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特開2023-148603車両用障害物検出装置及び車両用障害物検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148603
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】車両用障害物検出装置及び車両用障害物検出方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056729
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩口 拓真
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】車両の下方の空間に存在する物体について高度な情報提供を行うこと。
【解決手段】車両の下方の空間における障害物を検出する障害物検出部と、予め登録された検出対象物の位置を検出する検出対象位置検出部と、前記障害物検出部により前記障害物が検出された場合に、前記障害物の存在を報知する報知部とを備え、前記報知部は、前記障害物検出部による障害物検出結果及び前記検出対象物の位置に基づく報知を行う。また、障害物及び前記検出対象物の移動軌跡を検出する移動軌跡検出部をさらに備え、前記報知部は、前記障害物の移動軌跡と前記検出対象物の移動軌跡との比較結果に基づき、前記報知態様を変更する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の下方の空間における障害物を検出する障害物検出部と、
予め登録された検出対象物の位置を検出する検出対象位置検出部と、
前記障害物検出部により前記障害物が検出された場合に、前記障害物の存在を報知する報知部とを備え、
前記報知部は、前記障害物検出部による障害物検出結果及び前記検出対象物の位置に基づく報知を行うことを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用障害物検出装置であって、
前記報知部は、前記障害物検出部及び前記検出対象位置検出部による検出結果の組み合わせに応じて報知態様を変更することを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用障害物検出装置であって、
前記障害物検出部による検出結果は、前記障害物の位置を含み、
前記報知部は、前記障害物の位置及び前記検出対象物の位置に基づき、前記報知態様を変更することを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用障害物検出装置であって、
前記障害物及び前記検出対象物の移動軌跡を検出する移動軌跡検出部をさらに備え、
前記報知部は、前記障害物の移動軌跡と前記検出対象物の移動軌跡との比較結果に基づき、前記報知態様を変更することを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用障害物検出装置であって、
前記障害物と前記検出対象物とが同一の物体であるか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記報知部は、前記障害物と前記検出対象物とが同一の物体であると判定した場合に、前記障害物と前記検出対象物とが同一の物体であると判定しなかった場合に比して強い警報を発することを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用障害物検出装置であって、
前記報知部は、前記障害物及び/又は前記検出対象物について、前記車両に対する位置関係を表示部に表示することを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用障害物検出装置であって、
前記検出対象位置検出部は、前記検出対象物の種類を特定し、
前記報知部は、特定した検出対象物の種類を報知することを特徴とする車両用障害物検出装置。
【請求項8】
車載装置が、
車両の下方の空間における障害物を検出する障害物検出ステップと、
予め登録された検出対象物の位置を検出する検出対象位置検出ステップと、
前記障害物検出ステップにより前記障害物が検出された場合に、前記障害物の存在を報知する報知ステップとを含み、
