(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148612
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/48 20060101AFI20231005BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20231005BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231005BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08F2/48
C09D11/30
B41J2/01 501
B41J2/01 129
B41M5/00 120
B41M5/00 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056740
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】林 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】小谷 宗平
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J011
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA13
2C056EA19
2C056FC01
2C056HA44
2H186AB11
2H186AB20
2H186BA08
2H186DA09
2H186DA10
2H186FB04
2H186FB34
2H186FB36
2H186FB44
2H186FB46
4J011QA03
4J011QA06
4J011QA07
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4J011QA13
4J011QA15
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4J011QB16
4J011SA02
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4J011UA01
4J011VA01
4J011WA05
4J039AD21
4J039BC57
4J039BE27
4J039BE33
4J039CA02
4J039EA38
4J039EA39
4J039FA02
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリオレフィンなどの様々な基材への付着性に優れ、耐溶剤性及び耐水性が良好であり且つ水溶液中で容易に除去が可能である、相反する特性を合わせ有する活性エネルギー線硬化型組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1):CO-O-Siに示される分子構造を有する化合物(A)と、当該一般式(1)に示される分子構造を有さない重合性化合物(B)を含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)と、下記一般式(1)に示される分子構造を有さない重合性化合物(B)を含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型組成物。
CO-O-Si (1)
【請求項2】
一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)が、重合性化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項3】
一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)が、下記一般式(2)に示される重合性化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
CH2=C(R1)-CO-O-Si(R2)(R3)(R4) (2)
(式中、R1は、Hまたはメチル基であり、R2、R3、R4は、各々独立して、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基または芳香族基である。)
【請求項4】
一般式(2)に示される重合性化合物が、下記一般式(3)に示される重合性化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
CH2=C(R1)-CO-O-Si(R5)3 (3)
(式中、R1は、Hまたはメチル基であり、R5はイソプロピル基またはブチル基である。)
【請求項5】
光重合開始剤(C)を更に含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
組成物がインクジェットインクであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項7】
組成物より得られる形成膜が、アルカリ性水溶液又は、アルカリ性水溶液と有機溶剤との混合溶液により容易に基材から除去されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項8】
組成物より得られる形成膜が、中性乃至酸性水溶液により基材から除去されないことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項9】
組成物より得られた形成膜は、JIS K-5600-5-6:1999に準拠したクロスカット法付着試験において、分類0、1乃至2の試験結果が得られ、該クロスカット法付着試験では、組成物より得られる形成膜が接する基材表面がポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、得られる形成膜を基材より容易に除去することが可能である組成物に関し、特には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリオレフィンなどの様々な基材への付着性、耐水性及び耐溶剤性に優れる易除去活性エネルギー線硬化型組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりによりプラスチック容器やフィルム等、プラスチック製品のリサイクルに関する研究開発が盛んに進められている。プラスチック製品の多くは包装・容器として使用されており、一般的には文字、絵図、写真や柄などの印刷が施されている。リサイクルの過程において、より品質の優れたリサイクルプラスチックを得るためには、印刷層を除去する脱墨工程を確実に行う必要がある。印刷層以外にも、印刷下地層、印刷保護層、接着層、バリア層やデザイン付与目的の凹凸層などの各種付与層の除去も、リサイクルプラスチックの品質維持には欠かせない場合が多い。また、リサイクル事業の推進には低コスト化が求められており、大きなコスト要因の一つである生産性の観点より、除去工程をより簡易に行う必要もある。
【0003】
特許文献1には、活性エネルギー線硬化性脱墨用オーバーコートニスが例示されている。良好な脱墨性が示されているものの、付着性や耐水性については評価されていない。水酸基、カルボキシル基、カルボン酸アミド、スルフォン基、エポキサイド基やエーテル基といった親水性を有するモノマーを必須成分としており、一般に、これら親水性を有するモノマー組成より得られる形成膜は耐水性に乏しい。また、疎水性が高い基材に対する付着性に劣るなどの問題がある。特に、ポリエチレンやポリプロピレンといったオレフィン系の基材に対しては付着が困難である。
特許文献2には、下記一般式(1)に示される分子構造を有するアクリル重合系樹脂を用いた、防汚塗料が例示されている。
CO-O-Si (1)
海水中で加水分解されることにより親水化し、数年間の月日を経て海水中に溶解させる技術である。脱墨は、迅速に親水化、除去する技術であり、防汚塗料とは根本的に設計思想が異なる。
