(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148397
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】積層型コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20231005BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20231005BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F27/29 P
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056387
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥耀
(72)【発明者】
【氏名】小澤 怜治
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E043BA03
5E043EA10
5E070AA01
5E070AB01
5E070CB03
5E070CB13
5E070CB17
5E070CB18
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制する積層型コイル部品を提供する。
【解決手段】積層型コイル部品1は、複数の絶縁層P1~yが積層された素体10A、素体内部のコイル30A及び素体表面上でコイルに電気的に接続する外部電極を備える。コイルは、積層された複数のコイル導体Q1~14が絶縁層を積層方向に貫通するビア導体Sa2~d14を介して電気的に接続されてなる。コイル導体は、積層方向の最外位置に存在する最外コイル導体Q1を含む複数の隣り合うコイル導体からなる第1積層部Eaのすべてのコイル導体が積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間Ma1、Mb1を有する。第1並走区間は、ビア導体で並列接続する。最外コイル導体は、第1並走区間の一端で第1引き出し導体41a、bを介して、かつ、第1並走区間の他端で第2引出し導体42、bを介して、同一の外部電極に電気的に接続する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、
前記素体の内部に設けられたコイルと、
前記素体の表面上に設けられ、かつ、前記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、
前記コイルは、前記積層方向に積層された複数のコイル導体が前記絶縁層を前記積層方向に貫通するビア導体を介して電気的に接続されてなり、
前記積層方向に積層された複数の前記コイル導体は、前記積層方向の最外位置に存在する最外コイル導体を含む複数の隣り合う前記コイル導体からなる第1積層部を含み、
前記第1積層部は、前記第1積層部を構成するすべての前記コイル導体が前記積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間を有し、
前記第1並走区間は、前記ビア導体により並列接続され、
前記最外コイル導体は、前記第1並走区間の一端において第1引き出し導体を介して、かつ、前記第1並走区間の他端において第2引き出し導体を介して、同一の前記外部電極に電気的に接続されている、ことを特徴とする積層型コイル部品。
【請求項2】
前記第1積層部は、3つ以上の前記コイル導体からなる、請求項1に記載の積層型コイル部品。
【請求項3】
前記積層方向から見たとき、前記第1引き出し導体と前記最外コイル導体とが重なり合う領域は、前記最外コイル導体を含む4つの隣り合う前記コイル導体が前記ビア導体を介して重なり合う領域に重なっており、
前記積層方向から見たとき、前記第2引き出し導体と前記最外コイル導体とが重なり合う領域は、前記最外コイル導体を含む3つの隣り合う前記コイル導体が前記ビア導体を介して重なり合う領域に重なっている、請求項2に記載の積層型コイル部品。
【請求項4】
前記最外コイル導体は、前記第1並走区間以外の領域において、前記第1引き出し導体及び前記第2引き出し導体以外の引き出し導体を介して、前記第1引き出し導体及び前記第2引き出し導体が接続された同一の前記外部電極に電気的に接続されている、請求項2又は3に記載の積層型コイル部品。
【請求項5】
前記最外コイル導体は、前記第1並走区間以外の領域において、第3引き出し導体を介して、前記第1引き出し導体及び前記第2引き出し導体が接続された同一の前記外部電極に電気的に接続され、
前記積層方向から見たとき、前記第3引き出し導体と前記最外コイル導体とが重なり合う領域は、前記最外コイル導体を含む2つの隣り合う前記コイル導体が前記ビア導体を介して重なり合う領域に重なっている、請求項4に記載の積層型コイル部品。
【請求項6】
前記最外コイル導体は、前記第1並走区間以外の領域において、第4引き出し導体を介して、前記第1引き出し導体及び前記第2引き出し導体が接続された同一の前記外部電極に電気的に接続され、
前記積層方向から見たとき、前記第4引き出し導体と前記最外コイル導体とが重なり合う領域は、前記最外コイル導体を含む2つの隣り合う前記コイル導体が前記ビア導体を介して重なり合わない領域に重なっている、請求項4又は5に記載の積層型コイル部品。
【請求項7】
前記第1積層部を構成するすべての前記コイル導体の長さは、前記コイルの3/4ターンの長さである、請求項1~6のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項8】
前記積層方向に積層された複数の前記コイル導体は、前記第1積層部と同数の隣り合う前記コイル導体からなる第2積層部を更に含み、
前記第2積層部は、前記第2積層部を構成するすべての前記コイル導体が前記積層方向から見たときに重なり合う第2並走区間を有し、
前記第2並走区間は、前記ビア導体により並列接続され、
前記第1並走区間及び前記第2並走区間は、前記積層方向から見たときに重なり合っている、請求項1~7のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項9】
前記第2積層部は、3つ以上の前記コイル導体からなる、請求項8に記載の積層型コイル部品。
【請求項10】
前記第2積層部を構成するすべての前記コイル導体の長さは、前記コイルの3/4ターンの長さである、請求項8又は9に記載の積層型コイル部品。
【請求項11】
前記積層方向と前記コイルのコイル軸の方向とは、同じ方向に沿って前記素体の実装面に平行である、請求項1~10のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の絶縁体層が積層方向に積層されて構成されている直方体状の積層体であって、複数の絶縁体層の外縁が連なって形成されている第1の側面を有する積層体と、積層体に設けられ、かつ、複数のコイル導体が絶縁体層を貫通するビアホール導体により接続されることにより構成されているコイルであって、周回しながら積層方向に進行する螺旋状のコイルと、少なくとも第1の側面に設けられている第1の外部電極と、第1の外部電極よりも積層方向の他方側に設けられ、かつ、少なくとも第1の側面に設けられている第2の外部電極と、を備えており、コイルには、積層方向に並ぶm個のコイル導体の少なくとも一部分が並列接続されて構成された第1の並列部、及び、積層方向に並ぶn個のコイル導体の少なくとも一部分が並列接続されて構成された第2の並列部が設けられており、m及びnは、自然数であり、nは、mよりも大きく、第1の側面の法線方向から平面視したときに第1の外部電極と重なる第1の領域における第1の並列部の数と第2の並列部の数との合計に占める第1の並列部の数の割合の方が、第1の側面の法線方向から平面視したときに第1の外部電極及び第2の外部電極と重ならない第2の領域における第1の並列部の数と第2の並列部の数との合計に占める第1の並列部の数の割合よりも高いこと、を特徴とする電子部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の
図2には、2個又は3個のコイル導体が並列接続された電子部品が開示されている。また、特許文献1の
図2に示された電子部品では、絶縁体層を貫通する複数のビアホール導体で構成された引き出し導体を介して、コイル及び外部電極が接続されていることが記載されている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1の
図2に示された電子部品では、以下の問題が生じることが判明した。
【0005】
特許文献1の
図2に示された電子部品では、2個又は3個のコイル導体が並列接続されているため、その分、コイルの電流経路に沿う方向、すなわち、コイル導体が延びる方向に直交するコイルの断面積が増加する、と考えられる。よって、特許文献1の
図2に示された電子部品では、コイルの直流抵抗(Rdc)が低いものとなり、コイルに大電流を流すことが可能となる、と考えられる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の
図2に示された電子部品において、コイルに大電流を流そうとすると、引き出し導体にも大電流が流れることになるため、引き出し導体において発熱及びエレクトロマイグレーションが発生しやすくなるおそれがある。特許文献1の
図2に示された電子部品では、コイル及び外部電極が1つの引き出し導体を介して電気的に接続されているため、引き出し導体において発熱及びエレクトロマイグレーションによる断線が発生すると、電子部品が機能しなくなるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生が抑制された積層型コイル部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層型コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、上記素体の内部に設けられたコイルと、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、上記コイルは、上記積層方向に積層された複数のコイル導体が上記絶縁層を上記積層方向に貫通するビア導体を介して電気的に接続されてなり、上記積層方向に積層された複数の上記コイル導体は、上記積層方向の最外位置に存在する最外コイル導体を含む複数の隣り合う上記コイル導体からなる第1積層部を含み、上記第1積層部は、上記第1積層部を構成するすべての上記コイル導体が上記積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間を有し、上記第1並走区間は、上記ビア導体により並列接続され、上記最外コイル導体は、上記第1並走区間の一端において第1引き出し導体を介して、かつ、上記第1並走区間の他端において第2引き出し導体を介して、同一の上記外部電極に電気的に接続されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生が抑制された積層型コイル部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の積層型コイル部品の一例を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第1端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第2端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の積層型コイル部品について説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。
【0013】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の積層型コイル部品」と言う。
【0014】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
【0015】
本発明の積層型コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、上記素体の内部に設けられたコイルと、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、上記コイルは、上記積層方向に積層された複数のコイル導体が上記絶縁層を上記積層方向に貫通するビア導体を介して電気的に接続されてなり、上記積層方向に積層された複数の上記コイル導体は、上記積層方向の最外位置に存在する最外コイル導体を含む複数の隣り合う上記コイル導体からなる第1積層部を含み、上記第1積層部は、上記第1積層部を構成するすべての上記コイル導体が上記積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間を有し、上記第1並走区間は、上記ビア導体により並列接続され、上記最外コイル導体は、上記第1並走区間の一端において第1引き出し導体を介して、かつ、上記第1並走区間の他端において第2引き出し導体を介して、同一の上記外部電極に電気的に接続されている、ことを特徴とする。
【0016】
[実施形態1]
本発明の積層型コイル部品の一例を、本発明の実施形態1の積層型コイル部品として説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態1の積層型コイル部品の一例を示す斜視模式図である。
【0018】
図1に示す積層型コイル部品1は、素体10Aと、第1外部電極21と、第2外部電極22と、を有している。
図1に示していないが、後述するように、積層型コイル部品1は、素体10Aの内部に設けられたコイルも有している。
【0019】
本明細書中、長さ方向、高さ方向、及び、幅方向を、
図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと高さ方向Tと幅方向Wとは、互いに直交している。
【0020】
素体10Aは、長さ方向Lに相対する第1端面11a及び第2端面11bと、高さ方向Tに相対する第1主面12a及び第2主面12bと、幅方向Wに相対する第1側面13a及び第2側面13bと、を有しており、例えば、直方体状又は略直方体状である。
【0021】
素体10Aの第1端面11a及び第2端面11bは、長さ方向Lに厳密に直交している必要はない。また、素体10Aの第1主面12a及び第2主面12bは、高さ方向Tに厳密に直交している必要はない。更に、素体10Aの第1側面13a及び第2側面13bは、幅方向Wに厳密に直交している必要はない。
【0022】
積層型コイル部品1を基板に実装する場合、素体10Aの第1主面12aが実装面となる。
【0023】
素体10Aは、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。素体10Aの角部は、素体10Aの3面が交わる部分である。素体10Aの稜線部は、素体10Aの2面が交わる部分である。
【0024】
第1外部電極21は、素体10Aの表面上に設けられている。より具体的には、第1外部電極21は、素体10Aの第1端面11aから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びている。
【0025】
第1外部電極21の配置態様は、
図1に示す態様に限定されない。例えば、第1外部電極21は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第1端面11a、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0026】
第2外部電極22は、素体10Aの表面上に設けられている。より具体的には、第2外部電極22は、素体10Aの第2端面11bから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びている。
