IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧 ▶ 関包スチール株式会社の特許一覧 ▶ 宇都宮工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-天井構造 図1
  • 特開-天井構造 図2
  • 特開-天井構造 図3
  • 特開-天井構造 図4
  • 特開-天井構造 図5
  • 特開-天井構造 図6
  • 特開-天井構造 図7
  • 特開-天井構造 図8
  • 特開-天井構造 図9
  • 特開-天井構造 図10
  • 特開-天井構造 図11
  • 特開-天井構造 図12
  • 特開-天井構造 図13
  • 特開-天井構造 図14
  • 特開-天井構造 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148482
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】天井構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E04B9/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056529
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】397028360
【氏名又は名称】関包スチール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】武佐 サライデン
(72)【発明者】
【氏名】中川 学
(72)【発明者】
【氏名】森 貴久
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】細川 俊治
(72)【発明者】
【氏名】北村 幸則
(72)【発明者】
【氏名】本田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 克典
(57)【要約】
【課題】天井材が脱落するのを抑制することができる天井構造を提供する。
【解決手段】建物Hの天井面材50を支持する野縁40と、野縁40を支持する野縁受け30と、建物Hの躯体Aと野縁受け30との間に架設されると共に、躯体A及び野縁受け30に固定されるブレース60と、野縁受け30及びブレース60と固定される第一補強金具70(補強部材)と、第一補強金具70(補強部材)に固定され、第一補強金具70(補強部材)を介して野縁受け30(野縁受け部材)を支持する吊りボルト10と、を具備する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の天井材を支持する野縁と、
前記野縁を支持する野縁受け部材と、
前記建物の躯体と前記野縁受け部材との間に架設されると共に、前記躯体及び前記野縁受け部材に固定されるブレースと、
前記野縁受け部材及び前記ブレースと固定される補強部材と、
前記補強部材に固定され、前記補強部材を介して前記野縁受け部材を支持する吊りボルトと、
を具備する天井構造。
【請求項2】
前記吊りボルトを挿通するパイプ部材をさらに具備する、
請求項1に記載の天井構造。
【請求項3】
前記吊りボルトは、
前記パイプ部材を介して前記補強部材に固定される、
請求項2に記載の天井構造。
【請求項4】
前記補強部材は、
前記吊りボルトを固定するための第一の固定部を具備し、
前記第一の固定部は、
前記補強部材において前記野縁受け部材及び前記ブレースを固定するための第二の固定部と一体的に形成される、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の天井構造。
【請求項5】
前記補強部材と前記吊りボルトとを固定するための固定部材をさらに具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の天井構造。
【請求項6】
前記吊りボルトは、
前記補強部材に加えて、当該吊りボルトの下端部に固定されたハンガーを介して前記野縁受け部材を支持し、
前記固定部材は、
前記ハンガーの上方に設けられる、
請求項5に記載の天井構造。
【請求項7】
前記ブレースは、前記補強部材に対して1本設けられ、
1本の前記ブレース及び前記吊りボルトは、
前記野縁受け部材の長手方向に沿った方向に並設され、上方へ行くに従って互いに前記長手方向に離間している、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレースを具備する天井構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレースを具備する天井構造の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、天井材を支持する野縁と、吊りボルトの下端部でハンガーを介して前記野縁を支持する野縁受けと、ブレース下部取付具を介して前記野縁及び前記野縁受けに固定されるブレースと、が記載されている。ブレースは、野縁と野縁受けとが交差した領域に、前記ブレース下部取付具を介して取り付けられる。
【0004】
このような構成により、野縁受け及び野縁とブレースとが強固に固定されるため、地震発生時における揺動応力(水平応力)を、野縁受け及び野縁からブレースへ直接的に伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-7326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、地震発生時にはブレース下部取付具の周囲(ブレースの下端部の周囲)に応力が集中し易いため、この周囲に位置する野縁受け及び野縁の部分が変形や損傷(以下では単に「変形」と称する)する可能性がある。またハンガーは野縁受けに係止されている(直接的に固定されていない)ため、地震発生時における揺動応力によりハンガーが変形すると、ハンガーから野縁受けが脱落する可能性がある。このように野縁受けや野縁、ハンガーが変形した場合には、天井材が脱落する可能性がある。
