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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148381
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】粉体回収容器および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/10 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G03G21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056366
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】成松 正恭
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA04
2H134GA20
2H134GB02
2H134HA01
2H134HA02
2H134HB01
2H134HC01
2H134HC03
2H134JA02
2H134JA07
2H134JA08
2H134KD02
2H134KD03
2H134KF02
2H134KF06
2H134KF09
2H134KG03
2H134KH07
2H134KH13
(57)【要約】
【課題】シャッターの周囲に粉体が付着して装置本体内に飛散したり周囲を汚染したりするのを抑制する。
【解決手段】粉体回収容器10は、受入口511を備えて粉体を収容する粉体収容室51と、受入口511に対応する開口部521を備えるカバー部52と、粉体収容室51とカバー部52との間に配設されて、受入口511を開放する位置と閉塞する位置とに移動可能なシャッター53とを有する。カバー部52は、粉体収容室51側に突出する突出壁部522を開口部521の縁部に備える。シャッター53は、突出壁部522の突出側の先端部に対向するように配置されている。さらに、カバー部52の突出壁部522側には、突出壁部522の外周部を取り囲むように磁性部材55が配設されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を受け入れる受入口を備えて粉体を収容する粉体収容室と、
前記受入口に対応する開口部を備えて前記粉体収容室の外側に備えられるカバー部と、
前記粉体収容室と前記カバー部との間に配設されて、前記受入口を開放する位置と閉塞する位置とに移動可能なシャッターと、を有する粉体回収容器であって、
前記カバー部は、前記粉体収容室側に突出する突出壁部を、前記開口部の縁部に備え、
前記シャッターは、前記突出壁部の突出側の先端部に対向するように配置され、
前記カバー部の前記突出壁部側に、前記突出壁部の外周部を取り囲むように磁性部材が配置されていることを特徴とする粉体回収容器。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体回収容器において、
前記シャッターは、前記突出壁部の先端部との間に隙間S1を有し、前記隙間S1は、前記シャッターと前記磁性部材との間の隙間S2よりも小さいことを特徴とする粉体回収容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粉体回収容器において、
前記磁性部材は、シート状で前記突出壁部が内嵌めされる貫通穴が設けられていることを特徴とする粉体回収容器。
【請求項4】
請求項3に記載の粉体回収容器において、
前記磁性部材は、前記シャッターの移動方向に長いシート状部材であり、前記移動方向における前記貫通穴から該磁性部材の外縁部までの長さL1は、前記移動方向に直交する方向における前記貫通穴から該磁性部材の外縁部までの長さL2よりも長いことを特徴とする粉体回収容器。
【請求項5】
請求項3に記載の粉体回収容器において、
前記磁性部材は、前記シャッターの移動方向に長いシート状部材であり、前記貫通穴と前記貫通穴の一方の側部の平板部とが前記移動方向に並設されており、
前記移動方向における前記貫通穴から前記平板部側の外縁部までの長さL3は、前記移動方向における前記貫通穴から前記平板部と反対側の外縁部までの長さL4よりも長いことを特徴とする粉体回収容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つの請求項に記載の粉体回収容器において、