【0027】
第2外部電極22の配置態様は、
図1に示す態様に限定されない。例えば、第2外部電極22は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第2端面11b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0028】
以上のように、第1外部電極21及び第2外部電極22は、素体10Aの表面上で互いに離隔した位置に設けられている。
【0029】
以上のように、第1外部電極21及び第2外部電極22が、実装面である素体10Aの第1主面12a上に設けられていることにより、積層型コイル部品1の実装性が向上する。
【0030】
第1外部電極21及び第2外部電極22は、各々、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。
【0031】
第1外部電極21及び第2外部電極22が、各々、単層構造である場合、各々の外部電極の構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0032】
第1外部電極21及び第2外部電極22が、各々、複層構造である場合、各々の外部電極は、素体10Aの表面側から順に、例えば、Agを含む下地電極と、Niめっき電極と、Snめっき電極と、を有していてもよい。
【0033】
図2は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
図3は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0034】
図2及び
図3に示すように、素体10Aは、複数の絶縁層が、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層されてなる。
【0035】
素体10Aは、絶縁層P1、絶縁層P2、絶縁層P3、絶縁層P4、絶縁層P5、絶縁層P6、絶縁層P7、絶縁層P8、絶縁層P9、絶縁層P10、絶縁層P11、絶縁層P12、絶縁層P13、及び、絶縁層P14を、第1端面11a側から第2端面11b側に向かって、長さ方向Lに順に含んでいる。
【0036】
各々の絶縁層の構成材料としては、例えば、フェライト材料等の磁性材料が挙げられる。
【0037】
フェライト材料は、Ni-Cu-Zn系フェライト材料であることが好ましい。
【0038】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で2mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で6mol%以上、13mol%以下、NiをNiO換算で10mol%以上、45mol%以下含むことが好ましい。
【0039】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Co、Bi、Sn、Mn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0040】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0041】
素体10Aの内部には、コイル30Aが設けられている。
【0042】
図2及び
図3に示すように、コイル30Aは、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、コイル導体Q4、コイル導体Q5、コイル導体Q6、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、コイル導体Q10、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14を、長さ方向Lに順に含んでいる。
【0043】
コイル導体Q1は、U字状であり、絶縁層P1の主面上に設けられている。
【0044】
コイル導体Q1は、ランド部Rb1及びランド部Rc1を別々の端部に有している。
【0045】
コイル導体Q1は、屈曲部Ua1及び屈曲部Ud1を有している。
【0046】
コイル導体Q2は、U字状であり、絶縁層P2の主面上に設けられている。
【0047】
コイル導体Q2は、ランド部Rc2及びランド部Rd2を別々の端部に有している。
【0048】
コイル導体Q2は、屈曲部Ua2及び屈曲部Ub2を有している。
【0049】
屈曲部Ua2は、絶縁層P2を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa2に接続されている。ビア導体Sa2は、屈曲部Ua2に加えて、屈曲部Ua1にも接続されている。つまり、屈曲部Ua1及び屈曲部Ua2は、ビア導体Sa2を介して電気的に接続されている。
【0050】
屈曲部Ub2は、絶縁層P2を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb2に接続されている。ビア導体Sb2は、屈曲部Ub2に加えて、ランド部Rb1にも接続されている。つまり、ランド部Rb1及び屈曲部Ub2は、ビア導体Sb2を介して電気的に接続されている。
【0051】
コイル導体Q3は、U字状であり、絶縁層P3の主面上に設けられている。
【0052】
コイル導体Q3は、ランド部Ra3及びランド部Rd3を別々の端部に有している。
【0053】
ランド部Ra3は、絶縁層P3を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa3に接続されている。ビア導体Sa3は、ランド部Ra3に加えて、屈曲部Ua2にも接続されている。つまり、屈曲部Ua2及びランド部Ra3は、ビア導体Sa3を介して電気的に接続されている。
【0054】
コイル導体Q3は、屈曲部Ub3及び屈曲部Uc3を有している。
【0055】
屈曲部Ub3は、絶縁層P3を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb3に接続されている。ビア導体Sb3は、屈曲部Ub3に加えて、屈曲部Ub2にも接続されている。つまり、屈曲部Ub2及び屈曲部Ub3は、ビア導体Sb3を介して電気的に接続されている。
【0056】
屈曲部Uc3は、絶縁層P3を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc3に接続されている。ビア導体Sc3は、屈曲部Uc3に加えて、ランド部Rc2にも接続されている。つまり、ランド部Rc2及び屈曲部Uc3は、ビア導体Sc3を介して電気的に接続されている。
【0057】
コイル導体Q4は、U字状であり、絶縁層P4の主面上に設けられている。
【0058】
コイル導体Q4は、ランド部Ra4及びランド部Rb4を別々の端部に有している。
【0059】
ランド部Rb4は、絶縁層P4を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb4に接続されている。ビア導体Sb4は、ランド部Rb4に加えて、屈曲部Ub3にも接続されている。つまり、屈曲部Ub3及びランド部Rb4は、ビア導体Sb4を介して電気的に接続されている。
【0060】
コイル導体Q4は、屈曲部Uc4及び屈曲部Ud4を有している。
【0061】
屈曲部Uc4は、絶縁層P4を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc4に接続されている。ビア導体Sc4は、屈曲部Uc4に加えて、屈曲部Uc3にも接続されている。つまり、屈曲部Uc3及び屈曲部Uc4は、ビア導体Sc4を介して電気的に接続されている。
【0062】
屈曲部Ud4は、絶縁層P4を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd4に接続されている。ビア導体Sd4は、屈曲部Ud4に加えて、ランド部Rd3にも接続されている。つまり、ランド部Rd3及び屈曲部Ud4は、ビア導体Sd4を介して電気的に接続されている。
【0063】
コイル導体Q5は、U字状であり、絶縁層P5の主面上に設けられている。
【0064】
コイル導体Q5は、ランド部Rb5及びランド部Rc5を別々の端部に有している。
【0065】
ランド部Rc5は、絶縁層P5を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc5に接続されている。ビア導体Sc5は、ランド部Rc5に加えて、屈曲部Uc4にも接続されている。つまり、屈曲部Uc4及びランド部Rc5は、ビア導体Sc5を介して電気的に接続されている。
【0066】
コイル導体Q5は、屈曲部Ua5及び屈曲部Ud5を有している。
【0067】
屈曲部Ua5は、絶縁層P5を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa5に接続されている。ビア導体Sa5は、屈曲部Ua5に加えて、ランド部Ra4にも接続されている。つまり、ランド部Ra4及び屈曲部Ua5は、ビア導体Sa5を介して電気的に接続されている。
【0068】
屈曲部Ud5は、絶縁層P5を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd5に接続されている。ビア導体Sd5は、屈曲部Ud5に加えて、屈曲部Ud4にも接続されている。つまり、屈曲部Ud4及び屈曲部Ud5は、ビア導体Sd5を介して電気的に接続されている。
【0069】
コイル導体Q6は、U字状であり、絶縁層P6の主面上に設けられている。
【0070】
コイル導体Q6は、ランド部Rc6及びランド部Rd6を別々の端部に有している。
【0071】
ランド部Rd6は、絶縁層P6を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd6に接続されている。ビア導体Sd6は、ランド部Rd6に加えて、屈曲部Ud5にも接続されている。つまり、屈曲部Ud5及びランド部Rd6は、ビア導体Sd6を介して電気的に接続されている。
【0072】
コイル導体Q6は、屈曲部Ua6及び屈曲部Ub6を有している。
【0073】
屈曲部Ua6は、絶縁層P6を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa6に接続されている。ビア導体Sa6は、屈曲部Ua6に加えて、屈曲部Ua5にも接続されている。つまり、屈曲部Ua5及び屈曲部Ua6は、ビア導体Sa6を介して電気的に接続されている。
【0074】
屈曲部Ub6は、絶縁層P6を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb6に接続されている。ビア導体Sb6は、屈曲部Ub6に加えて、ランド部Rb5にも接続されている。つまり、ランド部Rb5及び屈曲部Ub6は、ビア導体Sb6を介して電気的に接続されている。
【0075】
コイル導体Q7は、U字状であり、絶縁層P7の主面上に設けられている。
【0076】
コイル導体Q7は、ランド部Ra7及びランド部Rd7を別々の端部に有している。
【0077】
ランド部Ra7は、絶縁層P7を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa7に接続されている。ビア導体Sa7は、ランド部Ra7に加えて、屈曲部Ua6にも接続されている。つまり、屈曲部Ua6及びランド部Ra7は、ビア導体Sa7を介して電気的に接続されている。
【0078】
コイル導体Q7は、屈曲部Ub7及び屈曲部Uc7を有している。
【0079】
屈曲部Ub7は、絶縁層P7を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb7に接続されている。ビア導体Sb7は、屈曲部Ub7に加えて、屈曲部Ub6にも接続されている。つまり、屈曲部Ub6及び屈曲部Ub7は、ビア導体Sb7を介して電気的に接続されている。
【0080】
屈曲部Uc7は、絶縁層P7を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc7に接続されている。ビア導体Sc7は、屈曲部Uc7に加えて、ランド部Rc6にも接続されている。つまり、ランド部Rc6及び屈曲部Uc7は、ビア導体Sc7を介して電気的に接続されている。
【0081】
コイル導体Q8は、U字状であり、絶縁層P8の主面上に設けられている。
【0082】
コイル導体Q8は、ランド部Ra8及びランド部Rb8を別々の端部に有している。
【0083】
ランド部Rb8は、絶縁層P8を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb8に接続されている。ビア導体Sb8は、ランド部Rb8に加えて、屈曲部Ub7にも接続されている。つまり、屈曲部Ub7及びランド部Rb8は、ビア導体Sb8を介して電気的に接続されている。
【0084】
コイル導体Q8は、屈曲部Uc8及び屈曲部Ud8を有している。
【0085】
屈曲部Uc8は、絶縁層P8を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc8に接続されている。ビア導体Sc8は、屈曲部Uc8に加えて、屈曲部Uc7にも接続されている。つまり、屈曲部Uc7及び屈曲部Uc8は、ビア導体Sc8を介して電気的に接続されている。
【0086】
屈曲部Ud8は、絶縁層P8を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd8に接続されている。ビア導体Sd8は、屈曲部Ud8に加えて、ランド部Rd7にも接続されている。つまり、ランド部Rd7及び屈曲部Ud8は、ビア導体Sd8を介して電気的に接続されている。
【0087】
コイル導体Q9は、U字状であり、絶縁層P9の主面上に設けられている。
【0088】
コイル導体Q9は、ランド部Rb9及びランド部Rc9を別々の端部に有している。
【0089】
ランド部Rb9は、絶縁層P9を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb9に接続されている。ビア導体Sb9は、ランド部Rb9に加えて、ランド部Rb8にも接続されている。つまり、ランド部Rb8及びランド部Rb9は、ビア導体Sb9を介して電気的に接続されている。
【0090】
コイル導体Q9は、屈曲部Ua9及び屈曲部Ud9を有している。
【0091】
屈曲部Ua9は、絶縁層P9を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa9に接続されている。ビア導体Sa9は、屈曲部Ua9に加えて、ランド部Ra8にも接続されている。つまり、ランド部Ra8及び屈曲部Ua9は、ビア導体Sa9を介して電気的に接続されている。
【0092】
屈曲部Ud9は、絶縁層P9を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd9に接続されている。ビア導体Sd9は、屈曲部Ud9に加えて、屈曲部Ud8にも接続されている。つまり、屈曲部Ud8及び屈曲部Ud9は、ビア導体Sd9を介して電気的に接続されている。
【0093】
コイル導体Q10は、U字状であり、絶縁層P10の主面上に設けられている。
【0094】
コイル導体Q10は、ランド部Rc10及びランド部Rd10を別々の端部に有している。
【0095】
ランド部Rd10は、絶縁層P10を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd10に接続されている。ビア導体Sd10は、ランド部Rd10に加えて、屈曲部Ud9にも接続されている。つまり、屈曲部Ud9及びランド部Rd10は、ビア導体Sd10を介して電気的に接続されている。
【0096】
コイル導体Q10は、屈曲部Ua10及び屈曲部Ub10を有している。
【0097】
