(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148548
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】画像形成装置及び中間ホッパー
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20231005BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231005BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03G15/08 349
G03G15/00 303
G03G21/00 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056639
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】糸山 元幸
(72)【発明者】
【氏名】成松 正恭
(72)【発明者】
【氏名】福本 章平
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA12
2H077AA34
2H077AB02
2H077AB13
2H077AC02
2H077DA13
2H077DA15
2H077DA34
2H077DA59
2H077DA78
2H077DB02
2H077DB10
2H077GA03
2H077GA04
2H270LA87
2H270LD05
2H270LD15
2H270MA18
2H270MB28
2H270MB32
2H270QB03
2H270RA10
2H270RC05
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】中間ホッパーに収容されたトナーが空になったこと等を判断することができ、構造が簡単で比較的安価な中間ホッパーを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】中間ホッパーに収容されたトナーの量に対応した静電容量を、所定の測定回数分、測定するトナー量測定部と、静電容量の所定回数分の測定値の平均値を算出する平均値算出部と、静電容量の所定回数分の測定値の振幅値を算出する振幅値算出部と、静電容量の平均値と静電容量の振幅値を利用して、中間ホッパーに存在するトナーの量を判定するトナー量判定部と、トナー量判定部の判定結果に基づいて、中間ホッパーへのトナーの補給を制御するトナー補給制御部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが収容されたトナー補給装置と、
前記トナー補給装置から補給されるトナーを一時的に収容する中間ホッパーと、
前記中間ホッパーから補給されるトナーを利用してトナー像を形成する現像装置と、
前記中間ホッパーに収容されたトナーの量に対応した静電容量を、所定の測定回数分、測定するトナー量測定部と、
前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の平均値を算出する平均値算出部と、
前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の振幅値を算出する振幅値算出部と、
前記算出された静電容量の平均値と、前記算出された静電容量の振幅値を利用して、前記中間ホッパーに存在するトナーの量を判定するトナー量判定部と、
前記トナー量判定部の判定結果に基づいて、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を制御するトナー補給制御部とを備え、
前記振幅値は、前記測定された所定回数分の静電容量の測定値のうち、最大の測定値と最小の測定値の差であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転することによって前記中間ホッパーに収容されたトナーを攪拌し搬送するトナー攪拌部材と、
前記回転するトナー攪拌部材の先端が最高点となる上死点位置と同じ高さに備えられ、前記収容されたトナーの量に対応した静電容量を検出するトナー量検出部とをさらに備え、
前記トナー量測定部によって測定される所定の測定回数分の静電容量は、前記トナー攪拌部材が1回転する間に、所定の時間間隔で前記トナー量検出部によって検出される静電容量であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記平均値が、所定の平均値閾値以上であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下である場合に、前記トナー量判定部が、前記中間ホッパーへのトナーの補給は不要であると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記平均値が、所定の平均値閾値以下であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値よりも小さい場合に、
前記トナー量判定部が、前記中間ホッパーへのトナーの補給が必要であると判定し、
前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を開始することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーにトナーを補給している状態で、前記平均値算出部によって算出された平均値が、所定の平均値閾値以上であり、かつ、前記振幅値算出部によって算出された振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下となった場合に、
前記トナー量判定部が、前記中間ホッパーへのトナーの補給は不要であると判定し、前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を停止することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーにトナーを補給している状態で、
前記トナーの補給が開始された後、所定の設定時間が経過しても、前記平均値算出部によって算出された平均値が、所定の平均値閾値以上とならず、かつ、前記振幅値算出部によって算出された振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下とならない場合、
前記トナー量判定部は、前記トナー補給装置が空の状態であると判定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
表示部をさらに備え、
前記トナー補給装置が空の状態であり、新しいトナー補給装置に交換すべきこと示す警告メッセージを、前記表示部に表示することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間ホッパーから前記現像装置にトナーを補給している状態で、前記振幅値算出部によって算出された振幅値が、中間ホッパー内のトナーが少なくなったことを示す基準となるトナー空検出閾値よりも小さくなった場合に、
前記トナー量判定部は、前記中間ホッパー内のトナーが少なくなり、印刷ができない状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
トナーを一時的に収容する中間ホッパーであって、
トナーが収容されたトナー補給装置から補給されるトナーを取り入れる補給口と、
前記収容されているトナーを現像装置に排出する排出口と、
回転することによって前記収容されたトナーを攪拌し前記排出口の方に搬送するトナー攪拌部材と、
前記回転するトナー攪拌部材の先端が最高点となる上死点位置と同じ高さに備えられ、前記収容されたトナーの量に対応した静電容量を検出するトナー量検出部とを備え、
前記トナー量検出部によって検出される静電容量から測定された所定の測定回数分の静電容量測定値から算出された静電容量の平均値および静電容量の振幅値を利用して、中間ホッパーに存在するトナーの量が判定され、
前記判定されたトナーの量に対応させて、前記トナー補給装置からのトナーの補給が制御されることを特徴とする中間ホッパー。
【請求項10】
トナーが収容されたトナー補給装置から、前記トナーを一時的に収容する中間ホッパーにトナーを補給する画像形成装置のトナー補給制御方法であって、
画像形成装置に備えられた制御部が、
前記中間ホッパーに備えられたトナー攪拌部材が回転することによって前記中間ホッパーに収容されたトナーを攪拌し搬送するトナー攪拌ステップと、
前記回転するトナー攪拌部材の先端が最高点となる上死点位置と同じ高さに備えられた静電容量センサによって、前記収容されたトナーの量に対応した静電容量を検出するトナー量検出ステップと、
前記トナー攪拌部材が1回転する間に、所定の時間間隔で検出される静電容量を、
所定の測定回数分、測定するトナー量測定ステップと、
前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の平均値を算出する平均値算出ステップと、
前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の振幅値を算出する振幅値算出ステップと、
前記算出された静電容量の平均値と、前記算出された静電容量の振幅値を利用して、前記中間ホッパーに存在するトナーの量を判定するトナー量判定ステップと、
前記トナー量判定ステップの判定結果に基づいて、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を制御するトナー補給制御ステップとを実行させることからなることを特徴とする画像形成装置のトナー補給制御方法。