前記磁性部材における前記シャッターとの対向面には、磁気ブラシを形成する磁性体粒子が具備されていることを特徴とする粉体回収容器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの請求項に記載の粉体回収容器を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体回収容器およびその粉体回収容器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置から供給されるトナーによって現像している。二成分現像剤を用いる現像装置では、トナーは現像動作によって消費される一方、磁性を有するキャリアは消費されずに現像装置内に残る。そのため、現像装置内でのキャリアの撹拌頻度が増し、現像剤の帯電性能が徐々に低下することがある。そのため、この種の画像形成装置では、現像剤(トナーとキャリアを含む)を少量ずつ補給しながら、過剰となった現像剤を、劣化デベロッパとして粉体回収容器に排出する所謂トリクル現像方式の現像装置を採用することがある。現像剤の補給と排出の繰り返しにより、現像装置内では新たに供給されるトナーおよびキャリアに劣化デベロッパが置き換えられ、その帯電性能が維持されるように構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されるように、粉体回収容器には装置本体側の廃トナー排出部に対応して廃トナー受入口が設けられ、劣化デベロッパ排出部に対応して劣化デベロッパ受入穴が設けられている。劣化デベロッパ受入穴は劣化デベロッパ受入室に設けられており、劣化デベロッパ受入室を備える粉体回収容器を装置本体から取り外し、貯留した劣化デベロッパを廃棄できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-72310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示される従来の粉体回収容器では、粉体回収容器を装置本体から取り外して回収する作業時に、受入口の周囲に粉体が落下して付着したり、装置本体内に飛散したりするおそれがある。そのため、受入口との連結部において、粉体回収容器の取り外し動作と連動して受入口を覆う位置と開放する位置に移動するシャッターを設けることが考えられる。
【0006】
しかしながら、シャッターの周囲に落下した粉体によって受入口やシャッターそのものが汚染され、装置本体内に粉体を飛散させてしまう要因となったり、シャッターの開閉不良を招いたりするといった問題点があった。
【0007】
本発明は、前記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、粉体を受け入れる受入口を閉塞するシャッターの周囲に粉体が付着して装置本体内に飛散したり汚染したりするのを抑制し得る粉体回収容器および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、粉体を受け入れる受入口を備えて粉体を収容する粉体収容室と、前記受入口に対応する開口部を備えて前記粉体収容室の外側に備えられるカバー部と、前記粉体収容室と前記カバー部との間に配設されて、前記受入口を開放する位置と閉塞する位置とに移動可能なシャッターと、を有する粉体回収容器であって、前記カバー部は、前記粉体収容室側に突出する突出壁部を、前記開口部の縁部に備え、前記シャッターは、前記突出壁部の突出側の先端部に対向するように配置され、前記カバー部の前記突出壁部側に、前記突出壁部の外周部を取り囲むように磁性部材が配置されていることを特徴としている。
【0009】
より具体的には、前記構成を有する粉体回収容器において、前記シャッターは、前記突出壁部の先端部との間に隙間S1を有し、前記隙間S1は、前記シャッターと前記磁性部材との間の隙間S2よりも小さいことが好ましい。
【0010】
また、前記構成を有する粉体回収容器において、前記磁性部材は、シート状で、前記突出壁部が内嵌めされる貫通穴が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、前記構成を有する粉体回収容器において、前記磁性部材は、前記シャッターの移動方向に長いシート状部材であり、前記移動方向における前記貫通穴から該磁性部材の外縁部までの長さL1は、前記移動方向に直交する方向における前記貫通穴から該磁性部材の外縁部までの長さL2よりも長いことが好ましい。
【0012】
また、前記構成を有する粉体回収容器において、前記磁性部材は、前記シャッターの移動方向に長いシート状部材であり、前記貫通穴と前記貫通穴の一方の側部に配置される平板部とが前記移動方向に並設されており、前記移動方向における前記貫通穴から前記平板部側の外縁部までの長さL3は、前記移動方向における前記貫通穴から前記平板部と反対側の外縁部までの長さL4よりも長いことが好ましい。
【0013】
また、前記構成を有する粉体回収容器において、前記磁性部材における前記シャッターとの対向面には、磁気ブラシを形成する磁性体粒子が具備されることが好ましい。
【0014】
