、該アンカー部材5は、後述する第一部材6および第二部材7と、これら第一、第二部材6、7同士を緊締する一対のビス8(本発明の緊締部材に相当する)とを用いて構成されている。
【0011】
前記第一部材6は、長手方向の長さが前記枠体2の一対の対向片部2Ab間の間隔Sよりも長く設定された長方形平板状の本体部6aと、該本体部6aに立設される固定部6bとを備えて形成されているとともに、本体部6aには、長手方向に間隔を存する状態で、前記一対のビス8がそれぞれ貫通するビス貫通孔6cが穿設されている。そして、後述するように前記ビス8で第一部材6と第二部材7とを緊締することによりアンカー部材5は枠体2に取付けられるが、該アンカー部材5が枠体2に取付けられた状態で、第一部材6は、本体部6aの長手方向が枠体2の溝部2Aの溝幅方向を向く所定の取付け姿勢になっているとともに、前記ビス貫通孔6cよりも長手方向外方側となる本体部6aの長手方向両端部が、枠体2の一対の対向片部2Abに溝部2Aの外方側から当接している。一方、第一部材6の固定部6bは、アンカー部材5が枠体2に取付けられた状態で、本体部6aから躯体側に突出するとともに、該突出先端側が躯体側構造材9に固着された連結鋼材10に溶接等により固定され、これによりアンカー部材5を介して枠体2が躯体側に取付け固定されるようになっている。
【0012】
また、第二部材7は、長方形平板状の本体部7aと、該本体部7aの長手方向両端側に形成されるU字形状の一対の係止凹溝(本発明の凹部に相当する)7bとを備えているとともに、本体部7aには、前記係止凹溝7b形成部位よりも少し長手方向中央部寄りの部位に、前記一対のビス8が螺入される螺子溝7cが形成されている。そして、本体部7aおよび係止凹溝7bを含めた第二部材7全体の長手方向の長さは、前記枠体2の一対の対向片部2Ab間の間隔Sよりも長く且つ溝部2Aの溝幅よりも短く設定される一方、短手方向の長さは対向片部2Ab間の間隔Sよりも短く設定されている。また、係止凹溝7bは、本体部7aの長手方向両端部から連続する状態で直角状に折曲形成される第一溝側面部7dと、該第一溝側面部7dから連続する状態で直角状に折曲形成される溝底面部7eと、該溝底面部7eから連続する状態で直角状に折曲形成され、第二部材7の長手方向最外方側に位置する第二溝側面部7fとにより、溝方向が本体部7aの短手方向を向くように形成されている。そして、アンカー部材5が枠体2に取付けられた状態では、第二部材7は長手方向が枠体2の溝部2Aの溝幅方向を向く所定の取付け姿勢となっているとともに、本体部7aが前記第一部材6の本体部6aに面接触状態で当接し、且つ、第二部材7の長手方向最外方側に位置する第二溝側面部7fの先端部が枠体2の一対の対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接し、さらに、対向片部2Ab先端部の係止凸部2Acが第二部材7の係止凹溝7bに嵌入係止するようになっている。
【0013】
ここで、アンカー部材5が枠体2に取付けられていない状態において、第一部材6の本体部6aと第二部材7の本体部7aとを面接触状に当接させた場合、第二部材7の第二溝側面部7fの先端部は、第一部材6の本体部6aに対して対向片部2Abの板厚Dより僅かに短い距離L(L<D)だけ離間するように設定されている(
図3(B)参照)。これにより、第一部材6の本体部6aの長手方向両端部と第二部材7の第二溝側面部7fの先端部との間に枠体2の対向片部2Abを位置せしめた状態で、第一部材6と第二部材7とを前記ビス8で緊締することで、第一部材6の本体部6aの長手方向両端部と第二部材7の第二溝側面部7fの先端部との間に枠体2の対向片部2Abを強い挟持力で挟持できるようになっている。さらに、該第一部材6と第二部材7とで対向片部2Abを挟持している状態で、対向片部2Ab先端部の係止凸部2Acが第二部材7の係止凹溝7bに嵌入係止しており、これにより、アンカー部材5が、長手方向中心部を軸として対向片部2Abに対して相対回転してしまうことを確実に規制できるようになっている。尚、前記係止凸部(本発明の凸部)2Acと係止凹溝(本発明の凹部)7bとは、本発明の規制手段を構成する。
【0014】
