(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148393
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】外壁補修装置及び外壁補修方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20231005BHJP
E04G 3/28 20060101ALI20231005BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E04G23/02 E
E04G23/02
E04G3/28 302C
B25J13/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056380
(22)【出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】522127944
【氏名又は名称】株式会社Share-RIZ
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】山根 悟
【テーマコード(参考)】
2E003
2E176
3C707
【Fターム(参考)】
2E003EB01
2E003EB03
2E176AA02
2E176BB05
2E176BB23
2E176BB27
2E176BB38
3C707AS14
3C707BS09
3C707JU12
3C707KS39
3C707KT01
3C707KT06
3C707KT15
(57)【要約】
【課題】建物の外壁の診断後における補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことができる外壁補修装置を提供する。
【解決手段】外壁補修装置Aは、走行路体4と、走行路体4を走行可能な走行部及びウィンチ装置を有する台車1と、ウィンチ装置で吊設されて昇降されるゴンドラ20、ゴンドラ20に配置され補修作業を実行するマニピュレータ21、マニピュレータ21による作業状況を撮影可能な撮影部及び外壁面にゴンドラ20を離脱可能に固定するための真空装置24を有する補修装置本体2と、オペレータが撮影部からの画像を見ることができるモニター32及びオペレータにより操作されマニピュレータ21を同期させて遠隔操作可能な操作グローブ31を有する遠隔操作部3を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体と、
該走行路体を走行可能な走行部、及び吊り昇降部を有する台車と、
前記吊り昇降部により吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、及び外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置を有する補修装置本体と、
オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える外壁補修装置。
【請求項2】
前記固定装置が、真空装置の吸盤が外壁に吸着する
請求項1記載の外壁補修装置。
【請求項3】
遠隔操作が可能な打診検査用の打診器と、その打診音を集音するマイクを有する
請求項1又は2記載の外壁補修装置。
【請求項4】
外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体に沿って走行可能で吊り昇降部を有する台車に吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、及び外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置を有する補修装置本体と、
オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える外壁補修装置。
【請求項5】
外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体と、
該走行路体を走行可能な走行部、及び吊り昇降部を有する台車と、
前記吊り昇降部により吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置、及び両端部を前記固定装置の吸盤、或いは外壁面に固定可能な着脱手段に固定し、前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにしたベルト又は索縄体を有する補修装置本体と、
オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える外壁補修装置。
【請求項6】
外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体に沿って走行可能で吊り昇降部を有する台車に吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、及び外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置、及び両端部を前記固定装置の吸盤、或いは外壁面に固定可能な着脱手段に固定し、前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにしたベルト又は索縄体を有する補修装置本体と、
オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える外壁補修装置。
【請求項7】
建物の外壁の診断を行い、取得したデータを基に不良箇所を特定する工程と、
外壁面に沿うように昇降可能に吊設されると共に水平方向へ移動可能なゴンドラに設けたマニピュレータによる作業部を前記不良箇所に合わせる工程と、
オペレータが、前記作業部の状況が映るモニターの映像を見ながら行う、操作グローブを使用した遠隔操作と同期して作動する前記マニピュレータにより外壁面の補修作業を行う工程とを備える外壁補修方法。
【請求項8】
建物の外壁の診断を行い、取得したデータを基に不良箇所を特定する工程と、
外壁面に沿うように昇降可能に吊設されると共に水平方向へ移動可能なゴンドラに設けたマニピュレータによる作業部を前記不良箇所に合わせる工程と、
その両端部を外壁面に着脱可能に固定された着脱手段に固定したベルト又は索縄体を前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにする工程と、
オペレータが、前記作業部の状況が映るモニターの映像を見ながら行う、操作グローブを使用した遠隔操作と同期して作動する前記マニピュレータにより外壁面の補修作業を行う工程とを備える外壁補修方法。
【請求項9】
前記建物の外壁の診断を、遠隔操作が可能な打診検査用の打診器と、その打診音を集音するマイクを使用して行う
請求項7又は8記載の外壁補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁補修装置及び外壁補修方法に関するものである。詳しくは、建物の外壁の補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁には、経年の劣化によって、タイルのひび割れ、表面コート剤の脱色、或いはシーリング剤の劣化、ひび割れ等が生じて、雨水浸入等により、結果として、タイルの落下につながることもある。この対策として、定期的に外壁の劣化状態を確認する診断と、この診断結果を元に必要箇所の補修が行われている。
【0003】
この外壁の診断と補修作業は、旧来、建物の周りに足場を組んで、作業員の安全を図りながら行われていた。しかしながら、この足場を利用する作業は、組んだ後、撤去する必要があり、また、診断と補修作業には、多大な費用がかかり、作業期間も長期にわたるという不都合があった。したがって、例えばマンションの自治会などで、このような作業を計画する場合、特に診断と補修費用の負担が、計画実行の大きな足かせとなっていた。
【0004】
そこで、近年では、この負担を軽減するために、様々に工夫がされている。例えば足場を使用せずに外壁の診断を行う手段については、多くの提案がなされており、その一つとして特許文献1記載の壁面調査システムがある。
【0005】
上記特許文献1に記載の壁面調査システムは、調査対象建物の壁面に吊り下げた調査端末機から打撃音データと壁面画像とを得る端末コンピュータにより打撃音データと基準打撃音データとを比較して診断データを作成する。
【0006】
そして、管理コンピュータにおいて、端末コンピュータから出力された診断データと記憶した調査対象建物の建物白図面データとの合成処理を行って、プリンタにより調査結果図表データ表とともに診断結果合成建物図面を出力し、簡易かつ低コストで調査対象建物の壁面調査を実施し、壁面状態を確認するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の壁面調査システムには、次のような課題があった。すなわち、建物の外壁の調査(診断)が足場を組むことなく簡易的、かつ効率的にできるとしても、診断によって傷んでいる箇所(不良箇所)が見つかれば、その箇所を補修しなければならない。ところが、この補修作業は、足場を組んで作業員が直接行う、旧来と変わらない方法で行われている。
【0009】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、建物の外壁の補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことができる、外壁補修装置及び外壁補修方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〔1〕上記の目的を達成するために本発明は、外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体と、該走行路体を走行可能な走行部、及び吊り昇降部を有する台車と、前記吊り昇降部により吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、及び外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置を有する補修装置本体と、オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部と、を備える外壁補修装置である。
