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特開2023-148585医用情報処理装置、医用情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148585
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20231005BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056692
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 滉平
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】荒木田 和正
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】効率よく治療方法を選択できるようにする。
【解決手段】実施形態の医用情報処理装置は、取得部と、生成部と、提供部と、を持つ。取得部は、治療対象となる患者の治療方法に対する禁忌を確認するための複数の確認項目のデータを含む患者データを取得する。生成部は、前記患者データに基づいて、複数の前記確認項目のそれぞれに対する確認必要性の高さを示す確認項目情報を生成する。提供部は、前記確認項目情報を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療対象となる患者の治療方法に対する禁忌を確認するための複数の確認項目のデータを含む患者データを取得する取得部と、
前記患者データに基づいて、複数の前記確認項目のそれぞれと、複数の前記確認項目のそれぞれの確認必要性の高さとが対応付けられた確認項目情報を生成する生成部と、
前記確認項目情報を提供する提供部と、を備える、
医用情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記患者の疾患に応じた複数の治療方法の情報を取得し、
前記生成部は、取得された治療方法の情報における前記確認項目に対する確認項目情報を生成し、
前記提供部は、取得された前記治療方法の情報をさらに提供する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、取得された前記治療方法の中から効果の高い治療方法を選択し、
前記提供部は、選択された前記治療方法の情報を提供する、
請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、ユーザにより指定された治療方法の情報を取得し、
前記生成部は、取得された治療方法の情報における前記確認項目に対する確認項目情報を生成する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記患者データに含まれる各確認項目のデータを解析して得られた前記治療方法が禁忌とされる原因可能性に基づいて、複数の前記確認項目のそれぞれに対する確認必要性の高さを算出する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記原因可能性が高いほど、前記確認必要性を高く算出する、
請求項5に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、前記原因可能性が不明である場合に、前記原因可能性が不明でない場合よりも前記確認必要性を高く算出する、
請求項5または6に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記確認項目のデータの種類及び前記確認項目のデータを解析する解析手法に更に基づいて、前記確認必要性の高さを算出する、
請求項5から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、前記確認項目のデータの種類、前記確認項目のデータを解析する解析手法、前記確認項目のデータの原因可能性のスコアの演算結果に基づいて、前記確認必要性の高さを算出する、
請求項8に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記患者データに含まれる各確認項目のデータを解析し、前記治療方法が禁忌とされる原因となる可能性の高さを算出する解析部を更に備える、
請求項5から9のうちいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記生成部は、禁忌に該当する治療方法と禁忌に該当しない治療方法を除いた治療方法に対して前記確認項目情報を生成する、
請求項1から10のうちいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記生成部は、前記患者データに応じた禁忌の判定結果の過去の事例に更に基づいて、確認項目情報を生成する、
請求項1から11のうちいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
前記提供部は、複数の前記確認項目にアンド条件が付与されて前記禁忌が確認される場合に、前記アンド条件が付与された前記確認項目の一部の前記確認必要性を含む前記確認項目情報を提供するときに、前記アンド条件が付与された前記確認項目の他の確認項目の前記確認必要性を前記確認項目情報に含める、
請求項1から12のうちいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項14】
前記提供部は、複数の前記確認項目に前記確認必要性の高さを対応付けて表示部に表示させる前記確認項目情報を提供する、
請求項1から13のうちいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータが、