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、天井材が脱落するのを抑制することができる天井構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、建物の天井材を支持する野縁と、前記野縁を支持する野縁受け部材と、前記建物の躯体と前記野縁受け部材との間に架設されると共に、前記躯体及び前記野縁受け部材に固定されるブレースと、前記野縁受け部材及び前記ブレースと固定される補強部材と、前記補強部材に固定され、前記補強部材を介して前記野縁受け部材を支持する吊りボルトと、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記吊りボルトを挿通するパイプ部材をさらに具備するものである。
【0011】
請求項3においては、前記吊りボルトは、前記パイプ部材を介して前記補強部材に固定されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記補強部材は、前記吊りボルトを固定するための第一の固定部を具備し、前記第一の固定部は、前記補強部材において前記野縁受け部材及び前記ブレースを固定するための第二の固定部と一体的に形成されるものである。
【0013】
請求項5においては、前記補強部材と前記吊りボルトとを固定するための固定部材をさらに具備するものである。
【0014】
請求項6においては、前記吊りボルトは、前記補強部材に加えて、当該吊りボルトの下端部に固定されたハンガーを介して前記野縁受け部材を支持し、前記固定部材は、前記ハンガーの上方に設けられるものである。
【0015】
請求項7においては、前記ブレースは、前記補強部材に対して1本設けられ、1本の前記ブレース及び前記吊りボルトは、前記野縁受け部材の長手方向に沿った方向に並設され、上方へ行くに従って互いに前記長手方向に離間しているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明においては、天井材が脱落するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態に係る天井構造を示した概略斜視図。
図2】(a)第一補強金具の斜視図。(b)同じく、正面図。(c)同じく、右側面図。(d)同じく、A-A矢視断面図。
図3】(a)第二補強金具の斜視図。(b)同じく、背面図。(c)同じく、右側面図。
図4】天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図5】同じく、正面断面図。
図6図5に示すB-B矢視断面図。
図7】本発明の第二実施形態に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図8】本発明の第二実施形態の別例に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図9】本発明の第三実施形態に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図10】本発明の第三実施形態の第一の別例に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図11】本発明の第三実施形態の第二の別例に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図12】(a)本発明の第四実施形態に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。(b)同じく、平面図。
図13】本発明の第四実施形態の別例に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図14】本発明の第五実施形態に係る天井構造の取り付け態様を示した斜視図。
図15】(a)本発明の第六実施形態に係る天井構造の取り付け態様のうち、第一補強金具の上側固定片を示した斜視図。(b)同じく、分解斜視図。(c)同じく、側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明においては、図中に示した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0020】
以下では、図1を用いて、第一実施形態に係る天井構造1について説明する。
【0021】
天井構造1は、建物Hにおける天井の構造である。なお、図1においては、便宜上、建物Hにおける天井の構造全体のうち一部が示されている。以下では、図1に示された天井構造1、すなわち天井の構造全体のうち一部について説明するものとする。天井構造1は、吊りボルト10、ハンガー20、野縁受け30、野縁40、天井面材50、ブレース60、第一補強金具70、第二補強金具80及び補強パイプ90を具備する。
【0022】
吊りボルト10は、躯体Aに設けられたインサート(不図示)に取り付けられている。図1においては、前後方向に並列するように、3本の吊りボルト10が示されている。なお、3本の吊りボルト10のうち前後中央に配置された吊りボルト10は、後述するように第一補強金具70に固定される。また、吊りボルト10は、直接的に、又は、第一補強金具70を介して間接的に野縁40を支持する。
【0023】
ハンガー20は、後述する野縁受け30を支持するものである。ハンガー20は、吊りボルト10の下端部に固定される。本実施形態において、ハンガー20は、3本の吊りボルト10のうち、前側及び後側に配置された2本の吊りボルト10に設けられる。
【0024】
野縁受け30は、後述する野縁40を支持するものである。野縁受け30は、長尺状に形成され、吊りボルト10等を介して建物Hの躯体Aから吊設される。
【0025】
野縁40は、後述する天井面材50を支持するのものである。野縁40は、長尺状に形成され、野縁受け30に対して平面視で直交するように配置される。野縁40は、クリップ部材41を用いて野縁受け30に支持される。
【0026】
天井面材50は、天井面を構成するものである。天井面材50は、例えば板状の石膏ボードにより形成される。天井面材50は、野縁40の下側面にビスSを用いて固定される(図6参照)。