また、本文献に例示される防汚塗料は、一般式(1)に示される分子構造を有するアクリル重合系樹脂を有機溶剤に溶解させ塗装するものである。塗膜形成後に有機溶剤に曝されることはなく、耐溶剤性についても評価されていない。
包装・容器として使用されているプラスチック製品の多くは、文字、絵図、写真や柄などの印刷を施した後に、印刷保護層、接着層、バリア層やデザイン付与目的の凹凸層などの各種付与層を重ねる場合が少なくない。付与層を重ねる際に溶剤系の付与材を用いると、印刷層の耐溶剤性が不十分な場合、印刷層が溶解したりプラスチックから剥がれるなどの問題がある。
また、水溶性の組成物により脱墨を容易にする手法も考えられるが、形成膜の耐水性が著しく劣ることは述べるまでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-344054号公報
【特許文献2】特開昭63-057675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリオレフィンなどの様々な基材への付着性に優れ、耐溶剤性及び耐水性が良好であり且つ水溶液中で容易に除去が可能である、相反する特性を合わせ有する活性エネルギー線硬化型組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の分子構造を有する化合物を含む活性エネルギー線硬化型組成物が、PETやポリオレフィンなどの様々な基材への付着性に優れ、耐溶剤性及び耐水性が良好であり且つ、容易・確実に除去が行える形成膜を得ることができる組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明の組成物は、下記一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)と、下記一般式(1)に示される分子構造を有さない重合性化合物(B)を含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型組成物である。
CO-O-Si (1)
【0008】
本発明の組成物の好適例においては、一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)が、重合性化合物である。
【0009】
本発明の組成物の他の好適例においては、一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)が、下記一般式(2)に示される重合性化合物である。
CH2=C(R1)-CO-O-Si(R2)(R3)(R4) (2)
(式中、R1は、Hまたはメチル基であり、R2、R3、R4は、各々独立して、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基または芳香族基である。)
【0010】
本発明の組成物の他の好適例においては、一般式(2)に示される重合性化合物(A)が、下記一般式(3)に示される重合性化合物である。
CH2=C(R1)-CO-O-Si(R5)3 (3)
(式中、R1は、Hまたはメチル基であり、R5はイソプロピル基またはブチル基である。)
【0011】
本発明の組成物の他の好適例においては、光重合開始剤(C)を更に含む。
【0012】
本発明の組成物の他の好適例においては、組成物がインクジェットインクである。
【0013】
本発明の組成物の他の好適例においては、組成物より得られる形成膜が、アルカリ性水溶液又は、アルカリ性水溶液と有機溶剤との混合溶液により容易に基材から除去される。
【0014】
本発明の組成物の他の好適例においては、組成物より得られる形成膜が、中性乃至酸性水溶液により基材から除去されない。
【0015】
本発明の組成物の他の好適例において、組成物より得られる形成膜は、JIS K-5600-5-6:1999に準拠したクロスカット法付着試験において、分類0、1乃至2の試験結果が得られ、該クロスカット法付着試験では、組成物より得られる形成膜が接する基材表面がポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、PETやポリオレフィンなどの様々な基材への付着性に優れ、耐溶剤性及び耐水性に優れる易除去活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
本組成物により得られる形成膜は、耐水性に優れると共に耐溶剤性にも優れ、且つ、PETやポリオレフィンなどの様々な基材に対する付着性にも優れ、除去性にも優れることにより、リサイクル向け基材の加飾に好適に用いることができる。また、3Dプリンタ向けのサポート材やレジスト向けのマスク材としても、好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の組成物を詳細に説明する。本明細書において、活性エネルギー線硬化型組成物とは、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化させることができる組成物を意味する。
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物であり、具体的には、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基又はアリル基を構成する炭素-炭素二重結合、エポキシ基、オキセタン環等の重合性基)を介して重合反応を起こす化合物を含む組成物である。
【0018】
本発明の組成物は、下記一般式(1):
CO-O-Si (1)
に示される分子構造を有する化合物(A)を含む。CO-O-Siの構造は、アルカリ性水溶液を用いた加水分解反応により容易に分解可能な構造であることから、CO-O-Siの構造を有する膜は、基材上から容易且つ確実に除去が行える。例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いて加水分解反応を行うと、一般式(1)で示される分子構造は、CO-O-Na+とSi-OHに分解する。また、一般式(1)で示される分子構造は、中性乃至酸性水溶液では加水分解反応を行わないため、耐水性や酸性水溶液に対する耐性を低下させない。また、一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)を用いたことで、形成膜を親水性にすることなく、アルカリ水溶液での形成膜の除去が可能となる。これにより、本発明の組成物に得られる形成膜は、PETやポリオレフィンなどの様々な基材への付着性や耐水性の効果も得られる。
一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)は、分子内に一般式(1)に示す構造
CO-O-Si (1)
有すること以外は特に制限されるものではない。化合物(A)は、重合性官能基を含んでいても含んでいなくてもよく、ポリマー、オリゴマー、モノマー等が挙げられる。配合設計の自由度の高さから、化合物(A)としては、重合性を有するモノマーが特に好ましい。モノマーの具体例としては、例えば、トリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリブチルシリル(メタ)アクリレート等のトリアルキルシリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらのモノマーを用いて重合反応を行うことにより、一般式(1)に示す構造を有するポリマーまたはオリゴマーを得ることができる。また、得られたポリマーまたはオリゴマーに重合性官能基を導入することにより、一般式(1)に示す構造及び重合性官能基を有するポリマーまたはオリゴマーを得ることもできる。
【0019】