【0011】
本発明の外壁補修装置は、外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体を、台車の走行部によって走行し移動することができる。台車は、吊り昇降部によって、補修装置本体のゴンドラを吊設しており、これを昇降させることができる。補修装置本体のゴンドラは、固定装置により外壁面の所定箇所に離脱可能に固定することができる。
【0012】
ゴンドラの所定箇所に配置されているマニピュレータは、オペレータによる遠隔操作により補修作業を実行する。オペレータは、遠隔操作部の操作グローブを使用した操作を行い、マニピュレータは操作グローブと同期して動作し、マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部からの画像をモニターで見ながら、実際に現場で作業をしているような臨場感を以て補修することができる。
【0013】
このように、外壁補修装置によれば、ビル等、建物の外壁の補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことが可能になる。
【0014】
〔2〕本発明に係る外壁補修装置は、前記固定装置が、真空装置の吸盤が外壁に吸着する構成とすることができる。
【0015】
この場合、外壁補修装置は、固定装置の真空装置の吸盤が外壁に吸着する。これによれば、吸盤内が真空であれば、外壁面に対する継続的で確実な吸着力が得られるので、マニピュレータによる作業中の外壁面に対する工具等による圧力の反発力により、外壁補修装置のゴンドラが外壁面から離れてしまうことを防止できる。
【0016】
〔3〕本発明に係る外壁補修装置は、遠隔操作が可能な打診検査用の打診器と、その打診音を集音するマイクを有する構成とすることができる。
【0017】
この場合、打診器を操作して外壁の打診を行い、打診音データ等を取得することで、外壁面の状態の判定や解析が可能になる。これにより、外壁補修装置により、外壁の診断から不良箇所があればその補修作業を一連の作業として行うことができ、作業の効率化が可能になる。
【0018】
〔4〕上記の目的を達成するために本発明は、外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体に沿って走行可能で吊り昇降部を有する台車に吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、及び外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置を有する補修装置本体と、オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える外壁補修装置である。
【0019】
本発明の外壁補修装置は、上記〔1〕と同様の作用効果を有し、ビル等、建物の外壁の補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことが可能になる。
【0020】
〔5〕上記の目的を達成するために本発明は、外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体と、該走行路体を走行可能な走行部、及び吊り昇降部を有する台車と、前記吊り昇降部により吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置、及び両端部を前記固定装置の吸盤、或いは外壁面に固定可能な着脱手段に固定し、前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにしたベルト又は索縄体を有する補修装置本体と、オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部と、を備える外壁補修装置である。
【0021】
本発明の外壁補修装置は、上記〔1〕の発明に加えて、両端部を固定装置の吸盤、或いは外壁面に固定可能な着脱手段に固定し、マニピュレータの駆動部に回し掛けて、マニピュレータの作業時におけるゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにしたベルト又は索縄体を有する。
【0022】
これにより、マニピュレータの作業時における、例えばインパクトを使用するような、外壁面に対して圧力や衝撃を与えるような作業をする際の、ゴンドラの外壁面からの離間を更に確実に抑制することができる。
【0023】
