IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユポ・コーポレーションの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148501
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】印刷用紙及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/02 20060101AFI20231005BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20231005BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20231005BHJP
   C08J 7/044 20200101ALI20231005BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08L23/02
B32B27/32 Z
C08J5/18 CES
C08J7/044
C08K5/3477
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056564
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000122313
【氏名又は名称】株式会社ユポ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 潤
(72)【発明者】
【氏名】野田 康弘
【テーマコード(参考)】
4F006
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F006AA12
4F006AA55
4F006AA56
4F006AB32
4F006BA07
4F006CA10
4F071AA16
4F071AA20
4F071AB18
4F071AB21
4F071AB30
4F071AC09
4F071AC11
4F071AC12
4F071AC19
4F071AE05
4F071AF15
4F071AF34
4F071AF37Y
4F071AG12
4F071AG34
4F071AH19
4F071BB06
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
4F100AA08B
4F100AA18B
4F100AA19B
4F100AA20B
4F100AA21B
4F100AC04B
4F100AC10B
4F100AK03B
4F100AK03C
4F100AK36B
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA22A
4F100CA23B
4F100CC00A
4F100DG10B
4F100EH17
4F100EJ37
4F100GB90
4F100JG03A
4F100JG04B
4F100JL16
4F100JL16B
4F100YY00
4J002BB031
4J002BB121
4J002DE137
4J002DE267
4J002EJ068
4J002EU179
4J002EU186
4J002FD017
4J002FD049
4J002FD078
4J002FD156
4J002GK03
(57)【要約】
【課題】本発明は、回収された印刷用紙を再生原料として使用した場合であっても、印刷用紙の物性低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ポリオレフィン系樹脂を含む印刷用紙であって、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、メラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方を0.10~5質量部含む印刷用紙に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂を含む印刷用紙であって、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、メラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方を0.10~5質量部含む印刷用紙。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂が5~80質量%の再生ポリオレフィン系樹脂を含む請求項1に記載の印刷用紙。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、タルク、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バリウム、およびゼオライトから選ばれる1種以上の無機充填剤を1~120質量部含む請求項1または2に記載の印刷用紙。
【請求項4】
前記ポリオレフィン系樹脂と前記無機充填剤との合計含有量が75~99.9質量%である請求項3に記載の印刷用紙。
【請求項5】
