(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148447
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】広告効果推計サーバ、広告効果推計方法および広告効果推計プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056467
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 康充
(72)【発明者】
【氏名】田島 敬士
(72)【発明者】
【氏名】稲田 佳紀
(72)【発明者】
【氏名】金森 光彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 武雲
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 優太
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貴光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】カメラの検知範囲外における広告の広告効果をより高精度に推計する。
【解決手段】広告効果推計サーバは、広告媒体を視聴可能な視聴エリアの少なくとも一部を含む撮像エリアを撮像する少なくとも1つのカメラにより撮像された撮像映像と、撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得する取得部と、第1の検出情報と視聴エリアの人物に関する第2の検出情報とに基づいて、視聴エリアにおける広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成するモデル作成部と、拡大推計モデルと第1の検出情報とを用いて、広告効果を推計して出力する広告効果推計部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告媒体を視聴可能な視聴エリアの少なくとも一部を含む撮像エリアを撮像する少なくとも1つのカメラにより撮像された撮像映像と、前記撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得する取得部と、
前記第1の検出情報と前記視聴エリアの人物に関する第2の検出情報とに基づいて、前記視聴エリアにおける前記広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成するモデル作成部と、
前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力する広告効果推計部と、を備える、
広告効果推計サーバ。
【請求項2】
前記第1の検出情報及び第2の検出情報は、前記人物の検出人数を含み、
前記取得部は、
前記第1の検出情報を取得し、
前記モデル作成部は、
前記第1の検出情報と前記第2の検出情報とを用いて、前記広告媒体の前記広告効果を推計する前記拡大推計モデルを生成する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項3】
前記広告効果推計部は、
前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて第1の広告効果を推計して出力する、
請求項2に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項4】
前記第1の検出情報は、前記人物の位置情報を含み、
前記モデル作成部は、
前記広告媒体と前記人物との間の距離に基づいて、異なる前記広告効果を推計する拡大推計モデルを作成し、
前記広告効果推計部は、
前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項5】
前記第1の検出情報は、前記人物の位置情報と前記人物の顔角度情報とを含み、
前記モデル作成部は、
前記広告媒体に対する前記人物の位置情報および前記人物の顔角度情報に基づいて、異なる前記広告効果を推計する拡大推計モデルを作成し、
前記広告効果推計部は、
前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項6】
前記第1の検出情報は、前記人物の位置情報と前記撮像エリアにおける前記人物の動線情報とを含み、
前記モデル作成部は、
前記広告媒体と前記人物との間の距離および前記人物の動線情報に基づいて、異なる前記広告効果を推計する拡大推計モデルを作成し、
前記広告効果推計部は、
前記拡大推計モデルと前記検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項7】
前記第1の検出情報は、前記人物の位置情報を含み、
前記モデル作成部は、
前記人物の位置情報に基づいて、前記人物が前記視聴エリアに滞在した滞在時間を前記人物ごとに計測し、
計測された前記滞在時間を用いて、前記滞在時間に基づく広告効果を推計する拡大推計モデルを作成し、
前記広告効果推計部は、
前記拡大推計モデルと前記滞在時間とを用いて、前記広告効果を推計して出力する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項8】
前記広告媒体が設置された設置場所の環境情報と、前記設置場所ごとに設定され、前記環境情報に基づいて、前記広告効果を計測する前記拡大推計モデルとを記憶する記憶部、をさらに備え、
前記広告効果推計部は、
前記広告媒体の前記設置場所に対応する前記拡大推計モデルを用いて前記広告効果を推計して出力する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項9】
前記広告効果推計部は、
前記記憶部に前記広告媒体の前記設置場所に対応する前記拡大推計モデルが記憶されていないと判定した場合、前記設置場所の前記環境情報と類似する環境情報を有する他の設置場所を選定し、選定された他の設置場所に対応する前記拡大推計モデルを用いて前記広告効果を推計して出力する、
請求項8に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項10】
前記第1の検出情報は、前記人物の属性情報を含み、
前記広告効果推計部は、
前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計し、
推計された前記広告効果を前記人物の属性情報ごとに出力する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項11】
前記第1の検出情報は、前記人物が検出された検出時刻情報を含み、
前記広告効果推計部は、
前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計し、
前記検出時刻情報に基づいて、推計された前記広告効果を時間帯別に出力する、
請求項1に記載の広告効果推計サーバ。
【請求項12】
広告媒体を視聴可能な視聴エリアの少なくとも一部を含む撮像エリアを撮像する少なくとも1つのカメラとの間で通信可能な1以上のコンピュータが実行する広告効果推計方法であって、
前記カメラにより撮像された撮像映像と、前記撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得し、
前記第1の検出情報と前記視聴エリアの人物に関する第2の検出情報とに基づいて、前記視聴エリアにおける前記広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成し、
作成された前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力する、
広告効果推計方法。
【請求項13】
広告媒体を視聴可能な視聴エリアの少なくとも一部を含む撮像エリアを撮像する少なくとも1つのカメラとの間で通信可能な1以上のコンピュータにより実行される広告効果推計プログラムであって、
前記カメラにより撮像された撮像映像と、前記撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得するステップと、
前記第1の検出情報と前記視聴エリアの人物に関する第2の検出情報とに基づいて、前記視聴エリアにおける前記広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成するステップと、
作成された前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力するステップと、を実現させるための、