また、上述した各解決手段に係る粉体回収容器を備える画像形成装置も本発明の技術的思想の範疇である。これにより、粉体回収容器におけるシャッターに対向して磁性部材が設けられ、磁性部材に穂立ちによる磁気ブラシが形成されることで受入口の周囲に粉体が飛散するのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粉体回収容器に粉体を受け入れる受入口を閉塞するシャッターの周囲に穂立ちによる磁気ブラシを形成し得て、粉体の飛散を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係る画像形成装置を示す斜視図である。
図2】前記画像形成装置を側面から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る粉体回収容器を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態1に係る粉体回収容器(カバー部なし状態)を示す斜視図である。
図5】前記粉体回収容器(カバー部なし状態)のシャッターが開放位置にある状態を示す斜視図である。
図6】前記粉体回収容器を示す図4におけるI-I断面図である。
図7】前記粉体回収容器に設けられるカバー部を下方から見て示す斜視図である。
図8A】前記カバー部に備えられる磁性部材を示す平面図である。
図8B】前記磁性部材を示す図8AにおけるA-A断面図である。
図9】前記粉体回収容器の上方部分を拡大して示す断面図である。
図10A】前記粉体回収容器の廃デベロッパの回収の様子を模式的に示す説明図である。
図10B図10Aの次過程を示す説明図である。
図10C図10Bの次過程を示す説明図である。
図10D図10Cの次過程を示す説明図である。
図11A】本発明の実施形態2に係る粉体回収容器に設けられる磁性部材を示す平面図である。
図11B】前記磁性部材を示す図11AにおけるB-B断面図である。
図12A】前記粉体回収容器の廃デベロッパの回収の様子を模式的に示す説明図である。
図12B図12Aの次過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る粉体回収容器および画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る画像形成装置1の開閉カバーを取り外した状態を示す斜視図であり、図2は画像形成装置1を左側面から見た斜視図である。
【0019】
なお、以下の説明では、画像形成装置1を使用するユーザに対向する面を装置本体20における前面(正面)とし、図1等に示すように、画像形成装置1およびその構成部材の前後方向(奥行方向)Yを規定している。また、画像形成装置1の左右方向(幅方向)Xおよび高さ方向Zは、ユーザから画像形成装置1を見た状態を基準として規定し、説明している。
【0020】
例示の形態に係る画像形成装置1は、装置本体20に、画像形成部21および画像読取部22等を備え、画像形成部21と画像読取部22との間に胴内排紙空間23を有する胴内排紙型の画像形成装置とされている。この画像形成装置1は、画像読取部22で読み取った画像データ等に基づいて、所定の用紙(記録媒体)に対して多色または単色の画像を形成し、画像形成された用紙を胴内排紙空間23に排出する。実施形態1に係る画像形成装置1では、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを備えた複合機(MFP:Multifunction Peripheral)とされている。
【0021】
画像読取部22は、透明材によって形成される原稿載置台を有し、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等が設けられている。画像読取部22は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導き、ラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCDやCIS等が用いられる。
【0022】
画像読取部22の上方Z1には、原稿押さえ装置24が開閉可能に設けられている。原稿押さえ装置24は、装置本体20に対して背面側(奥側)Y2の端部で開閉軸に支持されている。原稿押さえ装置24は、開閉軸を中心に回動可能であり、前方(手前側)Y1が開閉可能とされている。
【0023】
原稿押さえ装置24は、原稿を画像読取部22の画像読取位置に対して1枚ずつ自動的に搬送する原稿送り部(ADF)25を備えている。原稿送り部25は、その内部に備えられている図示しない原稿搬送機構の動作により、原稿載置トレイ26に載置された原稿を画像読取位置へ送るとともに、読み取り後の原稿を原稿排紙トレイ27に排出する。原稿載置トレイ26の下方Z2には原稿排紙トレイ27が設けられている。
【0024】
