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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148448
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】露光装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20231005BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20231005BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20231005BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231005BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20231005BHJP
   G02B 13/26 20060101ALI20231005BHJP
   G02B 13/24 20060101ALI20231005BHJP
   H04N 1/036 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
G03G15/04 111
G03B15/02 G
G02B7/02 D
G02B7/02 B
G02B7/02 Z
G02B3/00 A
G02B13/26
G02B13/24
H04N1/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056468
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】木田 学武
【テーマコード(参考)】
2C162
2H044
2H076
2H087
5C051
【Fターム(参考)】
2C162AE12
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162AE73
2C162FA17
2C162FA45
2C162FA50
2C162FA55
2H044AB28
2H044AD01
2H044AJ03
2H044AJ04
2H076AB42
2H076AB51
2H076EA05
2H076EA11
2H087KA08
2H087KA18
2H087KA19
2H087LA01
2H087NA18
2H087PA02
2H087PA17
2H087PB02
2H087RA26
5C051AA02
5C051CA08
5C051DB02
5C051DB22
5C051DC04
5C051DC07
(57)【要約】
【課題】光学系において発生した迷光をカットすることができ、露光装置の品質を向上させることができるようにする。
【解決手段】複数の発光素子を有する基板と、複数の第1のレンズ素子が配列された第1のレンズアレイと、複数の第2のレンズ素子が配列された第2のレンズアレイ64と、第1、第2のレンズアレイ間に配設され、各第1、第2のレンズ素子と対応させて貫通させて形成された複数の開口部を備えた遮光部材とを有する。各開口部は、第1、第2の開口、及び第1、第2の開口間に延在させて形成された壁面w1、w2を備える。壁面w1、w2に壁部が形成され、第2の開口の径d4が第1の開口の径d1より小さくされる。開口部の壁面w2において反射光によって発生する迷光をカットすることができる。露光装置の品質を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の発光素子を有する基板と、
(b)前記発光素子の光を集束するとともに、光を出射する複数の第1のレンズ素子が配列された第1のレンズアレイと、
(c)該第1のレンズアレイと対向させて配設され、前記第1のレンズ素子から出射される光を集束するとともに、光を出射する複数の第2のレンズ素子が配列された第2のレンズアレイと、
(d)前記第1、第2のレンズアレイ間に配設され、各第1、第2のレンズ素子と対応させて貫通させて形成され、円形の形状を有する複数の開口部を備えた遮光部材とを有するとともに、
(e)前記複数の開口部は、前記第1のレンズ素子と対向させて形成された第1の開口、前記第2のレンズ素子と対向させて形成された第2の開口、及び前記第1、第2の開口間に延在させて形成された壁面を備え、
(f)該壁面から突出させて壁部が形成され、前記第2の開口の径が前記第1の開口の径より小さくされることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記開口部は、第1のレンズアレイ側に形成された第1の開口部位、及び該第1の開口部位に隣接させて第2のレンズアレイ側に形成された第2の開口部位から成る請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第2の開口部位の壁面の、前記第2のレンズアレイの光軸に対する傾斜角度は、前記第1の開口部位の壁面の前記第2のレンズアレイの光軸に対する傾斜角度より大きくされる請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
