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  • 特開-バレル研磨後に用いる自動選別装置 図1
  • 特開-バレル研磨後に用いる自動選別装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148474
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】バレル研磨後に用いる自動選別装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 31/16 20060101AFI20231005BHJP
   B24B 31/12 20060101ALI20231005BHJP
   B24B 31/02 20060101ALI20231005BHJP
   B07B 13/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B24B31/16
B24B31/12 A
B24B31/02 B
B07B13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056516
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】520127007
【氏名又は名称】今井 仁美
(72)【発明者】
【氏名】今井 孝
【テーマコード(参考)】
3C158
4D021
【Fターム(参考)】
3C158AA02
3C158AA11
3C158AB01
3C158AB03
3C158AB04
3C158AB08
3C158AC01
3C158CB03
3C158CB04
3C158DA10
4D021AA01
4D021AB01
4D021CA07
4D021JA01
4D021JB03
4D021KA13
4D021KB01
4D021LA01
4D021LA05
4D021LA20
4D021MA05
4D021NA10
(57)【要約】
【課題】 バレル研磨後の研磨加工対象物と、様々な大きさになった研磨材を分別することできなかった。特に研磨加工対象物より大きい研磨材の分別は手作業となっていた。
【解決手段】 研磨加工対象物を選別する自動選別装置において、選別用プレート小型研磨材落下孔(212)からは落下排除できない研磨加工後の大型摩耗研磨材(B2)を排除するための回転式螺旋ブラシ部(30)を配置した。この回転式螺旋ブラシ(30)は、前記混在物が研磨材落下用孔(212)へ搬送される前方に設置され、選別用振動プレート(21)の大型研磨材排出シュート(34)に向けた搬送方向に傾斜配置され、また搬送面上の研磨加工対象物に当接しない高さに配置されている。これにより小型研磨材落下孔(212)から落下排除できないサイズの大型摩耗研磨材(B2)のみを事前排除するため、小型研磨材落下孔(212)が塞がれるのを防止することが出来る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル研磨機により研磨された研磨加工対象物(A)と摩耗研磨材(B)の混在物から各々を選別する自動選別装置であって、混在物を収納したホッパー部(10)より直進フィーダー部(20)を構成する選別用振動プレート(21)の元位置側(211)で前記混在物を受け取った後に前進移動させつつ、選別用振動プレート(21)の前進端側(213)に配置した複数個の小型研磨材落下孔(212)から前記摩耗研磨材(B)のうち小型摩耗研磨材(B1)を落下選別し、一方では研磨加工対象物(A)については小型研磨材落下孔(212)上を前進通過させることで、小型摩耗研磨材(B1)と研磨加工対象物(A)とを選別する自動選別装置において;
前記小型研磨材落下孔(212)からは落下選別できない前記摩耗研磨材(B)に混在する大型摩耗研磨材(B2)を事前排除するための回転式螺旋ブラシ部(30)が選別用振動プレート(21)上に配置され、
該回転式螺旋ブラシ部(30)は、前記混在物が小型研磨材落下孔(212)より搬送面の上流側であって、かつ選別用振動プレート(21)面に対し並行、かつ搬送面上の研磨加工対象物(A)および小型摩耗研磨材(B1)に当接しない高さではあるが、大型摩耗研磨材(B2)には当接する高さに配置され、
更に該回転式螺旋ブラシ部(30)は、選別用振動プレート(21)横の大型研磨材排出シュート(34)に向けて傾斜配置され、
