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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148588
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ターボ機械
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/051 20060101AFI20231005BHJP
   F04D 29/058 20060101ALI20231005BHJP
   F04D 29/10 20060101ALI20231005BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20231005BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20231005BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04D29/051
F04D29/058
F04D29/10 A
F04D29/28 Z
F16C32/04 Z
F16J15/447
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056699
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 大悟
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佑
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 有弘
(72)【発明者】
【氏名】大森 直陸
【テーマコード(参考)】
3H130
3J042
3J102
【Fターム(参考)】
3H130AA14
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB46
3H130AB47
3H130AC11
3H130BA53A
3H130BA53C
3H130BA53E
3H130BA53F
3H130BA66A
3H130BA66C
3H130BA66E
3H130BA66F
3H130BA74A
3H130BA74C
3H130BA74E
3H130BA74F
3H130BA97A
3H130BA97C
3H130BA97E
3H130BA97F
3H130CB01
3H130DB01X
3H130DB02X
3H130DB10X
3H130DC12X
3H130DD01Z
3H130DD08Z
3H130EA06A
3H130EA06C
3H130EA06E
3H130EA06F
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EA07E
3H130EA07F
3H130EA08A
3H130EA08C
3H130EA08E
3H130EA08F
3H130EB01F
3J042AA04
3J042CA05
3J042CA10
3J102AA01
3J102BA03
3J102BA17
3J102BA18
3J102DA09
3J102DA18
3J102DA35
3J102GA08
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によってスラスト力を低減することが可能なターボ機械を提供する。
【解決手段】ターボ機械(1)は、シャフト(10)と、シャフトに設けられたインペラ(20)と、シャフトを収容するケーシング(30)と、軸方向にてインペラに対して離間し且つシャフトを回転させるモータ(40)と、インペラ側とモータ側との間をシールするシール部(70)と、を備える。インペラは、流体(W)が吸入されるインペラ吸入部(21)と、流体が吐出されるインペラ吐出部(22)と、を有する。シール部は、シャフトに設けられた回転シール部(71)と、ケーシングに設けられた固定シール部(72)と、を有する。回転シール部と固定シール部とは、半径方向に離間し且つ軸方向に延びる。回転シール部と固定シール部とは、インペラ吐出部から吐出される流体がインペラ側からモータ側に漏れる漏れ流路(73)を形成する。漏れ流路の最大シール径(S1)は、インペラ吸入部の入口径(D1)より大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(10)と、
前記回転軸(10)に設けられたインペラ(20)と、
前記回転軸(10)を収容するケーシング(30)と、
前記回転軸(10)の軸方向において前記インペラ(20)に対して離間するとともに、前記回転軸(10)を回転させる原動機(40)と、
前記インペラ(20)側と前記原動機(40)側との間をシールするシール部(70)と、を備える、ターボ機械(1)であって、
前記インペラ(20)は、
流体(W)が吸入されるインペラ吸入部(21)と、
前記流体(W)が吐出されるインペラ吐出部(22)と、を有し、
前記シール部(70)は、
前記回転軸(10)に設けられた回転シール部(71)と、
前記ケーシング(30)に設けられた固定シール部(72)と、を有し、
前記回転シール部(71)と前記固定シール部(72)とは、前記回転軸(10)の半径方向に互いに離間し且つ前記軸方向に延びており、
前記回転シール部(71)と前記固定シール部(72)とは、前記インペラ吐出部(22)から吐出される前記流体(W)が前記インペラ(20)側から前記原動機(40)側に漏れる漏れ流路(73)を形成しており、