(a)前記第2の開口部位は第2の開口に隣接させて形成され、
(b)該第2の開口に臨ませて前記壁部が形成される請求項2又は3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1、第2の開口部位は円錐台形状を有する請求項2~4のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記壁部は、前記第2の開口部位の壁面に沿って径方向内方に向けて突出させて形成される請求項1~5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
(a)前記基板と前記第1のレンズ素子との間に配設された基板側の遮光部材を有するとともに、
(b)該基板側の遮光部材は、前記第1のレンズ素子と対応させて貫通させて形成された複数の開口部を備え、
(c)該開口部における、前記第1のレンズ素子と対向させて形成された開口に臨ませて壁部が形成される請求項1~6のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記請求項1~7のいずれか1項に記載の露光装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタには、画像形成ユニットが配設され、該画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって一様に帯電させられた感光体ドラムの表面が露光装置、例えば、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像がトナーによって現像されて各色のトナー像が形成され、該トナー像が転写ローラによって用紙に転写されるようになっている。そして、定着器において前記トナー像が用紙に定着させられることによって画像が形成され、印刷が行われる。
【0003】
前記LEDヘッドには、第1の遮光部材、第1のレンズアレイ(MLA)、第2の遮光部材及び第2のレンズアレイを、それぞれ光軸が一致するように当接させ、積層することによって形成された光学系が配設される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-202516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のLEDヘッドにおいては、第1、第2のレンズアレイ間に配設された第2の遮光部材の貫通穴の壁面における反射光によって迷光が発生し、LEDヘッドの品質を低下させてしまう。
【0006】
本発明は、前記従来のLEDヘッドの問題点を解決して、光学系において発生する迷光をカットすることができ、品質を向上させることができる露光装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の露光装置においては、複数の発光素子を有する基板と、前記発光素子の光を集束するとともに、光を出射する複数の第1のレンズ素子が配列された第1のレンズアレイと、該第1のレンズアレイと対向させて配設され、前記第1のレンズ素子から出射される光を集束するとともに、光を出射する複数の第2のレンズ素子が配列された第2のレンズアレイと、前記第1、第2のレンズアレイ間に配設され、各第1、第2のレンズ素子と対応させて貫通させて形成され、円形の形状を有する複数の開口部を備えた遮光部材とを有する。
【0008】
そして、前記複数の開口部は、前記第1のレンズ素子と対向させて形成された第1の開口、前記第2のレンズ素子と対向させて形成された第2の開口、及び前記第1、第2の開口間に延在させて形成された壁面を備える。
【0009】
また、該壁面から突出させて壁部が形成され、前記第2の開口の径が前記第1の開口の径より小さくされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、露光装置においては、複数の発光素子を有する基板と、前記発光素子の光を集束するとともに、光を出射する複数の第1のレンズ素子が配列された第1のレンズアレイと、該第1のレンズアレイと対向させて配設され、前記第1のレンズ素子から出射される光を集束するとともに、光を出射する複数の第2のレンズ素子が配列された第2のレンズアレイと、前記第1、第2のレンズアレイ間に配設され、各第1、第2のレンズ素子と対応させて貫通させて形成され、円形の形状を有する複数の開口部を備えた遮光部材とを有する。
【0011】
そして、前記複数の開口部は、前記第1のレンズ素子と対向させて形成された第1の開口、前記第2のレンズ素子と対向させて形成された第2の開口、及び前記第1、第2の開口間に延在させて形成された壁面を備える。
【0012】
また、該壁面から突出させて壁部が形成され、前記第2の開口の径が前記第1の開口の径より小さくされる。
【0013】
