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特開2023-148404認知症予防支援方法、認知症予防支援装置、認知症予防支援システム、およびプログラム
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  • 特開-認知症予防支援方法、認知症予防支援装置、認知症予防支援システム、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148404
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】認知症予防支援方法、認知症予防支援装置、認知症予防支援システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20231005BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056397
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】榎本 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】谷沢 仁美
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 優花
(72)【発明者】
【氏名】増谷 順子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】認知症予防のために植物を育成する者が得られる認知症予防の効果を従来よりも向上させる。
【解決手段】情報処理装置としての管理サーバ30は、制御部31を備え、制御部31では、ミッション決定部304が、複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、カテゴリごとに決定し、進行状況管理部308が、ユーザによるミッションの実行の状況に応じて変化する認知症予防策の進行の状況を、ユーザごとに管理する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定し、
ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理することを特徴とする、
認知症予防支援方法。
【請求項2】
前記認知症予防策には、前記複数のカテゴリとして、前記ユーザの精神的側面からの予防策と、身体的および行動的側面からの予防策と、社会的側面からの予防策と、認知的側面からの予防策とが含まれることを特徴とする、
請求項1に記載の認知症予防支援方法。
【請求項3】
前記ミッションは、前記植物の育成の状況に応じて決定されることを特徴とする、
請求項1に記載の認知症予防支援方法。
【請求項4】
複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定するミッション決定手段と、
ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理する進行状況管理手段と、
を有することを特徴とする、
認知症予防支援装置。
【請求項5】
前記認知症予防策には、前記複数のカテゴリとして、前記ユーザの精神的側面からの予防策と、身体的および行動的側面からの予防策と、社会的側面からの予防策と、認知的側面からの予防策とが含まれることを特徴とする、
請求項4に記載の認知症予防支援装置。
【請求項6】
前記ミッションは、前記植物の育成の状況に応じて決定されることを特徴とする、
請求項4に記載の認知症予防支援装置。
【請求項7】
複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションに関するミッション情報を取得するミッション情報取得手段と、
前記ミッションの実行の状況に関する実行状況情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記実行状況情報に基づき他の装置により生成された、前記認知症予防策の進行の状況を示す進行状況情報を取得する進行状況情報取得手段と、
を有することを特徴とする、
認知症予防支援装置。
【請求項8】
複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定するミッション決定手段と、
ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理する進行状況管理手段と、
を有することを特徴とする、
認知症予防支援システム。
【請求項9】
前記認知症予防策には、前記複数のカテゴリとして、前記ユーザの精神的側面からの予防策と、身体的および行動的側面からの予防策と、社会的側面からの予防策と、認知的側面からの予防策とが含まれることを特徴とする、
請求項8に記載の認知症予防支援システム。
【請求項10】
前記ミッションは、前記植物の育成の状況に応じて決定されることを特徴とする、
請求項8に記載の認知症予防支援システム。
【請求項11】
コンピュータに、
複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定する機能と、
ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症予防支援方法、認知症予防支援装置、認知症予防支援システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
データベースに記憶された情報と、対象者の自立度を評価した情報とに基づき設定した改善項目に見合った改善プログラムを選択し、改善すべき生活指導と運動のプログラムとを選定して提示することや、植物の育成が認知症の予防に有効であるということが従来から知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-031433号公報
