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特開2023-148499油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造
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  • 特開-油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148499
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/02 20060101AFI20231005BHJP
   F04B 39/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04B39/02 W
F04B39/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056561
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 政史
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AB07
3H003AC02
3H003BD12
3H003BE08
3H003BG02
3H003BH05
3H003CD05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オイルフィルタより上方にオイルクーラが配置されている油冷式圧縮機において,潤滑油の交換時やオイルフィルタの交換時にオイルフィルタの一次側の残留潤滑油の溢れを防ぎ,メンテナンス性の向上を可能とすることを目的とする。
【解決手段】圧縮機本体10とレシーバタンク11とオイルクーラ12を備え,前記オイルクーラ12で冷却された潤滑油を,オイルフィルタ20を経由して前記圧縮機本体10に再度供給する潤滑油の循環系が形成され,かつ,前記オイルクーラ12が前記オイルフィルタ20より上方に配置された油冷式圧縮機において,前記オイルフィルタ20の一次側流路の下端から分岐して,前記オイルフィルタの一次側の潤滑油を排出する排油流路50を形成すると共に前記排油流路50を開閉可能とする開閉手段51を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作用空間内に供給された潤滑油と共に圧縮された圧縮気体を吐出する圧縮機本体と,該圧縮機本体が吐出した圧縮気体を導入して気液分離するレシーバタンクと,該レシーバタンクで分離された潤滑油を冷却するオイルクーラを備え,該オイルクーラで冷却された潤滑油を,オイルフィルタを経由して前記圧縮機本体に再度供給する潤滑油の循環系が形成され,かつ,前記オイルクーラが前記オイルフィルタより上方に配置された油冷式圧縮機において,
前記オイルフィルタの一次側流路の下端から分岐して,前記オイルフィルタの一次側の潤滑油を排出する排油流路を形成すると共に,前記排油流路を開閉可能とする開閉手段を備えていることを特徴とする油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造。
【請求項2】
前記オイルクーラの底部を前記レシーバタンクの油面上限位置よりも高所となるよう配置すると共に,前記排油流路を前記レシーバタンクに連通したことを特徴とする請求項1記載の油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造。
【請求項3】
前記排油流路を,機外に通じるようにしたことを特徴とする請求項1記載の油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造。
【請求項4】
前記オイルフィルタをフィルタ取付具に取り付け,前記オイルフィルタの一次側流路の下端に位置する前記フィルタ取付具から分岐する前記排油流路を形成したことを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,潤滑油の循環系が形成された油冷式圧縮機において,前記潤滑油の循環系に含まれるオイルフィルタの一次側残留オイルの排出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却,潤滑及び密封のために潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮する油冷式圧縮機70は,図7に示すように,被圧縮気体を潤滑油と共に圧縮して吐出する圧縮機本体71,該圧縮機本体71より吐出された圧縮気体を導入して圧縮気体と潤滑油とに分離(一次分離)するレシーバタンク72,該レシーバタンク72内に回収された潤滑油を冷却するオイルクーラ73を備え,このオイルクーラ73によって冷却された潤滑油を,オイルフィルタ74を介して,再度,前記圧縮機本体71の作用空間内に給油する潤滑油の循環系が形成されている(特許文献1)。