更にまた該回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)は、前記大型摩耗研磨材(B2)のみを押し戻す方向に回転し、かつ該回転動作により大型摩耗研磨材(B2)のみを大型研磨材排出シュート(34)方向へ導くように植毛されていることで、小型研磨材落下孔(212)から落下選別できないサイズの大型摩耗研磨材(B2)のみを、前記大型研磨材排出シュート(34)へ選別搬送する様に構成したことを特徴とするバレル研磨後に用いる自動選別装置(1)。
【請求項2】
前記回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)は、ブラシ高さ調整機構(33)により、事前排除すべき大型摩耗研磨材(B2)の前記選別用振動プレート(21)からの高さに応じて上下摺動調節が可能であるように構成されたことを特徴とする請求項1記載のバレル研磨後に用いる自動選別装置(1)。
【請求項3】
前記回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)は、ブラシ傾斜調整機構(35)により、事前排除すべき大型摩耗研磨材(B2)が排出される大型研磨材排出シュート(34)に向けての傾斜度(角度X)を微調整可能であるように構成されたことを特徴とする請求項1記載のバレル研磨後に用いる自動選別装置(1)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバレル研磨後の研磨加工対象物と摩耗研磨材を選別する装置に関する。バレル加工とは、研磨加工対象物と研磨材との相互摩擦(イモ洗い)による研磨法である。洗濯機のような機械の中で加工が行われるため、複数の製品を同時に加工できるほか、他の研磨方法では研磨加工が難しい複雑な形状でも研磨可能という利点がある。バリ取りやR取り、平滑仕上げ、光沢仕上げといった、研磨材の材質を変える事で製品の仕上げ工程で使われることが多い研磨方法である。洗濯機の様なバレル研磨加工機内には研磨加工対象物(A)と摩耗研磨材(B)が混在しており、それ等を研磨加工後に選別することは困難であり、本願発明はその作業を 自動で行う自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バレル研磨は前述したように研磨加工対象物と研磨材との相互摩擦(イモ洗い)による研磨法であり、摩耗研磨材(B)は研磨時間の経過により摩耗して小さくなる。しかし小さくなるがそれぞれの研磨材によって摩耗の程度は異なり大きさは様々になる。研磨加工対象物より大きな研磨材を使用する場合、バレル研磨後の研磨材の大きさは、研磨加工対象物(A)より大きなものから研磨加工対象物より小さいものまで多種多様となる。このため、バレル研磨後の研磨加工対象物(A)と摩耗研磨材(B)の混在物を振動移動させつつ、研磨加工対象物(A)が落下しない直径を有する小型研磨材落下孔を進行方向の選別用プレート上に数十カ所配して、摩耗研磨材(B)のうちでも比較的小型な小型摩耗研磨材(B1)を落下選別するするか、篩状の遮蔽物を配することで、研磨加工対象物(A)は落下せず直進させ、研磨加工対象物より小さくなった小型摩耗研磨材(B1)のみを選別することは従来技術でも可能であった。しかしながら、研磨後も十分には小さくならず、従って比較的大型の大型摩耗研磨材(B2)は上述の小型研磨材落下孔からは落下選別することは出来ないばかりか、その孔に大型摩耗研磨材(B2)が次第に詰まってしまい、時間と共に殆どの孔を塞ぐことになり、全く選別が出来なくなるという欠点があった。
【0003】
また更に研磨加工対象物(A)が磁性体の場合は、マグネットを利用して製品と摩耗研磨材の進行方向を変える事で選別することが出来るが、マグネットの磁気を利用しての選別は、製品が磁化されるので、バレル研磨した製品が磁気を嫌う組立製品の中に組まれる物である場合は、この選別のメカは使えないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-76021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、バレル加工された研磨加工対象物(A)と摩耗研磨材(B)の混合物から、小型摩耗研磨材(B1)を安定して選別することが出来るバレル研磨後に用いる自動選別装置が無い点である。すなわち大型摩耗研磨材(B2)によって本来は小型摩耗研磨材(B1)を落下選別させる小型研磨材落下孔が塞がってしまい、結果として小型摩耗研磨材(B1)を落下選別することが出来ない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決する手段として本願発明では、摩耗研磨材(B)の混合物が上記複数個の小型研磨材落下孔まで振動搬送される前に、前記摩耗研磨材(B)に混在する大型摩耗研磨材(B2)を事前排除するための回転式螺旋ブラシを所定の高さに設け、この回転式螺旋ブラシが回転することで、大型摩耗研磨材(B2)を事前排除し、一方では小型摩耗研磨材(B1)と研磨加工対象物(A)のみの通過を許容し、その後は従来例に係る選別処理で、この通過した小型摩耗研磨材(B1)と研磨加工対象物(A)の混在物から小型摩耗研磨材(B1)を小型研磨材落下孔から落下選別する。