【請求項11】
前記振幅値は、前記測定された所定回数分の静電容量の測定値のうち、最大の測定値と最小の測定値の差であり、
前記平均値が、所定の平均値閾値以上であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下である場合に、前記トナー量判定ステップにおいて、前記中間ホッパーへのトナーの補給は不要であると判定し、
前記平均値が、所定の平均値閾値以下であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値よりも小さい場合に、前記トナー量判定ステップにおいて、前記中間ホッパーへのトナーの補給が必要であると判定し、さらに、前記トナー補給制御ステップにおいて、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を開始することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置のトナー補給制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び中間ホッパーに関し、特に、中間ホッパーに収容されているトナーを現像装置へ導いて、電子写真方式により画像形成を行う静電複写機、レーザープリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置と、現像装置に補給されるトナーを一時的に収容する中間ホッパーと、トナーが収容されたトナー補給装置から中間ホッパーにトナーを補給する画像形成装置のトナー補給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラム(トナー像担持体)の表面に静電潜像を形成し、現像装置によって感光体ドラムに対してトナーを供給して静電潜像を現像し、現像によって感光体ドラムに形成されたトナー像を用紙等のシートに転写して、定着装置によってシートにトナー像を定着させるようになっている。
【0003】
画像形成を行うごとにトナーが消費されるので、トナーカートリッジに貯蔵されたトナーが、現像装置に補給される。今日、トナーカートリッジから、現像装置に対して直接トナーを補給するのではなく、一時的にトナーを収容することのできる中間ホッパーが用いられた画像形成装置がある。
この装置では、トナーカートリッジに貯蔵されたトナーは、中間ホッパーに供給され、中間ホッパーに供給されたトナーが、現像装置へ補給される。
【0004】
このような中間ホッパーを設けることにより、カートリッジ内にトナーがなくなったとしても、中間ホッパー内にトナーが収容されているので、画像形成装置の印刷動作を停止させることなく、空になったトナーカートリッジを取り外して、新しいトナーカートリッジに交換するために必要な時間を確保することができる。
すなわち、中間ホッパーを備えた場合、トナーカートリッジを交換中において画像形成動作(コンティニュアスランと呼ぶ)を続けることが可能となる。
【0005】
この中間ホッパーに収容されたトナーが空になったことを検出するために、中間ホッパーのトナー排出口付近の底面に圧電センサを備え、圧電センサでトナーの重さを測定し、測定されたトナーの重さが所定値以下の重さになった場合に、トナーカートリッジから、所定量のトナーを中間ホッパーに補給することが行われている。
【0006】
また、中間ホッパーに収容されたトナーの量を検出するセンサとして、静電容量方式のセンサを用いるものも利用されている。
例えば、特許文献1では、現像器に補給されるトナーを蓄積する中間ホッパーに相当するバッファー部と、バッファー部の壁面に設けられ、誘電率を検知する2つの静電容量センサとを有し、一方の静電容量センサの出力電圧Vaを補正した補正値Vcと、他方の静電容量センサの出力電圧Vbとの電位差Vbcを算出し、電位差Vbcと所定の閾値Vtによってバッファー部内のトナーが目標値以上あるか否かを識別し、電位差Vbcが閾値Vt未満である場合、トナーボトルからバッファー部にトナーを補給し始め、その後、所定時間以上経過しても電位差Vbcが閾値Vt未満である場合には、トナーボトルの交換メッセージを表示するようにした画像形成装置が記載されている(
図2、
図8、段落0027、0051-0056参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、圧電センサを利用して中間ホッパーに収容されたトナーの有無を検出するものでは、圧電センサのトナー検出面にトナーが付着する場合があり、このトナー検出面にトナーが付着している場合には、中間ホッパーに収容されたトナーの残量が少ないにもかかわらず、トナーの残量が多く補給する必要はないと判断し、トナーの残量を誤検知してしまう場合があった。
【0009】
さらに、圧電センサを利用するものでは、誤検知を防止するために、圧電センサのトナー検出面をクリーニングするためのトナー除去部材を設ける必要があり、構造が複雑になり価格も高価なものとなっていた。
【0010】
また、中間ホッパーに収容されたトナーの量を検出するセンサとして、静電容量方式のセンサを用いる特許文献1では、静電容量センサの出力電圧を利用することによって、バッファー部に収容されたトナーの量が目標値以上存在するか否かを識別することはできたが、バッファー部に収容されたトナーが空になったことを判断することは困難であった。
【0011】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、静電容量の測定値を利用して中間ホッパーに収容されたトナーの量を検出することにより、中間ホッパーに収容されたトナーの量の誤検知を防止するとともに、中間ホッパーに収容されたトナーが空になったこと等を判断することができ、中間ホッパーの内部にトナー量検出部材をクリーニングするためのトナー除去部材を設ける必要がなく、中間ホッパーの構造を簡単にして比較的安価な中間ホッパーを提供することができ、さらに、その中間ホッパーを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、トナーが収容されたトナー補給装置と、前記トナー補給装置から補給されるトナーを一時的に収容する中間ホッパーと、前記中間ホッパーから補給されるトナーを利用してトナー像を形成する現像装置と、前記中間ホッパーに収容されたトナーの量に対応した静電容量を、所定の測定回数分、測定するトナー量測定部と、前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の平均値を算出する平均値算出部と、前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の振幅値を算出する振幅値算出部と、前記算出された静電容量の平均値と、前記算出された静電容量の振幅値を利用して、前記中間ホッパーに存在するトナーの量を判定するトナー量判定部と、前記トナー量判定部の判定結果に基づいて、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を制御するトナー補給制御部とを備え、前記振幅値は、前記測定された所定回数分の静電容量の測定値のうち、最大の測定値と最小の測定値の差であることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0013】
また、回転することによって前記中間ホッパーに収容されたトナーを攪拌し搬送するトナー攪拌部材と、前記回転するトナー攪拌部材の先端が最高点となる上死点位置と同じ高さに備えられ、前記収容されたトナーの量に対応した静電容量を検出するトナー量検出部とをさらに備え、前記トナー量測定部によって測定される所定の測定回数分の静電容量は、前記トナー攪拌部材が1回転する間に、所定の時間間隔で前記トナー量検出部によって検出される静電容量であることを特徴とする。
【0014】
また、前記平均値が、所定の平均値閾値以上であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下である場合に、前記トナー量判定部が、前記中間ホッパーへのトナーの補給は不要であると判定することを特徴とする。
【0015】
また、前記平均値が、所定の平均値閾値以下であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値よりも小さい場合に、前記トナー量判定部が、前記中間ホッパーへのトナーの補給が必要であると判定し、前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を開始することを特徴とする。
【0016】
また、前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーにトナーを補給している状態で、前記平均値算出部によって算出された平均値が、所定の平均値閾値以上であり、かつ、前記振幅値算出部によって算出された振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下となった場合に、前記トナー量判定部が、前記中間ホッパーへのトナーの補給は不要であると判定し、前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を停止することを特徴とする。
【0017】
また、前記トナー補給制御部が、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーにトナーを補給している状態で、前記トナーの補給が開始された後、所定の設定時間が経過しても、前記平均値算出部によって算出された平均値が、所定の平均値閾値以上とならず、かつ、前記振幅値算出部によって算出された振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下とならない場合、前記トナー量判定部は、前記トナー補給装置が空の状態であると判定することを特徴とする。