〔6〕上記の目的を達成するために本発明は、外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体に沿って走行可能で吊り昇降部を有する台車に吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、及び外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置、及び両端部を前記固定装置の吸盤、或いは外壁面に固定可能な着脱手段に固定し、前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにしたベルト又は索縄体を有する補修装置本体と、オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える外壁補修装置である。
【0024】
本発明の外壁補修装置は、上記〔5〕の作用効果を有し、ビル等、建物の外壁の補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことが可能になる。
【0025】
〔7〕上記の目的を達成するために本発明は、建物の外壁の診断を行い、取得したデータを基に不良箇所を特定する工程と、外壁面に沿うように昇降可能に吊設されると共に水平方向へ移動可能なゴンドラに設けたマニピュレータによる作業部を前記不良箇所に合わせる工程と、オペレータが、前記作業部の状況が映るモニターの映像を見ながら行う、操作グローブを使用した遠隔操作と同期して作動する前記マニピュレータにより外壁面の補修作業を行う工程とを備える外壁補修方法である。
【0026】
本発明の外壁補修方法によれば、建物の外壁の診断を行い、取得したデータを基に不良箇所を特定することができる。また、外壁面に沿うように昇降可能に吊設されると共に水平方向へ移動可能なゴンドラに設けたマニピュレータによる作業部を不良箇所に合わせることで、マニピュレータによる作業が可能になる。
【0027】
オペレータが、作業部の状況が映るモニターの映像を見ながら行う、操作グローブを使用した遠隔操作と同期して作動するマニピュレータにより外壁面の補修作業を行うことで、オペレータが実際に現場で作業を行っているような臨場感を以て作業ができる。このように、外壁補修装置によれば、ビル等、建物の外壁の補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことが可能になる。
【0028】
〔8〕上記の目的を達成するために本発明は、建物の外壁の診断を行い、取得したデータを基に不良箇所を特定する工程と、外壁面に沿うように昇降可能に吊設されると共に水平方向へ移動可能なゴンドラに設けたマニピュレータによる作業部を前記不良箇所に合わせる工程と、その両端部を外壁面に着脱可能に固定された着脱手段に固定したベルト又は索縄体を前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制する工程と、オペレータが、前記作業部の状況が映るモニターの映像を見ながら行う、操作グローブを使用した遠隔操作と同期して作動する前記マニピュレータにより外壁面の補修作業を行う工程とを備える外壁補修方法である。
【0029】
本発明の外壁補修方法は、上記〔6〕の発明に加えて、両端部を外壁面に着脱可能に固定された着脱手段に固定したベルト又は索縄体をマニピュレータの駆動部に回し掛けて、マニピュレータの作業時におけるゴンドラの外壁面からの離間を抑制する工程を備える。
【0030】
これにより、マニピュレータの作業時における、例えばインパクトを使用するような、外壁面に対して圧力や衝撃を与えるような作業をする際の、ゴンドラの外壁面からの離間を更に確実に抑制することができる。
【0031】
〔9〕本発明の外壁補修方法は、前記建物の外壁の診断を、遠隔操作が可能な打診検査用の打診器と、その打診音を集音するマイクを使用して行う構成とすることもできる。
【0032】
この場合、打診器を操作して外壁の打診を行い、打診音データ等を取得することで、外壁面の状態の判定や解析が可能になる。これにより、外壁補修装置により、外壁の診断から不良箇所があればその補修作業を一連の作業として行うことができ、作業の効率化が可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、建物の外壁の補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことができる、外壁補修装置及び外壁補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係る外壁補修装置の一実施の形態を示す概略説明図である。
【
図2】
図1に示す外壁補修装置のうち、台車及び補修装置本体の構造を示す斜視説明図である。
【
図3】外壁補修装置のうち、台車及び補修装置本体の構造を示す断面説明図である。
【
図4】外壁補修装置の制御系を示すブロック図である。
【
図5】マニピュレータの他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1乃至
図5を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
外壁補修装置Aは、建物の屋上のパラペット5に設置された走行路体4と、走行路体4に沿って水平方向に移動できるようにした台車1と、台車1にウィンチ装置161、162の繰り出し可能なワイヤ163、164で昇降可能に吊り下げられた補修装置本体2と、補修装置本体2が備えるマニピュレータ21を遠隔で操作可能な遠隔操作部3を備えている。以下、各部構造について説明する。