【0027】
ブレース60は、建物Hの躯体Aと野縁受け30との間に架設されるものである。ブレース60は、略C字状の断面形状を有し、長手方向を鉛直方向に対して傾斜した姿勢で配置される。図1においては、後述する第一補強金具70に対して1本のブレース60が、右上方へ向けて延びるような姿勢で配置される。ブレース60の上端部は、所定の固定手段により建物Hの躯体Aに固定される。ブレース60の下端部は、ビスBにより野縁受け30に固定される(図4参照)。
【0028】
以下では、図1及び図2を用いて、第一補強金具70の構成について詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、第一補強金具70は、第二補強金具80及び補強パイプ90と共に、天井構造1を補強するものである。第一補強金具70は、金属製の一枚の平板状の部材が適宜屈曲して形成される。第一補強金具70は、本体部71、上端延出部72、下端延出部73、爪部74、上側固定片78及び下側固定片79を具備する。
【0030】
本体部71は、第一補強金具70の主たる構造体である。本体部71は、平板状に形成される。本体部71は、長手方向を左右方向に向けて配置される。本体部71は、ブレース60と固定される。
【0031】
上端延出部72は、本体部71の上端部から後方に延出された部分である。上端延出部72は、上側固定片78を挟むように、本体部71の左右側にそれぞれ形成される。
【0032】
下端延出部73は、本体部71の下端部から後方に延出された部分である。下端延出部73は、下側固定片79を挟むように、本体部71の左右側にそれぞれ形成される。
【0033】
爪部74は、本体部71の左右の下端部から概ね下方に延出された部分である。左右の爪部74は、左右方向に対称形状に形成される。爪部74は、第二補強金具80及び野縁受け30と固定される。爪部74は、第一部分75及び第二部分76を具備する。
【0034】
第一部分75は、第二部分76と本体部71との間の部分である。第一部分75は、正面視で略四角形の平板状に形成される。第一部分75は、下方へ行くに従って前後方向位置において本体部71から離間するような傾斜状に形成される。
【0035】
第二部分76は、第一部分75から下方へ延出される部分である。第二部分76は、正面視で略四角形の平板状に形成される。第二部分76は、板面を前後方向へ向けて設けられる。第二部分76の後側面は、前後方向位置において本体部71の前側面と略同一となるように形成される。第二部分76には、前後方向に貫通するビス孔77が形成される。
【0036】
上側固定片78は、吊りボルト10が固定される部分である。上側固定片78は、本体部71の上端部の左右中央から前方へ延出される。上側固定片78は、平面視で略四角形の平板状に形成される。上側固定片78には、上側貫通孔78aが形成される。上側貫通孔78aの内径は、吊りボルト10の外径と略同一に形成される。
【0037】
下側固定片79は、上側固定片78と共に、吊りボルト10が固定される部分である。上側固定片78は、上側固定片78の下方に配置され、本体部71の下端部の左右中央から前方へ延出される。下側固定片79は、上側固定片78と略同一の形状を有する。下側固定片79には、下側貫通孔79aが形成される。下側貫通孔79aの内径は、吊りボルト10の外径と略同一に形成される。
【0038】
このように、第一補強金具70においては、上側固定片78及び下側固定片79が、本体部71及び爪部74と一体的に形成される。すなわち、第一補強金具70においては、吊りボルト10に固定される部分(上側固定片78及び下側固定片79)が、ブレース60に固定される部分と、第二補強金具80及び野縁受け30に固定される部分と、一体的に形成される。
【0039】
以下では、図1及び図3を用いて、第二補強金具80の構成について詳細に説明する。
【0040】
図1に示すように、第二補強金具80は、第一補強金具70及び補強パイプ90と共に、天井構造1を補強するものである。第二補強金具80は、金属製の一枚の平板状の部材が適宜屈曲して形成される。第二補強金具80は、本体部81、上端延出部82及び下端延出部83を具備する。
【0041】
本体部81は、第二補強金具80の主たる構造体である。本体部81は、平板状に形成される。本体部81は、長手方向を左右方向に向けて配置される。本体部81には、前後方向に貫通する複数のビス孔89が形成される。ビス孔89は、左右方向に互いに間隔をあけて複数(本実施形態においては、3つ)形成される。
【0042】
上端延出部82は、本体部81の上端部から後方に延出された部分である。上端延出部82の後端部は、下方に折り曲げられたリブ状に形成される。上端延出部82と本体部81とにより区画される空間の前後方向の長さは、野縁受け30の前後方向の長さと略同一となるように形成される。
【0043】
下端延出部83は、本体部81の下端部から後方に延出された部分である。下端延出部83の後端部は、上方へ折り曲げられたリブ状に形成される。下端延出部83の前後方向の長さは、上端延出部82の前後方向の長さよりも長く形成される。
【0044】
以下では、図1図4から図6を用いて、補強パイプ90の構成について詳細に説明する。
【0045】
補強パイプ90は、第一補強金具70及び第二補強金具80と共に、天井構造1を補強するものである。具体的には、補強パイプ90は、天井構造1を構成する複数の吊りボルト10のうち特定の(本実施形態においては、図1に示す前後中央の)吊りボルト10を補強するものである。なお以下では、特に断りが無ければ、前記前後中央の吊りボルト10を、単に「吊りボルト10」と称する。補強パイプ90は、金属製又は樹脂製の中空の角パイプにより形成される。補強パイプ90の長さは、吊りボルト10の長さよりも短く形成される。補強パイプ90の内径は、吊りボルト10の外径と略同一か、若干大きく形成される。
【0046】
図5に示すように、補強パイプ90には、吊りボルト10が挿通される。本実施形態において、補強パイプ90には、吊りボルト10の下部以外の部分の全てが挿通される。すなわち、補強パイプ90の下方において、吊りボルト10が露出される。補強パイプ90の上端部は、座金91を介して躯体Aに下方から当接される。また補強パイプ90の下端部は、吊りボルト10に挿通されたナットNにより座金91を介して上方へ締め付けられる。こうして、補強パイプ90は、吊りボルト10と固定される。