【0018】
また、表示部をさらに備え、前記トナー補給装置が空の状態であり、新しいトナー補給装置に交換すべきこと示す警告メッセージを、前記表示部に表示することを特徴とする。
【0019】
また、前記中間ホッパーから前記現像装置にトナーを補給している状態で、前記振幅値算出部によって算出された振幅値が、中間ホッパー内のトナーが少なくなったことを示す基準となるトナー空検出閾値よりも小さくなった場合に、前記トナー量判定部は、前記中間ホッパー内のトナーが少なくなり、印刷ができない状態であると判定することを特徴とする。
【0020】
また、この発明は、トナーを一時的に収容する中間ホッパーであって、トナーが収容されたトナー補給装置から補給されるトナーを取り入れる補給口と、前記収容されているトナーを現像装置に排出する排出口と、回転することによって前記収容されたトナーを攪拌し前記排出口の方に搬送するトナー攪拌部材と、前記回転するトナー攪拌部材の先端が最高点となる上死点位置と同じ高さに備えられ、前記収容されたトナーの量に対応した静電容量を検出するトナー量検出部とを備え、前記トナー量検出部によって検出される静電容量から測定された所定の測定回数分の静電容量測定値から算出された静電容量の平均値および静電容量の振幅値を利用して、中間ホッパーに存在するトナーの量が判定され、前記判定されたトナーの量に対応させて、前記トナー補給装置からのトナーの補給が制御されることを特徴とする中間ホッパーを提供するものである。
【0021】
また、この発明は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、前記現像装置にトナーを供給する中間ホッパーと、前記中間ホッパーにトナーを補給するトナー補給装置と、前記感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備え、前記中間ホッパーは、上記に記載した中間ホッパーであることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0022】
また、この発明は、トナーが収容されたトナー補給装置から、前記トナーを一時的に収容する中間ホッパーにトナーを補給する画像形成装置のトナー補給制御方法であって、画像形成装置に備えられた制御部が、前記中間ホッパーに備えられたトナー攪拌部材が回転することによって前記中間ホッパーに収容されたトナーを攪拌し搬送するトナー攪拌ステップと、前記回転するトナー攪拌部材の先端が最高点となる上死点位置と同じ高さに備えられた静電容量センサによって、前記収容されたトナーの量に対応した静電容量を検出するトナー量検出ステップと、前記トナー攪拌部材が1回転する間に、所定の時間間隔で検出される静電容量を、所定の測定回数分、測定するトナー量測定ステップと、前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の平均値を算出する平均値算出ステップと、前記測定された静電容量の所定回数分の測定値の振幅値を算出する振幅値算出ステップと、前記算出された静電容量の平均値と、前記算出された静電容量の振幅値を利用して、前記中間ホッパーに存在するトナーの量を判定するトナー量判定ステップと、前記トナー量判定ステップの判定結果に基づいて、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を制御するトナー補給制御ステップとを実行させることからなることを特徴とする画像形成装置のトナー補給制御方法を提供するものである。
【0023】
また、前記振幅値は、前記測定された所定回数分の静電容量の測定値のうち、最大の測定値と最小の測定値の差であり、前記平均値が、所定の平均値閾値以上であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値以下である場合に、前記トナー量判定ステップにおいて、前記中間ホッパーへのトナーの補給は不要であると判定し、前記平均値が、所定の平均値閾値以下であり、かつ、前記振幅値が、トナーが十分存在することを示す所定の基準となる振幅値閾値よりも小さい場合に、前記トナー量判定ステップにおいて、前記中間ホッパーへのトナーの補給が必要であると判定し、さらに、前記トナー補給制御ステップにおいて、前記トナー補給装置から前記中間ホッパーへのトナーの補給を開始することを特徴とする画像形成装置のトナー補給制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、中間ホッパーに収容されたトナーの量に対応した静電容量を、所定の測定回数分、測定するトナー量測定部と、静電容量の平均値と静電容量の振幅値を利用して中間ホッパーに存在するトナーの量を判定するトナー量判定部と、トナー量判定部の判定結果に基づいて、トナー補給装置から中間ホッパーへのトナーの補給を制御するトナー補給制御部とを備えるので、中間ホッパーに収容されたトナーの量の誤検知を防止することができ、中間ホッパーに収容されたトナーが空になったこと等を判断することができ、さらに、中間ホッパーの内部にトナー量検出部材をクリーニングするためのトナー除去部材を設ける必要がないので、中間ホッパーの構造を簡単にすることができ、比較的安価な中間ホッパーを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の画像形成装置の一実施例の構成ブロック図である。
【
図2】この発明の画像形成装置におけるトナー補給ブロックの一実施例の概略構成説明図である。
【
図3】この発明の画像形成装置におけるトナー補給ブロックの一実施例のトナーの流れの説明図である。
【
図4】この発明の中間ホッパーの一実施例の概略構成を示す断面図である。
【
図5】この発明の中間ホッパーの一実施例の概略構成を示す断面図である。
【
図6】この発明の中間ホッパーに備えられたトナー攪拌部材の一実施例の概略説明図である。
【
図7】この発明の画像形成装置の記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図8】この発明の画像形成装置の記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図9】この発明の画像形成装置における中間ホッパーのトナー補給制御処理の一実施例のフローチャートである。
【
図10】この発明の画像形成装置における中間ホッパーのトナー補給制御処理の一実施例のフローチャートである。
【
図11】この発明の画像形成装置における中間ホッパーから現像装置へのトナー補給制御処理の一実施例のフローチャートである。
【
図12】この発明の画像形成装置の一実施例の概略全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照しながら、本発明の画像形成装置と中間ホッパーの実施形態を詳説する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
<画像形成装置の構成>
図12に、本発明に係る中間ホッパーを備えた画像形成装置の一実施例の全体構成の説明図を示す。
この画像形成装置100は、外部から伝達される画像データに応じて、シート状の記録媒体(記録用紙)に多色または単色の画像を形成する装置である。
【0027】
図12の実施形態では、画像形成装置としてフルカラープリンターの場合を例示している。ただし、画像形成装置としては、外部から伝達される画像データおよび/またはスキャナによって原稿から読み取った画像データに応じても記録媒体に多色または単色の画像を形成することができるコピー機、ファクシミリ装置またはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
【0028】
画像形成装置100は、主に、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、現像装置にトナーを供給する中間ホッパーと、中間ホッパーにトナーを補給するトナー補給装置と、感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、トナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備える。
【0029】
画像形成装置100には、4つの感光体ドラム3a~3d、各感光体ドラム3a~3dの表面を帯電させる4つの帯電器(帯電装置)5a~5dと、各感光体ドラム3a~3dの表面にレーザー光を照射して静電潜像を形成するレーザースキャナーユニット(露光装置)1と、黒、シアン、マゼンタおよびイエローのトナーを個別に収容して各感光体ドラム3a~3dの表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する4つの現像装置2a~2dと、現像および画像転写後の各感光体ドラム3a~3dの表面に残存する残留トナーを除去するクリーナユニット4a~4dと、各現像装置2a~2dに前記4色のトナーを個別に補給する4つの中間ホッパー8a~8dと、各中間ホッパー8a~8dに前記4色のトナーを個別に補給する4つのトナー補給装置(トナーカートリッジ)9a~9dと、各感光体ドラム3a~3dの表面のトナー像が転写される中間転写ベルト7と、各感光体ドラム3a~3dの表面のトナー像を中間転写ベルト7の表面に転写する中間転写ローラー6a~6dおよび中間転写ベルト7の表面のトナー像を記録媒体に転写する転写ローラー11を有する転写装置と、記録媒体を収容する給紙トレイ10と、給紙トレイ10から記録媒体をピックアップするピックアップローラー16と、給紙トレイ10から転写ローラー11へ記録媒体を搬送する搬送ローラー17aと、記録媒体上に転写されたトナー画像を定着させる定着装置12と、定着装置12から記録媒体を画像形成装置100外部へ搬送する搬送ローラー17bおよび17cなどが収容されている。
