(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148399
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】積層型コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20231005BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01F17/00 C
H01F17/00 D
H01F17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056389
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小澤 怜治
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥耀
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070CB13
5E070CB17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】素体にクラック等の欠陥が発生しにくい積層型コイル部品を提供する。
【解決手段】積層型コイル部品1は、複数の絶縁層P1~P15、Px、Pyが長さ方向Lに積層された素体10Aと、素体内部のコイル30Aと、素体表面上でコイルに接続された外部電極と、を備える。コイルは、積層されたコイル導体が絶縁層を貫通するビア導体を介して接続され、複数のコイル導体は3つ以上の隣り合うコイル導体Q3~Q5からなる第1積層部Ea1と、第1積層部と同数の隣り合うコイル導体Q7~Q9からなる第2積層部Fa1と、第1、第2積層部間の1つ又は2つのコイル導体Q6からなる中間部Ga1と、を含む。積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間Ma1、第2並走区間Na1を有し、第1、第2並走区間はビア導体により並列接続され、中間部を構成するすべてのコイル導体は、第1、第2並走区間の各一部に積層方向から見たときに重なっていない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、
前記素体の内部に設けられたコイルと、
前記素体の表面上に設けられ、かつ、前記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、
前記コイルは、前記積層方向に積層された複数のコイル導体が前記絶縁層を前記積層方向に貫通するビア導体を介して電気的に接続されてなり、
前記積層方向に積層された複数の前記コイル導体は、3つ以上の隣り合う前記コイル導体からなる第1積層部と、前記第1積層部と同数の隣り合う前記コイル導体からなる第2積層部と、前記第1積層部及び前記第2積層部の間で両積層部に隣り合い、かつ、1つ又は2つの前記コイル導体からなる中間部と、を含み、
前記第1積層部は、前記第1積層部を構成するすべての前記コイル導体が前記積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間を有し、
前記第1並走区間は、前記ビア導体により並列接続され、
前記第2積層部は、前記第2積層部を構成するすべての前記コイル導体が前記積層方向から見たときに重なり合う第2並走区間を有し、
前記第2並走区間は、前記ビア導体により並列接続され、
前記第1並走区間及び前記第2並走区間は、前記積層方向から見たときに重なり合い、
前記中間部を構成するすべての前記コイル導体は、前記第1並走区間及び前記第2並走区間の各一部に、前記積層方向から見たときに重なっていない、ことを特徴とする積層型コイル部品。
【請求項2】
前記中間部は、1つの前記コイル導体からなる、請求項1に記載の積層型コイル部品。
【請求項3】
前記積層方向と前記コイルのコイル軸の方向とは、同じ方向に沿って前記素体の実装面に平行である、請求項1又は2に記載の積層型コイル部品。
【請求項4】
前記第1積層部、前記第2積層部、及び、前記中間部を構成するすべての前記コイル導体の長さは、前記コイルの3/4ターンの長さである、請求項1~3のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積層方向に積層された複数の絶縁層を含む積層体と、積層体内に積層方向に沿って配列され、直列に接続された複数のコイル群とを備え、コイル群は、絶縁層上に設けられ積層方向に積層された複数のコイルパターンを含むと共に、n個(nは正の整数)のコイルパターンを並列に接続してなるパターン群を複数個直列に接続して構成され、少なくとも1つのコイル群の並列数nは、その他のコイル群の並列数nと異なり、複数の絶縁層は、磁性絶縁層と非磁性絶縁層とを含み、コイルパターンに隣接する絶縁層の少なくとも1つは、非磁性絶縁層である、積層インダクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の
図12Aには、3個のコイルパターンを並列に接続してなるパターン群を複数個直列に接続して構成された積層インダクタが開示されている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1の
図12Aに示された積層インダクタでは、以下の問題が生じることが判明した。
【0005】
特許文献1の
図12Aに示された積層インダクタでは、積層方向に隣り合うパターン群の組み合わせにおいて、積層方向から見たときにコイルパターンが重なり合わない領域が、絶縁層基準で連続して3層分存在している。そのため、特許文献1の
図12Aに示された積層インダクタでは、上記領域において密度が局所的に低下しやすくなり、結果的に、積層体にクラック等の欠陥が発生しやすいという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、素体にクラック等の欠陥が発生しにくい積層型コイル部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層型コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、上記素体の内部に設けられたコイルと、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、上記コイルは、上記積層方向に積層された複数のコイル導体が上記絶縁層を上記積層方向に貫通するビア導体を介して電気的に接続されてなり、上記積層方向に積層された複数の上記コイル導体は、3つ以上の隣り合う上記コイル導体からなる第1積層部と、上記第1積層部と同数の隣り合う上記コイル導体からなる第2積層部と、上記第1積層部及び上記第2積層部の間で両積層部に隣り合い、かつ、1つ又は2つの上記コイル導体からなる中間部と、を含み、上記第1積層部は、上記第1積層部を構成するすべての上記コイル導体が上記積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間を有し、上記第1並走区間は、上記ビア導体により並列接続され、上記第2積層部は、上記第2積層部を構成するすべての上記コイル導体が上記積層方向から見たときに重なり合う第2並走区間を有し、上記第2並走区間は、上記ビア導体により並列接続され、上記第1並走区間及び上記第2並走区間は、上記積層方向から見たときに重なり合い、上記中間部を構成するすべての上記コイル導体は、上記第1並走区間及び上記第2並走区間の各一部に、上記積層方向から見たときに重なっていない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、素体にクラック等の欠陥が発生しにくい積層型コイル部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の積層型コイル部品の一例を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第1端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第2端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例であって、
図6に続く部分を示す平面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例であって、
図8に続く部分を示す平面模式図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態4の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態4の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例であって、
図10に続く部分を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の積層型コイル部品について説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0011】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。
【0012】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の積層型コイル部品」と言う。
【0013】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
【0014】
本発明の積層型コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、上記素体の内部に設けられたコイルと、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、上記コイルは、上記積層方向に積層された複数のコイル導体が上記絶縁層を上記積層方向に貫通するビア導体を介して電気的に接続されてなり、上記積層方向に積層された複数の上記コイル導体は、3つ以上の隣り合う上記コイル導体からなる第1積層部と、上記第1積層部と同数の隣り合う上記コイル導体からなる第2積層部と、上記第1積層部及び上記第2積層部の間で両積層部に隣り合い、かつ、1つ又は2つの上記コイル導体からなる中間部と、を含み、上記第1積層部は、上記第1積層部を構成するすべての上記コイル導体が上記積層方向から見たときに重なり合う第1並走区間を有し、上記第1並走区間は、上記ビア導体により並列接続され、上記第2積層部は、上記第2積層部を構成するすべての上記コイル導体が上記積層方向から見たときに重なり合う第2並走区間を有し、上記第2並走区間は、上記ビア導体により並列接続され、上記第1並走区間及び上記第2並走区間は、上記積層方向から見たときに重なり合い、上記中間部を構成するすべての上記コイル導体は、上記第1並走区間及び上記第2並走区間の各一部に、上記積層方向から見たときに重なっていない、ことを特徴とする。
【0015】
[実施形態1]
本発明の積層型コイル部品の一例を、本発明の実施形態1の積層型コイル部品として説明する。
【0016】
本発明の実施形態1の積層型コイル部品において、第1積層部及び第2積層部は、各々、3つの隣り合うコイル導体からなる。
【0017】
図1は、本発明の実施形態1の積層型コイル部品の一例を示す斜視模式図である。
【0018】
図1に示す積層型コイル部品1は、素体10Aと、第1外部電極21と、第2外部電極22と、を有している。
図1に示していないが、後述するように、積層型コイル部品1は、素体10Aの内部に設けられたコイルも有している。
【0019】
本明細書中、長さ方向、高さ方向、及び、幅方向を、
図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと高さ方向Tと幅方向Wとは、互いに直交している。
【0020】
素体10Aは、長さ方向Lに相対する第1端面11a及び第2端面11bと、高さ方向Tに相対する第1主面12a及び第2主面12bと、幅方向Wに相対する第1側面13a及び第2側面13bと、を有しており、例えば、直方体状又は略直方体状である。
【0021】
素体10Aの第1端面11a及び第2端面11bは、長さ方向Lに厳密に直交している必要はない。また、素体10Aの第1主面12a及び第2主面12bは、高さ方向Tに厳密に直交している必要はない。更に、素体10Aの第1側面13a及び第2側面13bは、幅方向Wに厳密に直交している必要はない。
【0022】
積層型コイル部品1を基板に実装する場合、素体10Aの第1主面12aが実装面となる。
【0023】
素体10Aは、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。素体10Aの角部は、素体10Aの3面が交わる部分である。素体10Aの稜線部は、素体10Aの2面が交わる部分である。
【0024】
第1外部電極21は、素体10Aの表面上に設けられている。より具体的には、第1外部電極21は、素体10Aの第1端面11aから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びている。
【0025】
第1外部電極21の配置態様は、
図1に示す態様に限定されない。例えば、第1外部電極21は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第1端面11a、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0026】
第2外部電極22は、素体10Aの表面上に設けられている。より具体的には、第2外部電極22は、素体10Aの第2端面11bから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びている。
【0027】
第2外部電極22の配置態様は、
図1に示す態様に限定されない。例えば、第2外部電極22は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第2端面11b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0028】
以上のように、第1外部電極21及び第2外部電極22は、素体10Aの表面上で互いに離隔した位置に設けられている。
【0029】
以上のように、第1外部電極21及び第2外部電極22が、実装面である素体10Aの第1主面12a上に設けられていることにより、積層型コイル部品1の実装性が向上する。
【0030】
第1外部電極21及び第2外部電極22は、各々、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。