【特許文献2】特開2005-160806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、植物の育成は、単一の行動ではなく、複数の行動の総称である。すなわち、植物の育成には、例えば、時期を見定めて種をまく、適切なタイミングで適切な量の水や肥料を与える、日光が当たる場所を考慮して植木鉢を置くなど、様々な行動が含まれる。また、植物を育成する者も、年齢、性別、性格、住居環境、既往歴など個人差がある。このため、植物を育成する者が、どのような者であり、どのようなタイミングで、どのような行動をとるかにより、得られる認知症の予防の効果は異なる。これに対して、従来の技術では、植物を育成する者と、植物を育成するために必要となる個々の行動との関係を個別に管理することができず、認知症予防の効果を十分に得られない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、認知症予防のために植物を育成する者が得られる認知症予防の効果を従来よりも向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定し、ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理することを特徴とする、認知症予防支援方法である。
請求項2に記載された発明は、前記認知症予防策には、前記複数のカテゴリとして、前記ユーザの精神的側面からの予防策と、身体的および行動的側面からの予防策と、社会的側面からの予防策と、認知的側面からの予防策とが含まれることを特徴とする、請求項1に記載の認知症予防支援方法である。
請求項3に記載された発明は、前記ミッションは、前記植物の育成の状況に応じて決定されることを特徴とする、請求項1に記載の認知症予防支援方法である。
請求項4に記載された発明は、複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定するミッション決定手段と、ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理する進行状況管理手段と、を有することを特徴とする、認知症予防支援装置である。
請求項5に記載された発明は、前記認知症予防策には、前記複数のカテゴリとして、前記ユーザの精神的側面からの予防策と、身体的および行動的側面からの予防策と、社会的側面からの予防策と、認知的側面からの予防策とが含まれることを特徴とする、請求項4に記載の認知症予防支援装置である。
請求項6に記載された発明は、前記ミッションは、前記植物の育成の状況に応じて決定されることを特徴とする、請求項4に記載の認知症予防支援装置である。
請求項7に記載された発明は、複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションに関するミッション情報を取得するミッション情報取得手段と、前記ミッションの実行の状況に関する実行状況情報の入力を受け付ける入力受付手段と、前記実行状況情報に基づき他の装置により生成された、前記認知症予防策の進行の状況を示す進行状況情報を取得する進行状況情報取得手段と、を有することを特徴とする、認知症予防支援装置である。
請求項8に記載された発明は、複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定するミッション決定手段と、ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理する進行状況管理手段と、を有することを特徴とする、認知症予防支援システムである。
請求項9に記載された発明は、前記認知症予防策には、前記複数のカテゴリとして、前記ユーザの精神的側面からの予防策と、身体的および行動的側面からの予防策と、社会的側面からの予防策と、認知的側面からの予防策とが含まれることを特徴とする、請求項8に記載の認知症予防支援システムである。
請求項10に記載された発明は、前記ミッションは、前記植物の育成の状況に応じて決定されることを特徴とする、請求項8に記載の認知症予防支援システムである。
請求項11に記載された発明は、コンピュータに、複数のカテゴリからなる認知症予防策を実現させるための、植物の育成に関する複数のミッションを、当該カテゴリごとに決定する機能と、ユーザによる前記ミッションの実行の状況に応じて変化する前記認知症予防策の進行の状況を、当該ユーザごとに管理する機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の本発明によれば、植物を育成する者と、植物を育成するために必要となる個々の行動との関係を個別に管理することで、得られる認知症予防の効果を従来よりも向上させることができる。
請求項2の本発明によれば、ユーザの精神的側面、身体的および行動的側面、社会的側面、および認知的側面からの認知症予防策により、認知症の予防効果を従来よりも向上させることができる。
請求項3の本発明によれば、そのときのユーザの状態、および植物の状態に応じた的確なミッションが提供される。
請求項4の本発明によれば、植物を育成する者と、植物を育成するために必要となる個々の行動との関係を個別に管理することで、得られる認知症予防の効果を従来よりも向上させることを可能にする装置を提供できる。
請求項5の本発明によれば、ユーザの精神的側面、身体的および行動的側面、社会的側面、および認知的側面からの認知症予防策により、認知症の予防効果を従来よりも向上させることができる。
請求項6の本発明によれば、そのときのユーザの状態、および植物の状態に応じた的確なミッションが提供される。
請求項7の本発明によれば、植物を育成する者と、植物を育成するために必要となる個々の行動との関係を個別に管理することで、得られる認知症予防の効果を従来よりも向上させることを可能にする装置を提供できる。
請求項8の本発明によれば、植物を育成する者と、植物を育成するために必要となる個々の行動との関係を個別に管理することで、得られる認知症予防の効果を従来よりも向上させることを可能にするシステムを提供できる。
請求項9の本発明によれば、ユーザの精神的側面、身体的および行動的側面、社会的側面、および認知的側面からの認知症予防策により、認知症の予防効果を従来よりも向上させることができる。