本発明の組成物の好ましい実施態様において、一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)は、重合性化合物である。ここで、重合性化合物は、ポリマー、オリゴマー、モノマー等が挙げられる。重合性化合物としては、下記一般式(2)に示される重合性化合物であることが好ましく、下記一般式(3)に示される重合性化合物であることが更に好ましい。
CH2=C(R1)-CO-O-Si(R2)(R3)(R4) (2)
式(2)中、R1は、Hまたはメチル基であり、R2、R3、R4は、各々独立して、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基または芳香族基である。
CH2=C(R1)-CO-O-Si(R5)3 (3)
式(3)中、R1は、Hまたはメチル基であり、R5はイソプロピル基またはブチル基である。
【0020】
一般式(1)に示される分子構造の量は、本発明の組成物固形分中において、例えば100~2000mmol/kgである。一般式(1)に示される分子構造を有する化合物(A)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、固形分とは、溶媒等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に膜を形成することになる成分である。一般に市販されている重合性モノマーや重合性オリゴマー等の重合性化合物は、有機溶剤で希釈されている旨の開示がない限り100%とみなす。また、「固形分」を「不揮発分」と称する場合もある。
【0021】
本発明の組成物は、下記一般式(1):
CO-O-Si (1)
に示される分子構造を有さない重合性化合物(B)を含む。本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物とし、耐溶剤性を発現させるため、重合性化合物(B)が使用される。
一般式(1)に示される分子構造を有さない重合性化合物(B)は、単官能重合性化合物又は多官能重合性化合物に分類される。ここで、単官能重合性化合物としては、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を1つ有する単官能重合性モノマー(例えば1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性モノマー)や活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を1つ有する単官能重合性オリゴマー(例えば、1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。多官能重合性化合物としては、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性モノマー(例えば2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性モノマー)や活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性オリゴマー(例えば、2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。
【0022】
上記単官能重合性モノマーの具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、デシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルイミダゾール、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、及びエトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
上記多官能重合性モノマーのうち、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を2つ有する多官能重合性モノマー(2官能重合性モノマー)の具体例としては、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
また、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を3つ以上有する多官能重合性モノマー(3官能以上の多官能重合性モノマー)の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びEO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
本明細書において、(メタ)アクリレートの用語は、メタクリレート又はアクリレートを意味する。また、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等のように、複数であることを示す接頭語が(メタ)アクリレートに付されている場合、各(メタ)アクリレート部分は同一でも異なっていてもよい。
【0026】
重合性オリゴマーは、好ましくはアクリレートオリゴマーである。また、重合性オリゴマーの官能基数は、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上である。重合性オリゴマーの分子量は、好ましくは1000~20000である。ここで、重合性オリゴマーの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0027】
アクリレートオリゴマーの具体例としては、ウレタンアクリレートオリゴマー[ウレタン結合(-NHCOO-)を複数持つアクリレートオリゴマー]、アミノアクリレートオリゴマー[アミノ基(-NH2)を複数持つアクリレートオリゴマー]、エポキシアクリレートオリゴマー[エポキシ基を複数持つアクリレートオリゴマー]、シリコーンアクリレートオリゴマー[シロキサン結合(-SiO-)を複数持つアクリレートオリゴマー]、エステルアクリレートオリゴマー[エステル結合(-COO-)を複数持つアクリレートオリゴマー]及びブタジエンアクリレートオリゴマー[ブタジエン単位を複数持つアクリレートオリゴマー]等が挙げられる。
【0028】
また、アクリレートオリゴマーとして、以下のものが知られている。
ビームセット502H、ビームセット505A-6、ビームセット550B、ビームセット575、ビームセットAQ-17(荒川化学工業社製)、
AH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G(共栄社化学社製)、
CN910、CN959、CN963、CN964、CN965NS、CN966NS、CN969NS、CN980NS、CN981NS、CN982、CN983NS、CN985、CN991NS、CN996NS、CN2920、CN2921、CN8881NS、CN8883NS、CN9001NS、CN9004、CN9005、CN9009、CN9011、CN9021NS、CN9023、CN9028、CN9030、CN9178NS、CN9290、CN9893NS、CN929、CN989NS、CN968NS、CN9006NS、CN9010NS、CN9025、CN9026、CN9039、CN9062、CN9110NS、CN9029、CN8885NS、CN9013NS、CN973、CN978NS、CN992、CN9167、CN9782、CN9783、CN970、CN971、CN972、CN975NS、CN9165(サートマー社製)、
U-2PPA、U-6LPA、U-10HA、U-10PA、UA-1100H、U-15HA、UA-53H、UA-33H、U-200PA、UA-200PA、UA-160TM、UA-290TM、UA-4200、UA-4400、UA-122P(新中村化学工業社製)、
ニューフロンティアR-1235、R-1220、RST-201、RST-402、R-1301、R-1304、R-1214、R-1302XT、GX-8801A、R-1603、R-1150D(第一工業製薬社製)、