広告効果推計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広告効果推計サーバ、広告効果推計方法および広告効果推計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、視聴情報を生成するシステムが開示されている。システムは、第1広告に基づく1又は複数の第1画像に係る第1視聴情報と、属性情報に基づいて選択された第2広告に基づく1又は複数の第2画像に係る第2視聴情報と、を生成する。第1の画像は、第1広告により影響を受ける可能性のある位置にいる1又は複数の人を撮像した撮像画像である。第2の画像は、第2広告により影響を受ける可能性のある位置にいる1又は複数の人を撮像した撮像画像である。視聴情報は、各広告影響位置にいる人のうち、特定の1又は複数の属性情報を有する人々の情報を含んで生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、カメラの検知範囲外における広告の広告効果をより高精度に推計する広告効果推計サーバ、広告効果推計方法および広告効果推計プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、広告媒体を視聴可能な視聴エリアの少なくとも一部を含む撮像エリアを撮像する少なくとも1つのカメラにより撮像された撮像映像と、前記撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得する取得部と、前記第1の検出情報と前記視聴エリアの人物に関する第2の検出情報とに基づいて、前記視聴エリアにおける前記広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成するモデル作成部と、前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力する広告効果推計部と、を備える、広告効果推計サーバを提供する。
【0006】
また、本開示は、広告媒体を視聴可能な視聴エリアの少なくとも一部を含む撮像エリアを撮像する少なくとも1つのカメラとの間で通信可能な1以上のコンピュータが実行する広告効果推計方法であって、前記カメラにより撮像された撮像映像と、前記撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得し、前記第1の検出情報と前記視聴エリアの人物に関する第2の検出情報とに基づいて、前記視聴エリアにおける前記広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成し、作成された前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力する、広告効果推計方法を提供する。
【0007】
また、本開示は、広告媒体を視聴可能な視聴エリアの少なくとも一部を含む撮像エリアを撮像する少なくとも1つのカメラとの間で通信可能な1以上のコンピュータにより実行される広告効果推計プログラムであって、前記カメラにより撮像された撮像映像と、前記撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得するステップと、前記第1の検出情報と前記視聴エリアの人物に関する第2の検出情報とに基づいて、前記視聴エリアにおける前記広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成するステップと、作成された前記拡大推計モデルと前記第1の検出情報とを用いて、前記広告効果を推計して出力するステップと、を実現させるための、広告効果推計プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、カメラの検知範囲外における広告の広告効果をより高精度に推計できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る広告効果推計システムの全体構成例を示すブロック図
【
図3】カメラが広告媒体近傍に配置される場合の第1の検出エリアおよび第2の検出エリアを説明する図
【
図4】カメラが広告媒体近傍に配置されない場合の第1の検出エリアおよび第2の検出エリアを説明する図
【
図5】実施の形態1に係るサーバの制御部の機能構成例を説明するブロック図
【
図6】実施の形態1に係る広告効果推計システムの動作手順例を示すフローチャート
【
図7】実施の形態1に係る広告効果推計システムの拡大推計モデル作成手順例を示すフローチャート
【
図8】広告効果の実測値と推測値とを比較する推計結果画面の一例を説明する図
【
図9】広告効果の属性別推計結果画面の一例を説明する図
【
図10】広告効果の駅・曜日別推計結果画面の一例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る広告効果推計サーバ、広告効果推計方法および広告効果推計プログラムの構成および作用を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(実施の形態1)
まず、
図1を参照して、実施の形態1に係る広告効果推計システム100の全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る広告効果推計システム100の全体構成例を示すブロック図である。
【0012】
広告効果推計システム100は、所定の場所に設置された広告媒体に対する広告効果として、設置された少なくとも1つの広告媒体に接触した人数(以降、「広告接触可能者数」と表記)、広告媒体を視認した人数(以降、「広告視認者数」と表記)、あるいは広告媒体を注視した人数(以降、「広告注視者数」と表記)、広告媒体を注視した時間(以降、「広告注視時間」と表記)等を推計可能なシステムである。
【0013】
なお、上述した広告接触可能者数、広告視認者数、広告注視者数、あるいは広告注視時間等の推計対象は、一例であり、これに限定されない。推計対象は、広告効果を示すものであって、ユーザにより任意に定義,設定されてよい。さらに、推計対象は、広告効果を推計するための指標,要素として用いられてもよい。つまり、広告効果推計システム100は、2以上の推計対象の推計結果を用いて、所定の広告効果(例えば、広告接触可能者数を広告視認者数で除算して得られる視認率等)を推計してもよい。
【0014】
広告効果推計システム100は、1以上のカメラによって、広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な少なくとも一部の範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリアAR11,AR21)を撮像し、撮像された撮像画像(撮像映像)に映る人物の人物情報や人数に基づいて、少なくとも1つの広告媒体に対する広告接触可能者数、広告視認者数、あるいは広告注視者数等を推計可能な拡大推計モデルを作成する。このとき、撮影画像(撮像映像)に映る人物の人物情報や人数は、作業者による目視での計測によって生成される。ここでは、撮像画像(撮像映像)から人物の人物情報や人数を生成しているが、撮像画像(撮像映像)に限定されるものではなく、現地にて広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲にいる人物を目視で計測してもよい。また、学習は、人物情報は必須ではないが、性別や年齢といった人物情報を利用することで、人数だけでなく人物の特徴の傾向も推定することができる。広告効果推計システム100は、作成された拡大推計モデルを用いて広告媒体ごとの広告効果を推測(推計)し、推計された広告効果(推計結果)を出力する。
【0015】
広告効果推計システム100は、1以上のカメラC1,…と、端末装置P1と、ネットワークNWと、サーバS1と、表示装置MNとを含んで構成される。なお、端末装置P1により実現される機能がカメラC1,…により実現可能である場合には、端末装置P1は省略されてよい。あるいは、端末装置P1により実現される機能は、サーバS1に集約されてもよい。
【0016】
1以上のカメラC1,…のそれぞれは、少なくとも1つの広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲(例えば、
図3および
図4に示す第2の検出エリア)の少なくとも一部を撮像可能な位置に設置され、いずれかの広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリア)を撮像する。カメラC1,…のそれぞれは、少なくともレンズ(不図示)とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。カメラC1,…のそれぞれは、例えば、広角レンズ,魚眼レンズ等の広範囲を撮像可能にするレンズが使用されてよい。イメージセンサは、例えばCCD(Charged-Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等の固体撮像素子であり、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。カメラC1,…のそれぞれは、撮像された撮像画像(撮像映像)を端末装置P1、あるいはサーバS1に送信する。なお、カメラC1,…によって撮像された撮像画像(撮像映像)は、後述するようにネットワークNWを介して、サーバS1に送信されるが、ローカルでつながれた端末装置や外付けHDD(Hard Disk Drive)等に保存され、必要なタイミングで別の端末装置やPCからネットワークNWを介して端末装置P1に送信されてもよい。
