(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148643
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20231005BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056784
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】榎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】那須 浩太郎
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA07
5H050CB07
5H050CB11
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA27
5H050GA29
(57)【要約】
【課題】電極組成物を連続的に生成すること。
【解決手段】電池用電極製造装置は、内部に収容空間を有し、前記収容空間に対する被覆活物質材料の供給を受ける第1開口と、前記収容空間に対する副材料の供給を受ける第2開口と、前記収容空間内の物質を排出する第3開口とを少なくとも備えるホッパと、前記収容空間に対して前記第1開口から前記被覆活物質材料を供給する第1供給部と、前記収容空間に対して前記第2開口から前記副材料を供給する第2供給部と、前記収容空間内の物質を、前記第1開口から前記第2開口に向けて混練しつつ押し出し、更に、前記第2開口から前記第3開口に向けて混練しつつ押し出す押出部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容空間を有し、前記収容空間に対する被覆活物質材料の供給を受ける第1開口と、前記収容空間に対する副材料の供給を受ける第2開口と、前記収容空間内の物質を排出する第3開口とを少なくとも備えるホッパと、
前記収容空間に対して前記第1開口から前記被覆活物質材料を供給する第1供給部と、
前記収容空間に対して前記第2開口から前記副材料を供給する第2供給部と、
前記収容空間内の物質を、前記第1開口から前記第2開口に向けて混練しつつ押し出し、更に、前記第2開口から前記第3開口に向けて混練しつつ押し出す押出部と
を備えた、電池用電極製造装置。
【請求項2】
前記被覆活物質材料は、活物質の粒子と樹脂溶液とを少なくとも含み、
前記ホッパにおける前記第1開口と前記第2開口との間の位置に脱揮部を更に備える、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
【請求項3】
前記ホッパにおける前記脱揮部と前記第2開口との間の位置に脱気部を更に備え、
前記押出部は、
前記第1開口から前記脱揮部に向けて前記収容空間内の物質を混練しつつ押し出す第1部材と、
当該第1部材により押し出された物質を鉛直方向上側に向けて混練しつつ押し出す第2部材と、
前記第2部材により鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下してきた物質を前記第2開口に向けて混練しつつ押し出し、更に、前記第2開口から前記第3開口に向けて混練しつつ押し出す第3部材とを備え、
前記脱揮部は、前記第2部材により鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下する途中の物質を対象として脱気を行なう、請求項2に記載の電池用電極製造装置。
【請求項4】
前記ホッパにおける前記脱揮部と前記第2開口との間の位置に開放部を更に備え、
前記押出部は、
前記第1開口から前記開放部に向けて前記収容空間内の物質を混練しつつ押し出す第1部材と、
当該第1部材により押し出された物質を鉛直方向上側に向けて混練しつつ押し出す第2部材と、
前記第2部材により鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下してきた物質を前記第2開口に向けて混練しつつ押し出し、更に、前記第2開口から前記第3開口に向けて混練しつつ押し出す第3部材とを備え、
前記開放部は、前記第2部材により鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下する途中の物質を空気に触れさせる、請求項2に記載の電池用電極製造装置。
【請求項5】
前記被覆活物質材料は、活物質の粒子とゲル用ペレットとを少なくとも含み、
前記ホッパにおける前記第1開口と前記第2開口との間の位置に加熱部を更に備える、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
【請求項6】
前記ホッパにおける前記加熱部と前記第2開口との間の位置に脱気部を更に備え、
前記押出部は、
前記第1開口から前記加熱部に向けて前記収容空間内の物質を混練しつつ押し出す第1部材と、
当該第1部材により押し出された物質を鉛直方向上側に向けて混練しつつ押し出す第2部材と、
前記第2部材により鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下してきた物質を前記第2開口に向けて混練しつつ押し出し、更に、前記第2開口から前記第3開口に向けて混練しつつ押し出す第3部材とを備え、
前記脱気部は、前記第2部材により鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下する途中の物質を対象として脱気を行なう、請求項5に記載の電池用電極製造装置。
【請求項7】
前記第1供給部は、前記ゲル用ペレットを紛体化した上で、前記第1開口から前記収容空間に対して供給する、請求項5又は6に記載の電池用電極製造装置。
【請求項8】
前記第1供給部は、前記ゲル用ペレットを、複数の前記第1開口から前記収容空間に対して供給する、請求項5~7のいずれか一項に記載の電池用電極製造装置。
【請求項9】
前記ホッパにおける前記第2開口と前記第3開口との間の位置に脱気部を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池用電極製造装置。
【請求項10】
前記第3開口は、内部に帯状の基材フィルムが搬入される減圧チャンバ内に向けて、前記収容空間内の物質を排出する、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池用電極製造装置。
【請求項11】
ホッパ内の収容空間に対して、前記ホッパに設けられた第1開口から被覆活物質材料を供給し、
前記収容空間に対して、前記ホッパに設けられた第2開口から副材料を供給し、
前記収容空間内の物質を、前記第1開口から前記第2開口に向けて混練しつつ押し出し、更に、前記第2開口から前記ホッパに設けられた第3開口に向けて混練しつつ押し出し、前記収容空間内の物質を前記第3開口から排出する
ことを含む、電池用電極製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は高容量の二次電池であり、近年様々な用途で使用されている。リチウムイオン電池の電極は、活物質層、集電体層、セパレータ、及び、活物質層を封入する枠体等によって構成される(例えば、特許文献1参照)。リチウムイオン電池における活物質層は、例えば、帯状の基材フィルムに対して電極組成物を供給し、ロールプレス等によって圧縮することで形成することができる。
【0003】