【0047】
これにより、補強パイプ90は、吊りボルト10の強度(例えば、軸方向への圧縮力に対する強度)を向上させ、当該吊りボルト10の座屈を抑制することができる。
【0048】
なお、補強パイプ90の吊りボルト10との固定方法は、上述の如き方法に限定されない。例えば、補強パイプ90の上端部を、躯体Aに当接させず、吊りボルト10に挿通されたナットにより座金91を介して下方へ締め付けてもよい。これによれば、補強パイプ90の上端部と躯体Aとの間に隙間をあけて、当該補強パイプ90の上方に吊りボルト10を露出させることができる。
【0049】
以下では、図1図4から図6を用いて、天井構造1の取り付け態様について説明する。
【0050】
まず、天井構造1の取り付け態様のうち、第二補強金具80の取り付け態様について説明する。
【0051】
本実施形態においては、上述の如く2つの第二補強金具80が取り付けられる。2つの第二補強金具80の取り付け態様は、左右方向に対称であることを除いて略同様である。そこで以下では、主として右側の第二補強金具80に着目して説明を行うものとし、左側の第二補強金具80については適宜説明を省略する。
【0052】
第二補強金具80は、上端延出部82により野縁受け30に上方から引っ掛けられている。より詳細には、第二補強金具80の本体部81と上端延出部82とにより区画される空間に、野縁受け30の上端部が配置される。また、本体部81の後側面は、野縁受け30の前側面と当接される。また、上端延出部82の下側面は、野縁受け30の上側面と当接される。また、第二補強金具80は、ビス孔89(図3参照)に挿通されたビスSにより野縁受け30と固定される。すなわち、第二補強金具80は、横方向に挿通された固定手段(ビス)により野縁受け30と固定される。
【0053】
また、作業者が第二補強金具80を野縁受け30に固定する作業を行う場合、ビスSにより固定する前であっても、第二補強金具80を野縁受け30に引っ掛けて留めておく(仮止めする)ことができる。こうして、第二補強金具80の取り付け作業を行う場合の施工性を向上させることができる。
【0054】
また、第二補強金具80は、下端延出部83の下側面が、野縁40の下側面と上下方向位置において同一となる。第二補強金具80は、下端延出部83の下側面が天井面材50の上側面と当接した状態で、天井面材50の下方から上方へ挿通された複数のビスSにより天井面材50と固定される。こうして、第二補強金具80は、野縁受け30と天井面材50とにそれぞれ固定される。
【0055】
次に、天井構造1の取り付け態様のうち、第一補強金具70の取り付け態様について説明する。
【0056】
本実施形態においては、第一補強金具70の右側半分と左側半分とにおける取り付け態様は、左右方向に対称であることを除いて略同様である。そこで以下では、第一補強金具70の右側半分について着目して説明を行うものとし、左側半分については適宜説明を省略する。
【0057】
第一補強金具70は、野縁受け30、クリップ部材41及び第二補強金具80の上方に設けられる。第一補強金具70は、野縁受け30、クリップ部材41及び第二補強金具80に対して、直接的又は間接的に上方から接触するように設けられる。具体的には、第一補強金具70は、クリップ部材41及び第二補強金具80に対して、下端延出部73が直接的に載置される。また、第一補強金具70は、野縁受け30に対して、(クリップ部材41及び第二補強金具80を介して)下端延出部73が間接的に載置される。
【0058】
また、第一補強金具70は、爪部74のうち、第二部分76の後側面が、第二補強金具80の本体部81の前側面に前側方から当接される。こうして、第一補強金具70の爪部74は、第二補強金具80の本体部81を介して野縁受け30と当接される。
【0059】
また、第一補強金具70は、ビス孔77(図2参照)に挿通されたビスSにより第二補強金具80及び野縁受け30と固定される。こうして、第一補強金具70と第二補強金具80とが、前後方向に重複するように設けられたビス孔(ビス孔77及びビス孔89)を介して共締めされる。
【0060】
また、第一補強金具70は、ブレース60の後側面と当接される。具体的には、ブレース60は、正面視で第一補強金具70の右側半分を斜めに横断するように、当該第一補強金具70と当接される。
【0061】
また、第一補強金具70は、ビスSによりブレース60と固定される。当該ビスSは、第一補強金具70の上部及び下部それぞれに設けられる。こうして、ブレース60は、ビスBにより直接的に野縁受け30に固定されるだけでなく、第一補強金具70及び第二補強金具80を介して間接的に野縁受け30に固定される。すなわち、ブレース60は、野縁受け30に支持された野縁40を介して天井面材50を支持するだけでなく、第一補強金具70及び第二補強金具80(より詳細には、下端延出部83)を介して天井面材50を支持することができる。換言すれば、ブレース60は、当該ブレース60の下端部に比較的近い場所だけでなく、比較的離れた場所において天井面材50を支持することができる。
【0062】
また、第一補強金具70は、上側固定片78及び下側固定片79により吊りボルト10と直接的に固定される。具体的には、吊りボルト10は、上側固定片78の上側貫通孔78a及び下側固定片79の下側貫通孔79a(図2参照)のそれぞれに上方から挿通される。そして、上側固定片78及び下側固定片79は、それぞれ吊りボルト10に挿通されたナットNにより上下から締め付けられる。これにより、上側固定片78及び下側固定片79のそれぞれにおいて、当該固定片と吊りボルト10とが固定される。こうして、吊りボルト10は、第一補強金具70及び第二補強金具80を介して天井面材50と固定される。
【0063】
以下では、上述の如き天井構造1から得られる作用効果について説明する。
【0064】