請求項10の本発明によれば、そのときのユーザの状態、および植物の状態に応じた的確なミッションが提供される。
請求項11の本発明によれば、植物を育成する者と、植物を育成するために必要となる個々の行動との関係を個別に管理することで、得られる認知症予防の効果を従来よりも向上させることを可能にするプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される認知症予防支援システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施の形態が適用される認知症予防支援装置としてのユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本実施の形態が適用される認知症予防支援装置としての管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】ユーザ端末の制御部の機能構成の一例を示す図である。
図5】管理サーバの制御部の機能構成の一例を示す図である。
図6】ユーザ端末の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】管理サーバの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】本サービスの概要を示す図である。
図9】データベースに記憶されたミッション情報の具体例を示す図である。
図10】データベースに記憶されている実行状況情報および進行状況情報の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(認知症予防支援システムの構成)
図1は、本実施の形態が適用される認知症予防支援システム1の全体構成の一例を示す図である。
認知症予防支援システム1は、サービス提供者からユーザに対して提供される「認知症予防推進サービス」(以下、「本サービス」と呼ぶ)を実現させるシステムである。認知症予防支援システム1は、本実施の形態が適用される認知症予防支援装置としてのユーザ端末10-1乃至10-nと管理サーバ30とがネットワーク90を介して接続されることにより構成されている。ネットワーク90は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット等である。なお、ユーザ端末10-1乃至10-nの各々を個別に説明する必要がない場合、これらをまとめてユーザ端末10と呼ぶ。
【0010】
本サービスを利用するユーザとしては、植物の育成を通じて自身の認知症予防を図ろうとする健常なシニア層(例えば、65歳以上の前期高齢者)に属する者が挙げられる。ユーザは、本サービスを利用することで、育てたい植物を自分で選び、種まき、栽培、収穫、および料理等をして食するまでの一連の活動を楽しみながら、活動を通じて認知症を予防することができる。ユーザは、サービス提供者から定期的(例えば、季節ごと)に提供される「栽培キット」を用いて植物の栽培を行う。栽培キットには、1または複数の植物についての種または苗、培養土、鉢、取扱説明書など、ユーザが植物を栽培するために必要となる物一式が含まれる。
【0011】
認知症予防支援システム1のうち、本実施の形態が適用される認知症予防支援装置としてのユーザ端末10は、ユーザが操作するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置である。ユーザ端末10は、管理サーバ30から送信されてくる、ユーザの認知症予防策を実現させるための植物の育成に関するミッションに関する情報(以下、「ミッション情報」と呼ぶ。)を取得し、データベースに記憶して管理する。「ミッション」とは、ユーザに提供される、認知症予防に繋がる行動を促すための短期的かつ具体的な行動目標のうち、特に植物の育成に関するものをいう。ミッションとしては、例えば「栽培する植物を選びましょう」、「栽培する植物について学びましょう」といったものが挙げられる。なお、ミッションの具体例については、図9を参照して後述する。
【0012】
また、ユーザ端末10は、ユーザにおけるミッションの実行の状況に関する情報(以下、「実行状況情報」と呼ぶ。)の入力を受け付けて、管理サーバ30に向けて送信する。その後、ユーザ端末10は、管理サーバ30から送信されてくる、ユーザにおける認知症予防策の進行の状況に関する情報(以下、「進行状況情報」と呼ぶ。)を取得し、ユーザインターフェースに表示する。進行状況情報を見たユーザは、自身の認知症予防策の進行の状況を容易に把握することができる。なお、ユーザ端末10による処理の詳細については後述する。
【0013】
認知症予防支援システム1のうち、本実施の形態が適用される認知症予防支援装置としての管理サーバ30は、認知症予防支援システム1の全体の管理をするサーバとしての情報処理装置である。管理サーバ30は、認知症予防策とミッションとを対応付けたミッション情報をデータベースに記憶して管理する。データベースでは、認知症予防策とミッションとが対応付けられている。認知症予防策は、複数のカテゴリで構成されている。本実施の形態において、認知症予防策は、ユーザの精神的側面からの予防策、ユーザの身体的および行動的側面からの予防策、ユーザの社会的側面からの予防策、およびユーザの認知的側面からの予防策という4つのカテゴリで構成される。ただし、この4つのカテゴリは例示に過ぎない。
【0014】
管理サーバ30は、ユーザ端末10から送信されてくる、ミッション情報をユーザインターフェースに表示させるための入力情報に基づいて、そのユーザに提供するミッションを決定し、決定したミッションのミッション情報をユーザ端末10に向けて送信する。また、管理サーバ30は、ユーザ端末10から送信されてくる実行状況情報に基づいて、進行状況情報を生成し、また、ユーザに提供する新たなミッションを決定する。そして、管理サーバ30は、生成した進行状況情報と、決定したミッションのミッション情報とをユーザ端末10に向けて送信する。なお、管理サーバ30による処理の詳細については後述する。
【0015】