【0017】
端末装置P1は、カメラC1,…のそれぞれと、ネットワークNWを介したサーバS1との間で無線通信や有線通信によって接続される。ここでいう無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)を介した通信である。端末装置P1は、カメラC1,…のそれぞれから送信された撮像映像に映る人物を検出し、検出された人物の検出情報をサーバS1に送信する。端末装置P1は、通信部10と、制御部11と、メモリ14と、入力部16とを含んで構成される。
【0018】
通信部10は、1以上のカメラC1,…のそれぞれと、ネットワークNWとの間で無線通信あるいは有線通信可能に接続されて、データの送受信を実行する。通信部10は、1以上のカメラC1,…のそれぞれから送信された撮像映像を制御部11に出力する。また、通信部10は、制御部11により検出された検出情報と、撮像映像とを対応付けて、ネットワークNWを介してサーバS1に送信する。
【0019】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、端末装置P1の各部の動作を制御する。制御部11は、メモリ14と協働して、メモリ14に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、ここでいう各部は、人物検出部12である。
【0020】
また、制御部11は、カメラC1,…のそれぞれおよび端末装置P1の各部の動作情報(死活情報)を監視したり、広告効果推計システム100の利用者(例えば、広告主,広告媒体の管理者等)あるいはカメラC1,…のそれぞれの作業者等との間で締結された広告効果推計システム100の利用状況の管理等を実行したりする。制御部11は、死活情報の監視あるいは広告効果推計システム100の利用契約状況の管理等を定期的または継続的に実行し、監視結果、あるいは広告効果推計システム100の利用契約状況等を通信部10に出力し、サーバS1に送信させる。
【0021】
人物検出部12は、撮像映像(つまり、撮像映像を構成する複数の撮像画像のそれぞれ)に画像解析処理を実行し、人物を検出する。人物検出部12は、検出された検出情報と、撮像映像とを対応付けて、通信部10に出力し、サーバS1に送信させる。人物検出部12は、顔検出部13Aと、人検出部13Bとを含んで構成される。なお、人物検出部12ではなく、入力部16から各撮像映像に対する人物の情報を受付けてもよい。この場合、入力部16から受け付ける各撮像映像に対する人物の情報は、人の作業によって撮像映像を確認して入力されるものであり、拡大推計モデル作成部22に送られるものである。なお、各撮像映像に対する人物の情報は、端末装置P1以外の他の端末装置(例えば、ユーザが使用する端末装置等)から取得されて、拡大推計モデル作成部22に出力されてもよい。
【0022】
ここで、
図2~
図4のそれぞれを参照して、広告効果を示す視認者の一例としての広告接触可能者数、広告視認者数および広告注視者数のそれぞれに該当する人物について説明する。なお、以下で説明する広告接触可能者数、広告視認者数および広告注視者数のそれぞれの定義は一例であって、これに限定されないことは言うまでもない。
【0023】
図2は、視認者の定義例を説明する図である。
図3は、カメラC11が広告媒体AD11近傍に配置される場合の第1の検出エリアAR11および第2の検出エリアAR12を説明する図である。
図4は、カメラC21が広告媒体AD21近傍に配置されない場合の第1の検出エリアAR21および第2の検出エリアAR22を説明する図である。なお、
図3および
図4に示す第1の検出エリアAR11および第2の検出エリアAR12のそれぞれは、一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。
【0024】
撮像エリアの一例としての第1の検出エリアAR11,AR21は、カメラC11,C12のそれぞれの検知範囲(人物を検出可能な範囲)を示す。視認エリアの一例としての第2の検出エリアAR12,AR22は、カメラC11,C21のそれぞれの検知範囲外であって、通過する人物が広告媒体を接触可能あるいは視認可能な範囲を示す。また、撮像エリアの一例としての検出エリアAR10,AR20は、サーバS1が広告媒体の拡大推計を実行するエリアであって、第1の検出エリアAR11,AR21と、第2の検出エリアAR12,AR22とを含む範囲である。
【0025】
広告接触可能者数は、広告媒体AD11,AD21で広告が表示されている広告面AD12,AD22を基準として10m以内を通過する人物の人数を示す。
【0026】
広告視認者数は、広告媒体AD11,AD21で広告が表示されている広告面AD12,AD22を基準として10m以内を通過する人物であって、かつ、この人物の視野120°内に広告媒体AD11,AD21が入ると判定された人物の人数を示す。
【0027】
広告注視者数は、広告媒体AD11,AD21で広告が表示されている広告面AD12,AD22を基準として5m以内、を通過する人物であって、かつ、この人物の近接視野70°内に広告媒体AD11,AD21が入ると判定された人物の人数を示す。
【0028】
顔検出部13Aは、撮像画像に画像解析処理を実行し、撮像画像に映る人物のうち広告媒体ごとの視認者のそれぞれに該当する人物の顔を検出する。顔検出部13Aは、検出された人物の顔の向き(以降、「顔角度」と表記)、視線の向き(以降、「視線角度」と表記)等を検出する。また、顔検出部13Aは、検出された人物の属性情報(例えば、性別,年齢等)を検出する。なお、ここでいう視認者は、広告接触可能者数、広告視認者数あるいは広告注視者数等であるが、これに限定されず、作業者により任意に定義され、設定されてよい。
【0029】
人検出部13Bは、撮像画像に画像解析処理を実行し、撮像画像に映る人物を検出し、検出された人物の人数をカウントする。また、人検出部13Bは、撮像映像から検出された人物の位置情報の時系列変化に基づいて、検出された人物ごとの歩行動線情報と、を検出する。
【0030】
なお、ここでいう歩行動線情報は、撮像映像から検出された人物の位置情報の時系列変化を示す情報であって、所定時間あるいは所定フレームごとの人物の位置情報を時系列に並べた情報であってもよいし、カメラC1,…のそれぞれの検知範囲(つまり、第1の検出エリア)内における人物の通過方向(例えば、右から左に向かう方向、左から右に向かう方向、奥から手前に向かう方向等)の情報であってもよい。
【0031】
人物検出部12は、顔検出部13Aおよび人検出部13Bのそれぞれにより検出された検出情報(例えば、視認者のそれぞれに該当する人物の検出人数,顔角度,視線角度,属性情報,位置情報,歩行動線情報等)と、入力部16を用いて作業者により入力された実測情報(例えば、人数,顔角度,視線角度,属性情報,位置情報,歩行動線情報等)と、撮像映像とを対応付けて、通信部10に出力し、サーバS1に送信させる。実測情報についての詳細は別途後述する。なお、実測情報は必須でなく、事前に拡大推計モデル作成部22によって拡大推計モデルが作成済みの状態等のときは省略されてもよい。
【0032】
ここで、実測情報は、端末装置P1を操作する作業者により実測された情報であって、人物検出部12の顔検出部13Aおよび人検出部13Bのそれぞれにより検出される検出情報に対応する情報である。作業者は、広告媒体の拡大推計対象となる範囲(例えば、
図3および
図4に示す検出エリアAR10,AR20)を撮像した撮像画像(撮像映像)を用いて、現地での目視確認により、広告媒体ごとの視認者に該当する人物の人数、これらの人物の顔角度、視線角度、属性情報(例えば、性別,年齢等)、あるいは人物ごとの歩行動線情報等を実測し、実測された実測情報を入力部16に入力する。なお、本実施例では、表示部15を端末装置P1の一部としているが、別装置として設けてもよいし、省略してもよい。
【0033】
なお、実測情報は、顔検出部13Aおよび人検出部13Bのそれぞれで検出される検出情報に対応する情報であればよい。例えば、顔検出部13Aおよび人検出部13Bのそれぞれで撮像映像に映る人物の検出人数と、人物ごとの顔角度あるいは視線角度とが検出される場合、作業者は、対応する実測情報として、人物の人数と、人物ごとの顔角度あるいは視線角度とを入力すればよい。
【0034】
なお、人物検出部12は、カメラが複数台ある場合には、検出情報と、撮像映像と、カメラC1,…のそれぞれを識別可能な識別情報(例えば、カメラごとに割り当てられたカメラID(Identification),設置エリア情報,製造番号等)をさらに対応付けてサーバS1に送信させてもよい。
【0035】