ここで、電極組成物は、活物質の粒子を含む被覆活物質材料に対し、導電助剤や電解液といった副材料を混合して生成される。例えば、まず、活物質の粒子に対して樹脂溶液又はゲル用ペレットを投入し、ミキサーにより混合して仕掛品を生成する。その後、別のミキサーに仕掛品を投入し、副材料と混合することで、電極組成物を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したバッチ式のミキサーを用いる手法は工程が多く、生成効率が高いとは言えない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、電極組成物を連続的に生成することができる電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池用電極製造装置は、ホッパと、第1供給部と、第2供給部と、押出部とを備える。前記ホッパは、内部に収容空間を有し、前記収容空間に対する被覆活物質材料の供給を受ける第1開口と、前記収容空間に対する副材料の供給を受ける第2開口と、前記収容空間内の物質を排出する第3開口とを少なくとも備える。第1供給部は、前記収容空間に対して前記第1開口から前記被覆活物質材料を供給する。第2供給部は、前記収容空間に対して前記第2開口から前記副材料を供給する。押出部は、前記収容空間内の物質を、前記第1開口から前記第2開口に向けて混練しつつ押し出し、更に、前記第2開口から前記第3開口に向けて混練しつつ押し出す。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法によれば、電極組成物を連続的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態の電池用電極製造装置を用いて製造される電池の単セルの断面模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態の電池用電極製造装置の概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態の電極組成物生成装置を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の電極組成物生成装置を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の電極組成物生成装置を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の電極組成物生成装置を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の電極組成物生成装置を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の電極組成物生成装置を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の電極組成物生成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、一部を省略して図示している場合がある。
【0011】
<組電池(二次電池)>
実施形態の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法は、例えば、リチウムイオン電池の製造に適用される。リチウムイオン電池は、複数のリチウムイオン単電池(単セル又は電池セルとも記載する)を組み合わせてモジュール化した組電池、或いは、このような組電池を複数組み合わせて電圧及び容量を調整した電池パックの形態で使用される。
【0012】
本明細書におけるリチウムイオン電池は、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が行われる二次電池をいう。当該リチウムイオン電池(二次電池)は、電解質に液体材料を使用した電池を含み、電解質に固体材料を使用した電池(いわゆる全固体電池)を含む。また本実施形態におけるリチウムイオン電池は、集電体として金属箔(金属集電箔)を有する電池を含み、金属箔に代わって導電性材料が添加された樹脂から構成される、いわゆる樹脂集電体を有する電池を含む。当該樹脂集電体を、後述するバイポーラ電極用樹脂集電体として用いる場合には、当該樹脂集電体の一方の面に正極を形成し、もう一方の面に負極を形成して双極型電極を構成したものであってもよい。なお、本実施形態におけるリチウムイオン電池は、バインダを用いて正極または負極活物質等を正極用または負極用集電体にそれぞれ塗布して電極を構成したものを含み、双極型の電池の場合には、集電体の一方の面にバインダを用いて正極活物質等を塗布して正極層を、反対側の面にバインダを用いて負極活物質等を塗布して負極層を有する双極型電極を構成したものを含む。
【0013】
組電池の積層方法は、任意である。積層方法の一例として、第1面に正極樹脂集電体を有し、第2面に負極樹脂集電体を有する単セルを、隣り合う一対の単セルの第1面(正極側)と第2面(負極側)とが隣接するように直列に複数積層した積層電池としても良い。別の一例として、一枚の樹脂集電体の片面に正極層を設け、樹脂集電体の他方の面に負極層を設けた単セルを、電解質層を介して複数積層した積層電池としても良い。
【0014】
<単セル(電池セル)>
図1は、単セル10の断面模式図である。単セル10を複数組み合わせることで上記の組電池を作製することが可能である。例えば、単セル10は、2つの電極20(電池用電極)としての正極20a及び負極20bと、セパレータ30とを有する。
【0015】
セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間に配置される。組電池において、複数の単セル10は、正極20aと負極20bとを同方向に向けて積層される。
【0016】
セパレータ30には、電解質が保持される。これにより、セパレータ30は、電解質層として機能する。セパレータ30は、正極20a及び負極20bの電極活物質層22の間に配置され、これらが互いに接触することを抑制する。これにより、セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間の隔壁として機能する。
【0017】
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液またはゲルポリマー電解質等が挙げられる。これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータの形態としては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
【0018】
正極20a及び負極20bは、それぞれ、集電体21と、電極活物質層22と、枠体35とを有する。電極活物質層22と集電体21とは、セパレータ30側からこの順に並ぶ。枠体35は、額縁状(環状)である。枠体35は、電極活物質層22の周囲を囲む。正極20aの枠体35と負極20bの枠体35とは、互いに溶着され一体化されている。以下の説明において、正極20a及び負極20bの電極活物質層22を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質層22a、負極活物質層22bと呼ぶ。
【0019】
<正極集電体の具体例>
正極集電体層21aを構成する正極集電体としては、公知のリチウムイオン単電池に用いられる集電体を用いることができ、例えば、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012-150905号公報及び国際公開第2015/005116号等に記載の樹脂集電体等)を用いることができる。正極集電体層21aを構成する正極集電体は、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。