図1に示すように、装置本体20の正面側には操作パネル28が設けられている。例示の形態では、操作パネル28は胴内排紙空間23の側方(右側X2)に備えられ、ディスプレイやスタートキー等の複数の操作キーが設けられている。胴内排紙空間23の下方Z2には、画像形成部21が設けられている。
【0025】
画像形成部21は、内部に露光ユニット、現像ユニット(現像装置)、感光体ドラム、帯電器、中間転写ベルト、転写ローラおよび定着ユニット等を備える。画像形成部21は、その下方Z2に設けられた給紙部30等から搬送される用紙に対して電子写真方式によって画像を形成する。画像形成部21に備えられた前記の各構成部材は、前面側に設けられた開閉カバーにより被覆されている。
【0026】
また、画像形成部21では、入力されたカラー原稿に対応するR、G、B色の各画素の画像データをブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の濃度データに変換し、変換後の各濃度データに対応したデューティ比で変調されたレーザ光で各感光体ドラムの表面を露光走査して、それぞれの静電潜像を形成する。画像データは、画像読取部22で読み取った画像データや外部コンピュータから送信された画像データ等である。感光体ドラム上に形成されたトナー像は、中間転写ベルトおよび転写ローラ等によって用紙に転写され、用紙に転写されたトナー像が定着ユニットによって熱定着される。画像形成済みの用紙は、胴内排紙空間23の排紙トレイ231に排出される。
【0027】
現像ユニットは、トリクル現像方式を採用しており、トナーカートリッジにトナーおよびキャリアからなる現像剤を収容し、そのキャリアはトナーと同時に現像ユニットへ補給される。現像ユニットは、現像ユニット内の現像剤の嵩が一定量になるように、超過した分を劣化デベロッパ(以下、廃デベロッパという。)として、現像ユニット内から廃デベロッパ排出部42K、42C、42M、42Yへ排出するようにしている。同様にトナーも廃トナーとして廃トナー排出部41K、41C、41M、41Yから排出される。廃デベロッパ排出部42K、42C、42M、42Yは、前後方向Yに延設された略筒状の排出経路および廃デベロッパを下流側に搬送する内部スクリュー等を有する。画像形成装置1には、廃デベロッパを回収する粉体回収容器10(図2等参照、詳細は後述する。)が着脱可能に設けられている。図1に示すように、粉体回収容器10を装置本体20から取り外すことができ、粉体回収容器10から廃デベロッパ等の廃棄作業が可能とされている。
【0028】
なお、画像形成装置1には、装置本体20内に、前記各部の動作を制御する制御部が設けられている。制御部は、CPUおよびメモリ等を備え、ユーザによる操作等に応じて、前記各部に制御信号を送信し、種々の動作を実行させる。
【0029】
(粉体回収容器)
図3図6は、本発明の実施形態に係る粉体回収容器10を示しており、図3は粉体回収容器10を本体側の斜め右上から見た斜視図である。図4は粉体回収容器10のシャッター53が閉塞位置にある状態を示す斜視図(シャッター53の位置をわかりやすくするためにカバー部52を表示していない)、図5は粉体回収容器10のシャッター53が開放位置にある状態を示す斜視図(図4と同様の理由でカバー部52を表示していない)である。また、図6は、画像形成装置1に取り付けられた粉体回収容器10を、上下方向Zに縦断した図4におけるI-I断面図である。なお、図3ないし図5では、粉体回収容器10において装置本体20の画像形成部21に対向して設けられる側から見て(図6におけるY1方向に見て)示している。
【0030】
例示の形態に係る粉体回収容器10は、粉体である廃デベロッパを収容する粉体収容室51と、粉体収容室51に設けられて廃デベロッパを受け入れる受入口511と、粉体収容室51の外側に備えられるカバー部52と、受入口511を閉塞するシャッター53とを備えている。カバー部52は、粉体収容室51の受入口511に対応する開口部521を備えて設けられている(図3参照)。
【0031】
粉体回収容器10の容器本体50は、内部に粉体収容室51等の空間が確保されており、図3における左右方向Xの長さは、図1に示す画像形成部21の左右方向Xに並ぶ廃デベロッパ排出部42K、42C、42M、42Yを含む長さを少なくとも有している。また、図6に示すように、容器本体50は、有底状の容器であって、前後側に背板501および前板502を有するとともに、これらの背板501および前板502と左右側板503とで囲繞されて粉体収容室51が形成されている。
【0032】
この粉体収容室51は仕切板504によって前後方向Yに仕切られ、廃トナーと廃デベロッパとをそれぞれ回収できるようになっている。粉体回収容器10は、背板501を背面側Y2方向に向けて装置本体20に取り付けられる。上面側には、粉体収容室51と連通する廃デベロッパの受入口511が設けられている。
【0033】
