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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148549
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】口腔洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/02 20060101AFI20231005BHJP
   A61C 17/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61C 17/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04B9/02 C
A61C17/00 T
A61C17/02 B
A61C17/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056640
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】二之宮 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 弘幹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真一
(72)【発明者】
【氏名】篠田 浩輝
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA06
3H075BB03
3H075CC40
3H075DA30
3H075DB32
(57)【要約】
【課題】より効率的に口腔内の洗浄を行う等が可能な口腔洗浄装置を得る。
【解決手段】口腔洗浄装置1は、液体が貯留されるタンク2と、液体を口腔内に吐出することが可能なノズル4と、タンク2内に貯留された液体を吸入してノズル4から吐出させるポンプ33と、ポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34と、を備えている。また、ポンプ33は、一方向に往復直線運動するピストン331を有している。ここで、ポンプ33は、ピストン331を往復直線運動させることで、ポンプ33に液体が吸入される吸入工程とポンプ33から液体が吐出される吐出工程とが交互に行われるようになっている。そして、吸入工程にかかる時間と吐出工程にかかる時間とが異なるようにピストン331を一往復させることができるようにしている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留されるタンクと、
前記タンク内に貯留された液体が液体流路を介して供給されて、液体を口腔内に吐出することが可能なノズルと、
前記液体流路に配置されて、前記タンク内に貯留された液体を吸入して前記ノズルから吐出させるポンプと、
前記ポンプを駆動させるポンプ駆動機構と、
を備え、
前記ポンプは、一方向に往復直線運動するピストンを有し、
前記ピストンを往復直線運動させることで、前記ポンプに液体が吸入される吸入工程と前記ポンプから液体が吐出される吐出工程とが交互に行われるようになっており、
前記吸入工程にかかる時間と前記吐出工程にかかる時間とが異なるように前記ピストンを一往復させることが可能である、
口腔洗浄装置。
【請求項2】
前記ポンプ駆動機構は、モータと、前記モータの回転運動を往復直線運動に変換する変換機構と、を有しており、
前記ピストンが前記変換機構に連結されることで往復直線運動するようにしている、
請求項1に記載の口腔洗浄装置。
【請求項3】
前記吐出工程にかかる時間が前記吸入工程にかかる時間よりも短くなるように前記ピストンを一往復させることが可能である、
請求項1または請求項2に記載の口腔洗浄装置。
【請求項4】
前記ポンプ駆動機構は、前記吐出工程が行われる際の前記ピストンの移動速さと前記吸入工程が行われる際の前記ピストンの移動速さとを異ならせる変速機構を備えており、
前記変速機構が非円形ギアを有している、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の口腔洗浄装置。
【請求項5】
前記非円形ギアが楕円ギアである、
請求項4に記載の口腔洗浄装置。
【請求項6】
前記変速機構が2個の楕円ギアを有している、
請求項5に記載の口腔洗浄装置。
【請求項7】
前記ポンプ駆動機構は、前記ピストンの移動を補助するアシスト機構を備えている、
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の口腔洗浄装置。
【請求項8】
前記アシスト機構は、前記吐出工程および前記吸入工程のうち、前記ピストンを一往復させた際にかかる時間が短い方の工程が行われるときに前記ピストンの移動を補助する、
請求項7に記載の口腔洗浄装置。
【請求項9】
前記アシスト機構は、前記ピストンを一方向に付勢する付勢部材を備えている、
請求項7または請求項8に記載の口腔洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、以下の特許文献1に開示されているように、ポンプで駆動する口腔洗浄装置が知られている。この特許文献1では、モータを駆動させることでポンプが駆動するようにしている。具体的には、モータの回転運動を往復直線運動に変換してピストンをシリンダ内で往復直線運動させ、ポンプへの液体の吸入工程とポンプ内の液体の外部への吐出工程とが交互に行われるようにしている。こうすることで、ノズル等の部材を介して使用者の口腔内に液体を吐出するようにし、使用者の口腔内の洗浄を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-200424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、モータを用いてピストンをシリンダ内で往復直線運動させる構成とした口腔洗浄装置においては、より効率的に口腔内の洗浄を行う等ができるようにするのが好ましい。
【0005】
そこで、本開示は、より効率的に口腔内の洗浄を行う等が可能な口腔洗浄装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる口腔洗浄装置は、液体が貯留されるタンクと、前記タンク内に貯留された液体が液体流路を介して供給されて、液体を口腔内に吐出することが可能なノズルと、前記液体流路に配置されて、前記タンク内に貯留された液体を吸入して前記ノズルから吐出させるポンプと、前記ポンプを駆動させるポンプ駆動機構と、を備え、前記ポンプは、一方向に往復直線運動するピストンを有し、前記ピストンを往復直線運動させることで、前記ポンプに液体が吸入される吸入工程と前記ポンプから液体が吐出される吐出工程とが交互に行われるようになっており、前記吸入工程にかかる時間と前記吐出工程にかかる時間とが異なるように前記ピストンを一往復させることが可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より効率的に口腔内の洗浄を行う等が可能な口腔洗浄装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる口腔洗浄装置を模式的に示す図である。
図2】実施の形態1にかかる口腔洗浄装置のポンプおよびポンプ駆動機構を模式的に示す図である。
図3】実施の形態1にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を示す側面図である。