【0020】
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は、薄板や金属箔等の形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
【0021】
樹脂集電体としては、導電性フィラーとマトリックス樹脂とを含むことが好ましい。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)等が挙げられるが、特に限定されない。また、導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択されれば特に限定されない。導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
【0022】
樹脂集電体は、マトリックス樹脂及び導電性フィラーのほかに、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤等)を含んでいてもよい。また、複数の樹脂集電体を積層して用いてもよく、樹脂集電体と金属箔とを積層して用いても良い。
【0023】
正極集電体層21aの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。複数の樹脂集電体を積層して正極集電体層21aとして用いる場合には、積層後の全体の厚さが5~150μmであることが好ましい。正極集電体層21aは、例えば、マトリックス樹脂、導電性フィラー及び必要により用いるフィラー用分散剤を溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形することにより得ることができる。
【0024】
<正極活物質の具体例>
正極活物質層22aは、正極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。ここで、非結着体とは、正極活物質層中において正極活物質の位置が固定されておらず、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とが不可逆的に固定されていないことを意味する。正極活物質層22aが非結着体である場合、正極活物質同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層22aに応力がかかった場合でも正極活物質が移動することで正極活物質層22aの破壊を防止することができ好ましい。非結着体である正極活物質層22aは、正極活物質層22aを、正極活物質と電解液とを含みかつ結着剤を含まない正極活物質層22aにする等の方法で得ることができる。なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない。
【0025】
正極活物質としては、例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属元素が2種である複合酸化物、金属元素が3種類以上である複合酸化物等が挙げられるが、特に限定されない。
【0026】
正極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆正極活物質であってもよい。正極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。
【0027】
被覆材を構成する高分子化合物としては、特開2017-054703号公報及び国際公開第2015/005117号等に活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
【0028】
被覆材には、導電剤が含まれていてもよい。導電剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様のものを好適に用いることができる。
【0029】
正極活物質層22aには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調節したもの、及び、特開平10-255805号公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱等を使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着剤として用いられる溶液乾燥型の電極用バインダーは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質同士を強固に接着固定するものを意味する。したがって、上述した結着剤(溶液乾燥型の電極バインダー)と粘着性樹脂とは、異なる材料である。
【0030】
正極活物質層22aには、電解質と非水溶媒を含む電解液が含まれていてもよい。電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用できる。非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの(例えば、リン酸エステル、ニトリル化合物等及びこれらの混合物等)等が使用できる。例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液を用いることができる。
【0031】
正極活物質層22aには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
【0032】
正極活物質層22aの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
【0033】
実施形態において、正極活物質層22aを形成するために供給される正極組成物は、正極活物質と非水電解液を含んでなる湿潤粉体である。また、湿潤粉体はペンデュラー状態又はファニキュラー状態であることがより好ましい。
【0034】
湿潤粉体における非水電解液の割合は、特に限定されないが、ペンデュラー状態又はファニキュラー状態とするためには、正極の場合には非水電解液の割合を湿潤粉体全体の0.5~15重量%とすることが望ましい。
【0035】
<負極集電体の具体例>
負極集電体層21bを構成する負極集電体としては、正極集電体で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体層21bは、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。負極集電体層21bの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。
【0036】
<負極活物質の具体例>
負極活物質層22bは、負極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である負極活物質層22bを得る方法等は、正極活物質層22aが非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である正極活物質層22aを得る方法と同様である。
【0037】
負極活物質としては、例えば、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物等を用いることができるが、特に限定されない。
【0038】
負極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆負極活物質であってもよい。負極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。