表面抵抗率が1.0×10~1.0×1013Ω/□である請求項1~4のいずれか1項に記載の印刷用紙。
【請求項6】
前記メラミン誘導体が、メラミンのリン酸誘導体およびシアヌル酸メラミンの少なくとも一方である請求項1~5のいずれか1項に記載の印刷用紙。
【請求項7】
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、メラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方を0.10~5質量部配合し、成形する工程を含む、印刷用紙の製造方法。
【請求項8】
ポリオレフィン系樹脂に再生ポリオレフィン系樹脂とメラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方とを添加して成形する請求項7に記載の印刷用紙の製造方法。
【請求項9】
前記成形が押出成形であり、押出成形により得られたシートの少なくとも片面に帯電防止剤を含む塗料を塗布する工程をさらに含む、請求項7または8記載の印刷用紙の製造方法。
【請求項10】
前記成形が押出成形であり、押出成形により得られたシートの少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂フィルムを貼合する工程をさらに含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の印刷用紙の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙及びその製造方法に関する。再生に適した印刷用紙およびかかる印刷用紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは様々な形態で重金属等の他の物質とともに製品化される。例えば、特許文献1に記載のプラスチック製印刷物には、インキ中の顔料などに由来する重金属成分が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-140390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、環境問題への配慮等からプラスチックの再利用が求められるところ、再生プラスチックを製造する場合、回収された使用済みプラスチックを粉砕しペレットにしたものを、フレッシュな樹脂に配合する方法が一般的である。
【0005】
そのため、回収された使用済みプラスチックを再生化するとき、通常は造粒、成形、再ペレット化の工程ごとに熱履歴を受けることとなり、複数回の熱履歴は再生プラスチックの物性を低下させる原因となる。
【0006】
ここでプラスチックがポリオレフィンの場合、熱劣化はラジカル機構で進行するため、回収プラスチックが銅や鉄等の重金属を含む場合は、これらの重金属のイオンの存在によりラジカル機構が促進され劣化しやすくなると考えられる。
【0007】
したがって、印刷インキ、着色剤、塗料などの使用環境から混入した重金属を多く含む回収プラスチックは、そのまま再生化すると熱劣化が進行しやすくなる。
【0008】
しかも再生プラスチックを製造する場合は、回収プラスチックを粉砕し再生ペレットを製造する工程ですでに熱劣化が進行するため、その時点で劣化を抑制することは難しかった。
【0009】
本発明は、回収された印刷用紙を再生原料として使用した場合であっても、印刷用紙の物性低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、印刷用紙を製造する時点で、金属封止剤であるメラミンまたはその誘導体を添加しておくことで、回収された印刷用紙を再生化する際の熱による劣化を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明は以下の通りである。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂を含む印刷用紙であって、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、メラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方を0.10~5質量部含む印刷用紙。
〔2〕前記ポリオレフィン系樹脂が5~80質量%の再生ポリオレフィン系樹脂を含む〔1〕に記載の印刷用紙。
〔3〕前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、タルク、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バリウム、およびゼオライトから選ばれる1種以上の無機充填剤を1~120質量部含む〔1〕または〔2〕に記載の印刷用紙。
〔4〕前記ポリオレフィン系樹脂と前記無機充填剤との合計含有量が75~99.9質量%である〔3〕に記載の印刷用紙。
〔5〕表面抵抗率が1.0×10~1.0×1013Ω/□である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の印刷用紙。