【0003】
なお,前記油冷式圧縮機70は,上述の圧縮機本体71とレシーバタンク72を連通する配管76,レシーバタンク72とオイルクーラ73を連通する配管77,オイルクーラ73とオイルフィルタ74を連通する配管78及び,オイルフィルタ74と圧縮機本体71を連通する配管79を有している(図7参照)。
【0004】
また,この油冷式圧縮機70は,前記圧縮機本体71の吸気口にエアフィルタ81及び吸入弁82を介して被圧縮気体である空気を導入する吸気系が形成されていると共に,前述したレシーバタンク72によって気液分離(一次分離)がされた後の圧縮気体は,セパレータ(図示せず)によって更に圧縮気体中に残存する潤滑油が除去された後,アフタクーラ83等を備えた供給配管84を介して図示せざる空気作業機等が接続された消費側に圧縮気体を供給する,圧縮気体の供給系が形成されており,これらの構成機器が,圧縮機本体71を駆動するモータやエンジン等の駆動源85(図示の例ではモータ)と共に防音箱内に収容されて,パッケージ化されている(図7参照)。
【0005】
また,上述の油冷式圧縮機70では,前記オイルクーラ73が前記防音箱の天板に設けた排気口に対峙して設けられており,その結果,前記オイルクーラ73は,潤滑油を貯留する前記レシーバタンク72等の他の構成機器に比較して防音箱内の比較的高い位置に設置されている。
【0006】
ところで,上述したように,油冷式圧縮機では冷却,密封,潤滑のために使用する潤滑油を循環して使用していることから,経時と共に酸化や汚染が進むことで潤滑油の性能は低下する。そのため,油冷式圧縮機の潤滑油は,所定の整備時間毎に交換を行う必要がある。
【0007】
一方,劣化した潤滑油と新しい潤滑油とを混合して使用すると,新しい潤滑油は,劣化した潤滑油の性状に影響されて劣化が早まることから,例えば,上述の特許文献1の油冷式圧縮機70の潤滑油を交換する際には,レシーバタンク72内に貯留されている潤滑油だけでなく,レシーバタンク72以外の機器に貯留されている潤滑油についても排出することが必要となる。
【0008】
しかし,上述の通り油冷式圧縮機70は,オイルクーラ73が前記レシーバタンク72の上方に,すなわち,具体的には,前記オイルクーラ73の底部が前記レシーバタンク72の油面上限位置よりも高所となるよう配置されているため,油冷式圧縮機70を停止してレシーバタンク72内の圧力が大気圧,あるいは大気圧に近い圧力に迄低下すると,オイルクーラ73内の潤滑油は,レシーバタンク72とオイルクーラ73間を連通する前記配管77を介してレシーバタンク72内に逆流して回収されることとなるが,配管77を介した潤滑油の逆流によってはオイルクーラ73内にある潤滑油の全量を回収することはできず,潤滑油は依然としてオイルクーラ73内に残ることとなる。
【0009】
そこで,上述の特許文献1の油冷式圧縮機70では,オイルクーラ73内に貯留されている潤滑油をレシーバタンク72へ排出できる構造となっており,具体的には,図7に示すように,前記レシーバタンク72の内部空間と連通する前記レシーバタンク72の底部に設けたタンク排油口91と,該タンク排油口91の下方に連結されたタンク排油配管92と,前記タンク排油口91を開閉するタンク排油口開閉手段93を備えたタンク側排油手段90を設け,また,前記オイルクーラ73に設けた潤滑油の入口73a及び出口73bとは別に前記オイルクーラ73の底部に設けたクーラ排油口96と,該クーラ排油口96の下方において該クーラ排油口96を開閉するクーラ用ドレンバルブ97を備えたクーラ側排油手段95を設けて,該クーラ側排油手段95に設けた前記クーラ用ドレンバルブ97の二次側を前記レシーバタンク72内の空間に連通することで,前記クーラ用ドレンバルブ97と前記タンク排油口開閉手段93を開放するという簡単な作業により,タンク側排油手段90に設けた単一のオイル排出口94を介して,オイルクーラ73及びレシーバタンク72の双方から潤滑油を円滑に抜き取ることができるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6168877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら,上掲の特許文献1に開示の油冷式圧縮機70ではオイルクーラ73及びレシーバタンク72の双方から潤滑油を抜き取ることができても,オイルクーラ73とオイルフィルタ74間の前記配管78内(オイルフィルタ74の一次側)においては,依然として潤滑油が滞留したままであった。
【0012】