前記漏れ流路(73)の最大シール径(S1)は、前記インペラ吸入部(21)の入口径(D1)よりも大きい、ターボ機械。
【請求項2】
請求項1に記載のターボ機械(1)であって、
前記原動機(40)側の圧力(P3)は、前記インペラ吐出部(22)から吐出される前記流体(W)の圧力(P2)よりも、小さい、ターボ機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のターボ機械(1)であって、
前記回転シール部(71)のシール周速(V)は、前記流体(W)の音速(A)の0.8倍以上である、ターボ機械。
【請求項4】
請求項3に記載のターボ機械(1)であって、
前記シール周速(V)は、前記インペラ(20)側における前記流体(W)の前記音速(A1)の0.8倍以上である、ターボ機械。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のターボ機械(1)であって、
前記シール周速(V)は、前記原動機(40)側における前記流体(W)の前記音速(A2)の0.8倍以上である、ターボ機械。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のターボ機械(1)であって、
前記回転軸(10)は、非接触軸受(50,60)によって支持されている、ターボ機械。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のターボ機械(1)であって、
前記漏れ流路(73)は、階段状又は凹凸状に形成されている、ターボ機械。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のターボ機械(1)であって、
ターボ圧縮機(1)である、ターボ機械。
【請求項9】
請求項8に記載のターボ機械(1)であって、
前記流体(W)は、HFC冷媒、HFO冷媒及びHC冷媒のうちの、1つを含む自然冷媒、又は少なくとも2つを含む混合冷媒である、ターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ圧縮機やポンプのようなターボ機械では、インペラに対して、軸方向のスラスト力が発生することがある。スラスト力が大きいと、スラスト軸受を大型化せざるを得ない。このため、スラスト力の低減を図るべく、種々の技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1に係る圧縮装置では、シュラウド形翼車の排気口側において、シュラウド形翼車の気密シール機構と同径のシール用円筒部が、回転軸上に一体的に設けられている。シール用円筒部の外周とハウジングとの間には、気密シール機構が設けられている。シール用円筒部におけるシュラウド形翼車側全面には、排気口側の圧力が作用する。
【0004】
シール用円筒部よりもモータ側では、ハウジングに、空間部が形成されている。空間部は、ハウジングに形成された連通路を介して、シュラウド形翼車の吸気口側の圧力が導入される。シール用円筒部におけるモータ側全面には、吸気口側の圧力が作用する。
【0005】
これにより、シュラウド形翼車や回転軸に作用する排気口側の圧力が互いに相殺されて、スラスト力の発生が小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-218091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係る圧縮装置は、1つのシュラウド形翼車に対して2つ以上の気密シール機構を設けたり、ハウジングに空間部及び連通路を設けたりする必要があるので、構造が複雑である。
【0008】
本開示の目的は、簡易な構成によってスラスト力を低減することが可能なターボ機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様は、ターボ機械(1)を対象とする。前記ターボ機械(1)は、回転軸(10)と、前記回転軸(10)に設けられたインペラ(20)と、前記回転軸(10)を収容するケーシング(30)と、前記回転軸(10)の軸方向において前記インペラ(20)に対して離間するとともに、前記回転軸(10)を回転させる原動機(40)と、前記インペラ(20)側と前記原動機(40)側との間をシールするシール部(70)と、を備える。前記インペラ(20)は、流体(W)が吸入されるインペラ吸入部(21)と、前記流体(W)が吐出されるインペラ吐出部(22)と、を有し、前記シール部(70)は、前記回転軸(10)に設けられた回転シール部(71)と、前記ケーシング(30)に設けられた固定シール部(72)と、を有し、前記回転シール部(71)と前記固定シール部(72)とは、前記回転軸(10)の半径方向に互いに離間し且つ前記軸方向に延びており、前記回転シール部(71)と前記固定シール部(72)とは、前記インペラ吐出部(22)から吐出される前記流体(W)が前記インペラ(20)側から前記原動機(40)側に漏れる漏れ流路(73)を形成しており、前記漏れ流路(73)の最大シール径(S1)は、前記インペラ吸入部(21)の入口径(D1)よりも大きい。
【0010】
第1態様では、漏れ流路(73)の最大シール径(S1)をインペラ吸入部(21)の入口径(D1)よりも大きな範囲で調整するだけで、インペラ(20)に作用するスラスト力(F)をゼロに近づけることができる。このため、簡易な構成によってスラスト力(F)を低減することが可能なターボ機械(1)を、提供することができる。
【0011】