EBECRYL204、EBECRYL205、EBECRYL210、EBECRYL215、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL264、EBECRYL265、EBECRYL270、EBECRYL280/15IB、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL294/25HD、EBECRYL1259、EBECRYL1290、KRM8200、EBECRYL4820、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8254、EBECRYL8301R、EBECRYL8307、EBECRYL8402、EBECRYL8405、EBECRYL8411、EBECRYL8465、EBECRYL8800、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL9270、EBECRYL7735、EBECRYL8296、EBECRYL8452、EBECRYL8904、EBECRYL8311、EBECRYL8701、EBECRYL8667(ダイセル・オルネクス社製)、
UV-1700B、UV-6300B、UV-7550B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7610B、UV-7630B、UV-7640B、UV-7650B、UV-6630B、UV-7000B、UV-7510B、UV-7461TE、
UV-2000B、UV-2750B、UV-3000B、UV-3200B、UV-3300B、UV-3310B、UV-3700B、UV6640B(日本合成化学社製)、
アートレジンUN-333、UN-350、UN-1255、UN-2600、UN-2700、UN-5590、UN-6060PTM、UN-6200、UN-6202、UN-6300、UN-6301、UN-7600、UN-7700、UN-9000PEP、UN-9200A、UN-3320HA、UN-3320HC、UN-904、UN-906S(根上工業社製)
アロニックスM-6100、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亜合成社製)
【0029】
一般式(1)に示される分子構造を有さない重合性化合物(B)の量は、本発明の組成物固形分中において、例えば10~90質量%である。一般式(1)に示される分子構造を有さない重合性化合物(B)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
親水性の高い重合性化合物は、耐水性悪化の要因となるため好ましくない。また、ポリプロピレン(PP)などの低極性基材に対する付着性悪化の要因ともなり好ましくない。特に、アミド構造やポリアルキレンオキサイド構造を有する重合性化合物、水酸基を有する重合性化合物、カルボキシル基(その塩も含む)やスルホン酸基(その塩も含む)を有する重合性化合物、アミノ基(その四級塩も含む)は親水性が高いため、組成物固形分中の含有量は好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。50質量%を超えると、水に溶解したり溶解しないまでも最表面に形成膜を施した場合に外観に変化を及ぼすことがある。また、ポリプロピレン(PP)などの低極性基材に対する付着性が悪化する。
【0031】
本発明の活性エネルギー硬化型組成物には、必要に応じて、光重合開始剤(C)を添加してもよい。
本発明の光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線を照射されることによって、上述した重合性化合物の重合を開始させる作用を有する。光重合開始剤(C)の量は、組成物固形分中好ましくは1~25質量%であり、より好ましくは3~20質量%であり、特に好ましくは3~15質量%である。光重合反応を適切に開始させる点から、光重合開始剤(C)の含有量が1質量%以上であることが好ましく、25質量%以下であれば、低温時においても析出物が発生しにくい。更に、光重合開始剤(C)の開始反応を促進させるため、光増感剤等の助剤を併用することも可能である。
【0032】
光重合開始剤(C)としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられるが、硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と光重合開始剤の吸収波長ができるだけ重複するものが好ましい。即ち、光重合開始剤(C)の吸収波長が350nm以上400nm以下の範囲と重複するものが好ましい。また、光重合開始剤(C)は、LED硬化及び硬化時の着色の観点から、アシルホスフィンオキシド系開始剤を含むことが好ましい。なお、光重合開始剤(C)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
光重合開始剤(C)の具体例としては、
2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンゾフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、組成物の硬化性の観点から、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、及び2,4-ジエチルチオキサントンが好ましく、更にはLED硬化及び硬化時の着色の観点から、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドがより好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドが特に好ましい。
【0035】
本発明の組成物が適用される基材は、特に限定されるものではない。基材の形状としては、例えば、フィルム状、シート状、板状等がある。基材の材質としては、例えば、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のプラスチック、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属、紙、合成紙、木材、セメント、コンクリート、石膏、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、ガラス、陶磁器等及び、これらの複合材料が挙げられる。基材の具体例としては、PETフィルム、PPフィルム、PEフィルム、塩ビシート、ターポリン、プラスチック製ダンボール、アクリル板、PP成型材、PPと炭酸カルシウムの複合材料等が挙げられる。
【0036】
本発明の組成物には、着色剤を使用することができる。着色剤としては特に制限はなく、一般に塗料、インキ、インク等に使用される着色剤を適宜使用することができ、染料であっても顔料であってもよいが、耐候性の点で顔料が好ましく具体例としては、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、7、9、10、12、13、14、15、16、17、24、32、34、35、36、37、41、42、43、49、53、55、60、61、62、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、99、100、101、104、105、106、108、109、110、111、113、114、116、117、119、120、123、124、126、127、128、129、130、133、138、139、150、151、152、153、154、155、165、167、168、169、170、172、173、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、191、193、194、199、205、206、209、212、213、214、215、219、