廃デベロッパの受入口511は、粉体収容室51の上面に4つ設けられ、各色の廃デベロッパの受入口とされている。図4に示すように、図中左側から順に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の廃デベロッパに対応して受入口511が設けられている。また、各受入口511は、図1に示す各色の廃デベロッパ排出部42K、42C、42M、42Yに対応する位置に設けられており、粉体回収容器10が装置本体20に装着されたとき、それぞれに連通されるようになっている。
【0034】
なお、粉体回収容器10は、図2に示すように装置本体20に対して、(正面側の)斜め上方から差し入れ、下端部(図3に示す回動軸部58)を回動中心として背面側(奥側)Y2方向へ押すことで容易に装着することができる。図4に示されるように、容器本体50の左右側板503の下端部には、装着の際の回動中心とされる回動軸部58がそれぞれ設けられている。粉体回収容器10が装置本体20に装着されると、シャッターレバー54が押圧されることとなる。
【0035】
図6に示すように、装置本体20に装着された粉体収容容器10の廃デベロッパの受入口511の上方には、装置本体20に装着された廃デベロッパを排出する現像ユニット211が接続される。現像ユニット211内には搬送スクリュー212が備えられており、廃デベロッパを粉体回収容器10側へと搬送するように構成されている。現像ユニット211と粉体回収容器10との間にはスポンジ等の柔軟な材質からなる封止用部材56が介装されている。
【0036】
また、図4および図5に示すように、廃デベロッパの受入口511の上方には、受入口511を閉塞可能なシャッター53が備えられている。シャッター53は、容器本体50の上面に立設されたホルダ部505上にそれぞれ配設されている。
【0037】
各シャッター53は、シャッターレバー54に接続されたスライドフレーム59に連結されている。シャッターレバー54が押圧され、または押圧が解除されることでスライドフレーム59が移動方向Dにスライドする。各シャッター53はスライドフレーム59に連動してホルダ部505上を移動方向Dに沿って移動可能とされている。
【0038】
受入口511を閉塞する閉塞位置にあるシャッター53(図4参照)は、粉体回収容器10が装置本体20に装着されることで、図4に示す状態から図5に示す状態へと移動して、受入口511を開放する開放位置に配置されることとなる。したがって、粉体回収容器10が装置本体20に装着されているときは受入口511が開放され、粉体回収容器10が装置本体20から取り外されると、受入口511がシャッター53により閉塞される。
【0039】
廃デベロッパのシャッター53の上方には、廃トナーシャッター61が各色の廃トナーに対応して設けられている。廃トナーシャッター61は、図1に示される廃トナー排出部41K、41C、41M、41Yに対応する位置に設けられ、有底の半円筒状に設けられている。廃トナーシャッター61もそれぞれスライドフレーム59に連結されており、スライドフレーム59の移動に伴って、閉塞位置と開放位置とを回動可能に備えられている。
【0040】
粉体回収容器10の容器本体50には上方にカバー部52が備えられている。図7は、粉体回収容器10に設けられるカバー部52を下方から見て示す斜視図であり、図8Aは、カバー部52に備えられる磁性部材55を示す平面図、図8Bは、図8Aの磁性部材55のA-A断面図、図9は粉体回収容器10の上方部分を拡大して示す断面図である。
【0041】
カバー部52は、各色の廃デベロッパ排出部42K、42C、42M、42Yに対応する開口部521を有する。開口部521は上下方向Zに貫通して設けられている。廃デベロッパのシャッター53は、カバー部52に設けられたこれらの開口部521と容器本体50に設けられた各受入口511との間にそれぞれ備えられる。
【0042】
シャッター53は、受入口511を閉塞する平板状の閉塞部532と、表裏両面に貫通する開口の貫通部531とを備えている。貫通部531は、粉体収容室51の受入口511およびカバー部52の開口部521に対応する略矩形状に設けられている。また、貫通部531と閉塞部532とは移動方向Dに並んで設けられている。シャッター53は、前記のように開放位置と閉塞位置との間で移動方向Dに沿って移動可能とされている。
【0043】
図7に示すように、カバー部52の開口部521には、容器本体50(粉体収容室51)側である下方Z2に突出する突出壁部522が備えられている。換言すると、カバー部32は、粉体収容室51側に突出する突出壁部522を、開口部521の縁部に沿って備える。さらに、カバー部52の下面には、つまりカバー部32の突出壁部522側には、突出壁部522の外周部を取り囲むようにシート状の磁性部材55が備えられている。
【0044】