〔6〕前記メラミン誘導体が、メラミンのリン酸誘導体およびシアヌル酸メラミンの少なくとも一方である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の印刷用紙。
〔7〕ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、メラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方を0.10~5質量部配合し、成形する工程を含む、印刷用紙の製造方法。
〔8〕ポリオレフィン系樹脂に再生ポリオレフィン系樹脂とメラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方とを添加して成形する〔7〕に記載の印刷用紙の製造方法。
〔9〕前記成形が押出成形であり、押出成形により得られたシートの少なくとも片面に帯電防止剤を含む塗料を塗布する工程をさらに含む、〔7〕または〔8〕記載の印刷用紙の製造方法。
〔10〕前記成形が押出成形であり、押出成形により得られたシートの少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂フィルムを貼合する工程をさらに含む、〔7〕~〔9〕のいずれかに記載の印刷用紙の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回収された印刷用紙を再生原料として使用した印刷用紙の物性低下を抑制することができる。
【0013】
本発明によれば、また、印刷用紙の再生原料含有率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の印刷用紙及びその製造方法について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
【0015】
本発明では、ポリオレフィン系樹脂が製造され、パウダーグラニュール、ペレットの状態で出荷され、はじめて印刷用紙の原料として使用されるものを「フレッシュ原料」と称し、印刷用紙の製造工程以降で発生した端材や、印刷物等を回収して再度ペレット化し、印刷用紙の原料として使用されるものを「再生原料」と称する。
【0016】
プラスチックを使用した印刷用紙には、熱可塑性樹脂が使用され、大まかにポリエステル系樹脂を使用したものと、ポリオレフィン系樹脂を使用したものとがある。
【0017】
このうちポリエステル系樹脂を使用した印刷用紙が熱劣化を起こす機構としては、焼けや内部に含まれるフィラーや添加剤の凝集を除けば、加水分解を代表例とする縮重合体の解重合やオリゴメリゼーションが挙げられ、これらはラジカル劣化機構よりも高速に進行する。
【0018】
一方、ポリオレフィン系樹脂を使用した印刷用紙が熱劣化を起こす機構は、上記の焼けや凝集を除けば、ラジカル劣化機構が主要因となる。
【0019】
さらにポリオレフィン系樹脂中にコバルト、マンガン、銅、鉄等の重金属が含まれている場合、ラジカル劣化機構が促進され、室温でも劣化が進行することがたびたび報告され、この現象は一般に銅害と称される。
【0020】
印刷用紙の場合、藍インキに銅が、油性インキの乾燥促進剤としてマンガンが使用され、回収原料に含まれることが多い。
【0021】
(メラミンおよびメラミン誘導体)
本発明の印刷用紙は、特定量のメラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方(以下「メラミン類」とも称する。)を含有する。本発明において、メラミン類は金属不活性剤として機能する。
これまで金属不活性剤として一般的に使用されるものとしては、サリチル酸骨格、トリアゾール-イミド骨格などのキレート能を持つ骨格とフェノール構造やヒドラジン構造などのラジカルトラップ機能を持つ構造を組み合わせたものが挙げられる。
一方、メラミンは熱分解すると窒素ガスを発生するため、単独の難燃剤として、またはリン系難燃剤との併用、または水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤の助剤として使用されているが、銅害防止剤としては注目されてこなかった。
【0022】
本発明で使用するメラミンとしては、メラミン単体が挙げられ、メラミン誘導体としては、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等の、メラミンのリン酸誘導体;モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン等のメチロール化メラミン;シアヌル酸メラミン等が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、再生ポリオレフィン系樹脂を使用した印刷用紙の機械強度維持の観点からは、メラミン単体を用いることが好ましい。
【0024】
一方、再生ポリオレフィン系樹脂を使用した印刷用紙の経時的な変色を抑制する観点からは、メラミンのリン酸誘導体を用いることが好ましい。
【0025】
メラミン類の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、メラミンおよびメラミン誘導体の合計含有量として0.10~5質量部である。
【0026】