図4】実施の形態1にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を示す平面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6】吐出工程にかかる時間を吸入工程にかかる時間よりも短くした場合におけるピストン変位量および液体の吐出量を通常のポンプと比較した図である。
図7】吐出工程にかかる時間を吸入工程にかかる時間よりも長くした場合におけるピストン変位量および液体の吐出量を通常のポンプと比較した図である。
図8】実施の形態1にかかる口腔洗浄装置を模式的に示す図である。
図9】実施の形態2にかかる口腔洗浄装置のポンプおよびポンプ駆動機構を模式的に示す図である。
図10】実施の形態2にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を一方向から見た斜視図である。
図11】実施の形態2にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を他方向から見た斜視図である。
図12】実施の形態2にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を示す側面図である。
図13】実施の形態2にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を示す平面図である。
図14図13のB-B断面図である。
図15】アシスト機構を設けた場合におけるモータの電流値とアシスト機構を設けていない場合におけるモータの電流値を比較した図である。
図16】実施の形態2にかかる口腔洗浄装置のポンプ駆動機構が備えるアシスト機構の第1変形例を模式的に示す図である。
図17】実施の形態2にかかる口腔洗浄装置のポンプ駆動機構が備えるアシスト機構の第2変形例を模式的に示す図である。
図18】実施の形態3にかかる口腔洗浄装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0010】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
また、以下の複数の実施の形態およびその変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0012】
また、以下の実施の形態では、ノズルが上側に位置するように口腔洗浄装置を配置した状態で、上下方向を規定して説明する。
【0013】
(実施の形態1)
本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1は、図1に示すように、タンク2と、装置本体3と、ノズル4と、を備えている。
【0014】
タンク2は、上方に開口して下端側が閉塞された有底の筒状に形成されており、このタンク2の内部には、液体を貯留することが可能な貯留部2aが形成されている。なお、貯留部2aに貯留される液体としては、水を用いることができるが、水に限られるものではなく様々な液体を用いることができる。例えば、洗浄剤が水に混入された洗浄液などを用いることが可能である。
【0015】
さらに、本実施の形態では、タンク2が装置本体3に着脱可能に装着されており、装置本体3から分離させた状態でタンク2を洗浄することができるようになっている。こうすることで、タンク2をより清潔に保つことができるようにしている。このようなタンク2は、例えば、食洗機で洗浄できるようにポリプロピレン樹脂などで形成することができる。
【0016】
本実施の形態では、タンク2は、上下に開口した略筒状の筒状体21と、筒状体21の下側開口を閉塞する底壁22と、を備えている。なお、タンク2の側部(筒状体21)には、貯留部2a内に液体を注入することが可能な給液孔(図示せず)が形成されており、この給液孔が給液蓋211によって閉塞されるようにしている。こうすることで、タンク2を装置本体3に装着した状態で、タンク2内の貯留部2aに液体を供給することができるようにしている。
【0017】
一方、装置本体3は、外郭を構成するハウジング31を備えている。このハウジング31は、上下方向に細長い略筒状をしており、このハウジング31の筒内には、後述するポンプ33等の主要な構成要素が収容されている。また、ハウジング31は、長手方向の略中央部がくびれており、口腔洗浄装置1の使用時に使用者が手で握りやすい形状をしている。
【0018】
本実施の形態では、ハウジング31は、天壁311と、天壁311の外周縁から下方に延設される略筒状の周壁312と、周壁312の下端に連設される底壁313と、を備えている。
【0019】
天壁311にはノズル装着部3111が形成されており、このノズル装着部3111に、中空の長尺状に形成されて、液体を先端から吐出(噴出)させることが可能なノズル4が着脱可能に装着されている。
【0020】
また、周壁312には、ノズル4をハウジング31(装置本体3)から取り外すことができるボタン(図示せず)や、口腔洗浄装置1を起動、或いは停止させる(電源のオン・オフを切り替える)電源スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0021】
さらに、本実施の形態では、周壁312の下部には、内側に窪んだ凹部3121が形成されており、この凹部3121にタンク2が着脱可能に装着されるようになっている。
【0022】
そして、凹部3121にタンク2を装着した状態で、タンク2の底壁22の底面221とハウジング31の底壁313の底面3131とが略面一の平坦面となるようにしている。こうすることで、口腔洗浄装置1の非使用時に、ノズル4を上にした姿勢で口腔洗浄装置1を静置できるようにしている。
【0023】
また、ハウジング31(装置本体3)の内部には、タンク2内に貯留された液体をノズル4に供給するための液体流路32が形成されている。
【0024】
本実施の形態では、液体流路32は、液体流路32の上流側に配置される吸入路321と、液体流路32の下流側に配置される吐出路322と、を備えており、この吸入路321と吐出路322とがポンプ33を介して接続されている。このように、本実施の形態では、液体流路32の途中にポンプ33が配置されている。
【0025】
ここで、本実施の形態では、吸入路321は、パイプ等の中空の管3211により画成されており、この管3211は、周壁312を貫通して先端(上流端)が凹部3121に臨むように形成されている。そして、凹部3121に臨む管3211の先端(上流端)には、可撓性を有するチューブ5が取り付けられており、このチューブ5を介してタンク2内に貯留された液体が液体流路32内に供給されるようにしている。このように、可撓性を有するチューブ5を用いることで、タンク2の装置本体3への着脱をスムーズに行えるようにしている。
【0026】
また、吐出路322も、パイプ等の中空の管3221により画成されており、この管3221は、天壁311を貫通して上方に開口するように形成されており、管3221の先端(下流端)がノズル4に連通するようになっている。
【0027】
なお、ポンプ室333と吸入路321との間には、吸入弁(図示せず)が設けられており、ポンプ室333と吐出路322との間には、吐出弁(図示せず)が設けられている。
【0028】
このように、本実施の形態では、液体流路32は、一端がノズル装着部3111の内側空間に連通するとともに、他端が凹部3121に臨むようにした状態でハウジング31内(装置本体3内)に設けられている。そして、凹部3121に臨む他端にチューブ5が取り付けられている。こうすることで、チューブ5を介して導入されたタンク2内の液体が、液体流路32を通過してノズル4に供給されるようにしている。