通常,オイルフィルタ74は,例えばフィルタ取付具に着脱可能に取り付けられ,前記フィルタ取付具を介して前記配管78や前記配管79に接続されているため,オイルフィルタ74を取り外すことで前記配管78内の潤滑油を排出することは可能であった。しかし,上掲の特許文献1に開示の油冷式圧縮機70はオイルフィルタ74より上方にオイルクーラ73が配置されている構成であるため,オイルフィルタ74を取り外すと同時にオイルクーラ出口側73bからオイルフィルタ74間の配管78内(オイルフィルタ74の一次側内)に滞留していた潤滑油が前記フィルタ取付具から一気に溢れ出し,溢れ出た潤滑油により機内を汚すことになるためメンテナンス性が悪い問題があった。この問題は,上述した潤滑油の交換時のみでなくオイルフィルタの交換時においても生じた。
【0013】
そこで,本発明は,上記従来技術における問題点を解消するために開発されたもので,上述のようにオイルフィルタより上方にオイルクーラが配置されている油冷式圧縮機において,潤滑油の交換時やオイルフィルタの交換時にオイルフィルタの一次側の残留潤滑油が溢れることを防ぎ,メンテナンス性の向上を可能とする油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0015】
上記目的を達成するために,本発明の油冷式圧縮機1におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造は,内部の作用空間内に供給された潤滑油と共に圧縮された圧縮気体を吐出する圧縮機本体10と,該圧縮機本体10が吐出した圧縮気体を導入して気液分離するレシーバタンク11と,該レシーバタンク11で分離された潤滑油を冷却するオイルクーラ12を備え,前記オイルクーラ12で冷却された潤滑油を,オイルフィルタ20を経由して前記圧縮機本体10に再度供給する潤滑油の循環系が形成され,かつ,前記オイルクーラ12が前記オイルフィルタ20より上方に配置された油冷式圧縮機1において,
前記オイルフィルタ20の一次側流路の下端から分岐して,前記オイルフィルタ20の一次側の潤滑油を排出する排油流路50を形成すると共に前記排油流路50を開閉可能とする開閉手段51(図1,2,6中ではバルブ51)を備えていることを特徴とする(請求項1:図1~6参照)。
【0016】
前記オイルクーラ12の底部を前記レシーバタンク11の油面上限位置よりも高所となるよう配置すると共に,前記排油流路50を前記レシーバタンク11に連通するようにしても良い。(請求項2:図1,2参照)。
【0017】
前記排油流路50は,機外に通じるようにしても良い(請求項3:図6参照)。
【0018】
前記オイルフィルタ20をフィルタ取付具30に取り付け,前記オイルフィルタ20の一次側流路の下端に位置する前記フィルタ取付具30から分岐する前記排油流路50を形成するものであっても良い(請求項4:図5参照)。
【発明の効果】
【0019】
以上で説明した本発明の油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造により,オイル交換時において前記排油流路50を開くことで,前記オイルフィルタ20を取り外すことなく,オイルフィルタ20の一次側流路に溜まった劣化した潤滑油を排油できる手段を確保できた。
【0020】
また,本発明の油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造により,オイルフィルタ20の交換時は,オイルフィルタ20を外す際に前記排油流路50を開くことで,オイルフィルタの一次側流路に溜まった残留潤滑油の溢れを防ぐことができた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態を示す概略回路図。
図2】第1実施形態におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造を説明する図。
図3】(a)は図2のフィルタ取付具30部分の拡大図,(b)は(a)の断面図。
図4】第1実施形態におけるオイルフィルタ20の一次側から流れる潤滑油の流れを説明する図。
図5】(a)は第2実施形態におけるフィルタ取付具30部分の拡大図,(b)は(a)の断面図。
図6】第3実施形態におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造を説明する図。
図7】従来の油冷式圧縮機の概略回路図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,まず,本発明の第1実施形態について,添付図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1において,符号1は冷却,潤滑及び密封のために潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮する油冷式圧縮機である。
【0024】