本開示の第2態様は、第1態様のターボ機械(1)であって、前記原動機(40)側の圧力(P3)は、前記インペラ吐出部(22)から吐出される前記流体(W)の圧力(P2)よりも、小さい。
【0012】
第2態様では、インペラ(20)に作用するスラスト力(F)を、より確実にゼロに近づけることができる。
【0013】
本開示の第3態様は、第1又は第2態様のターボ機械(1)であって、前記回転シール部(71)のシール周速(V)は、前記流体(W)の音速(A)の0.8倍以上である。
【0014】
第3態様では、流体(W)がインペラ(20)側から漏れ流路(73)を通じて原動機(40)側に漏れることを、抑制する上で有利になる。
【0015】
本開示の第4態様は、第3態様のターボ機械(1)であって、前記シール周速(V)は、前記インペラ(20)側における前記流体(W)の前記音速(A1)の0.8倍以上である。
【0016】
第4態様では、漏れ流路(73)における流体(W)の漏れを、抑制する上でより有利になる。
【0017】
本開示の第5態様は、第3又は第4態様のターボ機械(1)であって、前記シール周速(V)は、前記原動機(40)側における前記流体(W)の前記音速(A2)の0.8倍以上である。
【0018】
第5態様では、漏れ流路(73)における流体(W)の漏れを、抑制する上でより有利になる。
【0019】
本開示の第6態様は、第1から第5のいずれか1つの態様のターボ機械(1)であって、前記回転軸(10)は、非接触軸受(50,60)によって支持されている。
【0020】
第6態様では、回転軸(10)を非接触で支持することができるので、回転軸(10)の高速回転に対応することができるとともに、軸受損失を低減することができる。
【0021】
本開示の第7態様は、第1から第6のいずれか1つの態様のターボ機械(1)であって、前記漏れ流路(73)は、階段状又は凹凸状に形成されている。
【0022】
第7態様では、漏れ流路(73)における流体(W)の圧力損失が大きくなるので、漏れ流路(73)における流体(W)の漏れを低減することができる。
【0023】
本開示の第8態様は、第1から第7のいずれか1つの態様のターボ機械(1)であって、ターボ圧縮機(1)である。
【0024】
第8態様では、流体(W)を、圧縮して昇圧することができる。
【0025】
本開示の第9態様は、第8態様のターボ機械(1)であって、前記流体(W)は、HFC冷媒、HFO冷媒及びHC冷媒のうちの、1つを含む自然冷媒、又は少なくとも2つを含む混合冷媒である。
【0026】
第9態様では、ターボ圧縮機(1)を冷凍装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係るターボ圧縮機(1)を縦断面図で示す。
図2図2は、図1におけるII部拡大図であって、シール部(70)を拡大して示す。
図3図3は、インペラ(20)に作用するスラスト力(F)を模式的に示す。
図4図4は、インペラ(20)側において、回転シール部(71)のマッハ数(V/A1)と漏れ流路(73)での流体(W)の漏れ流速との関係を示す。
図5図5は、モータ(40)側において、回転シール部(71)のマッハ数(V/A2)と漏れ流路(73)での流体(W)の漏れ流速との関係を示す。
図6図6は、第2実施形態に係る図2相当図であって、シール部(70)を拡大して示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
(ターボ圧縮機の構成)
図1は、本開示の第1実施形態に係るターボ機械(1)としてのターボ圧縮機(1)を、縦断面図で示す。ターボ圧縮機(1)は、遠心ターボ圧縮機である。ターボ圧縮機(1)は、流体(W)を、圧縮して昇圧する。
【0029】
流体(W)は、好ましくは、HFC冷媒、HFO冷媒及びHC冷媒のうちの1つを含む自然冷媒、又はHFC冷媒、HFO冷媒及びHC冷媒のうちの少なくとも2つを含む混合冷媒である。
【0030】
HFC冷媒として、R32,R125,R134a,R143a,R245fa等がある。HFO冷媒として、R1234yf,R1234ze,R1233zd,R1123,R1132(E)等がある。HC冷媒として、R744,R717,R290,R600a,R1270等がある。
【0031】
ターボ圧縮機(1)は、空気調和機などの冷凍装置に適用される。冷凍装置は、冷媒が循環する冷媒回路を備える。ターボ圧縮機(1)は、冷媒回路の冷媒を圧縮する。冷媒回路では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
【0032】
ターボ圧縮機(1)は、回転軸(10)としてのシャフト(10)と、インペラ(20)と、ケーシング(30)と、原動機(40)としてのモータ(40)と、非接触軸受(50)としてのラジアル磁気軸受(50)と、非接触軸受(60)としてのスラスト磁気軸受(60)と、シール部(70)と、を備える。
【0033】
シャフト(10)の軸心(O)は、水平方向に延びている。以下の説明において、「軸方向」とは、シャフト(10)の軸心(O)の延びる方向をいう。軸方向における「一方側」とは、図1における右側をいう。軸方向における「他方側」とは、図1における左側をいう。
【0034】
「半径方向」とは、軸方向と直交する方向をいう。「外周側」とは、半径方向においてシャフト(10)の軸心(O)からより遠い側をいう。「内周側」とは、半径方向においてシャフト(10)の軸心(O)により近い側をいう。「周方向」とは、シャフト(10)の軸心(O)の回転方向をいう。
【0035】