前記報知ステップは、前記障害物検出ステップによる障害物検出結果及び前記検出対象物の位置に基づく報知を行うことを特徴とする車両用障害物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用障害物検出装置及び車両用障害物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の下方に存在する障害物を検出する技術として、特許文献1がある。特許文献1には、「簡単な構造かつ低コストの装置で以て、車体の下部における障害物の存在を検知し、運転者に認識せしめることにより、車両の安全な運転を可能とする。」との記載がある。また、「車体下部空間の光景をCCDカメラ等の検出装置にて検出し、該検出装置からの検出信号を画像表示し、画像処理部にて表示された画像の駐車前後の状態を比較し、状態に相違があるとき車体下部空間における障害物の存在を判定するように構成する。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-201530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、車体下部空間に何らかの物体があると判定できるが、どのような物体であるかについて情報を得ることができなかった。例えば、車体の下に子供が潜り込んでいるという事象は、検出や報知の重要度が非常に高い。しかし、従来の技術では、風で飛ばされたゴミが入り込むといった重要度の低い事象と同様の報知であった。
【0005】
そこで、本発明では、車両の下方の空間に存在する物体について高度な情報提供を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の車両用障害物検出装置の一つは、車両の下方の空間における障害物を検出する障害物検出部と、予め登録された検出対象物の位置を検出する検出対象位置検出部と、前記障害物検出部により前記障害物が検出された場合に、前記障害物の存在を報知する報知部とを備え、前記報知部は、前記障害物検出部による障害物検出結果及び前記検出対象物の位置に基づく報知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の下方の空間に存在する物体について高度な情報提供を行うことができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る車両用障害物検出の説明図。
図2】車両用障害物検出装置の構成を示す構成図。
図3】障害物の検出についての説明図。
図4】同一物であるかの判定についての説明図。
図5】報知の態様についての説明図。
図6】車両用障害物検出装置の処理手順を示すフローチャート。
図7】障害物検出基準データの更新手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0010】
図1は、実施例に係る車両用障害物検出の説明図である。車両10は、車体の下方を撮影する1又は複数のカメラを備えている。カメラは、車体の真下のみならず、車両10の前後の所定範囲も撮影可能である。
後述する車両用障害物検出装置20は、カメラの撮影結果を用いて、車両10の下方の空間における障害物を検出する。また、車両用障害物検出装置20は、予め登録された検出対象物の位置を検出する。例えば、位置検出が可能な無線通信タグを子供やペットなどに付して登録し、無線通信タグとの通信によりその位置を検出する。
【0011】
車両用障害物検出装置20は、障害物の検出結果及び検出対象物の位置に基づいて報知を制御する。一例として、車両用障害物検出装置20は、障害物の検出結果と検出対象物の検出結果とを比較し、同一の物体についての検出結果であるか否かを判定し、同一の物体と判定した場合には、同一の物体と判定しない場合に比して強い警報を発する。障害物の検出結果と検出対象物の検出結果とが同一物体であるとの判定結果は、子供やペットが車体の下に潜り込んでいることを示しているためである。これに対して、障害物の検出結果と検出対象物の検出結果とが同一物体でない場合は、例えば、子供が後部座席に座っており、車体の下にゴミが入り込んだ状態に対応する。
【0012】
このように、車両用障害物検出装置20は、障害物の検出結果と検出対象物の検出結果とに基づいて報知を制御するので、車両の下方の空間に存在する物体について高度な情報提供を行うことができる。
【0013】
図2は、車両用障害物検出装置20の構成を示す構成図である。車両用障害物検出装置20は、車両10に搭載され、1又は複数のカメラ11、1又は複数のレーダ12、UWB(Ultrawideband)13、ディスプレイ14などと接続する。
【0014】
カメラ11は、車両10の周囲を撮影する。カメラ11の少なくとも1台は、車体の下方を撮影する。車体の下方には、車体の真下のみならず、車両10の前後の所定範囲を含む。