【0029】
なお、本実施の形態では、チューブ5は、管3211の先端(上流端)に一体的に取り付けられており、タンク2を装置本体3に装着した状態で、タンク2の貯留部2a内に配置されるようになっている。そして、貯留部2aに貯留された液体が、このチューブ5を介してハウジング31内(装置本体3内)に導入されるようになっている。
【0030】
また、図1および図2に示すように、ハウジング31(装置本体3)の内部には、ポンプ駆動機構34が配置されている。そして、このポンプ駆動機構34によりポンプ33を作動させることで、貯留部2a内の液体をチューブ5で吸い上げて、液体流路32を通過させてノズル4の先端から吐出(噴出)させるようにしている。
【0031】
このように、本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1は、ポンプ33とポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34とを備え、ポンプ33を駆動することで液体が吐出される装置となっている。
【0032】
また、本実施の形態では、ポンプ33は、吸入路321および吐出路322が連通するポンプ室333と、ポンプ室333の下端に連通するように形成されるシリンダ332と、シリンダ332内に配置されるピストン331と、を備えている。
【0033】
ピストン331は、ポンプ駆動機構34に連結されており、ポンプ駆動機構34によって、シリンダ332内で上下方向(一方向)に往復直線運動するようになっている。そして、シリンダ332内でピストン331が上下方向に往復直線運動することで、ポンプ室333の容積が変化するようになっている。
【0034】
具体的には、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動すると、ポンプ室333の容積が大きくなり、タンク2内の液体がチューブ5と吸入路321とを介してポンプ室333に流入されることになる。その後、ポンプ室333内に液体が流入された状態で、ピストン331がシリンダ332内で上方に移動すると、ポンプ室333の容積が小さくなり、ポンプ室333内の液体が吐出路322を介してノズル4に供給されることになる。そして、ノズル4に供給された液体がノズル4の先端から外部に吐出(噴出)されることになる。
【0035】
このように、本実施の形態では、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動することで、液体をポンプ室333内に吸入する吸入工程が行われ、上方に移動することで、ポンプ室333から液体を外部に吐出させる吐出工程が行われるようになっている。すなわち、ピストン331が上死点と下死点との間で往復直線運動することで、吸入工程と吐出工程とが交互に行われるようになっている。したがって、ピストン331が上死点から上下方向に一往復した際には吸入工程と吐出工程が一回ずつ行われることになる。
【0036】
このような構成とすることで、装置本体3に装着されたノズル4の先端から液体が間欠的に吐出されるようにしている。
【0037】
そして、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34は、図1および図2に示すように、モータ341を備えており、このモータ341を駆動させることで、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。
【0038】
具体的には、ポンプ駆動機構34は、モータ341と、モータ341の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構344と、を有している。そして、この変換機構344にピストン331が連設されており、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。なお、モータ341は、装置本体3の内部に収納された電池(充電池や乾電池等)からの電力や外部電力等の供給によって駆動されるようになっている。
【0039】
さらに、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34は、モータ341の回転速度を減速させる減速機構342と、減速機構342により減速させた回転運動を変換機構344に伝達する伝達機構343と、を備えている。したがって、本実施の形態では、減速機構342によってモータ341の回転速度(回転数)を所定の回転速度(回転数)となるように減速させた状態で、変換機構344によって往復直線運動に変換させている。
【0040】
このとき、減速機構342による減速の割合等を調整すれば、ピストン331が一往復する際にかかる時間(一回の吸入工程および一回の吐出工程が行われる時間)が所望の時間となるように設定することができる。なお、口腔洗浄装置1の使い勝手等を考慮すると、ピストン脈動数(ピストン331の往復回数/分)は、500rpm~3000rpmとするのが好ましい。したがって、ピストン331が一往復する際にかかる時間(一回の吸入工程および一回の吐出工程が行われる時間)、すなわち、ポンプ33の1サイクルに要する時間は、0.02秒~0.12秒とするのが好ましい。
【0041】
本実施の形態では、図3図5に示すように、減速機構342は、モータ341のモータ軸3411に取り付けられ、モータ軸3411の回転に連動して回転するピニオンギア3421と、ピニオンギア3421と噛合する減速ギア3422と、を備えている。さらに、減速機構342は、減速ギア3422を支持し、減速ギア3422の回転に連動して回転する第1の出力軸3423を備えている。そして、ピニオンギア3421と減速ギア3422のギア比を所定の値に設定することで、モータ341の回転速度(回転数)が所定の回転速度(回転数)となるように減速させている。
【0042】
そして、第1の出力軸3423に伝達機構343が接続されている。具体的には、伝達機構343は、第1の出力軸3423に取り付けられて、第1の出力軸3423の回転に連動して回転する第1の伝達ギア3431を備えている。また、伝達機構343は、第1の伝達ギア3431と噛合する第2の伝達ギア3432を備えている。さらに、伝達機構343は、第2の伝達ギア3432を支持し、第2の伝達ギア3432の回転に連動して回転する第2の出力軸3433を備えている。そして、第2の出力軸3433を介して、減速機構342により減速されたモータ341の回転を変換機構344に伝達されるようにしている。
【0043】
この変換機構344は、第2の出力軸3433に取り付けられて、第2の出力軸3433の回転に連動して回転する第1のギア3441を備えている。また、変換機構344は、第1のギア3441と噛合する第2のギア3442を備えている。さらに、変換機構344は、第2のギア3442を支持し、第2のギア3442の回転に連動して回転する第3の出力軸3443を備えている。
【0044】
また、変換機構344は、第3の出力軸3443に取り付けられて、第3の出力軸3443の回転に連動して回転するカム3444と、カム3444により上下方向に往復直線運動するロッド3446と、を備えている。カム3444は、モータ341の回転を軸方向の操作力に変換する部材であり、本実施の形態では、ネジ3445により第2のギア3442に固定されている。そして、このカム3444で変換された軸方向の操作力によって、ロッド3446が装置本体3の上下方向に沿って往復直線運動するようにしている。なお、図2に示すように、ロッド3446を第2のギア3442に直接(カムを介さずに)取り付ける構成とすることも可能である。