図9に示すように、カバー部52の開口部521は、上下方向Zに貫通して設けられており、開口部521の外周縁部に、容器本体50の方向へ突出する突出壁部522が設けられている。図8Aに示すように、磁性部材55には、受入口511および開口部521に対応する貫通穴551が設けられている。磁性部材55の貫通穴551には、カバー部52の突出壁部522が内嵌めされる。この磁性部材55は、突出壁部522の突出量に納まる厚みのシート状部材とされている。そして、磁性部材55は、突出壁部522よりも下方Z2には突出しないように設けられている(図9参照)。
【0045】
以上のように、突出壁部522の外側には磁性部材55が設けられ、シャッター53が磁性部材55および突出壁部522の突出側の先端部に対向するように配置されている。シャッター53は、容器本体50の粉体収容室51とカバー部52との間に配設されるものとなる。
【0046】
また、突出壁部522の先端部は、シャッター53の上面との間に隙間S1を有するように設けられている。この隙間S1は、シャッター53の上面と磁性部材55の下面との間の隙間S2よりも小さいものとされている。このため、シャッター53が移動方向Dに沿って移動するとき、シャッター53が上下動したとしてもシャッター53が当接するのは突出壁部522であって、磁性部材55には接触しないように設けられている。
【0047】
図8Aに示すように、磁性部材55は、磁性を有するシート状部材であって、シャッター53の移動方向Dに長い形状を有している。図8Bに示すように、磁性部材55の中央部には略矩形状の貫通穴551が設けられている。この貫通穴551には、前記のとおりカバー部52の突出壁部522が嵌め込まれる。
【0048】
図8Aに戻って、磁性部材55は、移動方向Dにおける貫通穴551から外縁部までの長さL1は、移動方向Dに直交する方向における貫通穴551から外縁部までの長さL2よりも長くなるように設けられている。磁性部材55は、貫通穴551周囲の長さL1が、長さL2よりも長い形状を有していることで、磁性を発揮する面積が移動方向Dに大きく確保されることになる。磁性部材55の長さL1となる部分は、シャッター53が開放される際の引き込み側に配置される。
【0049】
前記のとおり、カバー部52の開口部521は廃デベロッパが落下する経路となる。磁性部材55は、開口部521に沿って設けられた突出壁部522を取り囲むように設けられている。開口部521を落下する廃デベロッパには、磁性粉体(磁性体粒子)である磁性キャリアが含まれている。そのため、シャッター53に対向して設けられた磁性部材55には、その磁力によって磁性粉体を付着(保持)させることができる。
【0050】
図10A図10Dは、粉体回収容器10に廃デベロッパが落下して回収される様子を順に模式的に示す説明図である。図10Aでは、シャッター53が受入口511を閉塞する閉塞位置に配置されている。粉体回収容器10の装置本体20への着脱時において、磁性粉体72が閉塞位置のシャッター53の上に、現像ユニットの廃デベロッパ排出部42K、42C、42M、42Yから落下することがある。粉体回収容器10の装着動作に伴って、シャッター53が移動方向Dに沿ってD1方向に移動し始める。このとき、仮に、カバー部52に突出壁部522がない場合には、そのまま磁性粉体72がカバー部52内にシャッター53とともに引き込まれてしまう可能性がある。
【0051】
これに対して、本実施形態に係る粉体回収容器10の場合には、図10Bに示すように、シャッター53の上に落下した磁性粉体72が、シャッター53の移動に伴って、カバー部52の突出壁部522に接触し、シャッター53上でかき集められる。そして、図10Cに示すように、さらにシャッター53がD1方向に移動することで、突出壁部522によってかき集められた磁性粉体72は、シャッター53の貫通部531から粉体収容室51に落下する。シャッター53の上の磁性粉体72は、その大部分が粉体収容室51へと掻き落とされる。
【0052】
シャッター53に一部の磁性粉体72が残ったとしても、その磁性粉体72はシャッター53に対向して設けられている磁性部材55に付着するので、飛散したり周囲を汚染したりすることが防がれる。また、図10Dに示すように、シャッター53の移動が複数回行われる過程で、磁性部材55におけるシャッター53との対向面には、磁性粉体72の穂立ちにより磁気ブラシ71が形成される。磁気ブラシ71は、突出壁部522とシャッター53との隙間から磁性粉体72が入り込むのを防ぐ封止作用をなす。そのため、磁気ブラシ71によって、シャッター53の上に落下した磁性粉体72が押し返され、突出壁部522を超えて進入してくることを抑制するものとなる。
【0053】
図9に示したように、突出壁部522の先端部は、シャッター53の上面との間に隙間S1を有するように設けられ、隙間S1は、シャッター53の上面と磁性部材55の下面との間の隙間S2よりも小さいものとされている。そのため、シャッター53の閉塞位置と開放位置との移動時に、シャッター53が浮き上がっても磁性部材55とシャッター53とが当接せず、突出壁部522が隙間S2を保持するものとなる。したがって、磁性部材55に形成された磁気ブラシ71がシャッター53との接触で脱落したり飛散したりすることも防がれる。