C.I.Pigment Orange 1、2、3、4、5、13、15、16、17、19、20、21、24、31、34、36、38、40、43、46、48、49、51、60、61、62、64、65、66、67、68、69、71、72、73、74、81、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、38、41、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、52、52:1、52:2、53:1、54、57:1、58、60:1、63、64:1、68、81:1、83、88、89、95、101、104、105、108、112、114、119、122、123、136、144、146、147、149、150、164、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、211、213、214、216、220、220、221、224、226、237、238、239、242、245、247、248、251、253、254、255、256、257、258、260、262、263、264、266、268、269、270、271、272、279、
C.I.Pigment Violet 1、2、3、3:1、3:3、5:1、13、15、16、17、19、23、25、27、29、31、32、36、37、38、42、50、
C.I.Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17:1、24、24:1、25、26、27、28、29、36、56、60、61、62、63、75、79、80、
C.I.Pigment Green 1、4、7、8、10、15、17、26、36、50、
C.I.Pigment Brown 5、6、23、24、25、32、41、42、
C.I.Pigment Black 1、6、7、9、10、11、20、26、28、31、32、34、
C.I.Pigment White 1、2、4、5、6、7、11、12、18、19、21、22、23、26、27、28、
アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、パール顔料及び中空粒子等が挙げられる。
【0037】
これらの中でも、形成膜の耐候性と色再現性の観点から、
C.I.Pigment Black 7、
C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 28、
C.I.Pigment Red 101、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 282、
C.I.Pigment Violet 19、
C.I.Pigment White 6、
C.I.Pigment Yellow 42、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 213が好ましい。
【0038】
インクジェットインクとして用いる際の吐出安定性の観点から、顔料粒子は体積平均粒子径が0.05~0.4μmであり且つ体積最大粒子径が0.2~1μmであることが好ましい。体積平均粒子径が0.4μmより大きく且つ体積最大粒子径が1μmよりも大きいと、安定に吐出することが困難となる傾向がある。なお、体積平均粒子径及び体積最大粒子径は、(JIS)動的光散乱法を用いた測定機器によって測定できる。
【0039】
本発明の組成物は、顔料を分散させるために、必要に応じて顔料分散剤を更に含有してもよい。なお、顔料分散剤の含有量は、例えば組成物固形分中0.1~10質量%である。また、顔料分散剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
上記顔料分散剤の具体例としては、
ANTI-TERRA-U、ANTI-TERRA-U100、ANTI-TERRA-204、ANTI-TERRA-205、DISPERBYK-101、DISPERBYK-102、DISPERBYK-103、DISPERBYK-106、DISPERBYK-108、DISPERBYK-109、DISPERBYK-110、DISPERBYK-111、DISPERBYK-112、DISPERBYK-116、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-142、DISPERBYK-145、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-166、DISPERBYK-167、DISPERBYK-168、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-174、DISPERBYK-180、DISPERBYK-182、DISPERBYK-183、DISPERBYK-184、DISPERBYK-185、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2020、DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2070、DISPERBYK-2096、DISPERBYK-2150、DISPERBYK-2155、DISPERBYK-2163、DISPERBYK-2164、BYK-P104、BYK-P104S、BYK-P105、BYK-9076、BYK-9077、BYK-220S、BYKJET-9150、BYKJET-9151(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
Solsperse3000、Solsperse5000、Solsperse9000、Solsperse11200、Solsperse13240、Solsperse13650、Solsperse13940、Solsperse16000、
Solsperse17000、Solsperse18000、Solsperse20000、Solsperse21000、Solsperse24000SC、Solsperse24000GR、Solsperse26000、Solsperse27000、Solsperse28000、Solsperse32000、Solsperse32500、Solsperse32550、Solsperse32600、Solsperse33000、Solsperse34750、Solsperse35100、Solsperse35200、Solsperse36000、Solsperse36600、Solsperse37500、Solsperse38500、Solsperse39000、Solsperse41000、Solsperse54000、Solsperse55000、Solsperse56000、Solsperse71000、Solsperse76500、SolsperseX300(以上、ルブリゾール社製)、
ディスパロンDA-7301、ディスパロンDA-325、ディスパロンDA-375、ディスパロンDA-234(以上、楠本化成社製)、
フローレンAF-1000、フローレンDOPA-15B、フローレンDOPA-15BHFS、フローレンDOPA-17HF、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-33、フローレンG-600、フローレンG-700、フローレンG-700AMP、フローレンG-700DMEA、フローレンG-820、フローレンG-900、フローレンGW-1500、フローレンKDG-2400、フローレンNC-500、フローレンWK-13E、(以上、共栄社化学社製)、