メモリ14は、例えば制御部11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、制御部11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、制御部11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部11の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0036】
メモリ14は、カメラC1,…のそれぞれの設置位置および検知範囲(撮像範囲)の情報と、広告媒体AD11,AD21の広告面AD12,AD22の位置情報と、カメラC1,…のそれぞれが撮像した撮影画像から検出した人物に関する情報(人数等)等を記憶する。位置情報は、2次元の位置情報或いは3次元の位置情報を記憶するようにしてよい。3次元の位置情報を記憶することで、重なる位置に広告媒体が存在しても、高さの違いによって個々を特定することができる。
【0037】
表示部15は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイを用いて構成される。表示部15は、制御部11から出力されたカメラC1,…のそれぞれの撮像映像を表示する。なお、表示部15は、別途外部装置として接続されたものでもよい。
【0038】
入力部16は、例えばタッチパネル、キーボード、マウス等を用いて構成された作業者インタフェースである。入力部16は、受け付けられた端末装置P1の作業者操作を電気信号(制御指令)に変換して、制御部11に出力する。入力部16は、作業者により実測された実測情報(例えば、視認者のそれぞれに該当する人物の検出人数,顔角度,視線角度,属性情報,位置情報,歩行動線情報等)の入力を受け付ける。入力部16は、受け付けられた実測情報を制御部11の人物検出部12に出力する。なお、入力部16は、表示部15と一体的に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0039】
サーバS1は、ネットワークNWを介した端末装置P1と、表示装置MNとの間でそれぞれデータ送受信可能に接続される。サーバS1は、端末装置P1から送信された検出情報と、撮像映像とを用いて、カメラC1,…のそれぞれの検知範囲内外を含む所定の視認範囲で少なくとも1つの広告媒体の視認者を推計するための拡大推計モデルを作成する。サーバS1は、作成された拡大推計モデルを用いて、カメラC1,…のそれぞれの検知範囲内外を含む所定の視認範囲で少なくとも1つの広告媒体の広告効果(視認者)を推計し、推計された拡大推計結果を生成して、表示装置MNに出力して表示させる。サーバS1は、通信部20と、制御部21と、メモリ25と、拡大推計結果データベースDBと、を含んで構成される。
【0040】
取得部の一例としての通信部20は、ネットワークNWを介した端末装置P1と、表示装置MNとの間でそれぞれデータ送受信可能に接続される。通信部20は、1以上のカメラC1,…のそれぞれから送信された撮像画像(撮像映像)を制御部21に出力したり、端末装置P1から送信された検出情報と、撮像映像とを制御部21に出力したりする。このとき、撮像画像(撮像映像)は、リアルタイムで撮影されたもの或いは録画されたものでもよい。また、通信部20は、制御部21により生成された拡大推計結果を示す各推計結果画面(例えば、
図8に示す推計結果画面SC1、
図9に示す人物属性別推計結果画面SC2、あるいは
図10に示す駅・曜日別推計結果画面SC3等)を表示装置MNに送信して、出力(表示)させる。
【0041】
制御部21は、例えばCPU、DSPまたはFPGAを用いて構成され、サーバS1の各部の動作を制御する。制御部21は、メモリ25と協働して、メモリ25に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、ここでいう各部は、拡大推計モデル作成部22および視認効果計測部23のそれぞれである。
【0042】
また、制御部21は、端末装置P1から送信された実測情報、検出情報あるいはその両方に基づいて、広告効果を示す視認者を検出したり、広告効果を示す各種時間(例えば、広告注視時間等)を計測可能にしたりするための教師データ(学習データ)を生成してもよい。教師データを生成するための学習は、1つ以上の統計的分類技術を用いて行っても良い。統計的分類技術としては、例えば、重回帰分析、線形分類器(Linear Classifiers)、サポートベクターマシン(Support Vector Machines)、二次分類器(Quadratic Classifiers)、カーネル密度推測(Kernel Estimation)、決定木(Decision Trees)、人工ニューラルネットワーク(Artificial Neural Networks)、ベイジアン技術および/またはネットワーク(Bayesian Techniques and/or Networks)、隠れマルコフモデル(Hidden Markov Models)、バイナリ分類子(Binary Classifiers)、マルチクラス分類器(Multi-Class Classifiers)、クラスタリング(Clustering Technique)、ランダムフォレスト(Random Forest Technique)、ロジスティック回帰(Logistic Regression Technique)、線形回帰(Linear Regression Technique)、勾配ブースティング(Gradient Boosting Technique)等が挙げられる。但し、使用される統計的分類技術はこれらに限定されない。ここでは、端末装置P1から送信された情報に基づいて、教師データ(学習データ)を生成しているが、端末装置P1以外の装置(例えばクライアントPC等)から直接送られてきた情報に基づいてもよい。
【0043】
拡大推計モデル作成部22は、少なくとも1つの広告媒体に対する広告効果(例えば、視認者数,視認者による広告媒体への接触時間,視認時間,注視時間等)を推計する1以上の拡大推計モデルを作成する。
【0044】
視認効果計測部23は、メモリ25に記憶されている視認者基準(具体的には、広告接触可能者数、広告視認者数あるいは広告注視者数のそれぞれ)と、端末装置P1から送信された撮像映像に映る人物の人物情報に基づき、広告媒体ごとの視認者(具体的には、広告接触可能者数、広告視認者数あるいは広告注視者数のそれぞれ)を算出する。この算出結果は、視認者情報と呼ぶこととする。
【0045】
ここで、
図5を参照して、サーバS1の制御部21の機能構成について説明する。
図5は、実施の形態1に係るサーバS1の制御部21の内部構成例を説明するブロック図である。
【0046】
モデル作成部の一例としての拡大推計モデル作成部22は、1以上のカメラによって、広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲(例えば、
図3および
図4に示す第2の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)に映る人物に関する実測情報と、広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)の検出情報とに基づいて、少なくとも1つの広告媒体に対する広告効果(例えば、視認者数,視認者による広告媒体への接触時間,視認時間,注視時間等)を推計する1以上の拡大推計モデルを作成する。ここでいう、拡大推計モデルは、例えば、広告接触可能者数計算モデル22A,広告視認者数計算モデル22B,広告注視者数計算モデル22C,あるいは広告注視時間数計算モデル22D等である。ここで作成された拡大推計モデルは、カメラC1,…のそれぞれの撮像画像(撮像映像)に対応する検出情報に対して、検知範囲外(例えば、
図3および
図4に示す第2の検出エリア)に位置する視認者数(つまり、広告接触可能者数、広告視認者数あるいは広告注視者数等)を補間するものである。
【0047】
拡大推計モデル作成部22により作成される拡大推計モデルについて説明する。広告接触可能者数計算モデル22Aは、カメラC1,…により撮像された撮像映像(撮像画像)を用いて、少なくとも1つの広告媒体の広告接触可能者数を推計するモデルである。広告視認者数計算モデル22Bは、カメラC1,…により撮像された撮像映像(撮像画像)を用いて、少なくとも1つの広告媒体の広告視認者数を推計するモデルである。広告注視者数計算モデル22Cは、カメラC1,…により撮像された撮像映像(撮像画像)を用いて、少なくとも1つの広告媒体の広告注視者数を推計するモデルである。また、広告注視時間数計算モデル22Dは、カメラC1,…により撮像された撮像映像(撮像画像)を用いて、少なくとも1つの広告媒体の広告視認者による注視時間を推計するモデルである。
【0048】
なお、ここでいう広告注視時間は、人物が広告媒体を注視している間の時間であって、人物の歩行動線情報に基づいて、第1の検知エリア内に滞在していると判定された滞在時間であってもよいし、人物の顔角度,視線角度が、広告媒体の方向を向いている時間であってもよい。
【0049】