画像形成装置100の上面は排紙トレイ15とされている。
【0030】
また、転写装置は、転写ローラ11、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、中間転写ベルト7の他に、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、図示しない中間転写ベルトテンション機構を備えている。
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構は、中間転写ベルト7を張架し、
図12の矢印B方向に中間転写ベルト7を回転駆動させるものである。
【0031】
ここで、a~dの符号は、aが黒画像形成用の部材、bがシアン画像形成用の部材、cがマゼンタ画像形成用の部材、dがイエロー画像形成用の部材であることを示したものである。
この画像形成装置100では、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4つの色成分毎の画像データに基づいて、各感光体ドラム3a~3dの表面に、黒トナー画像、シアントナー画像、マゼンタトナー画像およびイエロートナー画像が選択的に形成される。そして、これらの形成された各トナー画像が中間転写ベルト7上で重ねられ、記録媒体上に1つのカラー画像が形成される。
【0032】
<画像形成装置の機能ブロック>
画像形成装置(MFP:Multifunction Peripheral)は、画像データを処理する装置であり、画像データの入力、形成、出力、保存、転送等を行う。
図1に、画像形成装置の一実施例の構成ブロック図を示す。
図2に、画像形成装置におけるトナー補給ブロックの一実施例の概略構成説明図を示す。
図3に、画像形成装置におけるトナー補給ブロックの一実施例のトナーの流れの説明図を示す。
【0033】
図1において、この発明の画像形成装置MFPは、主として、制御部111、操作部112、表示部113、画像処理部114、中間ホッパー116、トナー攪拌部材117、トナー量検出部(静電容量センサ)118、中間ホッパー攪拌制御部121、トナー量測定部122、平均値算出部123、振幅値算出部124、トナー量判定部125、中間ホッパー補給制御部126、現像装置補給制御部127、警告表示制御部128、記憶部140を備える。
図1における画像処理部114は、後述するように、主に、画像入力部、画像形成部、画像出力部から構成される。
中間ホッパー補給制御部126は、上記したトナー補給制御部に相当する。
【0034】
画像形成装置100におけるトナー補給ブロックは、
図2に示すように、トナーカートリッジ101と、中間ホッパー116と、現像装置102とからなるものとする。
トナーカートリッジ101は、新しいトナー151が収容された容器であり、内部に収容されたトナー151を、中間ホッパー116に補給する装置であり、上記した
図12のトナー補給装置(9a~9d)に相当する。
【0035】
中間ホッパー116は、トナーカートリッジ101から補給されるトナー151を一時的に収容し、現像装置102内の不足分のトナーを現像装置102に補給するトナー一時収容装置であり、上記した
図12の中間ホッパー(8a~8d)に相当する。
現像装置102は、中間ホッパーから補給されるトナー151を利用して、帯電した感光体ドラムの表面に形成された静電潜像を現像し、静電潜像に対応したトナー像を形成する装置であり、上記した
図12の現像装置(2a~2d)に相当する。
【0036】
図3には、トナーカートリッジ101から現像装置102までのトナー補給ブロックにおけるトナーの流れの概略を示している。
図3に示すように、中間ホッパー116は、紙面の左右方向に細長い円筒形状の容器であり、トナーの補給口152と、トナーの排出口153を備える。
補給口152は、トナーが収容されているトナー補給装置(トナーカートリッジ)101から補給されるトナー151aを取り入れる開口部である。
排出口153は、中間ホッパー116に収容されているトナーを現像装置102に排出する開口部である。
補給口152と排出口153には、それぞれ開閉する蓋が取り付けられ、必要な時に、蓋を開閉して、トナーの取り入れと排出を行うようにしてもよい。
【0037】
また、中間ホッパー116の内部には、主に、トナー攪拌部材117と、トナー量を検出する静電容量センサ118が備えられる。
トナー攪拌部材117は、所定の回転軸の周りに回転する部材であり、回転することによって中間ホッパー116に収容されたトナーを攪拌し、搬送する部材である。
【0038】
静電容量センサ118は、中間ホッパー116内に収容されたトナーの量に対応した静電容量を検出する部材であり、トナー量検出部に相当する。
静電容量センサ118は、中間ホッパー116の内部に備えられ、たとえば、
図3の紙面の左右方向に細長い円柱形状のセンサであり、回転するトナー攪拌部材117の先端が最高点となる上死点位置と同じ高さに取り付けられる。
また、たとえば、中間ホッパー116の内部に、静電容量センサ118の表面を超える程度の十分なトナーが存在する場合は、静電容量センサ118から出力される静電容量に相当する信号を測定することによって、十分なトナーが存在することが検出され、トナーカートリッジ101からトナーを補給する必要がないと判断される。
【0039】
図1の制御部111は、操作部112や画像処理部114などの各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、ROM等の不揮発性メモリに予め格納された制御プログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の画像形成機能、トナー補給機能などを実行する。
【0040】
この発明では、特に、制御部111が、トナー量に関する情報を取得し、取得された情報を利用して、ハードウェアを有機的に動作させ、トナーが収容されたトナー補給装置から、トナーを一時的に収容する中間ホッパーにトナーを補給する画像形成装置のトナー補給制御方法を実行させる。
【0041】
また、上記構成要素のうち、トナー量測定部122、平均値算出部123、振幅値算出部124、トナー量判定部125は、CPUが、所定のプログラムに基づいてそれぞれの処理を実行する機能ブロックである。
【0042】
操作部112は、画像形成装置MFPのユーザーが所定の入力操作をするための入力装置である。たとえば、文字などの情報の入力や、機能の選択入力をする部分であり、キーボード、マウス、タッチパネルなどが用いられる。
ユーザーが操作するキーとしては、動作開始キー、機能選択キー、設定キーなどがある。
ユーザーは、たとえば、タッチパネルや読み取り動作の開始キーを入力する操作をすることによって、原稿の読み取りを実行させたり、画像データ等の情報の送信を開始させる送信開始キーを入力する操作をすることによって、所定の宛先に情報を送信する動作を開始させたりする。
【0043】
表示部113は、情報を表示する部分であり、各機能の実行に必要な情報や、機能の実行の結果などを、利用者に知らせるために表示する。たとえば、LCD、有機ELディスプレイなどが用いられ、操作部112としてタッチパネルが用いられる場合は、表示部113とタッチパネルとが重ね合わせて配置される。
表示部113には、たとえば、印刷機能等に利用する設定項目の設定や、原稿読取機能等を実行するのに必要な情報や、選択した機能の操作画面などが、文字、記号、図形、画像、アイコン、アニメーション、動画等を用いて、表示される。
【0044】
また、この発明では、たとえば、トナーカートリッジが空になったことや、中間ホッパー116内のトナーが無くなったことなどを検出した場合には、それらの検出内容に対応した警告表示をする。
【0045】
画像処理部114は、画像形成装置MFPの主要な機能である画像形成機能を実行する部分であり、主に、画像入力部、画像形成部、および、画像出力部からなる。
主として、画像入力部は、所定の画像データを入力する部分であり、画像形成部は、入力された画像データを印刷等することのできる情報に変換する部分であり、画像出力部は、形成された印刷情報等を印刷用紙等に出力する部分である。
【0046】
画像入力部は、印刷することを目的とした印刷データなど、画像や文字図形等が記載された原稿の画像データを入力する部分であり、たとえば、原稿台等に載置された原稿を読み取る部分である。
画像入力部としては、情報が記載された原稿を読み取るスキャナ(読取装置)を用いる。
画像形成装置は、原稿を読み取るために、原稿が載置される原稿載置台(原稿台)と、原稿を抑える原稿カバーとを備える。
また、複数枚の原稿を載置して、複数の原稿を1枚ずつ自動的に搬送して読み取る自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)を備えてもよい。
【0047】
画像情報を入力する方法には種々の方法があるが、たとえば、画像等が記載された原稿をスキャナで読み取り、原稿の画像データ(以下、入力画像データと呼ぶ)を、記憶部140に記憶する。
【0048】
また、たとえば、USBメモリなどの外部の記憶媒体を接続するインターフェースが、画像入力部に該当する。
入力したい画像情報などの電子データファイルを、USBメモリなどの外部の記憶媒体に保存しておき、USBメモリ等をUSB端子などの入力インターフェースに接続し、操作部112で所定の入力操作を行うことによって、USBメモリ等に保存された所望の電子データファイルを読み出して、記憶部140に、入力画像データとして記憶してもよい。
【0049】