屈曲部Ua10は、絶縁層P10を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa10に接続されている。ビア導体Sa10は、屈曲部Ua10に加えて、屈曲部Ua9にも接続されている。つまり、屈曲部Ua9及び屈曲部Ua10は、ビア導体Sa10を介して電気的に接続されている。
【0098】
屈曲部Ub10は、絶縁層P10を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb10に接続されている。ビア導体Sb10は、屈曲部Ub10に加えて、ランド部Rb9にも接続されている。つまり、ランド部Rb9及び屈曲部Ub10は、ビア導体Sb10を介して電気的に接続されている。
【0099】
コイル導体Q11は、U字状であり、絶縁層P11の主面上に設けられている。
【0100】
コイル導体Q11は、ランド部Ra11及びランド部Rd11を別々の端部に有している。
【0101】
ランド部Ra11は、絶縁層P11を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa11に接続されている。ビア導体Sa11は、ランド部Ra11に加えて、屈曲部Ua10にも接続されている。つまり、屈曲部Ua10及びランド部Ra11は、ビア導体Sa11を介して電気的に接続されている。
【0102】
コイル導体Q11は、屈曲部Ub11及び屈曲部Uc11を有している。
【0103】
屈曲部Ub11は、絶縁層P11を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb11に接続されている。ビア導体Sb11は、屈曲部Ub11に加えて、屈曲部Ub10にも接続されている。つまり、屈曲部Ub10及び屈曲部Ub11は、ビア導体Sb11を介して電気的に接続されている。
【0104】
屈曲部Uc11は、絶縁層P11を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc11に接続されている。ビア導体Sc11は、屈曲部Uc11に加えて、ランド部Rc10にも接続されている。つまり、ランド部Rc10及び屈曲部Uc11は、ビア導体Sc11を介して電気的に接続されている。
【0105】
コイル導体Q12は、U字状であり、絶縁層P12の主面上に設けられている。
【0106】
コイル導体Q12は、ランド部Ra12及びランド部Rb12を別々の端部に有している。
【0107】
ランド部Rb12は、絶縁層P12を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb12に接続されている。ビア導体Sb12は、ランド部Rb12に加えて、屈曲部Ub11にも接続されている。つまり、屈曲部Ub11及びランド部Rb12は、ビア導体Sb12を介して電気的に接続されている。
【0108】
コイル導体Q12は、屈曲部Uc12及び屈曲部Ud12を有している。
【0109】
屈曲部Uc12は、絶縁層P12を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc12に接続されている。ビア導体Sc12は、屈曲部Uc12に加えて、屈曲部Uc11にも接続されている。つまり、屈曲部Uc11及び屈曲部Uc12は、ビア導体Sc12を介して電気的に接続されている。
【0110】
屈曲部Ud12は、絶縁層P12を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd12に接続されている。ビア導体Sd12は、屈曲部Ud12に加えて、ランド部Rd11にも接続されている。つまり、ランド部Rd11及び屈曲部Ud12は、ビア導体Sd12を介して電気的に接続されている。
【0111】
コイル導体Q13は、U字状であり、絶縁層P13の主面上に設けられている。
【0112】
コイル導体Q13は、ランド部Rb13及びランド部Rc13を別々の端部に有している。
【0113】
ランド部Rc13は、絶縁層P13を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc13に接続されている。ビア導体Sc13は、ランド部Rc13に加えて、屈曲部Uc12にも接続されている。つまり、屈曲部Uc12及びランド部Rc13は、ビア導体Sc13を介して電気的に接続されている。
【0114】
コイル導体Q13は、屈曲部Ua13及び屈曲部Ud13を有している。
【0115】
屈曲部Ua13は、絶縁層P13を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa13に接続されている。ビア導体Sa13は、屈曲部Ua13に加えて、ランド部Ra12にも接続されている。つまり、ランド部Ra12及び屈曲部Ua13は、ビア導体Sa13を介して電気的に接続されている。
【0116】
屈曲部Ud13は、絶縁層P13を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd13に接続されている。ビア導体Sd13は、屈曲部Ud13に加えて、屈曲部Ud12にも接続されている。つまり、屈曲部Ud12及び屈曲部Ud13は、ビア導体Sd13を介して電気的に接続されている。
【0117】
コイル導体Q14は、U字状であり、絶縁層P14の主面上に設けられている。
【0118】
コイル導体Q14は、ランド部Rc14及びランド部Rd14を別々の端部に有している。
【0119】
ランド部Rd14は、絶縁層P14を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd14に接続されている。ビア導体Sd14は、ランド部Rd14に加えて、屈曲部Ud13にも接続されている。つまり、屈曲部Ud13及びランド部Rd14は、ビア導体Sd14を介して電気的に接続されている。
【0120】
コイル導体Q14は、屈曲部Ua14及び屈曲部Ub14を有している。
【0121】
屈曲部Ua14は、絶縁層P14を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa14に接続されている。ビア導体Sa14は、屈曲部Ua14に加えて、屈曲部Ua13にも接続されている。つまり、屈曲部Ua13及び屈曲部Ua14は、ビア導体Sa14を介して電気的に接続されている。
【0122】
屈曲部Ub14は、絶縁層P14を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb14に接続されている。ビア導体Sb14は、屈曲部Ub14に加えて、ランド部Rb13にも接続されている。つまり、ランド部Rb13及び屈曲部Ub14は、ビア導体Sb14を介して電気的に接続されている。
【0123】
本明細書中、U字状は、3辺のうちで隣接する2辺が略直交した形状と言えるものであればよく、3辺のうちで隣接する2辺が厳密に直交した形状である必要はない。
【0124】
積層型コイル部品1では、上述したように、絶縁層P1、絶縁層P2、絶縁層P3、絶縁層P4、絶縁層P5、絶縁層P6、絶縁層P7、絶縁層P8、絶縁層P9、絶縁層P10、絶縁層P11、絶縁層P12、絶縁層P13、及び、絶縁層P14が、長さ方向Lに順に積層されている。これにより、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、コイル導体Q4、コイル導体Q5、コイル導体Q6、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、コイル導体Q10、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14が、上述した絶縁層とともに長さ方向Lに順に積層されつつ、上述したビア導体を介して電気的に接続され、結果的に、コイル30Aが構成される。
【0125】
コイル30Aは、例えば、ソレノイド状である。
【0126】
長さ方向Lから見たとき、コイル30Aは、
図2及び
図3に示すような直線部で構成される形状(例えば、多角形状)であってもよいし、曲線部で構成される形状(例えば、円形状)であってもよいし、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよい。
【0127】
本発明の積層型コイル部品において、上記積層方向と上記コイルのコイル軸の方向とは、同じ方向に沿って上記素体の実装面に平行であることが好ましい。
【0128】
素体10Aにおいて、絶縁層の積層方向は、長さ方向Lに平行である。つまり、絶縁層の積層方向は、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0129】
コイル30Aは、コイル軸Cを有している。コイル30Aのコイル軸Cは、長さ方向Lから見たときのコイル30Aの中心軸に該当し、長さ方向Lに延びている。つまり、コイル30Aのコイル軸Cの方向は、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0130】
したがって、積層型コイル部品1において、絶縁層の積層方向とコイル30Aのコイル軸Cの方向とは、同じ長さ方向Lに沿って、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0131】
積層型コイル部品1では、絶縁層の積層方向とコイル30Aのコイル軸Cの方向とが、同じ長さ方向Lに沿って、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である態様を示したが、絶縁層の積層方向とコイルのコイル軸の方向とが、実装面である素体の第1主面に直交していてもよい。
【0132】
積層型コイル部品1において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Ea1を含んでいる。
【0133】
第1積層部Ea1は、3つの隣り合うコイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3からなる。コイル導体Q1は、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体において、長さ方向Lの最外位置に存在する最外コイル導体に該当する。
【0134】
第1積層部Ea1は、第1積層部Ea1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Ma1を有している。
【0135】
第1並走区間Ma1は、ビア導体Sa2、ビア導体Sb2、ビア導体Sa3、及び、ビア導体Sb3により並列接続されている。つまり、コイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3は、第1並走区間Ma1において並列接続されている。
【0136】
コイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3は、第1並走区間Ma1以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0137】
本発明の積層型コイル部品において、上記第1積層部を構成するすべての上記コイル導体の長さは、上記コイルの3/4ターンの長さであってもよい。
【0138】
積層型コイル部品1において、例えば、第1積層部Ea1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3の長さは、コイル30Aの3/4ターンの長さである。
【0139】
本明細書中、コイル導体の長さは、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)から見たときの、積層方向に直交する平面上でのコイル導体が延びる方向の長さを意味する。
【0140】
本発明の積層型コイル部品において、上記積層方向に積層された複数の上記コイル導体は、上記第1積層部と同数の隣り合う上記コイル導体からなる第2積層部を更に含んでいることが好ましく、上記第2積層部は、上記第2積層部を構成するすべての上記コイル導体が上記積層方向から見たときに重なり合う第2並走区間を有していることが好ましく、上記第2並走区間は、上記ビア導体により並列接続されていることが好ましく、上記第1並走区間及び上記第2並走区間は、上記積層方向から見たときに重なり合っていることが好ましい。
【0141】
積層型コイル部品1において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Ea1に加えて、第2積層部Fa1を更に含んでいる。
【0142】
第2積層部Fa1は、第1積層部Ea1と同数である3つの隣り合うコイル導体Q5、コイル導体Q6、及び、コイル導体Q7からなる。
【0143】
第2積層部Fa1は、第2積層部Fa1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q5、コイル導体Q6、及び、コイル導体Q7が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Na1を有している。
【0144】
第2並走区間Na1は、ビア導体Sa6、ビア導体Sb6、ビア導体Sa7、及び、ビア導体Sb7により並列接続されている。つまり、コイル導体Q5、コイル導体Q6、及び、コイル導体Q7は、第2並走区間Na1において並列接続されている。
【0145】
コイル導体Q5、コイル導体Q6、及び、コイル導体Q7は、第2並走区間Na1以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0146】
第1並走区間Ma1及び第2並走区間Na1は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0147】
本発明の積層型コイル部品において、上記第2積層部を構成するすべての上記コイル導体の長さは、上記コイルの3/4ターンの長さであってもよい。
【0148】
積層型コイル部品1において、例えば、第2積層部Fa1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q5、コイル導体Q6、及び、コイル導体Q7の長さは、コイル30Aの3/4ターンの長さである。
【0149】
以上では、第1積層部が、素体10Aの第1端面11a側に存在する最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む態様を例示したが、第1積層部は、素体10Aの第2端面11b側に存在する最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含んでいてもよい。
【0150】
積層型コイル部品1において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Eb1を含んでいる。
【0151】
第1積層部Eb1は、3つの隣り合うコイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14からなる。コイル導体Q14は、コイル導体Q1と同様に、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体において、長さ方向Lの最外位置に存在する最外コイル導体に該当する。
【0152】
第1積層部Eb1は、第1積層部Eb1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Mb1を有している。
【0153】
第1並走区間Mb1は、ビア導体Sa13、ビア導体Sd13、ビア導体Sa14、及び、ビア導体Sd14により並列接続されている。つまり、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14は、第1並走区間Mb1において並列接続されている。
【0154】
コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14は、第1並走区間Mb1以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0155】
第1積層部Eb1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14の長さは、コイル30Aの3/4ターンの長さである。
【0156】
積層型コイル部品1において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Eb1に加えて、第2積層部Fb1を更に含んでいる。
【0157】
第2積層部Fb1は、第1積層部Eb1と同数である3つの隣り合うコイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q10からなる。
【0158】
第2積層部Fb1は、第2積層部Fb1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q10が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Nb1を有している。
【0159】
第2並走区間Nb1は、ビア導体Sa9、ビア導体Sd9、ビア導体Sa10、及び、ビア導体Sd10により並列接続されている。つまり、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q10は、第2並走区間Nb1において並列接続されている。
【0160】
コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q10は、第2並走区間Nb1以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0161】
第1並走区間Mb1及び第2並走区間Nb1は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0162】
第2積層部Fb1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q10の長さは、コイル30Aの3/4ターンの長さである。
【0163】
以上では、積層型コイル部品1において、3つの隣り合うコイル導体からなる積層部として、第1積層部Ea1、第1積層部Eb1、第2積層部Fa1、及び、第2積層部Fb1を例示したが、3つの隣り合うコイル導体の他の組み合わせからなる積層部についても同様である。つまり、積層型コイル部品1において、3つの隣り合うコイル導体は、これらのコイル導体が長さ方向Lから見たときに重なり合う並走区間において並列接続されている。
【0164】
積層型コイル部品1では、3つの隣り合うコイル導体が並走区間において並列接続されているため、その分、コイル30Aの電流経路に沿う方向、すなわち、コイル導体が延びる方向に直交するコイル30Aの断面積が増加する。よって、積層型コイル部品1では、コイル30Aの直流抵抗(Rdc)が低いものとなり、コイル30Aに大電流を流すことが可能となる。
【0165】
素体10Aは、絶縁層Pxを更に含んでいる。
【0166】
絶縁層Pxは、絶縁層P1の第1端面11a側、すなわち、絶縁層P1の絶縁層P2と反対側に積層されている。
【0167】
絶縁層Pxの主面上には、引き出し用ランド部Rbxが設けられている。引き出し用ランド部Rbxは、絶縁層Pxを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sbxに接続されている。引き出し用ランド部Rbxは、引き出し用ビア導体Sbxに加えて、絶縁層P1を長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sb1にも接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rbx、引き出し用ビア導体Sbx、及び、引き出し用ビア導体Sb1からなる第1引き出し導体41aが構成される。
【0168】
引き出し用ビア導体Sb1は、引き出し用ランド部Rbxに加えて、ランド部Rb1にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1の一端に位置するランド部Rb1において、第1引き出し導体41aに接続されている。このようにして、第1引き出し導体41aは、コイル30Aに接続されている。
【0169】
図4は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第1端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【0170】
図4に示すように、絶縁層Pxが絶縁層P1の絶縁層P2と反対側に積層されていることにより、第1引き出し導体41aは、素体10Aの第1端面11aから露出する。第1引き出し導体41aの露出部分は、素体10Aの第1端面11a上に設けられた第1外部電極21に接続されている。
【0171】
よって、コイル30A及び第1外部電極21は、第1引き出し導体41aを介して電気的に接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1の一端に位置するランド部Rb1において、第1引き出し導体41aを介して、第1外部電極21に電気的に接続されている。
【0172】
なお、
図4では、説明の便宜上、絶縁層間の境界が示されているが、実際にはこれらの境界が明瞭に現れていない。
【0173】
絶縁層Pxの主面上には、引き出し用ランド部Rbxと離隔した位置に、引き出し用ランド部Raxが設けられている。引き出し用ランド部Raxは、絶縁層Pxを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Saxに接続されている。引き出し用ランド部Raxは、引き出し用ビア導体Saxに加えて、絶縁層P1を長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sa1にも接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rax、引き出し用ビア導体Sax、及び、引き出し用ビア導体Sa1からなる第2引き出し導体42aが構成される。
【0174】
引き出し用ビア導体Sa1は、引き出し用ランド部Raxに加えて、屈曲部Ua1にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1の他端に位置する屈曲部Ua1において、第2引き出し導体42aに接続されている。このようにして、第2引き出し導体42aは、コイル30Aに接続されている。
【0175】
絶縁層Pxが絶縁層P1の絶縁層P2と反対側に積層されていることにより、第2引き出し導体42aは、素体10Aの第1端面11aから露出する。第2引き出し導体42aの露出部分は、素体10Aの第1端面11a上に設けられた第1外部電極21に接続されている。第2引き出し導体42aと第1外部電極21との接続態様を示す断面図は、第1引き出し導体41aと第1外部電極21との接続態様を示す断面図である
図4と同様である。
【0176】
よって、コイル30A及び第1外部電極21は、第2引き出し導体42aを介して電気的に接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1の他端に位置する屈曲部Ua1おいて、第2引き出し導体42aを介して、第1外部電極21に電気的に接続されている。
【0177】
以上のことから、コイル30Aは、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aを介して、同一の第1外部電極21に電気的に接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1の一端に位置するランド部Rb1において第1引き出し導体41aを介して、かつ、第1並走区間Ma1の他端に位置する屈曲部Ua1おいて第2引き出し導体42aを介して、同一の第1外部電極21に電気的に接続されている。
【0178】
積層型コイル部品1では、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1が、第1並走区間Ma1の一端において第1引き出し導体41aを介して、かつ、第1並走区間Ma1の他端において第2引き出し導体42aを介して、同一の第1外部電極21に電気的に接続されていることにより、コイル30A及び第1外部電極21の間の電流経路を、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aの2つの経路にすることができる。そのため、積層型コイル部品1では、1つの引き出し導体当たりの電流密度を低くすることができる。よって、積層型コイル部品1では、例えば、コイル30A及び第1外部電極21の間に大電流を流しても、コイル30A及び第1外部電極21が1つの引き出し導体のみで電気的に接続されている場合と比較して、1つの引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制できる。コイル30A及び第1外部電極21が1つの引き出し導体のみで電気的に接続されている場合、引き出し導体において発熱及びエレクトロマイグレーションによる断線が発生すると、積層型コイル部品が機能しなくなるおそれがある。これに対して、積層型コイル部品1では、コイル30A及び第1外部電極21の間に大電流を流しても、1つの引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制できるため、引き出し導体の断線を抑制できる。更に、積層型コイル部品1では、万が一、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aの一方に断線が発生しても、他方により積層型コイル部品の機能を維持できる。
【0179】
絶縁層Pxの層数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0180】
絶縁層Pxの層数が複数である場合、第1引き出し導体41aは、複数の引き出し用ランド部Rbx及び複数の引き出し用ビア導体Sbxが交互に接続された上で、引き出し用ビア導体Sb1が更に接続されてなる。
【0181】
絶縁層Pxの層数が複数である場合、第2引き出し導体42aは、複数の引き出し用ランド部Rax及び複数の引き出し用ビア導体Saxが交互に接続された上で、引き出し用ビア導体Sa1が更に接続されてなる。
【0182】
素体10Aは、絶縁層Pyを更に含んでいる。
【0183】
絶縁層Pyは、絶縁層P14の第2端面11b側、すなわち、絶縁層P14の絶縁層P13と反対側に積層されている。
【0184】
絶縁層Pyの主面上には、引き出し用ランド部Rdyが設けられている。引き出し用ランド部Rdyは、絶縁層Pyを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sdyに接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rdy及び引き出し用ビア導体Sdyからなる第1引き出し導体41bが構成される。
【0185】
引き出し用ビア導体Sdyは、引き出し用ランド部Rdyに加えて、ランド部Rd14にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1の一端に位置するランド部Rd14において、第1引き出し導体41bに接続されている。このようにして、第1引き出し導体41bは、コイル30Aに接続されている。
【0186】
図5は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第2端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【0187】
図5に示すように、絶縁層Pyが絶縁層P14の絶縁層P13と反対側に積層されていることにより、第1引き出し導体41bは、素体10Aの第2端面11bから露出する。第1引き出し導体41bの露出部分は、素体10Aの第2端面11b上に設けられた第2外部電極22に接続されている。
【0188】
よって、コイル30A及び第2外部電極22は、第1引き出し導体41bを介して電気的に接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1の一端に位置するランド部Rd14において、第1引き出し導体41bを介して、第2外部電極22に電気的に接続されている。
【0189】
なお、
図5では、説明の便宜上、絶縁層間の境界が示されているが、実際にはこれらの境界が明瞭に現れていない。
【0190】
絶縁層Pyの主面上には、引き出し用ランド部Rdyと離隔した位置に、引き出し用ランド部Rayが設けられている。引き出し用ランド部Rayは、絶縁層Pyを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sayに接続されている。これにより、引き出し用ランド部Ray及び引き出し用ビア導体Sayからなる第2引き出し導体42bが構成される。
【0191】
引き出し用ビア導体Sayは、引き出し用ランド部Rayに加えて、屈曲部Ua14にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1の他端に位置する屈曲部Ua14において、第2引き出し導体42bに接続されている。このようにして、第2引き出し導体42bは、コイル30Aに接続されている。
【0192】
絶縁層Pyが絶縁層P14の絶縁層P13と反対側に積層されていることにより、第2引き出し導体42bは、素体10Aの第2端面11bから露出する。第2引き出し導体42bの露出部分は、素体10Aの第2端面11b上に設けられた第2外部電極22に接続されている。第2引き出し導体42bと第2外部電極22との接続態様を示す断面図は、第1引き出し導体41bと第2外部電極22との接続態様を示す断面図である
図5と同様である。
【0193】
よって、コイル30A及び第2外部電極22は、第2引き出し導体42bを介して電気的に接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1の他端に位置する屈曲部Ua14おいて、第2引き出し導体42bを介して、第2外部電極22に電気的に接続されている。
【0194】
以上のことから、コイル30Aは、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bを介して、同一の第2外部電極22に電気的に接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1の一端に位置するランド部Rd14において第1引き出し導体41bを介して、かつ、第1並走区間Mb1の他端に位置する屈曲部Ua14おいて第2引き出し導体42bを介して、同一の第2外部電極22に電気的に接続されている。
【0195】
積層型コイル部品1では、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14が、第1並走区間Mb1の一端において第1引き出し導体41bを介して、かつ、第1並走区間Mb1の他端において第2引き出し導体42bを介して、同一の第2外部電極22に電気的に接続されていることにより、コイル30A及び第2外部電極22の間の電流経路を、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bの2つの経路にすることができる。そのため、積層型コイル部品1では、1つの引き出し導体当たりの電流密度を低くすることができる。よって、積層型コイル部品1では、例えば、コイル30A及び第2外部電極22の間に大電流を流しても、コイル30A及び第2外部電極22が1つの引き出し導体のみで電気的に接続されている場合と比較して、1つの引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制できる。コイル30A及び第2外部電極22が1つの引き出し導体のみで電気的に接続されている場合、引き出し導体において発熱及びエレクトロマイグレーションによる断線が発生すると、積層型コイル部品が機能しなくなるおそれがある。これに対して、積層型コイル部品1では、コイル30A及び第2外部電極22の間に大電流を流しても、1つの引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制できるため、引き出し導体の断線を抑制できる。更に、積層型コイル部品1では、万が一、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bの一方に断線が発生しても、他方により積層型コイル部品の機能を維持できる。
