(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148647
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】角栓除去用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20231005BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20231005BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231005BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/92
A61Q19/00
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056788
(22)【出願日】2022-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトの掲載日:令和3年11月26日 ウェブサイトのアドレス:https://shiseido.box.com/s/n75vsqxde8e653t8mazz6wrc6g0ipbtc https://www.sccj-ifscc.com/event/abstracts/2021 (2)集会名:第87回SCCJ研究討論会、開催日:令和3年12月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】土井 康子
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 悠
(72)【発明者】
【氏名】松本 善行
(72)【発明者】
【氏名】樋口 智則
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC092
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC662
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD242
4C083BB11
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC22
4C083CC23
4C083DD01
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD28
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD39
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、角栓除去作用に優れる角栓除去用組成物を提供することである。
【解決手段】下記成分(A)~(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角栓除去用組成物。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角栓除去用組成物。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
【請求項2】
前記成分(A)が、ジカプリン酸ヘキサグリセリル及びジラウリン酸デカグリセリルからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の角栓除去用組成物。
【請求項3】
前記成分(B)が、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、及びジオレイン酸ヘキサグリセリルからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の角栓除去用組成物。
【請求項4】
前記成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルとして、モノエステル含量が65%以上のモノオレイン酸ジグリセリル及びモノエステル含量が65%以上のモノイソステアリン酸ジグリセリルからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1~3いずれかに記載の角栓除去用組成物。
【請求項5】
前記成分(C)が、炭化水素油、エステル油、アシルグリセロール、エーテル油、動植物油、及びシリコーン油からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1~4いずれかに記載の角栓除去用組成物。
【請求項6】
下記成分(D)を更に含有する、請求項1~5いずれかに記載の角栓除去用組成物。
(D)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸モノエステル
【請求項7】
前記成分(D)のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとして、モノエステル含量が65%以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項1~6いずれかに記載の角栓除去組成物。
【請求項8】
前記成分(D)が、モノカプリン酸ジグリセリル及びモノラウリン酸ジグリセリルからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1~7いずれかに記載の角栓除去用組成物。
【請求項9】
下記成分(A)~(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角層カルボニル化レベル抑制用組成物。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