インペラ(20)は、シャフト(10)の一端部に設けられている。インペラ(20)は、シャフト(10)と一体回転する。インペラ(20)の外形は、軸方向一方側に凸の略円錐形状である。インペラ(20)は、クローズドインペラである。インペラ(20)は、シュラウド(側板)及び複数の羽根によって形成されている。
【0036】
インペラ(20)は、インペラ吸入部(21)と、インペラ吐出部(22)と、を有する。インペラ吸入部(21)は、インペラ(20)の一方側に開口している。インペラ吸入部(21)は、一方側に臨む。インペラ吸入部(21)は、軸方向に見て略円形状である。インペラ吸入部(21)には、流体(W)が吸入される。換言すると、インペラ吸入部(21)は、インペラ(20)における流体(W)の入口である。インペラ吸入部(21)は、軸心(O)を中心とした直径として、入口径(D1)を有する。なお、入口径(D1)は、肉厚部を含む外径でもよく、又は肉厚部を含まない内径でもよい。
【0037】
インペラ吐出部(22)は、インペラ(20)の外周側に開口している。インペラ吐出部(22)は、外周側に臨む。インペラ吐出部(22)は、複数ある。インペラ吐出部(22)は、インペラ(20)におけるシュラウドと複数の羽根とで囲まれた隙間によって、形成されている。インペラ吐出部(22)からは、流体(W)が吐出される。換言すると、インペラ吐出部(22)は、インペラ(20)における流体(W)の出口である。インペラ吐出部(22)は、軸心(O)を中心とした直径として、出口径(D2)を有する。インペラ吐出部(22)の出口径(D2)は、インペラ吸入部(21)の入口径(D1)よりも大きい。
【0038】
ケーシング(30)は、シャフト(10)を収容する。さらに、ケーシング(30)は、インペラ(20)、モータ(40)、ラジアル磁気軸受(50)、スラスト磁気軸受(60)及びシール部(70)を収容する。ケーシング(30)は、両端が閉塞された円筒状に形成されている。ケーシング(30)の軸心は、シャフト(10)の軸心(O)と同軸に、水平方向に延びている。
【0039】
ケーシング(30)の内部空間は、区画壁(31)によって、軸方向に区画されている。ケーシング(30)における区画壁(31)よりも一方側には、インペラ空間(32)が形成されている。ケーシング(30)における区画壁(31)よりも他方側には、モータ空間(33)が形成されている。
【0040】
シャフト(10)の一端部及びインペラ(20)は、インペラ空間(32)に収容されている。シャフト(10)の一端部以外の部分、モータ(40)、ラジアル磁気軸受(50)及びスラスト磁気軸受(60)は、モータ空間(33)に収容されている。シール部(70)は、区画壁(31)の内周側に収容されている。
【0041】
インペラ空間(32)には、吸入管(34)及び吐出管(35)が接続されている。インペラ空間(32)の外周部には、圧縮空間(36)が形成されている。吸入管(34)は、流体(W)を外部からインペラ空間(32)に導く。吐出管(35)は、インペラ空間(32)で圧縮されて高圧となった流体(W)を外部へ吐出する。
【0042】
上述したように、モータ(40)は、モータ空間(33)に収容されている。換言すると、モータ(40)は、シャフト(10)の軸方向において、インペラ空間(32)に収容されたインペラ(20)に対して、離間している。モータ(40)は、ロータ(41)と、ステータ(42)と、を有する。ロータ(41)は、モータ空間(33)において、シャフト(10)に回転一体に固定されている。ステータ(42)は、モータ空間(33)において、ケーシング(30)の内周面に固定されている。ロータ(41)の外周面とステータ(42)の内周面とは、所定の間隔を空けて、半径方向に互いに対向している。モータ(40)は、例えば永久磁石同期モータである。モータ(40)は、シャフト(10)を回転させる。
【0043】
ラジアル磁気軸受(50)は、電磁石として、シャフト(10)に対して径方向に電磁力を作用させることによって、シャフト(10)をケーシング(30)に対して非接触で半径方向に支持している。ラジアル磁気軸受(50)は、2つある。2つのラジアル磁気軸受(50)は、シャフト(10)の軸方向に並んで配置されている。2つのラジアル磁気軸受(50)は、モータ(40)を挟んで互いに離間している。ラジアル磁気軸受(50)は、ロータ(51)と、ステータ(52)と、を有する。ロータ(51)は、モータ空間(33)において、シャフト(10)に回転一体に固定されている。ステータ(52)は、モータ空間(33)において、ケーシング(30)の内周面に固定されている。ロータ(51)の外周面とステータ(52)の内周面とは、所定の間隔を空けて、半径方向に互いに対向している。
【0044】
スラスト磁気軸受(60)は、電磁石として、シャフト(10)に対して軸方向に電磁力を作用させることによって、シャフト(10)をケーシング(30)に対して非接触で軸方向に支持している。スラスト磁気軸受(60)は、2つある。2つのスラスト磁気軸受(60)は、シャフト(10)の軸方向に並んで配置されている。2つのスラスト磁気軸受(60)は、モータ(40)を挟んで互いに離間している。スラスト磁気軸受(60)は、ロータ(61)と、ステータ(62)と、を有する。ロータ(61)は、モータ空間(33)において、シャフト(10)に回転一体に固定されている。ステータ(62)は、モータ空間(33)において、ケーシング(30)の内周面に固定されている。ロータ(61)とステータ(62)とは、所定の間隔を空けて、軸方向に互いに対向している。ステータ(62)は、ロータ(61)よりも軸方向外側に配置されている。
【0045】