治療対象となる患者の治療方法に対する禁忌を確認するための複数の確認項目のデータを含む患者データを取得し、
前記患者データに基づいて、複数の前記確認項目のそれぞれと、複数の前記確認項目のそれぞれの確認必要性の高さとが対応付けられた確認項目情報を生成し、
前記確認項目情報を提供する、
医用情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
治療対象となる患者の治療方法に対する禁忌を確認するための複数の確認項目のデータを含む患者データを取得させ、
前記患者データに基づいて、複数の前記確認項目のそれぞれと、複数の前記確認項目のそれぞれの確認必要性の高さとが対応付けられた確認項目情報を生成させ、
前記確認項目情報を提供させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、患者の治療や処置(以下、治療と総称する)をする際、複数の治療方法や処置方法(以下、治療方法と総称する)から最適な治療方法を選択する。患者には、禁忌となる治療方法が存在することがある。このため、医師は、患者の状態を確認し、禁忌に該当しない治療方法を選択して治療等を行う。患者に対して禁忌となる治療方法となるかの基準となる確認項目は、複数に及ぶことがある。
【0003】
医師は、治療等に利用する治療方法が禁忌に該当するかを判断するために、複数の確認項目を確認する必要がある。このため、治療方法の選択に手間がかかる。また、複数の確認項目を確認するため、多数の確認項目が終わった後の確認項目を確認した結果、禁忌となると判断される場合には、それまでの確認が無駄となり、効率が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-130908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、効率よく治療方法を選択できるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の医用情報処理装置は、取得部と、生成部と、提供部と、を持つ。取得部は、治療対象となる患者の治療方法に対する禁忌を確認するための複数の確認項目のデータを含む患者データを取得する。生成部は、前記患者データに基づいて、複数の前記確認項目のそれぞれと、複数の前記確認項目のそれぞれの確認必要性の高さとが対応付けられた確認項目情報を生成する。提供部は、前記確認項目情報を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図。
図2】患者DB151の一例を示す図。
図3】スコアDB152の一例を示す図。
図4】スコアリング結果DB153の一例を示す図。
図5】医用情報処理システム1におけるデータの流れの一例を示す図。
図6】患者データ42の一例を示す図。
図7】確認項目情報116の一例を示す図。
図8】表示部23の表示の一例を示す図。
図9】医用情報処理装置100の処理の一例を示すフローチャート。
図10】医用情報処理装置100の処理の一例を示すフローチャート。
図11】医用情報処理装置100の処理の一例を示すフローチャート。
図12】第2の実施形態の表示部23の表示の一例を示す図。
図13】第3の実施形態の患者DB151の一例を示す図。
図14】第3の実施形態の確認項目情報116の一例を示す図。
図15】第4の実施形態の確認項目情報116の一例を示す図。
図16】第4の実施形態のユーザ端末20における表示部23の表示内容の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用情報処理装置、医用情報処理方法、及びプログラムについて説明する。
【0009】
医師等(以下、ユーザ)は、治療対象となる患者の治療や処置(以下、治療等)をする際に、複数の治療方法(処置方法を含む)から最適な治療方法を選択する。ユーザは、治療方法を選択する際に、治療方法に対する禁忌を確認する。実施形態の医用情報処理システムは、医師が患者の疾患を治療する際に適切な治療方法と、その治療方法が禁忌に該当するかの禁忌の可能性を示す項目確認情報をユーザに提供するシステムである。
【0010】
ユーザは、治療等を開始する前に、禁忌となる治療方法であるかを確認するための確認項目についての確認(診察)等を行う。ユーザは、確認した結果の内容を示す内容データを医用情報処理装置に送信する。医用情報処理装置では、送信された内容データを解析して、禁忌となる可能性を算出し、患者の疾患に適した治療方法を示す情報を生成してユーザに提供する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。医用情報処理システム1は、例えば、ユーザ端末20と、医用情報処理装置100とを備える。ユーザ端末20と医用情報処理装置100とは、例えば、LAN(Local Area Network)などのネットワークNWを介して通信可能である。ネットワークNWは、LANに代えてまたは加えて、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)等を含んでもよい。
【0012】
ユーザ端末20は、患者を治療したり処理したりするユーザが操作する端末である。ユーザ端末20は、例えば、入力部21と、出力部22とを備える。入力部21は、例えば、キーボードやタッチパネルなどを備える。入力部21は、患者を測定するための、患者ID、疾患名、疾患に応じた各確認項目の内容データを患者データとして入力可能である。入力部21は、患者データとして、疾患名等の他に、ユーザが想定する治療方法などを入力可能としてもよい。
【0013】
出力部22は、例えば、ディスプレイなどの表示部23や、スピーカなどの音声出力部24を備える。出力部22は、患者IDおよび疾患名とともに、治療方法、治療方法が禁忌と判断される可能性及び禁忌の原因とされる確認項目を出力可能である。ユーザは、出力部22の出力結果に応じて、治療方法の禁忌を確認した後に治療方法を選択して決定する。