また、第二部材7の短手方向の長さは、前述したように対向片部2Ab間の間隔Sよりも短く設定されており、これにより、第二部材7を、長手方向が枠体2の溝部2Aの溝幅方向を向く所定の取付け姿勢に対して、溝部2Aの溝幅方向中心部を軸として回転させて短手方向が溝部2Aの溝幅方向を向く回転姿勢にすることで、第二部材7を対向片部2Ab間の間隔Sから溝部2A内外に出入りさせることができるように構成されている。
【0015】
次いで、アンカー部材5を枠体2に取付ける手順について説明する。
まず、アンカー部材5を構成する第一部材6と第二部材7とを、前記一対のビス8により第一、第二部材6、7同士の相対回転が阻止され、且つ、本体部6a、7a間に間隙のある非緊締状態で仮止めする。そして、該仮止めした状態で、前記回転姿勢(第二部材7の短手方向が溝部2Aの溝幅方向を向く姿勢)にした第二部材7を枠体2の溝部2A内に挿入する一方、第一部材6は溝部2A外に位置せしめる(
図4(A)参照)。さらに、該第二、第一部材7、6を溝部2Aの内外に位置せしめた状態で仮止め状態のアンカー部材5を回転させて(
図4(B)参照)、第一部材6および第二部材7を取付け姿勢(長手方向が溝部2Aの溝幅方向を向く姿勢)にする(
図4(C)参照)。この場合、第一部材6と第二部材7とは相対回転が阻止された状態で仮止めされているから、溝部2A外に位置していて目視しやすい第一部材6を取付け姿勢にすることで、第二部材7も正確に取付け姿勢にすることができる。そして、第一部材6および第二部材7を取付け姿勢にした状態で前記一対のビス8を緊締することで、第一部材6の本体部6aの長手方向両端部が対向片部2Abに溝部2Aの外方側から当接し、第二部材7の第二溝側面部7fの先端部が対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接する状態で、第一部材6と第二部材7とによって対向片部2Abが挟持されるとともに、該対向片部2Abが挟持された状態で、対向片部2Abの先端部の係止凸部2Acが第二部材7の係止凹部7b内に嵌入係止するようになっている(
図4(C)参照)。
【0016】
叙述の如く構成された第一の実施の形態において、窓枠3を構成する各枠体2(上枠2a、下枠2b、左右の縦枠2c、2d)は、アンカー部材5を介して躯体側に取付けられるが、この場合に、枠体2には、該枠体2の長手方向に沿って延び、躯体側が開口した溝部2Aと、該溝部2Aの開口側に枠体2の長手方向に沿って延びる状態で設けられ、間隔Sを存して互いに対向する一対の対向片部2Abとが設けられている。一方、アンカー部材5は、躯体側に固定される固定部6aを有するとともに前記一対の対向片部2Abに溝部2Aの外方側から当接する第一部材6と、一対の対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接する第二部材7と、これら第一、第二部材6、7で一対の対向片部2Abを挟持するべく第一、第二部材6、7同士を緊締する一対のビス8とを用いて構成されるとともに、第二部材7は、所定の取付け姿勢では溝部2A幅方向の長さが一対の対向片部2Ab間の間隔Sよりも長いが、取付け姿勢を溝部2A幅方向中心部を軸として回転させた回転姿勢では溝部2A幅方向の長さが対向片部2Ab間の間隔Sよりも短くなるように設定されていて、回転姿勢にすることで対向片部2Ab間の間隔Sから溝部2A内外に出入り自在に構成されている。さらに、前記第一、第二部材6、7がビス8により緊締されている状態で、対向片部2Abに形成の係止凸部2Acが第二部材7の形成の係止凹溝7bに嵌入係止しており、これにより対向片部2Abに対するアンカー部材5の相対回転が規制されることになる。
【0017】
このように、アンカー部材5は、第一部材6と第二部材7とで枠体2の対向片部2Abを挟持することで枠体2に取付けられることになるが、この場合に、対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接する第二部材7を、該第二部材7を回転姿勢にすることで簡単に枠体2の溝部2A内に位置せしめることができて、アンカー部材5の取付け作業が容易になる。さらに、枠体2に取付けられたアンカー部材5は、対向片部2Abに形成の係止凸部2Acが第二部材7の形成の係止凹溝7bに嵌入係止することで、対向片部2Abに対するアンカー部材5の相対回転が規制されており、これにより、例えば台風等の強風によって枠体2に強い力が作用しても、該枠体2に対してアンカー部材5が相対回転することで第二部材7が回転姿勢になって枠体2から外れてしまうことを確実に回避でき、よって、アンカー部材11を枠体2に対する相対回転が規制された強固な状態で枠体2に取付けできることになる。