【0196】
絶縁層Pyの層数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0197】
絶縁層Pyの層数が複数である場合、第1引き出し導体41bは、複数の引き出し用ランド部Rdy及び複数の引き出し用ビア導体Sdyが交互に接続されてなる。
【0198】
絶縁層Pyの層数が複数である場合、第2引き出し導体42bは、複数の引き出し用ランド部Ray及び複数の引き出し用ビア導体Sayが交互に接続されてなる。
【0199】
絶縁層Px及び絶縁層Pyの層数は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0200】
各々のコイル導体(ランド部を含む)、各々のビア導体、及び、各々の引き出し用ビア導体の構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0201】
長さ方向Lから見たとき、各々のコイル導体は、
図2及び
図3に示すような直線部で構成される形状であってもよいし、曲線部で構成される形状であってもよいし、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよい。
【0202】
長さ方向Lから見たとき、各々のランド部は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0203】
長さ方向Lから見たとき、各々のビア導体は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0204】
長さ方向Lから見たとき、各々の引き出し用ビア導体は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0205】
各々のコイル導体、及び、各々の引き出し導体は、独立して、ランド部を有していなくてもよい。
【0206】
本発明の積層型コイル部品において、上記積層方向から見たとき、上記第1引き出し導体と上記最外コイル導体とが重なり合う領域は、上記最外コイル導体を含む4つの隣り合う上記コイル導体が上記ビア導体を介して重なり合う領域に重なっていることが好ましく、上記積層方向から見たとき、上記第2引き出し導体と上記最外コイル導体とが重なり合う領域は、上記最外コイル導体を含む3つの隣り合う上記コイル導体が上記ビア導体を介して重なり合う領域に重なっていることが好ましい。
【0207】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、ランド部Rb1において、第1引き出し導体41aに接続されている。つまり、ランド部Rb1は、長さ方向Lから見たときに第1引き出し導体41aに重なっている。
【0208】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む4つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、及び、コイル導体Q4は、ビア導体を介して、以下のように電気的に接続されている。
【0209】
コイル導体Q1及びコイル導体Q2は、ランド部Rb1及び屈曲部Ub2において、ビア導体Sb2を介して電気的に接続されている。つまり、ランド部Rb1及び屈曲部Ub2は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sb2を介して重なり合っている。
【0210】
コイル導体Q2及びコイル導体Q3は、屈曲部Ub2及び屈曲部Ub3において、ビア導体Sb3を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ub2及び屈曲部Ub3は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sb3を介して重なり合っている。
【0211】
コイル導体Q3及びコイル導体Q4は、屈曲部Ub3及びランド部Rb4において、ビア導体Sb4を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ub3及びランド部Rb4は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sb4を介して重なり合っている。
【0212】
以上のことから、積層型コイル部品1において、第1引き出し導体41a、ランド部Rb1、屈曲部Ub2、屈曲部Ub3、及び、ランド部Rb4は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。このように、積層型コイル部品1において、長さ方向Lから見たとき、第1引き出し導体41aと最外コイル導体に該当するコイル導体Q1とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む4つの隣り合うコイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、及び、コイル導体Q4がビア導体Sb2、ビア導体Sb3、及び、ビア導体Sb4を介して重なり合う領域に重なっている。これにより、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、及び、コイル導体Q4がビア導体Sb2、ビア導体Sb3、及び、ビア導体Sb4を介して重なり合う領域と、第1引き出し導体41aとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0213】
コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、及び、コイル導体Q4がビア導体Sb2、ビア導体Sb3、及び、ビア導体Sb4を介して重なり合う領域では、後述するコイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3がビア導体Sa2及びビア導体Sa3を介して重なり合う領域と比較して、電流密度が高くなりやすい。そのため、上述したように、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、及び、コイル導体Q4がビア導体Sb2、ビア導体Sb3、及び、ビア導体Sb4を介して重なり合う領域と、第1引き出し導体41aとの間の電流経路の直流抵抗を低くすることにより、第1引き出し導体41aの電流密度が高くなってしまうことが抑制される。よって、積層型コイル部品1では、コイル30A及び第1外部電極21の間の電流経路が第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aの2つの経路となっていることも相まって、第1引き出し導体41aにおける発熱及びエレクトロマイグレーションの発生が抑制される。その結果、積層型コイル部品1では、第1引き出し導体41aの断線が抑制される。
【0214】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、屈曲部Ua1において、第2引き出し導体42aに接続されている。つまり、屈曲部Ua1は、長さ方向Lから見たときに第2引き出し導体42aに重なっている。
【0215】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む3つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3は、ビア導体を介して、以下のように電気的に接続されている。
【0216】
コイル導体Q1及びコイル導体Q2は、屈曲部Ua1及び屈曲部Ua2において、ビア導体Sa2を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ua1及び屈曲部Ua2は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sa2を介して重なり合っている。
【0217】
コイル導体Q2及びコイル導体Q3は、屈曲部Ua2及びランド部Ra3において、ビア導体Sa3を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ua2及びランド部Ra3は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sa3を介して重なり合っている。
【0218】
以上のことから、積層型コイル部品1において、第2引き出し導体42a、屈曲部Ua1、屈曲部Ua2、及び、ランド部Ra3は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。このように、積層型コイル部品1において、長さ方向Lから見たとき、第2引き出し導体42aと最外コイル導体に該当するコイル導体Q1とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む3つの隣り合うコイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3がビア導体Sa2及びビア導体Sa3を介して重なり合う領域に重なっている。これにより、コイル導体Q1、コイル導体Q2、及び、コイル導体Q3がビア導体Sa2及びビア導体Sa3を介して重なり合う領域と、第2引き出し導体42aとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0219】
以上では、最外コイル導体がコイル導体Q1に該当する態様を例示したが、最外コイル導体がコイル導体Q14に該当する態様についても同様である。
【0220】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、ランド部Rd14において、第1引き出し導体41bに接続されている。つまり、ランド部Rd14は、長さ方向Lから見たときに第1引き出し導体41bに重なっている。
【0221】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む4つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14は、ビア導体を介して、以下のように電気的に接続されている。
【0222】
コイル導体Q11及びコイル導体Q12は、ランド部Rd11及び屈曲部Ud12において、ビア導体Sd12を介して電気的に接続されている。つまり、ランド部Rd11及び屈曲部Ud12は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sd12を介して重なり合っている。
【0223】
コイル導体Q12及びコイル導体Q13は、屈曲部Ud12及び屈曲部Ud13において、ビア導体Sd13を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ud12及び屈曲部Ud13は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sd13を介して重なり合っている。
【0224】
コイル導体Q13及びコイル導体Q14は、屈曲部Ud13及びランド部Rd14において、ビア導体Sd14を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ud13及びランド部Rd14は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sd14を介して重なり合っている。
【0225】
以上のことから、積層型コイル部品1において、第1引き出し導体41b、ランド部Rd14、屈曲部Ud13、屈曲部Ud12、及び、ランド部Rd11は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。このように、積層型コイル部品1において、長さ方向Lから見たとき、第1引き出し導体41bと最外コイル導体に該当するコイル導体Q14とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む4つの隣り合うコイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14がビア導体Sd12、ビア導体Sd13、及び、ビア導体Sd14を介して重なり合う領域に重なっている。これにより、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14がビア導体Sd12、ビア導体Sd13、及び、ビア導体Sd14を介して重なり合う領域と、第1引き出し導体41bとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0226】
コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14がビア導体Sd12、ビア導体Sd13、及び、ビア導体Sd14を介して重なり合う領域では、後述するコイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14がビア導体Sa13及びビア導体Sa14を介して重なり合う領域と比較して、電流密度が高くなりやすい。そのため、上述したように、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14がビア導体Sd12、ビア導体Sd13、及び、ビア導体Sd14を介して重なり合う領域と、第1引き出し導体41bとの間の電流経路の直流抵抗を低くすることにより、第1引き出し導体41bの電流密度が高くなってしまうことが抑制される。よって、積層型コイル部品1では、コイル30A及び第2外部電極22の間の電流経路が第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bの2つの経路となっていることも相まって、第1引き出し導体41bにおける発熱及びエレクトロマイグレーションの発生が抑制される。その結果、積層型コイル部品1では、第1引き出し導体41bの断線が抑制される。
【0227】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、屈曲部Ua14において、第2引き出し導体42bに接続されている。つまり、屈曲部Ua14は、長さ方向Lから見たときに第2引き出し導体42bに重なっている。
【0228】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む3つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14は、ビア導体を介して、以下のように電気的に接続されている。
【0229】
コイル導体Q12及びコイル導体Q13は、ランド部Ra12及び屈曲部Ua13において、ビア導体Sa13を介して電気的に接続されている。つまり、ランド部Ra12及び屈曲部Ua13は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sa13を介して重なり合っている。