上述の認知症予防支援システム1の構成は一例であり、認知症予防支援システム1全体として上述の処理を実現させる機能を備えていればよい。このため、上述の処理を実現させる機能のうち、一部または全部を認知症予防支援システム1内で分担してもよいし協働してもよい。すなわち、ユーザ端末10の機能の一部または全部を管理サーバ30の機能としてもよいし、管理サーバ30の機能の一部または全部をユーザ端末10の機能としてもよい。さらに、認知症予防支援システム1を構成するユーザ端末10および管理サーバ30の各々の機能の一部または全部を、図示せぬ他のサーバ等に移譲してもよい。これにより、認知症予防支援システム1全体としての処理が促進され、また、処理を補完し合うことも可能となる。
【0016】
(ユーザ端末のハードウェア構成)
図2は、本実施の形態が適用される認知症予防支援装置としてのユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。
ユーザ端末10は、制御部11と、メモリ12と、記憶部13と、通信部14と、操作部15と、表示部16と、撮像部17とを有している。これらの各部は、データバス、アドレスバス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等で接続されている。
【0017】
制御部11は、OS(基本ソフトウェア)やアプリケーションソフトウェア(応用ソフトウェア)等の各種ソフトウェアの実行を通じてユーザ端末10の機能の制御を行うプロセッサである。制御部11は、例えばCPUで構成される。メモリ12は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、演算に際して作業エリアとして用いられる。メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0018】
記憶部13は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。記憶部13は、例えばプログラムや各種設定データなどの記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、半導体メモリ等で構成される。記憶部13には、各種情報を記憶するデータベースとして、例えば、ユーザが育成する植物ごとの育成状況情報と、そのユーザの実行状況情報および進行状況情報とが記憶されたユーザDB131等が格納されている。
【0019】
通信部14は、ネットワーク90を介して管理サーバ30および外部との間でデータの送受信を行う。操作部15は、例えばキーボード、マウス、機械式のボタン、スイッチで構成され、入力操作を受け付ける。また、操作部15は、表示部16に表示された操作画像を有する。操作部15には、表示部16と一体的にタッチパネルを構成するタッチセンサも含まれる。表示部16は、例えば情報の表示に用いられる液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成され、画像やテキストのデータなどを表示する。表示部16にはユーザインターフェースが表示される。撮像部17は、カメラ等で構成され、カメラのファインダとしても機能する表示部16に表示された被写体を撮像し、画像のデータとして取得する。
【0020】
(管理サーバのハードウェア構成)
図3は、本実施の形態が適用される認知症予防支援装置としての管理サーバ30のハードウェア構成の一例を示す図である。
管理サーバ30は、図2のユーザ端末10のハードウェア構成のうち、制御部11、メモリ12、記憶部13、通信部14、操作部15、および表示部16の各々に対応するハードウェア構成を有している。そして、これらの各部は、データバス、アドレスバス、PCIバス等で接続されている。
【0021】
すなわち、管理サーバ30は、CPU等のプロセッサで構成される制御部31と、RAM等の記憶領域で構成されるメモリ32と、HDDやSDD、半導体メモリ等の記憶領域で構成される記憶部33とを有している。記憶部33には、各種情報を記憶するデータベースとして、例えば、ミッション情報が記憶されたミッションDB331、ユーザごとの育成状況情報、実行状況情報、および進行状況情報が記憶されたユーザDB332等が格納されている。また、ネットワーク90を介してユーザ端末10や外部との間でデータの送受信を行う通信部34を有している。また、管理サーバ30は、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成される操作部35と、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成される表示部36を有している。
【0022】
(ユーザ端末の制御部の機能構成)
図4は、ユーザ端末10の制御部11の機能構成の一例を示す図である。
ユーザ端末10の制御部11では、入力操作受付部101と、表示制御部102と、送受信制御部103と、育成状況管理部104とが機能する。
【0023】
入力操作受付部101は、ユーザの入力操作を受け付ける。ユーザの入力操作としては、例えば、指によるタッチ操作およびマウス操作等が挙げられる。例えば、入力操作受付部101は、アプリケーションソフトウェアを起動してユーザインターフェースを表示部16(図2参照)に表示させるための入力操作を受け付ける。また、入力操作受付部101は、ユーザインターフェースにミッション情報を表示させるための入力操作を受け付ける。また、入力操作受付部101は、ユーザが育成する植物の育成の状況を示す情報(以下、「育成状況情報」と呼ぶ。)を入力する操作を受け付ける。また、入力操作受付部101は、実行状況情報を入力する操作を受け付ける。また、入力操作受付部101は、ユーザインターフェースに進行状況情報を表示させるための入力操作を受け付ける。
【0024】