【0018】
さらにこのものにおいて、アンカー部材5を枠体2に取付ける場合に、第一、第二部材6、7を一対のビス8により相対回転が阻止され、且つ、第一、第二部材6、7間に間隙がある非緊締状態で仮止めし、該仮止めした状態で回転姿勢の第二部材7を枠体2の溝部2A内に挿入して溝部2A内に位置せしめる一方、第一部材8は溝部2A外に位置せしめ、これら第二、第一部材7、6を溝部2Aの内外に位置せしめた状態でアンカー部材5を回転させて取付け姿勢にした第二部材7と第一部材6とをビス8で緊締することで、取付け姿勢した状態での第二部材7と第一部材6との位置合わせが不要となり、この結果、アンカー部材5を簡単に枠体2に取付けできることになって、取付け作業の作業性向上に大きく貢献できる。
【0019】
さらに、アンカー部材5の対向片部2Abに対する相対回転の規制は、一対の対向片部2Abの先端部に枠体2の長手方向に沿って延びる状態で形成され、第二部材7側に向けて突出する係止凸部2Acと、第二部材7に形成され、上記係止凸部2Acが嵌入係止するU字形状の係止凹溝7bとを用いて行われることになるが、このような係止凸部2Ac、係止凹溝7bは簡単な加工で形成できてコストの抑制に寄与できるとともに、アンカー部材5の相対回転の規制を確実に行うことができる。
【0020】
また、本実施の形態において、アンカー部材5を枠体2に取付ける場合には、第一、第二部材6、7を一対のビス8により相対回転が阻止され、且つ、第一、第二部材6、7間に間隙がある非緊締状態で仮止めする工程と、該仮止めした状態で回転姿勢の第二部材7を枠体2の溝部2A内に挿入して溝部2A内に位置せしめる一方、第一部材6は溝部2A外に位置せしめる工程と、該第二、第一部材7、6を溝部2Aの内外に位置せしめた状態でアンカー部材5を回転させて取付け姿勢にした第二部材7と第一部材6とをビス8で緊締する工程とを含むことになる。これにより、前述したように、取付け姿勢した状態での第二部材7と第一部材6との位置合わせが不要となって、取付け作業の作業効率の向上に大きく貢献できる。
【0021】
次いで、本発明の第二の実施の形態について、
図5、
図6に基づいて説明する。尚、該第二の実施の形態および後述する第三~第四の実施の形態において、前記第一の実施の形態と同様のものは同一の符号を附すとともに説明を省略する。
図5、
図6において、11は第二の実施の形態のアンカー部材であって、該アンカー部材11は、前述した第一実施の形態と同様に、第一部材6および第二部材12と、これら第一、第二部材6、12同士を緊締する一対のビス8とを用いて構成されているが、第一部材6は第一の実施の形態と同様のものであるため同一の符号を附すとともに説明を省略する。また、第二の実施の形態の枠体2は、第一の実施の形態の枠体2と同様に溝部2Aの開口側に一対の対向片部2Abが設けられており、さらに該対向片部2Abの先端部に係止凸部2Acが設けられているが、対向片部2Abの溝部2A幅方向の長さは、第一の実施の形態の対向片部2Abの溝部2A幅方向の長さよりも短く設定されている。
【0022】
一方、第二の実施の形態のアンカー部材11の第二部材12は、第一の実施の形態の第二部材7と同様に、長方形平板状の本体部12aと、該本体部12aの長手方向両端側に形成される一対の係止凹溝12bと、本体部12aに穿設され、一対のビス8が螺入される螺子孔12cとを備えて構成されている。そして、本体部12aおよび係止凹溝12bを含めた第二部材12全体の長手方向の長さは、前記枠体2の一対の対向片部2Ab間の間隔Sよりも長く且つ溝部2Aの溝幅よりも短く設定される一方、短手方向の長さは対向片部2Ab間の間隔Sよりも短く設定されているが、第二の実施の形態の係止凹溝12bはV字形状をしている。該V字形状の係止凹溝12bは、本体部12aの長手方向両端部から連続する状態で傾斜状に折曲形成される第一溝側面部12dと、該第一溝側面部12dから連続する状態で傾斜状に折曲形成され、第二部材12の長手方向最外方側に位置する第二溝側面部12eとにより、溝方向が本体部12aの短手方向を向く状態で形成されている。