この構成により大型摩耗研磨材(B2)が小型研磨材落下孔を塞ぐことを事前に排除し、結果的には大型摩耗研磨材(B2)、小型摩耗研磨材(B1)、そして研磨加工対象物(A)の3種類に選別するバレル研磨後に用いる自動選別装置を開示する。なおここで指称する大型摩耗研磨材(B2)の「大型」とは、選別用の小型研磨材落下孔から落下せずに小型研磨材落下孔を塞いでしまうサイズであり、小型摩耗研磨材(B1)の「小型」とは、選別用の小型研磨材落下孔から落下するサイズを指称する。
【発明の効果】
【0007】
本願発明のバレル研磨後の自動選別装置を使う事で、従来困難であった、大型摩耗研磨材(B2)、小型摩耗研磨材(B1)、そして研磨加工対象物(A)の3種類の自動選別をスムーズに行うことが可能となり、従来のような手作業による選別作業を無くすことで格段のコストダウンと時間短縮が可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(1)は本願発明に係る自動選別装置の平面概念図である。 (2)は自動選別装置の側面概念図である。 (3)は本願発明の特徴である選別用振動プレート(21)と回転式螺旋ブラシ(30)の要部を示す側面概念図である。
図2】(1)は本願発明の特徴である選別用振動プレート(21)と回転式螺旋ブラシ(30)の要部を示す平面概念図である。 (2)は選別用振動プレート(21)に対する回転式螺旋ブラシ(30)の高さを示す概念図である。 (3)は研磨加工対象物(A)と摩耗研磨材(B)の混在物の搬送方向から視た選別用振動プレート(21)に対する回転式螺旋ブラシ(30)の高さを示す概念図である。 (4)は回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)を上下方向に微調整するブラシ高さ調整機構(33)を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1の(1)は本願発明に係る自動選別装置1の平面概念図であり、(2)は自動選別装置1の側面概念図である(ただし回転式螺旋ブラシ部(30)はここでは割愛)。この中で回転式螺旋ブラシ部(30)以外の構成は、従来例に係る一般的な振動式選別機と差異はない。簡略にその一般的な振動式選別機の構成を説明すると、まず混在物を収納したホッパー部(10)のホッパー内には、研磨処理前の研磨加工対象物(A)と摩耗研磨材(B)が収納されており、これ等は振動動作や搬送ベルトにより順次、直線フィーダー部(20)の元位置側211(図1(1)では左端)へ送られる。なお摩耗研磨材(B)は、例えば一回の研磨作業が8時間程連続して行われ、大小の略球体へ摩耗している。長時間のバレル研磨加工を終えると、通常研磨材の形状が小さくなり、選別用振動プレート(21)に配された選別用プレート小型研磨材落下孔(212)から排除されるが、均一に形状が小さくなるわけではなくバラバラの大きさになるのが通常である。摩耗研磨材(B)は大別して、直線フィーダー部(20)の選別用振動プレート(21)上に複数個設けた小型研磨材落下孔(212)から落下選別できるサイズである小型摩耗研磨材(B1)と、落下選別できないサイズである大型摩耗研磨材(B2)、の2種類が混在している。本発明はこの大型摩耗研磨材(B2)が小型研磨材落下孔(212)まで振動搬送されて小型研磨材落下孔(212)を塞がない様に、事前排除する機能を有することを特徴とする。
【0010】
すなわち選別用振動プレート(21)上の研磨加工対象物(A)、小型摩耗研磨材(B1)、大型摩耗研磨材(B2)は振動前進し、大型摩耗研磨材(B2)だけが、回転式螺旋ブラシ部(30)と接触し、ブラシ(31)の回転動作により大型研磨材排出シュート(34)へ選別搬送される。一方研磨加工対象物(A)、小型摩耗研磨材(B1)は、選別用振動プレート(21)からの高さが大型研磨材排出シュート(34)より低いため回転式螺旋ブラシ部(30)には接触せず通過搬送される。そして通過搬送された研磨加工対象物(A)と小型摩耗研磨材(B1)は、従来例に係る振動式選別機と同様に、小型摩耗研磨材(B1)は小型研磨材落下孔(212)から落下選別され小型摩耗研磨材排出シュート(214)へ排出され、研磨加工対象物(A)は小型研磨材落下孔(212)上を通過して研磨加工対象物排出シュート(215)へ排出される。すなわち回転式螺旋ブラシ部(30)以外は、従来技術に係る振動式選別機と同一動作である。なお本願発明の選別原理として、回転式螺旋ブラシ部(30)に接触する/接触しない、という選別用振動プレート(21)からの高さ検知により、所定幅を有する小型研磨材落下孔(212)から落下する/落下しないを事前検知する構成である。これは使用される摩耗研磨材(B)がもともと高さと幅が略同一のサイコロ状の形状を有するため、摩耗した小型摩耗研磨材(B1)と大型摩耗研磨材(B2)は、両者とも同様に高さと幅は略同一であるため、高さを検知すれば、それは幅を検知することに他ならないため、検知方法としては技術的矛盾は無いことになる。