【0054】
加えて、図8Aに示したように、磁性部材55は、貫通穴551周囲の長さL1が、長さL2よりも長い形状を有していることで、磁性を発揮する面積が移動方向D(D1方向)に大きく確保されている。そのため、磁性部材55におけるシャッター53との対向面において、特に移動方向Dに沿って磁気ブラシ71を大きく形成することができ、封止作用を高めることができる。
【0055】
以上のように構成されることで、粉体回収容器10においてシャッター53の周囲に、封止作用を有する磁気ブラシ71を形成することができ、カバー部52の内部や装置本体20内へ粉体が飛散したり漏れ出たりすることを抑制できる。また、シャッター53の開閉トルクを増大させることを防ぎ、シャッター53を円滑に開閉させるようにすることが可能となる。
【0056】
なお、粉体回収容器10において、前記構成を有する突出壁部522および磁性部材55は廃デベロッパの落下経路に設けられるだけでなく、廃トナーの落下経路となる廃トナー排出部41K、41C、41M、41Yと廃トナーシャッター61との間に設けられてもよく、廃トナーの飛散を防止することが可能となる。
【0057】
(実施形態2)
本発明に係る粉体回収容器10は実施形態1に示す構成であるに限られず、他の様々な形態により構成することも可能である。例えば、磁性部材55は図8Aおよび図8Bに示す形態を有するに限られない。
【0058】
図11Aおよび図11Bは、本発明の実施形態2に係る粉体回収容器10に設けられる磁性部材55を示し、図11Aは、カバー部52に備えられる磁性部材55を示す平面図、図11Bは、図11Aの磁性部材55のA-A断面図である。
【0059】
図示するように、磁性部材55は、シャッター53の移動方向Dに長いシート状部材であって、略矩形状の貫通穴551と、この貫通穴551の一方の側部の平板部552とが移動方向Dに並ぶように配設されている。そして、シャッター53の移動方向Dにおける貫通穴551から平板部552側の外縁部までの長さL3は、移動方向Dにおける貫通穴551から平板部552と反対側の外縁部までの長さL4よりも長くなるように形成されている。この磁性部材55の長さL3となる部分は、シャッター53が開放される際の引き込み側に配置される。
【0060】
図12Aおよび図12Bは、実施形態2に係る粉体回収容器10に廃デベロッパが落下して回収される様子を模式的に示す説明図である。図12Aに示すように、突出壁部522の外側には磁性部材55が設けられ、磁性部材55および突出壁部522の突出側の先端部に対向するように、シャッター53が配置されている。磁性部材55の平板部552は、閉塞位置にあるシャッター53の引き込み側に配置されている。
【0061】
この状態で、シャッター53の上に落下した磁性粉体72があるとすると、シャッター53の移動に伴って、磁性粉体72はカバー部52の突出壁部522に接触してシャッター53上でかき集められ、その後、粉体収容室51へと落下する。シャッター53上の大部分の磁性粉体を粉体収容室51へと掻き落とすことができる。
【0062】
また、図12Bに示すように、磁性部材55におけるシャッター53との対向面には磁気ブラシ71が形成されて、粉体の封止作用をもたらす、磁性部材55の平板部552はシャッター53のD1方向の引き込み側に配設されているので、カバー部52の内部や装置本体20内へ粉体が飛散したり漏れ出たりすることを効果的に抑制できる。
【0063】
以上より、本発明に係る粉体回収容器10および画像形成装置1によれば、開口部521の縁部に沿って突出壁部522が設けられ、シャッター53に対向して磁性部材55が設けられるので、穂立ちによる磁気ブラシ71の作用と相まって、受入口511の周囲に粉体が飛散するのを防止することが可能となる。
【0064】
なお、本発明の技術的範囲は、前記実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲に基づくものとされる。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
10 粉体回収容器
21 画像形成部
211 現像ユニット
42K、42C、42M、42Y 廃デベロッパ排出部
50 容器本体
51 粉体収容室
511 受入口
52 カバー部
521 開口部
522 突出壁部
53 シャッター
531 貫通部
532 閉塞部
54 シャッターレバー
55 磁性部材
551 貫通穴
552 平板部
56 封止用部材
57 弾性封止部材
58 回動軸部
71 磁気ブラシ
72 磁性粉体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A
図12B