そして、アンカー部材11が枠体2に取付けられた状態では、第二部材12は長手方向が枠体2の溝部2Aの溝幅方向を向く所定の取付け姿勢となっているとともに、本体部12aが第一部材6の本体部6aに面接触状態で当接し、且つ、係止凹溝12bに対向片部2Ab先端部の係止凸部2Acが嵌入し、該嵌入した係止凸部2Acに第二溝側面部12eの溝内方側面が溝部2Aの内方側から当接するようになっている。これにより、第一部材6と第二部材12とをビス8で緊締することによって、第一部材6の本体部6aの長手方向両端部と第二部材12の第二溝側面部12eの溝内方側面との間に枠体2の対向片部2Abが挟持されるようになっている。さらに、該第一部材6と第二部材12とで対向片部2Abを挟持している状態で、前述したように対向片部2Ab先端部の係止凸部2Acが第二部材12の係止凹溝12bに嵌入係止しており、これにより、アンカー部材11が、長手方向中心部を軸として対向片部2Abに対して回転してしまうことを確実に規制できるようになっている。
【0023】
ここで、前記第一の実施の形態のアンカー部材5は、第一部材6と第二部材7との長手方向の長さは略同寸法に設定されているが、第二の実施の形態のアンカー部材11は、第二部材12の長手方向の長さが第一部材6の長手方向の長さよりも少し短く設定されていて、第一、第二部材6、12同士をビス8で緊締した状態で、第一部材6の長手方向端よりも第二部材12の長手方向端が少し長手方向中央部寄りとなるように構成されている。そして、前述したように、第一部材6と第二部材12とが緊締されている状態では、第二部材12の長手方向最外方の第二溝側面部12eの溝内方側面が対向片部2Ab先端部の係止凸部2Acに溝部2Aの内方側から当接するようになっており、これにより、対向片部2Abの溝部2A幅方向の長さが短くて対向片部2Abと第二部材12との溝部2A内外方向の重複部分が短いような場合であっても、第一部材6と第二部材7とで対向片部2Abを挟持できるようになっている。
【0024】
そして、このように構成された第二の実施の形態のアンカー部材11も、前述した第一の実施の形態の場合と同様に、第一部材6と第二部材12とを、一対のビス8により相対回転が阻止され、且つ第一、第二部材6、12間に間隙のある状態で仮止めすることで簡単に枠体2に取付けできるとともに、アンカー部材11を対向片部2Abに対する相対回転が阻止された状態で強固に枠体2に取付けできる。
【0025】
次いで、本発明の第三の実施の形態について
図7、
図8に基づいて説明する。尚、第三の実施の形態の枠体2は、前記第一、第二の実施の形態と同様に、溝部2Aの開口側に間隔Sを存して対向する一対の対向片部2Abが設けられているが、該対向片部2Abの先端部には、第一、第二の実施の形態のような係止凸部2Acは設けられていない。
図7、
図8において、19は第三の実施の形態のアンカー部材であって、該アンカー部材19は、前述した第一、第二の実施の形態と同様に、第一部材20および第二部材21と、これら第一、第二部材20、21同士を緊締する一対のビス8とを用いて構成されている。
【0026】
前記第三の実施の形態の第一部材20は、長手方向の長さが枠体2の一対の対向片部2Ab間の間隔Sよりも長く設定された長方形平板状の本体部20aと、該本体部20aに立設され、躯体側に固定される固定部20bとを備えて形成されているとともに、本体部20aには、長手方向に間隔を存する状態で、前記一対のビス8がそれぞれ貫通するビス貫通孔20cが穿設されている。さらに、本体部20aの長手方向両端部には、本体部20aの中心部を中心として点対称位置となる一対の隅部に面取り部20dが形成されており、これによって、前述した第一の実施の形態と同様にして一対のビス8により第一部材20と第二部材21とを仮止めした場合に、第一部材20の面取り部20dから第二部材21の長手方向両端部の隅部が望めるようになっている。そして、第一部材20は、アンカー部材19が枠体2に取付けられた状態で、長手方向が枠体2の溝部2Aの溝幅方向を向く所定の取付け姿勢になっているとともに、前記ビス貫通孔20cよりも長手方向外方側となる長手方向両端部が、枠体2の一対の対向片部2Abに溝部2Aの外方側から当接している。
【0027】
一方、第三の実施の形態の第二部材21は、長方形平板状をしているとともに、前記一対のビス8が螺入する螺子孔21aが形成されている。そして、アンカー部材19が枠体2に取付けられた状態で、第二部材21は、長手方向が枠体2の溝部2Aの溝幅方向を向く所定の取付け姿勢となっているとともに、長手方向両端部が枠体2の一対の対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接している。