【0014】
医用情報処理装置100は、例えば、通信インターフェース110と、入力インターフェース120と、ディスプレイ130と、処理回路140と、記憶部150とを備える。通信インターフェース110は、ネットワークNWを介してユーザ端末20等の外部装置と通信する。
【0015】
入力インターフェース120は、各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路140に出力する。入力インターフェース120は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等を含む。入力インターフェース120は、例えば、マイク等の音声入力を受け付けるユーザインターフェースであってもよい。入力インターフェース120がタッチパネルである場合、入力インターフェース120は、ディスプレイ130の表示機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0016】
なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0017】
ディスプレイ130は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ130は、処理回路140によって生成された画像や、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。例えば、ディスプレイ130は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0018】
処理回路140は、例えば、取得機能141と、解析機能142と、生成機能143と、提供機能144とを備える。処理回路140は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がメモリ(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0019】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)などの回路(circuitry)を意味する。
【0020】
記憶部150にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予め記憶部150に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が医用情報処理装置100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体から記憶部150にインストールされてもよい。
【0021】
ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0022】
記憶部150は、例えば、患者データベース(以下、DB)DB151と、スコアDB152と、スコアリング結果DB153と、スコア演算式154とを備える。患者DB151は、ユーザ端末20に入力された患者データを記憶してDB化したものである。図2は、患者DB151の一例を示す図である。患者データには、治療の対象となる患者の治療方法に対する禁忌を確認するための複数の確認項目があらかじめ設定されている。確認項目は、治療方法ごとに異なる。
【0023】
スコアDB152は、疾患に対する治療方法が禁忌とされる原因となる可能性(以下、原因可能性)を示すスコアをデータ種類及び解析方法ごとにDB化したものである。図3は、スコアDB152の一例を示す図である。スコアDB152に含まれるスコアとしては、各確認項目に対するデータ種類のスコア(以下、データ種類スコア)及び解析手法のスコア(以下、解析手法スコア)が設定されている。スコアDB152は、疾患ごとの治療方法のデータを含む。
【0024】
治療方法には、疾患に対する効果の大きさが対応付けられている。スコアDB152は、疾患に対する治療方法の効果を更に含む。疾患に対する治療方法の効果の大きさは、どのように設定算出されてもよい。疾患に対する治療方法の効果の大きさは、例えば、過去の治療実績に基づいて、算出される。
【0025】
原因可能性が高いデータ種類や解析手法のデータ種類スコアや解析手法スコアには、高いスコアが付与されている。例えば、データ種類における文字列は画像よりも元データの精度が低く、原因可能性が高いので、文字列のデータ種類スコアは「3」、画像のデータ種類スコアは「1」である。また、解析手法における文字列解析は、画像解析よりも解析アルゴリズムの精度が低く、原因可能性が高いので、文字列解析の解析手法スコアは「5」、画像解析の解析手法スコアは「3」である。
【0026】
データ種類及び解析方法は、確認項目ごとにそれぞれ設定されている。例えば、確認項目が臨床所見である場合、データ種類は、カルテ記載の文字列であり、解析手法は文字列解析である。また、解析が可能でない項目も含まれることがある。例えば、既往症のデータ種類は患者プロファイルの文字列であるが、解析手法が確立されておらず、無とされている。この場合の既往症については、解析が可能でない項目である。
【0027】
スコアリング結果DB153は、ユーザ端末20に入力された患者データをスコアDB152に含まれるスコアデータに参照した結果として得られるスコアリングデータをデータベース化したものである。スコアリングデータには、各確認項目に対するデータ種類スコア以下、解析手法スコア、解析結果の原因可能性を示すスコア(以下、解析スコア)、及び確認必要性のスコア(以下、判定スコア)が含まれる。図4は、スコアリング結果DB153の一例を示す図である。
【0028】