前記油冷式圧縮機1は,図1に示すように,被圧縮気体を潤滑油と共に圧縮して吐出する圧縮機本体10,該圧縮機本体10より吐出された圧縮気体を導入して圧縮気体と潤滑油とに分離(一次分離)するレシーバタンク11,該レシーバタンク11内に回収された潤滑油を冷却するオイルクーラ12を備え,このオイルクーラ12によって冷却された潤滑油を,オイルフィルタ20を介して,再度,圧縮機本体10の作用空間内に給油する潤滑油の循環系が形成されている。
【0025】
また,前記油冷式圧縮機1は,上述の圧縮機本体10とレシーバタンク11を連通する配管41,レシーバタンク11とオイルクーラ12を連通する配管42,オイルクーラ12とオイルフィルタ20を連通する配管43及び,オイルフィルタ20と圧縮機本体10を連通する配管44を有している。
【0026】
また,油冷式圧縮機1は,前記圧縮機本体10の吸気口にエアフィルタ14及び吸入弁15を介して被圧縮気体である空気を導入する吸気系が形成されていると共に,前述したレシーバタンク11によって気液分離(一次分離)がされた後の圧縮気体は,セパレータ(図示せず)によって更に圧縮気体中に残存する潤滑油が除去された後,アフタクーラ16等を備えた供給配管45を介して図示せざる空気作業機等が接続された消費側に圧縮気体を導入する,圧縮気体の供給系が形成されており,これらの構成機器が,圧縮機本体10を駆動するモータやエンジン等の駆動源17(図示の例ではモータ)と共に防音箱内に収容されて,パッケージ化されている。
【0027】
また,従来の油冷式圧縮機のように,前記オイルクーラ12の底部が前記レシーバタンク11の油面上限位置よりも高所となるよう配置し,前記オイルクーラ12に設けた潤滑油の入口12a及び出口12bとは別に該オイルクーラ12の底部に設けたクーラ排油口18aと,該クーラ排油口18aの下方において該クーラ排油口18aを開閉するクーラ用ドレンバルブ18bを備えたクーラ側排油手段18を設けて,該クーラ側排油手段18に設けた前記クーラ用ドレンバルブ18bの二次側を前記レシーバタンク11内の空間に連通するようにしても良い(図1参照)。
【0028】
このような油冷式圧縮機1の基本構成については既知の油冷式圧縮機と同様であり,また,これらの構成を油冷式圧縮機の構成として既知の各種の構成に置換することも可能である。
【0029】
以上で説明した各構成要素を備えた本発明の油冷式圧縮機1において,前記オイルクーラ12は,図2に示すように,前記オイルフィルタ20の上方に設置されている。なお,本実施形態においては,図2に示すように,前記オイルクーラ12の底部が,前記レシーバタンク11の油面上限位置よりも高所となるよう配置されているが,本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
前記オイルフィルタ20は,図3(b)に示すように,底部が開口した円筒状のケーシング21と,ケーシング21内に配置されたフィルタエレメント(濾過紙)22と,ケーシング21の底部開口を閉塞するエンドプレート23とを備えている。また,前記エンドプレート23は,中央に潤滑油の流出口23bと前記流出口23bの外側に複数の流入口23aが形成されている。
【0031】
また,前記オイルフィルタ20は,フィルタ取付具30に取り付けられている。前記フィルタ取付具30は,図3(b)に示すように,前記配管43と前記配管44(図3中には接続部のみ図示。)に接続する本体31を備え,該本体の上面に前記オイルフィルタ20が着脱可能に設置され,前記本体31の内部にはオイルフィルタ20に潤滑油を流入する流入路33と,オイルフィルタ20で濾過された潤滑油を流出する流出路34が形成されている。
【0032】
詳しくは,フィルタ取付具30の本体31の内部は,該本体31の中央内部を縦方向に貫通しそのまま本体上面から上方に突出するよう一体形成された筒状部34aを有し,該筒状部34aは,上部において例えば外周側に形成された雄ネジにより前記オイルフィルタ20の前記流出口23bに形成された雌ネジと螺合して前記流出口23bに接続すると共に,下部において前記配管44に接続して前記流出路34を形成している。さらに,前記フィルタ取付具30の本体31の内部は,前記筒状部34aの外側に,本体の側部にて前記配管43に接続すると共に,本体31の前記上面にて前記オイルフィルタ20の流入口23aに接続する前記流入路33を形成している(図3(b)参照)。
【0033】
なお,上述のオイルフィルタ20とフィルタ取付具30は,一例を示すもので,本発明においては,他の既知のオイルフィルタ20やフィルタ取付具30に置換することが可能である。例えば,上述の例ではオイルフィルタ20を縦向き姿勢でフィルタ取付具30の上方に取り付けているが,フィルタ取付具30の下方に取り付けるものであってよく,また,オイルフィルタ20を横向き姿勢でフィルタ取付具30に取り付けるものであっても良い。また,上述のようなフィルタ取付具30を使用せずに,オイルフィルタ20を直接,前記配管43と配管44に接続する仕様のものでも良い。