【0230】
コイル導体Q13及びコイル導体Q14は、屈曲部Ua13及び屈曲部Ua14において、ビア導体Sa14を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ua13及び屈曲部Ua14は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sa14を介して重なり合っている。
【0231】
以上のことから、積層型コイル部品1において、第2引き出し導体42b、屈曲部Ua14、屈曲部Ua13、及び、ランド部Ra12は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。このように、積層型コイル部品1において、長さ方向Lから見たとき、第2引き出し導体42bと最外コイル導体に該当するコイル導体Q14とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む3つの隣り合うコイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14がビア導体Sa13及びビア導体Sa14を介して重なり合う領域に重なっている。これにより、コイル導体Q12、コイル導体Q13、及び、コイル導体Q14がビア導体Sa13及びビア導体Sa14を介して重なり合う領域と、第2引き出し導体42bとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0232】
積層型コイル部品1は、例えば、以下の方法で製造される。
【0233】
<磁性材料の作製工程>
まず、Fe2O3、ZnO、CuO、及び、NiOを所定の比率になるように秤量する。
【0234】
次に、これらの秤量物、純水等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕する。混合・粉砕時間については、例えば、4時間以上、8時間以下とする。
【0235】
そして、得られた粉砕物を乾燥させた後、仮焼成する。仮焼成温度については、例えば、700℃以上、800℃以下とする。仮焼成時間については、例えば、2時間以上、5時間以下とする。
【0236】
このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製する。
【0237】
フェライト材料は、Ni-Cu-Zn系フェライト材料であることが好ましい。
【0238】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で2mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で6mol%以上、13mol%以下、NiをNiO換算で10mol%以上、45mol%以下含むことが好ましい。
【0239】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Co、Bi、Sn、Mn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0240】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0241】
<グリーンシートの作製工程>
まず、磁性材料と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。
【0242】
次に、スラリーを、ドクターブレード法等で、所定の厚みのシート状に成形した後、所定の形状に打ち抜くことにより、グリーンシートを作製する。グリーンシートの厚みについては、例えば、20μm以上、30μm以下とする。グリーンシートの形状については、例えば、矩形状とする。
【0243】
グリーンシートの材料としては、磁性材料に代えて、ホウケイ酸ガラス材料等の非磁性材料を用いてもよいし、磁性材料及び非磁性材料の混合材料を用いてもよい。
【0244】
<導体パターンの形成工程>
まず、グリーンシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことにより、ビアホールを形成する。
【0245】
次に、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等で、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工する。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたコイル導体用導体パターンを表面上に形成する。このようにして、グリーンシートにコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたコイルシートを作製する。コイルシートについては複数枚作製し、各コイルシートに対して、
図2及び
図3に示すコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図2及び
図3に示すコイル導体に接続されたビア導体(
図2及び
図3に示す、引き出し用ビア導体Sa1及び引き出し用ビア導体Sb1を含む)に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
【0246】
また、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等で、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工する。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたランド部用導体パターンを表面上に形成する。このようにして、グリーンシートにランド部用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたビアシートを、コイルシートとは別に作製する。ビアシートについても複数枚作製し、各ビアシートに対して、
図2及び
図3に示す引き出し導体を構成する引き出し用ランド部に相当するランド部用導体パターンと、
図2及び
図3に示す引き出し用ランド部に接続された引き出し用ビア導体(
図2及び
図3に示す、引き出し用ビア導体Sa1及び引き出し用ビア導体Sb1を除く)に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
【0247】
<積層体ブロックの作製工程>
コイルシート及びビアシートを、
図2及び
図3に相当する順序で積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層した後、熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
【0248】
<素体及びコイルの作製工程>
まず、積層体ブロックをダイサー等で所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製する。
【0249】
次に、個片化されたチップを焼成する。焼成温度については、例えば、900℃以上、920℃以下とする。焼成時間については、例えば、2時間以上、4時間以下とする。
【0250】
個片化されたチップを焼成すると、コイルシート及びビアシートのグリーンシートは、絶縁層となる。その結果、複数の絶縁層が、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層されてなる素体が作製される。
【0251】
個片化されたチップを焼成すると、コイルシートのコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体及びビア導体(
図2及び
図3に示す、引き出し用ビア導体Sa1及び引き出し用ビア導体Sb1を含む)となる。その結果、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層された複数のコイル導体がビア導体を介して電気的に接続されてなるコイルが作製される。
【0252】
以上により、素体と、素体の内部に設けられたコイルとが作製される。
【0253】
一方、個片化されたチップを焼成すると、ビアシートのランド部用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、引き出し用ランド部及び引き出し用ビア導体となる。その結果、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層された複数の引き出し用ランド部及び複数の引き出し用ビア導体が交互に接続されてなる、第1引き出し導体及び第2引き出し導体が作製される。素体の第1端面側に位置する第1引き出し導体及び第2引き出し導体は、素体の第1端面から露出することになる。素体の第2端面側に位置する第1引き出し導体及び第2引き出し導体は、素体の第2端面から露出することになる。
【0254】
素体に対しては、例えば、バレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
【0255】
<外部電極の形成工程>
まず、Ag及びガラスフリットを含むペースト等の導電性ペーストを塗工することにより、素体の第1端面から露出した第1引き出し導体及び第2引き出し導体に接続された第1塗膜を、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延びるように形成する。
【0256】
また、Ag及びガラスフリットを含むペースト等の導電性ペーストを塗工することにより、素体の第2端面から露出した第3引き出し導体及び第4引き出し導体に接続された第2塗膜を、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延びるように形成する。
【0257】
このようにして、第1塗膜及び第2塗膜を、素体の表面上で互いに離隔した位置に形成する。
【0258】
第1塗膜及び第2塗膜を形成する際、第1塗膜及び第2塗膜を、異なるタイミングで形成してもよいし、同じタイミングで形成してもよい。
【0259】
第1塗膜及び第2塗膜を異なるタイミングで形成する場合、第1塗膜、第2塗膜の順に形成してもよいし、第2塗膜、第1塗膜の順に形成してもよい。
【0260】
次に、第1塗膜を焼き付けることにより、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延び、かつ、第1引き出し導体及び第2引き出し導体に接続された第1下地電極を形成する。
【0261】
また、第2塗膜を焼き付けることにより、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延び、かつ、第3引き出し導体及び第4引き出し導体に接続された第2下地電極を形成する。
【0262】
第1塗膜及び第2塗膜の焼き付け温度については、例えば、800℃以上、820℃以下とする。
【0263】
第1下地電極及び第2下地電極の厚みについては、例えば、5μmとする。
【0264】
そして、第1下地電極の表面上に、電解めっき等で、Niめっき電極及びSnめっき電極を順に形成する。これにより、第1下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を素体の表面側から順に有する第1外部電極が形成される。
【0265】
また、第2下地電極の表面上に、電解めっき等で、Niめっき電極及びSnめっき電極を順に形成する。これにより、第2下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を素体の表面側から順に有する第2外部電極が形成される。
【0266】
このようにして、第1引き出し導体及び第2引き出し導体を介してコイルに電気的に接続された第1外部電極と、第1外部電極に接続されたものとは異なる第1引き出し導体及び第2引き出し導体を介してコイルに電気的に接続された第2外部電極とが、素体の表面上に形成される。
【0267】
以上により、積層型コイル部品1が製造される。
【0268】
積層型コイル部品1では、本発明の積層型コイル部品が有する「上記最外コイル導体は、上記第1並走区間の一端において第1引き出し導体を介して、かつ、上記第1並走区間の他端において第2引き出し導体を介して、同一の上記外部電極に電気的に接続されている」という特徴が、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1及びコイル導体Q14の両方について満たされている態様を例示したが、本発明の積層型コイル部品が有する上記特徴は、コイル導体Q1及びコイル導体Q14の少なくとも一方について満たされていればよい。つまり、本発明の積層型コイル部品が有する上記特徴は、コイル導体Q1のみについて満たされていてもよいし、コイル導体Q14のみについて満たされていてもよいし、上述したようにコイル導体Q1及びコイル導体Q14の両方について満たされていてもよい。
【0269】
[実施形態2]
本発明の積層型コイル部品において、上記最外コイル導体は、上記第1並走区間以外の領域において、上記第1引き出し導体及び上記第2引き出し導体以外の引き出し導体を介して、上記第1引き出し導体及び上記第2引き出し導体が接続された同一の上記外部電極に電気的に接続されていることが好ましい。この場合、本発明の積層型コイル部品において、上記最外コイル導体は、上記第1並走区間以外の領域において、第3引き出し導体を介して、上記第1引き出し導体及び上記第2引き出し導体が接続された同一の上記外部電極に電気的に接続されていることが好ましく、上記積層方向から見たとき、上記第3引き出し導体と上記最外コイル導体とが重なり合う領域は、上記最外コイル導体を含む2つの隣り合う上記コイル導体が上記ビア導体を介して重なり合う領域に重なっていることが好ましい。この点で本発明の実施形態1の積層型コイル部品と異なる態様の積層型コイル部品を、本発明の実施形態2の積層型コイル部品として以下に説明する。
【0270】
図6は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
図7は、
図6に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0271】
図6及び
図7に示す積層型コイル部品2において、素体10Bは、素体10A(
図2及び
図3参照)と同様である。
【0272】
素体10Bの内部には、コイル30Bが設けられている。
【0273】
コイル30Bは、以下に示す構成以外、コイル30A(
図2及び
図3参照)と同様である。
【0274】
ランド部Rd2は、絶縁層P2を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd2に接続されている。ビア導体Sd2は、ランド部Rd2に加えて、屈曲部Ud1にも接続されている。つまり、屈曲部Ud1及びランド部Rd2は、ビア導体Sd2を介して電気的に接続されている。
【0275】
積層型コイル部品2において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1以外の領域において、第3引き出し導体43aを介して、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aが接続された同一の第1外部電極21に電気的に接続されている。
【0276】
第3引き出し導体43aは、以下のようにして構成される。
【0277】
絶縁層Pxの主面上には、引き出し用ランド部Rax及び引き出し用ランド部Rbxと離隔した位置に、引き出し用ランド部Rdxが設けられている。引き出し用ランド部Rdxは、絶縁層Pxを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sdxに接続されている。引き出し用ランド部Rdxは、引き出し用ビア導体Sdxに加えて、絶縁層P1を長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sd1にも接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rdx、引き出し用ビア導体Sdx、及び、引き出し用ビア導体Sd1からなる第3引き出し導体43aが構成される。