【0036】
なお、以下の説明では、動きの方向や特定箇所の位置の説明等において、「上/下」、「左/右」、「前/後」の用語を用いることがある。それは、基本的に
図1を基準とするもので、
図1の紙面方向に沿う方向と位置の上下がそのまま「上/下」、左右が「左/右」であり、紙面の表裏方向で手前と奥が「前/後」である。
【0037】
(走行路体4)
走行路体4は、屋上のパラペット5に沿って、必要な長さで固定されている。走行路体4は、複数を接続するタイプでもよいし、一本の一定長さのタイプであってもよい。走行路体4は、取付手段(図示省略)を介しパラペット5に取り付け及び取り外しが可能な断面コ字状の台板40を有している。台板40の上面には、長さ方向と並行して、レール41が設けてある(
図1、
図3参照)。
【0038】
なお、屋上にパラペットが設けられていなかったり、パラペットの強度が構造的に充分でなかったりする場合は、例えば屋上に固定できる強固なスタンド(図示省略)等を使用して、それに対応するレールを組み合わせる等して、撤去が可能な走行路体を構築することもできる。
【0039】
(台車1)
走行路体4を走行して移動可能な台車1は、フレームを兼ねる所定の大きさの本体10を有している。本体10は、水平になる上面板101と垂直になる正面板102を正面側(
図3で左側)の上部の曲面板103で連続させた構造である。また、上面板101の下面には、本体フレーム11が固定してあり、フレーム全体(本体10と本体フレーム11)として充分な強度が付与されている。
【0040】
本体フレーム11の下面には、左右側かつ前後方向に所定の間隔で、車台12が固定してある。左右の各車台12には、車軸13が回転可能に通されており、各車軸13には車輪14が固定されている。右側の車軸13には、上面板101に固定されている走行モータ15の動力が伝動チェーン150を介し伝えられる(
図1、
図3参照)。これらは走行部を構成し、台車1は走行部により走行路体4に沿って左右方向に移動が可能である。
【0041】
また、本体10の後部の左右の下側二箇所には、支承ローラー17が設けてある。各支承ローラー17は、パラペット5の下面に接して回転して移動することができ、走行路体4をパラペット5から外れないように支えることができるものである(
図3参照)。
【0042】
台車1には、後述する補修装置本体2を吊り下げて昇降可能な吊り昇降部16を備えている。吊り昇降部16は、左右二基のウィンチ装置161、162を備えている。ウィンチ装置161、162は、前方向にワイヤ163、164が繰り出されるようになっている。
【0043】
ワイヤ163、164は、それぞれ滑車165を通り、台車1の前部から垂下され、その先端には、補修装置本体2が水平に取り付けてある(
図1、
図2参照)。また、台車1への給電は、図示はしていないが、補修される建物の給電設備により行うようにしている。
【0044】
なお、上記走行系(走行モータ15、伝動チェーン150等)及び昇降駆動系(ウィンチ装置161、162等)に、移動量を図るカウンターを備えておき、補修作業の際には、打診等の検査に不具合があった時に特定したゴンドラ20の座標を指定することより、補修装置本体2を、外壁面の作業を行う箇所へ素早く移動可能とすることもできる。
【0045】
(補修装置本体2)
補修装置本体2は、ワイヤ163、164で吊り下げられているゴンドラ20を有している。ゴンドラ20の上面後部側には、外壁の補修作業を実行する部分(作業部)となるマニピュレータ21を備えている。マニピュレータ21は、本実施の形態では人型アームの仕様を有する支援ロボットである(
図2参照)。
【0046】
そして、マニピュレータ21の近傍には、マニピュレータ21による外壁面での作業状況を動画で撮影する撮影部29(
図4参照:
図1乃至
図3では図示省略)が設けてある。撮影部29は、マニピュレータ21により作業を行う作業部の状況、及び後述する工具箱28と資材箱281の近傍を、複数の異なるアングルで撮影するようになっており、その画像は、後述するモニター32に映し出される。
【0047】
マニピュレータ21は、ゴンドラ20の内部にある制御部22により制御された駆動部23により駆動される。なお、マニピュレータ21は、後述する遠隔操作部3を介してオペレータ33の手指の動きと同期させて、すなわちシンクロさせて操作される。この操作については、後述する。
【0048】
また、マニピュレータは、本実施の形態のように人型アーム仕様に限定するものではなく、例えば
図5に示すように、医療用マニピュレータに近似するマニピュレータ8と遠隔操作部3との組み合わせによって、外壁の補修作業を行う構成とすることもできる。
【0049】
この場合は、マニピュレータ8に複数設けてある作業腕部80は、それぞれその先端部に作業に使用する専用の工具を予め備えておき、遠隔操作部3の操作によってその工具を使用した作業が可能な構成とすることができる。この構成では、作業が変わる毎に工具を取り替える必要がなく、より効率的な作業が可能になる。