画像形成部は、たとえば、印刷データを記録媒体に印刷する場合、一般的に、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電、及び定着の各工程を連続的に実施して、印刷データを記録媒体に形成する。
現像工程では、トナーカートリッジ101から中間ホッパー116を経由して、トナーを現像装置102に補給し、帯電した感光体ドラムの表面に形成された静電潜像が現像され、静電潜像に対応したトナー像が形成される。感光体ドラムの表面に形成されたトナー像は転写装置によって記録媒体上に転写され、その後、定着装置によって加熱されることにより記録媒体上に定着させられる。また、画像形成部は、入力画像データを転送や表示できる形態の情報に変換する。
【0050】
画像出力部は、形成された入力画像データを出力する部分であり、たとえば、プリンターに相当する。
ただし、入力画像データの出力は、印刷に限るものではなく、スキャンされた原稿の入力画像データの記憶、スキャンされた原稿の入力画像データのFAX送信なども含まれる。
たとえば、読み取られた原稿の入力画像データをUSBメモリなどの外部の記憶媒体へ記憶すること、インターネットなどのネットワークを介して他の情報処理装置やサーバーへ入力画像データを送信すること、特定の保存フォルダに分類保存すること等も、画像出力に相当する。
【0051】
中間ホッパー116は、すでに説明したように、トナー攪拌部材117と静電容量センサ118を備え、トナーカートリッジから補給されたトナーを一時的に収容する容器である。
【0052】
トナー量検出部118は、中間ホッパー116内に存在するトナーの量に対応する信号を出力するものであり、この発明では、上記したように、トナー量検出部118としては、トナーの誘電率に対応して変化する静電容量を測定することのできる静電容量センサを利用する。
静電容量センサは、たとえば、所定の距離だけ離して対向配置された2つの電極からなり、2つの電極間に発生する電界強度に対応する信号を出力する。
この電界強度に対応する信号の出力値が、静電容量に相当する。
また、静電容量センサを利用して、中間ホッパー116内に存在するトナーの絶対量を測定するのではなく、主として、静電容量センサから出力される静電容量に対応する測定値(静電容量測定値)を利用して、静電容量センサの設置位置付近に、トナーが存在するか否かと、トナーの量の変化を測定する。
中間ホッパー116の構成の実施例については、後述する。
【0053】
中間ホッパー攪拌制御部121は、トナー攪拌部材117の動作を制御する部分である。
たとえば、中間ホッパー116内のトナーを撹拌する場合、トナーカートリッジ101から中間ホッパー116にトナーを補給するとき、あるいは、中間ホッパー116から現像装置102にトナーを排出するときに、トナー攪拌部材117を回転させる。
【0054】
トナー量測定部122は、トナー量検出部118である静電容量センサから出力される信号を利用して、中間ホッパーに収容されたトナーの量に対応した静電容量を、所定の測定回数分、測定する部分である。
測定された静電容量の数値は、静電容量測定値(Vc)146として記憶部140に記憶する。
たとえば、トナー量測定部122によって測定される所定の測定回数分の静電容量は、トナー攪拌部材117が1回転する間に、所定の時間間隔でトナー量検出部118によって検出される静電容量である。
1つの静電容量測定値(Vc)146は、ある時刻における1回分の測定値であるが、トナー攪拌部材117を回転させることによって、静電容量センサの近傍のトナー量が変化し、半回転毎にピークを持つ略正弦波の波形となり、静電容量測定値もばらつきが生じるので、以下に説明するように、所定測定回数分の静電容量測定値Vcの平均値と振幅値を算出する。
この平均値と振幅値を利用して、中間ホッパー116内のトナーの量や、トナーの補給の必要性を判断する。
【0055】
平均値算出部123は、トナー量測定部122によって測定された静電容量の所定回数分の測定値(静電容量測定値Vc)の平均値を算出する部分である。
静電容量測定値Vcの平均値Vaは、測定回数分の静電容量測定値Vcを加算した数値を、測定回数で除算することにより算出される。
測定回数をNとし、N回分の静電容量測定値を、それぞれ、Vc1、Vc2、Vc3、………、VcNとすると、静電容量測定値Vcの平均値Vaは、次式により計算される。
静電容量測定値の平均値Va=(Vc1+Vc2+Vc3+………+VcN)/N
【0056】
たとえば、トナー攪拌部材117が2秒間に1回転する場合、100msecごとに、1周期(2秒)の二分の一(1/2回転)の倍数時間連続で測定し、静電容量センサから静電容量測定値Vcを取得する。
この場合、トナー攪拌部材117が1回転する間に、20回分の静電容量測定値Vcが取得される。
トナー攪拌部材117が2秒間に1回転する場合、1秒ごとに、トナー攪拌部材117の先端が最高点(上死点)に来るので、20回分の静電容量測定値Vcには、トナー攪拌部材117の先端が最高点(上死点)に来たときの測定値が、2回分含まれる。
【0057】
平均値を算出する測定回数Nを20とした場合、2秒の間に測定された静電容量測定値(Vc1、Vc2、Vc3、………、Vc20)を加算した数値を20で除算したものが平均値Vaとなる(Va=(Vc1+Vc2+Vc3+………+Vc20)/20)。
静電容量測定値Vcの平均値Vaは、記憶部140に記憶される平均値情報147に相当する。
【0058】
たとえば、中間ホッパー116の内部に十分な量のトナーが収容されている場合は、静電容量測定値Vcの平均値Vaは、比較的大きな数値を示す。
一方、中間ホッパー116の内部のトナーが少なくなってきた場合は、静電容量測定値Vcの平均値Vaは、比較的小さな数値を示すことになる。
したがって、平均値Vaが、所定の閾値よりも少なくなった場合には、中間ホッパー116の内部のトナーが減少傾向にあると判断される。
【0059】
振幅値算出部124は、トナー量測定部122によって測定された静電容量の所定回数分の測定値(静電容量測定値Vc)から、静電容量測定値の振幅値を算出する部分である。
静電容量測定値の振幅値Vwとは、トナー量測定部122によって測定された所定回数分の静電容量測定値Vcのうち、最大の測定値(最大値:Vcmax)と、最小の測定値(最小値:Vcmin)との差を意味する。
すなわち、振幅値Vwは、Vw=Vcmax-Vcminにより算出される。
1周期(2秒)の二分の一(1/2回転)の倍数時間連続で測定し、例えば2秒間の測定回数Nを20とした場合、2秒の間に測定された20個の静電容量測定値(Vc1、Vc2、Vc3、………、Vc20)のうち、最大の測定値(最大値:Vcmax)と、最小の測定値(最小値:Vcmin)を選択して、Vcmax-Vcminにより、振幅値Vwを計算する。
【0060】
たとえば、後述する
図5に示すように、静電容量センサの配置位置よりも上方のトナー上限面付近で、中間ホッパー116の内部に十分な量のトナーが収容されており、静電容量センサが配置された位置付近に常にトナーが存在する状態では、トナー液面の高さに従い静電容量測定値Vcの平均値Vaは大きくなり、静電容量センサから取得される静電容量測定値の振幅値Vwは、ほとんど変化しない。
すなわち、この場合、静電容量測定値Vcの平均値Vaは大きくなり静電容量測定値の振幅値Vwは、小さな数値となる。
【0061】
しかし、中間ホッパー116の内部に十分な量のトナーが収容された状態からトナーが減少した場合、トナー攪拌部材117が回転して、静電容量センサが配置された位置付近までトナーが汲み上げられた状態では、その汲み上げられたトナーによって、一時的に比較的大きな静電容量測定値Vcが測定される。
一方、トナー攪拌部材117がさらに回転し、汲み上げられたトナーが自由落下する状態では、静電容量センサの配置位置付近のトナーが少なくなる場合があるので、一時的に比較的小さな静電容量測定値Vcが測定される場合がある。
【0062】
すなわち、中間ホッパー116の内部に十分な量のトナーが収容された状態からトナーが減少した後述する
図5に示すトナー上限面より下で下限面より上にトナーの液面がある場合、トナー攪拌部材117の回転に従って、静電容量測定値Vcは大きく上下し、静電容量測定値の振幅値Vwは大きくなるとともに、トナーの液面の下降に従い静電容量測定値Vcの平均値Vaは小さくなる。
【0063】
さらに中間ホッパー116の内部のトナーが減少した場合、たとえば、後述する
図5に示すように、静電容量センサの配置位置よりも下方のトナー下限面付近に、トナーの上面がある場合には、トナー攪拌部材117の回転に伴って、静電容量測定値Vcの変化は減少し、静電容量測定値の振幅値Vwは比較的小さな数値となるとともにトナーの液面の下降に従い静電容量測定値Vcの平均値Vaはさらに小さくなる。
【0064】
トナー量判定部125は、中間ホッパー116の内部に存在するトナーの量を判定する部分である。
トナーの量の判定には、上記した平均値算出部123によって算出された静電容量の平均値(静電容量測定値の平均値Va)と、上記した振幅値算出部124によって算出された静電容量の振幅値(静電容量測定値の振幅値Vw)とを利用し、それぞれ、後述するような平均値閾値(Vao1、Vao2 (Vao1≧Vao2、Vao1とVao2は同じでも良い))と、振幅値閾値Vwoと比較して、中間ホッパー116へのトナーの補給が必要か否かとトナー補給の終了の判定を行う。
振幅値閾値Vwoは、中間ホッパー116にトナーが十分存在すること、またはトナー補給の為の下限を示す所定の基準となる閾値である。
平均値閾値Vao1は、トナーを補給している時に、トナー量が上限以上になったら補給を停止するための上限の閾値(満杯検知上限値)の1つである。
平均値閾値Vao2は、トナーが消費されトナー量が下限以下になったらトナーを補給するための下限の閾値の1つである。
