(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148449
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ハンズフリー装置
(51)【国際特許分類】
H04M 1/725 20210101AFI20231005BHJP
【FI】
H04M1/725
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056469
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 侑士
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康二
(72)【発明者】
【氏名】三浦 啓二
(72)【発明者】
【氏名】松本 考永
(72)【発明者】
【氏名】山口 南可子
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127BA03
5K127BA10
5K127BB16
5K127BB33
5K127DA15
5K127GA14
5K127GB47
5K127GC14
5K127JA25
(57)【要約】
【課題】車両が走行中において着信履歴を適切に出力制御する。
【解決手段】本開示の車両制御装置では、接続部121が、携帯電話機2と接続し、データ取得部122が、着信履歴データを取得し、走行状態検知部123が、車両3の走行状態を検知する。着信履歴データの出力要求を受け付けた場合、出力制御部124は、走行状態検知部123により車両3が走行していることが検知されたとき、着信履歴データをスピーカ19へ出力することで音声出力し、走行状態検知部123により車両3が走行していないと検知されたとき、着信履歴データを表示部15へ出力することで表示出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機と接続する接続部と、
前記接続部により接続した携帯電話機の着信履歴データを取得するデータ取得部と、
自装置を搭載している車両の走行状態を検知する走行状態検知部と、
前記着信履歴データの出力要求を受け付けた場合、前記走行状態検知部により前記車両が走行していると検知されたとき、前記着信履歴データを音声出力し、前記走行状態検知部により前記車両が走行していないと検知されたとき、前記着信履歴データを表示出力する出力制御部と、
を備える、車載ハンズフリー装置。
【請求項2】
前記データ取得部は、応答の有無を含む前記着信履歴データを取得し、
前記出力制御部は、前記着信履歴データを表示出力する場合、前記応答の有無を示すアイコンを表示出力する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項3】
前記データ取得部は、応答の有無を含む前記着信履歴データを取得し、
前記出力制御部は、前記着信履歴データを音声出力する場合、応答していない着信履歴データを優先して音声出力する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項4】
前記携帯電話機が電話を着信した場合、通話を実行する通話実行部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記走行状態検知部により前記車両が走行していると検知されたとき、前記通話による電話料金を音声出力する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項5】
前記データ取得部は、前記携帯電話機の着信履歴データの内、選択された着信履歴データを取得する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項6】
前記データ取得部は、前記携帯電話機の着信履歴データの内、選択されなかった着信履歴データを次回以降取得しない、請求項5に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項7】
前記データ取得部は、着信回数、通話時間、および通話した時間帯の何れかの付随情報を含む着信履歴データを取得し、
前記出力制御部は、前記着信履歴データの出力要求を受け付けた場合、前記走行状態検知部により前記車両が走行していないと検知されたとき、前記着信履歴データの付随情報に基づいて並び替えて前記着信履歴データを表示出力する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項8】
前記車両の乗車人数を取得する乗車人数取得部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記乗車人数取得部により取得された乗車人数が複数である場合、前記着信履歴データの出力処理を制限させる、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項9】
前記データ取得部は、前記携帯電話機からショートメッセージサービスによるメッセージを取得し、
前記出力制御部は、前記メッセージを取得した場合、前記走行状態検知部により前記車両が走行していると検知されたとき、前記メッセージを音声出力し、前記走行状態検知部により前記車両が走行していないと検知されたとき、前記メッセージを表示出力する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項10】
前記データ取得部は、電話帳データを取得し、
前記着信履歴データの電話番号の内、前記電話帳データにない電話番号を検索する電話番号検索部をさらに備える、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項11】