【0050】
また、ゴンドラ20の上面のマニピュレータ21の前方(外壁とは反対側)には、隣接して収容部である工具箱28が設けてある。工具箱28には、補修作業に必要な各種工具280が収容されており、マニピュレータ21を操作して、必要な工具280を取り出したり収容したりすることができるようにしてある(工具280は、各図では便宜上、模式的に簡略化して表している)。
【0051】
工具箱28の左右両側には、収容部である資材箱281が設けてある。工具箱28及び資材箱281には、例えばアンカーピン、アンカー切削用工具(インパクト、専用ビット)、切削穴清掃ブラシ、エポキシ樹脂、注入用ガン、施工後ゴミ入れ、張り替え用タイル等、各種工具や資材を収容することができる。
【0052】
なお、マニピュレータ21は前方側へ反転できるようになっており、また、上記撮影部29は、上記のように、マニピュレータ21の前方側の工具箱28及び資材箱281の近傍を撮影するようにしてある。これにより、オペレータ33はモニター32で撮影部29による画像を見ながら、マニピュレータ21により各工具280や資材の取り出しと収容を行うことができる。なお、工具箱28及び資材箱281については、マニピュレータ21の後方(外壁に近い側)に配置することも可能である。
【0053】
更に、ゴンドラ20の上面のマニピュレータ21左右側には、打診検査用の打診器25が設けてある。打診器25は、本実施の形態では、揺動可能な棒の先端に打球を取り付けた構造のものを表したが、単に棒状又は枹(ばち)状のものとしてもよい。
【0054】
また、各打診器25の近傍には、打診音を集音する集音マイク(図示省略)が設けてある。各打診器25は、後述するようにオペレータ33による遠隔操作(リモート操作)が可能であり、例えば外壁面を叩いたときの音をデータとして記録して解析し、或いはオペレータ33が聴いて判断することにより、タイルの浮き上がりやひび割れ等、外壁の異常を検出することができるようにするものである。
【0055】
なお、本実施の形態では、補修装置本体2に打診器25を備えて、この打診器25を遠隔操作して打診を行うとしたが、これに限定するものではなく、マニピュレータ21で打診棒や打診ハンマーを持ち、後述する遠隔操作部3によるマニピュレータ21の操作で打診作業を行うようにしてもよい。
【0056】
ゴンドラ20の内部には、固定装置を構成する真空装置24が収容してある。真空装置24は、バキュームポンプ(符号省略)を有し、バキュームポンプに繋がる吸気管(符号省略)はゴンドラ20の左右側まで延長してあり、それぞれの先端部は、ゴンドラ20の後面の左右二箇所に設けてある吸盤240に接続してある。これにより、真空装置24を作動させ、吸盤240内部を真空にすれば、補修装置本体2を外壁に吸着して固定することができる。
【0057】
(遠隔操作部3)
上記補修装置本体2は、オペレータ33が遠隔操作部3を操作することにより操作することができる。遠隔操作部3は、通信装置(図示省略)等が収容されている本体テーブル30を有している。本体テーブル30の天板(符号省略)の上には遮光のための作業用フード35が設けてある。
【0058】
作業用フード35の内部には、モニター32が設けられ、オペレータ33はモニター32に移る画像を確認することができる。なお、モニターは、例えばゲーム用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)様のモニターを採用することもできる。この場合は、より臨場感があり、より細かく正確な作業が可能になることが期待できる。
【0059】
また、天板上には、操作グローブ31が設けてある。操作グローブ31は柔軟性を有する手袋形で、各指に対応する部分に、その動きを繊細に検出するセンサ(図示省略)を備えている。この構造によれば、オペレータ33が操作グローブ31を装着して手指を動かすことにより、上記マニピュレータ21も操作グローブ31の各指の動きに倣って同期して動き、オペレータ33の指の動きを再現して、作業を行うことができるようになっている。
【0060】
なお、本体テーブル30の通信装置からは、操作グローブ31やスイッチ部34(
図4参照:
図1乃至
図3では図示省略)からの情報信号等の各種情報信号が発信され、施工場所の路面上に設置されているか、或いは作業車等に搭載されている中継機26により受信される。そして、中継機26と上記補修装置本体2は、伝送ケーブル27によって接続されている。伝送ケーブル27は、中継機26から補修装置本体2へ、各種情報信号の伝送と共に給電を行うことができる。
【0061】
(制御系)
ここで、
図4に示すブロック図を参照し、外壁補修装置Aの制御系の概略を説明する。
この制御系は、遠隔操作部3では、撮影部29で撮影した画像を表示するモニター32と、オペレータが操作する操作グローブ31と、走行モータ15や真空装置24のバキュームポンプ(符号省略)、ウィンチ装置161、162等の各種電源のON/OFFのためのスイッチ部34とを備える。また、台車1では、スイッチ部34で操作される走行モータ15と、ウィンチ装置161、162を備える。
【0062】