【0039】
被覆材としては、被覆正極活物質を構成する被覆材と同様のものを好適に用いることができる。
【0040】
負極活物質層22bは、電解質と非水溶媒を含む電解液を含有する。電解液の組成は、正極活物質層22aに含まれる電解液と同様の電解液を好適に用いることができる。
【0041】
負極活物質層22bには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極活物質層22aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
【0042】
負極活物質層22bには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、正極活物質層22aの任意成分である粘着性樹脂と同様のものを好適に用いることができる。
【0043】
負極活物質層22bの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
【0044】
実施形態において、負極活物質層22bを形成するために供給される負極組成物は、負極活物質と非水電解液を含んでなる湿潤粉体である。また、湿潤粉体はペンデュラー状態又はファニキュラー状態であることがより好ましい。
【0045】
湿潤粉体における非水電解液の割合は、特に限定されないが、ペンデュラー状態又はファニキュラー状態とするためには、負極の場合には非水電解液の割合を湿潤粉体全体の0.5~25重量%とすることが望ましい。
【0046】
<セパレータの具体例>
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液又はゲルポリマー電解質等が挙げられる。セパレータ30は、これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータ30の形態としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム等が挙げられるが、特に限定されない。セパレータとして、硫化物系、酸化物系の無機系固体電解質、または高分子系の有機系固体電解質などを適用することもできる。固体電解質の適用により、全固体電池を構成することができる。
【0047】
<枠体の具体例>
枠体35としては、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、例えば、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。枠体35を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。より具体的には、枠体35としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
【0048】
<電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法>
次に、本実施形態の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法(以下、製造方法と略して呼ぶ)について説明する。例えば、電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法では、まず正極20a及び負極20bが製造される。正極20aの製造方法と負極20bの製造方法とは、主に電極活物質層22に含まれる電極活物質が異なる。ここでは、電極20の製造方法として、正極20a及び負極20bの製造方法をまとめて説明する。
【0049】
図2は、電池用電極製造装置1000の概略図である。例えば、電池用電極製造装置1000は、チャンバ100、搬送装置200、電極組成物供給装置300、枠体供給装置400、プレス装置500、及び、電極組成物生成装置600を含む。なお、以下では、帯状の基材フィルムが帯状の集電体21Bである場合を一例として説明する。
【0050】
チャンバ100は、内部を大気圧よりも減圧された状態に保持できる部屋である。チャンバ100の内部は、図示しない減圧ポンプにより大気圧よりも減圧される。なお、標準大気圧は、約1013hPa(約105Pa)である。
【0051】
例えば、チャンバ100の外部に集電体ロール21Rが配置され、集電体ロール21Rから引き出された帯状の集電体21Bが、スリットを通してチャンバ100の内部に搬送される。以下、帯状の集電体21Bを集電体21Bと記載する場合がある。なお、集電体21Bは、上述した集電体21が所定の形状に切り出される前のものである。集電体21Bは、搬送方向Daに沿って所定の速度で搬送される。以下では、集電体21Bが搬送される方向を下流側Da1、その反対方向を上流側Da2として説明する。なお、集電体ロール21Rが配置されるチャンバ100の外部空間は、常圧であってもよいし、チャンバ100と異なるチャンバによって減圧されていてもよい。
【0052】
なお、
図2に示す通り、鉛直方向Dbにおける上側をDb1、鉛直方向Dbにおける下側をDb2とする。搬送方向Da及び鉛直方向Dbに対して直交する方向は、集電体21B、及び、集電体21Bに載置される電極組成物22cの幅方向に対応する。
【0053】
搬送装置200は、集電体21Bを、搬送方向Daの下流側Da1に搬送する。例えば、搬送装置200は、集電体21Bを下側から支持するベルトコンベアである。なお、後述の電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給が行なわれた後、搬送装置200は、電極組成物22cを載せた集電体21Bを搬送することとなる。また、後述の枠体供給装置400による枠体35の供給が行なわれた後、搬送装置200は、枠体35及び電極組成物22cを載せた集電体21Bを搬送することとなる。搬送装置200は、搬送部の一例である。
【0054】
電極組成物供給装置300は、
図2に示す通り、チャンバ100内で搬送される集電体21B上に電極組成物22cを供給する。一例を挙げると、電極組成物供給装置300は、ホッパ及びシャッタから構成される。この場合、電極組成物供給装置300は、鉛直方向Dbの下側Db2に開口を有するホッパの内部に電極組成物22cを保持するとともに、ホッパの開口をシャッタで開閉することにより、所定の供給位置に対して所定量の電極組成物22cを供給することができる。電極組成物22cは、例えば、粉体状の活物質である。
【0055】
枠体供給装置400は、搬送される集電体21Bに対して枠体35を供給する。例えば、枠体供給装置400は、ロボットアームを有し、事前に製造された枠体35を、搬送される集電体21B上の所定の位置に配置する。或いは、枠体供給装置400は、集電体21Bの上で枠体35を製造してもよい。一例を挙げると、集電体21Bを基材とし、ディスペンサーやコーター等によって集電体21B上に所定の材料を所定の形状に吐出又は塗布することで、集電体21B上に枠体35を形成することができる。
【0056】
プレス装置500は、集電体21Bに供給された電極組成物22cを圧縮する。例えば、プレス装置500は、
図2に示す通り、上部ローラ501及び下部ローラ502を有する。プレス装置500は、上部ローラ501及び下部ローラ502により、集電体21Bに供給された電極組成物22cを挟み込んで圧縮する。即ち、プレス装置500は、電極組成物22cに対するロールプレスを実行する。
【0057】