解析結果は、ユーザ端末20により入力された患者データをスコアDB152に示す解析手法で解析した結果である。解析結果の原因可能性をスコア化することにより解析スコアが算出される。解析スコアは、解析結果の原因可能性が高いほど高く設定される。また、原因可能性が不明である場合には、原因可能性が不明でない場合よりも高い解析スコアが設定される。
【0029】
確認必要性は、禁忌となる治療方法であるかをユーザが確認する必要性を表す。確認必要性の高さを示す判定スコアは、スコア演算式154を用いて演算結果により表される。スコア演算式f(x)は、例えば、データ種類、解析手法、及び解析結果の各スコアを変数とした演算式である。この例では、スコア演算式154は、データ種類スコア、解析手法スコア、及び解析スコアを乗じる式である。スコア演算式は、その他の演算式でもよい。
【0030】
取得機能141は、ユーザ端末20の入力部21に入力された患者データを取得する。取得機能141は、取得した患者データが示す疾患名に応じた複数の治療方法及び各治療方法に対応するスコアデータをスコアDB152からそれぞれ取得する。患者データが示す疾患名に応じた複数の治療方法は、患者の疾患に応じた複数の治療方法の情報である。取得機能141は、取得部の一例である。
【0031】
解析機能142は、取得機能141により取得された患者データを解析して複数の治療方法のそれぞれにおける解析結果を算出する。解析機能142は、算出した解析結果の原因可能性をスコア化した解析スコアを算出する。解析機能142は、例えば、取得機能141が取得した患者データに含まれるカルテ記載の臨床所見の文字列を文字列解析し、解析スコアを算出する。解析機能142は、解析部の一例である。
【0032】
解析機能142は、患者データの解析結果に基づいて、治療方法に禁忌があるか否か及び禁忌がないか否かを判定する。解析機能142は、取得機能141により取得された患者データに対して、取得機能141により取得されたスコアデータに含まれるデータ種類スコア及び解析手法スコアをそれぞれ付与する。
【0033】
生成機能143は、取得機能141により取得された患者データに付与されたスコアデータに含まれる確認項目のデータ種類スコア、解析手法スコア、解析機能142により算出された解析スコア、及びスコア演算式154を用いて判定スコアを算出する。生成機能143は、患者データの各確認項目にデータ種類スコア、解析手法スコア、解析スコア、及び判定スコアを付与したスコアリングデータを生成する。
【0034】
生成機能143は、生成したスコアリングデータに患者ID、疾患名、及び治療方法を追加し、複数の確認項目のそれぞれと、複数の確認項目のそれぞれの判定スコアの高さとが対応付けられた確認項目情報を生成する。さらに、生成機能143は、生成したスコアリングデータを追加することによりスコアリング結果DB153に更新し、更新したスコアリング結果DB153を記憶部150に格納する。
【0035】
生成機能143は、解析機能142により治療方法に禁忌があると判定された場合には、禁忌有情報を含めた確認項目情報を生成する。生成機能143は、解析機能142により治療方法に禁忌がないと判定された場合には、禁忌無情報を含めた確認項目情報を生成する。生成機能143は、禁忌有情報または禁忌無情報を含む治療方法について、確認項目情報を生成せず、禁忌に該当する治療方法と禁忌に該当しない治療方法を除いた治療方法に対して確認項目情報を生成してもよい。生成機能143は、確認項目情報において、各確認項目を判定スコアが高い順に並べる。
【0036】
生成機能143は、生成した確認項目情報に基づいて、複数の治療方法のそれぞれについて、総合的な確認必要性を示す総合判定スコアを生成し、生成した総合判定スコアに基づいて、複数の治療方法の中から、適正治療方法を選択する。適正治療方法は、複数の治療方法の中から患者に適した治療方法として選択された治療方法である。
【0037】
生成機能143は、任意の方法で総合判定スコアを生成してよい。生成機能143は、例えば、確認項目の判定スコアの最大値を総合判定スコアとしてもよいし、確認項目の判定スコアの代表値、例えば平均値を総合判定スコアとしてもよい。第1の実施形態では、生成機能143は、適正治療方法を2個選択する。
【0038】
生成機能143は、適正治療方法を1つ選択してもよいし複数選択してもよい。生成機能143は、1つの適性治療方法を選択する場合に総合判定スコアが最も小さい治療方法を適正治療方法として選択してよい。生成機能143は、複数の適性治療方法を選択する場合には、総合判定スコアが小さい順に適正治療方法を選択してよい。
【0039】
生成機能143は、複数の適正治療方法を選択する場合に、例えば、総合判定スコアに閾値を設定し、総合判定スコアが小さい順に適正治療方法を選択してもよい。適正治療方法を複数選択する場合に、選択する適正治療方法の数に上限値例えば2個や3個を設定してもよい。ユーザ端末20により送信された患者データに治療方法が含まれている場合には、生成機能143は、疾患名が含まれているか否かにかかわらず、患者データに含まれる治療方法の確認項目情報を生成してよい。
【0040】
生成機能143は、選択した適正治療方法、その効果、禁忌可能性、及びその確認項目情報を含む提供情報を生成する。生成機能143は、例えば、適正治療方法と、その効果と、その確認項目情報の一部、例えば判定スコアが最大となる確認項目の確認項目情報を含む提供情報を生成する。生成機能143は、提供情報に含まれる確認項目情報を適正治療方法の全ての確認項目情報としてもよいし、判定スコアが所定の閾値以上である確認項目情報を含めてもよい。
【0041】
生成機能143は、適正治療方法に順位付けをして選択する場合に、スコアDB152を参照し、効果の大きい治療方法に高い順位付けをして治療方法を選択してもよい。ユーザは、治療方法に対する効果と禁忌の可能性を容易に認識することができる。禁忌可能性としては、例えば、総合判定スコアに応じた内容が決定される。
【0042】