レーダ12は、車両10の周囲に存在する物体を検知する。レーダ12は、電波式であってもよいし、音波式のソナーであってもよい。また、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)であってもよい。レーダ12の少なくとも1台は、車体の下方を検知範囲に含む。車体の下方には、車体の真下のみならず、車両10の前後の所定範囲を含む。
【0015】
UWBモジュール13は、検出対象物に付したタグの位置を検出する。タグの位置の検出には、ToF(Time of Flight)やAoA(Angle of Arrival)などを用いることができる。具体的には、UWBモジュール13は、タグとの間の信号の往復時間を計測し、往復時間から距離を計算する。また、UWBモジュール13は、複数のアンテナを内蔵しており、アンテナ間の受信信号の位相差から角度を計算する。ここでは、検出対象物の位置情報を取得する手法としてUWBを例示したが、GPS(Global Positioning System)等による位置測定機能を有するタグを付すなど、任意の手法を用いることができる。
【0016】
ディスプレイ14は、例えば液晶表示装置であり、運転席に着座したユーザから視認可能に配置される。
【0017】
車両用障害物検出装置20は、制御部21及び記憶部22を有する。制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、障害物検出部31、検出対象位置検出部32、移動軌跡検出部33、判定部34、報知部35としての機能を実現する。
【0018】
記憶部22は、ハードディスクドライブなどの記憶装置であり、障害物検出基準データ41、検出対象物登録データ42、障害物移動軌跡データ43及び検出対象物移動軌跡データ44を記憶する。
【0019】
障害物検出基準データ41は、カメラ11の撮影結果と比較して障害物を検出するためのデータである。検出対象物登録データ42は、検出対象物としてタグの識別情報を登録したデータである。障害物移動軌跡データ43は、障害物の検出結果を蓄積したデータであり、その時間変化は障害物の移動の軌跡を示す。検出対象物移動軌跡データ44は、検出対象物の検出結果を蓄積したデータであり、その時間変化は検出対象物の移動の軌跡を示す。
【0020】
障害物検出部31は、カメラ11やレーダ12の出力を用いて、車両の下方の空間における障害物を検出する。障害物検出部31は、カメラ11が撮影した画像と障害物検出基準データ41と比較し、その差分から障害物を検出する。障害物検出部31は、検出した障害物の画像内の位置や、タイヤとの位置関係などから、障害物の位置を特定することができる。特定した障害物の位置は、障害物検出部31の検出結果に含まれる。
【0021】
障害物検出部31は、障害物がない状態でカメラ11が撮影した画像を障害物検出基準データ41として予め記憶部22に登録する。この登録は、例えば、帰宅時に車両10を駐車するときに行えばよい。
【0022】
検出対象位置検出部32は、予め登録された検出対象物の位置を検出する。具体的には、検出対象位置検出部32は、まず、検出対象物のタグの識別情報を検出対象物登録データ42として記憶部22に登録する。検出対象位置検出部32は、UWBモジュール13が受信したタグの識別情報と検出対象物登録データ42に登録した識別情報と比較することで、検出対象物の検出を行う。また、検出対象位置検出部32は、UWBモジュール13が計算したタグの位置を検出対象物の位置として出力する。
【0023】
検出対象位置検出部32は、検出対象物の種類などを検出対象物登録データ42に登録することができる。この場合、検出対象位置検出部32は、検出対象物の種類を特定し、検出結果に含めて出力する。
【0024】
移動軌跡検出部33は、障害物検出部31による障害物の検出結果を時刻情報に対応付けて障害物移動軌跡データ43に蓄積する。移動軌跡検出部33は、蓄積した障害物の位置情報から、障害物の移動の軌跡を検出する。
また、移動軌跡検出部33は、検出対象物位置検出部32による検出対象物の検出結果を時刻情報に対応付けて検出対象物移動軌跡データ44に蓄積する。移動軌跡検出部33は、蓄積した検出対象物の位置情報から、検出対象物の移動の軌跡を検出する。
【0025】
判定部34は、障害物検出部31により検出された障害物と検出対象位置検出部32により検出された検出対象物とが同一の物体であるか否かを判定する。判定部34は、障害物の移動の軌跡と検出対象物の移動の軌跡とが一致する場合に、障害物と検出対象物とが同一の物体であると判定する。
【0026】
報知部35は、障害物検出部31により障害物が検出された場合に、障害物の存在を報知する。報知部35は、ディスプレイ14に対する表示出力などを用いて報知を行う。また、報知に際し、報知部35は、障害物検出結果及び検出対象物の位置に基づく報知を行う。