前記携帯電話機が電話を着信した場合、通話を実行する通話実行部と、
前記通話による着信履歴データを前記携帯電話機に送信する送信部と、
をさらに備える、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項12】
前記出力制御部は、前記通話実行部が、通話を実行できなかった場合、前記走行状態検知部により前記車両が走行していると検知されたとき、応答できなかった旨を音声出力し、前記走行状態検知部により前記車両が走行していないと検知されたとき、応答できなかった旨を表示出力する、請求項11に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項13】
前記出力制御部は、前記通話実行部が、通話を実行できなかった場合、前記走行状態検知部により駐車状態であると検知されたとき、応答できなかった旨を音声出力する、請求項11に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項14】
前記携帯電話機が電話を着信した場合、通話を実行する通話実行部をさらに備え、
前記データ取得部は、電話帳データを取得し、
前記通話実行部は、前記電話帳データの内、着信可能の着信元からの着信のみ着信を受け付ける、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項15】
前記接続部は、複数の携帯電話機を検出した場合、前記複数の携帯電話機の内の一つの携帯電話機と接続するように設定する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項16】
前記出力制御部は、前記着信履歴データを表示出力する場合、他のアプリケーションを表示しているとき、前記着信履歴データをポップアップ表示する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項17】
前記データ取得部は、前記携帯電話機のバッテリー量を取得し、
前記出力制御部は、前記携帯電話機のバッテリー量を出力する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項18】
前記携帯電話機が電話を着信した場合、通話を実行する通話実行部をさらに備え、
前記データ取得部は、電話帳データを取得し、
前記携帯電話機が電話を着信した場合、着信元が前記電話帳データに対応しない場合、着信拒否する、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項19】
前記走行状態検知部により前記車両が走行していないと検知されたとき、車外の無線通信装置を検索して、検索結果を表示出力する通信装置検索部と、
をさらに備える、請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンズフリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機との間で通信回線を確立することにより、ユーザが携帯電話機を直接操作しなくとも、電話の着信及び発信をすることを可能にするハンズフリー装置が知られている。このようなハンズリー装置は、例えば車両に搭載され、ユーザが運転中に電話で会話をする場合に使用される。
【0003】
また、携帯電話機からハンズフリー装置に電話帳データや発着信履歴データを転送する技術が知られている。
【0004】
このような、ハンズフリー装置において、着信履歴データをユーザ指示に応じて表示するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術においては、車両走行中における着信履歴の出力態様について十分に考慮されていない。
【0007】
本開示は、車両が走行中において着信履歴を適切に出力制御することができるハンズフリー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る車載ハンズフリー装置は、携帯電話機と接続する接続部と、接続部により接続した携帯電話機の着信履歴データを取得するデータ取得部と、自装置を搭載している車両の走行状態を検知する走行状態検知部と、着信履歴データの出力要求を受け付けた場合、走行状態検知部により車両が走行していると検知されたとき、着信履歴データを音声出力し、走行状態検知部により車両が走行していないと検知されたとき、着信履歴データを表示出力する出力制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る車載ハンズフリー装置によれば、車両が走行中において着信履歴を適切に出力制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るハンズフリー装置の使用形態の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るハンズフリー装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るハンズフリー装置が備える機能の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる着信履歴の出力処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係るハンズフリー装置の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るハンズフリー装置1の使用形態の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のハンズフリー装置1は、車両3に搭載可能である。ハンズフリー装置1は、携帯電話機2との間で通信接続する。また、携帯電話機2は、携帯電話網を介して基地局40と無線通信する。携帯電話機2は、例えばスマートフォンであり、近距離無線通信手段であるBluetooth(登録商標)方式による通信機能を有する。なお、携帯電話機2は、Bluetooth方式による通信機能を有するものであれば、スマートフォン以外の種類の携帯電話機でも良い。