【0031】
第1外部電極21及び第2外部電極22が、各々、単層構造である場合、各々の外部電極の構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0032】
第1外部電極21及び第2外部電極22が、各々、複層構造である場合、各々の外部電極は、素体10Aの表面側から順に、例えば、Agを含む下地電極と、Niめっき電極と、Snめっき電極と、を有していてもよい。
【0033】
図2は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
図3は、
図1に示す積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0034】
図2及び
図3に示すように、素体10Aは、複数の絶縁層が、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層されてなる。
【0035】
素体10Aは、絶縁層P1、絶縁層P2、絶縁層P3、絶縁層P4、絶縁層P5、絶縁層P6、絶縁層P7、絶縁層P8、絶縁層P9、絶縁層P10、絶縁層P11、絶縁層P12、絶縁層P13、絶縁層P14、及び、絶縁層P15を、第1端面11a側から第2端面11b側に向かって、長さ方向Lに順に含んでいる。
【0036】
各々の絶縁層の構成材料としては、例えば、フェライト材料等の磁性材料が挙げられる。
【0037】
フェライト材料は、Ni-Cu-Zn系フェライト材料であることが好ましい。
【0038】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で2mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で6mol%以上、13mol%以下、NiをNiO換算で10mol%以上、45mol%以下含むことが好ましい。
【0039】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Co、Bi、Sn、Mn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0040】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0041】
素体10Aの内部には、コイル30Aが設けられている。
【0042】
図2及び
図3に示すように、コイル30Aは、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、コイル導体Q4、コイル導体Q5、コイル導体Q6、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、コイル導体Q10、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、コイル導体Q14、及び、コイル導体Q15を、長さ方向Lに順に含んでいる。
【0043】
コイル導体Q1は、直線状であり、絶縁層P1の主面上に設けられている。
【0044】
コイル導体Q1は、ランド部Ra1及びランド部Rb1を別々の端部に有している。
【0045】
コイル導体Q2は、L字状であり、絶縁層P2の主面上に設けられている。
【0046】
コイル導体Q2は、ランド部Ra2及びランド部Rc2を別々の端部に有している。
【0047】
ランド部Ra2は、絶縁層P2を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa2に接続されている。ビア導体Sa2は、ランド部Ra2に加えて、ランド部Ra1にも接続されている。つまり、ランド部Ra1及びランド部Ra2は、ビア導体Sa2を介して電気的に接続されている。
【0048】
コイル導体Q2は、屈曲部Ub2を有している。
【0049】
屈曲部Ub2は、絶縁層P2を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb2に接続されている。ビア導体Sb2は、屈曲部Ub2に加えて、ランド部Rb1にも接続されている。つまり、ランド部Rb1及び屈曲部Ub2は、ビア導体Sb2を介して電気的に接続されている。
【0050】
コイル導体Q3は、U字状であり、絶縁層P3の主面上に設けられている。
【0051】
コイル導体Q3は、ランド部Ra3及びランド部Rd3を別々の端部に有している。
【0052】
ランド部Ra3は、絶縁層P3を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa3に接続されている。ビア導体Sa3は、ランド部Ra3に加えて、ランド部Ra2にも接続されている。つまり、ランド部Ra2及びランド部Ra3は、ビア導体Sa3を介して電気的に接続されている。
【0053】
コイル導体Q3は、屈曲部Ub3及び屈曲部Uc3を有している。
【0054】
屈曲部Ub3は、絶縁層P3を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb3に接続されている。ビア導体Sb3は、屈曲部Ub3に加えて、屈曲部Ub2にも接続されている。つまり、屈曲部Ub2及び屈曲部Ub3は、ビア導体Sb3を介して電気的に接続されている。
【0055】
屈曲部Uc3は、絶縁層P3を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc3に接続されている。ビア導体Sc3は、屈曲部Uc3に加えて、ランド部Rc2にも接続されている。つまり、ランド部Rc2及び屈曲部Uc3は、ビア導体Sc3を介して電気的に接続されている。
【0056】
コイル導体Q4は、U字状であり、絶縁層P4の主面上に設けられている。
【0057】
コイル導体Q4は、ランド部Ra4及びランド部Rb4を別々の端部に有している。
【0058】
ランド部Rb4は、絶縁層P4を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb4に接続されている。ビア導体Sb4は、ランド部Rb4に加えて、屈曲部Ub3にも接続されている。つまり、屈曲部Ub3及びランド部Rb4は、ビア導体Sb4を介して電気的に接続されている。
【0059】
コイル導体Q4は、屈曲部Uc4及び屈曲部Ud4を有している。
【0060】
屈曲部Uc4は、絶縁層P4を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc4に接続されている。ビア導体Sc4は、屈曲部Uc4に加えて、屈曲部Uc3にも接続されている。つまり、屈曲部Uc3及び屈曲部Uc4は、ビア導体Sc4を介して電気的に接続されている。
【0061】
屈曲部Ud4は、絶縁層P4を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd4に接続されている。ビア導体Sd4は、屈曲部Ud4に加えて、ランド部Rd3にも接続されている。つまり、ランド部Rd3及び屈曲部Ud4は、ビア導体Sd4を介して電気的に接続されている。
【0062】
コイル導体Q5は、U字状であり、絶縁層P5の主面上に設けられている。
【0063】
コイル導体Q5は、ランド部Rb5及びランド部Rc5を別々の端部に有している。
【0064】
ランド部Rc5は、絶縁層P5を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc5に接続されている。ビア導体Sc5は、ランド部Rc5に加えて、屈曲部Uc4にも接続されている。つまり、屈曲部Uc4及びランド部Rc5は、ビア導体Sc5を介して電気的に接続されている。
【0065】
コイル導体Q5は、屈曲部Ua5及び屈曲部Ud5を有している。
【0066】
屈曲部Ua5は、絶縁層P5を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa5に接続されている。ビア導体Sa5は、屈曲部Ua5に加えて、ランド部Ra4にも接続されている。つまり、ランド部Ra4及び屈曲部Ua5は、ビア導体Sa5を介して電気的に接続されている。
【0067】
屈曲部Ud5は、絶縁層P5を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd5に接続されている。ビア導体Sd5は、屈曲部Ud5に加えて、屈曲部Ud4にも接続されている。つまり、屈曲部Ud4及び屈曲部Ud5は、ビア導体Sd5を介して電気的に接続されている。
【0068】
コイル導体Q6は、U字状であり、絶縁層P6の主面上に設けられている。
【0069】
コイル導体Q6は、ランド部Rc6及びランド部Rd6を別々の端部に有している。
【0070】
ランド部Rd6は、絶縁層P6を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd6に接続されている。ビア導体Sd6は、ランド部Rd6に加えて、屈曲部Ud5にも接続されている。つまり、屈曲部Ud5及びランド部Rd6は、ビア導体Sd6を介して電気的に接続されている。
【0071】
コイル導体Q6は、屈曲部Ua6及び屈曲部Ub6を有している。
【0072】
屈曲部Ua6は、絶縁層P6を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa6に接続されている。ビア導体Sa6は、屈曲部Ua6に加えて、屈曲部Ua5にも接続されている。つまり、屈曲部Ua5及び屈曲部Ua6は、ビア導体Sa6を介して電気的に接続されている。
【0073】
屈曲部Ub6は、絶縁層P6を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb6に接続されている。ビア導体Sb6は、屈曲部Ub6に加えて、ランド部Rb5にも接続されている。つまり、ランド部Rb5及び屈曲部Ub6は、ビア導体Sb6を介して電気的に接続されている。
【0074】
コイル導体Q7は、U字状であり、絶縁層P7の主面上に設けられている。
【0075】
コイル導体Q7は、ランド部Ra7及びランド部Rd7を別々の端部に有している。
【0076】
ランド部Ra7は、絶縁層P7を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa7に接続されている。ビア導体Sa7は、ランド部Ra7に加えて、屈曲部Ua6にも接続されている。つまり、屈曲部Ua6及びランド部Ra7は、ビア導体Sa7を介して電気的に接続されている。
【0077】
コイル導体Q7は、屈曲部Ub7及び屈曲部Uc7を有している。
【0078】
屈曲部Ub7は、絶縁層P7を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb7に接続されている。ビア導体Sb7は、屈曲部Ub7に加えて、屈曲部Ub6にも接続されている。つまり、屈曲部Ub6及び屈曲部Ub7は、ビア導体Sb7を介して電気的に接続されている。
【0079】
屈曲部Uc7は、絶縁層P7を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc7に接続されている。ビア導体Sc7は、屈曲部Uc7に加えて、ランド部Rc6にも接続されている。つまり、ランド部Rc6及び屈曲部Uc7は、ビア導体Sc7を介して電気的に接続されている。
【0080】
コイル導体Q8は、U字状であり、絶縁層P8の主面上に設けられている。
【0081】
コイル導体Q8は、ランド部Ra8及びランド部Rb8を別々の端部に有している。
【0082】
ランド部Rb8は、絶縁層P8を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb8に接続されている。ビア導体Sb8は、ランド部Rb8に加えて、屈曲部Ub7にも接続されている。つまり、屈曲部Ub7及びランド部Rb8は、ビア導体Sb8を介して電気的に接続されている。
【0083】
コイル導体Q8は、屈曲部Uc8及び屈曲部Ud8を有している。
【0084】
屈曲部Uc8は、絶縁層P8を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc8に接続されている。ビア導体Sc8は、屈曲部Uc8に加えて、屈曲部Uc7にも接続されている。つまり、屈曲部Uc7及び屈曲部Uc8は、ビア導体Sc8を介して電気的に接続されている。
【0085】
屈曲部Ud8は、絶縁層P8を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd8に接続されている。ビア導体Sd8は、屈曲部Ud8に加えて、ランド部Rd7にも接続されている。つまり、ランド部Rd7及び屈曲部Ud8は、ビア導体Sd8を介して電気的に接続されている。
【0086】
コイル導体Q9は、U字状であり、絶縁層P9の主面上に設けられている。
【0087】
コイル導体Q9は、ランド部Rb9及びランド部Rc9を別々の端部に有している。
【0088】
ランド部Rc9は、絶縁層P9を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc9に接続されている。ビア導体Sc9は、ランド部Rc9に加えて、屈曲部Uc8にも接続されている。つまり、屈曲部Uc8及びランド部Rc9は、ビア導体Sc9を介して電気的に接続されている。
【0089】
コイル導体Q9は、屈曲部Ua9及び屈曲部Ud9を有している。
【0090】
屈曲部Ua9は、絶縁層P9を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa9に接続されている。ビア導体Sa9は、屈曲部Ua9に加えて、ランド部Ra8にも接続されている。つまり、ランド部Ra8及び屈曲部Ua9は、ビア導体Sa9を介して電気的に接続されている。
【0091】
屈曲部Ud9は、絶縁層P9を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd9に接続されている。ビア導体Sd9は、屈曲部Ud9に加えて、屈曲部Ud8にも接続されている。つまり、屈曲部Ud8及び屈曲部Ud9は、ビア導体Sd9を介して電気的に接続されている。
【0092】
コイル導体Q10は、U字状であり、絶縁層P10の主面上に設けられている。
【0093】
コイル導体Q10は、ランド部Rc10及びランド部Rd10を別々の端部に有している。
【0094】
ランド部Rd10は、絶縁層P10を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd10に接続されている。ビア導体Sd10は、ランド部Rd10に加えて、屈曲部Ud9にも接続されている。つまり、屈曲部Ud9及びランド部Rd10は、ビア導体Sd10を介して電気的に接続されている。
【0095】
コイル導体Q10は、屈曲部Ua10及び屈曲部Ub10を有している。