提供機能144は、生成機能143により生成され、ユーザ端末20の表示部23に表示させる提供情報をユーザ端末20に送信することにより提供する。また、提供機能144は、生成機能143により提供された提供情報に含まれる適正治療方法及びその確認項目情報を、必要に応じてディスプレイ130に表示させる。提供機能144は、提供部の一例である。
【0043】
提供機能144は、適正治療方法以外の治療方法及び治療方法の確認項目情報をユーザ端末20に提供してもよい。この場合、提供機能144は、治療方法を順位付けし、例えば、判定スコアの最大値や代表値が小さいほど高くなる順位ように治療方法に順位付けをしてユーザ端末20に提供してもよい。
【0044】
次に、医用情報処理システム1におけるデータの流れについて説明する。図5は、医用情報処理システム1におけるデータの流れの一例を示す図である。ユーザがユーザ端末20を操作することより、ユーザ端末20から医用情報処理装置100に送信される入力データ41には、患者データ42が含まれる。患者データ42には、患者ID43、疾患名44、および内容データ45の各データが含まれている。図6は、患者データ42の一例を示す図である。
【0045】
患者データ42を送信された医用情報処理装置100は、後に説明する患者DB151やスコアDB152などを利用してスコアリング処理を行い、スコアリングデータ112を生成する。医用情報処理装置100は、生成したスコアリングデータ112、患者ID113、疾患名114、及び治療方法115を含む確認項目情報116を生成する。医用情報処理装置100は、確認項目情報116に対して、スコアリングデータ112を生成する過程で禁忌があると判定した場合には、禁忌有情報117を含め禁忌があると判定した場合の禁忌無情報118を含める。図7は、確認項目情報116の一例を示す図である。
【0046】
医用情報処理装置100の提供機能144により提供情報を提供されたユーザ端末20は、提供された提供情報を例えば表示部23に表示させる。図8は、表示部23の表示の一例を示す図である。図8に示すように、表示部23には、適正治療方法と、禁忌の確認必要性が示される。適正治療方法は、例えば、治療の効果が高い順に表示される。
【0047】
禁忌の確認必要性は、例えば、総合判定スコアに応じて決定される。ユーザは、表示部23の表示を見ることにより、患者の治療に適した治療方法と、確認が必要な禁忌の情報を得ることができる。ユーザ端末20は、例えば、図8に示す禁忌可能性が大である表示を指定する入力操作をユーザがした場合に、表示部23に確認項目情報を表示させる。
【0048】
次に、医用情報処理装置100の処理について説明する。図9から図11は、医用情報処理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートの処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。医用情報処理装置100は、まず、取得機能141において、ユーザ端末20により送信される患者データ42を取得したか否かを判定する(ステップS101)。
【0049】
患者データ42を取得していないと判定した場合、取得機能141は、ステップS101の処理を繰り返す。患者データ42を取得したと判定した場合、取得機能141は、取得した患者データ42を患者DB151に追加して患者DB151を更新する(ステップS103)。
【0050】
続いて、解析機能142は、取得機能141により取得された患者データ42を解析して(ステップS105)、患者データ42に含まれる疾患に対応するすべての治療方法のすべての確認項目について、解析スコアを算出する。続いて、生成機能143は、解析機能142により算出された解析スコアを用いてスコアリングデータ112を生成し、生成したスコアリングデータ112を含む確認項目情報116を生成する(ステップS107)。患者データ42を解析する処理及び確認項目情報116を生成する処理については、後にさらに説明する。
【0051】
続いて、生成機能143は、生成したスコアリングデータ112をスコアリング結果DB153に追加してスコアリング結果DB153を更新する(ステップS109)。続いて、生成機能143は、生成したスコアリングデータ112における判定スコアを参照し、適正治療方法を選択する(ステップS111)。
【0052】
続いて、生成機能143は適正治療方法、その効果、及びその確認項目情報116を含む提供情報を生成する(ステップS113)。提供機能144は、生成機能143により生成された提供情報をユーザ端末20に送信することにより提供する(ステップS115)。提供機能144は、提供情報をディスプレイ130に表示させてもよい。こうして、医用情報処理装置100は、図9に示す処理の1ターンを終了する。
【0053】
続いて、患者データ42を解析する処理及び確認項目情報116を生成する処理について説明する。図10は、患者データ42を解析する処理の流れを示す。患者データ42を解析するにあたり、解析機能142は、患者データ42に含まれる示される治療方法に相当するスコアデータをスコアDB152の中から選択して取得する(ステップS201)。例えば、患者データ42に示される疾患に適した治療方法が治療Aである場合には、治療Aに相当するスコアデータを取得する。
【0054】
患者データ42に疾患名が含まれていない場合には、解析機能142は、どのような基準で取得するスコアデータを決定してもよい。解析機能142は、患者データ42に疾患名が含まれていない場合には、すべての治療方法のスコアデータを取得してもよいし、患者データに含まれる疾患名(過去の患者の疾患履歴)に応じた治療方法のスコアデータを取得してもよい。
【0055】
続いて、解析機能142は、患者データ42に含まれる各確認項目に対して、解析手法を特定し、特定した解析手法により、患者データ42に含まれる内容データを解析して自解析スコアを算出する(ステップS203)。例えば、確認項目が臨床所見では、データ種類がカルテ記載の文字列であり、解析手法が文字列解析である。このため、解析機能142は、内容データを文字列解析して解析結果を算出する。