TEGO Dispers610、TEGO Dispers610S、TEGO Dispers630、TEGO Dispers650、TEGO Dispers652、TEGO Dispers655、TEGO Dispers662C、TEGO Dispers670、TEGO Dispers685、TEGO Dispers700、TEGO Dispers710、TEGO Dispers740W、LIPOTIN A、LIPOTIN BL、LIPOTIN DB、LIPOTIN SB(以上、エボニック・デグサ社製)、
PB821、PB822、PN411、PA111(以上、味の素ファインテクノ社製)、
テキサホール963、テキサホール964、テキサホール987、テキサホールP60、テキサホールP61、テキサホールP63、テキサホール3250、テキサホールSF71、テキサホールUV20、テキサホールUV21(以上、コグニス社製)、
BorchiGenSN88、BorchiGen0451(以上、ボーシャス社製)等が挙げられる。
【0041】
本発明の組成物は、基材への濡れ性の向上等の観点から、表面調整剤を更に含有してもよい。本明細書において、表面調整剤とは、分子構造中に親水性部位と疎水性部位を有し、添加することにより組成物の表面張力を調整し得る物質のことを意味する。
【0042】
使用できる表面調整剤としては、具体的に、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性表面調整剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性表面調整剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性表面調整剤、アクリル系表面調整剤、シリコン系表面調整剤、およびフッ素系表面調整剤などが挙げられる。特に、シリコン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤であることが好ましく、ビックケミー社、エボニック社、東レ・ダウコーニング社等の市販品を使用することができる。さらにシリコン系表面調整剤の場合、ポリエーテル変性シリコーンオイルであり、かつHLBが7.6~12であることが好ましい。
【0043】
表面調整剤の量は、使用目的により適宜選択し得るが、例えば組成物固形分中0.01~1質量%であることが好ましい。表面調整剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記表面調整剤の具体例としては、
BYK-300、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-326、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-350、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358N、BYK-361N、BYK-370、BYK-375、BYK-377、BYK-378、BYK-381、BYK-392、BYK-394、BYK-399、BYK-3440、BYK-3441、BYK-3455、BYK-3550、BYK-3560、BYK-3565、BYK-3760、BYK-DYNWET 800N、BYK-SILCLEAN 3700、BYK-SILCLEAN 3701、BYK-SILCLEAN 3720、BYK-UV3500、BYK-UV3505、BYK-UV3510、BYK-UV3530、BYK-UV3535、BYK-UV3570、BYK-UV3575、BYK-UV3576(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
TEGO Flow 300、TEGO Flow 370、TEGO Flow 425、TEGO Flow ATF 2、TEGO Flow ZFS 460、TEGO Glide 100、TEGO Glide 110、TEGO Glide 130、TEGO Glide 406、TEGO Glide 410、TEGO Glide 411、TEGO Glide 415、TEGO Glide 432、TEGO Glide 435、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Glide 482、TEGO GlideA 115、TEGO GlideB 1484、TEGO GlideZG 400(以上、エボニック ジャパン社製)、
501W ADDITIVE、FZ-2104、FZ-2110、FZ-2123、FZ-2164、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2215、FZ-2222、FZ-5609、L-7001、L-7002、L-7604、OFX-0193、OFX-0309 FLUID、OFX-5211 FLUID、SF 8410 FLUID、SH3771、SH 3746 FLUID、SH 8400 FLUID、SH 8700 FLUID、Y-7006(以上、東レ・ダウコーニング社製)、
KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-640、KF-642、KF-643、KF-644、KF-945、KF-6004、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017、KF-6020、KF-6204、X-22-2516、X-22-4515(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0045】
これらの中でも、構造およびHLBの観点から、501W ADDITIVE、FZ-2104、FZ-2123、FZ-2215、L-7002、OFX-0309 FLUID、OFX-5211 FLUID、SH 8400 FLUID、KF-351A、KF-353、KF-355A、KF-615A、KF-642、KF-644、KF-6004、KF-6011、KF-6204が好ましい。
【0046】
本発明の組成物には、その他の成分として、天然樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、防錆剤、溶剤、非反応性ポリマー、充填剤、消泡剤、導電性付与剤、導電性粒子、応力緩和剤、浸透剤、導光剤、屈折率調性剤、金属酸化物粒子、光輝材、磁性材、蛍光体、抗菌剤、抗ウイルス剤、防藻剤、防かび剤等の添加剤を必要に応じて使用してもよい。
【0047】
本発明の組成物は、製造後形成膜となるまでの間及び、膜形成後基材から除去するまでの間に、下記一般式(1)
CO-O-Si (1)
に示す分子構造部位の分解を抑制するために、含有する水分量は5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
同様に分解を抑制するために、組成物は強いアルカリ性雰囲気下でないことが好ましい。組成物とイオン交換水を質量比1/1で攪拌・混合後、水相のpHを測定する等の方法で評価できる。水分等、他成分との兼ね合いもあるが、水相のpHは12以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下が特に好ましい。
一方で、組成物を製造後、活性エネルギー線の照射により形成膜となるまでの間に生じる重合反応を抑制するためには、含有する酸性成分が少ない方が好ましい。組成物の酸価をJIS K-0070-1992に準拠し測定する等の方法で評価でき、30以下が好ましく、5以下がより好ましく、1以下が特に好ましい。尚、組成物が有機溶剤分を含む場合は、下記計算式(4)により酸価を算出する。
測定値×100/(100-組成物の有機溶剤含有量(質量%)) (4)
【0048】
本発明の組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することにより調製することができる。本発明の組成物を基材に適用する際には、スプレー塗装、ロールコーター塗装、カーテンフローコーター塗装、ディッピング塗装、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の塗膜形成方法を適宜選択することができる。