メラミン類の含有量は、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。メラミン類の含有量が0.10質量部以上であることにより、再生ポリオレフィン系樹脂を使用した印刷用紙の熱劣化を抑制できる傾向がある。
また、メラミン類の含有量は、観点から4.9質量部以下が好ましく、4.8質量部以下がさらに好ましい。メラミン類の含有量が5質量部以下であることにより、再生ポリオレフィン系樹脂を使用した印刷用紙の機械強度低下を抑制できる傾向がある。
【0027】
なお、上記メラミン類の含有量は、印刷用紙における総量である。例えば、原料が既にメラミン類を含有する場合は、既存のメラミン類含有量と、新たに添加するメラミン類の含有量との総量が上記範囲となるように、メラミン類の添加量を調整する。
【0028】
(ポリオレフィン系樹脂)
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィンとを共重合させたポリプロピレンランダム重合体やポリプロピレンブロック重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
また、ポリオレフィン系樹脂としては、フレッシュなポリオレフィン系樹脂のみからなってもよく、フレッシュなポリオレフィン系樹脂と再生ポリオレフィン系樹脂とを含んでいてもよい。
【0030】
フレッシュなポリオレフィン系樹脂のMFR(メルトフローレート、230℃、2.16kg荷重)は、フィルム生産性の観点から、0.5g/10分~20g/10分の範囲が好ましい。
【0031】
印刷用紙が再生ポリオレフィン系樹脂を含む場合、その含有量は、環境負荷低減の観点から、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、再生ポリオレフィン系樹脂の含有量は、熱劣化抑制の観点から、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。本発明によればメラミン類を含むことで樹脂の熱劣化が抑制されるため、原料のポリオレフィン系樹脂を高い割合まで再生ポリオレフィン系樹脂に置換できる。
【0032】
(無機充填剤)
印刷用紙には無機充填剤をポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、1~120質量部含むことができる。
【0033】
印刷用紙の白色度や不透明度を向上させる観点からは、無機充填剤の含有量がポリオレフィン系樹脂100質量部に対し15質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましい。
【0034】
印刷用紙の機械強度を向上させる観点からは、無機充填剤の含有量がポリオレフィン系樹脂100質量部に対し100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましい。
【0035】
半透明印刷用紙を得る観点からは、無機充填剤の含有量がポリオレフィン系樹脂100質量部に対し50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
【0036】
また、メラミン類の熱劣化抑制効果を発揮させる観点から、印刷用紙に含まれるポリオレフィン系樹脂と無機充填剤との合計含有量が75~99.9質量%であることが好ましい。
【0037】
印刷用紙に使用する無機充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バリウム、およびゼオライトから選択される1種以上であることが好ましい。
【0038】
それらの中でも、印刷用紙の成形性、耐候性の観点から、タルク、炭酸カルシウム、および酸化チタンから選択される1種以上を使用することがより好ましい。
【0039】
(機能性材料)
印刷用紙には、成形性を向上させたり、耐候性を向上させたりするために滑剤、酸化防止剤、安定剤、帯電防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0040】
滑剤としてはステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸が挙げられる。
【0041】
酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0042】
安定剤としては、ヒンダードアミン系熱安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤等が挙げられる。
【0043】
帯電防止剤としてはカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー等が挙げられる。
【0044】
帯電防止剤を塗料として表面に塗布する場合は、ポリイミン系重合体またはその誘導体、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、アクリル系樹脂等のバインダ、架橋剤等を併用することができる。
【0045】
機能性材料の使用方法は、印刷用紙の樹脂層に配合してもよく、印刷用紙の表面に塗布、乾燥してもよい。
【0046】