【0027】
具体的には、報知部35は、障害物検出部31及び検出対象位置検出部32による検出結果の組み合わせに応じて、報知態様を変更する。すなわち、報知部35は、障害物と検出対象物のいずれかのみが検出されている場合と、双方が検出されている場合とで報知の態様を異ならせる。
【0028】
また、報知部35は、障害物と検出対象物の双方が検出されたならば、障害物の位置及び検出対象物の位置に基づき、報知態様を変更する。一例として、判定部34が障害物と検出対象物の移動軌跡を比較して同一の物体と判定したか否かに応じて、報知部35は、異なる報知態様で報知を行う。障害物と検出対象物とが同一の物体であると判定したときは、同一の物体と判定しなかった場合に比して強い警報を発することが好適である。
【0029】
報知部35は、障害物や検出対象物について、車両に対する位置関係をディスプレイ14に表示する。報知部35は、車両に対する位置関係を表示する際に、検出結果の位置の精度や、特定した検出対象物の種類を示すよう表示を制御する。
【0030】
図3は、障害物の検出についての説明図である。帰宅時、車両10の運転者であるユーザは、障害物がないことを確認したうえで、規定の場所に車両10を駐車する。そこで、障害物検出部31は、帰宅時にカメラ11が撮影した画像を障害物検出基準データ41として記憶部22に登録する。車両10の帰宅は、カメラ11やレーダ12の出力、GPS、車両10の速度情報、車両10のシフトの状態等に基づいて検出すればよい。
【0031】
車両10の駐車中には、障害物が入り込まない限り、車両の下方の状態に変化は生じない。
したがって、障害物検出部31は、車両10が発進する前に、カメラ11が撮影した画像を障害物検出基準データ41と比較し、その差分から障害物を検出することができる。車両10が発進前の状態であることは、ドアロックの解除、運転席への乗員の着座、イグニッション信号等に基づいて検出すればよい。
【0032】
図4は、同一物であるかの判定についての説明図である。判定部34は、障害物の軌跡と検出対象物の軌跡とを比較し、一致する場合に障害物と検出対象物とが同一の物体であると判定する。軌跡の一致は、同一の物体と仮定した場合に矛盾が無い程度であればよい。例えば、位置情報とその移動について、障害物の検出精度と検出対象物の検出精度を考慮し、同一の可能性があれば一致すると判定する。
【0033】
一致の判定には、車内の撮影結果や車体の制御情報等をさらに用いることも可能である。具体的には、検出対象物の検出誤差を考慮した場合に、検出対象物が後部座席に所在するか、車体の下に所在するかを判別できない場合がある。このとき、車体の下に障害物が写っており、検出対象物と障害物の位置が略同一であれば、判定部34は、同一の物体である、すなわち、車体の下に検出対象物が所在すると判定する。しかし、車内の撮影した画像に検出対象物が写っていれば、判定部34は、車体の下の障害物と検出対象物とは同一の物体ではないと判定する。また、検出対象物の軌跡が、車両10のドアの位置を通過しており、その時刻の車両10のドアが閉まっていれば、検出対象物は車内ではなく、車体の下に所在する可能性が高い。このように、車内の撮影結果や車体の制御情報は、障害物と検出対象物の移動に対する制約条件として用いることができ、障害物と検出対象物の一致の判定の精度向上に寄与する。
【0034】
図5は、報知の態様についての説明図である。
まず、障害物と検出対象物のいずれも「未検出」であれば、報知部35は、警報レベル「なし」とする。この場合には、報知部35は、ディスプレイ14に車両10の模式図を表示し、障害物や検出対象物のアイコンは表示しない。
【0035】
障害物が「未検出」、検出対象物が「有」であれば、報知部35は、警報レベル「弱」とする。この場合には、報知部35は、ディスプレイ14に車両10の模式図を表示し、検出対象物のアイコンを重畳表示する。検出対象物のアイコンの表示位置は、検出対象物の位置に対応して決定する。検出対象物のアイコンの大きさは、検出対象物の位置の誤差に対応して決定する。例えば、検出対象物が後部座席に所在するか、車体の下に所在するかを判別できない場合、後部座席と車体の下にまたがるようアイコンの大きさを決定する。
さらに、検出対象物の種類が特定できているならば、種類を識別可能なアイコンを表示する。
【0036】
障害物が「有」、検出対象物が「未検出」であれば、報知部35は、警報レベル「弱」とする。この場合には、報知部35は、ディスプレイ14に車両10の模式図を表示し、障害物のアイコンを重畳表示する。障害物のアイコンの表示位置は、障害物の位置に対応して決定する。検出対象物のアイコンの大きさは、検出対象物の位置の誤差に対応して決定する。