表示制御部102は、各種情報を表示部16(図2参照)に表示させる制御を行う。例えば、表示制御部102は、表示部16にユーザインターフェースを表示させる制御を行う。表示部16に表示されるユーザインターフェースは、ユーザ端末10に予めインストールされた、ユーザ向けの専用のアプリケーションソフトウェアを起動することで表示させることができる。また、ユーザインターフェースは、ユーザ向けの専用のウェブサイトにアクセスすることでも表示させることができる。ユーザインターフェースには、例えば、ミッション情報や進行状況情報等の情報が表示される。
【0025】
送受信制御部103は、通信部14(図2参照)を介して各種情報を送受信する制御を行う。例えば、送受信制御部103は、管理サーバ30から送信されてくる各種情報を受信する制御を行う。管理サーバ30から送信されてくる情報としては、例えば、ミッション情報、進行状況情報等が挙げられる。また、送受信制御部103は、管理サーバ30や外部に向けて各種情報を送信する制御を行う。管理サーバ30や外部に向けて送信される情報としては、例えば、入力操作受付部101により入力が受け付けられた入力情報が挙げられる。管理サーバ30や外部に向けて送信される入力情報としては、例えば、育成状況情報、実行状況情報等が挙げられる。
【0026】
育成状況管理部104は、育成状況情報をデータベースに記憶して管理する。具体的には、育成状況管理部104は、ユーザを一意に特定可能な情報(例えば、ユーザごとに付与されるID等)と、植物を一意に特定可能な情報(例えば、植物ごとに付与されるID等)と、植物ごとの育成状況情報とを対応付けて、記憶部13のユーザDB131に記憶させて管理する。
【0027】
育成状況情報には、植物の育成の状態を、客観的なデータに基づくものと、ユーザの主観に基づくものとが含まれる。客観的なデータに基づくものとしては、例えば、ユーザ端末10により撮像された植物の撮像画像のデータ等が挙げられる。また、ユーザの主観に基づくものとしては、例えば、植物の育成の状態を評価するために予め用意されたチェックポイント等に入力された情報等が挙げられる。
【0028】
(管理サーバの制御部の機能構成)
図5は、管理サーバ30の制御部31の機能構成の一例を示す図である。
管理サーバ30の制御部31では、送受信制御部301と、育成状況情報取得部302と、育成状況管理部303と、ミッション決定部304と、実行状況情報取得部305と、実行状況管理部306と、進行状況情報生成部307と、進行状況管理部308とが機能する。
【0029】
送受信制御部301は、通信部34(図3参照)を介して各種情報を送受信する制御を行う。例えば、送受信制御部301は、ユーザ端末10から送信されてくる各種情報を受信する制御を行う。ユーザ端末10から送信されてくる情報としては、例えば、育成状況情報、実行状況情報等の入力情報が挙げられる。また、送受信制御部301は、ユーザ端末10や外部に向けて各種情報を送信する制御を行う。ユーザ端末10や外部に向けて送信される情報としては、例えば、ミッション情報、進行状況情報等が挙げられる。
【0030】
育成状況情報取得部302は、ユーザ端末10により送信され、送受信制御部301の制御により受信された育成状況情報を取得する。
育成状況管理部303は、育成状況情報取得部302により取得された育成状況情報をデータベースに記憶して管理する。具体的には、育成状況管理部303は、取得された植物ごとの育成状況情報と、ユーザを一意に特定可能な情報(例えば、ユーザごとに付与されるID等)と、植物を一意に特定可能な情報(例えば、植物ごとに付与されるID等)とを対応付けて、記憶部33のユーザDB332に記憶させて管理する。
【0031】
ミッション決定部304は、ユーザに提供するミッションを決定する。具体的には、ミッション決定部304は、育成状況管理部303により管理されている育成状況情報と、後述する実行状況管理部306により管理されている実行状況情報と、後述する進行状況管理部308により管理されている進行状況情報とのうち少なくとも1以上の情報に基づいて、認知症予防策のカテゴリごとに対応付けられてデータベースに記憶されている複数のミッションのうち、そのユーザの認知症予防策として最適となる1以上のミッションを選択して決定する。
【0032】
なお、ミッション決定部304が、ユーザに提供するミッションを決定するために用いる手法は特に限定されない。例えば、AI(人工知能)によるディープラーニング等の機械学習の結果を用いてもよいし、予め定められたアルゴリズムを用いてもよい。また、専門的知見を有するスタッフ(例えば、植物の育成あるいは認知症に関する専門的知見を有する者等)による判断の結果を用いてもよい。また、これらの手法を組み合わせてもよい。
【0033】
実行状況情報取得部305は、ユーザ端末10により送信され、送受信制御部301の制御により受信された実行状況情報を取得する。
実行状況管理部306は、実行状況情報取得部305により取得された実行状況情報をデータベースに記憶して管理する。具体的には、実行状況管理部306は、取得された実行状況情報と、ユーザを一意に特定可能な情報(例えば、ユーザごとに付与されるID等)と、そのユーザが育成する植物を一意に特定可能な情報(例えば、植物ごとに付与されるID等)とを対応付けて、記憶部33のユーザDB332に記憶させて管理する。
【0034】
進行状況情報生成部307は、ユーザごとの進行状況情報を生成する。具体的には、進行状況情報生成部307は、ユーザごとの実行状況情報に基づいて、進行状況情報を生成する。
進行状況管理部308は、進行状況情報生成部307により生成された進行状況情報をデータベースに記憶してユーザごとに管理する。具体的には、進行状況管理部308は、生成された進行状況情報と、ユーザを一意に特定可能な情報(例えば、ユーザごとに付与されるID等)とを対応付けて、記憶部33のユーザDB332に記憶させて管理する。
【0035】
(ユーザ端末の処理の流れ)
図6は、ユーザ端末10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
ユーザ端末10は、管理サーバ30からミッション情報が送信されてくると(ステップ601でYES)、そのミッション情報を取得し(ステップ602)、データベースに記憶して管理する(ステップ603)。これに対して、ミッション情報が送信されてきていない場合(ステップ601でNO)、ユーザ端末10は、ミッション情報が送信されてくるまでステップ601を繰り返す。