これら機能性材料はそれぞれ独立に、印刷用紙に対して0.01~5質量%適用することができる。
【0047】
(成形)
印刷用紙の成形方法は、公知の方法を適宜適用することができ、その種類は特に限定されない。
【0048】
例えば、押出機に接続された単層又は複層のTダイやIダイを利用して、溶融樹脂をシート状に押し出す押出成形、押出機に接続されたOダイを利用して、溶融樹脂を筒状に押し出すインフレーション成形、カレンダー成形、圧延成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルとの混合物をキャスト成形又はカレンダー成形した後に溶媒やオイルを除去する方法等を用いて成形することができる。
【0049】
中でも、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形が好ましく、押出成形が特に好ましい。
【0050】
また、押出成形したシートの片面または両面に押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の方法で樹脂層を積層することもできる。
【0051】
印刷用紙は、これらの成形方法を組み合わせることによって、単層構造、A-B-A構造、A-B-C構造、A-B-C-B-A構造等、任意の層構造をとることができる。
【0052】
(延伸)
印刷用紙はそれを構成する1以上の層を延伸して構成することができ、延伸によりヤング率等の機械強度、不透明度、白色度を向上させたり、印刷用紙の密度を下げて軽量化させたりすることができる。
【0053】
各層の延伸は特に限定されず、1軸延伸であっても2軸延伸であってもよい。
【0054】
延伸方法は特に限定されず、例えば、ロール群の周速差を利用する縦延伸、テンターオーブンを使用する横延伸、圧延、縦延伸と横延伸の組み合わせによる逐次二軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸、インフレーション成形による同時二軸延伸等を用いることができる。
【0055】
また、積層と組み合わせることによって、縦1軸層/逐次2軸延伸層、横1軸層/逐次2軸延伸層/横1軸層、縦1軸延伸層/横1軸延伸層、同時2軸延伸層/無延伸層など、任意の延伸層構成をとることができる。
【0056】
延伸の温度は特に限定されないが、印刷用紙の厚みの均一性の観点からポリオレフィン系樹脂の融点以下が好ましく、白色度向上、不透明度向上、密度低下の観点からポリオレフィン系樹脂の融点よりも2~20℃低い温度が好ましい。
【0057】
一軸延伸の延伸倍率は特に限定されないが、2~12倍が好ましく、3~10倍がより好ましく、4~8倍がさらに好ましい。
【0058】
二軸延伸の延伸倍率は特に限定されないが、面積倍率で通常4~80倍が好ましく、10~65倍がより好ましく、20~50倍がさらに好ましい。
【0059】
(印刷用紙の製造方法)
本発明の印刷用紙の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、メラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方を0.10~5質量部配合し、成形することを特徴とする。
【0060】
印刷用紙の製造において、フレッシュ原料にメラミン類を添加することができるほか、フレッシュ原料と再生原料とメラミン類とを混合することもできる。すなわち、ポリオレフィン系樹脂に再生ポリオレフィン系樹脂と、メラミンおよびメラミン誘導体の少なくとも一方とを添加して押出成形することができる。
【0061】
なお、本発明におけるメラミン類の含有量は、印刷用紙における総量であるから、メラミン類を含む再生原料を用いる場合等、原料が既にメラミン類を含有する場合は、既存のメラミン類含有量と、新たに添加するメラミン類の含有量との総量が上記範囲となるように、メラミン類の添加量を調整する。再生原料中のメラミン類含有量が既に十分である場合には、再生時に新たにメラミン類を添加する必要はない。
【0062】
フレッシュ原料は、それぞれポリオレフィン系樹脂、メラミン類、その他のフィラーや添加剤をあらかじめ混合してペレットに造粒したものであることが、品質安定化の観点から好ましい。
【0063】
フレッシュ原料のMFR(メルトフローレート、230℃、2.16kg荷重)は、フィルム生産性の観点から、0.5g/10分以上が好ましく、1.0g/10分以上がより好ましい。
また、フレッシュ原料のMFR(メルトフローレート、230℃、2.16kg荷重)は、フィルム成形性の観点から、20g/10分以下が好ましくは10g/10分以下がより好ましい。
【0064】
再生原料を使用する場合は、フレッシュ原料と再生原料とメラミン類とをあらかじめ混合し、押出機に供給する方法、フレッシュ原料を押出機内で溶融混錬しながら再生原料をサイドフィードする方法などが用いられる。
【0065】
再生原料は、回収された印刷用紙を粉砕しそのまま使用することもできるが、フレッシュ原料と再生原料との配合比を安定化させる観点から、粉砕後ペレットに造粒することが好ましく、印刷用紙表面の欠陥や異物の数を減らす観点から、粉砕後洗浄、乾燥の工程を経てペレットに造粒することがより好ましく、再生工程による熱劣化を抑制する観点から、粉砕後洗浄、乾燥の工程を経て、メラミン類、さらに必要に応じて各種添加剤を配合してペレットに造粒することが特に好ましい。