この場合、複数の開口部は、前記第1のレンズ素子と対向させて形成された第1の開口、及び前記第2のレンズ素子と対向させて形成された第2の開口を備え、第1、第2の開口間に延在させて形成された壁面に壁部が形成され、第2の開口の径が前記第1の開口の径より小さくされるので、開口部の壁面で生じた反射光をカットすることができ、迷光成分になるのを抑制することができる。
【0014】
したがって、露光装置の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における第2の遮光部材に形成された貫通穴の概念図である。
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図3】本発明の実施の形態におけるLEDヘッドを斜め上方から見た斜視図である。
図4】本発明の実施の形態におけるLEDヘッドを斜め下方から見た斜視図である。
図5】本発明の実施の形態におけるLEDヘッドの分解斜視図である。
図6図3のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0017】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0018】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体であり、該装置本体Bdの下部に媒体収容部としての給紙カセット11が配設され、該給紙カセット11のスタッカSt1に媒体としての用紙Pが載置される。給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙Pを1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構12が配設される。なお、前記用紙Pとして、カット紙、OHP用紙、封筒、複写紙、特殊紙等を使用することができる。
【0019】
前記給紙機構12は、繰出部材としてのホッピングローラ13及び図示されない分離装置から成り、給紙機構12によって1枚ずつ分離させられて媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙された用紙Pは、搬送部材としての搬送ローラ対m1に送られた後、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像を形成する画像形成部としての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cに供給される。
【0020】
該各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、装置本体Bdに対して着脱自在に配設され、像担持体としての感光体ドラム31等を備える。そして、前記各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cに対応させて、露光装置としてのLEDヘッド22が各感光体ドラム31と対向させて配設される。
【0021】
また、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの本体、すなわち、ユニット本体28に対して着脱自在に配設され、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ29を備える。前記ユニット本体28は、トナーカートリッジ29の下方に形成され、トナーカートリッジ29から供給されたトナーを貯蔵するトナー貯蔵部30、前記感光体ドラム31、該感光体ドラム31の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ32、トナーを保持する現像剤担持体としての現像ローラ33、前記トナー貯蔵部30内のトナーを現像ローラ33に供給する現像剤供給部材としての供給ローラ34、現像ローラ33上に供給されたトナーを均一に薄層化する現像剤層規制部材としての現像ブレードDb、感光体ドラム31上のトナーを除去する第1のクリーニング装置C1、感光体ドラム31の表面を除電する除電装置37等を備える。第1のクリーニング装置C1は、感光体ドラム31に付着したトナーを掻き取り、除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレードb1を備える。なお、前記現像ローラ33、供給ローラ34及び現像ブレードDbによって、現像器が構成される。
【0022】
前記感光体ドラム31は、回転自在に配設され、一方の端部にギヤを備え、画像形成用の駆動部としての図示されない駆動モータ(ドラムモータ)からの回転を受け、矢印方向に回転させられる。
【0023】
前記帯電ローラ32は、感光体ドラム31に当接させて回転自在に配設され、感光体ドラム31の回転に伴って、連れ回りで矢印方向に回転させられる。
【0024】
前記現像ローラ33は、一方の端部にギヤを備え、回転自在に配設され、感光体ドラム31からの回転を受け、矢印方向に回転させられる。
【0025】
前記供給ローラ34は、一方の端部にギヤを備え、回転自在に配設され、現像ローラ33からの回転を受け、矢印方向に回転させられる。
【0026】