【0013】
ハンズフリー装置1は、携帯電話機2を介して携帯電話網に接続する。これにより、例えば、車両3の運転者は、携帯電話機2を操作しなくとも、ハンズフリー装置1を操作することによって、電話の発着信をすることができる。ハンズフリー装置1は、例えば、車両3に搭載された車載ナビゲーション装置の一機能として実現されても良い。
【0014】
図2は、本実施形態に係るハンズフリー装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態のハンズフリー装置1は、例えば、ハンズフリー機能付き車載ナビゲーション装置である。ハンズフリー装置1は、制御部12、Bluetooth通信部13、操作部14、表示部15、作業メモリ16、記憶メモリ17、マイクロホン18、スピーカ19、及び通信部20を備えて構成されている。
【0015】
制御部12は、ハンズフリー装置1の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。
【0016】
Bluetooth通信部13は、近距離無線通信手段であるBluetooth方式に対応しており、Bluetooth無線通信圏内に存在している携帯電話機2との間で無線通信回線を確立して、Bluetoothの通信規格に準拠した通信を行う。なお、この場合、携帯電話機2が、Bluetooth通信機能を有し、かつハンズフリー装置1のBluetooth無線通信圏内に存在していることを前提とする。
【0017】
本実施形態でのBluetooth通信部13は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFP(Hands Free Profile)及び、電話帳データの転送、発着信履歴データの転送を行うためのPBAP(Phone Book Access Profile)に対応している。これらプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
【0018】
携帯電話機2は、周知のように単独(ハンズフリー機器たるハンズフリー装置1との間でHFPを接続していない状態)では、携帯電話網の基地局40と携帯電話回線を確立して電話の発信処理及び着信処理を単独で行うことが可能に構成されている。この場合、携帯電話機2は、発信処理としては例えばユーザがダイアルキー(「0」~「9」の数字キー)(図示せず)を操作して発信先の電話番号を入力し、続いて発信キー(図示せず)を操作すると、当該電話番号を発信先として発信することでき、発信先の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。
【0019】
また、携帯電話機2は、着信処理としては発信元の携帯電話機が当該携帯電話機2を発信先として発信したことに応じて基地局40から着信信号を受信すると、基地局40から発信元の携帯電話機の電話番号を着信電話番号として受信し、ユーザが受話キー(図示せず)を操作すると、発信元の携帯電話機に応答することができ、発信元の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。
【0020】
また、携帯電話機2は、日時(日付時刻)を計時する時計部(図示せず)を有しており、上記した発信処理でダイアルキーから入力した発信電話番号と時計部が計時している日時に基づく発信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の発信履歴データを記憶保持している。また、携帯電話機2は、上記した着信処理で基地局40から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の着信履歴データを記憶保持している。
【0021】
また、携帯電話機2は、着信に対して応答しなかったときに基地局40から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の不在着信履歴データを記憶保持している。さらに携帯電話機2は、電話番号と登録名との対応を1件分のデータとして複数件分の電話帳データを保持している。電話帳データとは、ユーザが電話番号と登録名とを入力し、これら電話番号と登録名とを対応付けて例えば500件程度、不揮発性メモリ(図示せず)に記憶させておくものである。
【0022】
携帯電話機2が電話帳データを保有している場合、上記発信履歴データ、着信履歴データには、上記登録名が含まれる。具体的には、基地局40から受信した着信電話番号が電話帳データに登録された電話番号であり、携帯電話機2は、この電話番号に登録名が電話帳データに登録されているかチェックし、存在する場合には、着信履歴データは、電話番号と、着信日時と、登録名とから構成される。不在着信履歴データも、同様な処理で、電話番号と、着信日時と、その登録名とからなる。携帯電話機2は、発信履歴データについても、上記発信処理で発信された電話番号が、電話帳データに登録された電話番号であるかチェックする。電話番号が電話帳データに登録されている場合は、発信履歴データは、発信日時と、発信電話番号と、その登録名とから構成される。
【0023】