【0066】
印刷用紙にメラミン類を添加する方法としては、フレッシュ原料または再生原料に直接配合してもよく、ポリオレフィン系樹脂と、先に挙げた各種添加剤とまとめて添加剤のマスターバッチを造粒してもよい。
【0067】
押出成形により得られたシートの少なくとも片面に帯電防止剤を含む塗料を塗布することで、印刷用紙に帯電防止性能を付与することができる。
【0068】
塗布装置としては、特に限定されないが、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター等を使用することができる。
【0069】
塗布量は、特に限定されないが、生産コストやベタつきの抑制、インキの密着性の改善効果等の観点から、固形分換算で0.01~3g/mが好ましく、0.01~1g/mがより好ましく、0.02~0.5g/mがさらに好ましい。
【0070】
(印刷用紙)
印刷用紙全層の厚みは、各種印刷機で適正に印刷できる観点から、50μm以上が好ましく、75μm以上がより好ましく、また500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。なお印刷用紙全層の厚みはJIS K7130(1999年)に基づく。
【0071】
印刷用紙の色相は、空気中120℃で3日間加熱したときのb*値の上昇が0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。なお色相はJIS P8150(2004年)に基づく。
【0072】
印刷用紙の表面抵抗率は、平判印刷での搬送性、後加工時の静電気トラブルを防止する観点から、1.0×1013Ω/□以下であることが好ましく、1.0×1012Ω/□以下であることがより好ましい。また平版印刷でのインキ受容性の観点から1.0×10Ω/□以上であることが好ましい。なお表面抵抗率はJIS K6911(1995年)に基づく。
【0073】
(印刷)
印刷用紙に適用される印刷方法はオフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷であり、これに用いられるインキは酸化重合型、溶剤蒸発乾燥型、紫外線硬化型のものが使用できる。
【0074】
得られた印刷物は、従来の合成紙と同様に取り扱うことができ、ポスター、パンフレット、カタログ、看板やメニュー等の商業印刷物、本、地図、ブックカバーやしおり等の出版物、包装紙等として有用であり、耐候性の高さから選挙用ポスター、看板用ポスター等の屋外使用を前提とした用途、水回りで使用するポスター等の水に晒される用途、飲食店等のメニュー等の水に接触するおそれのある用途において有用である。
【0075】
(印刷用紙の再生)
印刷用紙の製造工程で発生した端材は、通常、粉砕され、押出機のフィーダーから押出機内に送り込まれ、押出機内で加熱溶融され、必要に応じて各種添加剤を添加され、ダイスからストランドとして吐出され、冷却され、切断されて再生ペレットとなる。
【0076】
使用後の印刷用紙は、回収されたのち、製造工程内の再生化と同様の工程で再生ペレットとなるが、粉砕の前または後、押出機のフィーダーに投入される前の段階にインキ剥離、脱墨または洗浄の工程を追加してもよい。
【0077】
再生原料のMFR(メルトフローレート)は、熱劣化の指標であり、フレッシュ原料より上昇していることが通例であり、フィルム成形性の観点から、30g/10min以下が好ましく、20g/10min以下がより好ましい。
印刷用紙のJIS K7161-1による引張破壊応力は、熱履歴による強度低下と添加剤の多量添加による強度低下が要因と考えられるため、5MPa以上であることが好ましく、5.5MPa以上であることがより好ましい。
【実施例0078】
以下に実施例と比較例とを挙げて、本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらにより何ら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。
【0079】
(白紙物性評価)
<表面抵抗率>
実施例および比較例で得られた印刷前(白紙)の印刷用紙の表面抵抗率を、デジタル超絶縁/微小電流計(商品名「DSM-8104」、日置電機社製)を用いて、温度20℃、相対湿度30%の条件下で測定した。
【0080】
<熱処理後MFR>
白紙の印刷用紙を粉砕して目開き8mmのSUS製メッシュを通過した試料を2つに分け、片方は加熱処理前試料としてそのまま室温(23℃)で5日間保管した。また、もう片方をガラス瓶に入れ、150℃のオーブンで5日間加熱処理し、加熱処理後試料とした。
【0081】
加熱処理前試料および加熱処理後試料をそれぞれ個別にシリンダー温度を230℃に設定した二軸混練押出機を用いて、ベント孔で脱気しながら溶融混練し、ノズルからストランドとして押出し、冷却してカッターで切断し、ペレットにしてから、メルトインデクサ L247(立山科学工業社製)を用いてMFRを測定した。
【0082】