更に、補修装置本体2では、遠隔操作部3で入力された各種情報信号を処理し、走行モータ15やバキュームポンプ、ウィンチ装置161、162等に制御信号を送る制御部22と、操作グローブ31の操作に同期して補修作業を行うマニピュレータ21と、制御部22により制御される、マニピュレータ21による補修対象領域における作業状況を撮影する撮影部29と、補修装置本体2を外壁面に固定する真空装置24と、外壁の打診を行う打診器25を備える。
【0063】
なお、撮影部29により撮影した画像データや打診器25による打診時に集音した打診音データを記憶して解析する場合は、画像データや打診音データ等を記憶するデータ記憶部と、そのデータの解析を行う解析部を備えることができる。
【0064】
(作用)
図1乃至
図4を参照して、外壁補修装置Aの作用、及び外壁補修装置Aを使用した外壁補修方法について説明する。なお、説明を分かりやすくする便宜上、外壁補修装置Aの制御系が、上記段落〔0049〕で説明した、データ記憶部と解析部を備えている場合で説明する。
【0065】
(1)オペレータ33がスイッチ部34を操作して、台車1と補修装置本体2を開始点(例えば建物であるビルの複数の外壁面のうち、一枚の外壁面の上角部)に停止させる。
【0066】
(2)スイッチ部34を操作して、補修装置本体2のウィンチ装置161、162を駆動し、ワイヤ163、164を繰り出して、補修装置本体2を下降させ、所定の位置に停止させる。このとき、右側の打診器25は、外壁面の上端角部(打診の開始位置)に位置させてある。この位置で、オペレータ33がスイッチ部34を操作して、真空装置24を作動させ、補修装置本体2を吸盤240で外壁に固定する。なお、左側の打診器25は、外壁の左端を補修装置本体2がはみ出さないようにして打診する際に使用する。
【0067】
(3)オペレータ33が、撮影部29からモニター32へ送られる画像(動画又は静止画)で、外壁の外観を確認する。画像は、診断がしやすいように、遠隔操作部3の操作で、アングルや大きさを適宜調整できるようになっている。また、スイッチ部34により打診器25を操作して打診検査を行い、打診位置の位置データ(座標データ)、打診位置に対応する画像データ、及び打診による打診音データを取得し、データ記憶部で記憶する。
【0068】
(4)ウィンチ装置161、162を操作して、補修装置本体2を間欠的に下降させながら、各停止位置において上記(3)と同様の打診検査を行い、外壁面の上下方向の所定の範囲で、打診位置の位置データ、打診位置に対応する画像データ、及び打診による打診音データを取得し、データ記憶部で記憶する。
【0069】
(5)補修装置本体2を上昇させて上記(2)の高さへ戻し、台車1を所定の移動距離、例えば外壁のタイル一枚分の幅で移動させて停止させる。そして、上記(2)~(4)と同様の工程で打診検査を行い、外壁面の上下方向の所定の範囲の打診位置の位置データ、その位置に対応する画像データ、及び打診音データを取得し、データ記憶部で記憶する。
【0070】
(6)上記(2)~(5)の工程を繰り返して、外壁面の所定の範囲の打診検査を行い、打診位置の位置データ、各位置に対応する画像データ、及び打診音データを取得する。なお、通常は、タイルの全数診断を行うことはなく、いわゆる抜き取りによる診断を行うが、建物の規模やタイルの大きさや数によっては、全数の診断も排除しない。
【0071】
(7)データ記憶部により記憶した位置データ、各位置に対応する画像データ、及び打診音データを解析部で解析して、不良(問題)がある箇所を位置データで特定し、不良箇所毎の補修方法を予め検討する。なお、上記のように取得し記憶した各データを基にして、例えば縦方向及び横方向のタイル割付図を作成することも可能になる。
【0072】
(8)不良箇所の位置データを基に、補修装置本体2を外壁面の不良箇所へ移動させる。このとき、マニピュレータ21により作業可能な位置を、上記不良箇所の位置(座標)に合わせるようにする。そして、補修装置本体2を真空装置24の吸盤240によって外壁面に固定する。
【0073】
なお、マニピュレータ21による作業を行う際に、例えば外壁面から反発力を受けやすい工具(例えばインパクト(ドライバー)等)を使用する場合は、図示は省略するが、例えば両端部を左右の吸盤240(或いは外壁面に固定可能な着脱手段)に固定したベルト(又はワイヤ)等をマニピュレータ21の駆動部23に回し掛けて、マニピュレータ21の作業時における、補修装置本体2の外壁面からの離間を、更に抑制するようにすることもできる。
【0074】
また、この場合、必要に応じてベルト等を締め付けて抑制効果を高めることができるようにしてもよい。更には、作業時における、離間の量を検出するセンサを設けて、オペレータ33に知らせる機能を備えることもできる。
【0075】
(9)補修装置本体2を所定位置に固定した後、上記検討した補修方法に則り、オペレータ33が遠隔操作部3の操作グローブ31を操作し、必要に応じて適正な工具280を使用し、モニター32に映る画像をリアルタイムで確認しながら、オペレータ33の手指の動きに同期して動くマニピュレータ21によって、例えば浮き上がったり、剥がれたり、或いはひびが入ったタイルの交換等の補修作業を行う。以降、上記と同様の作業を繰り返して、各不良箇所の補修を行うことにより、補修作業を完了する。