【請求項10】
請求項1~8いずれかに記載の角栓除去用組成物及び/又は請求項9に記載の角層カルボニル化レベル抑制用組成物を含有する、化粧料。
【請求項11】
油性化粧料、乳化型化粧料、又は両連続型化粧料である、請求項10に記載の化粧料。
【請求項12】
下記成分(A)~(C)を使用する角栓の除去方法であって、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角栓の除去方法。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
【請求項13】
下記成分(A)~(C)を使用する角層カルボニル化レベルを抑制する方法であって、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角層カルボニル化レベルを抑制する方法。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角栓除去用組成物及びこれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛穴の詰まりやざらつきは、毛穴の目立ちにつながり美容上の大きな問題として認識されている。毛穴の目立ちは、角栓が詰まることにより起こる。角栓は、皮脂と角層(ケラチン)などの混合物であり、皮脂分泌の多い鼻周りでよく見られる。皮脂は酸化されやすく、酸化が進むと肌表面の酸化にもつながり、角層のくすみや毛穴まわりの黒ずみの一因となる。そのため、角栓を除去し小さく維持することが重要である。しかし、角栓は皮脂と角層が混ざって毛穴に固着しており、通常の洗顔やメイク落としでは満足のいく効果が得られなかった。また、シートパックやクレイパックなど角栓除去の方法が提案されているが、毎日行うには刺激による肌への負担と、通常のスキンケアに特別ケアが加わり面倒という要因もあり持続的な効果を得るのが難しかった。
【0003】
角栓除去に効果を有するクレンジング剤として、例えば、特許文献1には、カプリル酸カプリリルおよび/またはカプリン酸カプリリルを含有することを特徴とする油性液状クレンジング組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の油性液状クレンジング化粧料では、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリルを使用しない場合には十分な角栓除去効果が得られておらず、更なる改善が求められる。
【0006】
本発明の課題は、角栓除去作用に優れる角栓除去用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は下記[1]~[5]に関する。
[1]下記成分(A)~(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角栓除去用組成物。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
[2]下記成分(A)~(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角層カルボニル化レベル抑制用組成物。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
[3][1]及び/又は[2]記載の角栓除去用組成物を含有する、化粧料。
[4]下記成分(A)~(C)を使用する角栓の除去方法であって、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角栓の除去方法。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
[5]下記成分(A)~(C)を使用する角層カルボニル化レベルを抑制する方法であって、成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.2~8.0である、角層カルボニル化レベルを抑制する方法。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、角栓除去作用に優れる角栓除去用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】連続使用試験における角栓のサイズの変化割合を示す図である。
【
図2】連続使用試験におけるカルボニル化レベルの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らが上記課題について鋭意検討したところ、特定のポリグリセリン脂肪酸ジエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを特定の比率で用いることで、角栓除去に優れる組成物が得られることを新たに見出した。かかるメカニズムは不明であるが、ポリグリセリン脂肪酸エステルの皮脂との高い相溶性とケラチンへの高い吸着性の相乗効果と推定される。
【0011】
本発明の角栓除去用組成物は、下記成分(A)~(C)を含有する。
(A)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸ジエステル
(B)炭素数18~22の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油剤
【0012】
成分(A)のポリグリセリン脂肪酸ジエステルに係る脂肪酸は、角栓除去効果の観点から、炭素数が8~12、好ましくは炭素数10の飽和脂肪酸である。また、成分(A)のポリグリセリン脂肪酸ジエステルに係るポリグリセリンの平均重合度は、角栓除去効果の観点から、2~15、好ましくは6~15である。具体的には、ジカプリル酸ヘキサグリセリル、ジカプリン酸ヘキサグリセリル、ジカプリン酸ドデカグリセリル、ジラウリン酸デカグリセリルなどが挙げられ、好ましくはジカプリン酸ヘキサグリセリル、ジラウリン酸デカグリセリルである。