一方側のスラスト磁気軸受(60)では、ステータ(62)は、ロータ(61)よりも一方側に位置する。一方側のスラスト磁気軸受(60)は、シャフト(10)に対して、電磁力を一方側に作用させる。他方側のスラスト磁気軸受(60)では、ステータ(62)は、ロータ(61)よりも他方側に位置する。他方側のスラスト磁気軸受(60)は、シャフト(10)に対して、電磁力を他方側に作用させる。
【0046】
(シール部)
図2は、図1におけるII部拡大図であって、シール部(70)を拡大して示す。上述したように、シール部(70)は、ケーシング(30)における区画壁(31)の内周側に配置されている。ここで、区画壁(31)よりも一方側を、「インペラ(20)側」という。区画壁(31)よりも他方側を、「モータ(40)側」という。シール部(70)は、区画壁(31)よりもインペラ側のインペラ空間(32)と、区画壁(31)よりもモータ(40)側(原動機(40)側)のモータ空間(33)との間を、シールする。
【0047】
シール部(70)は、回転シール部(71)と、固定シール部(72)と、を有する。回転シール部(71)は、区画壁(31)の内周側において、シャフト(10)に設けられている。回転シール部(71)は、シャフト(10)と一体回転する。固定シール部(72)は、ケーシング(30)に設けられている。具体的には、固定シール部(72)は、ケーシング(30)における区画壁(31)の内周面に固定されている。
【0048】
回転シール部(71)は、略円筒状に形成されている。回転シール部(71)は、シャフト(10)の軸方向に延びている。固定シール部(72)は、略円筒状に形成されている。固定シール部(72)は、シャフト(10)の軸方向に延びている。
【0049】
回転シール部(71)と固定シール部(72)とは、所定の間隔を空けて、シャフト(10)の半径方向に互いに離間している。回転シール部(71)と固定シール部(72)とは、漏れ流路(73)を形成している。漏れ流路(73)は、回転シール部(71)と固定シール部(72)との半径方向の隙間に、形成されている。インペラ(20)のインペラ吐出部(22)から吐出される流体(W)は、インペラ側のインペラ空間(32)から、漏れ流路(73)を通って、モータ(40)側(原動機(40)側)のモータ空間(33)に漏れる。
【0050】
漏れ流路(73)は、階段状に形成されている。具体的には、回転シール部(71)の外周面には、段差部(74)が設けられている。固定シール部(72)の内周面には、段差部(74)が設けられている。回転シール部(71)側の段差部(74)と固定シール部(72)側の段差部(74)とは、互いに対応する。
【0051】
漏れ流路(73)の直径[mm](軸心(O)を中心とした直径)は、段差部(74)の存在のため、インペラ(20)側よりもモータ(40)側の方が、小さくなっている。漏れ流路(73)の直径は、回転シール部(71)の外径及び固定シール部(72)の内径に、略等しい。漏れ流路(73)は、インペラ(20)側の端部(一端部)で最大シール径(S1)[mm]を有し、モータ(40)側の端部(他端部)で最小シール径(S2)[mm]を有する。
【0052】
漏れ流路(73)の最大シール径(S1)は、インペラ吸入部(21)の入口径(D1)以上である。具体的には、最大シール径(S1)は、入口径(D1)よりも大きい。漏れ流路(73)の最大シール径(S1)は、インペラ吐出部(22)の出口径(D2)以下である。具体的には、最大シール径(S1)は、出口径(D2)よりも小さい。
【0053】
漏れ流路(73)の最小シール径(S2)は、インペラ吸入部(21)の入口径(D1)以上である。具体的には、最小シール径(S2)は、入口径(D1)よりも大きい。漏れ流路(73)の最小シール径(S2)は、インペラ吐出部(22)の出口径(D2)以下である。具体的には、最小シール径(S2)は、出口径(D2)よりも小さい。
【0054】
(スラスト力)
図3は、インペラ(20)に作用するスラスト力(F)を模式的に示す。なお、回転シール部(71)の形状を簡略化している。インペラ吐出部(22)から吐出された流体(W)の圧力である吐出圧(P2)は、インペラ吸入部(21)に吸入される流体(W)の圧力である吸入圧(P1)よりも、大きい(吐出圧(P2)>吸入圧(P1))。
【0055】
モータ(40)側(原動機(40)側)のモータ空間(33)の圧力であるモータ空間圧(P3)は、インペラ吐出部(22)から吐出される流体(W)の圧力である吐出圧(P2)よりも、小さい(モータ空間圧(P3)<吐出圧(P2))。モータ空間圧(P3)は、吸入圧(P1)に略等しい(モータ空間圧(P3)≒吸入圧(P1))。モータ空間圧(P3)は、モータ(40)を冷却するための冷媒の圧力を制御することによって、調整される。
【0056】
インペラ吸入部(21)とインペラ吐出部(22)との間における圧力(P(x))は、軸心(O)からの半径方向距離(x)の関数である。圧力(P(x))は、吸入圧(P1)以上且つ吐出圧(P2)以下である(吸入圧(P1)≦圧力P(x)≦吐出圧(P2))。
【0057】
モータ(40)側(他方側)に作用する第1スラスト力(F1)は、以下の式[数1]で得られる。
【0058】
【数1】
【0059】
インペラ(20)側(一方側)に作用する第2スラスト力(F2)は、以下の式[数2]で得られる。
【0060】
【数2】
【0061】
モータ(40)側(他方側)を正とした場合における全体のスラスト力(F)は、以下の式[数3]で得られる。
【0062】
【数3】
【0063】
吸入圧(P1)≦圧力P(x)≦吐出圧(P2)なので、以下の式[数4]が得られる。