【0045】
そして、このロッド3446の先端(上端)にピストン331が連結軸34461によって取り付けられている。こうすることで、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。
【0046】
なお、ポンプ駆動機構34は、上述した構成に限られるものではなく、様々な構成とすることが可能である。例えば、減速ギア3422と第1の伝達ギア3431とを一体化させることも可能であるし、第2の伝達ギア3432と第1のギア3441とを一体化させることも可能である。また、第2のギア3442とカム3444とを一体化させることも可能である。
【0047】
ここで、本実施の形態では、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようにしている。
【0048】
具体的には、ポンプ駆動機構34が吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えるようにしている。そして、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにピストン331を一往復させるようにしている。
【0049】
本実施の形態では、非円形ギアを用いた変速機構345とすることで、吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせるようにしている。すなわち、本実施の形態では、変速機構345が非円形ギアを有するようにしている。具体的には、互いに噛合する第1のギア3441および第2のギア3442を非円形ギアとしている。この非円形ギアは、金属材料で形成することも可能であるし、樹脂材料を用いて形成することも可能である。
【0050】
さらに、本実施の形態では、非円形ギアとして楕円ギアを用いており、変速機構345が非円形ギアとしての楕円ギアを有するようにしている。具体的には、互いに噛合する第1のギア3441を楕円ギア3451とし、第2のギア3442を楕円ギア3452としている。
【0051】
そして、楕円ギア3451,3452の扁平率、出力軸(第2の出力軸3433や第3の出力軸3443)が取り付けられる位置、楕円ギア3451と楕円ギア3452のギア比等を適宜設定することで、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が、1:X(X>1)となるようにしている。このとき、口腔内の洗浄効果等を考慮すると、送り比範囲を1.5~5.0とするのが好ましい。すなわち、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比を1:Xとすると、1.5以上5.0以下となるようにXの値を設定するのが好ましい。
【0052】
このように、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34が、吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えている。そして、変速機構345が非円形ギア(第1のギア3441および第2のギア3442)を有している。なお、変速機構345が非円形ギアを1つのみ有するようにしてもよいし、3つ以上有するようにしてもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態では、変速機構345が非円形ギアとしての楕円ギア3451,3452を有しており、変速機構345が2個の楕円ギア3451,3452で構成されている。なお、楕円ギアを1つのみ有するようにしてもよいし、3つ以上有するようにしてもよい。
【0054】
また、非円形ギアは、楕円ギアに限られるものではなく、非円形の様々なギアを用いることができる。例えば、頂点部分を丸めた多角形状のギアとすることも可能であるし、凹状に湾曲した部位を有する形状のギアとすることも可能である。
【0055】
また、本実施の形態では、一対の楕円ギアを用いて吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比を変えているだけなので、ポンプ33の1サイクルに要する時間は、通常のポンプ33の場合(円形のギアを用いた場合)と同一となっている。
【0056】
このような構成をしたポンプ駆動機構34によりポンプ33を駆動させると、吐出工程時のピストン331の移動速さ(移動速度の絶対値)を速くして、吸入工程時のピストン331の移動速さ(移動速度の絶対値)を遅くすることができるようになる。すなわち、吐出工程にかかる時間を吸入工程にかかる時間よりも短くすることができるようになる。
【0057】
その結果、図6に示すように、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が1:1となる通常のポンプよりも最大吐出量Dを大きくすることができるようになる。ここで、本実施の形態では、吐出工程の瞬間における吐出量の最大値を最大吐出量Dとしている。すなわち、吐出工程にかかる時間を限りなくゼロに近い所定の微小時間で均等に分割し、各区間で吐出される吐出流量のうちの最大の吐出流量を最大吐出量Dとしている。したがって、吐出工程が行われる際の各瞬間における吐出量が図6に示すようなグラフを描く場合、そのグラフの最も上方に位置する点の吐出量の値が最大吐出量Dとなる。
【0058】
なお、本実施の形態では、吐出工程における液体の総吐出量は、どちらも同一の量になっている。このとき、口腔内の洗浄効率や口腔洗浄装置1の使い勝手等を考慮すると、装置の吐出工程における液体の総吐出量は、50ml/min~450ml/minとするのが好ましい。
【0059】
このように、本実施の形態にかかるポンプ駆動機構34を搭載した口腔洗浄装置1を用いると、洗浄に使われない無駄な液体の吐出を極力少なくし、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようになる。また、ピストン331の1往復時に吐出される液体の総吐出量が同じ場合であっても、最大吐出量Dを大きくすることができる。そのため、口腔洗浄装置1から吐出される液体の吐出圧が高くなり、口腔内をより効率的に洗浄することが可能となる。
【0060】
なお、モータ341の正回転と逆回転を選択することが可能なスイッチを設け、モータ341を逆回転させることができるようにすることも可能である。本実施の形態にかかるポンプ駆動機構34においてモータ341を逆回転させると、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が、1:X(0<X<1)となって、吐出工程時のピストン331の移動速さ(移動速度の絶対値)が遅くなり、吸入工程時のピストン331の移動速さ(移動速度の絶対値)が速くなる。すなわち、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも長くなる。
【0061】
そのため、図7に示すように、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が1:1となる通常のポンプよりも最大吐出量Dが小さくなって、比較的長い時間吐出させることができるようになる。なお、この場合も、吐出工程における液体の総吐出量はどちらも同一である。
【0062】