【0278】
引き出し用ビア導体Sd1は、引き出し用ランド部Rdxに加えて、屈曲部Ud1にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1以外の領域に位置する屈曲部Ud1において、第3引き出し導体43aに接続されている。このようにして、第3引き出し導体43aは、コイル30Bに接続されている。
【0279】
第3引き出し導体43aは、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aと同様に、第1外部電極21に接続されている。第3引き出し導体43aと第1外部電極21との接続態様を示す断面図は、第1引き出し導体41aと第1外部電極21との接続態様を示す断面図である
図4と同様である。
【0280】
よって、積層型コイル部品2において、コイル30B及び第1外部電極21は、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aに加えて、第3引き出し導体43aを介して電気的に接続されている。つまり、積層型コイル部品2において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1以外の領域において、第3引き出し導体43aを介して、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aが接続された同一の第1外部電極21に電気的に接続されている。
【0281】
積層型コイル部品2では、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1が、第1並走区間Ma1以外の領域において、第3引き出し導体43aを介して、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aが接続された同一の第1外部電極21に電気的に接続されていることにより、コイル30B及び第1外部電極21の間の電流経路を、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aの3つの経路にすることができる。そのため、積層型コイル部品2では、積層型コイル部品1と比較して、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aの電流密度を低くすることができる。よって、積層型コイル部品2では、例えば、コイル30B及び第1外部電極21の間に大電流を流しても、積層型コイル部品1と比較して、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aにおける発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制でき、結果的に、第1引き出し導体41a及び第2引き出し導体42aの断線を抑制できる。
【0282】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、屈曲部Ud1において、第3引き出し導体43aに接続されている。つまり、屈曲部Ud1は、長さ方向Lから見たときに第3引き出し導体43aに重なっている。
【0283】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む2つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q1及びコイル導体Q2は、屈曲部Ud1及びランド部Rd2において、ビア導体Sd2を介して電気的に接続されている。つまり、屈曲部Ud1及びランド部Rd2は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sd2を介して重なり合っている。
【0284】
以上のことから、積層型コイル部品2において、第3引き出し導体43a、屈曲部Ud1、及び、ランド部Rd2は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。このように、積層型コイル部品2において、長さ方向Lから見たとき、第3引き出し導体43aと最外コイル導体に該当するコイル導体Q1とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む2つの隣り合うコイル導体Q1及びコイル導体Q2がビア導体Sd2を介して重なり合う領域に重なっている。これにより、コイル導体Q1及びコイル導体Q2がビア導体Sd2を介して重なり合う領域と、第3引き出し導体43aとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0285】
積層型コイル部品2において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1以外の領域において、第3引き出し導体43bを介して、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bが接続された同一の第2外部電極22に電気的に接続されている。
【0286】
第3引き出し導体43bは、以下のようにして構成される。
【0287】
絶縁層Pyの主面上には、引き出し用ランド部Ray及び引き出し用ランド部Rdyと離隔した位置に、引き出し用ランド部Rbyが設けられている。引き出し用ランド部Rbyは、絶縁層Pyを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sbyに接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rby及び引き出し用ビア導体Sbyからなる第3引き出し導体43bが構成される。
【0288】
引き出し用ビア導体Sbyは、引き出し用ランド部Rbyに加えて、屈曲部Ub14にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1以外の領域に位置する屈曲部Ub14において、第3引き出し導体43bに接続されている。このようにして、第3引き出し導体43bは、コイル30Bに接続されている。
【0289】
第3引き出し導体43bは、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bと同様に、第2外部電極22に接続されている。第3引き出し導体43bと第2外部電極22との接続態様を示す断面図は、第1引き出し導体41bと第2外部電極22との接続態様を示す断面図である
図5と同様である。
【0290】
よって、積層型コイル部品2において、コイル30B及び第2外部電極22は、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bに加えて、第3引き出し導体43bを介して電気的に接続されている。つまり、積層型コイル部品2において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1以外の領域において、第3引き出し導体43bを介して、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bが接続された同一の第2外部電極22に電気的に接続されている。
【0291】
積層型コイル部品2では、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14が、第1並走区間Mb1以外の領域において、第3引き出し導体43bを介して、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bが接続された同一の第2外部電極22に電気的に接続されていることにより、コイル30B及び第2外部電極22の間の電流経路を、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bの3つの経路にすることができる。そのため、積層型コイル部品2では、積層型コイル部品1と比較して、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bの電流密度を低くすることができる。よって、積層型コイル部品2では、例えば、コイル30B及び第2外部電極22の間に大電流を流しても、積層型コイル部品1と比較して、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bにおける発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制でき、結果的に、第1引き出し導体41b及び第2引き出し導体42bの断線を抑制できる。
【0292】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、屈曲部Ub14において、第3引き出し導体43bに接続されている。つまり、屈曲部Ub14は、長さ方向Lから見たときに第3引き出し導体43bに重なっている。
【0293】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む2つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q13及びコイル導体Q14は、ランド部Rb13及び屈曲部Ub14において、ビア導体Sb14を介して電気的に接続されている。つまり、ランド部Rb13及び屈曲部Ub14は、長さ方向Lから見たときにビア導体Sb14を介して重なり合っている。
【0294】
以上のことから、積層型コイル部品2において、第3引き出し導体43b、屈曲部Ub14、及び、ランド部Rb13は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。このように、積層型コイル部品2において、長さ方向Lから見たとき、第3引き出し導体43bと最外コイル導体に該当するコイル導体Q14とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む2つの隣り合うコイル導体Q13及びコイル導体Q14がビア導体Sb14を介して重なり合う領域に重なっている。これにより、コイル導体Q13及びコイル導体Q14がビア導体Sb14を介して重なり合う領域と、第3引き出し導体43bとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0295】
積層型コイル部品2は、例えば、<導体パターンの形成工程>において、コイルシート及びビアシートに対して、
図6及び
図7に示すコイル導体、ビア導体、引き出し用ランド部、及び、引き出し用ビア導体に相当する導体パターンを形成すること以外、積層型コイル部品1と同様にして製造される。
【0296】
積層型コイル部品2では、第3引き出し導体43a及び第3引き出し導体43bの両方が設けられている態様を例示したが、第3引き出し導体43aのみが設けられていてもよいし、第3引き出し導体43bのみが設けられていてもよい。
【0297】
[実施形態3]
本発明の積層型コイル部品において、上記最外コイル導体は、上記第1並走区間以外の領域において、上記第1引き出し導体及び上記第2引き出し導体以外の引き出し導体を介して、上記第1引き出し導体及び上記第2引き出し導体が接続された同一の上記外部電極に電気的に接続されていることが好ましい。この場合、本発明の積層型コイル部品において、上記最外コイル導体は、上記第1並走区間以外の領域において、第4引き出し導体を介して、上記第1引き出し導体及び上記第2引き出し導体が接続された同一の上記外部電極に電気的に接続されていることが好ましく、上記積層方向から見たとき、上記第4引き出し導体と上記最外コイル導体とが重なり合う領域は、上記最外コイル導体を含む2つの隣り合う上記コイル導体が上記ビア導体を介して重なり合わない領域に重なっていることが好ましい。この点で本発明の実施形態2の積層型コイル部品と異なる態様の積層型コイル部品を、本発明の実施形態3の積層型コイル部品として以下に説明する。
【0298】
図8は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
図9は、
図8に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0299】
図8及び
図9に示す積層型コイル部品3において、素体10Cは、素体10B(
図6及び
図7参照)と同様である。
【0300】
素体10Cの内部には、コイル30Cが設けられている。
【0301】
コイル30Cは、コイル30B(
図6及び
図7参照)と同様である。
【0302】
積層型コイル部品3において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1以外の領域において、第4引き出し導体44aを介して、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aが接続された同一の第1外部電極21に電気的に接続されている。
【0303】
第4引き出し導体44aは、以下のようにして構成される。
【0304】
絶縁層Pxの主面上には、引き出し用ランド部Rax、引き出し用ランド部Rbx、及び、引き出し用ランド部Rdxと離隔した位置に、引き出し用ランド部Rcxが設けられている。引き出し用ランド部Rcxは、絶縁層Pxを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Scxに接続されている。引き出し用ランド部Rcxは、引き出し用ビア導体Scxに加えて、絶縁層P1を長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sc1にも接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rcx、引き出し用ビア導体Scx、及び、引き出し用ビア導体Sc1からなる第4引き出し導体44aが構成される。
【0305】
引き出し用ビア導体Sc1は、引き出し用ランド部Rcxに加えて、ランド部Rc1にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1以外の領域に位置するランド部Rc1において、第4引き出し導体44aに接続されている。このようにして、第4引き出し導体44aは、コイル30Cに接続されている。
【0306】
第4引き出し導体44aは、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aと同様に、第1外部電極21に接続されている。第4引き出し導体44aと第1外部電極21との接続態様を示す断面図は、第1引き出し導体41aと第1外部電極21との接続態様を示す断面図である
図4と同様である。
【0307】
よって、積層型コイル部品3において、コイル30C及び第1外部電極21は、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aに加えて、第4引き出し導体44aを介して電気的に接続されている。つまり、積層型コイル部品3において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、第1並走区間Ma1以外の領域において、第4引き出し導体44aを介して、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aが接続された同一の第1外部電極21に電気的に接続されている。
【0308】