【0011】
選別用振動プレート(21)は特に材質は問わないが、直進フィーダー等何らかの方法で混在物をホッパー部(10)から元位置側(211)で受け取った後、前進端側(213)の方向に移動させることができ、さらに研磨材落下用孔(212)が設置できることが可能であればよい。研磨材落下用孔(212)は、研磨によって研磨加工対象物(A)より小さくなった小型摩耗研磨材(B1)は落下するが、研磨加工対象物(A)は落下しない程度の大きさであることが求められる。形状は目的を達成する形状であれば問題なく、複数の形状を有していてもよい。さらに孔の数も特段限定はなく研磨加工対象物(A)や研磨材の量や大きさ等によって選択すればよいが、通常数十個設置する。また網目状でも目的を達するものであれば問題ない。
【0012】
図1の(3)は本願発明の特徴である選別用振動プレート(21)と回転式螺旋ブラシ(30)の要部を示す側面概念図である。直進フィーダー部(20)を構成する選別用振動プレート(21)上で研磨加工対象物(A)、小型摩耗研磨材(B1)、大型摩耗研磨材(B2)の混在物が、図中左側から右側へ振動搬送される。図中の回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)は、大型研磨材排出シュート(34)に向けて配置されているためブラシ軸が横長形状に描かれているが、実際はその軸断面は当然円形である。回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)を配置する位置は、選別用振動プレート(21)上の小型研磨材落下孔(212)より上流側(元位置側(211))に、選別用振動プレート(21)に対し並列、かつ大型研磨材排出シュート(34)に向けて傾斜配置されている。
【0013】
上述の様に回転式螺旋ブラシ部(30)は搬送方向に傾斜配置されるが、その傾斜度の調整は混在物の大きさや移動速度によっても変化し、またブラシの形状、回転数によって変化するので実際に稼働して大型摩耗研磨材(B2)のみが大型研磨材排出シュート(34)に排出され、研磨加工対象物(A)は排出されない傾斜度(図2(1)に示す角度X)を図2(1)に示すようにブラシ傾斜調整機構(35)により微調整して選択する必要がある。このブラシ傾斜調整機構(35)とは、回転式螺旋ブラシ部(30)を例えば垂直方向のボルトで軸支し、任意の角度Xにナットで固定設定する等の従来構成でよい。また回転式螺旋ブラシ部(30)の高さは、搬送面上の所定の高さに配置し、大型研磨材排出シュート(34)に大型摩耗研磨材(B2)のみが排出され、研磨加工対象物(A)と小型摩耗研磨材(B1)は通過する高さにブラシ高さ調整機構(33)で微調整する構成となっている。
【0014】
さらにブラシ(31)はスピードコントロールモーター(32)側から見て右ネジ形状になるように設置し、混在物を押し戻す方向に回転させることが必要である。またブラシの材質や太さは、腰のある硬さと柔軟性が必要である。更に螺旋のピッチも、ブラシの間をすり抜けて誤選別が起きない程度に小さい必要がある。このように回転式螺旋ブラシ部(30)は、搬送方向に傾斜配置されるがその傾斜度(角度X)、ブラシの形状、回転数、高さ、螺旋のピッチ等々は大型摩耗研磨材(B2)が大型研磨材排出シュート(34)へ排出され、研磨加工物(A)や小型摩耗研磨材(B1)は排出されないように構成される。
【0015】
次に図2を参照にして回転式螺旋ブラシ部(30)について更に具体的に説明をする。図2(1)は本願発明の特徴である選別用振動プレート(21)と回転式螺旋ブラシ部(30)の要部を示す平面概念図であり、上述の様に回転式螺旋ブラシ部(30)は前記混在物が研磨材落下用孔(212)より搬送面の上流側(図中左側)に、選別用振動プレート(21)面に対し並行して設置されている。
【0016】
さらに図2(2)に図示するように回転式螺旋ブラシ部(30)は、搬送面上の研磨加工対象物(A)および小型摩耗研磨材(B1)に当接しない高さではあるが、大型摩耗研磨材(B2)には当接する高さに配置されている。そして図2(1)に図示するように該回転式螺旋ブラシ部(30)は、選別用振動プレート(21)横の大型研磨材排出シュート(34)に向けて搬送方向に傾斜配置されている。この傾斜角度(角度X)は図示しないブラシ傾斜調整機構(35)により微調整され、振動搬送されて来る大型摩耗研磨材(B2)のみが当接する回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)によって大型研磨材排出シュート(34)に向けて大型摩耗研磨材(B2)が効率よく排出されるように角度調整が行なわれる。