【0064】
【数4】
【0065】
式[数5]を式[数3]に代入すると、式[数6]が得られる。
【0066】
【数5】
【0067】
【数6】
【0068】
式[数6]において、最大シール径(S1)=出口径(D2)のとき、全体のスラスト力(F)は、ゼロになる。
【0069】
反対に、式[数7]を式[数3]に代入すると、式[数8]が得られる。
【0070】
【数7】
【0071】
【数8】
【0072】
式[数8]において、最大シール径(S1)=入口径(D1)のとき、全体のスラスト力(F)は、ゼロになる。
【0073】
このように、最大シール径(S1)を、入口径(D1)≦最大シール径(S1)≦出口径(D2)の範囲で設定することによって、スラスト力(F)を、理論上ゼロにすることが可能になる。
【0074】
(回転シール部のマッハ数と漏れ流路での漏れ流速との関係)
回転シール部(71)のシール周速(V)[m/s]は、漏れ流路(73)の最大シール径(S1)[mm]及びシャフト(10)の回転数(C)[rpm]を用いて、以下の式[数9]で得られる。シャフト(10)の回転数(C)は、モータ(40)の回転数(C)に略等しい。なお、回転数(C)[rpm]として、最大回転数、定格回転数、通常運転時回転数などがある。
【0075】
【数9】
【0076】
マッハ数(V/A)[-]は、回転シール部(71)のシール周速(V)から流体(W)の音速(A)[m/s]を除することによって、得られる。
【0077】
音速(A)は、平均分子量(M)、比熱比(k)、気体定数(R)、及び流体(W)の温度(T)を用いて、式[数10]で得られる。
【0078】
【数10】
【0079】
気体定数(R)は、原則的に不変である。流体(W)の種類が決定されれば、平均分子量(M)及び比熱比(k)も決定される。
【0080】
図4,5は、回転シール部(71)のマッハ数(V/A)[-]と漏れ流路(73)での流体(W)の漏れ流速[m/s]との関係を示す。具体的には、図4は、インペラ(20)側(高圧側)での流体(W)の音速[A1]において、回転シール部(71)のマッハ数(V/A1)[-]と漏れ流路(73)での流体(W)の漏れ流速[m/s]との関係を示す。図5は、モータ(40)側での流体(W)の音速[A2]において、回転シール部(71)のマッハ数(V/A2)[-]と漏れ流路(73)での流体(W)の漏れ流速[m/s]との関係を示す。
【0081】
マッハ数(V/A)[-]が0.8以上になると、漏れ流速[m/s]が低下し始める。マッハ数(V/A)[-]が0.9以上になると、漏れ流速[m/s]がさらに低下する。マッハ数(V/A)[-]が1.0以上になると、漏れ流速[m/s]が大きく低下する。
【0082】
具体的には、図4に示すように、インペラ(20)側(高圧側)での流体(W)の音速[A1]を基準とした場合、シール差圧(インペラ空間(32)とモータ空間(33)との差圧)が0.15[MPa]及び0.35[MPa]のいずれの場合においても、マッハ数(V/A1)[-]が0.8以上になると、漏れ流速[m/s]が低下し始め、マッハ数(V/A1)[-]が0.9以上になると、漏れ流速[m/s]がさらに低下して、マッハ数(V/A1)[-]が1.0以上になると、漏れ流速[m/s]が大きく低下する。
【0083】
同様に、図5に示すように、モータ(40)側(低圧側)での流体(W)の音速[A2]を基準とした場合、シール差圧(インペラ空間(32)とモータ空間(33)との差圧)が0.15[MPa]及び0.35[MPa]のいずれの場合においても、マッハ数(V/A2)[-]が0.8以上になると、漏れ流速[m/s]が低下し始め、マッハ数(V/A2)[-]が0.9以上になると、漏れ流速[m/s]がさらに低下して、マッハ数(V/A2)[-]が1.0以上になると、漏れ流速[m/s]が大きく低下する。
【0084】
回転シール部(71)のマッハ数(V/A)[-]が0.8以上になると、遷音速領域に達する。このため、回転シール部(71)のマッハ数(V/A)[-]が0.8以上になると、流体(W)の摩擦抵抗が増大することによって、漏れ流路(73)での流体(W)の漏れ流速[m/s]が低減するものと考えられる。
【0085】
なお、図4,5のグラフは、以下の条件に基づいて得られた。入口径(D1)=16mm、出口径(D2)=38mm、最大シール径(S1)=28mm、最小シール径(S2)=24mm、流体(W)=R1234yf。モータ空間圧(P3)は、吸入圧(P1)に略等しい。
【0086】
シール差圧が0.15[MPa]の場合、インペラ空間(32)におけるインペラ吸入部(21)近傍の温度が、概ね25[℃]~50[℃]、インペラ空間(32)におけるインペラ吐出部(22)近傍の温度が、概ね35[℃]~90[℃]、モータ空間(33)の温度が、概ね20[℃]~70[℃]である。シール差圧が0.15[MPa]の場合、回転数(C)を、50000[rpm]~110000[rpm]の間で変化させた。
【0087】
シール差圧が0.35[MPa]の場合、インペラ空間(32)におけるインペラ吸入部(21)近傍の温度が、概ね25[℃]~55[℃]、インペラ空間(32)におけるインペラ吐出部(22)近傍の温度が、概ね50[℃]~110[℃]、モータ空間(33)の温度が、概ね-10[℃]~70[℃]である。シール差圧が0.35[MPa]の場合、回転数(C)を、80000[rpm]~125000[rpm]の間で変化させた。
【0088】