図2においては、電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給後に、枠体供給装置400による枠体35の供給が行なわれる例を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、枠体供給装置400による枠体35の供給が行なわれた後、枠体35の内部の位置に対して、電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給が行なわれてもよい。また、
図2では枠体供給装置400がチャンバ100の内部に配置される場合を示すが、枠体供給装置400はチャンバ100の外部に配置されてもよい。
【0058】
電極組成物生成装置600は、電極組成物22cを生成する装置である。上述の電極組成物供給装置300は、電極組成物生成装置600により生成された電極組成物22cを、集電体21Bに対して供給する。
【0059】
電極組成物生成装置600の一例として、
図3の電極組成物生成装置610について説明する。例えば、電極組成物生成装置610は、ホッパ611と、活物質粒子供給装置612aと、樹脂溶液供給装置612bと、脱揮装置613と、導電助剤供給装置614aと、電解液供給装置614bと、脱気装置615と、スクリュー616aと、スクリュー616bとを備える。活物質粒子供給装置612a及び樹脂溶液供給装置612bは、第1供給部の一例である。導電助剤供給装置614a及び電解液供給装置614bは、第2供給部の一例である。スクリュー616a及びスクリュー616bは、押出部の一例である。脱揮装置613は、脱揮部の一例である。脱気装置615は、脱気部の一例である。
【0060】
ホッパ611は、内部に収容空間を有し、活物質粒子供給装置612a、樹脂溶液供給装置612b、導電助剤供給装置614a及び電解液供給装置614bから供給された物質を内部に保持する。また、
図3に示す通り、ホッパ611は、開口611aと、開口611bと、開口611cと、開口611dと、開口611eとを備える。開口611a及び開口611bは、第1開口の一例である。開口611c及び開口611dは、第2開口の一例である。開口611eは、第3開口の一例である。
【0061】
活物質粒子供給装置612aは、ホッパ611内部の収容空間に対して、開口611aから活物質の粒子を供給する。樹脂溶液供給装置612bは、ホッパ611内部の収容空間に対して、開口611bから樹脂溶液を供給する。なお、樹脂溶液は、樹脂を溶媒で溶解したものである。活物質の粒子及び樹脂溶液は、被覆活物質材料の一例である。
【0062】
導電助剤供給装置614aは、ホッパ611内部の収容空間に対して、開口611cから導電助剤を供給する。電解液供給装置614bは、ホッパ611内部の収容空間に対して、開口611bから電解液を供給する。導電助剤及び電解液は、副材料の一例である。
【0063】
スクリュー616a及びスクリュー616bは、回転軸の周囲にらせん状の突起を有する部材であり、ホッパ611の収容空間内で回転することにより、収容空間内の物質を回転軸に沿った方向に押し出す。ここで、スクリュー616a及びスクリュー616bは、収容空間内の物質を混練しつつ押し出すことができる。
【0064】
具体的には、スクリュー616a及びスクリュー616bは、収容空間内の物質を、開口611a及び開口611bから、開口611c及び開口611dに向けて混練しつつ押し出す。ここで、開口611a及び開口611bと、開口611c及び開口611dとの間の位置には、脱揮装置613が設けられる。脱揮装置613は、スクリュー616a及びスクリュー616bにより混練された活物質の粒子及び樹脂溶液を対象として脱揮を行なう。
【0065】
更に、スクリュー616a及びスクリュー616bは、収容空間内の物質を、開口611c及び開口611dから、開口611eに向けて混練しつつ押し出す。ここで、開口611c及び開口611dと、開口611eとの間の位置には、脱気装置615が設けられる。脱気装置615は、スクリュー616a及びスクリュー616bにより混練された活物質の粒子、樹脂溶液、導電助剤及び電解液を対象として脱気を行なう。
【0066】
活物質粒子供給装置612a、樹脂溶液供給装置612b、導電助剤供給装置614a及び電解液供給装置614bから供給された各種の物質を、スクリュー616a及びスクリュー616bにより混練することで、電極組成物22cを生成することができる。生成された電極組成物22cは、
図3に示す通り、開口611eからチャンバ100内に向けて排出される。チャンバ100内に排出された電極組成物22cは、電極組成物供給装置300によって、搬送される集電体21Bに対して供給される。
【0067】
図3に示した電極組成物生成装置610によれば、電極組成物22cを連続的に生成することができる。即ち、被覆活物質材料の投入や、副材料の投入、これら各種物質の混練といった複数の工程を、一連の処理としてホッパ内で完結させることにより、電極組成物22cを連続的に生成して、生成効率を向上させることができる。
【0068】
なお、
図3においては、開口611aよりも開口611bの方が開口611eに近い配置となる例を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、開口611bよりも開口611aの方が開口611eに近くなるように配置してもよい。開口611c及び開口611dの配置についても同様の変更が可能である。
【0069】
また、
図3においては、押出部の一例としてスクリュー616a及びスクリュー616bを示した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではなく、電極組成物生成装置610は、3本以上のスクリューを押出部として備えてもよい。或いは、電極組成物生成装置610は、1本のスクリューを押出部として備えてもよい。
【0070】
図3に示した電極組成物生成装置610は一例であり、種々の変形が可能である。以下、電極組成物生成装置600の変形例について、
図4~
図9を用いて説明する。
【0071】
(変形例1)
図4においては、電極組成物生成装置600の一例として電極組成物生成装置620を示す。電極組成物生成装置620は、ホッパ621と、ホッパ622と、ホッパ623と、活物質粒子供給装置624aと、樹脂溶液供給装置624bと、脱揮装置625と、脱気装置626と、導電助剤供給装置627aと、電解液供給装置627bと、脱気装置628と、スクリュー629aと、スクリュー629bと、スクリュー629cと、スクリュー629dと、スクリュー629eとを備える。
【0072】
活物質粒子供給装置624a及び樹脂溶液供給装置624bは、第1供給部の一例である。導電助剤供給装置627a及び電解液供給装置627bは、第2供給部の一例である。スクリュー629a、スクリュー629b、スクリュー629c、スクリュー629d及びスクリュー629eは、押出部の一例である。脱揮装置625は、脱揮部の一例である。脱気装置626及び脱気装置628は、脱気部の一例である。
【0073】
また、スクリュー629a及びスクリュー629bは、第1部材の一例である。スクリュー629cは、第2部材の一例である。スクリュー629d及びスクリュー629eは、第3部材の一例である。
【0074】
ホッパ621、ホッパ622及びホッパ623は、内部に収容空間を有し、活物質粒子供給装置624a、樹脂溶液供給装置624b、導電助剤供給装置627a及び電解液供給装置627bから供給された物質を保持する。なお、
図4に示す通り、ホッパ621、ホッパ622及びホッパ623は、連続した1つの収容空間を形成する。また、
図4に示す通り、ホッパ621は、開口621aと、開口621bとを備える。開口621a及び開口621bは、第1開口の一例である。また、ホッパ623は、開口623aと、開口623bと、開口623cとを備える。開口623a及び開口623bは、第2開口の一例である。開口623cは、第3開口の一例である。