そして、ユーザは、携帯電話機2によって電話帳データから読み出された1つの電話番号を選択して発信することにより、電話番号を構成する数字に対応する全ての数字キーを一々入力しなくとも簡単な操作で間違いなく発信することができる。尚、携帯電話機2は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば最新の20件分を記憶可能であり、発信処理や着信処理や不在着信を行う毎に最古のデータを自動的に消去し、発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを更新する。そして、携帯電話機2は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFP、及び電話帳データの転送、発着信履歴データの転送を行うためのPBAPに対応している。
【0024】
携帯電話機2が、発着信履歴データの自動転送を規定しているPBAPに対応している場合には、Bluetooth通信部13との間で通信回線を確立した直後にPBAPを接続し、その時点で記憶している電話帳データを自動転送し、さらに、その時点で記憶している発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを自動転送する。これにより、携帯電話機2は、ハンズフリー装置1がBluetooth通信圏内に存在している場合には、単独で過去に発信処理を行って記憶した最大で20件分の発信履歴データや単独で過去に着信処理を行って記憶した最大で20件分の着信履歴データや単独で過去に不在着信処理を行って記憶した最大で20件分の不在着信履歴データをハンズフリー装置1に自動転送する。
【0025】
本実施形態においては、発信履歴データ、着信履歴データ、及び不在着信履歴データを総称する場合、単に履歴データという。
【0026】
ハンズフリー装置1の操作部14は、ユーザが操作するための本実施形態でいう操作手段であって、例えば表示部15に形成されるタッチキーから構成され、ユーザの操作を検出し、その操作内容を表す操作信号を制御部12に出力する。表示部15は、本実施形態でいう表示手段であって、制御部12から表示信号を入力すると、その入力した表示信号に基づいて表示画面を表示し、例えばユーザが電話番号を入力する表示画面として「0」~「9」に対応したダイアルキーが配列された表示画面を表示する。表示部15は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
作業メモリ16は、本実施形態でいう発信履歴データ記憶手段、着信履歴データ記憶手段及びデータ記憶手段であって、揮発性のメモリから構成される。作業メモリ16は、携帯電話機2からユーザが何ら操作することなく自動転送された発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを記憶する。この場合、作業メモリ16は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば5件分を記憶可能である。作業メモリ16は、例えばRAM(Random Access Memory)等である。
【0028】
記憶メモリ17は、不揮発性のメモリから構成され、各種データを記憶する。記憶メモリ17は、例えばROM(Read Only Memory)である。また、記憶メモリ17は、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリ等の書き込み可能な記憶媒体であっても良い。
【0029】
制御部12は、ユーザが発信履歴データの表示要求を操作部14にて行うと、作業メモリ16に記憶されている発信履歴データを表示部15に表示させ、ユーザが着信履歴データの表示要求を操作部14にて行うと、作業メモリ16に記憶されている着信履歴データを表示部15に表示させ、ユーザが電話帳データの表示要求を操作部14にて行うと、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを表示部15に表示させる。尚、本実施形態のハンズフリー装置1では、上記したように作業メモリ16に記憶される発信履歴データ及び着信履歴データはそれぞれ5件であり、表示部15に表示される最大表示件数もそれぞれ5件とする。なお、作業メモリ16に記憶されるこれらのデータの件数は一例であり、上述の例に限定されるものではない。
【0030】
マイクロホン18は、音声を入力する音声入力手段であって、携帯電話機2を用いたハンズフリー通話を行うときに、ユーザが発した音声を入力する。スピーカ19は、音声出力手段であって、携帯電話機2を用いたハンズフリー通話を行うときに、通話相手の受話音声を出力する。すなわち、Bluetooth通信部13と携帯電話機2との間でBluetooth通信回線を確立してHFPでの無線通信を接続すると、制御部12は、マイクロホン18が入力した音声をBluetooth通信部13から携帯電話機2に送信させて携帯電話機2から携帯電話網に送信させると共に、携帯電話機2が携帯電話網から受信した音声を携帯電話機2からBluetooth通信部13に受信させてスピーカ19から出力させる。
【0031】
通信部20は、例えば、近距離無線通信を行う無線通信機器である。本実施形態にかかる通信部20は、無線通信規格として、Wi-fiに対応した近距離無線通信を行う。Wi-fiでは、2.4GHz帯と5GHz帯の周波数帯を使用して通信が行われる。本実施形態では、通信部20は、Bluetoothと同様、2.4GHz帯を使用して、Wi-fi通信圏内に存在している装置との間で無線通信回線を確立し、Wi-fiの通信規格に準拠した通信を行う。また、通信部20は、公衆回線による通信手段であっても良い。
【0032】
また、ハンズフリー装置1の制御部12は、車両内の装置から車両状態信号を受信する。車両状態信号は、車両の走行状態を示す信号を含む。車両の走行状態を示す信号は、速度センサから出力された車両の走行速度を示す信号等、車両が走行しているか否かを判断可能な信号である。