拡大推計モデル作成部22は、端末装置P1から送信された実測情報と検出情報とを用いて、広告接触可能者数計算モデル22Aと、広告視認者数計算モデル22Bと、広告注視者数計算モデル22Cと、広告注視時間数計算モデル22Dとをそれぞれ作成する。拡大推計モデル作成部22は、作成された各種拡大推計モデルと、拡大推計モデルの作成に用いられた検出情報とを対応付けて、視認効果計測部23に出力する。
【0050】
また、拡大推計モデル作成部22は、各種拡大推計モデルと、各種拡大推計モデルの作成に使用された実測情報および検出情報のそれぞれとを対応付けて出力してよい。これにより、後述する視認効果計測部23は、入力部16を介して取得(入力)された実測情報に基づく実測値と、検出情報に基づく拡大推計結果(つまり、推測値)とを比較する推計結果画面SC1(
図8参照)を生成して、出力できる。
【0051】
以下、各種拡大推計モデルの作成処理について説明する。
【0052】
(広告接触可能者数計算モデルの作成処理)
拡大推計モデル作成部22は、端末装置P1から送信された広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1および第2の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)の実測情報と、広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)の検出情報と、広告接触可能者の視認者基準に基づいて、推計結果を補正する補正係数を算出し、広告接触可能者数を算出するための広告接触可能者数計算モデル22Aを作成する。拡大推計モデル作成部22は、作成された広告接触可能者数計算モデル22Aと、広告接触可能者数計算モデル22Aの作成に使用された検出情報とを対応付けて、拡大推計部24の広告接触可能者数計算部24Aに出力する。
【0053】
なお、広告接触可能者数計算モデル22Aの作成処理において、完成した広告接触可能者数計算モデル22Aと設置場所の環境情報を対応づけてメモリ25に記憶しておいてもよい。これにより、サーバS1は、実測情報が存在しないような場合でも、設置場所の環境情報から類似した広告接触可能者数計算モデル22Aを適用させることができようになる。
【0054】
ここでいう、視認者基準は、推計対象である視認者の定義(
図2参照)に基づいて、所定の視認者を検出するための基準である。例えば、広告接触可能者数を算出するための基準は、実測情報および検出情報のそれぞれ、あるいは撮像映像から広告接触可能者数に該当する人物を検出するための検出条件を定義する基準であって、作業者により任意に設定される。例えば、
図2に示す例において、広告接触可能者数を算出するための基準は、「広告面から10m以内を通過した全人数」である。
【0055】
ここでいう、環境補正係数は、広告媒体が設置されている設置場所の環境情報に対応して設定される係数であって、作成された拡大推計モデルにより推計される広告効果の重み付け処理を実行するための係数である。例えば、環境補正係数は、実測情報と検出情報との関係性から算出される。そのほか、広告媒体が設置された設置場所を利用する利用者数、設置場所を通行する通行量(人数)、広告媒体の広告面積、設置場所における人物の歩行動線の方向ごとの割合、広告媒体を視認可能な面積(領域)、広告媒体の設置場所(例えば、駅,建物,通路,道路等)の環境情報に基づいて設定される係数、あるいはこれらの環境情報を用いたヒューリスティック分析に基づいて決定される係数などを設けてよい。例えば、環境補正係数は、広告媒体の設置場所が駅構内である場合、駅構内において駅利用者がこの広告媒体を視認可能な面積、この駅を利用する1日の利用者数、あるいは所定の時間帯の利用者数や人流等の情報を用いて決定されてよい。
【0056】
なお、拡大推計モデル作成部22は、広告媒体の設置場所に対応する広告接触可能者数計算モデル22Aが設定されてない場合、この広告媒体の設置場所の環境情報と類似する環境情報を有する他の広告媒体の設置場所があるか否かを判定する。環境情報は、例えば、施設規模、利用者総数、人流あるいは人物の動線、広告前のエリアの形状、住民の人数、訪問者数等が判定基準として考えられる。拡大推計モデル作成部22は、広告媒体の設置場所の環境情報と類似する環境情報を有する他の広告媒体の設置場所があると判定した場合、この他の設置場所に対応する広告接触可能者数計算モデル22Aを参照し、広告効果の推計対象である広告媒体の広告接触可能者数計算モデル22Aとして選定してもよい。そのほかにも、広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲を撮影した撮像画像(撮像映像)の検出情報又は視認者情報が類似する場所に適応されている広告接触可能者数計算モデル22Aを選定するようにしてよい。
【0057】
(広告視認者数計算モデルの作成処理)
また、拡大推計モデル作成部22は、端末装置P1から送信された広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲(例えば、
図3および
図4に示す検出エリアAR10,AR20)の実測情報と、広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)の検出情報と、広告視認者の視認者基準に基づいて、広告視認者数計算モデル22Bを作成する。拡大推計モデル作成部22は、作成された広告視認者数計算モデル22Bと、広告視認者数計算モデル22Bの作成に使用された検出情報とを対応付けて、拡大推計部24の広告視認者数計算部24Bに出力する。
【0058】
ここでいう、広告視認者数を算出するための視認者基準は、実測情報および検出情報のそれぞれ、あるいは撮像映像から広告視認者数に該当する人物を検出するための検出条件を定義する基準であって、作業者により任意に設定される。例えば、
図2に示す例において、広告視認者数を算出するための基準は、「広告面から10m以内で視野(120度)に広告媒体が入る人数」である。
【0059】
(広告注視者数計算モデルの作成処理)
また、拡大推計モデル作成部22は、端末装置P1から送信された広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲(例えば、
図3および
図4に示す検出エリアAR10,AR20)の実測情報と、広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)の検出情報と、広告注視者の視認者基準に基づいて、広告注視者数計算モデル22Cを作成する。拡大推計モデル作成部22は、作成された広告注視者数計算モデル22Cと、広告注視者数計算モデル22Cの作成に使用された検出情報とを対応付けて、拡大推計部24の広告注視者数計算部24Cに出力する。
【0060】
ここでいう、広告注視者数を算出するための基準は、実測情報および検出情報のそれぞれ、あるいは撮像映像から広告注視者数に該当する人物を検出するための検出条件を定義する基準であって、作業者により任意に設定される。例えば、
図2に示す例において、広告注視者数を算出するための基準は、「広告面から10m以内で近接視野(70度)に広告媒体が入る人数」である。
【0061】
(広告注視時間数計算モデルの作成処理)
また、拡大推計モデル作成部22は、端末装置P1から送信された広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲(例えば、
図3および
図4に示す検出エリアAR10,AR20)の実測情報と、広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)の検出情報と、広告注視時間を算出するための視認者基準に基づいて、広告注視時間数計算モデル22Dを作成する。拡大推計モデル作成部22は、作成された広告注視時間数計算モデル22Dと、広告注視時間数計算モデル22Dの作成に使用された検出情報とを対応付けて、拡大推計部24の広告注視時間数計算部24Dに出力する。
【0062】
ここでいう、広告注視時間を算出するための演算式は、実測情報および検出情報のそれぞれ、あるいは撮像映像から広告注視者数に該当する人物を検出し、検出された人物が第1の検知エリア内に滞在する滞在時間、あるいは検出された人物の顔角度,視線角度が広告媒体を向いている時間を計測(算出)するための計測条件を定義する演算式であって、作業者により任意に設定される。なお、広告注視時間を算出するための演算式は、計測された第1の検知エリア内に滞在する滞在時間、顔角度、あるいは視線角度が広告媒体を向いている時間が、所定時間(例えば、3秒,5秒等)以上であると判定した場合にはこの人物の広告注視時間として計測し、所定時間未満であると判定した場合にはこの人物の広告注視時間として計測しない計測条件等が設定されていてもよい。
【0063】
なお、上述した機械学習方法の一例として、拡大推計モデル作成部22は、例えば、実測情報から抽出された情報を目的変数に、検出情報から抽出された情報を説明変数にそれぞれ設定し、重回帰分析を実行することで視認者に該当する人物を検出するための機械学習を実行してもよい。