【0013】
本明細書におけるポリグリセリンの平均重合度とは、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度であり、(式1)及び(式2)から算出した平均重合度である。
(式1)平均重合度=(112.2×103-18×水酸基価)/(74×水酸基価-56.1×103)
(式2)水酸基価=(a-b)×28.05/試料の採取量(g)
a:空試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:本試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
上記(式1)中の水酸基価は社団法人日本油化学会編「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法(I)1996年度版」に準じて(式2)で算出される。」
【0014】
本発明の角栓除去用組成物における成分(A)の含有量は、好ましくは1.5~25.0質量%、より好ましくは2.0~20.0質量%、更に好ましくは3.0~18.0質量%である。なお、成分(A)を2種以上使用した場合における成分(A)の含有量は、成分(A)の合計量を指す。
【0015】
成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルに係る脂肪酸は、角栓除去効果の観点から、炭素数が18~22の脂肪酸、好ましくは18の分岐又は不飽和脂肪酸である。また、成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルに係るポリグリセリンの平均重合度は、角栓除去効果の観点から、2~15、好ましくは2~10である。成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよく、具体的には、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、ジオレイン酸ヘキサグリセリル、トリオレイン酸ドデカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、エルカ酸ヘキサグリセリルなどが挙げられ、好ましくはモノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、ジオレイン酸ヘキサグリセリルである。また、角栓除去効果の観点から、モノオレイン酸ジグリセリルおよびモノイソステアリン酸ジグリセリルにおけるモノエステル含量は、好ましくは65%以上であり、65~90%、75~85%などとすることができる。
【0016】
本発明の角栓除去用組成物における成分(B)の含有量は、好ましくは0.5~20.0質量%、より好ましくは1.0~15.0質量%、更に好ましくは3.0~12.0質量%である。なお、成分(B)を2種以上使用した場合における成分(B)の含有量は、成分(B)の合計量を指す。
【0017】
本発明の角栓除去用組成物における成分(B)に対する成分(A)の質量比(A/B)は、角栓除去効果の観点から、0.2~8.0、好ましくは0.3~6.0、より好ましくは0.5~5.0である。
【0018】
成分(C)油剤としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素油、エステル油、アシルグリセロール、エーテル油、動植物油、シリコーン油などが挙げられ、好ましくは炭化水素油、エステル油、エーテル油、植物油、より好ましくはエステル油である。
【0019】
炭化水素油としては、特に限定されないが、例えば、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、ウンデカン、トリデカン、イソドデカンなどが挙げられる。
【0020】
エステル油としては、特に限定されないが、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソステアリル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、カプリル酸プロピルヘプチル、カプリル酸カプリリル、カプリン酸カプリリル、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、炭酸ジカプリリルなどが挙げられる。
【0021】
アシルグリセロールとしては、特に限定されないが、例えば、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0022】
エーテル油としては、特に限定されないが、例えば、ジカプリリルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
動植物油としては、特に限定されないが、例えば、ミツロウ、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、ラノリンなどが挙げられ、好ましくは、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油などが挙げられる。
【0024】
シリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、ジメチコン、フェニルトリメチコン、シクロメチコン、シクロペンタシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンなどが挙げられる。
【0025】