【0056】
また、確認項目が既往歴の場合、データ種類が患者プロファイルの文字列のみであり、解析手法が存在しないので、解析結果を得ることができなくなる。また、確認項目が既往歴の場合、解析手法はルールベースによる閾値確認である。このため、解析機能142は、バイタルサインの数値とルールベースの文字列閾値と参照して解析結果を算出する。
【0057】
また、CT/MR所見である場合、データ種類は画像検査の画像であり、解析手法は画像解析である。このため、解析機能142は、画像検査による画像を画像解析して解析結果を算出する。画像解析は、例えば、機械学習により生成された学習済モデルを用いてよい。
【0058】
続いて、解析機能142は、患者データ42に含まれる各確認項目に対して算出した回生結果に基づいて、解析スコアを算出する(ステップS205)。解析スコアは、例えば、解析手法が不明である場合には、解析手法が不明でないよりも高いスコアとする。また、解析手法が不明でない場合の解析結果は、原因可能性が高いほど高くされる。
【0059】
続いて、解析機能142は、患者データを解析した結果、禁忌に該当するか否か、さらには、禁忌に該当しないか否かを判定する。解析機能142は、例えば、禁忌に相当する投薬があったことが解析結果として得られた場合に、禁忌に該当すると判定する。解析機能142は、禁忌に該当すると判定した場合に、禁忌有情報を生成する(ステップS207)。
【0060】
解析機能142は、例えば、治療方法の内容などにより、明らかに禁忌に該当する確認項目がないことが解析結果として得られ場合には、禁忌に該当しないと判定する。解析機能142は、禁忌に該当すると判定した場合に、禁忌無情報を生成する(ステップS209)。こうして、医用情報処理装置100は、図10に示す処理を終了する。
【0061】
続いて、確認項目情報116を生成する処理について説明する。図11は、確認項目情報116を生成する処理の流れを示す。確認項目情報116を生成する際には、生成機能143は、解析機能142により取得されたスコアデータに基づいて、各確認項目のデータ種類スコア及び解析手法スコアを特定する(ステップS301)。
【0062】
続いて、生成機能143は、解析機能142により算出された解析スコアを取得する(ステップS303)。続いて、生成機能143は、スコア演算式154を利用し、データ種類スコア、解析手法スコア、及び解析スコアを乗じて判定スコアを算出する(ステップS305)。生成機能143は、データ種類スコア、解析手法スコア、解析スコア、及び判定スコアを患者データに付加してスコアリングデータ112を生成する(ステップS307)。
【0063】
続いて、生成機能143は、解析機能142により禁忌有情報が生成されたか否かを判定する(ステップS309)。解析機能142により禁忌有情報が生成されたと判定した場合、生成機能143は、スコアリングデータ112に禁忌有情報を付与し(ステップS311)、ステップS317に処理を進める。
【0064】
解析機能142により禁忌有情報が生成されてないと判定した場合、生成機能143は、解析機能142により禁忌無情報が生成されたか否かを判定する(ステップS313)。解析機能142により禁忌無情報が生成されたと判定した場合、生成機能143は、スコアリングデータ112に禁忌無情報を付与し(ステップS315)、ステップS317に処理を進める。
【0065】
解析機能142により禁忌無情報が生成されてないと生成機能143が判定した場合、生成機能143は、スコアリングデータ112に患者ID113、疾患名114、及び治療方法115を付加して確認項目情報116を生成する(ステップS317)。こうして、医用情報処理装置100は、図11に示す処理を終了する。
【0066】
図11に示す処理では、解析機能142における解析結果に基づいて、禁忌有情報及び禁忌無情報を生成するが、禁忌有情報及び禁忌無情報は、解析機能142以外の機能により生成されてもよく、例えば、生成機能143により生成されてもよい。この場合、生成機能143は、例えば、判定スコアに上限閾値及び下限閾値を設定し、算出した判定スコアが上限閾値を超えた場合に禁忌有情報を生成し、下限閾値を下回った場合に禁忌無情報を生成してもよい。
【0067】
第1の実施形態の医用情報処理装置100は、患者の疾患に応じた適正治療方法を提供する。このため、ユーザは、患者の疾患を効果的に治療する治療方法を容易に選択することができる。ここで、治療方法を選択するにあたり、ユーザは、治療方法の禁忌を確認する必要がある。禁忌の確認をするためにユーザが確認項目を1つずつ確認すると、治療方法の選択に多大な手間がかかる。
【0068】
この点、第1の実施形態の医用情報処理装置100は、禁忌の可能性がある治療方法について、各確認項目に対して確認必要性の高さを示す判定スコアを付した確認項目情報をユーザに提供する。医用情報処理装置100により提供されてユーザ端末20に送信された確認項目情報116は、例えば、ユーザ端末20の表示部23に表示される。
【0069】
ユーザは、ユーザ端末20の表示部23に表示される確認項目情報116を参照することにより、判定スコアの高い順に禁忌の有無を判断することができるので、治療方法の禁忌を効率的に確認することができる。したがって、治療方法の選択にかかる手間を軽減することができるとともに、効率よく治療方法を選択することができる。
【0070】
第1の実施形態では、ユーザ端末20とは独立した医用情報処理装置100に処理回路140が設けられているが、処理回路140の機能の一部または全部がユーザ端末20に設けられていてもよい。この場合、ユーザ端末の処理部には、確認項目情報を出力部22に出力させる、例えば表示部23に表示させる表示制御機能が設けられていてもよい。
【0071】