前記LEDヘッド22は、感光体ドラム31の主走査方向に配設された発光素子としての後述されるLED69及びレンズアレイから成り、感光体ドラム31の表面を露光し、潜像としての静電潜像を形成する。
【0027】
各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおいて、感光体ドラム31は、回転に伴って表面が、帯電ローラ32によって一様に帯電させられ、LEDヘッド22によって露光されて、表面に静電潜像が形成される。
【0028】
トナーカートリッジ29からトナー貯蔵部30に供給されたトナーは、供給ローラ34によって現像ローラ33に供給され、現像ブレードDbによって層厚が規制されて現像ローラ33上で薄層化される。このとき、トナーは供給ローラ34及び現像ブレードDbとの摩擦によって負の極性に帯電させられる。
【0029】
そして、前記静電潜像に前記現像ローラ33上のトナーが静電的に付着させられて、感光体ドラム31上に現像剤像としてのトナー像が形成される。
【0030】
また、前記各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの下方に、転写ユニットu1が、装置本体Bdに対して着脱自在に配設される。前記転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、駆動ローラr1及び従動ローラr2によって走行自在に張設された無端状のベルト部材としての、かつ、搬送ベルトとしての転写ベルト17、該転写ベルト17の上方ベルト部17aを挟んで前記感光体ドラム31と対向させて回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ21、前記転写ベルト17の下方ベルト部17bと対向させて配設された第2のクリーニング装置C2等を備える。該第2のクリーニング装置C2は、前記転写ベルト17に付着したトナーを掻き取り、除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレードb2を備える。
【0031】
そして、用紙搬送路Rt1における転写ユニットu1より下流側に、定着装置としての定着器18が、装置本体Bdに対して着脱自在に配設される。前記定着器18は、回転自在に配設され、内部に加熱部材としての図示されないハロゲンランプを備えた第1の定着部材としての加熱ローラ19、及び該加熱ローラ19と対向させて回転自在に配設された第2の定着部材としての加圧ローラ20を備える。
【0032】
前記プリンタ10において、搬送用の駆動部としての図示されない搬送モータが駆動されると、ホッピングローラ13及び搬送ローラ対m1が回転させられ、給紙カセット11から用紙Pが用紙搬送路Rt1に給紙され、用紙搬送路Rt1を搬送される。
【0033】
また、ベルト走行用の駆動部としての図示されないベルトモータが駆動されると、駆動ローラr1が矢印方向に回転させられ、転写ベルト17が矢印A方向に走行させられる。画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cに供給された用紙Pは、転写ベルト17の走行に伴って搬送され、各感光体ドラム31と各転写ローラ21との間を通過し、該各転写ローラ21によってトナーと逆の極性に帯電させられ、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおいて各感光体ドラム31に形成されたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のトナー像が用紙Pに順次重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。
【0034】
そして、定着用の駆動部としての図示されない定着モータが駆動されると、加熱ローラ19及び加圧ローラ20が回転させられ、用紙Pは、定着器18に送られ、該定着器18において、加熱ローラ19によって加熱され、加圧ローラ20によって加圧され、カラーのトナー像が定着させられ、カラーの画像が形成される。そして、定着器18から排出された用紙Pは、排出部材としての排出ローラ対m2によって装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂部に形成されたスタッカSt2に積載される。
【0035】
次に、LEDヘッド22について説明する。
【0036】
図3は本発明の実施の形態におけるLEDヘッドを斜め上方から見た斜視図、図4は本発明の実施の形態におけるLEDヘッドを斜め下方から見た斜視図、図5は本発明の実施の形態におけるLEDヘッドの分解斜視図、図6図3のA-A断面図である。なお、図3において、X軸正方向は用紙Pの搬送方向の前方向であり、X軸負方向は用紙Pの搬送方向における後方向であり、Y軸正方向は用紙Pの搬送方向における後方からLEDヘッド22を見たときの左方向であり、Y軸負方向は用紙Pの搬送方向における後方からLEDヘッド22を見たときの右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0037】
図において、22はLEDヘッド、41は該LEDヘッド22のホルダ、43は偏心カム、44は偏心カムプレートである。