本発明の角栓除去用組成物における成分(C)の含有量は、好ましくは25~98質量%、より好ましくは55~92質量%である。なお、成分(C)を2種以上使用した場合における成分(C)の含有量は、成分(C)の合計量を指す。
【0026】
本発明の角栓除去用組成物は、角栓除去効果の観点から、下記成分(D)を更に含有することが好ましい。
(D)炭素数8~12の脂肪酸と平均重合度2~15のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸モノエステル
【0027】
成分(D)のポリグリセリン脂肪酸モノエステルに係る脂肪酸は、角栓除去効果の観点から、炭素数が8~12、好ましくは炭素数が10~12の飽和脂肪酸である。また、成分(D)のポリグリセリン脂肪酸モノエステルに係るポリグリセリンの平均重合度は、角栓除去効果の観点から、2~15、好ましくは2~3、より好ましくは2である。具体的には、モノカプリン酸ジグリセリル、モノカプリル酸トリグリセリル、モノカプリン酸トリグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノラウリン酸ジグリセリルなどが挙げられ、好ましくはモノカプリン酸ジグリセリル、モノラウリン酸ジグリセリルである。また、角栓除去効果の観点から、成分(D)のポリグリセリン脂肪酸モノエステルにおけるモノエステル含量は、好ましくは65%以上であり、65~90%、75~85%などとすることができる。
【0028】
本発明の角栓除去用組成物における成分(D)の含有量は、好ましくは0.5~5.0質量%である。なお、成分(D)を2種以上使用した場合における成分(D)の含有量は、成分(D)の合計量を指す。
【0029】
本発明の角栓除去用組成物は、上記成分以外に通常化粧料に用いられる成分を適宜、その用途、目的に応じて配合することができる。このような任意成分としては、例えば、水、界面活性剤、多価アルコール、水性ゲル化剤、油性ゲル化剤、紫外線吸収剤、粉体、抗酸化剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、増粘剤、植物抽出液、ビタミン類、中和剤、保湿剤、抗炎症剤、pH調整剤、アミノ酸等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油などが挙げられる。
【0031】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、エチルヘキシルグリセリン、1,3-ブチレングリコール(BG)、プロピレングリコール(PG)、プロパンジオール、ジプロピレングリコール(DPG)、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、1,10-デカンジオール、イソペンチルジオール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトールなどが挙げられる。
【0032】
本発明の角栓除去用組成物は、常法により上記成分を混合して調製することができる。
【0033】
本発明の角栓除去用組成物は、角栓除去作用に優れることから、各種化粧料に好適に使用することができる。即ち、本発明は、本発明の化粧料用組成物を含む化粧料についても提供するものである。ここで、本発明の角栓除去用組成物をそのまま化粧料として使用してもよいし、上記のような任意成分を更に含有させたものを化粧料とすることもできる。
【0034】
本発明の化粧料としては、油性化粧料、乳化型化粧料、両連続型化粧料などが挙げられ、角栓除去効果の観点から油性化粧料が好ましい。例えば、クレンジングオイル、クレンジングバーム、ホットクレンジングバーム、クレンジングジェル、ホットクレンジングジェル、クレンジングジェルパックなどのクレンジング用化粧料、マッサージオイル、マッサージオイルジェル、マッサージスクラブジェル、ホットマッサージジェルなどのマッサージ用化粧料などが挙げられる。
【0035】
本発明の化粧料の製造方法としては、上記各成分を含有させる工程を含む製造方法が挙げられる。ここで、「上記各成分を含有させる工程」とは、予め調製された本発明の角栓除去用組成物を添加する態様の他、上記各成分を個別に配合して調製する態様も含まれる。また、本発明では、上記各成分を使用する角栓の除去方法についても開示するものである。また、本発明では、後述の実施例で示すように、上記各成分を含有する角層カルボニル化レベル抑制用組成物、上記各成分を含有させる工程を含む角層カルボニル化レベル抑制用組成物を含む化粧料の製造方法、上記各成分を使用する角層カルボニル化レベルを抑制する方法についても提供するものである。
【実施例0036】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
角栓除去用組成物の調製
実施例1~26、比較例1~13
表1~4に示す組成で各成分を70℃で加熱溶解し、室温まで攪拌冷却して角栓除去用組成物を調製した。
【0038】
角栓除去簡易試験シートの調製
Fragrance Journal. 2012, 40(10), 16-22.のComposition of artificial sebumに記載された方法により人工皮脂を調製後、ケラチン(東京化成工業(株)社製)と1:1にて混合し、モデル角栓を調製した。得られたモデル角栓を50℃で融解後、5mm間隔にエンボス加工(直径1mm、深さ約0.5mm)された人工皮革(非発泡PVC(塩化ビニール系合皮))の穴16箇所にすりきり詰め、12時間25℃恒温機に静置して角栓除去簡易試験シートを調製した。
(モデル角栓の組成)
大豆油 24%
オレイン酸 6.5%
ミリスチン酸 6%
スクワレン 6%
パラフィンワックス 5%
オレイン酸モノグリセリル 1.5%
コレステロールステアレイト 1%
ケラチン 50%
【0039】
<角栓除去率の評価>