すなわち、天井構造1においては、吊りボルト10に補強パイプ90が固定されると共に、当該吊りボルト10が第一補強金具と固定される。これにより、吊りボルト10は、ブレース60と共に、側面視でV字状に設けられる一般的な一対(2本)のブレースとしての役割を果たすことができる。また天井構造1においては、第一補強金具70及び第二補強金具80が設けられる。これらの構成によって、天井構造1においては、天井面材50が脱落するのを効果的に抑制することができる。
【0065】
具体的には、例えば地震発生時において天井面材50が揺れた場合、当該天井面材50に生じる水平力が、第一補強金具70及び第二補強金具80によって効果的に野縁受け30に伝達され、ひいては吊りボルト10(補強パイプ90)及びブレース60に効果的に伝達することができる。こうして、吊りボルト10及びブレース60は、天井構造1を構成する各種の部材を一体的に変位させ、例えば建物Hの壁部等に衝突するのを抑制し、当該衝突により天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0066】
また、吊りボルト10及びブレース60と天井面材50とが、野縁受け30及び野縁40を介して固定されるだけでなく、野縁受け30及び第二補強金具80(より詳細には、下端延出部83)を介して固定される。こうして、吊りボルト10及びブレース60と天井面材50との間において応力が集中するのを抑制することができる。こうして、応力の集中による各種の部材(例えば、野縁受け30)が変形するのを抑制することができ、当該変形により天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0067】
また、吊りボルト10は、第一補強金具70の上側固定片78及び下側固定片79に対して、ナットNを用いて直接的に固定されている。こうして、例えば地震発生時に天井面材50が揺れ、上側固定片78及び下側固定片79が変形した場合であっても、吊りボルト10から上側固定片78及び下側固定片79が外れることを防止することができる。これにより、地震発生時に天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0068】
以下では、図7及び図8を用いて、第二実施形態に係る天井構造1について説明する。なお便宜上、図7及び図8においては、吊りボルト10を二点鎖線で示している。
【0069】
第二実施形態に係る天井構造1においては、第一補強金具70と吊りボルト10との固定方法が第一実施形態と異なっている。具体的には、第二実施形態に係る天井構造1においては、図7に示すように、第一補強金具70に上側固定片78及び下側固定片79が設けられておらず、所定の金物(第一取付金物110)を介して第一補強金具70と吊りボルト10とが固定される。
【0070】
第一取付金物110は、金属製の部材である。第一取付金物110は、それぞれ平板状の部分である補強金具側固定部111及び吊りボルト側固定部112により略L字状に形成される。補強金具側固定部111は、第一補強金具70に当接され、ビスSにより固定される。吊りボルト側固定部112は、補強金具側固定部111から前方に突出し、上下に貫通する孔(不図示)が形成される。第一取付金物110は、複数(2つ)設けられ、第一補強金具70の上端部及び下端部にそれぞれ配置される。
【0071】
こうして、吊りボルト10は、2つの第一取付金物110を介して第一補強金具70に固定される。具体的には、吊りボルト10は、2つの第一取付金物110の吊りボルト側固定部112の孔のそれぞれに上方から挿通される。そして、2つの吊りボルト側固定部112は、それぞれ吊りボルト10に挿通されたナットNにより上下から締め付けられる。こうして、2つの第一取付金物110と吊りボルト10とが固定される。
【0072】
このように、吊りボルト10は、(ビスSにより第一補強金具70と固定された)2つの第一取付金物110にナットNにより固定されている。すなわち、吊りボルト10は、第一取付金物110及び第一補強金具70と所定の固定手段を用いて固定されている。これにより、第二実施形態に係る天井構造1においても、第一実施形態に係る天井構造1と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
なお、第二実施形態において、第一取付金物110の構成は、上述の如きものに限定されない。例えば、図8に示す第二実施形態の別例に係る天井構造1において、第一取付金物110は、吊りボルト側固定部112と共に、2つの補強金具側固定部111同士を接続したような部材(接続部113)を有する。接続部113は、第一補強金具70に当接され、ビスSにより固定される。これにより、第二実施形態の別例に係る天井構造1においては、所定の金物の数を1つとし、部品点数が削減するため、施工性の向上を図ることができる。さらには、第一取付金物110の接続部113が第一補強金具70と当接することにより、第一補強金具70の面外剛性を高めることができる。
【0074】
以下では、図9及び図10を用いて、第三実施形態に係る天井構造1について説明する。なお便宜上、図9及び図10においては、補強パイプ90を二点鎖線で示している。
【0075】
第三実施形態に係る天井構造1においては、第一補強金具70と吊りボルト10との固定方法が、第一及び第二実施形態と異なっている。具体的には、第三実施形態に係る天井構造1においては、図9に示すように、第二実施形態と同様に第一補強金具70に上側固定片78及び下側固定片79が設けられておらず、所定の金物(第二取付金物210)を介して第一補強金具70と吊りボルト10とが固定される。また、第三実施形態に係る天井構造1においては、吊りボルト10は、補強パイプ90を介して第一補強金具70に固定される。
【0076】
具体的には、図9に示すように、吊りボルト10の下端部は、図1に示した前側及び後側に配置された2本の吊りボルト10と同様に、ハンガー20を介して野縁受け30に取り付けられる。すなわち、吊りボルト10の下端部は、ハンガー20の上端部の孔(不図示)に上方から挿通されると共に、当該吊りボルト10に挿通されたナットNにより上下から締め付けられる。こうして、吊りボルト10の下端部は、ハンガー20と固定される。
【0077】