【0036】
ユーザ端末10は、アプリケーションソフトウェアを起動させるための入力操作が行われると(ステップ604でYES)、その入力操作を受け付けて(ステップ605)、表示部16(図2参照)にユーザインターフェースを表示する(ステップ606)。これに対して、アプリケーションソフトウェアを起動させるための入力操作が行われない場合(ステップ604でNO)、ユーザ端末10は、その入力操作が行われるまでステップ604を繰り返す。
【0037】
ユーザ端末10は、ミッション情報を表示させるための入力操作が行われると(ステップ607でYES)、その入力操作を受け付けて(ステップ608)、ユーザインターフェースにミッション情報を表示する(ステップ609)。これに対して、ミッション情報を表示させるための入力操作が行われていない場合(ステップ607でNO)、ユーザ端末10は、その入力操作が行われるまでステップ607を繰り返す。
【0038】
ユーザ端末10は、実行状況情報を入力する操作が行われると(ステップ610でYES)、その入力操作を受け付けて(ステップ611)、その実行状況情報を管理サーバ30に向けて送信する(ステップ612)。これに対して、実行状況情報を入力する操作が行われていない場合(ステップ610でNO)、ユーザ端末10は、その入力操作が行われるまでステップ610を繰り返す。
【0039】
ユーザ端末10は、管理サーバ30から、進行状況情報が送信されてくると(ステップ613でYES)、その進行状況情報を取得し(ステップ614)、ユーザインターフェースに表示する(ステップ615)。これに対して、進行状況情報が送信されてきていない場合(ステップ613でNO)、ユーザ端末10は、進行状況情報が送信されてくるまでステップ613を繰り返す。
【0040】
(管理サーバの処理の流れ)
図7は、管理サーバ30の処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【0041】
管理サーバ30は、ミッション情報をデータベースに記憶して管理する(ステップ701)。管理サーバ30は、ユーザ端末10からユーザインターフェースにミッション情報を表示させるための入力情報が送信されてくると(ステップ702でYES)、その入力情報を取得する(ステップ703)。そして、管理サーバ30は、その入力情報に基づいて、そのユーザに提供するミッションを決定し(ステップ704)、決定したミッションのミッション情報をユーザ端末10に向けて送信する(ステップ705)。これに対して、ユーザインターフェースにミッション情報を表示させるための入力情報が送信されてきていない場合(ステップ702でNO)、管理サーバ30は、その入力情報が送信されてくるまでステップ702を繰り返す。
【0042】
管理サーバ30は、ユーザ端末10から実行状況情報が送信されてくると(ステップ706でYES)、その実行状況情報を取得し(ステップ707)、その実行状況情報をデータベースに記憶してユーザごとに管理する(ステップ708)。これに対して、実行状況情報が送信されてきていない場合(ステップ706でNO)、管理サーバ30は、実行状況情報が送信されてくるまでステップ706を繰り返す。管理サーバ30は、ステップ707で取得した実行状況情報に基づいて、進行状況情報生成し、また、ユーザに提供する新たなミッションを決定し(ステップ709)、生成した進行状況情報と、決定したミッションのミッション情報とをユーザ端末10に向けて送信する(ステップ710)。
【0043】
(具体例)
図8は、本サービスの概要を示す図である。
本サービスでは、図8に示すように、ユーザは、まず、「家庭菜園」として、育ててみたい植物の種を購入して育てる。次に、育てられた植物が野菜や草花である場合、ユーザは、「料理」として、自分で育てた野菜を自分で調理したり、「お風呂」として、自分で育てた草花の季節湯に入ったりする。植物の育成から利用(料理やお風呂)に至るまでの各プロセスは、ユーザに対し都度提供されるミッションの実行により進められる。そして、ユーザは、「記録・交流」として、植物の育成から利用(料理やお風呂)までのプロセスを日記や写真等として記録し、他のユーザとの間で情報を共有(シェア)する。
【0044】
本サービスを利用したユーザは、自身の4つの機能を高めることができ、これにより、認知症を予防することができる。具体的には、本サービスの利用により、ユーザの精神的側面である「こころ」の機能、身体的および行動的側面である「からだ」の機能、認知的側面である「あたま」の機能、および社会的側面である「社会」の機能が高まり、これにより認知症を予防することができる。
【0045】
これら4つの機能の高まりは、本サービスにより提供される、次の(1)乃至(10)を含む複数の支援により実現される。すなわち、(1)植物の五感刺激による豊かな感情表出への支援、(2)植物の今後の生長に対する期待感の表出への支援、(3)植物の生長変化に対する思いの表出への支援、(4)植物への愛着の表出への支援、(5)植物の日常での世話による楽しみの表出への支援、(6)植物の継続的な世話による自発的な選択、判断、計画、遂行、および注意分割機能への支援、(7)グループによる精神的安寧への支援、(8)他者との交流への支援、(9)他者に対する思いやりの表出への支援、および(10)季節に合った植物の世話による認知機能(エピソード記憶、見当識等)への支援を含む複数の支援により実現される。
【0046】
具体的には、上記のうち、(1)乃至(5)の支援により、「こころ」の機能を高めることができる。また、(6)および(7)の支援により、「からだ」の機能を高めることができる。また、(8)および(9)の支援により、「社会」の機能を高めることができる。また、(10)の支援により、「あたま」の機能を高めることができる。
【0047】
図9は、データベースに記憶されたミッション情報の具体例を示す図である。