【0033】
また、車両状態信号には、車両内の乗車人数を判断し得る信号をさらに含んでも良い。車両内の乗車人数を判断し得る信号として、着座センサから出力される信号や重量センサから出力される信号等がある。
【0034】
尚、上記したハンズフリー装置1は、図示した機能ブロックの他に、自車両の現在位置を検出する現在位置検出部としてのGPS装置、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索部、地図データが記録されている記録媒体から地図データを読取る地図データ読取部、VICS(登録商標)センターから配信されたVICS情報を受信するVICS情報受信部、ユーザが発した音声を音声認識する音声認識部などのナビゲーション動作に必要な機能ブロックをも備えて構成されていても良い。この場合、ハンズフリー装置1は、GPS衛星からGPS装置が受信したGPS無線信号からGPS日時情報を抽出して日時を取得し、その取得した日時を発信日時や着信日時として利用しても良い。
【0035】
上記したハンズフリー装置1は、ACCスイッチ(車両機器への電源供給をオンオフするスイッチ)のオンオフに連動して起動・停止するように構成されている。ハンズフリー装置1は、例えばユーザが操作したことに応じてACCスイッチがオンからオフに切替わると、電源供給が停止され、この結果、装置電源がオンからオフに移行する。この場合、その直前に記憶メモリ17に記憶されている各種データは消去されないが(記憶保持されるが)、その直前に作業メモリ16に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データは消去されるように構成されている。
【0036】
次に、制御部12の詳細を説明する。
【0037】
図3は、制御部12の機能ブロック図の一例である。制御部12は、接続部121と、データ取得部122と、走行状態検知部123と、出力制御部124と、通話実行部125と、乗車人数取得部126と、電話番号検索部127と、通信装置検索部128と、を備える。
【0038】
接続部121、データ取得部122、走行状態検知部123、出力制御部124、通話実行部125、乗車人数取得部126、電話番号検索部127、および通信装置検索部128は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部の各々は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部の各々は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部の各々は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、複数のプロセッサの各々は、複数の各部のうち1つを実現してもよいし、複数の各部のうち2以上を実現してもよい。
【0039】
プロセッサは、記憶メモリ17に記憶されたプログラムを読み出し実行することで、上記複数の各部を実現する。なお、記憶メモリ17にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成してもよい。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで、上記複数の各部を実現する。
【0040】
接続部121は、HFPを用いて携帯電話機2と無線通信接続する、ハンズフリー接続処理を実行する。ハンズフリー接続処理とは、HFPを用いて携帯電話機10との無線通信接続を確立する処理である。すなわち、接続部121によって、ハンズフリー装置1と携帯電話機2とのHFPの接続が確立される。
【0041】
HFPの接続が確立されることで、ハンズフリー装置1は、携帯電話機2を介したハンズフリー通話が可能な状態となる。詳細には、接続部121は、マイクロホン18から受付けた音声を、Bluetooth通信部13を介して携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、ハンズフリー装置1から受付けた音声を、基地局40を介して発信先電話番号の携帯電話機2へ送信する。また、接続部121は、携帯電話機2が他の携帯電話機から受付けた音声を、Bluetooth通信部13を介して受信し、スピーカ19へ出力する。このため、ハンズフリー装置1は、ハンズフリー通話が可能となる。なお、本実施形態では、HFPを用いた無線通信接続を、HFPの接続、または、HFP接続、と称して説明する場合がある。接続部121は、複数の携帯電話機2を検出した場合、上記の複数の携帯電話機2の内の一つの携帯電話機2と接続するように設定する。これにより、ハンズフリー装置1は、ハンズフリー装置1と接続する携帯電話機2を確定させることができる。なお、接続部121は、携帯電話機2による着信により、後述する通話実行部125が通話を実行した場合、当該通話による着信履歴データを携帯電話機2へ送信する。すなわち、接続部121は、送信部の一例である。これにより、ハンズフリー装置1は、ハンズフリー装置1が携帯電話機2と接続していた時の着信履歴データを携帯電話機2に反映させることができる。
【0042】
データ取得部122は、接続部121により接続した携帯電話機2の着信履歴データを取得する。上記着信履歴データは、応答の有無を含むようにしてもよい。また、着信履歴データは、着信回数、通話時間、および通話した時間帯の何れかの付随情報を含むようにしてもよい。
【0043】