【0034】
本発明の油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造は,オイルフィルタ20の一次側流路の下端から分岐して,前記オイルフィルタ20の一次側の潤滑油を排出する排油流路50を備えるものであり,本実施形態においては,前記オイルフィルタ20は前記フィルタ取付具30に取り付けられ該フィルタ取付具30を介して配管43に接続されていることから,前記配管43と前記フィルタ取付具30(流入路33)とによりオイルフィルタ20の一次側流路が形成されているところ,図2及び図3に示すように,前記配管43の一部であると共に前記一次側流路の下端に位置するニップルエルボ43aから分岐する排油流路50を設けたものとなっている。そして,本実施形態においては,前記排油流路50は,前記オイルフィルタ20及びニップルエルボ43a(前記オイルフィルタ20の一次側流路の下端)より下方に設置したレシーバタンク11に連通している(図2参照)。
【0035】
なお,本実施形態では,前記ニップルエルボ43aの底部に円形の開口43bを設けると共に前記レシーバタンク11の側壁に円形の開口を設け,前記各開口の内周に形成した雌ネジと前記排油流路50(配管)の両端の雄ネジを螺合して装着できるようになっているが,前記ニップルエルボ43aと前記レシーバタンク11間に前記排油流路50を設ける方法はこれに限定されるものではなく他の既知の方法で設けても良い。
【0036】
また,排油流路50には,図2に示すように,排油流路50を開閉する開閉手段(バルブ)51が設けられている。なお,前記開閉手段51の開閉方法は手動又は電動で行うことができる。電動の場合は,例えば制御盤に設けられたスイッチによって前記開閉手段51の開閉を操作するものであっても良く,または,圧縮機本体10の始動スイッチと連動させて自動化することも可能で,この場合,圧縮機本体10の作動時に前記開閉手段51を閉じるようにし,前記圧縮機本体の停止時に前記開閉手段51を開いて(開閉手段51をノーマルオープンタイプの電磁弁として),前記配管43内の潤滑油を停止のたびにレシーバタンクに連通させることもできる。上述のように連動させることで,開閉手段51の開閉作業を省略できると共に,開閉手段51の開け忘れや閉め忘れを防止することができる。
【0037】
上述のように構成された本実施形態においては,通常時は,前記バルブ51を閉じているため,前記配管43(オイルフィルタ20の一次側)内の潤滑油は,図4に示すように,前記フィルタ取付具30の流入路33を通過して,前記流入口23aから前記オイルフィルタ20内に流入し,前記フィルタエレメント22の外側から内側へ通過して濾過された後に前記流出口23bから前記フィルタ取付具30の流出路34を介して前記配管44に流出し,前記圧縮機本体10に給油できるようになっている。
【0038】
一方,潤滑油の交換時には,前記バルブ51を開くことで,配管43内の潤滑油は,前記ニップルエルボ43aの前記開口43bから前記排油流路50を通って,前記オイルフィルタ20を避けて前記レシーバタンク11に流れるようになっているため,前記オイルフィルタ20を取り外すことなく,配管43内の潤滑油をレシーバタンク11に排油することができる。なお,本実施形態では,前記レシーバタンク11の油面上限位置が前記ニップルエルボ43a(前記一次側流路の下端)より下方に設置されていることで,ポンプ等の外力無しで潤滑油をレシーバタンク11に排出することができるが,本発明においてはこれに限定されない。
【0039】
また,前記オイルフィルタ20の交換時においても,前記バルブ51を開くことで,配管43(オイルフィルタ20の一次側)から流れる潤滑油は前記オイルフィルタ20を避けて前記レシーバタンク11に排出できるため,前記オイルフィルタ20を外しても配管43内(オイルフィルタ20の一次側)の残留潤滑油がフィルタ取付具30から溢れ出すことがない。
【0040】
なお,前記レシーバタンク11に溜まった潤滑油は底部に設けたタンク排油口11bから排油することができる。また,従来の油冷式圧縮機のように,前記タンク排油口11bの下方にタンク排油配管11cを連結すると共に,このタンク排油配管11cの下端に,開閉バルブによって構成されたタンク排油口開閉手段11dを設け,これらによってタンク側排油手段11aを形成することで,ドレンボルトの着脱を行うことなしに,タンク排油口開閉手段11dであるバルブの開閉操作によって極めて簡単にレシーバタンク11のタンク排油口11bを開閉することができるようにしても良い(図1参照)。
【0041】
次に,本発明の第2実施形態について説明する。
【0042】
なお,以下においては,本実施形態について,上述の第1実施形態と異なる点を中心に説明し,同様の箇所については説明を省略する。また,第1実施形態と対応する箇所には,同一の符号を付して説明する。
【0043】