【0096】
屈曲部Ua10は、絶縁層P10を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa10に接続されている。ビア導体Sa10は、屈曲部Ua10に加えて、屈曲部Ua9にも接続されている。つまり、屈曲部Ua9及び屈曲部Ua10は、ビア導体Sa10を介して電気的に接続されている。
【0097】
屈曲部Ub10は、絶縁層P10を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb10に接続されている。ビア導体Sb10は、屈曲部Ub10に加えて、ランド部Rb9にも接続されている。つまり、ランド部Rb9及び屈曲部Ub10は、ビア導体Sb10を介して電気的に接続されている。
【0098】
コイル導体Q11は、U字状であり、絶縁層P11の主面上に設けられている。
【0099】
コイル導体Q11は、ランド部Ra11及びランド部Rd11を別々の端部に有している。
【0100】
ランド部Ra11は、絶縁層P11を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa11に接続されている。ビア導体Sa11は、ランド部Ra11に加えて、屈曲部Ua10にも接続されている。つまり、屈曲部Ua10及びランド部Ra11は、ビア導体Sa11を介して電気的に接続されている。
【0101】
コイル導体Q11は、屈曲部Ub11及び屈曲部Uc11を有している。
【0102】
屈曲部Ub11は、絶縁層P11を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb11に接続されている。ビア導体Sb11は、屈曲部Ub11に加えて、屈曲部Ub10にも接続されている。つまり、屈曲部Ub10及び屈曲部Ub11は、ビア導体Sb11を介して電気的に接続されている。
【0103】
屈曲部Uc11は、絶縁層P11を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc11に接続されている。ビア導体Sc11は、屈曲部Uc11に加えて、ランド部Rc10にも接続されている。つまり、ランド部Rc10及び屈曲部Uc11は、ビア導体Sc11を介して電気的に接続されている。
【0104】
コイル導体Q12は、U字状であり、絶縁層P12の主面上に設けられている。
【0105】
コイル導体Q12は、ランド部Ra12及びランド部Rb12を別々の端部に有している。
【0106】
ランド部Rb12は、絶縁層P12を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb12に接続されている。ビア導体Sb12は、ランド部Rb12に加えて、屈曲部Ub11にも接続されている。つまり、屈曲部Ub11及びランド部Rb12は、ビア導体Sb12を介して電気的に接続されている。
【0107】
コイル導体Q12は、屈曲部Uc12及び屈曲部Ud12を有している。
【0108】
屈曲部Uc12は、絶縁層P12を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc12に接続されている。ビア導体Sc12は、屈曲部Uc12に加えて、屈曲部Uc11にも接続されている。つまり、屈曲部Uc11及び屈曲部Uc12は、ビア導体Sc12を介して電気的に接続されている。
【0109】
屈曲部Ud12は、絶縁層P12を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd12に接続されている。ビア導体Sd12は、屈曲部Ud12に加えて、ランド部Rd11にも接続されている。つまり、ランド部Rd11及び屈曲部Ud12は、ビア導体Sd12を介して電気的に接続されている。
【0110】
コイル導体Q13は、U字状であり、絶縁層P13の主面上に設けられている。
【0111】
コイル導体Q13は、ランド部Rb13及びランド部Rc13を別々の端部に有している。
【0112】
ランド部Rc13は、絶縁層P13を長さ方向Lに貫通するビア導体Sc13に接続されている。ビア導体Sc13は、ランド部Rc13に加えて、屈曲部Uc12にも接続されている。つまり、屈曲部Uc12及びランド部Rc13は、ビア導体Sc13を介して電気的に接続されている。
【0113】
コイル導体Q13は、屈曲部Ua13及び屈曲部Ud13を有している。
【0114】
屈曲部Ua13は、絶縁層P13を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa13に接続されている。ビア導体Sa13は、屈曲部Ua13に加えて、ランド部Ra12にも接続されている。つまり、ランド部Ra12及び屈曲部Ua13は、ビア導体Sa13を介して電気的に接続されている。
【0115】
屈曲部Ud13は、絶縁層P13を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd13に接続されている。ビア導体Sd13は、屈曲部Ud13に加えて、屈曲部Ud12にも接続されている。つまり、屈曲部Ud12及び屈曲部Ud13は、ビア導体Sd13を介して電気的に接続されている。
【0116】
コイル導体Q14は、L字状であり、絶縁層P14の主面上に設けられている。
【0117】
コイル導体Q14は、ランド部Rb14及びランド部Rd14を別々の端部に有している。
【0118】
ランド部Rb14は、絶縁層P14を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb14に接続されている。ビア導体Sb14は、ランド部Rb14に加えて、ランド部Rb13にも接続されている。つまり、ランド部Rb13及びランド部Rb14は、ビア導体Sb14を介して電気的に接続されている。
【0119】
ランド部Rd14は、絶縁層P14を長さ方向Lに貫通するビア導体Sd14に接続されている。ビア導体Sd14は、ランド部Rd14に加えて、屈曲部Ud13にも接続されている。つまり、屈曲部Ud13及びランド部Rd14は、ビア導体Sd14を介して電気的に接続されている。
【0120】
コイル導体Q14は、屈曲部Ua14を有している。
【0121】
屈曲部Ua14は、絶縁層P14を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa14に接続されている。ビア導体Sa14は、屈曲部Ua14に加えて、屈曲部Ua13にも接続されている。つまり、屈曲部Ua13及び屈曲部Ua14は、ビア導体Sa14を介して電気的に接続されている。
【0122】
コイル導体Q15は、直線状であり、絶縁層P15の主面上に設けられている。
【0123】
コイル導体Q15は、ランド部Ra15及びランド部Rb15を別々の端部に有している。
【0124】
ランド部Ra15は、絶縁層P15を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa15に接続されている。ビア導体Sa15は、ランド部Ra15に加えて、屈曲部Ua14にも接続されている。つまり、屈曲部Ua14及びランド部Ra15は、ビア導体Sa15を介して電気的に接続されている。
【0125】
ランド部Rb15は、絶縁層P15を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb15に接続されている。ビア導体Sb15は、ランド部Rb15に加えて、ランド部Rb14にも接続されている。つまり、ランド部Rb14及びランド部Rb15は、ビア導体Sb15を介して電気的に接続されている。
【0126】
本明細書中、L字状は、2辺が略直交した形状と言えるものであればよく、2辺が厳密に直交した形状である必要はない。
【0127】
本明細書中、U字状は、3辺のうちで隣接する2辺が略直交した形状と言えるものであればよく、3辺のうちで隣接する2辺が厳密に直交した形状である必要はない。
【0128】
積層型コイル部品1では、上述したように、絶縁層P1、絶縁層P2、絶縁層P3、絶縁層P4、絶縁層P5、絶縁層P6、絶縁層P7、絶縁層P8、絶縁層P9、絶縁層P10、絶縁層P11、絶縁層P12、絶縁層P13、絶縁層P14、及び、絶縁層P15が、長さ方向Lに順に積層されている。これにより、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、コイル導体Q4、コイル導体Q5、コイル導体Q6、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、コイル導体Q10、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q13、コイル導体Q14、及び、コイル導体Q15が、上述した絶縁層とともに長さ方向Lに順に積層されつつ、上述したビア導体を介して電気的に接続され、結果的に、コイル30Aが構成される。
【0129】
コイル30Aは、例えば、ソレノイド状である。
【0130】
長さ方向Lから見たとき、コイル30Aは、
図2及び
図3に示すような直線部で構成される形状(例えば、多角形状)であってもよいし、曲線部で構成される形状(例えば、円形状)であってもよいし、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよい。
【0131】
本発明の積層型コイル部品において、上記積層方向と上記コイルのコイル軸の方向とは、同じ方向に沿って上記素体の実装面に平行であることが好ましい。
【0132】
素体10Aにおいて、絶縁層の積層方向は、長さ方向Lに平行である。つまり、絶縁層の積層方向は、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0133】
コイル30Aは、コイル軸Cを有している。コイル30Aのコイル軸Cは、長さ方向Lから見たときのコイル30Aの中心軸に該当し、長さ方向Lに延びている。つまり、コイル30Aのコイル軸Cの方向は、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0134】
したがって、積層型コイル部品1において、絶縁層の積層方向とコイル30Aのコイル軸Cの方向とは、同じ長さ方向Lに沿って、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0135】
積層型コイル部品1では、絶縁層の積層方向とコイル30Aのコイル軸Cの方向とが、同じ長さ方向Lに沿って、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である態様を示したが、絶縁層の積層方向とコイルのコイル軸の方向とが、実装面である素体の第1主面に直交していてもよい。
【0136】
積層型コイル部品1において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Ea1、第2積層部Fa1、及び、中間部Ga1を含んでいる。
【0137】
第1積層部Ea1は、3つの隣り合うコイル導体Q3、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5からなる。
【0138】
第1積層部Ea1は、第1積層部Ea1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q3、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Ma1を有している。
【0139】
第1並走区間Ma1は、ビア導体Sc4、ビア導体Sd4、ビア導体Sc5、及び、ビア導体Sd5により並列接続されている。つまり、コイル導体Q3、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5は、第1並走区間Ma1において並列接続されている。
【0140】
コイル導体Q3、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5は、第1並走区間Ma1以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0141】
第2積層部Fa1は、第1積層部Ea1と同数である3つの隣り合うコイル導体Q7、コイル導体Q8、及び、コイル導体Q9からなる。
【0142】
第2積層部Fa1は、第2積層部Fa1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q7、コイル導体Q8、及び、コイル導体Q9が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Na1を有している。
【0143】
第2並走区間Na1は、ビア導体Sc8、ビア導体Sd8、ビア導体Sc9、及び、ビア導体Sd9により並列接続されている。つまり、コイル導体Q7、コイル導体Q8、及び、コイル導体Q9は、第2並走区間Na1において並列接続されている。
【0144】
コイル導体Q7、コイル導体Q8、及び、コイル導体Q9は、第2並走区間Na1以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0145】
第1並走区間Ma1及び第2並走区間Na1は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0146】
以上では、積層型コイル部品1において、3つの隣り合うコイル導体からなる積層部として、第1積層部Ea1及び第2積層部Fa1を例示したが、3つの隣り合うコイル導体の他の組み合わせからなる積層部についても同様である。つまり、積層型コイル部品1において、3つの隣り合うコイル導体は、これらのコイル導体が長さ方向Lから見たときに重なり合う並走区間において並列接続されている。
【0147】
積層型コイル部品1では、3つの隣り合うコイル導体が並走区間において並列接続されているため、その分、コイル30Aの電流経路に沿う方向、すなわち、コイル導体が延びる方向に直交するコイル30Aの断面積が増加する。よって、積層型コイル部品1では、コイル30Aの直流抵抗(Rdc)が低いものとなり、コイル30Aに大電流を流すことが可能となる。
【0148】
中間部Ga1は、第1積層部Ea1及び第2積層部Fa1の間で両積層部に隣り合い、かつ、1つのコイル導体Q6からなる。
【0149】
中間部Ga1を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q6は、第1並走区間Ma1及び第2並走区間Na1の各一部に、長さ方向Lから見たときに重なっていない。より具体的には、コイル導体Q6は、第1並走区間Ma1の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)と、第2並走区間Na1の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)とに、長さ方向Lから見たときに重なっていない。