データ取得部122は、携帯電話機2に格納されている着信履歴データのうち、ユーザ操作により選択された着信履歴データを取得してもよい。この場合、ハンズフリー装置1は、ユーザが必要としている着信履歴データに絞って出力することができ、発信対象の着信履歴データを容易に選択することができる。また、データ取得部122は、携帯電話機2の着信履歴データが、ユーザ操作により選択されたか否かを示す情報を保持しておき、選択されなかった着信履歴データを次回以降取得しないようにしてもよい。この場合、ハンズフリー装置1は、不必要な着信履歴データを表示しないため、利便性を向上させることができる。データ取得部122は、携帯電話機2からショートメッセージサービスによるメッセージを取得するようにしてもよい。データ取得部122は、電話帳データを取得してもよい。また、データ取得部122は、携帯電話機2のバッテリー量を取得するようにしてもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、ユーザ(例えば、ドライバー)にバッテリー量を伝えることが可能。また、ハンズフリー装置1は、バッテリー量が少ない場合、充電を促すことができる。
【0044】
走行状態検知部123は、自装置を搭載している車両3の走行状態を検知する。走行状態検知部123は、車両状態信号として、速度センサのセンサ信号を取得して、当該センサ信号の示す速度に基づいて車両3の走行状態を検知する。
【0045】
出力制御部124は、着信履歴データ等の各種データを表示部15またはスピーカ19に出力する。具体的に、出力制御部124は、着信履歴データの出力要求を受け付けた場合、走行状態検知部123により車両3が走行していることが検知されたとき、着信履歴データをスピーカ19へ出力することで音声出力し、走行状態検知部123により車両3が走行していないと検知されたとき、着信履歴データを表示部15へ出力することで表示出力する。また、出力制御部124は、表示部15へ着信履歴データを出力する場合、応答の有無を示すアイコンを表示出力するようにしてもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、ユーザに理解しやすい形式で応答の有無を示す情報を出力することができる。
【0046】
出力制御部124は、着信履歴データをスピーカ19へ出力する場合、応答していない着信履歴データを優先して音声出力する。例えば、出力制御部124は、応答していない着信履歴データのみ音声出力してもよいし、応答していない着信履歴データを音声出力した後に、応答済の着信履歴データを音声出力するようにしてもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、音声通知により応答の有無が分かるので、画面によりユーザに目視させる必要がないため安全に応答の有無をユーザに知らせることができる。
【0047】
出力制御部124は、携帯電話機2が電話を着信して、後述する通話実行部125により通話実行した場合、通話による電話料金を音声出力するようにしてもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、ユーザに目視させることなく電話料金を伝えることができる。
【0048】
出力制御部124は、データ取得部122が付随情報を含む着信履歴データを取得しており、着信履歴データの出力要求を受け付けた場合、走行状態検知部123により車両3が走行していないと検知されたとき、着信履歴データの付随情報に基づいて並び替えて着信履歴データを表示出力してもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、ユーザにとって理解しやすい形式で着信履歴データを表示出力することができる。
【0049】
また、出力制御部124は、車両3の乗車人数が複数である場合、着信履歴データを出力させないようにする等、所定の制限をしてもよい。出力制御部124は、乗車人数取得部126により取得された情報に基づいて車両3の乗車人数が複数であるか否かを判断する。これにより、ハンズフリー装置1は、着信履歴データの内容を、ユーザ以外に知られてしまうことを回避することができる。
【0050】
また、出力制御部124は、携帯電話機2からメッセージを取得した場合、走行状態検知部123により車両3が走行していることが検知されたとき、メッセージをスピーカ19へ出力することで音声出力し、走行状態検知部123により車両3が走行していないと検知されたとき、メッセージを表示部15へ出力することで表示出力してもよい。このメッセージとは、いわゆるショートメールや電子メール等である。これにより、ハンズフリー装置1は、車両3の走行状態に応じてメッセージの内容をユーザにとって安全に理解しやすい出力態様で出力することができる。
【0051】
また、出力制御部124は、携帯電話機2が電話を着信して、後述する通話実行部125により通話実行できなかった場合、走行状態検知部123により車両3が走行していると検知されたとき、応答できなかった旨を音声出力し、走行状態検知部123により車両3が走行していないと検知されたとき、応答できなかった旨を表示出力してもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、応答できなかったことをユーザにとって安全に理解しやすい出力態様で出力することができる。
【0052】
また、出力制御部124は、携帯電話機2が電話を着信して、後述する通話実行部125により通話実行できなかった場合、走行状態検知部123により車両3が駐車状態であると検知されたとき、応答できなかった旨を音声出力してもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、応答できなかったことをユーザにとって安全なタイミングに出力することができる。
【0053】