【0076】
なお、外壁補修方法は、上記のように最初に補修装置本体2により外壁の所定の範囲の診断を行ってデータを取得した後、データを解析して不良箇所を特定し、補修装置本体2を不良箇所に移動させて補修を行う、という方法に限定するものではない。
【0077】
他の方法としては、例えば外壁の診断を行う際に、診断位置毎にデータの取得と、取得データの解析を行い、その位置(箇所)の状況が不良であるか否かの判定をして、不良でなければ次の診断位置へ移動し、不良であった場合は、その場で不良箇所の補修までを行って、補修後に次の診断位置へ移動し、以降はこれを繰り返すという方法を採用することもできる。
【0078】
このように、外壁補修装置A及びそれを使用した外壁補修方法によれば、ビル等、建物の外壁の診断後における補修作業を、建物の周りに足場を組むことなく、遠隔操作により行うことができる。
【0079】
なお、建物の外壁の診断と補修作業を、例えば建物の周囲に足場を組んで作業員が行う場合には、工期と予算に課題があり、ワイヤで吊り下げたゴンドラに作業員が乗って行う場合には、安全性と稼動性に課題がある。
【0080】
しかし、本発明に係る上記外壁補修装置A及びそれを使用した外壁補修方法によれば、これらの課題の解消が可能になる。また、補修作業時の様々なデータを取得することにより、そのデータを基に、例えばAI(人工知能)と連携して、マニピュレータ21を介した補修作業をより的確なものとして、その信頼性を向上させるようにすることも可能になる。
【0081】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
A 外壁補修装置
4 走行路体
40 台板
41 レール
1 台車
10 本体
101 上面板
102 正面板
103 曲面板
11 本体フレーム
12 車台
13 車軸
14 車輪
15 走行モータ
150 伝動チェーン
16 吊り昇降部
17 支承ローラー
161、162 ウィンチ装置
163、164 ワイヤ
165 滑車
2 補修装置本体
20 ゴンドラ
21 マニピュレータ
22 制御部
23 駆動部
24 真空装置
240 吸盤
25 打診器
26 中継機
27 伝送ケーブル
28 工具箱
280 工具
281 資材箱
29 撮影部
3 遠隔操作部
30 本体テーブル
31 操作グローブ
32 モニター
33 オペレータ
34 スイッチ部
35 作業用フード
5 パラペット
8 マニピュレータ
80 作業腕部
【手続補正書】
【提出日】2022-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体と、
該走行路体を走行可能な走行部、及び吊り昇降部を有する台車と、
前記吊り昇降部により吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置、及び両端部を前記固定装置の吸盤、或いは外壁面に固定可能な着脱手段に固定し、前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにしたベルト又は索縄体を有する補修装置本体と、
オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える
外壁補修装置。
【請求項2】
外壁補修の対象となる屋上に設けられる走行路体に沿って走行可能で吊り昇降部を有する台車に吊設されて昇降されるゴンドラ、該ゴンドラの所定箇所に配置され補修作業を実行するマニピュレータ、該マニピュレータによる補修対象領域の撮影が可能な撮影部、及び外壁面の所定箇所に前記ゴンドラを離脱可能に固定するための固定装置、及び両端部を前記固定装置の吸盤、或いは外壁面に固定可能な着脱手段に固定し、前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにしたベルト又は索縄体を有する補修装置本体と、
オペレータが前記撮影部からの画像を見ることができるモニター、及びオペレータにより操作され前記マニピュレータを同期させて遠隔操作可能な操作グローブを有する遠隔操作部とを備える
外壁補修装置。
【請求項3】
建物の外壁の診断を行い、取得したデータを基に不良箇所を特定する工程と、
外壁面に沿うように昇降可能に吊設されると共に水平方向へ移動可能なゴンドラに設けたマニピュレータによる作業部を前記不良箇所に合わせる工程と、
その両端部を外壁面に着脱可能に固定された着脱手段に固定したベルト又は索縄体を前記マニピュレータの駆動部に回し掛けて、前記マニピュレータの作業時における前記ゴンドラの外壁面からの離間を抑制するようにする工程と、
オペレータが、前記作業部の状況が映るモニターの映像を見ながら行う、操作グローブを使用した遠隔操作と同期して作動する前記マニピュレータにより外壁面の補修作業を行う工程とを備える
外壁補修方法。
【請求項4】
前記建物の外壁の診断を、遠隔操作が可能な打診検査用の打診器と、その打診音を集音するマイクを使用して行う
請求項3記載の外壁補修方法。