管理サーバ30の記憶部33のミッションDB331には、ミッション情報として、例えば、図9に示すような情報が記憶されている。すなわち、ミッションを一意に特定可能とする番号(No.)、ミッションの内容(ミッション)、ミッションの対象となる育成のフェーズ(対象フェーズ)、および対応する認知症予防策のカテゴリ(精神的側面、身体および行動的側面、社会的側面、認知的側面)についての各情報が記憶されている。なお、図9には、ミッションとして、「No.0」乃至「No.35」の36のミッションのミッション情報が示されているが、これは例示に過ぎない。ミッションの数は36より多くてもよいし、少なくてもよい。
【0048】
ミッション情報の項目のうち、「対象フェーズ」の項目は、A「種まき」、B「栽培」、C「収穫」、およびD「料理・食事」の4つのフェーズに分かれている。
【0049】
対応する認知症予防策のカテゴリのうち、「精神的側面」の項目は、1「植物の刺激による感情表出」、2「生長への期待感の表出」、3「生長変化への思いの表出」、4「植物への愛着の表出」、および5「活動への楽しみの表出」に細分されている。また、「身体・行動的側面」の項目は、6-1「題材の自己選択」、6-2「作業や世話の実行性」、7-1「精神的安寧」、および7-2「自己効力感」に細分されている。また、「社会的側面」の項目は、8「他者との交流」、および9「他者への思いやり表出」に細分されている。また、「認知的側面」の項目は、10-1「エピソード記憶」、10-2「注意分割機能」、10-3「作業や世話の計画性」、および10-4「天気・季節の認識」に細分されている。
【0050】
このうち、例えば、「No.0」のミッションは、「活動の説明とあいさつ」であり、「対象フェーズ」の項目は該当せず、認知症予防策のカテゴリは、「身体的・行動的側面」のうち、7-1「精神的安寧」の細分に該当する。すなわち、ユーザは、「No.0」のミッションの実行として、本サービスに関する説明を受け、本サービスの提供者や他のユーザとあいさつを交わす。これにより、ユーザは、特に意識をすることなく、認知症に対する身体的および行動的側面からの予防策となる「精神的な安寧」を実践したことになる。
【0051】
また、例えば、「No.1」のミッションは、「栽培する植物を選びましょう」であり、「対象フェーズ」の項目はA「種まき」であり、認知症予防策のカテゴリは、「身体的・行動的側面」のうち6-1「題材の自己選択」の細分と、「認知的側面」のうち10-3「作業や世話の計画性」の細分とに該当する。
【0052】
すなわち、ユーザは、「No.1」のミッションの実行として、植物の育成における種まきのフェーズで、自分が育てる植物を選ぶという作業を行うことで、特に意識をすることなく、認知症に対する身体的および行動的側面からの予防策となる「題材の自己選択」と、認知的側面からの予防策となる「作業や世話の計画性」とを実践したことになる。なお、図9において、「●」および「◎」は、いずれもその項目に該当することを意味し、このうち、特に「◎」は、「●」よりも該当の度合いが高いことを意味する。
【0053】
また、例えば、「No.8」のミッションは、「種をまきましょう」であり、「対象フェーズ」の項目はA「種まき」であり、認知症予防策のカテゴリは、「精神的側面」のうち1「植物の刺激による感情表出」、2「生長への期待感の表出」、4「植物への愛着の表出」、および5「活動への楽しみの表出」の細分と、「身体的・行動的側面」のうち6-2「作業や世話の実行性」の細分と、「認知的側面」のうち10-3「作業や世話の計画性」の細分とに該当する。
【0054】
すなわち、ユーザは、「No.8」のミッションの実行として、植物の育成における種まきのフェーズで、自分が育てる植物の種をまくという作業を行うことで、特に意識をすることなく、認知症に対する精神的側面からの予防策となる「植物の刺激による感情表出」、「生長への期待感の表出」、「植物への愛着の表出」、および「活動への楽しみの表出」と、身体的および行動的側面からの予防策となる「作業や世話の実行性」と、認知的側面からの予防策となる「作業や世話の計画性」とを実践したことになる。
【0055】
また、例えば、「No.21」のミッションは、「肥料をあげましょう」であり、「対象フェーズ」の項目はB「栽培」であり、認知症予防策のカテゴリは、「精神的側面」のうち2「生長への期待感の表出」、3「生長変化への思いの表出」、4「植物への愛着の表出」、および5「活動への楽しみの表出」の細分と、「身体的・行動的側面」のうち6-2「作業や世話の実行性」の細分と、「認知的側面」のうち10-3「作業や世話の計画性」の細分とに該当する。
【0056】
すなわち、ユーザは、「No.21」のミッションの実行として、植物の育成における栽培のフェーズで、自分が育てる植物に肥料をあげる作業を行うことで、特に意識をすることなく、認知症に対する精神的側面からの予防策となる「生長への期待感の表出」、「生長変化への思いの表出」、「植物への愛着の表出」、および「活動への楽しみの表出」と、身体的および行動的側面からの予防策となる「作業や世話の実行性」と、認知的側面からの予防策となる「作業や世話の計画性」とを実践したことになる。
【0057】
また、例えば、「No.23」のミッションは、「収穫しましょう」であり、「対象フェーズ」の項目はC「収穫」であり、認知症予防策のカテゴリは、「精神的側面」のうち1「植物の刺激による感情表出」、2「生長への期待感の表出」、3「生長変化への思いの表出」、4「植物への愛着の表出」、および5「活動への楽しみの表出」の細分と、「身体的・行動的側面」のうち6-2「作業や世話の実行性」の細分と、「認知的側面」のうち10-3「作業や世話の計画性」の細分とに該当する。
【0058】
すなわち、ユーザは、「No.23」のミッションの実行として、植物の育成における収穫のフェーズで、自分が育てた植物を収穫する作業を行うことで、特に意識をすることなく、認知症に対する精神的側面からの予防策となる「植物の刺激による感情表出」、「生長への期待感の表出」、「生長変化への思いの表出」、「植物への愛着の表出」、および「活動への楽しみの表出」と、身体的および行動的側面からの予防策となる「作業や世話の実行性」と、認知的側面からの予防策となる「作業や世話の計画性」とを実践したことになる。
【0059】