【0075】
活物質粒子供給装置624aは、ホッパ621内部の収容空間に対して、開口621aから活物質の粒子を供給する。樹脂溶液供給装置624bは、ホッパ621内部の収容空間に対して、開口621bから樹脂溶液を供給する。導電助剤供給装置627aは、ホッパ623内部の収容空間に対して、開口623aから導電助剤を供給する。電解液供給装置627bは、ホッパ623内部の収容空間に対して、開口623bから電解液を供給する。
【0076】
図4に示す通り、脱揮装置625は、開口621a及び開口621bと、開口623a及び開口623bとの間の位置に設けられる。更に、脱気装置626は、脱揮装置625と、開口623a及び開口623bとの間の位置に設けられる。スクリュー629a及びスクリュー629bは、開口621a及び開口621bから脱揮装置625に向けて、収容空間内の物質を混練しつつ押し出す。スクリュー629cは、スクリュー629a及びスクリュー629bにより押し出された物質を鉛直方向上側に向けて混練しつつ押し出す。即ち、スクリュー629cは、収容空間内の物質に対して位置エネルギーを付与する。
【0077】
脱気装置626は、スクリュー629cにより鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下する途中の物質を対象として脱気を行なう。ここで、落下途中の物質はまばらに散った状態となるため、脱気装置626は、効率的に脱気を行なうことができる。
【0078】
スクリュー629d及びスクリュー629eは、スクリュー629cにより鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下してきた物質を、開口623a及び開口623bに向けて混練しつつ押し出す。即ち、スクリュー629d及びスクリュー629eは、脱気装置626により脱気された物質を、開口623a及び開口623bに向けて混練しつつ押し出す。
【0079】
更に、スクリュー629d及びスクリュー629eは、収容空間内の物質を、開口623a及び開口623bから、開口623cに向けて混練しつつ押し出す。ここで、開口623a及び開口623bと、開口623cとの間の位置には、脱気装置628が設けられる。脱気装置628は、上述の各種スクリューにより混練された活物質の粒子、樹脂溶液、導電助剤及び電解液を対象として脱気を行なう。
【0080】
電極組成物生成装置610の場合と同様、
図4の電極組成物生成装置620によっても、電極組成物22cを連続的に生成することができる。即ち、被覆活物質材料の投入や、副材料の投入、これら各種物質の混練といった複数の工程を、ホッパ621、ホッパ622及びホッパ623によって形成される連続した1つの収容空間内において完結させることができる。電極組成物生成装置620によって生成された電極組成物22cは、開口623cからチャンバ100内に向けて排出され、電極組成物供給装置300によって集電体21Bに供給される。
【0081】
なお、
図3の場合と同様、
図4における開口621a及び開口621bの位置関係、開口623a及び開口623bの位置関係については任意に変形が可能である。また、電極組成物生成装置620が押出部として備えるスクリューの数は任意である。
【0082】
(変形例2)
電極組成物生成装置600の他の例として、
図5に電極組成物生成装置630を示す。電極組成物生成装置630は、ホッパ631と、ホッパ632と、ホッパ633と、活物質粒子供給装置634aと、樹脂溶液供給装置634bと、脱揮装置635と、開放部636と、導電助剤供給装置637aと、電解液供給装置637bと、脱気装置638と、スクリュー639aと、スクリュー639bと、スクリュー639cと、スクリュー639dと、スクリュー639eとを備える。
【0083】
活物質粒子供給装置634a及び樹脂溶液供給装置634bは、第1供給部の一例である。導電助剤供給装置637a及び電解液供給装置637bは、第2供給部の一例である。スクリュー639a、スクリュー639b、スクリュー639c、スクリュー639d及びスクリュー639eは、押出部の一例である。脱揮装置635は、脱揮部の一例である。開放部636は、開放部の一例である。脱気装置638は、脱気部の一例である。
【0084】
また、スクリュー639a及びスクリュー639bは、第1部材の一例である。スクリュー639cは、第2部材の一例である。スクリュー639d及びスクリュー639eは、第3部材の一例である。
【0085】
ホッパ631、ホッパ632及びホッパ633は、内部に収容空間を有し、活物質粒子供給装置634a、樹脂溶液供給装置634b、導電助剤供給装置637a及び電解液供給装置637bから供給された物質を保持する。なお、
図5に示す通り、ホッパ631、ホッパ632及びホッパ633は、連続した1つの収容空間を形成する。また、
図4に示す通り、ホッパ631は、開口631aと、開口631bとを備える。開口631a及び開口631bは、第1開口の一例である。また、ホッパ633は、開口633aと、開口633bと、開口633cとを備える。開口633a及び開口633bは、第2開口の一例である。開口633cは、第3開口の一例である。
【0086】
活物質粒子供給装置634aは、ホッパ631内部の収容空間に対して、開口631aから活物質の粒子を供給する。樹脂溶液供給装置634bは、ホッパ631内部の収容空間に対して、開口631bから樹脂溶液を供給する。導電助剤供給装置637aは、ホッパ633内部の収容空間に対して、開口633aから導電助剤を供給する。電解液供給装置637bは、ホッパ633内部の収容空間に対して、開口633bから電解液を供給する。
【0087】
図5に示す通り、脱揮装置635は、開口631a及び開口631bと、開口633a及び開口633bとの間の位置に設けられる。更に、脱気装置636は、脱揮装置635と、開口633a及び開口633bとの間の位置に設けられる。スクリュー639a及びスクリュー639bは、開口631a及び開口631bから脱揮装置635に向けて、収容空間内の物質を混練しつつ押し出す。スクリュー639cは、スクリュー639a及びスクリュー639bにより押し出された物質を鉛直方向上側に向けて混練しつつ押し出す。即ち、スクリュー639cは、収容空間内の物質に対して位置エネルギーを付与する。
【0088】
開放部636は、ホッパ632とホッパ633との間に設けられた隙間である。開放部636において、収容空間内の物質は空気に触れることとなる。より具体的には、開放部636は、スクリュー639cにより鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下する途中の物質を空気に触れさせる。ここで、落下途中の物質はまばらに散った状態となるため、効率的に空気に触れることができる。
【0089】
スクリュー639d及びスクリュー639eは、スクリュー639cにより鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下してきた物質を、開口633a及び開口633bに向けて混練しつつ押し出す。即ち、スクリュー639d及びスクリュー639eは、開放部636において空気に触れた物質を、開口633a及び開口633bに向けて混練しつつ押し出す。
【0090】