また、出力制御部124は、着信履歴データを表示出力する場合、他のアプリケーションを表示しているとき、着信履歴データをポップアップ表示してもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、他のアプリケーションを実行している時でも着信があったことをユーザに知らせることができる。
【0054】
また、出力制御部124は、携帯電話機2のバッテリー量を音声出力または表示出力するようにしてもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、ユーザにバッテリー量を通知することができる。例えば、ハンズフリー装置1は、バッテリー量が少ないことを示すことで、ユーザに充電を促すことができる。
【0055】
通話実行部125は、携帯電話機2が電話を着信した場合、通話を実行する。また、通話実行部125は、着信元が、電話帳データの内、着信可能の旨設定されている番号である時のみ着信を受け付けるようにしてもよい。これにより、ハンズフリー装置1は、着信元が分かる場合のみ着信するようにすることができる。
【0056】
また、通話実行部125は、着信元が、電話帳データに対応しない場合、着信拒否するようにしてもよい。この場合、ハンズフリー装置1は、電話帳データに未登録の番号から着信しないので、ユーザにとって不要な可能性がある着信を受け付けないようにすることができる。これにより、ユーザは、運転に集中することができる。
【0057】
乗車人数取得部126は、車両3の乗車人数を取得する。例えば、乗車人数取得部126は、車両3内のカメラにより撮像された画像データの解析結果による乗車人数の情報を車両状態信号として取得するようにしてもよい。
【0058】
電話番号検索部127は、着信履歴データの電話番号の内、電話帳データに無い電話番号を検索する。電話番号検索部127は、通信部20を介して電話番号検索を実行する。この場合、ハンズフリー装置1は、電話帳データに未登録の番号の検索することで、電話をかけてきた相手の情報を取得することができる。
【0059】
通信装置検索部128は、走行状態検知部123により車両3が走行していないと検知されたとき、車外の無線通信装置を検索し、検索結果を表示出力する。この場合、ハンズフリー装置1は、車外の無線通信装置の検索結果をユーザにとって安全なタイミングに出力することができる。
【0060】
続いて、
図4を用いて、ハンズフリー装置1の着信履歴の出力処理手順を説明する。まず、接続部121が、携帯電話機2との間の通信回線を確立すると(ステップS1:Yes)、ステップS2へ進む。ステップS2では、データ取得部122が、自動転送により接続部121を介して携帯電話機2から履歴データ及び電話帳データを取得した場合(ステップS2:Yes)、当該履歴データ及び電話帳データを作業メモリ16に登録する(ステップS3)。
【0061】
ユーザによって、着信履歴データの表示要求がなされた場合(ステップS4)、ステップS5へ進む。走行状態検知部123による検知結果により、車両3が走行していることを示す場合(ステップS5:Yes)、出力制御部124は、着信履歴データを音声出力する(ステップS6)。走行状態検知部123による検知結果により、車両3が走行していないことを示す場合(ステップS5:No)、出力制御部124は、着信履歴データを表示出力する(ステップS7)。
【0062】
本実施形態にかかるハンズフリー装置1では、接続部121が、携帯電話機2と接続し、データ取得部122が、着信履歴データを取得し、走行状態検知部123が、車両3の走行状態を検知する。着信履歴データの出力要求を受け付けた場合、出力制御部124は、走行状態検知部123により車両3が走行していることが検知されたとき、着信履歴データをスピーカ19へ出力することで音声出力し、走行状態検知部123により車両3が走行していないと検知されたとき、着信履歴データを表示部15へ出力することで表示出力する。
【0063】
このように、ハンズフリー装置1は、車両3が走行している場合に、着信履歴データを音声出力し、車両3が走行していない場合に、着信履歴データを表示出力することで、車両3が走行しているにも関わらず、着信履歴データを表示出力することで、ユーザによそ見運転を促してしまうことを回避することができる。すなわち、ハンズフリー装置1は、車両3が走行中において着信履歴データを適切に出力制御することができる。
【0064】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらに、異なる実施形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0066】
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0067】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力端子と出力端子を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0068】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサおよびメモリを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0069】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0070】
また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 ハンズフリー装置
2 携帯電話機
3 車両
12 制御部
13 Bluetooth通信部
14 操作部
15 表示部
16 作業メモリ
17 記憶メモリ
18 マイクロホン
19 スピーカ
20 通信部