このように、モータ341の正回転と逆回転を選択できる構成とすれば、液体吐出時の水流(勢いや時間)を異ならせることができるようになって、使用者の好みや用途に応じて使い分けることができるようになる。
【0063】
なお、モータ341の正回転時における送り比範囲を1.5~5.0の範囲で設定した場合、モータ341の逆回転時における送り比範囲は0.2~0.67の間で設定されることになる。すなわち、モータ341の逆回転時における吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比を1:Xとした場合、Xの値は、0.2~0.67の範囲で設定されることになる。
【0064】
(実施の形態2)
本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1は、基本的に上記実施の形態1で説明した口腔洗浄装置1とほぼ同様の構成をしている。すなわち、本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1も、図8に示すように、タンク2と、装置本体3と、ノズル4と、を備えている。
【0065】
また、本実施の形態においても、タンク2が装置本体3に着脱可能に装着されており、装置本体3から分離させた状態でタンク2を洗浄することができるようになっている。
【0066】
また、装置本体3は、外郭を構成するハウジング31を備えており、このハウジング31は、天壁311と、天壁311の外周縁から下方に延設される略筒状の周壁312と、周壁312の下端に連設される底壁313と、を備えている。
【0067】
そして、天壁311にはノズル装着部3111が形成されており、このノズル装着部3111に、中空の長尺状に形成されて、液体を先端から吐出(噴出)させることが可能なノズル4が着脱可能に装着されている。
【0068】
また、ハウジング31(装置本体3)の内部には、タンク2内に貯留された液体をノズル4に供給するための液体流路32が形成されている。
【0069】
本実施の形態においても、液体流路32は、液体流路32の上流側に配置される吸入路321と、液体流路32の下流側に配置される吐出路322と、を備えており、この吸入路321と吐出路322とがポンプ33を介して接続されている。このように、本実施の形態においても、液体流路32の途中にポンプ33が配置されている。
【0070】
また、本実施の形態においても、図8図14に示すように、ハウジング31(装置本体3)の内部には、ポンプ駆動機構34が配置されている。そして、このポンプ駆動機構34によりポンプ33を作動させることで、貯留部2a内の液体をチューブ5で吸い上げて、液体流路32を通過させてノズル4の先端から吐出(噴出)させるようにしている。
【0071】
このように、本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1も、ポンプ33とポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34とを備え、ポンプ33を駆動することで液体が吐出される装置となっている。
【0072】
また、本実施の形態においても、ポンプ33は、吸入路321および吐出路322が連通するポンプ室333と、ポンプ室333の下端に連通するように形成されるシリンダ332と、ポンプ駆動機構34に連結されて、シリンダ332内に配置されるピストン331と、を備えている。そして、シリンダ332内でピストン331が上下方向に往復直線運動することで、ポンプ室333の容積が変化するようになっている。
【0073】
このように、本実施の形態においても、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動することで、液体をポンプ室333内に吸入する吸入工程が行われ、上方に移動することで、ポンプ室333から液体を外部に吐出させる吐出工程が行われるようになっている。
【0074】
そして、本実施の形態においても、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようにしている。
【0075】
具体的には、ポンプ駆動機構34が吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えるようにしている。そして、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにピストン331を一往復させるようにしている。
【0076】
本実施の形態においても、ポンプ駆動機構34が、吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えている。そして、変速機構345が非円形ギア(第1のギア3441および第2のギア3442)を有している。さらに、本実施の形態においても、変速機構345が非円形ギアとしての楕円ギア3451,3452を有しており、変速機構345が2個の楕円ギア3451,3452で構成されている。
【0077】
こうすることで、本実施の形態にかかるポンプ駆動機構34を搭載した口腔洗浄装置1を用いた際に、洗浄に使われない無駄な液体の吐出を極力少なくし、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようにしている。
【0078】
ここで、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34が、ピストン331の移動を補助するアシスト機構346を備えるようにしている。
【0079】
このアシスト機構346は、ばね受け3461と、ばね受け3461の両端に固定された一対の軸3463と、一対の軸3463に軸方向に沿ってスライド可能に取り付けられたスライダ3464と、を備えている。このとき、一対の軸3463には一対のコイルばね(付勢部材)3462がそれぞれ取り付けられており、スライダ3464は、この一対のコイルばね(付勢部材)3462によって上方に付勢されている。このように、本実施の形態では、アシスト機構346が、ピストン331を上方(一方向)に付勢するコイルばね(付勢部材)3462を備えている。
【0080】
そして、スライダ3464の押圧部34641をシリンダ332の下端に当接させて、一対のコイルばね(付勢部材)3462の弾性復元力によってシリンダ332が上方に付勢されるようにしている。なお、付勢部材は、弾性変形することが可能な部材であればよく、コイルばね等のばねだけでなく、ゴム等の部材を用いることも可能である。
【0081】
ここで、本実施の形態では、上述したように、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなっている。そのため、本実施の形態にかかるアシスト機構346は、吐出工程および吸入工程のうち、ピストンを一往復させた際にかかる時間が短い方の工程である吐出工程が行われるときにピストン331の移動を補助するようになっている。
【0082】
こうすれば、ピストン331の移動速さが大きくなってモータ341の負荷が大きくなる吐出工程が行われるときに、ピストン331の移動が補助されるため、モータ341の負荷を低減させることができるようになる。ただし、アシスト機構346を用いると、時間が短い方の工程でのモータ341の負荷は減少するが、時間が長い方の工程でのモータ341の負荷が増加してしまう。
【0083】