補強パイプ90は、第一及び第二実施形態とは異なり、下端部が吊りボルト10の下端部の近傍に位置する。こうして、補強パイプ90の下部は、正面視で第一補強金具70と重複するように形成される。
【0078】
第二取付金物210は、金属製の部材である。第二取付金物210は、それぞれ平板状の部分である補強金具側固定部211及び吊りボルト側固定部212により略L字状に形成される。補強金具側固定部211は、第一補強金具70に当接され、ビスSにより固定される。吊りボルト側固定部212は、補強金具側固定部211から前方に突出し、左右に貫通する孔(不図示)が形成される。第二取付金物210は、複数(2つ)設けられ、第一補強金具70の上端部において、補強パイプ90を挟んだ左右にそれぞれ配置される。
【0079】
こうして、吊りボルト10は、補強パイプ90及び2つの第二取付金物210を介して第一補強金具70に固定される。具体的には、補強パイプ90は、2つの第二取付金物210の吊りボルト側固定部212の間を、上下に亘るように挿通される。そして、補強パイプ90は、2つの吊りボルト側固定部212とそれぞれビスSにより固定される。
【0080】
このように、吊りボルト10は、補強パイプ90及び第二取付金物210と所定の固定手段を用いて固定されている。これにより、第三実施形態に係る天井構造1においても、第一実施形態に係る天井構造1と同様の作用効果を得ることができる。さらに、第三実施形態においては、第一補強金具70が、補強パイプ90を介して吊りボルト10と固定されるため、当該吊りボルト10の変形を効果的に抑制することができる。
【0081】
なお、第三実施形態において、第二取付金物210の構成は、上述の如きものに限定されない。例えば、図10に示す第三実施形態の第一の別例に係る天井構造1において、第二取付金物210は、吊りボルト側固定部212が、2つの補強金具側固定部211の間で当該2つの補強金具側固定部211を互いに接続するように形成される。吊りボルト側固定部212は、予め補強パイプ90の後側面(第一補強金具70側の面)に当接され、ビスSにより当該補強パイプ90と固定される。これにより、第三実施形態の別例に係る天井構造1においては、所定の金物の数を1つとし、部品点数が削減するため、施工性の向上を図ることができる。
【0082】
また、第三実施形態において、補強パイプ90の構成は、上述の如きものに限定されない。例えば、図11に示す第三実施形態の第二の別例に係る天井構造1において、補強パイプ90は、長手(上下)方向に沿った長さが、第一補強金具70の上下方向幅よりも若干長い程度に形成される。すなわち、第一補強金具70の上端部は、第一補強金具70よりも若干上方に位置する。こうして、補強パイプ90は、吊りボルト10の下端部付近(すなわち、概ね第一補強金具70に沿った部分)にのみ設けられる。このような構成においても、補強パイプ90は、吊りボルト10の強度を向上させ、当該吊りボルト10の座屈を抑制することができる。
【0083】
以下では、図12及び図13を用いて、第四実施形態に係る天井構造1について説明する。なお便宜上、図12及び図13においては、説明の便宜上、例えばブレース60等の各部の図示を適宜省略し、また、実際の形状等を簡略化して図示している。
【0084】
第四実施形態に係る天井構造1においては、第一補強金具70と吊りボルト10との固定方法が、第一、第二及び第三実施形態と異なっている。具体的には、第四実施形態に係る天井構造1においては、図12に示すように、補強パイプ90が設けられておらず、所定の金物(第三取付金物310)を介して第一補強金具70と吊りボルト10とが固定される。また、第四実施形態に係る天井構造1は、所定の金物(第三補強金具370)により補強される。
【0085】
第三取付金物310は、金属製の部材である。第三取付金物310は、吊りボルト保持部311及び第一補強金具側固定部312を具備する。吊りボルト保持部311は、吊りボルト10を保持する部分である。吊りボルト保持部311は、吊りボルト10に外嵌可能なように、後側が開口された略円筒状に形成される。吊りボルト保持部311の内径は、吊りボルト10の外径と略同一に形成される。こうして、第三取付金物310は、吊りボルト10が当該第三取付金物310に対して移動困難となるように、当該吊りボルト10を保持する。
【0086】
なお、図12(b)においては、吊りボルト10と第一補強金具70との間に隙間が設けられるが、当該隙間を無くすこともできる。例えば第三取付金物310によって吊りボルト10が第一補強金具70に当接するよう取り付けられると、吊りボルト10が当該第三取付金物310に対して、より移動困難となるように保持することができる。
【0087】
第一補強金具側固定部312は、吊りボルト保持部311の左右の後側端部から左右方向における外側に延びるように形成される。第一補強金具側固定部312は、第一補強金具70に当接され、ビスSにより固定される。第三取付金物310は、複数(2つ)設けられ、第一補強金具70の上部及び下部にそれぞれ配置される。
【0088】
第三補強金具370は、金属製のアングル材である。第三補強金具370は、それぞれ平板状の部分である第一補強金具側固定部371及び立上り部372により略L字状に形成される。第一補強金具側固定部371は、第一補強金具70及び野縁受け30に当接され、図示せぬビスにより固定される。立上り部372は、第一補強金具側固定部371の左右方向における吊りボルト10側の端部から、前方に突出するように(立ち上がるように)形成される。
【0089】
第三補強金具370は、長手方向を上下方向へ向けて設けられる。第三補強金具370の上端部は、第一補強金具70の上端部の近傍に設けられる。また、第三補強金具370の下端部は、野縁受け30の下端部の近傍に設けられる。このように、第三補強金具370は、第一補強金具70と野縁受け30との間を上下方向に跨るように設けられる。第三補強金具370は、複数(2つ)設けられ、吊りボルト10を挟んだ左右にそれぞれ配置される。
【0090】
こうして、吊りボルト10は、2つの第三取付金物310を介して第一補強金具70に固定される。また、吊りボルト10の左右には、第三補強金具370が設けられるため、当該吊りボルト10を第一補強金具70に拘束することができる。これにより、第四実施形態に係る天井構造1においても、第一実施形態に係る天井構造1と同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