【0150】
したがって、積層型コイル部品1において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間Ma1及び第2並走区間Na1の間には、コイル導体が存在していない領域が、絶縁層基準で1層分しか存在していない。
【0151】
以上では、積層型コイル部品1において、第1積層部Ea1、第2積層部Fa1、及び、中間部Ga1の組み合わせを例示したが、他の組み合わせについても同様である。つまり、積層型コイル部品1において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間及び第2並走区間の間には、コイル導体が存在していない領域が絶縁層基準で1層分しか存在していない。そのため、積層型コイル部品1では、例えば、特許文献1の
図12Aに示された積層インダクタと比較して、密度が局所的に低下しにくい。よって、積層型コイル部品1では、例えば、特許文献1の
図12Aに示された積層インダクタと比較して、素体10Aにクラック等の欠陥が発生しにくい。
【0152】
本発明の積層型コイル部品において、上記中間部は、1つの上記コイル導体からなることが好ましい。
【0153】
積層型コイル部品1において、例えば、中間部Ga1は、1つのコイル導体Q6からなっている。つまり、積層型コイル部品1において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間Ma1及び第2並走区間Na1の間には、コイル導体が存在していない領域が、絶縁層基準で1層分しか存在していない。これにより、積層型コイル部品1では、局所的な密度の低下が充分に抑制される。
【0154】
本発明の積層型コイル部品において、上記第1積層部、上記第2積層部、及び、上記中間部を構成するすべての上記コイル導体の長さは、上記コイルの3/4ターンの長さであってもよい。
【0155】
積層型コイル部品1において、例えば、第1積層部Ea1、第2積層部Fa1、及び、中間部Ga1を構成するすべてのコイル導体の長さは、コイル30Aの3/4ターンの長さである。
【0156】
本明細書中、コイル導体の長さは、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)から見たときの、積層方向に直交する平面上でのコイル導体が延びる方向の長さを意味する。
【0157】
素体10Aは、絶縁層Pxを更に含んでいる。
【0158】
絶縁層Pxは、絶縁層P1の第1端面11a側、すなわち、絶縁層P1の絶縁層P2と反対側に積層されている。
【0159】
絶縁層Pxの主面上には、引き出し用ランド部Raxが設けられている。引き出し用ランド部Raxは、絶縁層Pxを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Saxに接続されている。引き出し用ランド部Raxは、引き出し用ビア導体Saxに加えて、絶縁層P1を長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sa1にも接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rax、引き出し用ビア導体Sax、及び、引き出し用ビア導体Sa1からなる第1引き出し導体41が構成される。
【0160】
引き出し用ビア導体Sa1は、引き出し用ランド部Raxに加えて、ランド部Ra1にも接続されている。つまり、第1引き出し導体41は、コイル30Aに接続されている。
【0161】
図4は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第1端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【0162】
図4に示すように、絶縁層Pxが絶縁層P1の絶縁層P2と反対側に積層されていることにより、第1引き出し導体41は、素体10Aの第1端面11aから露出する。第1引き出し導体41の露出部分は、素体10Aの第1端面11a上に設けられた第1外部電極21に接続されている。
【0163】
よって、コイル30A及び第1外部電極21は、第1引き出し導体41を介して電気的に接続されている。
【0164】
なお、
図4では、説明の便宜上、絶縁層間の境界が示されているが、実際にはこれらの境界が明瞭に現れていない。
【0165】
絶縁層Pxの層数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0166】
絶縁層Pxの層数が複数である場合、第1引き出し導体41は、複数の引き出し用ランド部Rax及び複数の引き出し用ビア導体Saxが交互に接続された上で、引き出し用ビア導体Sa1が更に接続されてなる。
【0167】
素体10Aは、絶縁層Pyを更に含んでいる。
【0168】
絶縁層Pyは、絶縁層P15の第2端面11b側、すなわち、絶縁層P15の絶縁層P14と反対側に積層されている。
【0169】
絶縁層Pyの主面上には、引き出し用ランド部Rbyが設けられている。引き出し用ランド部Rbyは、絶縁層Pyを長さ方向Lに貫通する引き出し用ビア導体Sbyに接続されている。これにより、引き出し用ランド部Rby及び引き出し用ビア導体Sbyからなる第2引き出し導体42が構成される。
【0170】
引き出し用ビア導体Sbyは、引き出し用ランド部Rbyに加えて、ランド部Rb15にも接続されている。つまり、第2引き出し導体42は、コイル30Aに接続されている。
【0171】
図5は、
図1に示す積層型コイル部品において、素体の第2端面の近傍を高さ方向から断面視した状態の一例を拡大して示す断面模式図である。
【0172】
図5に示すように、絶縁層Pyが絶縁層P15の絶縁層P14と反対側に積層されていることにより、第2引き出し導体42は、素体10Aの第2端面11bから露出する。第2引き出し導体42の露出部分は、素体10Aの第2端面11b上に設けられた第2外部電極22に接続されている。
【0173】
よって、コイル30A及び第2外部電極22は、第2引き出し導体42を介して電気的に接続されている。
【0174】
なお、
図5では、説明の便宜上、絶縁層間の境界が示されているが、実際にはこれらの境界が明瞭に現れていない。
【0175】
絶縁層Pyの層数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0176】
絶縁層Pyの層数が複数である場合、第2引き出し導体42は、複数の引き出し用ランド部Rby及び複数の引き出し用ビア導体Sbyが交互に接続されてなる。
【0177】
絶縁層Px及び絶縁層Pyの層数は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0178】
積層型コイル部品1は、第1引き出し導体41及び第2引き出し導体42の少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0179】
各々のコイル導体(ランド部を含む)、各々のビア導体、及び、各々の引き出し用ビア導体の構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0180】
長さ方向Lから見たとき、各々のコイル導体は、
図2及び
図3に示すような直線部で構成される形状であってもよいし、曲線部で構成される形状であってもよいし、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよい。
【0181】
長さ方向Lから見たとき、各々のランド部は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0182】
長さ方向Lから見たとき、各々のビア導体は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0183】
長さ方向Lから見たとき、各々の引き出し用ビア導体は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0184】
各々のコイル導体、及び、各々の引き出し導体は、独立して、ランド部を有していなくてもよい。
【0185】
積層型コイル部品1は、例えば、以下の方法で製造される。
【0186】
<磁性材料の作製工程>
まず、Fe2O3、ZnO、CuO、及び、NiOを所定の比率になるように秤量する。
【0187】
次に、これらの秤量物、純水等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕する。混合・粉砕時間については、例えば、4時間以上、8時間以下とする。
【0188】
そして、得られた粉砕物を乾燥させた後、仮焼成する。仮焼成温度については、例えば、700℃以上、800℃以下とする。仮焼成時間については、例えば、2時間以上、5時間以下とする。
【0189】
このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製する。
【0190】
フェライト材料は、Ni-Cu-Zn系フェライト材料であることが好ましい。
【0191】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で2mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で6mol%以上、13mol%以下、NiをNiO換算で10mol%以上、45mol%以下含むことが好ましい。
【0192】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Co、Bi、Sn、Mn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0193】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0194】
<グリーンシートの作製工程>
まず、磁性材料と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。
【0195】
次に、スラリーを、ドクターブレード法等で、所定の厚みのシート状に成形した後、所定の形状に打ち抜くことにより、グリーンシートを作製する。グリーンシートの厚みについては、例えば、20μm以上、30μm以下とする。グリーンシートの形状については、例えば、矩形状とする。
【0196】
グリーンシートの材料としては、磁性材料に代えて、ホウケイ酸ガラス材料等の非磁性材料を用いてもよいし、磁性材料及び非磁性材料の混合材料を用いてもよい。
【0197】
<導体パターンの形成工程>
まず、グリーンシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことにより、ビアホールを形成する。
【0198】
次に、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等で、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工する。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたコイル導体用導体パターンを表面上に形成する。このようにして、グリーンシートにコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたコイルシートを作製する。コイルシートについては複数枚作製し、各コイルシートに対して、
図2及び
図3に示すコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図2及び
図3に示すコイル導体に接続されたビア導体(
図2及び
図3に示す引き出し用ビア導体Sa1を含む)に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
【0199】
また、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等で、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工する。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたランド部用導体パターンを表面上に形成する。このようにして、グリーンシートにランド部用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたビアシートを、コイルシートとは別に作製する。ビアシートについても複数枚作製し、各ビアシートに対して、
図2及び
図3に示す引き出し導体を構成する引き出し用ランド部に相当するランド部用導体パターンと、
図2及び
図3に示す引き出し用ランド部に接続された引き出し用ビア導体(
図2及び
図3に示す引き出し用ビア導体Sa1を除く)に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
【0200】
<積層体ブロックの作製工程>
コイルシート及びビアシートを、
図2及び
図3に相当する順序で積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層した後、熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
【0201】
<素体及びコイルの作製工程>
まず、積層体ブロックをダイサー等で所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製する。
【0202】
次に、個片化されたチップを焼成する。焼成温度については、例えば、900℃以上、920℃以下とする。焼成時間については、例えば、2時間以上、4時間以下とする。
【0203】
個片化されたチップを焼成すると、コイルシート及びビアシートのグリーンシートは、絶縁層となる。その結果、複数の絶縁層が、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層されてなる素体が作製される。
【0204】
個片化されたチップを焼成すると、コイルシートのコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体及びビア導体(
図2及び
図3に示す引き出し用ビア導体Sa1を含む)となる。その結果、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層された複数のコイル導体がビア導体を介して電気的に接続されてなるコイルが作製される。
【0205】
以上により、素体と、素体の内部に設けられたコイルとが作製される。
【0206】