第1の実施形態では、適正治療方法として選択された治療方法及びその確認項目情報が提供情報に含まれるが、適正治療方法以外の治療方法及びその確認項目情報が提供情報に含まれてもよい。この場合、提供情報には、例えば、治療の効果が大きい治療方法が含まれてよい。この場合、治療の効果が大きい治療方法が禁忌に該当したり禁忌に該当する可能性が高かったりする場合に、その情報も合わせて提供情報に含めてよい。
【0072】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、ユーザに患者の疾患の治療に適切な治療方法及び禁忌の可能性を示すデータを提供する。これに対して、第2の実施形態では、患者の疾患の治療のためにユーザが選択して指定した治療方法が、禁忌に該当するか否かの判断基準を提供する。第2の実施形態の医用情報処理装置100は、第1の実施形態の医用情報処理装置100と同様の構成を有する。第2の実施形態の医用情報処理装置100では、ユーザ端末20に提供する提供情報の内容が主に異なる。
【0073】
第2の実施形態の医用情報処理システム1においては、ユーザは、ユーザ端末20の入力部21を用いて患者の疾患及び疾患に対する治療方法を入力して指定する。ユーザ端末20は、患者の疾患及び治療方法を医用情報処理装置100に送信する。医用情報処理装置100の取得機能141は、ユーザ端末20により送信された疾患及び治療方法を取得することにより、ユーザにより指定された治療方法の情報を取得する。生成機能143は、取得した疾患に基づいて、第1の実施形態と同様の手順で、取得した治療方法についてのスコアリングデータ112を生成し、続いて確認項目情報116を生成する。
【0074】
生成機能143は、生成した確認項目情報に含まれる判定スコアに基づいて、治療方法が禁忌に該当するか否かを判定する。生成機能143は、治療方法が禁忌に該当するか否かの判定をどのように行ってもよい。生成機能143は、例えば判定スコアに閾値を設定し、各確認項目の判定スコアが閾値以上となった場合に、治療方法が禁忌に該当すると判定してもよい。
【0075】
あるいは、生成機能143は、判定スコアが閾値以上となる確認項目が所定数以上ある場合に、治療方法が禁忌に該当すると判定してもよい。生成機能143は、治療方法が禁忌に該当するか否かの判定の結果を示す判定結果情報を生成する。生成機能143は、確認項目情報を含む判定結果情報を生成する。提供機能144は、生成機能143により生成された判定結果情報をユーザ端末20に送信して提供する。
【0076】
ユーザ端末20は、医用情報処理装置100により送信された判定結果情報を表示部23に表示させる。図12は、第2の実施形態の表示部23の表示の一例を示す図である。図12に示すように、表示部23には、禁忌可能性として、既往歴、CT/MR所見(早期虚血性変化有)、CT/MR所見(清流構造偏位有)、臨床所見、収縮期血圧の各確認項目及びその判定スコアが表示される。各確認項目は、判定スコアが高い順に上から表示されている。
【0077】
第2の実施形態の医用情報処理装置100は、ユーザが指定した治療方法が禁忌に該当するか否かの判定結果に関する判定結果情報を提供する。このため、ユーザは、自らが選択した治療方法が、禁忌に該当する可能性の高さを認識することができる。さらに、第2の実施形態の胃情報処理装置は、判定スコアが高い順に確認項目を表示する情報をユーザ端末20に提供する。このため、ユーザは、禁忌可能性が高いと判定される原因となる確認項目から順に禁忌の可能性を判定できる。したがって、治療方法の選択にかかる手間を軽減することができるとともに、効率よく治療方法を決定することができる。
【0078】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、スコアリングデータ112を生成する際に、患者DB151に含まれる過去の禁忌の判定結果(以下、禁忌判定結果)を利用する点において主に異なる。第3の実施形態の医用情報処理装置100の構成は第1の実施形態と同様であり、記憶部150に記憶され、解析機能142及び生成機能143に利用されるデータの内容が主に異なる。
【0079】
第3の実施形態の医用情報処理システム1においては、ユーザは、治療方法が禁忌とされるとした場合に、ユーザ端末20の入力部21を操作し、禁忌判定結果を患者データの各確認項目に入力する。ユーザ端末20は、禁忌判定結果が入力された患者データを医用情報処理装置100に送信する。医用情報処理装置100は、ユーザ端末20により送信された患者データを追加して患者DB151を更新する。患者DB151には過去に禁忌と判定された患者データが含まれる。
【0080】
図13は、第3の実施形態の患者DB151の一例を示す図である。第3の実施形態の患者DB151では、各確認項目に対して内容データとともに、禁忌判定結果が付加されている。図13の例では、臨床所見の内容データが禁忌とされる原因となる確認項目である。
【0081】
第3の実施形態の医用情報処理装置100において、解析機能142は、取得機能141により取得された患者データと疾患名及び治療法が共通する過去の患者データを患者DB151から選択し、各確認項目の判定結果として、禁忌に該当する原因となった過去の事例の多少を判定する。解析機能142は、判定した過去の事例の多少に応じたスコア(以下、事例スコア)を付与する。
【0082】
生成機能143は、各確認項目のデータ種類スコア、解析手法スコア、解析スコア、事例スコア、及びスコア演算式154を用いて判定スコアを算出する。第3の実施形態のスコア算出式154は、データ種類スコア、解析手法スコア、解析スコア、及び事例スコアを乗じる式である。
【0083】