また、第四実施形態においては、第三補強金具370が上下方向に長さを有し、第一補強金具70と野縁受け30との間を上下方向に跨るように設けられるため、吊りボルト10の変形を効果的に抑制することができる。さらには、第三補強金具370の第一補強金具側固定部371が第一補強金具70と当接することにより、第一補強金具70の面外剛性を高めることができる。
【0092】
なお、第四実施形態において、第三取付金物310の構成は、上述の如きものに限定されない。例えば、図13に示す第四実施形態の別例に係る天井構造1において、第三取付金物310は、上下方向に長さを有するように形成される。具体的には、図13に示す第三取付金物310は、上下方向の長さを第一補強金具70の上下方向の長さに近づけることにより、図12に示すように複数(2つ)ではなく、1つとすることができる。具体的には、図13に示す第三取付金物310の上下方向の長さは、第一補強金具70の上下方向の長さの半分よりも長くなるように形成される。これにより、第三実施形態の別例に係る天井構造1においては、所定の金物の数を1つとし、部品点数が削減するため、施工性の向上を図ることができる。さらには、第三取付金物310の第一補強金具側固定部312が比較的大きい範囲で第一補強金具70と当接することにより、第一補強金具70の面外剛性を高めることができる。
【0093】
以下では、図14を用いて、第五実施形態に係る天井構造1について説明する。
【0094】
第五実施形態に係る天井構造1においては、第一実施形態に係る天井構造1において、野縁受け30にブレース60、第一補強金具70及び第二補強金具80が取り付けられていたのに対し、野縁受け継ぎ部材130に、ブレース60、第一補強金具70及び第二補強金具80が取り付けられる点で、当該第一実施形態と異なる。
【0095】
野縁受け継ぎ部材130は、長尺状の部材である。野縁受け継ぎ部材130は、複数(図14においては、3本)の野縁受け30の上方で、当該野縁受け30の長手方向に対して直交する方向へ長手方向を向けて配置される。野縁受け継ぎ部材130は、3本の野縁受け30に亘るように設けられると共に、これらの野縁受け30と固定される。
【0096】
第一補強金具70及び第二補強金具80は、第一実施形態に係る天井構造1の野縁受け30に対する取り付け態様と同様の態様で取り付けられる。
【0097】
以上のように、天井構造1においては、
建物Hの天井面材50(天井材)を支持する野縁40と、
前記野縁40を支持する野縁受け30(及び/又は野縁受け継ぎ部材130)(野縁受け部材)と、
前記建物Hの躯体Aと前記野縁受け30(野縁受け部材)との間に架設されると共に、前記躯体A及び前記野縁受け30(野縁受け部材)に固定されるブレース60と、
前記野縁受け30(野縁受け部材)及び前記ブレース60と固定される第一補強金具70(補強部材)と、
前記第一補強金具70(補強部材)に固定され、前記第一補強金具70(補強部材)を介して前記野縁受け30(野縁受け部材)を支持する吊りボルト10と、
を具備するものである。
【0098】
このような構成により、天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0099】
また、天井構造1においては、
前記吊りボルト10を挿通する補強パイプ90(パイプ部材)をさらに具備するものである。
【0100】
このような構成により、吊りボルト10の強度(例えば、軸方向への圧縮力に対する強度)を向上させ、当該吊りボルト10の座屈を抑制することができる。
【0101】
また、天井構造1において、
前記吊りボルト10は、
前記補強パイプ90(パイプ部材)を介して前記第一補強金具70(補強部材)に固定される(図9及び図10参照)。
【0102】
このような構成により、第一補強金具70から吊りボルト10に直接的に力が伝達されるのを抑制し、当該吊りボルト10の座屈を効果的に抑制することができる。
【0103】
また、天井構造1において、
前記第一補強金具70(補強部材)は、
前記吊りボルト10を固定するための第一の固定部(上側固定片78及び下側固定片79)を具備し、
前記第一の固定部(上側固定片78及び下側固定片79)は、
前記第一補強金具70(補強部材)において前記野縁受け30(野縁受け部材)及び前記ブレース60を固定するための本体部71及び爪部74(第二の固定部)と一体的に形成される。
【0104】
このような構成により、部品点数を削減することができ、施工性の向上を図ることができる。
【0105】
また、天井構造1においては、
前記第一補強金具70(補強部材)と前記吊りボルト10とを固定するための固定部材(第一取付金物110及び第二取付金物210)をさらに具備する。
【0106】
このような構成により、(例えば上端延出部72及び下端延出部73を有しない)第一補強金具が取り付けられた既存の天井構造に対して、第一取付金物110や第二取付金物210を用いて、吊りボルトを前記第一補強金具を固定することができ、ひいては本実施形態に係る天井構造1を採用することができる。
【0107】
また、天井構造1において、
前記吊りボルト10は、
前記第一補強金具70(補強部材)に加えて、当該吊りボルト10の下端部に固定されたハンガー20を介して前記野縁受け30(野縁受け部材)を支持し、
前記第二取付金物210(固定部材)は、
前記ハンガー20の上方に設けられる(図9及び図10参照)。
【0108】
このような構成により、ハンガー20を用いて、天井面材50が脱落するのを、より効果的に抑制することができる。
【0109】
また、天井構造1において、
前記ブレース60は、1本設けられ、
1本の前記ブレース60及び前記吊りボルト10は、
前記野縁受け30(野縁受け部材)の長手方向に沿った方向に並設され、上方へ行くに従って互いに前記長手方向に離間している。
【0110】