一方、個片化されたチップを焼成すると、ビアシートのランド部用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、引き出し用ランド部及び引き出し用ビア導体となる。その結果、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層された複数の引き出し用ランド部及び複数の引き出し用ビア導体が交互に接続されてなる、第1引き出し導体及び第2引き出し導体が作製される。第1引き出し導体は、素体の第1端面から露出することになる。第2引き出し導体は、素体の第2端面から露出することになる。
【0207】
素体に対しては、例えば、バレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
【0208】
<外部電極の形成工程>
まず、Ag及びガラスフリットを含むペースト等の導電性ペーストを塗工することにより、素体の第1端面から露出した第1引き出し導体に接続された第1塗膜を、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延びるように形成する。
【0209】
また、Ag及びガラスフリットを含むペースト等の導電性ペーストを塗工することにより、素体の第2端面から露出した第2引き出し導体に接続された第2塗膜を、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延びるように形成する。
【0210】
このようにして、第1塗膜及び第2塗膜を、素体の表面上で互いに離隔した位置に形成する。
【0211】
第1塗膜及び第2塗膜を形成する際、第1塗膜及び第2塗膜を、異なるタイミングで形成してもよいし、同じタイミングで形成してもよい。
【0212】
第1塗膜及び第2塗膜を異なるタイミングで形成する場合、第1塗膜、第2塗膜の順に形成してもよいし、第2塗膜、第1塗膜の順に形成してもよい。
【0213】
次に、第1塗膜を焼き付けることにより、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延び、かつ、第1引き出し導体に接続された第1下地電極を形成する。
【0214】
また、第2塗膜を焼き付けることにより、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延び、かつ、第2引き出し導体に接続された第2下地電極を形成する。
【0215】
第1塗膜及び第2塗膜の焼き付け温度については、例えば、800℃以上、820℃以下とする。
【0216】
第1下地電極及び第2下地電極の厚みについては、例えば、5μmとする。
【0217】
そして、第1下地電極の表面上に、電解めっき等で、Niめっき電極及びSnめっき電極を順に形成する。これにより、第1下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を素体の表面側から順に有する第1外部電極が形成される。
【0218】
また、第2下地電極の表面上に、電解めっき等で、Niめっき電極及びSnめっき電極を順に形成する。これにより、第2下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を素体の表面側から順に有する第2外部電極が形成される。
【0219】
このようにして、第1引き出し導体を介してコイルに電気的に接続された第1外部電極と、第2引き出し導体を介してコイルに電気的に接続された第2外部電極とが、素体の表面上に形成される。
【0220】
以上により、積層型コイル部品1が製造される。
【0221】
[実施形態2]
本発明の実施形態2の積層型コイル部品において、第1積層部及び第2積層部は、各々、4つの隣り合うコイル導体からなる。本発明の実施形態2の積層型コイル部品は、この点以外、本発明の実施形態1の積層型コイル部品と同様である。
【0222】
図6は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
図7は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例であって、
図6に続く部分を示す平面模式図である。
【0223】
図6及び
図7に示す積層型コイル部品2において、素体10Bは、絶縁層Px、絶縁層P1、絶縁層P2、絶縁層P3、絶縁層P16、絶縁層P4、絶縁層P5、絶縁層P6、絶縁層P17、絶縁層P7、絶縁層P8、絶縁層P9、絶縁層P18、絶縁層P10、絶縁層P11、絶縁層P12、絶縁層P19、絶縁層P13、絶縁層P20、絶縁層P21、絶縁層P22、絶縁層P23、絶縁層P24、絶縁層P14、絶縁層P25、絶縁層P15、及び、絶縁層Pyが、長さ方向Lに順に積層されてなる。素体10Bでは、素体10A(
図2及び
図3参照)に対して、絶縁層P16、絶縁層P17、絶縁層P18、絶縁層P19、絶縁層P20、絶縁層P21、絶縁層P22、絶縁層P23、絶縁層P24、及び、絶縁層P25が、上述した位置に追加で設けられている。
【0224】
素体10Bの内部には、コイル30Bが設けられている。
【0225】
図6及び
図7に示すように、コイル30Bは、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q5、コイル導体Q6、コイル導体Q17、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、コイル導体Q18、コイル導体Q10、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q19、コイル導体Q13、コイル導体Q20、コイル導体Q21、コイル導体Q22、コイル導体Q23、コイル導体Q24、コイル導体Q14、コイル導体Q25、及び、コイル導体Q15を、長さ方向Lに順に含んでいる。コイル30Bでは、コイル30A(
図2及び
図3参照)に対して、コイル導体Q16、コイル導体Q17、コイル導体Q18、コイル導体Q19、コイル導体Q20、コイル導体Q21、コイル導体Q22、コイル導体Q23、コイル導体Q24、及び、コイル導体Q25が、上述した位置に追加で設けられている。
【0226】
以下では、積層型コイル部品2において新たに設けられた絶縁層及びコイル導体について説明する。なお、積層型コイル部品2における、隣り合うコイル導体同士の接続関係については、上述した積層型コイル部品1に準じて
図6及び
図7を参照すれば明らかであるため、説明を省略する。
【0227】
コイル導体Q16は、U字状であり、絶縁層P16の主面上に設けられている。
【0228】
コイル導体Q16は、ランド部Ra16及びランド部Rd16を別々の端部に有している。また、コイル導体Q16は、屈曲部Ub16及び屈曲部Uc16を有している。
【0229】
ランド部Ra16、屈曲部Ub16、屈曲部Uc16、及び、ランド部Rd16は、各々、絶縁層P16を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa16、ビア導体Sb16、ビア導体Sc16、及び、ビア導体Sd16に接続されている。
【0230】
コイル導体Q17は、U字状であり、絶縁層P17の主面上に設けられている。
【0231】
コイル導体Q17は、ランド部Rc17及びランド部Rd17を別々の端部に有している。また、コイル導体Q17は、屈曲部Ua17及び屈曲部Ub17を有している。
【0232】
屈曲部Ua17、屈曲部Ub17、ランド部Rc17、及び、ランド部Rd17は、各々、絶縁層P17を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa17、ビア導体Sb17、ビア導体Sc17、及び、ビア導体Sd17に接続されている。
【0233】
コイル導体Q18は、U字状であり、絶縁層P18の主面上に設けられている。
【0234】
コイル導体Q18は、ランド部Rb18及びランド部Rc18を別々の端部に有している。また、コイル導体Q18は、屈曲部Ua18及び屈曲部Ud18を有している。
【0235】
屈曲部Ua18、ランド部Rb18、ランド部Rc18、及び、屈曲部Ud18は、各々、絶縁層P18を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa18、ビア導体Sb18、ビア導体Sc18、及び、ビア導体Sd18に接続されている。
【0236】
コイル導体Q19は、U字状であり、絶縁層P19の主面上に設けられている。
【0237】
コイル導体Q19は、ランド部Ra19及びランド部Rb19を別々の端部に有している。また、コイル導体Q19は、屈曲部Uc19及び屈曲部Ud19を有している。
【0238】
ランド部Ra19、ランド部Rb19、屈曲部Uc19、及び、屈曲部Ud19は、各々、絶縁層P19を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa19、ビア導体Sb19、ビア導体Sc19、及び、ビア導体Sd19に接続されている。
【0239】
コイル導体Q20は、U字状であり、絶縁層P20の主面上に設けられている。
【0240】
コイル導体Q20は、ランド部Rc20及びランド部Rd20を別々の端部に有している。また、コイル導体Q20は、屈曲部Ua20及び屈曲部Ub20を有している。
【0241】
屈曲部Ua20、屈曲部Ub20、及び、ランド部Rd20は、各々、絶縁層P20を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa20、ビア導体Sb20、及び、ビア導体Sd20に接続されている。
【0242】
コイル導体Q21は、U字状であり、絶縁層P21の主面上に設けられている。
【0243】
コイル導体Q21は、ランド部Ra21及びランド部Rd21を別々の端部に有している。また、コイル導体Q21は、屈曲部Ub21及び屈曲部Uc21を有している。
【0244】
ランド部Ra21、屈曲部Ub21、及び、屈曲部Uc21は、各々、絶縁層P21を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa21、ビア導体Sb21、及び、ビア導体Sc21に接続されている。
【0245】
コイル導体Q22は、U字状であり、絶縁層P22の主面上に設けられている。
【0246】
コイル導体Q22は、ランド部Ra22及びランド部Rd22を別々の端部に有している。また、コイル導体Q22は、屈曲部Ub22及び屈曲部Uc22を有している。
【0247】
ランド部Ra22、屈曲部Ub22、屈曲部Uc22、及び、ランド部Rd22は、各々、絶縁層P22を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa22、ビア導体Sb22、ビア導体Sc22、及び、ビア導体Sd22に接続されている。
【0248】
コイル導体Q23は、U字状であり、絶縁層P23の主面上に設けられている。
【0249】
コイル導体Q23は、ランド部Ra23及びランド部Rb23を別々の端部に有している。また、コイル導体Q23は、屈曲部Uc23及び屈曲部Ud23を有している。
【0250】
ランド部Rb23、屈曲部Uc23、及び、屈曲部Ud23は、各々、絶縁層P23を長さ方向Lに貫通するビア導体Sb23、ビア導体Sc23、及び、ビア導体Sd23に接続されている。
【0251】
コイル導体Q24は、U字状であり、絶縁層P24の主面上に設けられている。
【0252】
コイル導体Q24は、ランド部Rb24及びランド部Rc24を別々の端部に有している。また、コイル導体Q24は、屈曲部Ua24及び屈曲部Ud24を有している。
【0253】
屈曲部Ua24、ランド部Rc24、及び、屈曲部Ud24は、各々、絶縁層P24を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa24、ビア導体Sc24、及び、ビア導体Sd24に接続されている。
【0254】
コイル導体Q25は、L字状であり、絶縁層P25の主面上に設けられている。
【0255】
コイル導体Q25は、ランド部Rb25及びランド部Rd25を別々の端部に有している。また、コイル導体Q25は、屈曲部Ua25を有している。
【0256】
屈曲部Ua25、ランド部Rb25、及び、ランド部Rd25は、各々、絶縁層P25を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa25、ビア導体Sb25、及び、ビア導体Sd25に接続されている。
【0257】
積層型コイル部品2において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Ea2、第2積層部Fa2、及び、中間部Ga2を含んでいる。
【0258】
第1積層部Ea2は、4つの隣り合うコイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5からなる。
【0259】
第1積層部Ea2は、第1積層部Ea2を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Ma2を有している。
【0260】
第1並走区間Ma2は、ビア導体Sc16、ビア導体Sd16、ビア導体Sc4、ビア導体Sd4、ビア導体Sc5、及び、ビア導体Sd5により並列接続されている。つまり、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5は、第1並走区間Ma2において並列接続されている。
【0261】
コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、及び、コイル導体Q5は、第1並走区間Ma2以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0262】
第2積層部Fa2は、第1積層部Ea2と同数である4つの隣り合うコイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18からなる。
【0263】
第2積層部Fa2は、第2積層部Fa2を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Na2を有している。
【0264】
第2並走区間Na2は、ビア導体Sc8、ビア導体Sd8、ビア導体Sc9、ビア導体Sd9、ビア導体Sc18、及び、ビア導体Sd18により並列接続されている。つまり、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第2並走区間Na2において並列接続されている。
【0265】
コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第2並走区間Na2以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0266】