本発明の油冷式圧縮機におけるオイルフィルタの一次側残留潤滑油の排出構造は,前記オイルフィルタ20の一次側流路の下端から分岐して,前記オイルフィルタの一次側の潤滑油を排出する排油流路50を備えるものであり,本実施形態においては,第1実施形態と同様,前記オイルフィルタ20は前記フィルタ取付具30を介して前記配管43に接続されており,前記配管43と前記フィルタ取付具30(流入路33)とによりオイルフィルタ20の一次側流路が形成されているところ,前記ニップルエルボ43aと同様に前記オイルフィルタ20の一次側流路の下端に位置する前記フィルタ取付具30から分岐する排油流路50を設けたものとなっている。
【0044】
図5に示すように,前記フィルタ取付具30の底部に前記流入路33と連通する開口35を設け,該開口35の内側に雌ネジを形成して,前記排油流路50を取り付け可能としている。
【0045】
上述のように構成された本実施形態においては,通常時は,前記バルブ51を閉じているため,配管43内(オイルフィルタ20の一次側)の潤滑油は,前記フィルタ取付具30の流入路33を通過して,前記流入口23aから前記オイルフィルタ20内に流入し,前記フィルタエレメント22の外側から内側へ通過して濾過された後に前記流出口23bから前記フィルタ取付具30の流出路34を介して前記配管44に流出し,前記圧縮機本体10に給油できるようになっている。
【0046】
一方,潤滑油の交換時には,前記バルブ51を開くことで,配管43内の潤滑油は,前記フィルタ取付具30の前記開口35から前記排油流路50を通って,前記オイルフィルタ20を避けて前記レシーバタンク11に流れるため,前記オイルフィルタ20を取り外すことなく,配管43内の潤滑油をレシーバタンク11に排出することができる。
【0047】
また,オイルフィルタ20の交換時においても同様に,前記バルブ51を開くことで,前記配管43から流れる潤滑油は前記オイルフィルタ20を避けて前記レシーバタンク11に排出できるため,前記オイルフィルタ20を外しても前記配管43内(オイルフィルタ一次側)の残留潤滑油が前記フィルタ取付具30から溢れ出ることがない。
【0048】
さらに,本発明の第3実施形態について説明する。
【0049】
なお,以下においては,本実施形態について,上述の第1実施形態と異なる点を中心に説明し,同様の箇所については説明を省略する。また,第1実施形態と対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0050】
本実施形態では,図6に示すように,前記排油流路50を前記レシーバタンク11でなく機外に通じるようにしたものである。
【0051】
なお,本実施形態では,前記排油流路50の一次側は前記ニップルエルボ43aの底部に接続している(上述の実施形態1に同じ)が,前記オイルフィルタ20の一次側の下端であればこれに限定されず,例えば,前記フィルタ取付具30の底部に接続する(上述の実施形態2に同じ)ものであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 油冷式圧縮機
10 圧縮機本体
11 レシーバタンク
11a タンク側排油手段
11b タンク排油口
11c タンク排油配管
11d タンク排油口開閉手段
12 オイルクーラ
12a 入口
12b 出口
14 エアフィルタ
15 吸入弁
16 アフタクーラ
17 駆動源
18 クーラ側排油手段
18a クーラ排油口
18b クーラ用ドレンバルブ
20 オイルフィルタ
21 ケーシング
22 フィルタエレメント(濾過紙)
23 エンドプレート
23a 流入口
23b 流出口
30 フィルタ取付具
31 本体
33 流入路
34 流出路
34a 筒状部
35 開口
41 配管(圧縮機本体10とレシーバタンク11間)
42 配管(レシーバタンク11とオイルクーラ12間)
43 配管(オイルクーラ12とオイルフィルタ20間)
43a ニップルエルボ
43b 開口
44 配管(オイルフィルタ20と圧縮機本体10間)
45 供給配管
50 排油流路
51 バルブ(開閉手段)
70 油冷式圧縮機
71 圧縮機本体
72 レシーバタンク
73 オイルクーラ
73a 入口
73b 出口
74 オイルフィルタ
76 配管(圧縮機本体71とレシーバタンク72間)
77 配管(レシーバタンク72とオイルクーラ73間)
78 配管(オイルクーラ73とオイルフィルタ74間)
79 配管(オイルフィルタ74と圧縮機本体71間)
81 エアフィルタ
82 吸入弁
83 アフタクーラ
84 供給配管
85 駆動源
90 タンク側排油手段
91 タンク排油口
92 タンク排油配管
93 タンク排油口開閉手段
94 オイル排出口
95 クーラ側排油手段
96 クーラ排油口
97 クーラ用ドレンバルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7