【0037】
障害物と検出対象物のいずれも「有」で、判定部34の判定結果が「非同一」であれば、報知部35は、警報レベル「中」とする。この場合には、報知部35は、ディスプレイ14に車両10の模式図を表示し、障害物と検出対象物のアイコンをそれぞれ重畳表示する。アイコンの位置や大きさ等については、障害物と検出対象物のいずれかを検出した場合と同様である。
【0038】
障害物と検出対象物のいずれも「有」で、判定部34の判定結果が「同一」であれば、報知部35は、警報レベル「強」とする。この場合には、報知部35は、ディスプレイ14に車両10の模式図を表示し、検出対象物のアイコンを重畳表示する。検出対象物のアイコンの表示位置と大きさは、検出対象物の検出結果と障害物の検出結果とを総合して決定する。このため、表示位置の精度はより高くなり、アイコンは小さくなる。
さらに、検出対象物の種類が特定できているならば、種類を識別可能なアイコンを表示する。
【0039】
警報レベルの強弱は、表示の色、点滅、文字表示の追加、音声出力等によって行う。例えば、警報レベル「弱」ではアイコンを黄色で縁取り、警報レベル「強」ではアイコンを赤色で縁取って点滅させるとともに「至急車体下を確認してください」と音声を出力すればよい。
【0040】
図6は、車両用障害物検出装置20の処理手順を示すフローチャートである。車両用障害物検出装置20は、動作を開始すると、次のステップS101からステップS111を順次実行する。
【0041】
ステップS101 障害物検出部31は、記憶部22に障害物検出基準データ41が登録されているか否かを判定する。登録されていれば(ステップS101;Yes)、ステップS102に進む。登録されていなければ(ステップS101;No)、ステップS103に進む。
【0042】
ステップS102 障害物検出部31は、記憶部22から障害物検出基準データ41を読み出し、ステップS103に進む。
ステップS103 障害物検出部31は、カメラ11やレーダ12の出力を用いて、車両の下方の空間における障害物を検出する。障害物検出基準データ41を読み出していれば、障害物検出部31は、カメラ11が撮影した画像と障害物検出基準データ41と比較し、その差分から障害物を検出する。障害物検出基準データ41を読み出していなければ、障害物検出部31は、画像認識などにより、障害物を検出する。障害物検出部31は、検出結果を出力し、ステップS104に進む。
【0043】
ステップS104 検出対象位置検出部32は、UWBモジュール13が受信したタグの識別情報と検出対象物登録データ42に登録した識別情報と比較することで、検出対象物の検出を行う。検出対象位置検出部32は、検出結果を出力し、ステップS105に進む。
【0044】
ステップS105 移動軌跡検出部33は、障害物検出部31による障害物の検出結果を時刻情報に対応付けて障害物移動軌跡データ43に蓄積する。また、移動軌跡検出部33は、検出対象物位置検出部32による検出対象物の検出結果を時刻情報に対応付けて検出対象物移動軌跡データ44に蓄積する。その後、ステップS106に進む。
【0045】
ステップS106 判定部34は、車両10が発進前の状態であるか否かを判定する。発進前の状態であることは、ドアロックの解除、運転席への乗員の着座、イグニッション信号等に基づいて判定可能である。発進前の状態でなければ(ステップS106;No)、ステップS103に戻る。発進前の状態であれば(ステップS106;Yes)、ステップS107に進む。
【0046】
ステップS107 報知部35は、障害物の検出結果と検出対象物の検出結果に基づいて、報知の態様を示す報知パターンを決定する。その後、ステップS108に進む。
ステップS108 報知部35は、決定した報知パターンに従って、報知を実行して処理を終了する。
【0047】
図7は、記憶部22における障害物検出基準データ41の更新手順を示すフローチャートであり、車両10の走行開始により処理が開始される。
【0048】
ステップS111 図示しない車両走行状態検出部により車両が走行状態であるか否かを判定する。車両が走行状態であるか否かは、例えば、車両10の速度情報やGPSの情報等に基づき判定可能である。車両が走行状態でなくなると(ステップ111;No)、ステップS112に進む。
【0049】
ステップS112 障害物検出部31は、駐車完了状態であるか否かを判定する。駐車完了状態であることは、車両10のシフトの状態(シフト位置がパーキングにされた)、車両10のパーキングブレーキの状態(パーキングブレーキが掛けられた)等に基づいて判定可能である。駐車完了状態であれば(ステップS112;Yes)、ステップS113に進む。駐車完了状態でなければ(ステップS112;No)、ステップS111に戻る。