シール差圧が0.15[MPa]の場合、インペラ空間(32)におけるマッハ数(V/A1)と漏れ流速[m/s]との関係は、以下の通りある。マッハ数(V/A1):漏れ流速[m/s],0.54:0.0001507,0.92:0.0001476,1.03:0.0001452,1.07:0.0001256。
【0089】
シール差圧が0.15[MPa]の場合、モータ空間(33)におけるマッハ数(V/A2)と漏れ流速[m/s]との関係は、以下の通りある。マッハ数(V/A2):漏れ流速[m/s],0.42:0.0001507,0.81:0.0001476,0.92:0.0001452,0.95:0.0001256。
【0090】
シール差圧が0.35[MPa]の場合、インペラ空間(32)におけるマッハ数(V/A1)と漏れ流速[m/s]との関係は、以下の通りある。マッハ数(V/A1):漏れ流速[m/s],0.92:0.0002202,0.96:0.0002169,1.04:0.0002165,1.11:0.0002028,1.14:0.0001952。
【0091】
シール差圧が0.35[MPa]の場合、モータ空間(33)におけるマッハ数(V/A2)と漏れ流速[m/s]との関係は、以下の通りある。マッハ数(V/A2):漏れ流速[m/s],0.78:0.0002202,0.82:0.0002169,0.88:0.0002165,0.98:0.0002028,0.99:0.0001952。
【0092】
本実施形態では、回転シール部(71)のシール周速(V)は、流体(W)の音速(A)の0.8倍以上(マッハ数(V/A)が0.8以上)である。具体的には、回転シール部(71)のシール周速(V)は、インペラ(20)側(高圧側)における流体(W)の音速(A1)の0.8倍以上(インペラ空間(32)におけるマッハ数(V/A1)が0.8以上)である。回転シール部(71)のシール周速(V)は、モータ(40)側(原動機(40)側:低圧側)における流体(W)の音速(A2)の0.8倍以上(モータ空間(33)におけるマッハ数(V/A2)が0.8以上)である。
【0093】
(第1実施形態の効果)
漏れ流路(73)の最大シール径(S1)をインペラ吸入部(21)の入口径(D1)よりも大きな範囲で調整するだけで、インペラ(20)に作用するスラスト力(F)をゼロに近づけることができる。このため、簡易な構成によってスラスト力(F)を低減することが可能なターボ機械(1)を、提供することができる。
【0094】
特に、スラスト力(F)の低減によって、スラスト磁気軸受(60)を小型化することができる。また、スラスト力(F)を低減するための複雑な機構が不要になるので、ターボ機械(1)の構成を簡単にしたり、シャフト(10)の軸長を小さくしたりすることができる。シャフト(10)の軸長を小さくすることによって、シャフト(10)を含む回転体の固有値が大きくなるので、シャフト(10)の高速回転に対応できるようになる。
【0095】
モータ空間圧(P3)を吐出圧(P2)よりも小さくすることによって、インペラ(20)に作用するスラスト力(F)を、より確実にゼロに近づけることができる(式[数2]及び式[数3]参照)。
【0096】
回転シール部(71)のシール周速(V)を流体(W)の音速(A)の0.8倍以上(マッハ数(V/A)を0.8以上)にすると、シール周速(V)(マッハ数(V/A))が遷音速領域に達することによって、流体(W)の摩擦抵抗が増大する。このため、流体(W)がインペラ(20)側から漏れ流路(73)を通じてモータ(40)側に漏れることを、抑制する上で有利になる。
【0097】
特に、回転シール部(71)のシール周速(V)が、インペラ(20)側における流体(W)の音速(A1)の0.8倍以上且つモータ(40)側における流体(W)の音速(A2)の0.8倍以上であるので、漏れ流路(73)における流体(W)の漏れを、抑制する上でより有利になる。
【0098】
ラジアル磁気軸受(50)及びスラスト磁気軸受(60)によってシャフト(10)を非接触で支持することができるので、シャフト(10)の高速回転に対応することができるとともに、軸受損失を低減することができる。シャフト(10)の高速回転は、回転シール部(71)のシール周速(V)を大きくする上で、有利に働く。
【0099】
漏れ流路(73)を階段状に形成することによって、漏れ流路(73)における流体(W)の圧力損失が大きくなるので、漏れ流路(73)における流体(W)の漏れを低減することができる。
【0100】
ターボ機械(1)をターボ圧縮機(1)として適用することによって、流体(W)を、圧縮して昇圧することができる。
【0101】
流体(W)を冷媒として適用することによって、ターボ圧縮機(1)を冷凍装置に適用することができる。
【0102】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る図2相当図であって、シール部(70)を拡大して示す。漏れ流路(73)は、階段状に形成されていない。漏れ流路(73)の直径は、軸方向位置にかかわらず一定である。換言すると、漏れ流路(73)の最大シール径(S1)と漏れ流路(73)の最小シール径(S2)とは、互いに等しい。
【0103】
漏れ流路(73)は、ラビリンス状に形成されている。換言すると、漏れ流路(73)は、凹凸状に形成されている。具体的には、固定シール部(72)の内周面には、周方向に延び且つ軸方向に並ぶ溝部(75)が設けられている。
【0104】
漏れ流路(73)を凹凸状に形成することによって、漏れ流路(73)における流体(W)の圧力損失が大きくなるので、漏れ流路(73)における流体(W)の漏れを低減することができる。
【0105】
<その他の実施形態>