生成機能143は、患者データの各確認項目にデータ種類スコア、解析手法スコア、解析スコア、事例スコア、及び判定スコアを付与したスコアリングデータを生成する。生成機能143は、生成したスコアリングデータに患者ID、疾患名、及び治療方法を追加して確認項目情報を生成する。提供機能144は、第1の実施形態と同様に、生成機能143により生成されたスコアリングデータを、スコアリング結果DB153に追加して記憶部150に格納する。生成機能143は、スコアリングデータを含む確認項目情報116を生成する。図14は、第3の実施形態の確認項目情報116の一例を示す図である。
【0084】
第3の実施形態の医用情報処理システム1は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、第3の実施形態の医用情報処理システム1では、判定スコアを算出するにあたり、疾患名及び治療法が共通する過去の患者データに基づいて算出した事例スコアを利用する。このため、判定スコアの精度を高めることができ、さらに治療方法の選択にかかる手間を軽減することができるとともに、効率よく治療方法を選択することができる。
【0085】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態と比較して、提供機能144により提供される確認項目情報の内容が主に異なる。第4の実施形態の医用情報処理装置100の構成は第1の実施形態と同様であり、複数の確認項目にアンド条件が付与されている場合に、提供機能144により提供され、ユーザ端末20において出力される情報が主に異なる。
【0086】
第4の実施形態においては、治療法が禁忌に該当するかを判断するにあたり、複数の確認項目がすべて禁忌の原因となるかの判断対象となる。複数の確認項目にアンド条件が付されるとは、アンド条件が付された複数の確認項目のすべてが禁忌の原因となることである。
【0087】
提供機能144は、複数の確認項目にアンド条件が付与されて禁忌が確認される場合に、アンド条件が付与された確認項目の一部(以下、第1確認項目)の判定スコアを含む確認項目情報を提供するときに、アンド条件が付与された確認項目の他の確認項目(以下、第2確認項目)の判定スコアを確認項目情報に含める。
【0088】
図15は、第4の実施形態の確認項目情報116の一例を示す図である。第4の実施形態では、例えば、確認項目として、血糖値が50mg/dl以下であるかの第1確認項目と、血小板数が100000/mm3以下であるかの第2確認項目が設定されている。図15に示す例では、生成機能143が、第1確認項目の判定スコアとして「100」を算出し、第2確認項目の判定スコアとして「1」を算出している。
【0089】
この例では、第1確認項目の判定スコアが大きく、第2確認項目の判定スコアが小さい。このため、例えば、第1確認項目については禁忌の原因可能性が高いことから提供機能144によりユーザ端末20に提供し、第2確認項目については禁忌の原因可能性が低いことから提供機能144によりユーザ端末20に提供しないことが考えられる。しかしながら、提供機能144は、第1確認項目と第2確認項目にアンド条件が付されている場合には、第1確認項目の判定スコア提供する際には、第2確認項目の判定スコアを含める。
【0090】
ユーザ端末20は、例えば、医用情報処理装置100の提供機能144により提供された第1確認項目の判定スコアと第2確認項目の判定スコアを表示部23に表示させる。図16は、第4の実施形態のユーザ端末20における表示部23の表示内容の一例を示す図である。
【0091】
第4の実施形態の医用情報処理システム1は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、第4の実施形態の医用情報処理システム1では、アンド条件が付された複数の確認項目のすべてについて、判定スコアが表示される。このため、アンド条件を満たした確認項目についての禁忌の有無を容易に判断することができる。したがって、治療方法の選択にかかる手間を軽減することができるとともに、効率よく治療方法を選択することができる。
【0092】
また、例えば、ユーザが患者の治療中であるときに、ユーザ端末20から医用情報処理装置100に治療方法の情報を送信し、医用情報処理装置100において、確認項目情報を生成して提供情報をユーザ端末20に送信することもできる。この場合、所定の治療を施そうとするときに、禁忌の原因可能性が高い確認項目が新たに見つかれば、ユーザ端末20の表示部23に確認項目情報と患者データをセットで表示してもよい。この場合、ユーザは、表示された確認項目情報と患者データに基づいて、禁忌に該当するか否かを容易に判断することができる。
【0093】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、治療対象となる患者の治療方法に対する禁忌を確認するための複数の確認項目のデータを含む患者データを取得する取得部と、前記患者データに基づいて、複数の前記確認項目のそれぞれに対する確認必要性の高さを示す確認項目情報を生成する生成部と、前記確認項目情報を提供する提供部と、を持つことにより、効率よく治療方法を選択できるようにすることができる。
【0094】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
1…医用情報処理システム
20…ユーザ端末
21…入力部
22…出力部
23…表示部
24…音声出力部
41…入力データ
42…患者データ
44…疾患名
45…内容データ
100…医用情報処理装置
110…通信インターフェース
112…スコアリングデータ
114…疾患名
115…治療方法
116…確認項目情報
117…禁忌有情報
118…禁忌無情報
120…入力インターフェース
130…ディスプレイ
140…処理回路
141…取得機能
142…解析機能
143…生成機能
144…提供機能
150…記憶部
151…患者DB
152…スコアDB
153…スコアリング結果DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16