【0028】
そして、第三の実施の形態のアンカー部材19は、第一部材20の長手方向両端部と第二部材21の長手方向両端部との間に枠体2の対向片部2Abを位置せしめた状態で、第一部材20と第二部材21とを前記ビス8で緊締することで、第一部材20と第二部材21との間に枠体2の対向片部2Abを確りと挟持できるようになっている。
さらに、第三の実施の形態のアンカー部材19も、前述した第一、第二の実施の形態と同様に、第一部材20と第二部材21とを、一対のビス8により相対回転が阻止され、且つ第一、第二部材20、21間に間隙のある状態で仮止めした状態で、回転姿勢(短手方向が溝部2Aの溝幅方向を向く姿勢)にした第二部材21を枠体2の溝部2A内に挿入する一方、第一部材20は溝部2A外に位置せしめ、この状態でアンカー部材5を回転させて取付け姿勢(長手方向が溝部2Aの溝幅方向を向く姿勢)し、しかる後にビス8で緊締することで簡単に枠体2に取付けできることになるが、この場合に、第一部材20に形成の面取り部20dから第二部材21の長手方向両端部を望むことができるから、アンカー部材19を回転させて第一部材20の長手方向両端部と第二部材21の長手方向両端部との間に枠体2の対向片部2Abを位置せしめる作業をより簡単に行うことができる。
【0029】
次いで、本発明の第四の実施の形態について
図9~
図11に基づいて説明する。尚、第四の実施の形態の枠体2は、前記第三の実施の形態と同様に、対向片部2Abの先端部に係止凸部2Acは設けられていない。
図9~
図11において、16は第四の実施の形態のアンカー部材であって、該アンカー部材16は、前述した第一~第三の実施の形態と同様に、第一部材17および第二部材18と、これら第一、第二部材17、18同士を緊締する一対のビス8とを用いて構成されている。
【0030】
前記第四の実施の形態の第一部材17は、第三の実施の形態の第一部材20と同様に、長手方向の長さが枠体2の一対の対向片部2Ab間の間隔Sよりも長く設定された長方形平板状の本体部17aと、躯体側に固定される固定部17bとを備えているとともに、本体部17aには、前記一対のビス8が貫通するビス貫通孔17cが穿設されているが、第三の実施の形態では、一つのビス8につき2つずつ、計4つのビス貫通孔17cが、長手方向に間隔を存する状態で穿設されている。さらに、第四の実施の形態の第一部材17にも、第三の実施の形態の第一部材20と同様の面取り部17dが形成されている。
【0031】
一方、第四の実施の形態の第二部材18は、第三の実施の形態の第二部材21と同様に、長方形平板状をしているとともに、前記一対のビス8が螺入する螺子孔18aが形成されているが、該螺子孔18aは、前記第一部材17のビス貫通孔17cに対応して、一つのビス8につき2つずつ、計4つの螺子孔18aが形成されている。
【0032】
そして、第四の実施の形態のアンカー部材16は、第三の実施の形態と同様に、第一部材17の長手方向両端部と第二部材18の長手方向両端部との間に枠体2の対向片部2Abを位置せしめた状態で、第一部材17と第二部材18とを前記一対のビス8で緊締することで、第一部材20と第二部材21との間に枠体2の対向片部2Abを確りと挟持できるようになっているが、この場合に、第四の実施の形態のものでは、
図11に示すように、枠体2の溝部2Aの形状や寸法等に応じて、一対のビス8が貫通、螺入する貫通孔17c、螺子孔18aを選択できることになって、多様性に優れたものとなる。
さらに、第四の実施の形態のアンカー部材16も、前述した第一~第三の実施の形態と同様に、第一部材17と第二部材18とを、一対のビス8により相対回転が阻止され、且つ第一、第二部材17、18間に間隙のある状態で仮止めすることで簡単に枠体2に取付けできるとともに、第一部材17に面取り部17dが形成されているため、第三の実施の形態と同様に取付け作業がより容易になる。
【0033】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、例えば、第一、第二の実施の形態では、枠体の対向片部に形成される凸部は、溝内部に位置している第二部材側に向けて突出しているが、溝外部側に位置する第一部材側に向けて突出する構成にすることもでき、この場合には、第一部材に凸部が嵌入係止する凹部が形成される。また、凸部を第一部材または第二部材に形成する一方、枠体の対向片部に凹部を形成する構成にすることもできる。