第1並走区間Ma2及び第2並走区間Na2は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0267】
中間部Ga2は、第1積層部Ea2及び第2積層部Fa2の間で両積層部に隣り合い、かつ、2つのコイル導体Q6及びコイル導体Q17からなる。
【0268】
中間部Ga2を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q6及びコイル導体Q17は、第1並走区間Ma2及び第2並走区間Na2の各一部に、長さ方向Lから見たときに重なっていない。より具体的には、コイル導体Q6及びコイル導体Q17は、第1並走区間Ma2の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)と、第2並走区間Na2の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)とに、長さ方向Lから見たときに重なっていない。
【0269】
したがって、積層型コイル部品2において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間Ma2及び第2並走区間Na2の間には、コイル導体が存在していない領域が、絶縁層基準で2層分しか存在していない。
【0270】
積層型コイル部品2において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Eb2、第2積層部Fb2、及び、中間部Gb2を含んでいる。
【0271】
第1積層部Eb2は、第2積層部Fa2と同様に、4つの隣り合うコイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18からなる。
【0272】
第1積層部Eb2は、第1積層部Eb2を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Mb2を有している。
【0273】
第1並走区間Mb2は、ビア導体Sc8、ビア導体Sd8、ビア導体Sc9、ビア導体Sd9、ビア導体Sc18、及び、ビア導体Sd18により並列接続されている。つまり、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第1並走区間Mb2において並列接続されている。
【0274】
コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第1並走区間Mb2以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0275】
第2積層部Fb2は、第1積層部Eb2と同数である4つの隣り合うコイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13からなる。
【0276】
第2積層部Fb2は、第2積層部Fb2を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Nb2を有している。
【0277】
第2並走区間Nb2は、ビア導体Sc12、ビア導体Sd12、ビア導体Sc19、ビア導体Sd19、ビア導体Sc13、及び、ビア導体Sd13により並列接続されている。つまり、コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13は、第2並走区間Nb2において並列接続されている。
【0278】
コイル導体Q11、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13は、第2並走区間Nb2以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0279】
第1並走区間Mb2及び第2並走区間Nb2は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0280】
中間部Gb2は、第1積層部Eb2及び第2積層部Fb2の間で両積層部に隣り合い、かつ、1つのコイル導体Q10からなる。
【0281】
中間部Gb2を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q10は、第1並走区間Mb2及び第2並走区間Nb2の各一部に、長さ方向Lから見たときに重なっていない。より具体的には、コイル導体Q10は、第1並走区間Mb2の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)と、第2並走区間Nb2の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)とに、長さ方向Lから見たときに重なっていない。
【0282】
したがって、積層型コイル部品2において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間Mb2及び第2並走区間Nb2の間には、コイル導体が存在していない領域が、絶縁層基準で1層分しか存在していない。
【0283】
以上では、積層型コイル部品2において、4つの隣り合うコイル導体からなる積層部として、第1積層部Ea2、第1積層部Eb2、第2積層部Fa2、及び、第2積層部Fb2を例示したが、4つの隣り合うコイル導体の他の組み合わせからなる積層部についても同様である。つまり、積層型コイル部品2において、4つの隣り合うコイル導体は、これらのコイル導体が長さ方向Lから見たときに重なり合う並走区間において並列接続されている。
【0284】
以上では、積層型コイル部品2において、第1積層部Ea2、第2積層部Fa2、及び、中間部Ga2の組み合わせと、第1積層部Eb2、第2積層部Fb2、及び、中間部Gb2の組み合わせとを例示したが、他の組み合わせについても同様である。つまり、積層型コイル部品2において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間及び第2並走区間の間には、コイル導体が存在していない領域が絶縁層基準で1層分又は2層分しか存在していない。そのため、積層型コイル部品2では、密度が局所的に低下しにくく、結果的に、素体10Bにクラック等の欠陥が発生しにくい。
【0285】
積層型コイル部品2は、例えば、<導体パターンの形成工程>において、コイルシート及びビアシートに対して、
図6及び
図7に示すコイル導体、ビア導体、引き出し用ランド部、及び、引き出し用ビア導体に相当する導体パターンを形成し、更には、<積層体ブロックの作製工程>において、コイルシート及びビアシートを、
図6及び
図7に相当する順序で積層方向(
図6及び
図7では、長さ方向L)に積層すること以外、積層型コイル部品1と同様にして製造される。
【0286】
[実施形態3]
本発明の実施形態3の積層型コイル部品において、第1積層部及び第2積層部は、各々、5つの隣り合うコイル導体からなる。本発明の実施形態3の積層型コイル部品は、この点以外、本発明の実施形態1の積層型コイル部品と同様である。
【0287】
図8は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
図9は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例であって、
図8に続く部分を示す平面模式図である。
【0288】
図8及び
図9に示す積層型コイル部品3において、素体10Cは、絶縁層Px、絶縁層P1、絶縁層P2、絶縁層P26、絶縁層P3、絶縁層P16、絶縁層P4、絶縁層P5、絶縁層P27、絶縁層P6、絶縁層P17、絶縁層P7、絶縁層P8、絶縁層P28、絶縁層P9、絶縁層P18、絶縁層P10、絶縁層P11、絶縁層P29、絶縁層P12、絶縁層P19、絶縁層P13、絶縁層P20、絶縁層P30、絶縁層P21、絶縁層P22、絶縁層P23、絶縁層P24、絶縁層P31、絶縁層P14、絶縁層P25、絶縁層P15、及び、絶縁層Pyが、長さ方向Lに順に積層されてなる。素体10Cでは、素体10Bに対して、絶縁層P26、絶縁層P27、絶縁層P28、絶縁層P29、絶縁層P30、及び、絶縁層P31が、上述した位置に追加で設けられている。
【0289】
素体10Cの内部には、コイル30Cが設けられている。
【0290】
図8及び
図9に示すように、コイル30Cは、コイル導体Q1、コイル導体Q2、コイル導体Q26、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q5、コイル導体Q27、コイル導体Q6、コイル導体Q17、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、コイル導体Q18、コイル導体Q10、コイル導体Q11、コイル導体Q29、コイル導体Q12、コイル導体Q19、コイル導体Q13、コイル導体Q20、コイル導体Q30、コイル導体Q21、コイル導体Q22、コイル導体Q23、コイル導体Q24、コイル導体Q31、コイル導体Q14、コイル導体Q25、及び、コイル導体Q15を、長さ方向Lに順に含んでいる。コイル30Cでは、コイル30Bに対して、コイル導体Q26、コイル導体Q27、コイル導体Q28、コイル導体Q29、コイル導体Q30、及び、コイル導体Q31が、上述した位置に追加で設けられている。
【0291】
以下では、積層型コイル部品3において新たに設けられた絶縁層及びコイル導体について説明する。なお、積層型コイル部品3における、隣り合うコイル導体同士の接続関係については、上述した積層型コイル部品1に準じて
図8及び
図9を参照すれば明らかであるため、説明を省略する。
【0292】
コイル導体Q26は、L字状であり、絶縁層P26の主面上に設けられている。
【0293】
コイル導体Q26は、ランド部Ra26及びランド部Rc26を別々の端部に有している。また、コイル導体Q26は、屈曲部Ub26を有している。
【0294】
ランド部Ra26、屈曲部Ub26、及び、ランド部Rc26は、各々、絶縁層P26を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa26、ビア導体Sb26、及び、ビア導体Sc26に接続されている。
【0295】
コイル導体Q27は、U字状であり、絶縁層P27の主面上に設けられている。
【0296】
コイル導体Q27は、ランド部Rb27及びランド部Rc27を別々の端部に有している。また、コイル導体Q27は、屈曲部Ua27及び屈曲部Ud27を有している。
【0297】
屈曲部Ua27、ランド部Rb27、ランド部Rc27、及び、屈曲部Ud27は、各々、絶縁層P27を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa27、ビア導体Sb27、ビア導体Sc27、及び、ビア導体Sd27に接続されている。
【0298】
コイル導体Q28は、U字状であり、絶縁層P28の主面上に設けられている。
【0299】
コイル導体Q28は、ランド部Ra28及びランド部Rb28を別々の端部に有している。また、コイル導体Q28は、屈曲部Uc28及び屈曲部Ud28を有している。
【0300】
ランド部Ra28、ランド部Rb28、屈曲部Uc28、及び、屈曲部Ud28は、各々、絶縁層P28を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa28、ビア導体Sb28、ビア導体Sc28、及び、ビア導体Sd28に接続されている。
【0301】
コイル導体Q29は、U字状であり、絶縁層P29の主面上に設けられている。
【0302】
コイル導体Q29は、ランド部Ra29及びランド部Rd29を別々の端部に有している。また、コイル導体Q29は、屈曲部Ub29及び屈曲部Uc29を有している。
【0303】
ランド部Ra29、屈曲部Ub29、屈曲部Uc29、及び、ランド部Rd29は、各々、絶縁層P29を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa29、ビア導体Sb29、ビア導体Sc29、及び、ビア導体Sd29に接続されている。
【0304】
コイル導体Q30は、U字状であり、絶縁層P30の主面上に設けられている。
【0305】
コイル導体Q30は、ランド部Rc30及びランド部Rd30を別々の端部に有している。また、コイル導体Q30は、屈曲部Ua30及び屈曲部Ub30を有している。
【0306】
屈曲部Ua30、屈曲部Ub30、ランド部Rc30、及び、ランド部Rd30は、各々、絶縁層P30を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa30、ビア導体Sb30、ビア導体Sc30、及び、ビア導体Sd30に接続されている。
【0307】
コイル導体Q31は、U字状であり、絶縁層P31の主面上に設けられている。
【0308】
コイル導体Q31は、ランド部Rb31及びランド部Rc31を別々の端部に有している。また、コイル導体Q31は、屈曲部Ua31及び屈曲部Ud31を有している。
【0309】
屈曲部Ua31、ランド部Rb31、ランド部Rc31、及び、屈曲部Ud31は、各々、絶縁層P31を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa31、ビア導体Sb31、ビア導体Sc31、及び、ビア導体Sd31に接続されている。
【0310】
積層型コイル部品3において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Ea3、第2積層部Fa3、及び、中間部Ga3を含んでいる。
【0311】
第1積層部Ea3は、5つの隣り合うコイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27からなる。
【0312】
第1積層部Ea3は、第1積層部Ea3を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Ma3を有している。
【0313】
第1並走区間Ma3は、ビア導体Sc16、ビア導体Sd16、ビア導体Sc4、ビア導体Sd4、ビア導体Sc5、ビア導体Sd5、ビア導体Sc27、及び、ビア導体Sd27により並列接続されている。つまり、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27は、第1並走区間Ma3において並列接続されている。
【0314】
コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27は、第1並走区間Ma3以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0315】