更に、スクリュー639d及びスクリュー639eは、収容空間内の物質を、開口633a及び開口633bから、開口633cに向けて混練しつつ押し出す。ここで、開口633a及び開口633bと、開口633cとの間の位置には、脱気装置638が設けられる。脱気装置638は、上述の各種スクリューにより混練された活物質の粒子、樹脂溶液、導電助剤及び電解液を対象として脱気を行なう。
【0091】
図5の電極組成物生成装置630によれば、電極組成物22cを連続的に生成することができる。即ち、被覆活物質材料の投入や、副材料の投入、これら各種物質の混練といった複数の工程を、ホッパ631、ホッパ632及びホッパ633によって形成される連続した1つの収容空間内において完結させることができる。電極組成物生成装置630によって生成された電極組成物22cは、開口633cからチャンバ100内に向けて排出され、電極組成物供給装置300によって集電体21Bに供給される。
【0092】
なお、
図3の場合と同様、
図5における開口631a及び開口631bの位置関係、開口633a及び開口633bの位置関係については任意に変形が可能である。また、電極組成物生成装置630が押出部として備えるスクリューの数は任意である。
【0093】
(変形例3)
電極組成物生成装置600の他の例として、
図6に電極組成物生成装置640を示す。電極組成物生成装置640は、ホッパ641と、活物質粒子供給装置642aと、ゲル用ペレット供給装置642bと、加熱装置643と、導電助剤供給装置644aと、電解液供給装置644bと、脱気装置645と、スクリュー646aと、スクリュー646bとを備える。活物質粒子供給装置642a及びゲル用ペレット供給装置642bは、第1供給部の一例である。導電助剤供給装置644a及び電解液供給装置644bは、第2供給部の一例である。スクリュー646a及びスクリュー646bは、押出部の一例である。加熱装置643は、加熱部の一例である。脱気装置645は、脱気部の一例である。
【0094】
ホッパ641は、内部に収容空間を有し、活物質粒子供給装置642a、ゲル用ペレット供給装置642b、導電助剤供給装置644a及び電解液供給装置644bから供給された物質を内部に保持する。また、
図6に示す通り、ホッパ641は、開口641aと、開口641bと、開口641cと、開口641dと、開口641eとを備える。開口641a及び開口641bは、第1開口の一例である。開口641c及び開口641dは、第2開口の一例である。開口641eは、第3開口の一例である。
【0095】
活物質粒子供給装置642aは、ホッパ641内部の収容空間に対して、開口641aから活物質の粒子を供給する。ゲル用ペレット供給装置642bは、ホッパ641内部の収容空間に対して、開口641bからゲル用ペレットを供給する。なお、
図3~
図5に示した樹脂溶液が樹脂を含む溶液であるのに対して、ゲル用ペレットは、固体状態或いは溶融状態の樹脂である。ゲル用ペレットは、被覆活物質材料の一例である。
【0096】
導電助剤供給装置644aは、ホッパ641内部の収容空間に対して、開口641cから導電助剤を供給する。電解液供給装置644bは、ホッパ641内部の収容空間に対して、開口641bから電解液を供給する。
【0097】
スクリュー646a及びスクリュー646bは、収容空間内の物質を、開口641a及び開口641bから、開口641c及び開口641dに向けて混練しつつ押し出す。ここで、開口641a及び開口641bと、開口641c及び開口641dとの間の位置には、加熱装置643が設けられる。加熱装置643は、スクリュー646a及びスクリュー646bにより混練された活物質の粒子及びゲル用ペレットを加熱する。
【0098】
更に、スクリュー646a及びスクリュー646bは、収容空間内の物質を、開口641c及び開口641dから、開口641eに向けて混練しつつ押し出す。ここで、開口641c及び開口641dと、開口641eとの間の位置には、脱気装置645が設けられる。脱気装置645は、スクリュー646a及びスクリュー646bにより混練された活物質の粒子、ゲル用ペレット、導電助剤及び電解液を対象として脱気を行なう。
【0099】
図6の電極組成物生成装置640によれば、電極組成物22cを連続的に生成することができる。即ち、被覆活物質材料の投入や、副材料の投入、これら各種物質の混練といった複数の工程を、ホッパ641が備える収容空間内において完結させることができる。電極組成物生成装置640によって生成された電極組成物22cは、開口641cからチャンバ100内に向けて排出され、電極組成物供給装置300によって集電体21Bに供給される。
【0100】
なお、
図3の場合と同様、
図6における開口641a及び開口641bの位置関係、開口641c及び開口641dの位置関係については任意に変形が可能である。また、電極組成物生成装置640が押出部として備えるスクリューの数は任意である。
【0101】
(変形例4)
図7においては、電極組成物生成装置600の一例として電極組成物生成装置650を示す。電極組成物生成装置650は、ホッパ651と、ホッパ652と、ホッパ653と、活物質粒子供給装置654aと、ゲル用ペレット供給装置654bと、加熱装置655と、脱気装置656と、導電助剤供給装置657aと、電解液供給装置657bと、脱気装置658と、スクリュー659aと、スクリュー659bと、スクリュー659cと、スクリュー659dと、スクリュー659eとを備える。
【0102】
活物質粒子供給装置654a及びゲル用ペレット供給装置654bは、第1供給部の一例である。導電助剤供給装置657a及び電解液供給装置657bは、第2供給部の一例である。スクリュー659a、スクリュー659b、スクリュー659c、スクリュー659d及びスクリュー659eは、押出部の一例である。加熱装置655は、加熱部の一例である。脱気装置656及び脱気装置658は、脱気部の一例である。
【0103】
また、スクリュー659a及びスクリュー659bは、第1部材の一例である。スクリュー659cは、第2部材の一例である。スクリュー659d及びスクリュー659eは、第3部材の一例である。
【0104】
ホッパ651、ホッパ652及びホッパ653は、内部に収容空間を有し、活物質粒子供給装置654a、ゲル用ペレット供給装置654b、導電助剤供給装置657a及び電解液供給装置657bから供給された物質を保持する。なお、
図7に示す通り、ホッパ651、ホッパ652及びホッパ653は、連続した1つの収容空間を形成する。また、
図7に示す通り、ホッパ651は、開口651aと、開口651bとを備える。開口651a及び開口651bは、第1開口の一例である。また、ホッパ653は、開口653aと、開口653bと、開口653cとを備える。開口653a及び開口653bは、第2開口の一例である。開口653cは、第3開口の一例である。
【0105】
活物質粒子供給装置654aは、ホッパ651内部の収容空間に対して、開口651aから活物質の粒子を供給する。ゲル用ペレット供給装置654bは、ホッパ651内部の収容空間に対して、開口651bからゲル用ペレットを供給する。導電助剤供給装置657aは、ホッパ653内部の収容空間に対して、開口653aから導電助剤を供給する。電解液供給装置657bは、ホッパ653内部の収容空間に対して、開口653bから電解液を供給する。
【0106】
図7に示す通り、加熱装置655は、開口651a及び開口651bと、開口653a及び開口653bとの間の位置に設けられる。更に、脱気装置656は、加熱装置655と、開口653a及び開口653bとの間の位置に設けられる。スクリュー659a及びスクリュー659bは、開口651a及び開口651bから加熱装置655に向けて、収容空間内の物質を混練しつつ押し出す。スクリュー659cは、スクリュー659a及びスクリュー659bにより押し出された物質を鉛直方向上側に向けて混練しつつ押し出す。即ち、スクリュー659cは、収容空間内の物質に対して位置エネルギーを付与する。