【0017】
更にまた図2(3)に示すように該回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)は、前記大型摩耗研磨材(B2)のみを押し戻す方向に回転し、かつ該回転動作により大型摩耗研磨材(B2)のみを大型研磨材排出シュート(34)方向へ導くようにピッチPで植毛されており、これにより小型研磨材落下孔(212)から落下選別できないサイズの大型摩耗研磨材(B2)のみを、前記大型研磨材排出シュート(34)へ選別搬送する様に構成されている。
【0018】
また更に図2(4)に示すように回転式螺旋ブラシ部(30)は、ブラシ高さ調整機構(33)により選別用振動プレート(21)に対する回転式螺旋ブラシ部(30)の高さの微調整が可能となるように構成されている。この選別用振動プレート(21)に対するブラシ(31)の高さを上下方向に摺動調整が可能となるように、例えば長形孔と係合固定する小径ボルトで構成してもよい。
【0019】
上記自動選別装置1の特徴的な動作説明を、具体的に箇条書きすれば以下のようになる。
1.選別用プレート小型研磨材落下孔(212)に落下しない大型摩耗研磨材(B2)のみを、ブラシ(31)を回転させて大型研磨材排出シュート(34)から排除する。
2.ブラシ回転は混合物を押し戻す方向の回転である。
3.ブラシ配列を螺旋状にし、混在物が選別用振動プレート(21)を前進する方向に対して例えば右側に大型研磨材排出シュート(34)を配し、回転式螺旋ブラシ部(30)のブラシ(31)の回転動作により、選別用振動プレート(21)上を横滑りさせて大型研磨材排出シュート(34)に誘導する。
4.大型摩耗研磨材(B2)を押し戻すためにブラシを使う理由は、研磨材は千差万別の形状になり、押し戻すための材質が針金の様な硬い材質を使うと、回転動作の中で研磨材の位置によって噛み込む事があるため、腰があり、研磨材との接触ですぐに減ることのない材質のフレキシブルなブラシが最適である。
5.研磨加工対象物と大小の研磨材を上手く選別するためには、ブラシ(31)と選別用振動プレート(21)との間隔をコントロールすることが可能な、ブラシ高さ調整機構(33)が必要である。
6.螺旋状のブラシ(31)にはピッチPがあり、そのピッチPが広いとピッチ間をブラシ回転で選別されるはずの大型摩耗研磨材(B2)がすり抜ける事が生じるので、できる限りピッチの小さいブラシが欠かせない。
7.大型摩耗研磨材(B2)を大型研磨材排出シュート(34)に、より確実に誘導するためブラシ傾斜調整機構(35)を配置する。
8.大型摩耗研磨材(B2)をブラシの回転で押し戻す強さは、直進フィーダーの推力に応じて調整が必要なので、スピードコントロールモーター(32)等で選別機能を最大限に生かすことを可能にした回転式螺旋ブラシ部(30)とするのがよい。
9.仮に研磨材(B)が平らで低い形状になるとすると、ブラシ部をすり抜けて選別されずに進む事になるが、イモ洗いの様なバレル研磨加工では、平らで低い形状に成型される事はあり得ない。すなわちバレル研磨後の混在物は本発明の選別装置は3つのシュートに選別され、3つのシュートは研磨加工対象物排出シュート(215)、研磨材用に小型研磨材排出シュート(214)と大型研磨材排出シュート(34)があり、研磨加工対象物が大型摩耗研磨材(B2)と小型摩耗研磨材(B1)に分別される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本構成により、バレル研磨加工後の小型摩耗研磨材、大型摩耗研磨材(B1、B2)と研磨加工対象物(A)の選別に、回転式螺旋ブラシを使う事でこれまでに出来なかった選別を可能にした。なお出願人は可能な範囲で従来例の検索を行い、本願発明と同一の技術的思想に基づく従来例は検索されなかった。
【符号の説明】
【0021】
1 自動選別装置
10 ホッパー部
20 直進フィーダー部
21 選別用振動プレート
211 元位置側
212 小型研磨材落下孔
213 前進端側
214 小型摩耗研磨材排出シュート
215 研磨加工対象物排出シュート
30 回転式螺旋ブラシ部
31 ブラシ
32 スピードコントロールモーター
33 ブラシ高さ調整機構
34 大型研磨材排出シュート
35 ブラシ傾斜調整機構
A 研磨加工対象物
B 摩耗研磨材
B1 小型摩耗研磨材
B2 大型摩耗研磨材


図1
図2