積層型コイル部品3では、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1が、第1並走区間Ma1以外の領域において、第4引き出し導体44aを介して、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aが接続された同一の第1外部電極21に電気的に接続されていることにより、コイル30C及び第1外部電極21の間の電流経路を、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、第3引き出し導体43a、及び、第4引き出し導体44aの4つの経路にすることができる。そのため、積層型コイル部品3では、積層型コイル部品2と比較して、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aの電流密度を低くすることができる。よって、積層型コイル部品3では、例えば、コイル30C及び第1外部電極21の間に大電流を流しても、積層型コイル部品2と比較して、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aにおける発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制でき、結果的に、第1引き出し導体41a、第2引き出し導体42a、及び、第3引き出し導体43aの断線を抑制できる。
【0309】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q1は、ランド部Rc1において、第4引き出し導体44aに接続されている。つまり、ランド部Rc1は、長さ方向Lから見たときに第4引き出し導体44aに重なっている。
【0310】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む2つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q1及びコイル導体Q2は、ランド部Rc1及びランド部Rc2において、ビア導体を介して電気的に接続されていない。つまり、ランド部Rc1及びランド部Rc2は、長さ方向Lから見たときにビア導体を介して重なり合っていない。
【0311】
以上のことから、積層型コイル部品3において、長さ方向Lから見たとき、第4引き出し導体44aと最外コイル導体に該当するコイル導体Q1とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q1を含む2つの隣り合うコイル導体Q1及びコイル導体Q2がビア導体を介して重なり合わない領域に重なっている。これにより、コイル導体Q1及びコイル導体Q2がビア導体を介して重なり合わない領域であって、コイル導体Q1及びコイル導体Q2が長さ方向Lから見たときに重なり合わない非並走区間と、第4引き出し導体44aとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0312】
積層型コイル部品3において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1以外の領域において、第4引き出し導体44bを介して、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bが接続された同一の第2外部電極22に電気的に接続されている。
【0313】
第4引き出し導体44bは、以下のようにして構成される。
【0314】
絶縁層Pyの主面上には、引き出し用ランド部Ray、引き出し用ランド部Rby、及び、引き出し用ランド部Rdyと離隔した位置に、引き出し用ランド部Rcyが設けられている。引き出し用ランド部Rcyは、絶縁層Pxを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Scyに接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rcy及び引き出し用ビア導体Scyからなる第4引き出し導体44bが構成される。
【0315】
引き出し用ビア導体Scyは、引き出し用ランド部Rcyに加えて、ランド部Rc14にも接続されている。つまり、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1以外の領域に位置するランド部Rc14において、第4引き出し導体44bに接続されている。このようにして、第4引き出し導体44bは、コイル30Cに接続されている。
【0316】
第4引き出し導体44bは、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bと同様に、第2外部電極22に接続されている。第4引き出し導体44bと第2外部電極22との接続態様を示す断面図は、第1引き出し導体41bと第2外部電極22との接続態様を示す断面図である
図5と同様である。
【0317】
よって、積層型コイル部品3において、コイル30C及び第2外部電極22は、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bに加えて、第4引き出し導体44bを介して電気的に接続されている。つまり、積層型コイル部品3において、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、第1並走区間Mb1以外の領域において、第4引き出し導体44bを介して、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bが接続された同一の第2外部電極22に電気的に接続されている。
【0318】
積層型コイル部品3では、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14が、第1並走区間Mb1以外の領域において、第4引き出し導体44bを介して、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bが接続された同一の第2外部電極22に電気的に接続されていることにより、コイル30C及び第2外部電極22の間の電流経路を、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、第3引き出し導体43b、及び、第4引き出し導体44bの4つの経路にすることができる。そのため、積層型コイル部品3では、積層型コイル部品2と比較して、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bの電流密度を低くすることができる。よって、積層型コイル部品3では、例えば、コイル30C及び第2外部電極22の間に大電流を流しても、積層型コイル部品2と比較して、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bにおける発熱及びエレクトロマイグレーションの発生を抑制でき、結果的に、第1引き出し導体41b、第2引き出し導体42b、及び、第3引き出し導体43bの断線を抑制できる。
【0319】
最外コイル導体に該当するコイル導体Q14は、ランド部Rc14において、第4引き出し導体44bに接続されている。つまり、ランド部Rc14は、長さ方向Lから見たときに第4引き出し導体44bに重なっている。
【0320】
一方、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む2つの隣り合うコイル導体、すなわち、コイル導体Q13及びコイル導体Q14は、ランド部Rc13及びランド部Rc14において、ビア導体を介して電気的に接続されていない。つまり、ランド部Rc13及びランド部Rc14は、長さ方向Lから見たときにビア導体を介して重なり合っていない。
【0321】
以上のことから、積層型コイル部品3において、長さ方向Lから見たとき、第4引き出し導体44bと最外コイル導体に該当するコイル導体Q14とが重なり合う領域は、最外コイル導体に該当するコイル導体Q14を含む2つの隣り合うコイル導体Q13及びコイル導体Q14がビア導体を介して重なり合わない領域に重なっている。これにより、コイル導体Q13及びコイル導体Q14がビア導体を介して重なり合わない領域であって、コイル導体Q13及びコイル導体Q14が長さ方向Lから見たときに重なり合わない非並走区間と、第4引き出し導体44bとの間の電流経路を短くすることができるため、その電流経路の直流抵抗を低くすることができる。
【0322】
積層型コイル部品3は、例えば、<導体パターンの形成工程>において、コイルシート及びビアシートに対して、
図8及び
図9に示すコイル導体、ビア導体、引き出し用ランド部、及び、引き出し用ビア導体に相当する導体パターンを形成すること以外、積層型コイル部品2と同様にして製造される。
【0323】
積層型コイル部品3では、第4引き出し導体44a及び第4引き出し導体44bの両方が設けられている態様を例示したが、第4引き出し導体44aのみが設けられていてもよいし、第4引き出し導体44bのみが設けられていてもよい。
【0324】
積層型コイル部品3では、第1外部電極21側に第3引き出し導体43a及び第4引き出し導体44aの両方が設けられている態様を例示したが、第3引き出し導体43aのみが設けられていてもよいし、第4引き出し導体44aのみが設けられていてもよい。
【0325】
積層型コイル部品3では、第2外部電極22側に第3引き出し導体43b及び第4引き出し導体44bの両方が設けられている態様を例示したが、第3引き出し導体43bのみが設けられていてもよいし、第4引き出し導体44bのみが設けられていてもよい。
【0326】
以上の実施形態では、第1並走区間及び第2並走区間の各々で並列接続されるコイル導体の数が3つである態様を例示したが、第1並走区間及び第2並走区間の各々で並列接続されるコイル導体の数が2つである態様についても同様であり、更には、第1並走区間及び第2並走区間の各々で並列接続されるコイル導体の数が4つ以上である態様についても同様である。中でも、コイルの直流抵抗を低くする観点から、第1並走区間及び第2並走区間の各々で並列接続されるコイル導体の数は、3つ以上であることが好ましい。つまり、本発明の積層型コイル部品において、上記第1積層部は、3つ以上の上記コイル導体からなることが好ましい。また、本発明の積層型コイル部品において、上記第2積層部は、3つ以上の上記コイル導体からなることが好ましい。
【実施例0327】
以下、本発明の積層型コイル部品を具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0328】
[実施例1]
実施例1の積層型コイル部品のシミュレーション用モデル(以下では、単に、「実施例1の積層型コイル部品」と言う)として、実施形態1の積層型コイル部品を採用した。
【0329】
実施例1の積層型コイル部品では、長さ方向における寸法を2.0mm、高さ方向における寸法を1.25mm、幅方向における寸法を1.25mmと設定した。
【0330】
実施例1の積層型コイル部品では、すべてのコイル導体の長さ方向における寸法を21μm、すべてのコイル導体の幅方向における寸法を300μmと設定した。
【0331】
実施例1の積層型コイル部品では、第1外部電極に接続された第1引き出し導体及び第2引き出し導体を構成する引き出し用ビア導体の径を、すべて170μmと設定した。また、実施例1の積層型コイル部品では、第2外部電極に接続された第1引き出し導体及び第2引き出し導体を構成する引き出し用ビア導体の径を、すべて170μmと設定した。
【0332】
[実施例2]
実施例2の積層型コイル部品のシミュレーション用モデル(以下では、単に、「実施例2の積層型コイル部品」と言う)として、実施形態3の積層型コイル部品を採用した。
【0333】
実施例2の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と同様に、長さ方向における寸法を2.0mm、高さ方向における寸法を1.25mm、幅方向における寸法を1.25mmと設定した。
【0334】
実施例2の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と同様に、すべてのコイル導体の長さ方向における寸法を21μm、すべてのコイル導体の幅方向における寸法を300μmと設定した。
【0335】
実施例2の積層型コイル部品では、第1外部電極に接続された第1引き出し導体、第2引き出し導体、第3引き出し導体、及び、第4引き出し導体を構成する引き出し用ビア導体の径を、すべて170μmと設定した。また、実施例2の積層型コイル部品では、第2外部電極に接続された第1引き出し導体、第2引き出し導体、第3引き出し導体、及び、第4引き出し導体を構成する引き出し用ビア導体の径を、すべて170μmと設定した。
【0336】
[比較例1]
比較例1の積層型コイル部品のシミュレーション用モデル(以下では、単に、「比較例1の積層型コイル部品」と言う)として、実施例1の積層型コイル部品から、第1外部電極に接続された第1引き出し導体と、第2外部電極に接続された第1引き出し導体とを除いた構成を採用した。
【0337】
比較例1の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と同様に、長さ方向における寸法を2.0mm、高さ方向における寸法を1.25mm、幅方向における寸法を1.25mmと設定した。
【0338】
比較例1の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と同様に、すべてのコイル導体の長さ方向における寸法を21μm、すべてのコイル導体の幅方向における寸法を300μmと設定した。
【0339】
比較例1の積層型コイル部品では、第1外部電極に接続された第2引き出し導体を構成する引き出し用ビア導体の径を170μmと設定した。また、比較例1の積層型コイル部品では、第2外部電極に接続された第2引き出し導体を構成する引き出し用ビア導体の径を170μmと設定した。
【0340】
[評価]
実施例1の積層型コイル部品、実施例2の積層型コイル部品、及び、比較例1の積層型コイル部品について、引き出し導体に流れる電流値のシミュレーション評価を行った。比較例1の積層型コイル部品の第2引き出し導体に流れる電流値(電流密度)を100%とした場合、実施例1の積層型コイル部品、及び、実施例2の積層型コイル部品の引き出し導体に流れる電流値は、以下の通りであった。
【0341】
<実施例1>
・第1引き出し導体:77%
・第2引き出し導体:23%
【0342】
<実施例2>
・第1引き出し導体:74%
・第2引き出し導体:15%
・第3引き出し導体:7%
・第4引き出し導体:4%
【0343】
実施例1の積層型コイル部品、及び、実施例2の積層型コイル部品では、比較例1の積層型コイル部品と比較して、1つの引き出し導体当たりの電流値(電流密度)が低かった。よって、実施例1の積層型コイル部品、及び、実施例2の積層型コイル部品では、比較例1の積層型コイル部品と比較して、1つの引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生が抑制され、結果的に、引き出し導体の断線が抑制される、と考えられる。更に、実施例1の積層型コイル部品、及び、実施例2の積層型コイル部品では、万が一、電流値が最大となる第1引き出し導体に断線が発生しても、他の引き出し導体により積層型コイル部品の機能を維持できる、と考えられる。
【0344】
実施例2の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と比較して、第1引き出し導体及び第2引き出し導体の電流値(電流密度)が低かった。よって、実施例2の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と比較して、第1引き出し導体及び第2引き出し導体における発熱及びエレクトロマイグレーションの発生が抑制され、結果的に、第1引き出し導体及び第2引き出し導体の断線が抑制される、と考えられる。