第2積層部Fa3は、第1積層部Ea3と同数である5つの隣り合うコイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18からなる。
【0316】
第2積層部Fa3は、第2積層部Fa3を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Na3を有している。
【0317】
第2並走区間Na3は、ビア導体Sc8、ビア導体Sd8、ビア導体Sc28、ビア導体Sd28、ビア導体Sc9、ビア導体Sd9、ビア導体Sc18、及び、ビア導体Sd18により並列接続されている。つまり、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第2並走区間Na3において並列接続されている。
【0318】
コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第2並走区間Na3以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0319】
第1並走区間Ma3及び第2並走区間Na3は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0320】
中間部Ga3は、第1積層部Ea3及び第2積層部Fa3の間で両積層部に隣り合い、かつ、2つのコイル導体Q6及びコイル導体Q17からなる。
【0321】
中間部Ga3を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q6及びコイル導体Q17は、第1並走区間Ma3及び第2並走区間Na3の各一部に、長さ方向Lから見たときに重なっていない。より具体的には、コイル導体Q6及びコイル導体Q17は、第1並走区間Ma3の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)と、第2並走区間Na3の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)とに、長さ方向Lから見たときに重なっていない。
【0322】
したがって、積層型コイル部品3において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間Ma3及び第2並走区間Na3の間には、コイル導体が存在していない領域が、絶縁層基準で2層分しか存在していない。
【0323】
積層型コイル部品3において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Eb3、第2積層部Fb3、及び、中間部Gb3を含んでいる。
【0324】
第1積層部Eb3は、第2積層部Fa3と同様に、5つの隣り合うコイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18からなる。
【0325】
第1積層部Eb3は、第1積層部Eb3を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Mb3を有している。
【0326】
第1並走区間Mb3は、ビア導体Sc8、ビア導体Sd8、ビア導体Sc28、ビア導体Sd28、ビア導体Sc9、ビア導体Sd9、ビア導体Sc18、及び、ビア導体Sd18により並列接続されている。つまり、コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第1並走区間Mb3において並列接続されている。
【0327】
コイル導体Q7、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第1並走区間Mb3以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0328】
第2積層部Fb3は、第1積層部Eb3と同数である5つの隣り合うコイル導体Q11、コイル導体Q29、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13からなる。
【0329】
第2積層部Fb3は、第2積層部Fb3を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q11、コイル導体Q29、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Nb3を有している。
【0330】
第2並走区間Nb3は、ビア導体Sc29、ビア導体Sd29、ビア導体Sc12、ビア導体Sd12、ビア導体Sc19、ビア導体Sd19、ビア導体Sc13、及び、ビア導体Sd13により並列接続されている。つまり、コイル導体Q11、コイル導体Q29、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13は、第2並走区間Nb3において並列接続されている。
【0331】
コイル導体Q11、コイル導体Q29、コイル導体Q12、コイル導体Q19、及び、コイル導体Q13は、第2並走区間Nb3以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0332】
第1並走区間Mb3及び第2並走区間Nb3は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0333】
中間部Gb3は、第1積層部Eb3及び第2積層部Fb3の間で両積層部に隣り合い、かつ、1つのコイル導体Q10からなる。
【0334】
中間部Gb3を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q10は、第1並走区間Mb3及び第2並走区間Nb3の各一部に、長さ方向Lから見たときに重なっていない。より具体的には、コイル導体Q10は、第1並走区間Mb3の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)と、第2並走区間Nb3の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)とに、長さ方向Lから見たときに重なっていない。
【0335】
したがって、積層型コイル部品3において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間Mb3及び第2並走区間Nb3の間には、コイル導体が存在していない領域が、絶縁層基準で1層分しか存在していない。
【0336】
以上では、積層型コイル部品3において、5つの隣り合うコイル導体からなる積層部として、第1積層部Ea3、第1積層部Eb3、第2積層部Fa3、及び、第2積層部Fb3を例示したが、5つの隣り合うコイル導体の他の組み合わせからなる積層部についても同様である。つまり、積層型コイル部品3において、5つの隣り合うコイル導体は、これらのコイル導体が長さ方向Lから見たときに重なり合う並走区間において並列接続されている。
【0337】
以上では、積層型コイル部品3において、第1積層部Ea3、第2積層部Fa3、及び、中間部Ga3の組み合わせと、第1積層部Eb3、第2積層部Fb3、及び、中間部Gb3の組み合わせとを例示したが、他の組み合わせについても同様である。つまり、積層型コイル部品3において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間及び第2並走区間の間には、コイル導体が存在していない領域が絶縁層基準で1層分又は2層分しか存在していない。そのため、積層型コイル部品3では、密度が局所的に低下しにくく、結果的に、素体10Cにクラック等の欠陥が発生しにくい。
【0338】
積層型コイル部品3は、例えば、<導体パターンの形成工程>において、コイルシート及びビアシートに対して、
図8及び
図9に示すコイル導体、ビア導体、引き出し用ランド部、及び、引き出し用ビア導体に相当する導体パターンを形成し、更には、<積層体ブロックの作製工程>において、コイルシート及びビアシートを、
図8及び
図9に相当する順序で積層方向(
図8及び
図9では、長さ方向L)に積層すること以外、積層型コイル部品1と同様にして製造される。
【0339】
[実施形態4]
本発明の実施形態4の積層型コイル部品において、第1積層部及び第2積層部は、各々、6つの隣り合うコイル導体からなる。本発明の実施形態4の積層型コイル部品は、この点以外、本発明の実施形態1の積層型コイル部品と同様である。
【0340】
図10は、本発明の実施形態4の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例を示す平面模式図である。
図11は、本発明の実施形態4の積層型コイル部品(ただし、外部電極を除く)を分解した状態の一例であって、
図10に続く部分を示す平面模式図である。
【0341】
図10及び
図11に示す積層型コイル部品4において、素体10Dは、絶縁層Px、絶縁層P1、絶縁層P32、絶縁層P2、絶縁層P26、絶縁層P3、絶縁層P16、絶縁層P4、絶縁層P33、絶縁層P5、絶縁層P27、絶縁層P6、絶縁層P17、絶縁層P7、絶縁層P34、絶縁層P8、絶縁層P28、絶縁層P9、絶縁層P18、絶縁層P14、絶縁層P25、絶縁層P35、絶縁層P15、及び、絶縁層Pyが、長さ方向Lに順に積層されてなる。素体10Dでは、素体10Cに対して、絶縁層P10、絶縁層P11、絶縁層P29、絶縁層P12、絶縁層P19、絶縁層P13、絶縁層P20、絶縁層P30、絶縁層P21、絶縁層P22、絶縁層P23、絶縁層P24、及び、絶縁層P31が除かれた上で、絶縁層P32、絶縁層P33、絶縁層P34、及び、絶縁層P35が上述した位置に追加で設けられている。
【0342】
素体10Dの内部には、コイル30Dが設けられている。
【0343】
図10及び
図11に示すように、コイル30Dは、コイル導体Q1、コイル導体Q32、コイル導体Q2、コイル導体Q26、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q33、コイル導体Q5、コイル導体Q27、コイル導体Q6、コイル導体Q17、コイル導体Q7、コイル導体Q34、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、コイル導体Q18、コイル導体Q14、コイル導体Q25、コイル導体Q35、及び、コイル導体Q15を、長さ方向Lに順に含んでいる。コイル30Dでは、コイル30Cに対して、コイル導体Q10、コイル導体Q11、コイル導体Q29、コイル導体Q12、コイル導体Q19、コイル導体Q13、コイル導体Q20、コイル導体Q30、コイル導体Q21、コイル導体Q22、コイル導体Q23、コイル導体Q24、及び、コイル導体Q31が除かれた上で、コイル導体Q32、コイル導体Q33、コイル導体Q34、及び、コイル導体Q35が上述した位置に追加で設けられている。
【0344】
以下では、積層型コイル部品4において新たに設けられた絶縁層及びコイル導体について説明する。なお、積層型コイル部品4における、隣り合うコイル導体同士の接続関係については、上述した積層型コイル部品1に準じて
図10及び
図11を参照すれば明らかであるため、説明を省略する。
【0345】
コイル導体Q32は、直線状であり、絶縁層P32の主面上に設けられている。
【0346】
コイル導体Q32は、ランド部Ra32及びランド部Rb32を別々の端部に有している。
【0347】
ランド部Ra32及びランド部Rb32は、各々、絶縁層P32を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa32及びビア導体Sb32に接続されている。
【0348】
コイル導体Q33は、U字状であり、絶縁層P33の主面上に設けられている。
【0349】
コイル導体Q33は、ランド部Ra33及びランド部Rb33を別々の端部に有している。また、コイル導体Q33は、屈曲部Uc33及び屈曲部Ud33を有している。
【0350】
ランド部Ra33、ランド部Rb33、屈曲部Uc33、及び、屈曲部Ud33は、各々、絶縁層P33を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa33、ビア導体Sb33、ビア導体Sc33、及び、ビア導体Sd33に接続されている。
【0351】
コイル導体Q34は、U字状であり、絶縁層P34の主面上に設けられている。
【0352】
コイル導体Q34は、ランド部Ra34及びランド部Rd34を別々の端部に有している。また、コイル導体Q34は、屈曲部Ub34及び屈曲部Uc34を有している。
【0353】
ランド部Ra34、屈曲部Ub34、屈曲部Uc34、及び、ランド部Rd34は、各々、絶縁層P34を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa34、ビア導体Sb34、ビア導体Sc34、及び、ビア導体Sd34に接続されている。
【0354】
コイル導体Q35は、直線状であり、絶縁層P35の主面上に設けられている。
【0355】
コイル導体Q35は、ランド部Ra35及びランド部Rb35を別々の端部に有している。
【0356】
ランド部Ra35及びランド部Rb35は、各々、絶縁層P35を長さ方向Lに貫通するビア導体Sa35及びビア導体Sb35に接続されている。
【0357】
積層型コイル部品4において、長さ方向Lに積層された複数のコイル導体は、第1積層部Ea4、第2積層部Fa4、及び、中間部Ga4を含んでいる。
【0358】
第1積層部Ea4は、6つの隣り合うコイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q33、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27からなる。
【0359】
第1積層部Ea4は、第1積層部Ea4を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q33、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27が長さ方向Lから見たときに重なり合う第1並走区間Ma4を有している。
【0360】
第1並走区間Ma4は、ビア導体Sc16、ビア導体Sd16、ビア導体Sc4、ビア導体Sd4、ビア導体Sc33、ビア導体Sd33、ビア導体Sc5、ビア導体Sd5、ビア導体Sc27、及び、ビア導体Sd27により並列接続されている。つまり、コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q33、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27は、第1並走区間Ma4において並列接続されている。
【0361】