【0065】
たとえば、平均値Vaが、所定の平均値閾値Vao1以上であり、かつ、振幅値Vwが、所定の振幅値閾値Vwo以下である場合(Va≧Vao1、Vw≦Vwo)に、トナー量判定部125は、中間ホッパー116には十分な量のトナーが存在していると判断し、中間ホッパー116へのトナーの補給は不要であると判定し、トナー補給装置101からの補給を停止する。
【0066】
一方、平均値Vaが、所定の平均値閾値Vao2以下であり(Va≦Vao2)、かつ、振幅値Vwが、所定の振幅値閾値Vwoよりも小さい場合(Vw≦Vwo)に、トナー量判定部125は、中間ホッパー116にはトナーの残量が少なくなっていると判断し、中間ホッパー116へのトナーの補給が必要であると判定する。
この場合、後述する中間ホッパー補給制御部126が、トナー補給装置101から中間ホッパー116へのトナーの補給を開始する。
【0067】
また、トナー補給装置101から中間ホッパー116にトナーの補給が行われている状態で、平均値算出部123によって算出された平均値Vaが、所定の平均値閾値Vao1以上であり、かつ、振幅値算出部124によって算出された振幅値Vwが、所定の振幅値閾値Vwo以下となった場合(Va≧Vao1、Vw≦Vwo)に、トナー量判定部125は、中間ホッパー116には十分な量のトナーが補給されたと判断し、中間ホッパー116へのトナーの補給は不要であると判定する。
この場合、後述する中間ホッパー補給制御部126が、トナー補給装置101から中間ホッパー116へのトナーの補給を停止する。
【0068】
一方、トナー補給装置101から中間ホッパー116にトナーの補給が行われている状態で、トナーの補給が開始された後、所定時間(T1)経過しても、上限検知のVa≧Vao1かつVw≦Vwoにならなかった場合は、トナー量判定部125は、トナー補給装置101から中間ホッパー116へのトナーの補給がないので、トナー補給装置(トナーカートリッジ)101が空の状態になっていると判定する。
【0069】
以上のようなトナー量判定部125の判定結果に基づいて、中間ホッパー116へのトナーの補給を開始したり、中間ホッパー116へのトナーの補給を停止したり、トナーカートリッジの交換する必要があることを示す警告表示をしたりする。
【0070】
中間ホッパー補給制御部126は、トナー量判定部125の判定結果に基づいて、トナー補給装置(トナーカートリッジ)101から中間ホッパー116へのトナーの補給を制御する部分である。
上記したようなトナー量判定部125の判定結果に基づいて、中間ホッパー116の補給口の開閉やトナーカートリッジ101の動作を制御し、トナーカートリッジ101から、中間ホッパー116へのトナーの補給を開始したり、停止したりする。
【0071】
現像装置補給制御部127は、中間ホッパー116から現像装置102へのトナーの補給を制御する部分である。
現像装置102には、主に、現像装置の内部に存在するトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサが備えられているので、トナー濃度検出センサ等から取得される信号に基づいて、中間ホッパー116から現像装置102へのトナーの補給を開始したり、停止したりする。
【0072】
あるいは、中間ホッパー116から現像装置102にトナーを補給している状態で、振幅値算出部124によって算出された振幅値Vwが、中間ホッパー内のトナーが少なくなったことを示す所定の基準となる閾値(後述するトナー空検出閾値Vwe)よりも小さくなった場合に、トナー量判定部125は、中間ホッパー内のトナーが少なくなり、印刷ができない状態であると判定する。
この場合、印刷を継続すると正常な印刷ができなくなるおそれがあるので、現像装置102へのトナーの補給動作を停止し、印刷処理そのものも停止することが好ましい。
【0073】
警告表示制御部128は、画像形成装置を利用するユーザーや、画像形成装置の管理担当者に対しての所定の警告メッセージを、表示部113に表示する部分である。
たとえば、トナー補給装置(トナーカートリッジ)102が空の状態であると判定された場合には、トナーカートリッジが空の状態であることや、新しいトナーカートリッジに交換すべきことを示す警告メッセージを、表示部113に表示する。
また、中間ホッパー116内のトナーが無くなったと判定した場合には、中間ホッパー116から現像装置102へのトナーの補給が無くなったことや、印刷処理をすることができなくなったことを、表示部113に表示する。
ただし、警告メッセージは、表示部13に表示するだけでなく、あるいは、表示に代えて、ユーザー等に対して、表示以外の手段、たとえば、音声で通知してもよい。
【0074】
記憶部140は、この発明の画像処理装置MFPの各機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDD、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
予め固定的に設定され変更されることのない情報は、ROMなどのメモリに記憶され、予め固定的に設定されるが変更されることがある情報は、フラッシュメモリやHDDなどの不揮発性メモリに記憶され、一時的に記憶される情報は、RAMなどの揮発性メモリや、フラッシュメモリ、HDDなどに記憶される。
【0075】
記憶部140には、たとえば、平均値閾値141、振幅値閾値142、下限閾値143、上限閾値144、トナー空検出閾値145、静電容量測定値146、平均値情報147、振幅値情報148などが記憶される。
図7と
図8に、画像形成装置の記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図を示す。
【0076】
平均値閾値141は、上記したように、静電容量測定値の平均値Vaと比較する数値Vaoである。
平均値閾値(Vao)141は、予め固定値として記憶してもよい。
ただし、中間ホッパー116の内部のトナー量によって、取得される静電容量測定値は変化し、平均値Vaも変化するので、固定値ではなく、実際に算出された過去の数回分の静電容量測定値の平均値Vaの情報を利用して設定してもよい。
【0077】
図7に、平均値閾値(Vao)141の数値例と実施例を示す。
図7では、直近の平均値情報Vaのm回分を平均した数値を、平均値閾値Vaoとする実施例を示している。
【0078】
たとえば、算出された平均値Vaの履歴を記憶しておき、現在時刻から遡って、所定回数分(m回分)の平均値Vaを平均した数値を、平均値閾値141として設定してもよい。
N回測定した静電容量測定値Vcの平均値情報をVaとした場合、現在時刻から遡って、1回前に算出した平均値情報をVa1とし、m回前に算出した平均値情報をVamとし、このm回分の平均値情報(Va1、Va2、Va3、………、Vam)を加算した数値を、mで除算した数値を、平均値閾値(Vao)として設定する。
すなわち、Vao=(Va1+Va2+Va3+………+Vam)/mにより、平均値閾値Vaoを計算する。
【0079】
振幅値閾値142は、上記したように、静電容量測定値の振幅値Vwと比較する数値Vwoであり、予め設定されたトナーが十分存在すること及びトナー補給が必要となることを示す基準となる数値(トナー有状態閾値)である。
振幅値閾値(Vwo)142は、予め固定値として記憶してもよいが、たとえば、静電容量センサの取り付け位置や、中間ホッパーの構造等によって、適切な数値が異なる場合もあるので、中間ホッパーごとに、異なる数値を設定してもよい。
図7に、振幅値閾値(Vwo)142の数値例と実施例を示す。
図7では、振幅値閾値(Vwo)として、2つの閾値(下限閾値143、上限閾値144)を設定したものを示しているが、下限閾値143、上限閾値144は同じでも良い。
【0080】
下限閾値143は、静電容量測定値の平均値Vaが下限の平均値閾値Vao2より小さくなった場合に、トナー補給装置101から中間ホッパー116へのトナーの補給が必要と判定する数値Vwlである。
静電容量測定値の平均値Vaが下限の平均値閾値Vao2より小さくなり、さらに算出された振幅値Vwが、この下限閾値(Vwl)143よりも小さい場合、トナー補給装置101から中間ホッパー116へのトナーの補給が必要と判断される。
後述する
図9のフローチャートに示すように、中間ホッパー116内に十分なトナーが存在しているか否かを判断するときの条件として、下限閾値Vwlを利用するものとする。
【0081】
上限閾値144は、中間ホッパー116にトナーを補給し、静電容量測定値の平均値Vaが上限の平均値閾値Vao1より大きくなった場合に、中間ホッパー116へのトナーの補給を停止してもよいか否かを判断するための上限レベルを意味する数値Vwhである。
たとえば、中間ホッパー116にトナーの補給を開始する前は、中間ホッパー116に存在するトナー量が下限値より少ないため、算出された振幅値Vwは、下限閾値Vwlより小さい値を示し、トナー補給装置101から中間ホッパー116へのトナーの補給に従い算出された振幅値Vwは、この上限閾値(Vwh)144よりも大きな数値を示す。
中間ホッパー116にトナーを補給している状態では、トナーの上面が徐々に高くなっていくが、トナー量が通常状態の量に近づくにしたがって、振幅値Vwは、徐々に小さくなっていく。
【0082】
静電容量測定値の平均値Vaが上限の平均値閾値Vao1より大きく、算出された振幅値Vwが、この上限閾値(Vwh)144よりも小さくなった場合、静電容量測定値のばらつきが小さくなったので、中間ホッパー116内のトナー量が、通常状態のトナー量まで回復したと考えて、中間ホッパー116へのトナーの補給を停止してもよいと判断される。
後述する
図10のフローチャートに示すように、中間ホッパー116内に十分なトナーが存在し、トナーの補給を停止してもよいか否かを判断するときの条件として、上限閾値Vwhを利用するものとする。