【0038】
前記ホルダ41は、樹脂材料、例えば、液晶ポリマーを射出成形することによって形成され、用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に延在させて配設された長い箱状体から成り、前壁pf、背壁pr、第1の側壁である左側壁ps1、第2の側壁である右側壁ps2、頂壁pt及び底壁pbを有する。
【0039】
前記ホルダ41には、上下方向に貫通させて光学系収容室Rmが形成され、該光学系収容室Rmの上端及び下端は開口させられ、頂壁ptに上開口Htが、底壁pbに、上開口Htより一回り小さい下開口Hbが前記感光体ドラム31(図2)と対向させて形成される。
【0040】
前壁pf及び背壁prには、第1の基板である第1基板52をホルダ41に固定するために、後述される基板接着剤74を充填するための複数の貫通穴h1が形成される。
【0041】
ホルダ41の底壁pbにおける左側壁ps1側の端部には第1の位置決め穴としての長孔h2が、右側壁ps2側の端部には第2の位置決め穴としての丸孔h3が形成され、前記長孔h2及び丸孔h3は、ユニット本体28に形成された図示されない突起部と係合させられ、Y軸方向においてLEDヘッド22を位置決めする。また、底壁pbにおける長孔h2及び丸孔h3より中央側にカム嵌合部Q1、Q2が形成され、該カム嵌合部Q1、Q2は、前記偏心カム43と嵌合させられ、偏心カムプレート44によって保持され、Z軸方向においてLEDヘッド22を位置決めする。
【0042】
さらに、ホルダ41の頂壁ptにおける左側壁ps1側及び右側壁ps2側の端部には、図示されない接続部材を使用してLEDヘッド22を装置本体Bdと機械的に接続するための接合部Q3が形成される。
【0043】
前記光学系収容室Rmの最も下方には、高い平面度が得られるように所定の治具が使用されてカバーフィルムがホルダ41に接着され、カバー54が形成され、該カバー54を基準にして、上開口Htから下開口Hbにかけて、絶縁性フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から成る保持プレート51、前記第1基板52、光学系53等が積層される。
【0044】
該光学系53は、上方から下方にかけて、第1の遮光部材61、第1のレンズアレイ62、第2の遮光部材63及び第2のレンズアレイ64を積層することによって形成される。第1のレンズアレイ62には、第1のレンズ素子としての複数のマイクロレンズ77が、第2のレンズアレイ64には、第2のレンズ素子としての複数のマイクロレンズ78が、それぞれ千鳥足状に2列に並べて形成される。なお、第1の遮光部材61によって、前記第1基板52が配設された側である基板側の遮光部材が、第2の遮光部材63によって、前記感光体ドラム31が配設された側であるドラム側の遮光部材が構成される。
【0045】
前記保持プレート51は、中央部に第2の基板である第2基板66が取り付けられた状態で、第1基板52を覆い、保護するように前記ホルダ41の上開口Htに取り付けられ、第1基板52とホルダ41との間のクリアランスは封止部材としての封止シリコーン67によって封止され、該封止シリコーン67によって、外部から光学系収容室Rmに粉塵が進入したり、第1基板52に静電気が放電されたりするのが防止される。
【0046】
前記第2基板66には、第1基板52の制御を行うASIC等の電子部品71、第1基板52と電気的に接続するための図示されないコネクタ、第2基板66を装置本体Bdに配設された図示されない制御部と電気的に接続するためのコネクタCn1等が実装される。
【0047】
そして、前記第2基板66は、基材として、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施して板状にした、難燃性が高く、導電率が低くされたFR4が使用され、前記基材に銅箔を貼り付けたガラスエポキシ基板から成る。
【0048】
前記第1基板52には、発光素子としてのLED69、各LED69の駆動(点灯及び消灯)を制御する電子部品73、第2基板66と電気的に接続するためのコネクタCn2等が実装される。
【0049】
また、前記第1基板52は、長尺の部材であり、第2基板66と同様に、基材として、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施して板状にした、難燃性が高く、導電率が低くされたFR4が使用され、前記基材に銅箔を貼り付けたガラスエポキシ基板から成る。
【0050】
そして、第1基板52は、ホルダ41の貫通穴h1を介して充填された基板接着剤74によってホルダ41に接着される。これにより、高さ方向の精度を保持しつつ、光学系53の線膨張係数の異なる前記第1、第2のレンズアレイ62、64が摺動させられる。
【0051】
前記カバー54は、第2のレンズアレイ64を覆い、保護するように前記ホルダ41の下開口Hbにカバー接着剤56によって取り付けられ、カバー54を基準にして、前記光学系53及び第1基板52が積層され、第1基板52が前記基板接着剤74によってホルダ41に接着される。
【0052】