上記で得られた角栓除去簡易試験シートに角栓除去用組成物をスポイトで2滴(0.04g)滴下後、指で60回往復した。ティッシュオフをした後、写真撮影し、画像解析ソフト(Image J)より、洗浄前のモデル角栓の面積および洗浄後の残ったモデル角栓の面積を算出し、以下の式により角栓除去率を求めた。結果を表1~4に示す。
角栓除去率(%)=100×{1-(洗浄後のモデル角栓の面積(mm2)/洗浄前のモデル角栓の面積(mm2))}
【0040】
実施例1~5、16~21については、更に外観性状及び洗い流し時の感触(さっぱり感)についても評価を行った。
【0041】
<外観性状>
角栓除去用組成物10gをバイアル瓶(容量20ml、内径2.5cm)に入れ、以下の基準で外観性状を評価した。結果を表1、3に示す。
(評価基準)
○:透明液状(濁りや分離が見られない)
△:微濁液状(やや白濁が見られる)
×:白濁沈殿(濁りや沈殿が見られる)
【0042】
<洗い流し時の感触(さっぱり感)>
角栓除去用組成物1gを手の甲に塗布し、30秒間マッサージした後、水ですすいだ直後の肌感触を以下の基準で評価した。評価は専門パネラー13名で行い、13人中10人以上が○と回答したものを「3」、7~9人が○と回答したものを「2」、○が6人以下のものを「1」と記載した。結果を表1、3に示す。
(評価基準)
○:べとつきがなく、さっぱりする
△:わずかにべとつきが残る
×:べとつく
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
表1~4に示すように、実施例1~26の角栓除去用組成物は、いずれも角栓除去作用に優れるものであったことが分かる。また、実施例1~5、16~21については、外観性状や洗い流し時の感触(さっぱり感)についても問題がないことを確認した。
【0048】
また、実施例1、6、17、19、21、比較例6、7については、角栓の構成要素である皮脂とケラチン(タンパク質)に注目し、これらの角栓除去用組成物との相互作用を評価した。
【0049】
<皮脂の相溶性>
上記モデル角栓を調製する際に得られた人工皮脂25%に実施例1、6、17、19、21比較例6、7の角栓除去用組成物をそれぞれ75%の割合で1分混合し、35℃24時間静置後の相溶性を確認した。結果を表5に示す。
(評価基準)
○:透明液状(濁りや分離が見られない)
△:微濁液状(やや白濁が見られる)
×:白濁沈殿(濁りや沈殿が見られる)
<ケラチンの分散性>
ケラチン0.5gを実施例1、6、17、19、21、比較例6、7の角栓除去用組成物49.5gにそれぞれ分散させた後、表面張力計DY-700(協和界面科学株式会社製)の粉体沈降測定モードにて、毎0.1秒、5分間経時的にケラチンの沈降量を測定した。ケラチンの沈降量は少ない程、ケラチンの分散性が良いということが言える。測定開始60秒後のケラチン沈降量示す。結果を表5に示す。
(評価基準)
◎:8mg未満
○:8mg以上11mg未満
△:11mg以上15mg未満
×:15mg以上
【0050】
【0051】
表5に示すように、実施例1、6、17、19、21は、皮脂との作用を確認した結果、相溶性が高い傾向であった。また、ケラチンの分散性も高い傾向にあった。皮脂との相溶性の高さとケラチンの分散性の高さは、簡易角栓除去率の高さと密接に関係すると考えられる。
【0052】
実施例1、比較例6の角栓除去用組成物については、更に人での連続使用試験を行い実際の角栓除去効果及び肌角層の酸化に及ぼす影響について評価を行った。
【0053】
<連続使用試験>
鼻の半々を実施例1、比較例6の角栓除去用組成物を使って朝晩洗顔前に1分程度のマッサージを6週間、被験者8名で連続使用を行った。
【0054】
<角栓の大きさ評価>
マイクロスコープで鼻の同じ場所を特定して撮影し、2週間、4週間、6週間経過した際の同じ毛穴の角栓を追跡観察した。角栓の大きさの変化について、連用前と比較して小さくなったか、変化なしか、大きくなったかで評価を行った。被験者8名の撮影箇所すべての角栓について、角栓の大きさの変化割合について評価し8名の平均で示す。結果を表6及び
図1に示す。
【0055】
【0056】
<角層の酸化評価>
角層の酸化評価は、角層カルボニル化レベルの測定を行った。6週間連続使用の試験部位の角層を連続使用の前後で、テープストリッピング法にて角層を採取し、得られた角層をカルボニル染色(ヒドラジド誘導体(Fluorescein-5-thiosemicarbazide))し、顕微鏡による蛍光観察を行い、その蛍光強度を角層カルボニル化レベルの指標としてその平均輝度を画像解析(コルネオサイトメトリー2)により算出した。平均輝度が高い程、角層が酸化(カルボニル化)していると言える。カルボニル化レベルは被験者8名の平均で評価した。結果を
図2に示す。また、連用前後のカルボニル化レベルの変化を表7に示す。
【0057】
【0058】
表6、7、
図1、2に示すように、実施例1は、角栓が小さくなる傾向が有意に多く、角栓が大きくなる傾向が少なかった。また鼻の毛穴周りの角層のカルボニル化度が低下しており、酸化が抑制されていることが分かった。角層カルボニル化が抑制されたメカニズムは不明であるが、皮脂はオレイン酸などの酸化されやすい成分を多く含むため、皮脂と相溶性が高く酸化されやすい皮脂が効率的に減ることで毛穴まわりの角層の酸化が抑制され角層カルボニル化の抑制につながったと考えられる。従って、皮脂との相溶性が高い他の実施例においても同様の効果を期待することができる。
【0059】
(処方例)
以下に、本発明の化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではない。なお、配合量は全て製品全量に対する質量%で表している。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
処方例1~5の化粧料は、いずれも角栓除去作用に優れるものであった。