【0064】
これら拡大推計モデル(具体的には、広告接触可能者数計算モデル、広告視認者数計算モデル、広告注視者数計算モデル広告注視時間数計算モデル)を作成する際に、本実施形態では、端末装置P1から送信された情報を用いているが、メモリ25や拡大推計結果データベースDBに記憶されている過去の数値を用いてもよい。また、本実施形態では、実測情報、検出情報、視認者基準に基づいて、拡大モデルを作成しているが、事前に視認効果計測部23にて実測情報及び検出情報それぞれの視認者情報を算出し、それぞれの視認者情報に基づいて作成してもよい。
【0065】
広告効果推計部の一例としての視認効果計測部23は、拡大推計部24により推計された広告効果(視認者数、時間数等の情報)を拡大推計結果データベースDBに格納する。また、視認効果計測部23は、拡大推計部24により推計された広告効果(視認者数あるいは時間数等)に基づいて、各推計結果画面(例えば、
図8に示す推計結果画面SC1、
図9に示す人物属性別推計結果画面SC2、あるいは
図10に示す駅・曜日別推計結果画面SC3等)を生成して、表示装置MNに送信して出力させる。
【0066】
視認効果計測部23は、広告接触可能者数計算部24A、広告視認者数計算部24B、広告注視者数計算部24C、および広告注視時間数計算部24Dのそれぞれの機能を実現し、各種視認者数あるいは各種時間を算出する。
【0067】
広告接触可能者数計算部24Aは、拡大推計モデル作成部22から出力された広告接触可能者数計算モデル22Aと、広告接触可能者数計算モデル22Aの作成に使用された検出情報とを用いて、広告接触可能者数を算出する。例えば、広告接触可能者数計算部24Aは、広告接触可能者数計算モデル22Aと、第1の検出エリア内における人物の検出人数とに基づいて、広告接触可能者数を算出する。
【0068】
広告視認者数計算部24Bは、拡大推計モデル作成部22から出力された広告視認者数計算モデル22Bと、広告視認者数計算モデル22Bの作成に使用された検出情報とを用いて、広告視認者数を算出する。
【0069】
例えば、広告視認者数計算部24Bは、広告視認者数計算モデル22Bと、第1の検出エリア内で検出された人物のうち人物の顔角度あるいは視線角度を基準方向として、広告視認者数計算モデル22Bと、基準方向を中心とする視野120°内に広告媒体が位置する(つまり、検出された人物の視野120°内に広告媒体が位置する)人物の検出人数と、広告媒体の広告面の中心点を基準に120°内のエリアを通行する人物の歩行動線情報とを用いて、広告視認者数を算出してよい。なお、補正係数は、広告媒体の広告面の中心から120°のエリアを通過する人物の歩行動線情報に基づいて、ヒューリスティック分析により決定されてよい。
【0070】
広告注視者数計算部24Cは、拡大推計モデル作成部22から出力された広告注視者数計算モデル22Cと、広告注視者数計算モデル22Cの作成に使用された検出情報とを用いて、広告注視者数を算出する。
【0071】
例えば、広告注視者数計算部24Cは、広告注視者数計算モデル22Cと、第1の検出エリア内で検出された人物のうち人物の顔角度あるいは視線角度を基準方向として、この基準方向を中心とする近接視野70°内に広告媒体が位置する(つまり、検出された人物の近接視野70°内に広告媒体が位置する)人物(つまり、広告注視者)の検出人数とを用いて、広告注視者数を算出してもよいし、広告注視者数計算モデル22Cと、基準方向を中心とする近接視野70°内に広告媒体が位置する人物の検出人数と、広告媒体の広告面の中心点を基準に近接視野70°内を通行する人物の歩行動線情報とを用いて、広告注視者数を算出してもよい。なお、補正係数は、近接視野70°内に広告媒体が位置する人物の検出情報の重回帰分析により決定されてもよいし、広告媒体の広告面の中心から70°のエリアを通過する人物の歩行動線情報に基づいて、ヒューリスティック分析により決定されてもよい。
【0072】
広告注視時間数計算部24Dは、拡大推計モデル作成部22から出力された広告注視時間数計算モデル22Dと、広告注視時間数計算モデル22Dの作成に使用された検出情報とを用いて、広告注視時間を算出(計測)する。
【0073】
記憶部の一例としてのメモリ25は、例えば制御部21の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、制御部21の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、制御部21により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部21の動作を規定するプログラムが書き込まれている。メモリ25は、拡大推計モデル作成部22により作成された各種拡大推計モデルのそれぞれを広告媒体ごとに記憶する。また、メモリ25は、各種拡大推計モデルの作成に用いられる視認者基準,作成された拡大推計モデルの情報等を記憶する。なお、これら情報の一部又は全ては端末装置P1のメモリ14や外部のメモリに記憶されていてもよい。
【0074】
拡大推計結果データベースDBは、RAMおよびROMなどによる半導体メモリと、SSD(Solid State Drive)あるいはHDD等によるストレージデバイスのうちいずれかを含む記憶デバイスを有して構成される。拡大推計結果データベースDBは、視認効果計測部23により推計された拡大推計結果を格納する。
【0075】
表示装置MNは、サーバS1との間でデータ送受信可能に接続される。なお、
図1に示す表示装置MNは、ネットワークNWを介してサーバS1との間で無線通信可能に接続される例を示すが、サーバS1との間で有線通信可能に接続されるディスプレイであってもよい。表示装置MNは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイを有する、例えばPC、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等の端末装置である。表示装置MNは、サーバS1から送信された各推計結果画面(例えば、
図8に示す推計結果画面SC1、
図9に示す人物属性別推計結果画面SC2、あるいは
図10に示す駅・曜日別推計結果画面SC3等)を出力(表示)する。
【0076】
また、表示装置MNは、ユーザ操作を受け付け可能であって、ユーザ操作に基づいて、サーバS1から送信された推計結果画面のレイアウト変更操作(例えば、グラフ種別の変更、推計結果画面に表示される広告媒体数等)を受け付けたり、推計結果画面で表示される表示対象に関する選択操作(例えば、視認者数、時間、人物の属性情報、曜日、広告媒体の設置場所等)を受け付けたりする。
【0077】
なお、以上の説明において、推計結果画面は、一例としてサーバS1により生成され、表示装置MNにより出力(表示)される例について説明するが、これに限定されない。例えば、推計結果画面は、表示装置MNにより生成されてもよい。このような場合、サーバS1は、拡大推計結果と、拡大推計された広告媒体に関する情報、広告媒体が設置された場所情報、拡大推計処理に用いられた情報(例えば、撮像映像,実測情報,検出情報等)等の推計結果画面の生成に用いられるデータを表示装置MNに送信することで、表示装置MNによる推計結果画面を生成可能にしてもよい。
【0078】
次に、
図6を参照して、広告効果推計システム100の動作手順について説明する。
図6は、実施の形態1に係る広告効果推計システム100の動作手順例を示すフローチャートである。なお、
図6に示すステップSt1~ステップSt2の処理は、カメラC1,…のそれぞれにより実行されてよい。また、カメラの台数は、少なくとも1台であればよい。
【0079】
カメラC1,…のそれぞれは、広告媒体に接触可能あるいは広告媒体を視認可能な第2の検出エリア(例えば、
図3および
図4に示す第2の検出エリアAR12,AR22のそれぞれ)の少なくとも一部を含む第1の検出エリア(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリアAR11,AR21のそれぞれ)を撮像する。カメラC1,…のそれぞれは、撮像された撮像映像を端末装置P1に送信する。
【0080】
なお、広告効果推計システム100は、1台のカメラにより推計対象範囲である複数の広告媒体のそれぞれの第2の検出エリアの少なくとも一部を含む第1の検出エリアを撮像してもよいし、複数のカメラのそれぞれにより推計対象範囲である1つの広告媒体の第2の検出エリアの少なくとも一部を含む第1の検出エリアを撮像してもよい。また、広告効果推計システム100は、1以上のカメラのそれぞれにより推計対象範囲である1以上の広告媒体の第2の検出エリア全体を含む第1の検出エリアを撮像してもよい。
【0081】
また、広告視認者数、広告注視者数、あるいは広告注視時間等を推測する場合、カメラC1,…のそれぞれは、人物の顔を撮像可能な位置(例えば、広告媒体の周囲等)に設置されることが望ましいが、これに限定されなくてよい。