このような構成により、一般的な一対(2本)のブレースではなく、1本のブレース60であっても、天井面材50が脱落するのを抑制することができる。すなわち、例えば一対のブレースを設けると他の設備等と干渉する場合や、軒天等のそもそも狭い場所においては、一対(2本)のブレースを設けることができないことがある。このような場合、単に1本のブレースだけを配置すると、例えば地震発生時において天井面材50が揺れた場合、当該天井面材50に生じる水平力を円滑に伝達することができない。
【0111】
しかしながら、本実施形態に係る天井構造1においては、吊りボルト10が第一補強金具と固定されるため、当該吊りボルト10がブレース60と共に一対(2本)のブレースとしての役割を果たすことができる。これらの構成によって、天井構造1においては、天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0112】
なお、第一補強金具70は、ブレース間補強部材の実施の一形態である。
また、第二補強金具80は、固定補強部材の実施の一形態である。
また、野縁受け30は、野縁受け部材の実施の一形態である。
また、野縁受け継ぎ部材130は、野縁受け部材の実施の一形態である。
また、補強パイプ90は、パイプ部材の実施の一形態である。
【0113】
以上、一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0114】
例えば、本実施形態において、野縁40は、シングル野縁としたが、シングル野縁よりも横幅が大きなダブル野縁であってもよい。
【0115】
また、本実施形態において、ブレース60は第一補強金具70に対して1本としたが、これに限定されない。すなわち、互いに水平方向に対称形状に形成された一対(2本)のブレース60を設けることもできる。これによれば、例えば地震発生時に天井面材50が脱落するのを、より抑制することができる。
【0116】
また、第一補強金具70の構成は、本実施形態に係るものに限定されない。例えば、第一補強金具70の大きさ及び形状は、適宜変更可能である。また、第一補強金具70の爪部74は、第二補強金具80に側方から当接されるものとしたが、上方、又は、上方及び側方から当接されるものとしてもよい。
【0117】
また、第一実施形態に係る第一補強金具70の上側固定片78の構成は、本実施形態に係るものに限定されない。例えば、図15(a)から(c)に示す第六実施形態に係る天井構造1において、第一補強金具70の上側固定片780は、第一部分781及び第二部分782を具備する。
【0118】
第一部分781は、本体部71の上端部の左右中央から前方へ延出される。第一部分781は、平面視で略四角形の平板状に形成される。第一部分には、前方から後方へ切り欠かれた第一切欠き781aが形成される。第一切欠き781aの左右方向幅は、吊りボルト10の外径と略同一に形成される。
【0119】
第二部分782は、第一部分781とは別体として形成された部材である。第二部分782は、略板状部材の上下中途部を屈曲させることにより、それぞれ後方へ延びる上側の部分(第二上側部分783)及び下側の部分(第二下側部分784)が設けられる。第二上側部分783及び第二下側部分784は、互いに上下方向に隙間をあけて設けられる。第二上側部分783及び第二下側部分784は、それぞれ後方から前方へ切り欠かれた第二切欠き782aが形成される。第二切欠き782aの左右方向幅は、吊りボルト10の外径と略同一に形成される。
【0120】
こうして、第一部分781に対して第二部分782が取り付けられ、互いに固定されることにより上側固定片780が形成される。具体的には、図15(b)に示すように、上側固定片780は、第二部分782の第二上側部分783と第二下側部分784との間の隙間に、第一部分781が嵌め込まれ、ビス等の任意の固定手段を用いて互いに固定されることにより形成される。これによれば、図15(c)に示すように、第一部分781の第一切欠き781aの奥側(後側)の部分と第二部分782の第二切欠き782aの奥側(前側)の部分とが、上下方向に重複することにより、上下方向に貫通する貫通孔(上側貫通孔780a)が形成される。こうして、上側貫通孔780aは、第一実施形態に係る上側貫通孔78aと同様に、吊りボルト10が挿通するように構成される。
【0121】
なお図15においては、第一実施形態に係る第一補強金具70の上側固定片78の別実施形態として説明を行ったが、第一実施形態に係る第一補強金具70の下側固定片79も同様の構成(別実施形態)を採用することができる。
【0122】
また、第二補強金具80の構成は、本実施形態に係るものに限定されない。例えば、第二補強金具80の大きさ及び形状は、適宜変更可能である。
【0123】
また、第二補強金具80は、必ずしも設ける必要はない。また、補強パイプ90も、必ずしも設ける必要はない。また、補強パイプ90(パイプ部材)の構成は、本実施形態のように、単一の部材から形成されるのではなく、複数の部材から形成されてもよい。具体的には、補強パイプ90(パイプ部材)は、例えばチャンネルバーのような長手方向視コの字状の2つの長手状の部材を組み合わせて形成されるものでもよい。
【0124】
また、本発明に係る野縁受け部材の一例として、野縁受け30が設けられるものとしたが、これに限定されない。すなわち、野縁受け部材としては、複数の野縁受け30の上方で、当該野縁受け30の長手方向に対して直交する方向へ長手方向を向けて配置された部材(野縁受け継ぎ部材)であってもよい。
【0125】
また、第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態、第四実施形態、第五実施形態及び第六実施形態における構成は、それぞれ任意に組み合わせて使用することができる。例えば、第一実施形態及び第二実施形態に係る吊りボルト10の下端部(吊りボルト10が第一補強金具70と固定された部分の下方)にハンガー20を固定することもできる。また、第二実施形態に係る第一取付金物110を補強パイプ90を介して吊りボルト10に固定することもできる。
【符号の説明】
【0126】
1 天井構造
10 吊りボルト
30 野縁受け
40 野縁
50 天井面材
60 ブレース
70 第一補強金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15