【0049】
本発明の組成物は、インクジェットインクであることが好ましく、この場合、基材への適用法として、インクジェット印刷法が選択される。
【0050】
インクジェット印刷法を選択する場合は、インクジェットプリントヘッドのノズル径の約1/10以下のポアサイズを持つフィルターを用い、各種成分の混合により得られた混合物を濾過することによって本発明の組成物を調製できる。
インクジェット印刷法を選択する場合、組成物の40℃における粘度は5~25mPa・sであることが好ましく、5~20mPa・sであることがより好ましい。40℃における組成物の粘度が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。なお、インク粘度は、コーンプレート型粘度計を用いて測定できる。
【0051】
インクジェット印刷法を選択する場合、組成物の25℃における表面張力が20~35mN/mであることが好ましく、23~33mN/mであることがより好ましい。25℃における組成物の表面張力が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。なお、表面張力は、白金プレート法などにより測定できる。
【0052】
インクジェット印刷には、種々のインクジェットプリンタに使用することができる。インクジェットプリンタとしては、例えば、荷電制御方式又はピエゾ方式によりインク組成物を噴出させるインクジェットプリンタが挙げられる。また、大型インクジェットプリンタ、具体例としては工業ラインで生産される物品への印刷を目的としたインクジェットプリンタも好適に使用できる。
【0053】
本発明の組成物は、印刷等により基材へ適用した後に、活性エネルギー線の照射により硬化膜が形成される。活性エネルギー線の光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等を使用できる。活性エネルギー線の波長は、主波長が350~400nmであることが好ましい。活性エネルギー線の積算光量は100~2000mJ/cm2の範囲にあることが好ましい。
【0054】
本発明の一実施形態において、本発明の組成物より得られる形成膜は、アルカリ性水溶液又は、アルカリ性水溶液と有機溶剤との混合溶液により容易に基材から除去される。本発明の組成物から得られる形成膜を有する基材をアルカリ性水溶液又はアルカリ性水溶液と有機溶剤との混合溶液に浸漬させることで、形成膜を基材から容易に除去することができる。ここで、アルカリ性水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液が好ましく、そのpHは10以上であることが好ましい。
使用される有機溶剤の種類は、形成膜を基材から除去する際の温度など、除去工程条件において混合可能であれば特に限定されない。一方で、有機溶剤と基材の組合せによっては有機溶剤が基材に浸透する場合があり、リサイクルプラスチックの品質を劣化させたり浸透した有機溶剤の除去工程を要するなどの問題があるため、そのような問題が発生しないよう、有機溶剤の種類を適宜調整することができる。同様に有機溶剤の混合比率も、適宜調整することができる。有機溶剤は、1種単独で用いても2種以上を用いでもよい。
【0055】
本発明の一実施形態において、本発明の組成物より得られる形成膜は、中性乃至酸性水溶液により基材から除去されない。本発明の組成物から得られる形成膜を有する基材は、アルカリ性水溶液の場合とは異なり、中性乃至酸性水溶液に浸漬させたとしても、形成膜が基材から除去されないことが好ましい。
【0056】
本発明の一実施形態において、本発明の組成物より得られる形成膜は、JIS K-5600-5-6:1999に準拠したクロスカット法付着試験において、分類0、1乃至2の試験結果が得られる。ただし、クロスカット法付着試験において、組成物より得られる形成膜が接する基材表面は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンである。
【0057】
本発明の組成物の適用方法としては、本発明の組成物が基材に直接塗工されている必要がある。言い換えると、基材に直接塗工されている以外は何ら制限されるものではない。
具体的には、本発明の組成物により文字、絵図、写真や柄、凹凸などの加飾を基材に直接施す場合や、更に各種保護層などを付与する場合が挙げられる。また、本発明の組成物を基材に付与し、次いで文字、絵図、写真や柄、凹凸などの加飾を必ずしも本発明の組成物ではない材料にて施す場合や、更に各種保護層を付与する場合などが挙げられる。
より具体的には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックによる4色の本発明の組成物による色材を用いて基材に加飾を施す場合や、更にクリヤーの各種保護層などを付与する場合である。また、クリヤー又は白色の本発明の組成物を基材に付与し、次いでシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックによる4色の本発明の組成物ではない色材を用いて基材に加飾を施す場合や、更にクリヤーの各種保護層などを付与する場合である。
【実施例0058】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとする。
【0059】
<製造例1>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器にキシレン780部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃において、トリイソプロピルシリルアクリレート(有機合成薬品工業製)400部、t-ブチルメタクリレート(三菱ケミカル製)310部、2-エチルへキシルメタクリレート(三菱ケミカル製)230部、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂製)50部の混合液を、反応容器内の温度を110℃に保ちながら3時間均一滴下する。滴下終了後、キシレン20部、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂製)10部の混合液を、反応容器内の温度を110℃に保ちながら3時間均一滴下する。滴下終了後、キシレン200部を仕込み、固形分が50%の目的とする樹脂溶液1を得た。
【0060】
<製造例2>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器にキシレン780部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃において、トリイソプロピルシリルアクリレート(有機合成薬品工業製)400部、t-ブチルメタクリレート(三菱ケミカル製)240部、2-エチルへキシルメタクリレート(三菱ケミカル製)160部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ケミカル製)70部、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂製)50部の混合液を、反応容器内の温度を110℃に保ちながら3時間均一滴下する。滴下終了後、キシレン20部、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂製)10部の混合液を、反応容器内の温度を110℃に保ちながら3時間均一滴下する。次に、2-イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工)70部を仕込み、赤外吸収分光光度計で-NCO基に由来する2260cm-1の吸収が消失するまで反応させた。反応終了後、キシレン200部を仕込み、固形分が50%の目的とする樹脂溶液2を得た。
【0061】
<組成物調製方法>