【0107】
脱気装置656は、スクリュー659cにより鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下する途中の物質を対象として脱気を行なう。ここで、落下途中の物質はまばらに散った状態となるため、脱気装置656は、効率的に脱気を行なうことができる。
【0108】
スクリュー659d及びスクリュー659eは、スクリュー659cにより鉛直方向上側に押し出された後に鉛直方向下側に落下してきた物質を、開口653a及び開口653bに向けて混練しつつ押し出す。即ち、スクリュー659d及びスクリュー659eは、脱気装置656により脱気された物質を、開口653a及び開口653bに向けて混練しつつ押し出す。
【0109】
更に、スクリュー659d及びスクリュー659eは、収容空間内の物質を、開口653a及び開口653bから、開口653cに向けて混練しつつ押し出す。ここで、開口653a及び開口653bと、開口653cとの間の位置には、脱気装置658が設けられる。脱気装置658は、上述の各種スクリューにより混練された活物質の粒子、ゲル用ペレット、導電助剤及び電解液を対象として脱気を行なう。
【0110】
図7の電極組成物生成装置650によれば、電極組成物22cを連続的に生成することができる。即ち、被覆活物質材料の投入や、副材料の投入、これら各種物質の混練といった複数の工程を、ホッパ651、ホッパ652及びホッパ653によって形成される連続した1つの収容空間内において完結させることができる。電極組成物生成装置650によって生成された電極組成物22cは、開口653cからチャンバ100内に向けて排出され、電極組成物供給装置300によって集電体21Bに供給される。
【0111】
なお、
図3の場合と同様、
図7における開口651a及び開口651bの位置関係、開口653a及び開口653bの位置関係については任意に変形が可能である。また、電極組成物生成装置650が押出部として備えるスクリューの数は任意である。
【0112】
(変形例5)
電極組成物生成装置600の他の例として、
図8に電極組成物生成装置660を示す。
電極組成物生成装置660が備えるホッパ661、活物質粒子供給装置662a、導電助剤供給装置663a、電解液供給装置663b、脱気装置664、スクリュー665a及びスクリュー665bは、
図6に示した電極組成物生成装置640におけるホッパ641、活物質粒子供給装置642a、導電助剤供給装置644a、電解液供給装置644b、脱気装置645、スクリュー646a、スクリュー646bと同様の構成である。電極組成物生成装置660は、電極組成物生成装置640と同様に加熱装置を備えることとしてもよい。
【0113】
図6に示した電極組成物生成装置640と比較して、電極組成物生成装置660は、ゲル用ペレット供給装置642bに代えて、紛体化装置662cを含むゲル用ペレット供給装置662bを備える点で相違する。即ち、ゲル用ペレット供給装置662bは、ゲル用ペレットを紛体化した上で、ホッパ661内の収容空間に供給する。これにより、収容空間内の物質をより均質化し、生成される電極組成物22cの品質を向上させることができる。
【0114】
(変形例6)
電極組成物生成装置600の他の例として、
図9に電極組成物生成装置670を示す。
電極組成物生成装置670が備えるホッパ671、活物質粒子供給装置672a、導電助剤供給装置673a、電解液供給装置673b、脱気装置674、スクリュー675a及びスクリュー675bは、
図6に示した電極組成物生成装置640におけるホッパ641、活物質粒子供給装置642a、導電助剤供給装置644a、電解液供給装置644b、脱気装置645、スクリュー646a、スクリュー646bと同様の構成である。電極組成物生成装置670は、電極組成物生成装置640と同様に加熱装置を備えることとしてもよい。
【0115】
図6に示した電極組成物生成装置640と比較して、電極組成物生成装置670は、単一のゲル用ペレット供給装置642bに代えて、ゲル用ペレット供給装置672b及びゲル用ペレット供給装置672cを備える点で相違する。即ち、電極組成物生成装置670は、ゲル用ペレットを、複数の第1開口からホッパ671内の収容空間に対して供給する。これにより、ゲル用ペレットを分散化して供給し、生成される電極組成物22cの品質を向上させることができる。
【0116】
なお、ゲル用ペレットに限らず、活物質の粒子や樹脂溶液といった被覆活物質材料について、複数の第1開口から供給するようにしてもよい。また、導電助剤や電解液といった副材料を、複数の第2開口から供給するようにしてもよい。
【0117】
上述した実施形態では、電極組成物22cが載置される帯状の基材フィルムが帯状の集電体21Bであるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図2に示した帯状の集電体21Bに代えて、帯状のセパレータシートや、帯状の離形フィルムを基材フィルムとしてもよい。なお、帯状のセパレータシートは、後にトリミングすることで、
図1に示したセパレータ30を形成することができる。
【0118】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。更に、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0119】
10:単セル
20:電極
20a:正極
20b:負極
21:集電体
21a:正極集電体層
21b:負極集電体層
21B:帯状の集電体
21R:集電体ロール
22:電極活物質層
22a:正極活物質層
22b:負極活物質層
22c:電極組成物
30:セパレータ
35:枠体
100:チャンバ
200:搬送装置
300:電極組成物供給装置
400:枠体供給装置
500:プレス装置
501:上部ローラ
502:下部ローラ
600,610,620,630,640,650,660,670:電極組成物生成装置
611,621,622,623,631,632,633,641,651,652,653,661,671:ホッパ
611a,611b,611c,611d,611e,621a,621b,623a,623b,623c,631a,631b,633a,633b,633c,641a,641b,641c,641d,641e,651a,651b,653a,653b,653b,661a,661b,661c,661d,661e,671a,671b,671c,671d,671e,671f:開口
612a,624a,634a,642a,654a,662a,672a:活物質粒子供給装置
612b,624b,634b:樹脂溶液供給装置
613,625,635:脱揮装置
614a,627a,637a,644a,657a,663a,673a:導電助剤供給装置
614b,627b,637b,644b,657b,663b,673b:電解液供給装置
615,626,628,638,645,656,658,664,674:脱気装置
616a,616b,629a,629b,629c,629d,629e,639a,639b,639c,639d,639e,646a,646b,659a,659b,659c,659d,659e,665a,665b,675a,675b:スクリュー
636:開放部
642b,654b,662b,672b,672c:ゲル用ペレット供給装置
643,655:加熱装置
662c:紛体化装置
1000:電池用電極製造装置
Da:搬送方向
Da1:下流側
Da2:上流側
Db:鉛直方向
Db1:上側
Db2:下側