インペラ(20)は、クローズドインペラではなく、オープンインペラでもよい。インペラ(20)がオープンインペラの場合であっても、インペラ(20)に作用するスラスト力(F)を、上記式によって算出することができる。
【0106】
漏れ流路(73)の最小シール径(S2)は、インペラ吸入部(21)の入口径(D1)よりも小さくてよい。
【0107】
シャフト(10)は、非接触軸受(50,60)としての空気軸受によって、非接触で支持されてもよい。空気軸受として、例えば、スパイラル溝軸受やフォイル軸受などが適用され得る。また、シャフト(10)は、すべり軸受や転がり軸受によって、支持されてもよい。
【0108】
ターボ機械(1)を、ターボ圧縮機(1)としてではなく、ポンプ(例えば遠心ポンプ)として適用してもよい。この場合、流体(W)として、液体が適用され得る。
【0109】
第1実施形態における漏れ流路(73)の階段状(段差部(74))と第2実施形態における漏れ流路(73)の凹凸状(溝部(75))とを、互いに組み合わせてもよい。
【0110】
回転シール部(71)は、シャフト(10)に一体形成されてもよい。固定シール部(72)は、ケーシング(30)に一体形成されてもよい。
【0111】
シャフト(10)の軸心(O)は、鉛直方向に延びてもよい。この場合、インペラ(20)に対して軸方向に作用する荷重として、スラスト力(F)だけでなく、重力をも考慮する必要がある。
【0112】
原動機(40)は、モータ(40)に限定されず、例えばエンジンでもよい。
【0113】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【符号の説明】
【0114】
W 流体
D1 入口径
D2 出口径
S1 最大シール径
S2 最小シール径
P1 吸入圧
P2 吐出圧(圧力)
P3 モータ空間圧(圧力)
F スラスト力
V シール周速
A 音速
A1 音速
A2 音速
C 回転数
1 ターボ圧縮機(ターボ機械)
10 シャフト(回転軸)
20 インペラ
21 インペラ吸入部
22 インペラ吐出部
30 ケーシング
32 インペラ空間
33 モータ空間
40 モータ(原動機)
50 ラジアル磁気軸受(非接触軸受)
60 スラスト磁気軸受(非接触軸受)
70 シール部
71 回転シール部
72 固定シール部
73 漏れ流路
74 段差部
75 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(10)と、
前記回転軸(10)に設けられたインペラ(20)と、
前記回転軸(10)を収容するケーシング(30)と、
前記回転軸(10)の軸方向において前記インペラ(20)に対して離間するとともに、前記回転軸(10)を回転させる原動機(40)と、
前記インペラ(20)側と前記原動機(40)側との間をシールするシール部(70)と、を備える、ターボ機械(1)であって、
前記インペラ(20)は、
流体(W)が吸入されるインペラ吸入部(21)と、
前記流体(W)が吐出されるインペラ吐出部(22)と、を有し、
前記シール部(70)は、
前記回転軸(10)に設けられた回転シール部(71)と、
前記ケーシング(30)に設けられた固定シール部(72)と、を有し、
前記回転シール部(71)と前記固定シール部(72)とは、前記回転軸(10)の半径方向に互いに離間し且つ前記軸方向に延びており、
前記回転シール部(71)と前記固定シール部(72)とは、前記インペラ吐出部(22)から吐出される前記流体(W)が前記インペラ(20)側から前記原動機(40)側に漏れる漏れ流路(73)を形成しており、
前記漏れ流路(73)の最シール径(S2)は、前記インペラ吸入部(21)の入口径(D1)よりも大きい、ターボ機械。
【請求項2】
請求項1に記載のターボ機械(1)であって、
前記原動機(40)側の圧力(P3)は、前記インペラ吐出部(22)から吐出される前記流体(W)の圧力(P2)よりも、小さい、ターボ機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のターボ機械(1)であって、
前記回転シール部(71)のシール周速(V)は、前記流体(W)の音速(A)の0.8倍以上である、ターボ機械。
【請求項4】
請求項3に記載のターボ機械(1)であって、
前記シール周速(V)は、前記インペラ(20)側における前記流体(W)の前記音速(A1)の0.8倍以上である、ターボ機械。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のターボ機械(1)であって、
前記シール周速(V)は、前記原動機(40)側における前記流体(W)の前記音速(A2)の0.8倍以上である、ターボ機械。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のターボ機械(1)であって、
前記回転軸(10)は、非接触軸受(50,60)によって支持されている、ターボ機械。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のターボ機械(1)であって、
前記漏れ流路(73)は、階段状又は凹凸状に形成されている、ターボ機械。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のターボ機械(1)であって、
ターボ圧縮機(1)である、ターボ機械。
【請求項9】
請求項8に記載のターボ機械(1)であって、
前記流体(W)は、HFC冷媒、HFO冷媒及びHC冷媒のうちの、1つを含む自然冷媒、又は少なくとも2つを含む混合冷媒である、ターボ機械。