【0034】
次いで、参考例1~8のアンカー部材について
図12~15に基づいて説明する。尚、以下の説明において、アンカー部材が取付けられる枠体2は、前記第一~第四の実施の形態の枠体2と同様のものであるため同一の符号を付すとともに説明を省略する。
まず、参考例1のアンカー部材25を
図12(A)、(B)に、参考例2のアンカー部材26を
図12(C)、(D)に、参考例3のアンカー部材27を
図13(A)、(B)に、参考例4のアンカー部材28を
図13(C)、(D)に、参考例5のアンカー部材29を
図14(A)、(B)にそれぞれ示すが、これら参考例1~5のアンカー部材25~29は、前記第一~第四の実施の形態のアンカー部材5、11、16、19とは異なり単部材から形成されており、躯体側に固定される固定部25a~29aを有するとともに、アンカー部材25~29の長手方向両端部を枠体2の対向片部2Abあるいは溝側面部2Aaにビス30で螺子止めするように構成されている。このようにアンカー部材を枠体に螺子止めする構成にした場合には、枠体がアンカー部材から外れてしまうことは回避できるが、サッシ枠等の枠体に螺子孔を加工する必要が生じる。
また、参考例6のアンカー部材31を
図14(C)、(D)に示すが、該参考例6のアンカー部材31は、躯体側に固定される固定部32aを有し、枠体2の対向片部2Abに溝部2Aの外方側から当接する第一部材32と、対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接する第二部材33と、これら第一、第二部材32、33同士を緊締するビス34とを用いて構成されており、第一部材32の長手方向両端部と第二部材33の長手方向両端部とで対向片部2Abを挟持するように構成されている。
また、参考例7のアンカー部材35を
図15(A)、(B)に示すが、該参考例7のアンカー部材35は、躯体側に固定される固定部36aを有し、枠体2の対向片部2Abに溝部2Aの外方側から当接する第一部材36と、対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接する第二部材37と、これら第一、第二部材36、37同士を緊締するビス38(
図15(B)のみ図示)とを用いて構成されているとともに、第二部材37はビス39によって枠体2の溝側面部2Aaに螺子止めされるようになっている。また、第一、第二部材36、37同士を緊締するビス38は、第一部材36に形成のビス貫通孔36bを貫通して第二部材37に形成の螺子孔37aに螺入されるが、この場合、ビス貫通孔36bは枠体2の溝部2Aの溝幅方向が長い長孔に形成されており、これにより、枠体2の対向片部2Ab間の間隔に対応させてアンカー部材35全体の溝部2A幅方向の長さを調整できるようになっている。
また、参考例8のアンカー部材40を
図15(C)、(D)に示すが、該参考例8のアンカー部材40は、躯体側に固定される固定部41aを有し、枠体2の対向片部2Abに溝部2Aの外方側から当接する第一部材41と、対向片部2Abに溝部2Aの内方側から当接する第二部材42と、これら第一、第二部材41、42同士を緊締するビス(図示せず)とを用いて構成されている。該第一、第二部材41、42同士を緊締するビスは、第一部材41に形成のビス貫通孔41bを貫通して第二部材42に形成の螺子孔42aに螺入されるが、この場合、前記参考例7のものと同様に、ビス貫通孔41bは枠体2の溝部2Aの溝幅方向が長い長孔に形成されており、これにより、枠体2の対向片部2Ab間の間隔に対応させてアンカー部材40全体の溝部2A幅方向の長さを調整できるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、引戸装置の防火構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
2 枠体
2A 溝部
2Ab 対向片部
2Ac 係止凸部
5 アンカー部材
6 第一部材
6b 固定部
7 第二部材
7b 係止凹溝
8 ビス
11 アンカー部材
12 第二部材
12b 係止凹溝
16 アンカー部材
17 第一部材
17b 固定部
18 第二部材
19 アンカー部材
20 第一部材
20b 固定部
21 第二部材