なお、前記カバー54は、透明なポリエチレンテレフタレート製のフィルムから成り、下開口Hdより大きく、かつ、ホルダ41の内周面より小さい長方形の形状を有する。
【0053】
次に、光学系53について説明する。
【0054】
前記第1の遮光部材61は、側壁81及び底壁82から成る「コ」字状の断面形状を有する長尺状の部材であり、底壁82に、前記第1、第2のレンズアレイ62、64に形成された各マイクロレンズ77、78の位置に合わせて、断面が円形の形状の、円錐台の形状を有する開口部としての貫通穴h8が千鳥足状に2列に並べて形成される。
【0055】
前記第1の遮光部材61は、各LED69と第1のレンズアレイ62との間に最適なクリアランスが形成されるように配設される。
【0056】
第1の遮光部材61として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)を使用することができるが、線膨張係数を第1、第2のレンズアレイ62、64の線膨張係数と極力合わせることが望ましいので、本実施の形態においては、ポリカーボネートが使用される。
【0057】
第1のレンズアレイ62は、第1の光軸を有し、複数のマイクロレンズ77が長手方向に千鳥足状に2列に並べて配列されて形成された長尺状の形状を有する部材であり、前記マイクロレンズ77によってLED69の光が集束されるとともに、光が出射される。
【0058】
第1のレンズアレイ62として、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等を使用することができるが、本実施の形態のように長手方向に長い構造体を有する場合は、寸法を安定させる必要があるので、本実施の形態においては、吸水率の小さいシクロオレフィンポリマー(COP)が使用される。
【0059】
第2の遮光部材63は、長方形の断面形状を有する長尺状の部材であり、前記第1、第2のレンズアレイ62、64に形成された各マイクロレンズ77、78と対応させて、逆円錐台の形状を有する開口部としての貫通穴h9が千鳥足状に2列に並べて貫通させて形成される。
【0060】
前記第2の遮光部材63は、第1、第2のレンズアレイ62、64間に最適なクリアランスが形成されるように配設され、第1のレンズアレイ62から出射された光線によって発生した迷光が第2のレンズアレイ64に入射されるのをカットする。
【0061】
第2のレンズアレイ64は、第2の光軸を有し、複数のマイクロレンズ78を長手方向に千鳥足状に2列に並べて配列することによって形成された長尺状の形状を有する。すなわち、第2のレンズアレイ64は、第1のレンズアレイ62をY軸を中心にして180〔°〕回転させた、第1のレンズアレイ62とほぼ同一の形状を有する。前記マイクロレンズ78によって、マイクロレンズ77から出射される光が収束されるとともに、光が出射される。
【0062】
第1、第2のレンズアレイ62、64は、ホルダ41内において第1、第2の光軸が一致するように積層され、第1のレンズアレイ62は、第1、第2のレンズアレイ62、64間にLED69の倒立縮小像を結像し、第2のレンズアレイ64は、LED69の前記倒立縮小像の倒立拡大像を結像する。これにより、感光体ドラム31(図2)の表面に前記LED69の正立等倍像が形成される。
【0063】
第2のレンズアレイ64として、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等を使用することができるが、本実施の形態のように長手方向に長い構造体を有する場合は、寸法を安定させる必要があるので、本実施の形態においては、第1のレンズアレイ62と同様に、吸水率の小さいシクロオレフィンポリマー(COP)が使用される。
【0064】
次に、第2の遮光部材63に形成された貫通穴h9について説明する。
【0065】
図1は本発明の実施の形態における第2の遮光部材に形成された貫通穴の概念図である。
【0066】
図において、63は第2の遮光部材、64は第2のレンズアレイ、78はマイクロレンズ、h9は貫通穴である。
【0067】
該貫通穴h9は、マイクロレンズ77と対向させて形成された第1の開口Hu、及びマイクロレンズ78と対向させて形成された第2の開口Hdを備え、第1の開口Huと第2の開口Hdとの間に、円錐台の形状を有する第1の開口部位としての第1の穴部85、及び該第1の穴部85と同心の円錐台の形状を有し、第1の穴部85の下に一体に重ねて形成された第2の開口部位としての第2の穴部86が形成される。また、第1の穴部85の内周面に壁面w1が、第2の穴部86の内周面に壁面w2が、それぞれ前記第1、第2の開口Hu、Hd間に延在させて形成される。
【0068】
第1の穴部85の上端の第1の開口Huの径をd1とし、第1の穴部85の下端の径をd2とし、第2の穴部86の上端の径をd3とし、第2の穴部86の下端の第2の開口Hdの径をd4としたとき、径d1~d4は、
d1>d2 …(1)
d2>d3 …(2)
d3>d4 …(3)
にされる。式(2)を満たすことによって、第1、第2の穴部85、86間に段差部が形成される。
【0069】
また、第1の穴部85の上端と下端との距離をL1とし、第2の穴部86の上端と下端との距離をL2としたとき、距離L1、L2は、