【0082】
端末装置P1の制御部11は、1以上のカメラC1,…のそれぞれから送信された撮像映像を取得する(St1)。人物検出部12は、取得された撮像映像から人物の検出処理を実行し、検出情報(例えば、視認者のそれぞれに該当する人物の検出人数,顔角度,視線角度,属性情報,位置情報,歩行動線情報等)を取得する(St2)。また、入力部16は、作業者による実測情報の入力を受け付ける。制御部11は、入力部16により受け付けられた実測情報を取得する(St2)。なお、事前に拡大推計モデル作成部22によって拡大推計モデルが作成済みの状態等のときは、実測情報の取得処理は必須でなく、省略されてもよい。制御部11は、取得された実測情報と、検出情報とを対応付けて、サーバS1に送信する。
【0083】
サーバS1の制御部21は、端末装置P1から送信された実測情報と、検出情報を取得し、取得された実測情報と、検出情報とを用いて拡大推計モデルの作成処理を実行する(St3)。具体的には、広告媒体に接触可能、あるいは広告媒体を視認可能な範囲(例えば、
図3および
図4に示す検出エリアAR10,AR20)の人物に関する実測情報と、広告媒体の視認範囲の少なくとも一部を含む撮像範囲(例えば、
図3および
図4に示す第1の検出エリア)を撮像した撮像画像(撮像映像)に基づく検出情報である。制御部21は、人物検出処理により取得された検出情報と、端末装置P1から取得された検出情報とを用いて、拡大推計モデルの作成処理を実行する。
【0084】
サーバS1の制御部21は、作成された拡大推計モデル(例えば、広告接触可能者数計算モデル22A,広告視認者数計算モデル22B,広告注視者数計算モデル22C,広告注視時間数計算モデル22D等)と、取得された検出情報とを用いて、広告媒体ごとの拡大推計処理を実行する(St4)。制御部21は、拡大推計処理により得られた視認者数あるいは視認時間等に基づいて、広告媒体ごとの各推計結果画面を生成し、表示装置MNに送信する。
【0085】
表示装置MNは、サーバS1から送信された各推計結果画面を出力(表示)する(St5)。
【0086】
以上により、実施の形態1に係る広告効果推計システム100は、カメラの検知範囲内に広告媒体が位置していない場合であっても、この広告媒体の広告効果を推計(推測)できる。したがって、広告効果推計システム100は、既に設置されたカメラの検知範囲内(つまり、第1の検出エリア)に広告媒体の第2の検知エリアの少なくとも一部が含まれる場合には、新たにカメラを設置したり、カメラの設置位置を変更したりすることなく、広告媒体の広告効果を推計(推測)できる。また、広告効果推計システム100は、カメラの検知範囲内(つまり、第1の検出エリア)に含まれる複数の第2の検知エリアのそれぞれに対応する広告媒体の広告効果を推計(推測)可能であるため、1つのカメラで複数の広告媒体のそれぞれの広告効果を推計(推測)できる。
【0087】
次に、
図7を参照して、広告効果推計システム100の拡大推計モデル作成手順について説明する。
図7は、実施の形態1に係る広告効果推計システム100の拡大推計モデル作成手順例を示すフローチャートである。なお、
図7に示す拡大推計モデル作成手順は、
図6に示すステップSt3の処理で実行される。
【0088】
サーバS1の制御部21は、端末装置P1から送信された作業者の目視により実測された視認者実測人数と、カメラC1,…のそれぞれにより検出された視認者検出人数とを取得する(St31)。
【0089】
拡大推計モデル作成部22は、人物検出処理により検出された検出人数を説明変数に、作業者の目視により実測された実測人数を目的変数にそれぞれ設定して、重回帰分析(つまり、機械学習)を実行する(St32)。なお、拡大推計モデルの作成方法はこれに限定されないことは言うまでもない。例えば、機械学習ではなくヒューリスティックに係数を決定してもよい。
【0090】
拡大推計モデル作成部22は、機械学習を実行し、1以上の拡大推計モデル(例えば、広告接触可能者数計算モデル22A,広告視認者数計算モデル22B,広告注視者数計算モデル22C,広告注視時間数計算モデル22D等)を作成する(St33)。
【0091】
次に、
図8を参照して、推計結果画面SC1について説明する。
図8は、広告効果の実測値と推測値とを比較する推計結果画面SC1の一例を説明する図である。
【0092】
推計結果画面SC1は、拡大推計結果の一例であって、広告接触可能者数計算モデル22Aを用いて推計(推測)された1日あたりの平均広告接触可能者数(つまり、推測値)と、作業者の目視確認により実測された1日あたりの平均広告接触可能者数(つまり、実測値)とを比較するための棒グラフであって、縦軸に1日あたりの平均広告接触可能者数を示し、横軸に曜日を示す。これにより、広告効果推計システム100は、実測値と推計値との差分をユーザに可視化することができる。
【0093】
次に、
図9参照して、人物属性別推計結果画面SC2について説明する。
図9は、広告効果の人物属性別推計結果画面SC2の一例を説明する図である。
【0094】
人物属性別推計結果画面SC2は、拡大推計結果の一例であって、広告接触可能者数計算モデル22Aを用いて推計(推測)された1日あたりの平均広告接触可能者数(つまり、推測値)を、人物の属性情報である年齢情報に基づいて、人物属性別、時間帯別に分類した棒グラフと、広告視認者数計算モデル22Bを用いて推計(推測)された平均広告視認者数を平均広告接触可能者数で除算して得られる広告媒体の視認率を示す線グラフとで示す。なお、
図9に示す人物属性別推計結果画面SC2は、属性情報が「男性」である人物を年代別、時間帯別に分類した拡大推計結果である。
【0095】
人物属性別推計結果画面SC2は、縦軸が1日あたりの平均広告接触可能者数と広告媒体の視認率とを示し、横軸が時間帯をそれぞれ示す。これにより、広告効果推計システム100は、時間帯別、人物属性別の拡大推計結果(広告効果)をユーザに可視化することができる。
【0096】
また、人物属性別推計結果画面SC2は、人物属性別推計結果画面SC2に表示される拡大推計結果に関する指定操作を受け付け可能な表示対象選択欄SL1,SL2,SL3のそれぞれを含む。
【0097】
表示対象選択欄SL1は、表示対象である広告媒体の指定操作を受け付ける。
図9に示す例において表示対象選択欄SL1は、「B駅」に設置された広告媒体が指定されている。
【0098】
表示対象選択欄SL2は、拡大推計に用いられた検出情報の検出日時として平日または休日の指定操作を受け付ける。
図9に示す例において表示対象選択欄SL2は、「平日」が指定されている。
【0099】
表示対象選択欄SL3は、拡大推計に用いられた検出情報の検出日時として曜日あるいは日時の指定操作を受け付ける。
図9に示す例において表示対象選択欄SL3は、「すべて」(つまり、月曜日~日曜日)が指定されている。具体的に、月曜日にのみチェックを入れると月曜日のデータのみが表示される。なお、休日の定義は任意で設定できる(例えば、休日に祝日を含む、あるいは含まない等)。
【0100】
次に、
図10を参照して、駅・曜日別推計結果画面SC3について説明する。
図10は、広告効果の駅・曜日別推計結果画面SC3の一例を説明する図である。
【0101】
駅・曜日別推計結果画面SC3は、拡大推計結果の一例であって、広告接触可能者数計算モデル22Aを用いて推計(推測)された1日あたりの平均広告接触可能者数(つまり、推測値)を曜日別に分類した棒グラフと、広告視認者数計算モデル22Bを用いて推計(推測)された平均広告視認者数を平均広告接触可能者数で除算して得られる広告媒体の視認率を示す線グラフとで示す。また、
図10に示す駅・曜日別推計結果画面SC3は、「A駅」に設置された広告媒体の拡大推計結果ST1と、「B駅」に設置された広告媒体の拡大推計結果ST2とを並べて表示する。これにより、ユーザは、異なる場所に設置された2つの広告媒体の拡大推計結果ST1,ST2のそれぞれを一目で比較できる。
【0102】
駅・曜日別推計結果画面SC3は、縦軸が1日あたりの平均広告接触可能者数と広告媒体の視認率とを示し、横軸が時間帯をそれぞれ示す。これにより、広告効果推計システム100は、時間帯別、人物属性別の拡大推計結果(広告効果)をユーザに可視化することができる。
【0103】
以上により、実施の形態1に係るサーバS1(広告効果推計サーバの一例)は、広告媒体を視聴可能な検出エリアAR10,AR20(視聴エリアの一例)の少なくとも一部を含む第1の検出エリアAR11,AR21(撮像エリアの一例)を撮像する少なくとも1つのカメラC1,…により撮像された撮像映像と、撮像映像から検出された人物に関する第1の検出情報とを取得する通信部20(取得部の一例)と、第1の検出情報と検出エリアAR10,AR20の人物に関する第2の検出情報とに基づいて、検出エリアAR10,AR20における広告媒体AD11,AD21の広告効果を推計する拡大推計モデルを作成する拡大推計モデル作成部22(モデル作成部の一例)と、拡大推計モデルと第1の検出情報とを用いて、広告効果を推計して出力する視認効果計測部23(広告効果推計部の一例)と、を備える。なお、ここでいう1以上のコンピュータは、例えば、少なくともサーバS1を含んで構成される。