そこで、このようなアシスト機構346を用いる場合、アシスト機構346によるピストン331の移動を補助するタイミングや、アシスト機構346により補助する力を適宜設定するのが好ましい。こうすれば、図15に示すように、アシスト機構346を用いた場合(図15の実線)のほうが、アシスト機構346を用いない場合(図15の破線)よりも、モータ341の電流値(モータ341にかかる負荷)を小さくする(負荷を低減させる)ことができるようになる。なお、アシスト比率は、10~60の範囲で設定するのが好ましい。すなわち、アシスト機構346により補助する力は、モータ出力の10%~60%とするのが好ましい。
【0084】
このような口腔洗浄装置1としても上記実施の形態1で示した口腔洗浄装置1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0085】
なお、アシスト機構346は、図16に示すように、軸3463の替わりにばね受けリブ3465を設けた構成としたり、図17に示すように、1つのコイルばね(付勢部材)3462を用いた構成としたりすることも可能である。1つのコイルばね(付勢部材)3462を用いる場合、図17に示すように、1つのコイルばね(付勢部材)3462が直接ピストン331を押圧するようにしてもよいし、1つのコイルばね(付勢部材)3462とピストン331との間にスライダを介在させるようにしてもよい。
【0086】
こうすることでも、上記実施の形態2とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0087】
(実施の形態3)
本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1は、図18に示すように、タンク2と、装置本体3と、ノズル4と、を備えている。
【0088】
タンク2は、上方に開口して下端側が閉塞された有底の筒状に形成されており、このタンク2の内部には、液体を貯留することが可能な貯留部2aが形成されている。なお、貯留部2aに貯留される液体としては、水を用いることができるが、水に限られるものではなく様々な液体を用いることができる。例えば、洗浄剤が水に混入された洗浄液などを用いることが可能である。
【0089】
さらに、本実施の形態では、タンク2には、装置本体3が、上下方向(装置本体3の長手方向)にスライドできるようにした状態で支持されている。このとき、装置本体3は、少なくとも下端側が貯留部2a内に配置されるようにした状態でタンク2にスライド可能に支持されている。
【0090】
そして、装置本体3をタンク2の下側にスライドさせてタンク2内に装置本体3が収納されるようにすることで、口腔洗浄装置1を使用しないときに、よりコンパクトな状態で保管することができるようにしている。また、装置本体3をタンク2の上側にスライドさせて装置本体3がタンク2の上部に引き出されるようにすることで、タンク2の貯留部2aにより多くの液体を供給できるようにしている。そして、装置本体3をタンク2の上部に引き出した状態で、ノズル4を装置本体3に取り付け、タンク2の貯留部2aに液体を供給することで、口腔洗浄装置1を使用できるようにしている。
【0091】
このように、本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1は、装置本体3が、タンク2に収納される収納状態とタンク2から引き出された引出状態との間でタンク2にスライド可能に支持されるタンク伸縮式の口腔洗浄装置となっている。すなわち、口腔洗浄装置1は、使用しないときには、ノズル4を装置本体3から取り外し、装置本体3をタンク2に押し込んでタンク2内に収納させることができるようになっている。そして、装置本体3をタンク2から引き出して、装置本体3にノズル4を取り付けることで、口腔洗浄装置1を使用することができるようになっている。
【0092】
このとき、装置本体3がタンク2に着脱可能に支持されるようにするのが好ましい。すなわち、装置本体3を上方に引っ張ることで、装置本体3をタンク2から取り外したり、装置本体3の下端部をタンク2内に挿入した状態で、装置本体3を下方に押し下げることで、装置本体3をタンク2に取り付けたりできるようにするのが好ましい。こうすれば、タンク2と装置本体3とを分離した状態で洗浄することが可能になるため、タンク2や装置本体3をより清潔に保つことができるようになる。
【0093】
また、タンク2は、食洗機で洗浄できるようにポリプロピレン樹脂などで形成されており、デザイン性を高めるために透明または半透明の容器状に形成されている。さらに、タンク2は、装置本体3を相対的に回転させることができるように、水平断面形状が真円で形成されている。
【0094】
本実施の形態では、タンク2は、上下に開口した略円筒状の筒状体21と、筒状体21の下側開口を閉塞する底壁22と、を備えている。なお、タンク2の側部(筒状体21)には、貯留部2a内に液体を注入することが可能な給液孔(図示せず)が形成されており、この給液孔が給液蓋(図示せず)によって閉塞されるようにしている。こうすることで、タンク2を横にした状態であっても、タンク2内の貯留部2aに液体を供給することができるようにしている。
【0095】
一方、装置本体3は、外郭を構成するハウジング31を備えており、このハウジング31は、上下方向の両端側がそれぞれ閉塞された筒状に形成されている。さらに、ハウジング31(装置本体3)も、タンク2に対して相対的に回転させることができるように、断面形状が真円で形成されている。
【0096】
したがって、本実施の形態では、ハウジング31は、略円板状の天壁311と、天壁311の外周縁から下方に延設される略円筒状の周壁312と、周壁312の下側の開口を塞ぐように設けられる略円板状の底壁313と、を備えている。
【0097】
この天壁311には、中空の長尺状に形成されて、液体を先端から吐出(噴出)させることが可能なノズル4を着脱可能に装着するノズル装着部3111が形成されている。
【0098】
また、周壁312には、ノズル4をハウジング31(装置本体3)から取り外すことができるボタン(図示せず)や、口腔洗浄装置1を起動、或いは停止させる(電源のオン・オフを切り替える)電源スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0099】
そして、底壁313には、チューブ5が取り付けられるチューブ取付部3132が形成されている。
【0100】
なお、本実施の形態では、チューブ5は、チューブ取付部3132に一体的に取り付けられており、装置本体3をタンク2にスライド可能に取り付けた際に、タンク2の貯留部2a内に配置されるようになっている。そして、貯留部2aに貯留された液体が、このチューブ5を介してハウジング31内(装置本体3内)に導入されるようになっている。
【0101】
また、チューブ5の周囲には、チューブ5の長さ方向に延びる姿勢を保持するコイルバネ6が配置されている。このようなコイルバネ6をチューブ5の周囲に配置することで、タンク2に装置本体3を収納するときに、チューブ5を屈曲することなく、巻き回すことができるようにし、チューブ5をきれいにタンク2内に収納できるようにしている。さらに、コイルバネ6をチューブ5の周囲に配置することで、タンク2から装置本体3を引き出すときに、チューブ5を巻き回された状態からきれいに伸ばすことができるようにしている。
【0102】
また、ハウジング31(装置本体3)の内部には、チューブ5を介して導入された液体を通過させてノズル4に供給することが可能な液体流路32が形成されている。本実施の形態では、液体流路32は、一端がノズル装着部3111の内側空間に連通するとともに、他端がチューブ取付部3132の内側空間に連通するようにハウジング31内(装置本体3内)に設けられている。こうすることで、チューブ5を介して導入された液体が、液体流路32を通過してノズル4に供給されるようにしている。