L1>L2 …(4)
にされ、第2の穴部86は第2の開口Hbの近傍に形成される。
【0070】
そして、第1の穴部85の壁面w1の、第2のレンズアレイ64の第2の光軸に対する傾斜角度をγ1としたとき、該傾斜角度γ1は、
γ1=(d1-d2)/(L1×2)
になり、第2の穴部86の壁面w2の、第2のレンズアレイ64の第2の光軸に対する傾斜角度をγ2としたとき、該傾斜角度γ2は、
γ2=(d3-d4)/(L2×2)
になり、γ1、γ2は、
γ2>γ1 …(5)
にされる。
【0071】
本実施の形態においては、
d1=0.925〔mm〕
d2=0.855〔mm〕
d3=0.71〔mm〕
d4=0.66〔mm〕
L1=0.7〔mm〕
L2=0.1〔mm〕
にされ、径d2と径d3との差Δd
Δd=d2-d3
は0.05〔mm〕以上にされる。
【0072】
ところで、前記第2の遮光部材63は、第1のレンズアレイ62によって結像される倒立縮小像の近傍に位置するので、第2の遮光部材63の貫通穴h9の内周面で生じる反射光は強い迷光成分になりやすい。
【0073】
ところが、本実施の形態においては、前記貫通穴h9の構造が前記式(1)~(5)を満たすので、貫通穴h9の内周面において発生した反射光が迷光成分になるのを抑制することができる。
【0074】
すなわち、式(1)~(3)が満たされ、
d1>d2
d2>d3
d3>d4
にされるので、貫通穴h9を構成する第1、第2の穴部85、86の円錐台の側面の傾きが同じ方向になる。その結果、第1の遮光部材63を射出成形によって一体に、かつ、容易に成形することができる。
【0075】
また、式(2)が満たされ、
d2>d3
にされるので、第1、第2の穴部85、86間に環状の形状を有する段差部91が形成され、該段差部91によって、第2の開口Hbに臨ませて、壁面w2に沿って、かつ、貫通穴h9の径方向内方に向けて突出させて環状の壁部としての庇構造92が形成される。
【0076】
したがって、第1の穴部85の壁面w1において発生した反射光をカットすることができるので、反射光が迷光成分になるのを抑制することができる。
【0077】
一般に、フレネルの式で求められるように、物体に対する入射角が大きいと反射率が高くなるので、本実施の形態においては、前記差Δdが0.05〔mm〕にされ、段差部91の大きさが0.025〔mm〕程度と小さくても、反射光を十分にカットすることができる。
【0078】
また、式(4)が満たされ、
L1>L2
にされるので、第2の穴部86のw2において発生した反射光をカットすることができ、反射光が迷光成分になるのを抑制することができる。
【0079】
さらに、式(5)が満たされ、
γ2>γ1
にされるので、貫通穴h9内に入射した光の、第2の穴部86の壁面w2に対する入射角を、第1の穴部85の壁面w1に対する入射角より小さくすることができる。その結果、第2の穴部86の壁面w2において発生した反射光を一層カットすることができ、反射光が迷光成分になるのを一層抑制することができる。
【0080】
このように、本実施の形態においては、各貫通穴h9が、前記マイクロレンズ77と対向させて形成された第1の開口Hu、及び前記マイクロレンズ78と対向させて形成された第2の開口Hdを備え、該第2の開口Hdの径d4が第1の開口Huの径d1より小さくされて庇構造92が形成されるので、貫通穴h9の壁面w1において発生した反射光による迷光をカットすることができる。
【0081】
したがって、LEDヘッド22の品質を向上させることができる。
【0082】
なお、前記第1の遮光部材61には、第2の遮光部材63の貫通穴h9と同様の貫通穴h8が形成されるので、LED69から放射された光線の、貫通穴h8の壁面における反射光によって迷光が発生するが、該迷光は、前記貫通穴h9を通過する間に前記庇構造92によってカットされる。
【0083】
また、本実施の形態においては、貫通穴h9において、第2の開口Hdに臨ませて段差部91が形成され、該段差部91によって庇構造92が形成されるようになっているが、貫通穴h8においても、マイクロレンズ77と対向させて形成された開口に臨ませて、環状の形状を有する段差部を形成し、該段差部によって、貫通穴h8の径方向内方に向けて突出させて環状の壁部としての庇構造を形成することができる。したがって、貫通穴h8の壁面における反射光によって発生する迷光を庇構造によってカットすることができる。
【0084】
本実施の形態においては、プリンタ10について説明したが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0085】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0086】
22 LEDヘッド
52 第1基板
62、64 第1、第2のレンズアレイ
63 第2の遮光部材
69 LED
77、78 マイクロレンズ
92 庇構造
d1、d4 径
Hd、Hu 第1、第2の開口
h9 貫通穴
w1、w2 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6