加熱処理後試料のMFR値の加熱処理前試料のMFR値に対する増加割合をΔMFRとし、ΔMFRの値により次のように評価した。なお◎、〇または△である場合を良好であるとした。
◎:ΔMFRが10%以下
〇:ΔMFRが10%より大きく20%以下
△:ΔMFRが20%より大きく30%以下
×:ΔMFRが30%より大きく40%以下
【0083】
<色相>
白紙の印刷用紙を120℃のオーブンで空気中3日間加熱処理したものを10枚重ね、色彩色差計(機器名:カラーコンピューターSM-T、スガ試験機社製)を用いて、JIS-Z8730:2009に準拠して、C光源でL*a*b*表色系の値を測定し、加熱前後の差を求めた。
【0084】
<引張破壊応力>
加熱処理前試料のペレットを250℃に加熱した熱プレス機で厚み600~700μmのプレートに成形後、JIS K7162付属書Aに規定されている試験片5B型の形状に打ち抜いて試験片とした。
【0085】
引張試験機(島津製作所社製、型式名:オートグラフAGS-5kNJ)を用いて、引張速度200mm/分で引張試験を実施し、1サンプルにつき3回の引張破壊応力の平均値を求めた。なお4.0MPa以上である場合を良好であるとした。
【0086】
(印刷物物性評価)
<印刷>
4色オフセット印刷機(機器名:Ryobi524GX、リョービMHIグラフィックテクノロジー社製)、および油性オフセットインキ(商品名:Fusion-G MK墨,藍,紅,透明黄、DIC社製)を用いて、菊四裁ノビサイズの印刷用紙に油性オフセット印刷を行った。
【0087】
<熱処理後MFR>
印刷後15日以上経過した印刷物を用いたこと以外は、白紙物性評価における熱処理後MFR測定と同様に測定し、同様に評価した。
【0088】
<厚さ>
実施例および比較例で得られた印刷用紙の全体の厚み(μm)は、JIS K7130:1999年「プラスチック-フィルム及びシート-厚さ測定方法」に基づき、紙厚測定器(機器名:MEI-11、シチズンファインデバイス社製)を用いて測定した。
また、印刷用紙を構成する各層の厚さ(μm)は、次のようにして測定した。印刷用紙を液体窒素にて-60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(商品名:プロラインブレード、シック・ジャパン社製)を直角に当てて切断して断面測定用の試料を作製した。走査型電子顕微鏡(機器名:JSM-6490、日本電子社製)を用いて得られた試料の切断面を観察し、組成外観から各層の境界線を判別して各層の厚さ比率を求めた。全体の厚さ(μm)に各層の厚さ比率を乗算し、各層の厚さ(μm)を求めた。
【0089】
(使用材料)
実施例および比較例において、以下の材料を使用した。
1.プロピレン単独重合体(記号:FY6、商品名:ノバテックPP FY6、日本ポリプロ社製、MFR:2.4g/10min、密度:0.90g/cm
2.プロピレン単独重合体(記号:MA3、商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製、MFR:11g/10min、密度:0.90g/cm
3.高密度ポリエチレン(記号:HJ580N、商品名:ノバテックHD HJ580N日本ポリエチレン社製、MFR:12g/10min、密度:0.96g/cm
4.重質炭酸カルシウム粒子(記号:1800、商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製、平均粒子径:1.25μm、密度:2.72g/cm
5.ルチル型酸化チタン粒子(記号:CR-60、商品名:タイペークCR-60、石原産業社製、平均粒子径:0.21μm、密度:4.23g/cm
6.微粉タルク(記号:P-6、商品名:ミクロエースP-6、日本タルク社製、平均粒子径:4.0μm、BET比表面積:10.5m/g)
7.ヒンダードフェノール系酸化防止剤(記号:Irg1010、商品名:イルガノックス1010、BASFジャパン社製、分子量:1178、密度:1.15g/cm
8.リン系酸化防止剤(記号:Irg168、商品名:イルガノックス168、BASFジャパン社製、分子量:647、密度:1.03/cm
9.ヒンダードアミン系光安定剤(記号:Tnv622、商品名:チヌビン622、BASFジャパン社製、分子量:3100~4000、密度:1.22/cm
10.金属石鹸(記号:AS-6、商品名:ステアリン酸Al、日東化成工業社製、Al含有量:7.5~8.5%、融点145~160℃)
11.メラミン(記号:和光メラミン、富士フイルム和光純薬社製、分子量:126.12)
12.ポリリン酸メラミン(記号:プラネロンNP、商品名:三井化学ファイン社製、リン含有率:14%以上、窒素含有量:36%以上)
13.メラミンシアヌレート(記号:MC-6000、商品名:MC-6000、日産化学社製、平均粒子径:2μm以下、密度:1.52/cm
【0090】
(樹脂組成物A~Oの製造)
上記1~13の各材料と、後述する実施例1で得られた印刷用紙、および比較例3で得られた印刷用紙のいずれかを、下記表1に示す割合で、高速ミキサーを用いて混合した後、シリンダー温度を210℃に設定した二軸混練押出機を用いて、ベント孔で脱気しながら溶融混練し、ノズルからストランドとして押出し、冷却してカッターで切断し、樹脂組成物A~Oの各ペレットを得た。