【0083】
図7では、下限閾値(Vwl)143と上限閾値(Vwh)144は、異なる数値としているが、Vwh≦Vwlであればよく、下限閾値Vwlと上限閾値Vwhに同じ数値を設定してもよい。
【0084】
トナー空検出閾値145は、静電容量測定値の振幅値Vwと比較する数値であり、中間ホッパー116内のトナーが少なくなったこと、あるいは無くなったことを示す基準となる予め設定された数値Vweである。
図7に、トナー空検出閾値(Vwe)145の数値例を示す。
トナー空検出閾値(Vwe)145は、上記した振幅値閾値Vwoよりも小さく、固定値として設定記憶してもよい。
【0085】
たとえば、中間ホッパー116内のトナーが無くなった場合、静電容量センサの設置位置付近にもトナーがなく、空気だけが存在する状態なので、静電容量測定値の振幅値Vwとして、ほとんど変化が無く、同じ数値が測定されると考えられる。
そこで、トナー空検出閾値(Vwe)145を予め設定しておき、静電容量測定値の振幅値Vwが、このトナー空検出閾値(Vwe)145よりも小さくなった場合には、中間ホッパー116内にトナーが少なくなったか、あるいは無くなったと判定する。
また、中間ホッパー116内にトナーが無くなったので、印刷処理ができる状態ではない(印刷不可状態)と判定する。
【0086】
すなわち、中間ホッパー116内のトナーが少なくなったか、あるいは無くなったと判定された場合、中間ホッパー116から現像装置102に十分な量のトナーが補給されなくなるので、正常な印刷結果が得られず、印刷処理を継続することが困難になる。
後述する
図11のフローチャートに示すように、中間ホッパー116内に十分なトナーが存在しないために、印刷不可の判断するときの条件として、トナー空検出閾値Vweを利用するものとする。
【0087】
静電容量測定値146は、上記したように、静電容量センサ118から出力される信号を利用して測定されたトナー量に相当する静電容量の測定値Vcである。
図8に、静電容量測定値(Vc)146の一実施例を示す。
図8では、100msecごとに、N回測定した場合の静電容量センサ118の出力値(Vc1、Vc2、Vc3、………、VcN)を示している。
ただし、測定する間隔や測定する回数は、予め固定的に設定してもよいが、トナー攪拌部材117の回転速度が異なる場合、回転速度等に対応させて、測定する間隔や測定する回数を異なるものに設定してもよい。
【0088】
平均値情報147は、上記したように、所定回数分の静電容量測定値Vcの平均値Vaであり、
図8に示すように、静電容量センサの出力値のN回分の平均値Vaは、N回分の静電容量測定値Vcを加算した数値(Vc1+Vc2+Vc3+………+VcN)を、測定回数Nで除算することにより算出される。
【0089】
振幅値情報148は、所定回数分の静電容量測定値Vcを利用して算出した数値Vwであり、
図8に示すように、所定回数分の静電容量測定値Vcのうち、それらの静電容量センサの出力値Vcの最大値(Vcmax)と最小値(Vcmin)の差であり、Vw=Vcmax―Vcminにより算出される。
【0090】
<中間ホッパーの構成>
図4、
図5に、この発明の中間ホッパーの一実施例の概略構成を示す断面図を示す。
この中間ホッパーの断面図は、
図3に示した中間ホッパー116を、
図3の紙面の左方向から見た図面である。
図4において、中間ホッパー116は、上面の所定の位置に、トナーカートリッジ101が接続される補給口152が設けられ、下面の所定の位置に、現像装置102が接続される排出口153が設けられ、トナー151aが補給口152から中間ホッパー内部に補給され、トナー151bが排出口153から現像装置102に排出される。
【0091】
また、中間ホッパー116の内部には、トナー攪拌部材117と静電容量センサ118が、たとえば、
図4に示すような位置に備えられる。
トナー攪拌部材117は、一方向に細長い棒状の部材であり、
図4の紙面の奥行き方向に長い部材である。
また、所定の回転軸117aを有し、この回転軸を中心として回転することによって、トナーを攪拌し搬送する。
トナー攪拌部材117には、トナーを攪拌しながら搬送する螺旋状の攪拌羽根が備えられる。
トナー攪拌部材117が回転することによって、中間ホッパーの内部に収容されたトナーが、下方から上方に、さらに、上方から下方に移動させられ、螺旋状の攪拌羽根によって、徐々に、排出口153の方向に搬送される。
【0092】
図4では、2つの静電容量センサ(118a、118b)を備えたものを示している。
2つの静電容量センサ118は、中間ホッパー116の内部では、水平方向において、同じ高さで、所定の間隔をあけて配置するものとする。
たとえば、中間ホッパー116の左右の壁面の距離が55ミリメートルの場合、2つの静電容量センサ(118a、118b)の間隔を、45ミリメートル程度とする。
このように静電容量センサを2つ備えるのは、対向する電極間の静電容量を測定するためである。
【0093】
また、静電容量センサ118の配置位置は、トナー攪拌部材117の先端の最高点の高さ(上死点と呼ぶ)と同じ高さの位置にする。
【0094】
図5の中間ホッパー116では、静電容量センサ118、トナー攪拌部材117、およびトナー検出面などの位置の定義について示している。
【0095】
図5では、回転する棒状のトナー攪拌部材117の2つの先端が、最高点と最下点に来た状態を示しており、攪拌部材上死点面(UP)は、棒状のトナー攪拌部材の先端のうち、最高点にある先端の位置を示す水平面である。
一方、攪拌部材下死点面(DW)は、棒状のトナー攪拌部材の先端のうち、最下点にある先端の位置を示す水平面であり、たとえば、中間ホッパー116の底部分の近くにある。
この攪拌部材上死点面UPと攪拌部材下死点面DWとの間に存在するトナーが、トナー攪拌部材117によって攪拌される。
【0096】
図5の静電容量検出面H0は、2つの静電容量センサ(118a、118b)の位置を示す水平面である。
図5では、静電容量検出面H0を、トナー攪拌部材117の先端が最高点となる上死点の位置(攪拌部材上死点面UP)と同じ高さとしている。
【0097】
図5トナー上限面H1は、トナーカートリッジからトナーが補給される場合に、そのトナーの補給を停止するか否かを判断する位置の水平面を意味し、中間ホッパーに収容されたトナーが満杯状態であることを示すので、トナー満杯面とも呼ぶ。
たとえば、トナーカートリッジからトナーが補給され、中間ホッパー116の内部に存在するトナーの上面が、このトナー上限面H1の位置で、トナーカートリッジからのトナーの補給が停止される。
このトナーの補給を停止するか否かの判断は、後述するように、静電容量センサから出力される静電容量の測定値を利用するので、静電容量検出面H0と、トナー上限面H1は同じレベルとすることが好ましい。
【0098】
図5のトナー下限面H2は、中間ホッパー116へのトナー補給を判断するトナーの量を示す位置の水平面を意味する。
言いかえれば、画像形成装置の通常動作状態においては、中間ホッパー116の内部に存在するトナーの量を、このトナー下限面H2よりも上のレベルに維持させるようにする。
したがって、中間ホッパー116の内部に存在するトナーの上面が、トナー下限面H2よりも低くなった場合には、中間ホッパー116に収容されているトナーの量が少なくなっていると判断し、トナーカートリッジから中間ホッパー116にトナーが補給される。
トナー下限面H2は、必ず、トナー上限面H1よりも低い位置にあるものとする。
【0099】
図5のトナー空面H3は、中間ホッパー116の内部に存在するトナーの量が空になったと判断するレベルを示す位置の水平面を意味する。
中間ホッパー116の内部に存在するトナーの上面が、トナー空面H3よりも低くなった場合には、中間ホッパー116のトナーの量が空になった(トナーが無くなった)と判断し、たとえば、印刷を停止し、印刷ができなくなっていること(印刷不可)を表示する。
トナー空面H3は、必ず、トナー下限面H2よりも低い位置にあり、攪拌部材下死点面DWよりも高い位置にあるものとする。
【0100】
図6に、中間ホッパーに備えられたトナー攪拌部材の一実施例の概略説明図を示す。
図4などでは、トナー攪拌部材117は、表面が直線状で、単に一方向に細長い形状の部材として説明したが、この形状に限るものではない。
トナー攪拌部材117は、中間ホッパー116に収容されたトナーが凝集しないように、あるいは、トナーカートリッジエンプティ後の中間ホッパー内に残っているトナーを用いて印字動作させているシーンに於いて、ホッパー内の底部分のトナーを前記攪拌部材117の形状によって静電容量センタ検知部までトナーを持ち上げてトナー有無を測定する事を可能にするように、トナーを上下方向に移動させて、攪拌及び搬送するための部材であるので、
図4に示したように、表面が直線状のものよりも、トナーを上方向に移動させやすくする構造にすることが好ましい。
【0101】
たとえば、
図6に示すように、トナー攪拌部材117の回転方向に対応させて、一方の表面に、一定量のトナーをすくうことが可能な板状のトナー運搬部材117bや、突起を備えてもよい。
このようなトナー運搬部材117bを備えることによって、より多くのトナーを上方向に移動させることができ、トナーの十分な流動性を確保し、より適切な攪拌が可能となる。
【0102】
<実施例1:中間ホッパーのトナー補給制御処理>
図9と
図10に、この発明の画像形成装置における中間ホッパーのトナー補給制御処理の一実施例のフローチャートを示す。
平均値閾値Vaoと、振幅値閾値Vwo(Vwl、Vwh)は、予め、記憶部140に記憶されているものとする。
また、静電容量の測定回数の初期値として、ゼロが設定されるものとする。
【0103】