【0104】
これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、カメラC1,…により撮像された撮像映像と、撮像映像(つまり、カメラC1,…の検知範囲内であって、第1の検出エリアAR11,AR21の範囲)から検出された検出情報とを用いて作成された拡大推計モデルを用いて、広告媒体を視認可能な視認エリア(つまり、カメラC1,…の検知範囲外を含む検出エリアAR10,AR20の範囲)を通過する人物に対する広告媒体の広告効果を推計できる。つまり、サーバS1は、カメラC1,…の検知範囲内(第1の検出エリアAR11,AR21)に広告媒体を視認可能な検出エリアAR10,AR20の全範囲が含まれない場合であっても、カメラの検知範囲外における広告の広告効果をより高精度に推計できる。
【0105】
また、以上により、実施の形態1における第1の検出情報および第2の検出情報は、人物の検出人数を含む。通信部20は、第1の検出情報を取得する。拡大推計モデル作成部22は、第1の検出情報と第2の検出情報とを用い、広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルを生成する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、撮像映像に映る人物の正しい人数と、人物検出部12により検出された撮像映像に映る人物の検出人数とを用いて、人物検出部12による人物の検出誤差を学習した拡大推計モデルを生成できる。したがって、サーバS1は、カメラの検知範囲外における広告の広告効果をより高精度に推計できる。
【0106】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1の視認効果計測部23は、拡大推計モデルと第1の検出情報とを用いて推測値(第1の広告効果の一例であって、例えば、
図8に示す広告接触可能者数の推測値)を推計して出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、ユーザに推計された広告効果(例えば、広告接触可能者数の推測値)を出力できる。
【0107】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1より取得される第1の検出情報は、人物の位置情報を含む。拡大推計モデル作成部22は、広告媒体と人物との間の距離(例えば、広告媒体の広告面と人物との間の距離)に基づいて、異なる広告効果(例えば、広告接触可能者数、広告視認者数、あるいは広告注視者数等)を推計する拡大推計モデルを作成する。視認効果計測部23は、拡大推計モデルと第1の検出情報とを用いて、広告効果を推計して出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、拡大推計モデルを用いて、複数の広告効果をそれぞれより高精度に推計できる。
【0108】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1より取得される第1の検出情報は、人物の位置情報と人物の顔角度情報とを含む。拡大推計モデル作成部22は、撮像映像と、広告媒体に対する人物の位置情報(例えば、広告媒体に対する人物の位置、広告媒体の広告面と人物との間の距離)および人物の顔角度情報(例えば、人物の顔角度あるいは視線角度等)に基づいて、異なる広告効果(例えば、広告視認者数、あるいは広告注視者数等)を推計する拡大推計モデルを作成する。視認効果計測部23は、拡大推計モデルと第1の検出情報とを用いて、広告効果(例えば、広告視認者数、あるいは広告注視者数等)を推計して出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、拡大推計モデルを用いて、複数の広告効果をそれぞれより高精度に推計できる。なお、顔角度は、視線角度であってもよいし、両方でもよい。
【0109】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1により取得される検出情報は、人物の位置情報と第1の検出エリアにおける人物の動線情報とを含む。拡大推計モデル作成部22は、広告媒体と人物との間の距離および人物の動線情報に基づいて、異なる広告効果(例えば、広告視認者数、あるいは広告注視者数等)を推計する複数の拡大推計モデルを作成する。視認効果計測部23は、複数の拡大推計モデルと検出情報とを用いて、複数の広告効果を推計して出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、拡大推計モデルを用いて、複数の広告効果をそれぞれより高精度に推計できる。
【0110】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1により取得される第1の検出情報は、人物の位置情報を含む。拡大推計モデル作成部22は、人物の位置情報に基づいて、人物が視聴エリアに滞在した滞在時間を検出された人物ごとに計測し、計測された滞在時間を用いて、滞在時間に基づく広告効果(例えば、注視時間等)を推計する拡大推計モデルを作成する。視認効果計測部23は、拡大推計モデルと滞在時間とを用いて、広告効果を推計して出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、拡大推計モデルを用いて、広告効果の一例としての注視時間等をそれぞれより高精度に推計できる。
【0111】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1は、広告媒体が設置された設置場所の環境情報と、設置場所ごとに設定され、環境情報に基づいて、広告効果を計測する拡大推計モデルとを記憶するメモリ25(記憶部の一例)、をさらに備える。視認効果計測部23は、広告媒体の設置場所に対応する拡大推計モデルを用いて広告効果を推計して出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、広告媒体が設置された設置場所の環境情報に基づく拡大推計モデルを用いることで、広告効果をより高精度に推計できる。
【0112】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1における視認効果計測部23は、メモリ25に広告媒体の設置場所に対応する拡大推計モデルが記憶されていないと判定した場合、設置場所の環境情報と類似する環境情報を有する他の設置場所を選定し、選定された他の設置場所に対応する拡大推計モデルを用いて、広告効果を推計して出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、類似する設置場所に設置された広告媒体の広告効果の推定に用いられる環境補正係数を、広告媒体の広告効果を推計する拡大推計モデルに適用することにより、広告効果をより高精度に推計できる。
【0113】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1により取得される第1の検出情報は、人物の属性情報を含む。視認効果計測部23は、拡大推計モデルと第1の検出情報とを用いて、広告効果を推計し、推計された広告効果を人物の属性情報(例えば、性別,年代別等)ごとに出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、機拡大推計モデルを用いて、属性情報ごとの広告効果を推計できる。つまり、ユーザは、推計された広告効果に基づいて、各広告媒体に掲示される広告内容をより効果的に選定できる。
【0114】
また、以上により、実施の形態1に係るサーバS1により取得される第1の検出情報は、人物が検出された検出時刻情報を含む。視認効果計測部23は、拡大推計モデルと第1の検出情報とを用いて、広告効果を推計し、検出時刻情報に基づいて、推計された広告効果を時間帯別に出力する。これにより、実施の形態1に係るサーバS1は、拡大推計モデルを用いて、時間帯ごとの広告効果を推計できる。つまり、ユーザは、推計された広告効果に基づいて、各広告媒体に掲示される広告内容をより効果的に選定できる。
【0115】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本開示は、カメラの検知範囲外における広告の広告効果をより高精度に推計する広告効果推計サーバ、広告効果推計方法および広告効果推計プログラムの提示として有用である。
【符号の説明】
【0117】
10,20 通信部
11,21 制御部
12 人物検出部
13A 顔検出部
13B 人検出部
14,25 メモリ
15 表示部
16 入力部
22 拡大推計モデル作成部
23 視認効果計測部
24 拡大推計部
100 広告効果推計システム
AD11,AD21 広告媒体
AR11,AR21 第1の検出エリア
AR12,AR22 第2の検出エリア
C1,C11,C21 カメラ
MN 表示装置
NW ネットワーク