表1~3に示す成分を表1~3に示す量(質量部)で含有する混合物を撹拌・溶解させ均一にした後、濾過を行い、実施例1~17及び比較例1~4に示す組成物を調製した。
【0062】
<実施例1~3>
所定の基材に表1に示した配合組成物をバーコーター#6で塗布し、50℃で10分乾燥した後に、385nmのLED照射(2000mW/cm2,2000mJ/cm2)を行い硬化させ、試験片を用意した。得られた塗装膜の膜厚は10μmであった。
【0063】
<実施例4~9、比較例1~3>
所定の基材に表1~3に示した配合組成物をバーコーター#5で塗布し、385nmのLED照射(2000mW/cm2,2000mJ/cm2)を行い硬化させ、試験片を用意した。得られた塗装膜の膜厚は10μmであった。
【0064】
<実施例10>
所定の基材に表2に示した配合組成物をバーコーター#2で塗布し、385nmのLED照射(2000mW/cm2,2000mJ/cm2)を行い硬化させ、試験片を用意した。得られた塗装膜の膜厚は4μmであった。
【0065】
<実施例11>
所定の基材に表2に示した配合組成物をバーコーター#15で塗布し、385nmのLED照射(2000mW/cm2,2000mJ/cm2)を行い硬化させ、試験片を用意した。得られた塗装膜の膜厚は30μmであった。
【0066】
<実施例12>
実施例5で得られた形成膜に、ポリエステルフィルム631S#25(寺岡製作所製)を貼り付け、試験片を用意した。
【0067】
<実施例13>
実施例5で得られた形成膜に、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社製)350部、トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社製)300部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社制)250部、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(IGM RESINS B.V.製)100部よりなる混合物を撹拌・溶解させ均一にした後、濾過を行うことにより得られた活性エネルギー線硬化型オーバーコート組成物を、バーコーター#10で塗布し、385nmのLED照射(2000mW/cm2,2000mJ/cm2)を行い硬化させてオーバーコート膜を形成し、試験片を用意した。
【0068】
<実施例14~17>
所定の基材に表2~3に示した配合組成物をインクジェッティングにより塗布し、385nmのLED照射(2000mW/cm2,2000mJ/cm2)を行い硬化させ、試験片を用意した。得られた塗装膜の膜厚は10μmであった。
【0069】
<比較例4>
所定の基材に表3に示した配合組成物をバーコーター#6で塗布し、50℃で10分乾燥させることにより、試験片を用意した。得られた塗装膜の膜厚は10μmであった。
【0070】
表1~3に示される各成分は、以下のとおりである。
重合性化合物1:トリイソプロピルシリルアクリレート(有機合成薬品工業製)
重合性化合物2:イソボルニルアクリレート(共栄社化学製)
重合性化合物3:t-ブチルシクロヘキシルアクリレート(KJケミカルズ製)
重合性化合物4:2-エトキシエチルアクリレート(共栄社化学製)
重合性化合物5:2-フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学製)
重合性化合物6:アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ製)、親水性重合性化合物
光重合開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(IGM RESINS B.V.製)
添加剤1:スーパークロン3228S(日本製紙製)
添加剤2:スーパークロン814HS(日本製紙製)
添加剤3:ポリフローNo.90(共栄社化学製)
添加剤4:メチルハイドロキノン(精工化学製)
また、表中「COOSi(mmol/kg)」には、組成物固形分中の一般式(1)に示される分子構造の量(mmol/kg)を示す。ここで、原子量は、H=1.01、C=12.01、O=16.00、Si=28.09である。「塗膜形成方法」のBCはバーコーター、IJはインクジェッテイングを意味する。「膜厚(μm)」は、表1~3に示した配合組成物から得られた塗装膜の膜厚を示す。
【0071】
<アルカリ性水溶液浸漬試験>
イオン交換水に水酸化ナトリウムを加え、所定のアルカリ性水溶液を満たした容器に、一辺が約1cmの試験片を浸漬したまま、所定の温度で12時間攪拌した。試験後の試験片について、以下の評価基準に従い、評価を行った。
アルカリ性水溶液浸漬試験1は、アルカリ性水溶液として、1N水酸化ナトリウム水溶液を使用し、浸漬時のアルカリ性水溶液の温度が25℃であり、アルカリ性水溶液浸漬試験2は、アルカリ性水溶液として、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を使用し、浸漬時のアルカリ性水溶液の温度が50℃であり、アルカリ性水溶液浸漬試験3は、アルカリ性水溶液として、0.1N水酸化ナトリウム水溶液とエタノールの混合溶液(混合比は1:1(質量比))を使用し、浸漬時のアルカリ性水溶液の温度が25℃であった。試験片の基材としてPETとPPの2種類を使用した。
アルカリ性水溶液浸漬試験1の評価結果を表1~3中の「アルカリ浸漬試験1」に示し、アルカリ性水溶液浸漬試験2の評価結果を表1~3中の「アルカリ浸漬試験2」に示し、アルカリ性水溶液浸漬試験3の評価結果を表1~3中の「アルカリ浸漬試験3」に示す。
[評価基準]
○:剥離及び/又は溶解により基材から除去
×:基材に塗装膜が残存
【0072】
<耐水性試験>
イオン交換水を満たした容器に、一辺が約1cmの試験片を浸漬したまま、25℃で12時間攪拌した。試験後の試験片について、以下の評価基準に従い、耐水性の評価を行った。試験片の基材としてPETとPPの2種類を使用した。結果を表1~3に示す。
[評価基準]
○:剥離及び塗装膜表面の外観変化無し
△:塗装膜表面に僅かに外観変化あり
×:剥離及び/又は溶解により塗装膜表面の外観変化あり
【0073】
<酸性水溶液耐性試験>
イオン交換水に塩化水素酸を加え、1Nの濃度に調整した酸性水溶液を満たした容器に、一辺が約1cmの試験片を浸漬したまま、25℃で12時間攪拌した。試験後の試験片について、以下の評価基準に従い、酸性水溶液に対する耐性の評価を行った。試験片の基材としてPETとPPの2種類を使用した。結果を表1~3に示す。
[評価基準]
○:剥離及び塗装膜表面の外観変化無し
△:塗装膜表面に僅かに外観変化あり
×:剥離及び/又は溶解により塗装膜表面の外観変化あり
【0074】
<付着性試験>
試験片について、JIS K-5600-5-6:1999に準拠してクロスカット法付着試験を実施した。具体的には、試験片の塗装膜に1mm幅100マスのクロスカットを施し、クロスカット部にセロハンテープを接着させてセロハンテープを剥がし、付着性の評価を以下に示す基準に従って行った。ここで、保護フィルム又はオーバーコート膜付きの試験片については、保護フィルム又はオーバーコート膜上からクロスカットを施し、基材と基材に直接施した形成膜との付着性を評価した。試験片の基材としてPETとPPの2種類を使用した。結果を表1~3に示す。
[評価基準]
◎:分類0
○:分類1
△:分類2
×:分類3、4乃至5
【0075】
<耐溶剤性試験>
エタノールを浸み込ませた綿棒を500gの荷重で試験片の塗装膜に押し当て、10往復させた後に膜の状態を以下の評価基準に従って評価した。試験片の基材としてPETとPPの2種類を使用した。結果を表1~3に示す。なお、保護フィルム又はオーバーコート膜付きの試験片については耐溶剤性試験を行わなかった。
[評価基準]
○:形成膜表面に外観変化無し又は変化は見られるが基材の露出には至らない
×:基材の露出が確認される
【0076】
【0077】
【0078】