【0050】
ステップS113 障害物検出部31は、カメラ11が撮影した画像を障害物検出基準データ41として記憶部22に格納する。その後、ステップS114に進む。
ステップS114 制御部21は、所定の終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件としては、明示の終了操作やアクセサリーオフ(ACC-OFF)などを用いればよい。終了条件が成立していなければ(ステップS114;No)、ステップS111に戻る。終了条件が成立したならば(ステップS114;Yes)、処理を終了する。
【0051】
上述してきたように、開示の車両用障害物検出装置20は、車両10の下方の空間における障害物を検出する障害物検出部31と、予め登録された検出対象物の位置を検出する検出対象位置検出部32と、前記障害物検出部31により前記障害物が検出された場合に、前記障害物の存在を報知する報知部35とを備え、前記報知部35は、前記障害物検出部31による障害物検出結果及び前記検出対象物の位置に基づく報知を行う。
かかる構成及び動作により、車両用障害物検出装置20は、車両の下方の空間に存在する物体について高度な情報提供を行うことができる。
【0052】
また、前記報知部35は、前記障害物検出部31及び前記検出対象位置検出部32による検出結果の組み合わせに応じて報知態様を変更する。
このため、障害物と検出対象物のいずれかが検出されている場合と双方が検出されている場合とで、報知態様を異ならせることができる。
【0053】
また、前記障害物検出部31による検出結果は、前記障害物の位置を含み、前記報知部35は、前記障害物の位置及び前記検出対象物の位置に基づき、前記報知態様を変更する。
このため、障害物と検出対象物の位置関係に応じて、報知態様を異ならせることができる。
【0054】
また、前記障害物及び前記検出対象物の移動軌跡を検出する移動軌跡検出部33をさらに備え、前記報知部35は、前記障害物の移動軌跡と前記検出対象物の移動軌跡との比較結果に基づき、前記報知態様を変更する。
このため、障害物と検出対象物の移動軌跡が一致しているか否に応じて、報知態様を異ならせることができる。
【0055】
また、前記障害物と前記検出対象物とが同一の物体であるか否かを判定する判定部34をさらに備え、前記報知部35は、前記障害物と前記検出対象物とが同一の物体であると判定した場合に、前記障害物と前記検出対象物とが同一の物体であると判定しなかった場合に比して強い警報を発する。
このため、検出対象物が障害物となっている深刻な事態を識別し、ユーザに対応を促すことができる。
【0056】
また、前記報知部35は、前記障害物及び/又は前記検出対象物について、前記車両10に対する位置関係を表示部に表示する。
このため、障害物や検出対象物に関する情報について、ユーザの効率的な認識を促すことができる。
【0057】
また、前記検出対象位置検出部32は、前記検出対象物の種類を特定し、前記報知部35は、特定した検出対象物の種類を報知する。
このため、検出対象物について、情報を追加して報知することができる。
【0058】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【0059】
例えば、上記の実施例では、カメラ11の撮影結果から障害物を検出する場合を中心に説明を行ったが、レーダ12を用いて障害物を検出してもよい。この場合には、障害物検出基準データ41として、レーダ12用の基準データを保持すればよい。また、カメラ11とレーダ12は、組み合わせて用いてもよいし、いずれかのみを備える構成としてもよい。
【0060】
また、上記の実施例では、ディスプレイ14に車両10の2次元モデルを表示する場合を例示したが、3次元など、任意のモデルを用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
10:車両、11:カメラ、12:レーダ、13:UWBモジュール、20:車両用障害物検出装置、21:制御部、22:記憶部、31:障害物検出部、32:検出対象位置検出部、33:移動軌跡検出部、34:判定部、35:報知部、41:障害物検出基準データ、42:検出対象物登録データ、43:障害物移動軌跡データ、44:検出対象物移動軌跡データ44
図1
図2
図3
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図5
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図7