【0103】
本実施の形態では、液体流路32は、液体流路32の上流側に配置される吸入路321と、液体流路32の下流側に配置される吐出路322と、を備えており、この吸入路321と吐出路322とがポンプ33を介して接続されている。なお、ポンプ室333と吸入路321との間には、吸入弁(図示せず)が設けられており、ポンプ室333と吐出路322との間には、吐出弁(図示せず)が設けられている。
【0104】
また、ハウジング31(装置本体3)の内部には、ポンプ駆動機構34が配置されている。そして、このポンプ駆動機構34によりポンプ33を作動させることで、貯留部2a内の液体をチューブ5で吸い上げて、液体流路32を通過させてノズル4の先端から吐出(噴出)させるようにしている。
【0105】
このように、本実施の形態にかかる口腔洗浄装置1は、ポンプ33とポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34とを備え、ポンプ33を駆動することで液体が吐出される装置となっている。
【0106】
また、本実施の形態では、ポンプ33は、吸入路321および吐出路322が連通するポンプ室333と、ポンプ室333の下端に連通するように形成されるシリンダ332と、シリンダ332内に配置されるピストン331と、を備えている。
【0107】
ピストン331は、ポンプ駆動機構34に連結されており、ポンプ駆動機構34によって、シリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようになっている。そして、シリンダ332内でピストン331が上下方向に往復直線運動することで、ポンプ室333の容積が変化するようになっている。
【0108】
具体的には、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動すると、ポンプ室333の容積が大きくなり、タンク2内の液体がチューブ5と吸入路321とを介してポンプ室333に流入されることになる。その後、ポンプ室333内に液体が流入された状態で、ピストン331がシリンダ332内で上方に移動すると、ポンプ室333の容積が小さくなり、ポンプ室333内の液体が吐出路322を介してノズル4に供給されることになる。そして、ノズル4に供給された液体がノズル4の先端から外部に吐出(噴出)されることになる。
【0109】
このように、本実施の形態では、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動することで、液体をポンプ室333内に吸入する吸入工程が行われ、上方に移動することで、ポンプ室333から液体を外部に吐出させる吐出工程が行われるようになっている。すなわち、ピストン331が上死点と下死点との間で往復直線運動することで、吸入工程と吐出工程とが交互に行われるようになっている。したがって、ピストン331が上死点から上下方向に一往復した際には吸入工程と吐出工程が一回ずつ行われることになる。
【0110】
このような構成とすることで、装置本体3に装着されたノズル4の先端から液体が間欠的に吐出されるようにしている。
【0111】
そして、ポンプ駆動機構34は、モータ341を備えており、このモータ341を駆動させることで、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。
【0112】
具体的には、ポンプ駆動機構34は、モータ341と、モータ341の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構344と、を有している。そして、この変換機構344にピストン331が連設されており、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。なお、モータ341は、装置本体3の内部に収納された電池(充電池や乾電池等)からの電力や外部電力等の供給によって駆動されるようになっている。
【0113】
さらに、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34は、モータ341の回転速度を減速させる減速機構342と、減速機構342により減速させた回転運動を変換機構344に伝達する伝達機構343と、を備えている。したがって、本実施の形態では、減速機構342によってモータ341の回転速度(回転数)を所定の回転速度(回転数)となるように減速させた状態で、変換機構344によって往復直線運動に変換させている。
【0114】
そして、本実施の形態においても、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようにしている。
【0115】
具体的には、ポンプ駆動機構34が吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えるようにしている。そして、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにピストン331を一往復させるようにしている。
【0116】
本実施の形態においても、ポンプ駆動機構34が、吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えている。そして、変速機構345が非円形ギアとしての楕円ギア3451,3452を有しており、変速機構345が2個の楕円ギア3451,3452で構成されている。
【0117】
さらに、本実施の形態においても、ポンプ駆動機構34が、ピストン331の移動を補助するアシスト機構346を備えるようにしている。
【0118】
このような口腔洗浄装置1としても上記各実施の形態およびその変形例で示した口腔洗浄装置1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0119】
なお、本実施の形態では、実施の形態2で示したポンプ駆動機構34と同様のものを例示したが、実施の形態1で示したポンプ駆動機構34と同様のものとすることも可能である。すなわち、アシスト機構346を備えていないポンプ駆動機構34とすることも可能である。
【0120】
また、本実施の形態では、装置本体3をタンク2に対して相対的に回転させることで装置本体3を引出状態とするタンク伸縮式の口腔洗浄装置1を例示したが、これに限られるものではない。例えば、装置本体3をスライド方向に引っ張ることで装置本体3を引出状態とするタンク伸縮式の口腔洗浄装置とすることが可能である。
【0121】
[作用・効果]
以下では、上記各実施の形態およびその変形例で示した口腔洗浄装置の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0122】
上記各実施の形態およびその変形例で示した口腔洗浄装置1は、液体が貯留されるタンク2と、タンク2内に貯留された液体が液体流路32を介して供給されて、液体を口腔内に吐出することが可能なノズル4と、を備えている。また、口腔洗浄装置1は、液体流路32に配置されて、タンク2内に貯留された液体を吸入してノズル4から吐出させるポンプ33と、ポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34と、を備えている。そして、ポンプ33は、一方向に往復直線運動するピストン331を有している。
【0123】
ここで、ポンプ33は、ピストン331を往復直線運動させることで、ポンプ33に液体が吸入される吸入工程とポンプ33から液体が吐出される吐出工程とが交互に行われるようになっている。そして、吸入工程にかかる時間と吐出工程にかかる時間とが異なるようにピストン331を一往復させることが可能となるようにしている。