【0091】
【表1】
【0092】
(実施例1)
〔縦延伸樹脂フィルムの製造〕
樹脂組成物Dを270℃に設定した押出機(1)で溶融混練し、これをTダイからシート状に押し出し、さらにこれを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。
次いで、この無延伸シートを150℃に再加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向に4.8倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
【0093】
〔帯電防止剤塗布液の製造〕
ジメチルアミン-エピクロルヒドリン縮合物の水溶液(商品名:ユニセンスKHE104L、センカ社製、分子量:10万未満)を水で40倍に希釈して、固形分約0.5%の帯電防止剤塗布液を得た。
【0094】
〔積層〕
樹脂組成物Bを270℃に設定した押出機(2)で溶融混練し、これをTダイからシート状に押し出し、これを縦延伸樹脂フィルムの一方の面上に積層し、冷却ロールにより60℃に冷却して、二層構造の積層シートを得た。
樹脂組成物Bを270℃に設定した押出機(3)で溶融混練し、これをTダイからシート状に押し出し、二層構造の積層シートの縦延伸樹脂フィルム側の面上に積層し、冷却ロールにより60℃に冷却して、樹脂組成物B/樹脂組成物D/樹脂組成物Bで構成される三層構造の積層シートを得た。
【0095】
〔横延伸〕
得られた三層構造の積層シートを再び150℃にまで再加熱して、テンターを用いてシート幅方向に9倍延伸し、次いで165℃でアニーリング処理した。その後、再び60℃にまで冷却して、全層厚み110μm(樹脂組成物B/樹脂組成物D/樹脂組成物B=3μm/104μm/3μm)の三層延伸シートを得た。
【0096】
〔帯電防止処理〕
得られた三層延伸シートをライン速度25m/分で通過させながら、印加エネルギー密度1800J/m(30W・分/m)の条件で、三層延伸シートの両表面にコロナ放電処理を行った。
次いで、コロナ放電処理後の印刷用紙の両表面にロールコーターを用いて、帯電防止剤塗布液を乾燥後の塗膜の固形分が片面当たり0.02g/mとなるように塗布し、乾燥固化させた後、耳部をスリットして、実施例1の印刷用紙を得た。
【0097】
(実施例2~10、比較例1~4)
実施例1における樹脂組成物B、樹脂組成物Dを、表2記載の各樹脂組成物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2~10および比較例1~4の印刷用紙を製造した。
表2に各実施例および比較例の結果をまとめた。なお、表2中、POはポリオレフィン系樹脂を示す。
【0098】
【表2】
【0099】
(結果)
比較例3はメラミン類を含まないフレッシュ原料のみを使用した印刷用紙であり、白紙の熱処理後MFRに比べて印刷物の熱処理後MFRが悪化していることから、印刷インキの混入が熱劣化を引き起こしやすいことが示された。
【0100】
フレッシュ原料と、規定範囲のメラミン類とを使用した実施例1~4は、メラミン類含有量が規定範囲より少ない比較例1に比べて、白紙の熱処理後MFRにおいて良好であり、印刷物の熱処理後MFRにおいても良好であった。
【0101】
メラミン類含有量が規定範囲より多い比較例2は引張破壊応力の低下がみられるが、フレッシュ原料と、規定範囲のメラミン類とを使用した実施例1~4は、その低下量がきわめてわずかであった。
【0102】
フィラーとして同じ種類の炭酸カルシウムを同量含む実施例1~3の中で、実施例1は引張破壊応力の点で有利であり、実施例2は色相b*値上昇が小さく、メラミン添加による黄変が少ない点で有利であることが示された。
【0103】
実施例4は、フィラーとして炭酸カルシウム以外の材料を使用した例である。フィラーとしてタルクを配合することでb*値の上昇がみられた。
【0104】
再生原料を使用した実施例5~8は、本発明のメラミン類を含む印刷用紙を再生原料として使用した例であり、原料のポリオレフィンのうち5~80質量%を再生ポリオレフィンに置換できることを示している。また、再生原料は印刷層由来の重金属を含むが、このような重金属含有の再生原料を使用しつつメラミン類を含まない比較例4に対して、メラミン類を含む実施例7~9では重金属存在下の加熱を経てもb*値上昇が抑制されたことが確認できる。なお、再生原料を使用すると、使用しない場合と比べて色相におけるL*値、a*値、及びb*値はすべて低下した。
【0105】
再生原料を使用した実施例9は、メラミン類を含まない印刷用紙を再生原料として使用する例であり、再生時にメラミン類を添加することで、熱劣化の指標である引張破壊応力の低下が抑制されていることがわかる。
【0106】
実施例10はメラミン類を含む印刷用紙を再生原料として使用し、再生時にフレッシュ原料を添加した例である。メラミン類を含まない比較例3よりも、印刷物の熱処理後MFRが改善された。なお、同様の再生原料とフレッシュ原料に加え、新たに添加したメラミン類を用いた実施例7は、再生後の印刷用紙におけるメラミン類の総含有量が実施例10よりも多いため、熱処理後MFRや引張破壊応力がさらに改善されている。