コイル導体Q3、コイル導体Q16、コイル導体Q4、コイル導体Q33、コイル導体Q5、及び、コイル導体Q27は、第1並走区間Ma4以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0362】
第2積層部Fa4は、第1積層部Ea4と同数である6つの隣り合うコイル導体Q7、コイル導体Q34、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18からなる。
【0363】
第2積層部Fa4は、第2積層部Fa4を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q7、コイル導体Q34、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18が長さ方向Lから見たときに重なり合う第2並走区間Na4を有している。
【0364】
第2並走区間Na4は、ビア導体Sc34、ビア導体Sd34、ビア導体Sc8、ビア導体Sd8、ビア導体Sc28、ビア導体Sd28、ビア導体Sc9、ビア導体Sd9、ビア導体Sc18、及び、ビア導体Sd18により並列接続されている。つまり、コイル導体Q7、コイル導体Q34、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第2並走区間Na4において並列接続されている。
【0365】
コイル導体Q7、コイル導体Q34、コイル導体Q8、コイル導体Q28、コイル導体Q9、及び、コイル導体Q18は、第2並走区間Na4以外において、長さ方向Lから見たときにすべて重なり合っていない。
【0366】
第1並走区間Ma4及び第2並走区間Na4は、長さ方向Lから見たときに重なり合っている。
【0367】
中間部Ga4は、第1積層部Ea4及び第2積層部Fa4の間で両積層部に隣り合い、かつ、2つのコイル導体Q6及びコイル導体Q17からなる。
【0368】
中間部Ga4を構成するすべてのコイル導体、すなわち、コイル導体Q6及びコイル導体Q17は、第1並走区間Ma4及び第2並走区間Na4の各一部に、長さ方向Lから見たときに重なっていない。より具体的には、コイル導体Q6及びコイル導体Q17は、第1並走区間Ma4の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)と、第2並走区間Na4の両端(コイル導体及びビア導体が接続された接続部分を含む)以外の領域(破線で囲まれた領域)とに、長さ方向Lから見たときに重なっていない。
【0369】
したがって、積層型コイル部品4において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間Ma4及び第2並走区間Na4の間には、コイル導体が存在していない領域が、絶縁層基準で2層分しか存在していない。
【0370】
以上では、積層型コイル部品4において、6つの隣り合うコイル導体からなる積層部として、第1積層部Ea4及び第2積層部Fa4を例示したが、6つの隣り合うコイル導体の他の組み合わせからなる積層部についても同様である。つまり、積層型コイル部品4において、6つの隣り合うコイル導体は、これらのコイル導体が長さ方向Lから見たときに重なり合う並走区間において並列接続されている。
【0371】
以上では、積層型コイル部品4において、第1積層部Ea4、第2積層部Fa4、及び、中間部Ga4の組み合わせを例示したが、他の組み合わせについても同様である。つまり、積層型コイル部品4において、長さ方向Lから見たとき、第1並走区間及び第2並走区間の間には、コイル導体が存在していない領域が絶縁層基準で2層分しか存在していない。そのため、積層型コイル部品4では、密度が局所的に低下しにくく、結果的に、素体10Dにクラック等の欠陥が発生しにくい。
【0372】
積層型コイル部品4は、例えば、<導体パターンの形成工程>において、コイルシート及びビアシートに対して、
図10及び
図11に示すコイル導体、ビア導体、引き出し用ランド部、及び、引き出し用ビア導体に相当する導体パターンを形成し、更には、<積層体ブロックの作製工程>において、コイルシート及びビアシートを、
図10及び
図11に相当する順序で積層方向(
図10及び
図11では、長さ方向L)に積層すること以外、積層型コイル部品1と同様にして製造される。
【0373】
以上の実施形態では、第1並走区間及び第2並走区間の各々で並列接続されるコイル導体の数が、3つ、4つ、5つ、及び、6つである態様を例示したが、第1並走区間及び第2並走区間の各々で並列接続されるコイル導体の数が7つ以上である態様についても同様である。
【実施例0374】
以下、本発明の積層型コイル部品を具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0375】
[実施例1]
実施例1の積層型コイル部品として、実施形態1の積層型コイル部品を以下の方法で製造した。
【0376】
<磁性材料の作製工程>
まず、Fe2O3、ZnO、CuO、及び、NiOを所定の比率になるように秤量した。
【0377】
次に、これらの秤量物及び純水を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕した。混合・粉砕時間については、6時間とした。
【0378】
そして、得られた粉砕物を乾燥させた後、仮焼成した。仮焼成温度については、800℃とした。仮焼成時間については、3時間とした。
【0379】
このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製した。
【0380】
<グリーンシートの作製工程>
まず、磁性材料と、有機バインダとしてのポリビニルブチラール系樹脂と、有機溶剤としてのエタノール及びトルエンと、可塑剤とを、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製した。
【0381】
次に、スラリーを、ドクターブレード法でシート状に成形した後、打ち抜くことにより、グリーンシートを作製した。グリーンシートの厚みについては、25μmとした。グリーンシートの形状については、矩形状とした。
【0382】
<導体パターンの形成工程>
まず、グリーンシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことにより、ビアホールを形成した。
【0383】
次に、Agペーストを、スクリーン印刷法で、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工した。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたコイル導体用導体パターンを表面上に形成した。このようにして、グリーンシートにコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたコイルシートを作製した。コイルシートについては複数枚作製し、各コイルシートに対して、
図2及び
図3に示すコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図2及び
図3に示すコイル導体に接続されたビア導体(
図2及び
図3に示す引き出し用ビア導体Sa1を含む)に相当するビア導体用導体パターンとを形成した。
【0384】
また、Agペーストを、スクリーン印刷法で、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工した。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたランド部用導体パターンを表面上に形成した。このようにして、グリーンシートにランド部用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたビアシートを、コイルシートとは別に作製した。ビアシートについても複数枚作製し、各ビアシートに対して、
図2及び
図3に示す引き出し導体を構成する引き出し用ランド部に相当するランド部用導体パターンと、
図2及び
図3に示す引き出し用ランド部に接続された引き出し用ビア導体(
図2及び
図3に示す引き出し用ビア導体Sa1を除く)に相当するビア導体用導体パターンとを形成した。
【0385】
<積層体ブロックの作製工程>
コイルシート及びビアシートを、
図2及び
図3に相当する順序で積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層した後、熱圧着することにより、積層体ブロックを作製した。
【0386】
<素体及びコイルの作製工程>
まず、積層体ブロックをダイサーで所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製した。
【0387】
次に、個片化されたチップを焼成した。焼成温度については、900℃とした。焼成時間については、3時間とした。
【0388】
個片化されたチップを焼成すると、コイルシート及びビアシートのグリーンシートは、絶縁層となった。その結果、複数の絶縁層が、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層されてなる素体が作製された。
【0389】
個片化されたチップを焼成すると、コイルシートのコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体及びビア導体(
図2及び
図3に示す引き出し用ビア導体Sa1を含む)となった。その結果、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層された複数のコイル導体がビア導体を介して電気的に接続されてなるコイルが作製された。
【0390】
以上により、素体と、素体の内部に設けられたコイルとが作製された。
【0391】
一方、個片化されたチップを焼成すると、ビアシートのランド部用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、引き出し用ランド部及び引き出し用ビア導体となった。その結果、積層方向(
図2及び
図3では、長さ方向L)に積層された複数の引き出し用ランド部及び複数の引き出し用ビア導体が交互に接続されてなる、第1引き出し導体及び第2引き出し導体が作製された。第1引き出し導体は、素体の第1端面から露出した。第2引き出し導体は、素体の第2端面から露出した。
【0392】
そして、素体をメディアとともに回転バレル機に入れて、素体にバレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けた。
【0393】
<外部電極の形成工程>
まず、Ag及びガラスフリットを含む導電性ペーストを塗工することにより、素体の第1端面から露出した第1引き出し導体に接続された第1塗膜を、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延びるように形成した。
【0394】
また、Ag及びガラスフリットを含む導電性ペーストを塗工することにより、素体の第2端面から露出した第2引き出し導体に接続された第2塗膜を、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延びるように形成した。
【0395】
このようにして、第1塗膜及び第2塗膜を、素体の表面上で互いに離隔した位置に形成した。
【0396】
次に、第1塗膜を焼き付けることにより、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延び、かつ、第1引き出し導体に接続された第1下地電極を形成した。
【0397】
また、第2塗膜を焼き付けることにより、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延び、かつ、第2引き出し導体に接続された第2下地電極を形成した。
【0398】
第1塗膜及び第2塗膜の焼き付け温度については、800℃とした。
【0399】
第1下地電極及び第2下地電極の厚みについては、5μmとした。
【0400】
そして、第1下地電極の表面上に、電解めっきで、Niめっき電極及びSnめっき電極を順に形成した。これにより、第1下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を素体の表面側から順に有する第1外部電極が形成された。
【0401】
また、第2下地電極の表面上に、電解めっきで、Niめっき電極及びSnめっき電極を順に形成した。これにより、第2下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を素体の表面側から順に有する第2外部電極が形成された。
【0402】
このようにして、第1引き出し導体を介してコイルに電気的に接続された第1外部電極と、第2引き出し導体を介してコイルに電気的に接続された第2外部電極とが、素体の表面上に形成された。
【0403】
以上により、実施例1の積層型コイル部品が製造された。
【0404】
実施例1の積層型コイル部品は、長さ方向における寸法が2.0mm、高さ方向における寸法が1.25mm、幅方向における寸法が1.25mmであった。
【0405】
[比較例1]
比較例1の積層型コイル部品として、積層方向から見たときに第1並走区間及び第2並走区間の間にコイル導体が存在していない領域が絶縁層基準で3層分存在する積層型コイル部品を製造した。比較例1の積層型コイル部品は、<導体パターンの形成工程>及び<積層体ブロックの作製工程>において、
図2及び
図3に示すコイル導体Q3と同じ形状のコイル導体用導体パターンが形成されたコイルシートを3枚連続して積層することで、各々のコイルシートに形成されたコイル導体用導体パターン全体が積層方向から見たときに重なり合う並走区間となるように構成されたユニットを、コイル導体用導体パターンを時計回りに90°回転させながら5ユニット分積層したこと以外、実施例1の積層型コイル部品と同様にして製造された。
【0406】
[評価]
まず、実施例1の積層型コイル部品及び比較例1の積層型コイル部品の各々を、素体の第2主面が上側に露出するように垂直に立てた状態で、周囲を樹脂で封止した。そして、各々の積層型コイル部品を、高さ方向の略中央部まで、素体の第2主面側から第1主面側に向かって研磨機で研磨しながら、長さ方向及び幅方向に沿う断面における、素体のクラックの発生有無をデジタルマイクロスコープで逐次観察した。
【0407】
積層方向から見たときに第1並走区間及び第2並走区間の間にコイル導体が存在していない領域が絶縁層基準で1層分しか存在していない実施例1の積層型コイル部品では、素体にクラックが発生していなかった。
【0408】
一方、積層方向から見たときに第1並走区間及び第2並走区間の間にコイル導体が存在していない領域が絶縁層基準で3層分存在する比較例1の積層型コイル部品では、素体にクラックが発生していた。