【0124】
このように、上記各実施の形態およびその変形例で示した口腔洗浄装置1用いると、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が1:1となる場合とは異なった水流で液体を吐出することが可能になる。その結果、より効率的に口腔内の洗浄を行う等ができるようになる。
【0125】
また、ポンプ駆動機構34が、モータ341と、モータ341の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構344と、を有しており、ピストン331が変換機構344に連結されることで往復直線運動するようにしてもよい。
【0126】
このように、ポンプ33の駆動源としてモータ341を用い、変換機構344によってピストン331を往復直線運動させるようにすれば、より効率的に口腔内の洗浄を行う等が可能な口腔洗浄装置1を、より安価に得ることが可能になる。
【0127】
また、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにピストン331を一往復させることが可能となるようにしてもよい。
【0128】
こうすれば、洗浄に使われない無駄な液体の吐出を極力少なくし、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようになる。
【0129】
また、ポンプ駆動機構34が、吐出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えていてもよい。そして、変速機構345が非円形ギア(第1のギア3441および第2のギア3442)を有していてもよい。
【0130】
こうすれば、構成の簡素化を図りつつ、より効率的に口腔内の洗浄を行う等ができるようになる。
【0131】
また、非円形ギアが楕円ギア3451,3452であってもよい。
【0132】
このように、非円形ギアとして楕円ギア3451,3452を用いるようにすれば、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比をより容易に設定することが可能になる。
【0133】
また、変速機構345が2個の楕円ギア3451,3452を有していてもよい。
【0134】
こうすれば、変速機構345の構成の簡素化を図りつつ、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比をより容易に設定することが可能になる。
【0135】
また、ポンプ駆動機構34が、ピストン331の移動を補助するアシスト機構346を備えていてもよい。
【0136】
こうすれば、モータ341にかかる負荷を減少させることができるようになる。
【0137】
また、アシスト機構346が、吐出工程および吸入工程のうち、ピストンを一往復させた際にかかる時間が短い方の工程が行われるときにピストン331の移動を補助するようにしてもよい。
【0138】
こうすれば、モータ341の負荷が大きくなる工程が行われるときに、ピストン331の移動を補助することができ、より効率的にモータ341にかかる負荷を低減させることができるようになる。
【0139】
また、アシスト機構346が、ピストン331を一方向に付勢するコイルばね(付勢部材)3462を備えていてもよい。
【0140】
こうすれば、構成の簡素化を図りつつ、モータ341にかかる負荷を減少させることができるようになる。また、アシスト機構346によるアシスト力(ピストン331を押圧する力)を調整しやすくなるという利点もある。
【0141】
[その他]
以上、本開示にかかる口腔洗浄装置の内容を説明したが、上述の実施の形態およびその変形例は、本開示における技術を例示するためのものである。したがって、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0142】
例えば、上記各実施の形態およびその変形例で説明した構成を適宜組み合わせた口腔洗浄装置とすることが可能である。
【0143】
また、上記各実施の形態およびその変形例では、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにすることが可能な口腔洗浄装置1を例示している。すなわち、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにすることのみが可能な口腔洗浄装置1、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間の長短を切り替えることが可能な口腔洗浄装置1を例示している。しかしながら、口腔洗浄装置の構成は、このような構成に限られるものではなく、吐出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも長くなるようにすることのみが可能な口腔洗浄装置とすることも可能である。また、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間とが同一の場合も含む様々な割合を選択することが可能な口腔洗浄装置とすることも可能である。
【0144】
また、上記各実施の形態およびその変形例では、変速機構を用いて機械的に、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間とが異なるようにしたものを例示したが、これに限られるものではなく、例えば、モータ341の回転速度を制御する制御部を設けることで、制御的に、吐出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間とが異なるようにすることも可能である。
【0145】
また、2個以上のモータや回転数が異なる2種類以上のモータを用いて、吐出工程と吸入工程の時間が異なるようにすることも可能である。
【0146】
また、上記各実施の形態およびその変形例では、ポンプ駆動機構34が、モータ341と、モータ341の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構344と、を有するものを例示したが、ポンプ駆動機構34が、モータ341および変換機構344を有していない構成とすることも可能である。例えば、電磁アクチュエータを用いてピストン331を往復直線運動させる構成とすることが可能である。
【0147】
また、口腔洗浄装置の構成は、タンク分離式やタンク伸縮式に限られるものではなく、様々な構成の口腔洗浄装置に本開示を適用することが可能である。
【0148】
また、装置本体やタンク、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0149】
以上のように、本開示にかかる口腔洗浄装置は、より効率的に口腔内の洗浄を行う等が可能であるので、家庭用および業務用をはじめとする各種の口腔洗浄装置に利用できる。
【符号の説明】
【0150】
1 口腔洗浄装置
2 タンク
32 液体流路
33 ポンプ
331 ピストン
332 シリンダ
34 ポンプ駆動機構
341 モータ
344 変換機構(回転運動を往復直線運動に変換する)
3441 第1のギア(非円形ギア)
3442 第2のギア(非円形ギア)
345 変速機構
3451 楕円ギア
3452 楕円ギア
346 アシスト機構
3462 コイルばね(付勢部材)
4 ノズル
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