また、例えば、「No.28」のミッションは、「収穫した野菜で料理をしよう」であり、「対象フェーズ」の項目はD「料理・食事」であり、認知症予防策のカテゴリは、「精神的側面」のうち1「植物の刺激による感情表出」、3「生長変化への思いの表出」、および5「活動への楽しみの表出」の細分と、「身体的・行動的側面」のうち6-2「作業や世話の実行性」の細分と、「認知的側面」のうち10-2「注意分割機能」の細分とに該当する。
【0060】
すなわち、ユーザは、「No.28」のミッションの実行として、植物の育成における料理・食事のフェーズで、自分が育てた野菜を料理する作業を行うことで、特に意識をすることなく、認知症に対する精神的側面からの予防策となる「植物の刺激による感情表出」、「生長変化への思いの表出」、および「活動への楽しみの表出」と、身体的および行動的側面からの予防策となる「作業や世話の実行性」と、認知的側面からの予防策となる「注意分割機能」とを実践したことになる。なお、ミッション情報の他の具体例については、図9に示すとおりである。
【0061】
図10は、データベースに記憶されている実行状況情報および進行状況情報の具体例を示す図である。なお、図10に示す情報は、上述の図9に示す情報に対応しているものとする。
管理サーバ30の記憶部33のユーザDB332には、育成状況情報、実行状況情報、および進行状況情報を含む情報として、例えば図9に示すような情報が記憶されている。すなわち、ユーザを一意に識別可能とするユーザID、ユーザの名前、現在の育成のフェーズを示す記号(A乃至D)、育成中の植物を一意に識別可能とする植物ID、植物の育成状況、提供中のミッションを一意に特定可能とする番号(0乃至36)、および提供中のミッションに対応する認知症予防策のカテゴリを示す番号(1乃至10-4)が記憶されている。なお、図10には、ユーザ1人に対して1のミッションが提供されている状況が示されているが、これに限定されず、ユーザ1人に対して複数のミッションが提供されてもよい。
【0062】
図10には、例えば、ユーザID「XX0001」のユーザの植物の育成のフェーズは「A」(種まき)、植物IDは「YY002」、植物の育成状況は「XXX」である。また、現在のミッションは「1」(栽培する植物を選びましょう)であり、認知症予防策のカテゴリは「6-1」(題材の自己選択)、および「10-3」(作業や世話の計画性)であることが示されている。また、ユーザID「XX0002」のユーザの植物の育成のフェーズは「B」(栽培)、植物IDは「YY103」、植物の育成状況は「XXX」である。また、現在のミッションは「2」(栽培する植物について学びましょう)であり、認知症予防策のカテゴリは「2」(生長への期待感の表出)、「5」(活動への楽しみの表出)、および「10-3」(作業や世話の計画性)であることが示されている。なお、育成状況情報、実行状況情報、および進行状況情報を含む情報の他の具体例については、図10に示すとおりである。
【0063】
また、図示はしないが、本サービスは、医療・看護・介護専門機関(例えば、地域包括支援センター、老人クラブ等)、農業・園芸専門機関、および自治体を連携させた地域活性化のためのサービスの一部として活用することもできる。具体的には、医療・看護・介護専門機関は、サービス提供者にユーザを紹介し、紹介したユーザの進行状況情報の提供を受け、進行状況情報に基づく健康に関する支援を行う。農業・園芸専門機関は、ユーザの植物の育成における栽培全般に関する支援を行う。自治体は、医療・看護・介護専門機関や農業・園芸専門機関に対して資金の支援を行う。サービス提供者は、ユーザが収穫した野菜を引き取り、市場や店舗等に出品する。市場や店舗等は、出品された野菜を販売等することで得られる収益の一部をクーポン券等の態様でユーザに供与する。例えば、市場や店舗等が地域の飲食店である場合には、その地域在住のユーザにより栽培された野菜を用いていることを謳ったメニューを顧客に提供する。これにより、ユーザの認知症予防のみならず、そのユーザが所在する地域の活性化に寄与させることができる。
【0064】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上述した本実施の形態に限るものではない。また、本発明による効果も、上述した本実施の形態に記載されたものに限定されない。例えば、図1に示す認知症予防支援システム1の構成、図2に示すユーザ端末10のハードウェア構成、および図3に示す管理サーバ30のハードウェア構成は、いずれも本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。また、図4に示すユーザ端末10の機能構成、および図5に示す管理サーバ30の機能構成も例示に過ぎず、特に限定されない。上述した処理を全体として実行できる機能が図1の認知症予防支援システム1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能構成を用いるかは図4および図5の例に限定されない。
【0065】
また、図6に示すユーザ端末10の処理のステップ、および図7に示す管理サーバ30の処理のステップの各々の順序も例示に過ぎず、特に限定されない。図示されたステップの順序に沿って時系列的に行われる処理だけではなく、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別的に行われてもよい。また、図8乃至図10に示す具体例も一例に過ぎず、特に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
1…認知症予防支援システム、10…ユーザ端末、11…制御部、30…管理サーバ、31…制御部、90…ネットワーク、101…入力操作受付部、102…表示制御部、103…送受信制御部、104…育成状況管理部、301…送受信制御部、302…育成状況情報取得部、303…育成状況管理部、304…ミッション決定部、305…実行状況情報取得部、306…実行状況管理部、307…進行状況情報生成部、308…進行状況管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10