図9のステップS1において、静電容量センサを利用して、静電容量を測定する。
上記したように、一定時間毎(たとえば、100msecごと)に、静電容量センサから出力される信号を利用して、静電容量に相当する測定値(静電容量測定値Vc)を取得し、記憶部140に記憶する。
また、静電容量の測定回数に、1を加算する。
【0104】
ステップS2において、静電容量の測定回数が、所定回数N以上になったか否かをチェックし、静電容量の測定回数が、所定回数N以上になった場合は、ステップS3に進む。
静電容量の測定回数が、まだ所定回数Nに達していない場合は、ステップS1に戻り、静電容量の測定を繰り返す。
静電容量の測定をN回繰り返すことによって、N個の静電容量測定値Vcが記憶される。
【0105】
ステップS3において、N個の静電容量測定値Vcの平均値Vaを算出する。
ステップS4において、N個の静電容量測定値Vcの振幅値Vwを算出する。
ステップS5において、平均値閾値Vao2と、振幅値閾値Vwlを、記憶部140から読み出す。
【0106】
ステップS6において、平均値Vaと平均値閾値Vao2とを比較し、振幅値Vwと振幅値閾値である下限閾値Vwlとを比較する。
ここで、平均値Vaが平均値閾値Vao2以下(Va≦Vao)、かつ、振幅値Vwが振幅値閾値Vwl以下の場合(Vw≦Vwl)、ステップS19に進み、そうでない場合は、ステップS1に進む。
【0107】
ステップS6において、Va≦Vao2、かつ、Vw≦Vwlではない場合は、中間ホッパー116にトナーの残量が有ると判断され、中間ホッパー116へのトナーの補給は不要と判定される。
その後、静電容量の測定回数を初期値のゼロに戻し、ステップS1に戻り、静電容量の測定を繰り返す。
【0108】
ステップS19において、中間ホッパー116にはトナーの残量が少ないと判断され、ステップS20で中間ホッパー116へのトナー補給される。
ステップS21において、補給時間タイマーTMを起動させる。また、静電容量の測定回数を初期値のゼロに戻す。
補給時間タイマーTMに設定される時間(T1)は、トナーカートリッジからのトナーの補給があるか否かを確認するための時間であり、たとえば、20秒程度の時間が設定される。
【0109】
ステップS20において、トナーカートリッジ101から、中間ホッパー116に、一定量のトナーを補給する。
その後、
図10のステップS11に進み、ステップS11からステップS16において、上記したステップS1からステップS6までの処理と同様の処理を行う。
ここでは、中間ホッパー116にトナーが補給されている状態で、静電容量測定値Vcの測定等を行う。
【0110】
図10のステップS11において、ステップS1と同様に、静電容量を測定し、静電容量に相当する測定値(静電容量測定値Vc)を記憶部140に記憶する。
また、静電容量の測定回数に、1を加算する。
【0111】
ステップS12において、ステップS2と同様に、静電容量の測定回数が、所定回数N以上になったか否かをチェックし、静電容量の測定回数が所定回数N以上になった場合は、ステップS13に進み、静電容量の測定回数がまだ所定回数Nに達していない場合は、ステップS11に戻り、静電容量の測定を繰り返す。
【0112】
ステップS13において、N個の静電容量測定値Vcの平均値Vaを算出する。
ステップS14において、N個の静電容量測定値Vcの振幅値Vwを算出する。
ステップS15において、平均値閾値Vao1と、振幅値閾値Vwhを、記憶部140から読み出す。
【0113】
ステップS16において、平均値Vaと平均値閾値Vao1とを比較し、振幅値Vwと振幅値閾値である上限閾値Vwhとを比較し、平均値Vaが平均値閾値Vao1以上の場合(Va≧Vao1)、かつ、振幅値Vwが振幅値閾値Vwh以下の場合(Vw≦Vwh)、ステップS17に進み、そうでない場合は、ステップS19に進む。
ここでは、ステップS6と異なり、振幅値閾値Vwoとしては、上限閾値Vwhを利用する。
【0114】
ステップS16において、Va≧Vao1、かつ、Vw≦Vwhであるので、トナーの補給によって、中間ホッパー116にトナーの残量が十分有る状態になったと判断され、ステップS17の中間ホッパー116へのトナーの補給を停止すべきと判定される。
【0115】
ステップS18において、中間ホッパー116へのトナーの補給を停止し、
図9のステップS1に戻る。
この場合、中間ホッパー116内のトナーが減少していたが、トナーを補給したことによって、中間ホッパー116内のトナー量が、所定量まで回復したので、中間ホッパー116へのトナーの補給が停止される。
【0116】
ステップS16からステップS19に進んだ場合において、中間ホッパー116にはトナーの残量が少ないと判断され、中間ホッパー116へのトナーの補給を継続することが必要と判定される。
ステップS22において、補給時間タイマーTMが、タイムアウトしたか否かをチェックする。すなわち、補給時間タイマーTMに設定された時間が経過したか否かがチェックされる。
ステップS22において、補給時間タイマーTMがタイムアウトした場合、ステップS23に進み、そうでない場合は、
図10のステップS11に戻る。
【0117】
ステップS23に進む場合は、補給時間タイマーTMに設定された所定の時間が経過しても、中間ホッパー116の内部のトナーの量が、所定量まで回復しない場合である。
ステップS23において、トナーカートリッジからのトナーの補給状態であるにも係わらず、中間ホッパー116の内部のトナーの量が所定量まで回復しないので、トナーカートリッジが空であると判定され、表示部13に、トナーカートリッジが空であることや、トナーカートリッジの交換が必要であることを示す警告メッセージを表示して、処理を終了する。
【0118】
以上のように、静電容量測定値から算出した平均値Vaと振幅値Vwを利用して、中間ホッパー116の内部のトナーの量を判定することにより、トナーカートリッジから中間ホッパー116へのトナーの補給処理や、中間ホッパー116へのトナーの補給の停止や、トナーカートリッジの交換が必要であることを示す警告メッセージの表示処理をすることができる。
【0119】
<実施例2:現像装置へのトナー補給制御処理>
図11に、この発明の画像形成装置における中間ホッパーから現像装置へのトナー補給制御処理の一実施例のフローチャートを示す。
【0120】
図11のステップS41において、現像装置102のトナー濃度を測定する。
現像装置102のトナー濃度は、たとえば、現像装置102の内部に設置されたトナー濃度センサからの出力により測定される。
ステップS42において、現像装置102のトナー濃度が、所定濃度よりも低い場合は、ステップS43に進み、そうでない場合は、ステップS41に戻る。
ステップS43において、中間ホッパー116の内部にあるトナーを、現像装置102に補給する。
【0121】
ステップS44において、ステップS1と同様に、静電容量を測定し、静電容量測定値Vcを記憶する。
ステップS45において、ステップS2と同様に、静電容量の測定回数が、所定回数N以上の場合に、ステップS46に進み、そうでない場合は、ステップS44を繰り返す。
【0122】
ステップS46において、ステップS4と同様に、N個の静電容量測定値Vcの振幅値Vwを算出する。
ステップS47において、トナー空検出閾値Vweを、記憶部140から読み出す。
【0123】
ステップS48において、算出された振幅値Vwと、トナー空検出閾値Vweとを比較し、算出された振幅値Vwが、トナー空検出閾値Vweよりも小さい場合(Vw<Vwe)、ステップS49に進み、そうでない場合は、S41に戻る。
ステップS49に進む場合は、算出された振幅値Vwが、ほとんど変化がなく、トナー空検出閾値Vweよりも小さいので、中間ホッパー116の内部のトナーが非常に少なくなったか、あるいは無くなったと判断される。
【0124】
ステップS49において、印刷不可と判定し、印刷ができなくなったこと(印刷不可)などを示す警告メッセージを表示し、以降の印刷処理を停止して、処理を終了する。
【0125】
以上のように、中間ホッパー116から現像装置102にトナーを補給している状態において、振幅値Vwを利用することによって、中間ホッパー116の内部のトナーが無くなったことを判断することができ、その後の印刷処理が不可であること等を、画像形成装置のユーザや管理担当者に知らせることができる。
【符号の説明】
【0126】
1 露光ユニット(露光装置)、
2、2a~2d 現像装置、
3、3a~3d 感光体ドラム、
4 クリーナユニット、
5、5a~5d 帯電器(帯電装置)、
6 中間転写ローラー、
7 中間転写ベルト、
8 中間ホッパー、
9 トナー補給装置、
10 給紙トレイ、
11 転写ローラー、
12 定着ユニット(定着装置)、
15 排紙トレイ、
16 ピックアップローラー、
17 搬送ローラー、
71 中間転写ベルト駆動ローラ、
72 中間転写ベルト従動ローラ、
100 画像形成装置、
101 トナーカートリッジ、
102 現像装置、
111 制御部、
112 操作部、
113 表示部、
114 画像処理部、
116 中間ホッパー、
117 トナー攪拌部材、
117a 回転軸、
117b トナー運搬部材、
118、118a、118b トナー量検出部(静電容量センサ)、
121 中間ホッパー攪拌制御部、
122 トナー量測定部、
123 平均値算出部、
124 振幅値算出部、
125 トナー量判定部、
126 中間ホッパー補給制御部、
127 現像装置補給制御部、
128 警告表示制御部、
140 記憶部、
141 平均値閾値、
142 振幅値閾値(トナー有状態閾値)、
143 下限閾値、
144 上限閾値、
145 トナー空検出閾値、
146 静電容量測定値、
147 平均値情報、
148 振幅値情報、
151、151a、151b トナー、
152 補給口、
153 排出口