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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148649
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20231005BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20231005BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20231005BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20231005BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20231005BHJP
   F24F 11/59 20180101ALI20231005BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20231005BHJP
   F24F 140/60 20180101ALN20231005BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20231005BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F3/044
F24F11/64
F24F11/72
F24F11/74
F24F11/59
F24F110:10
F24F140:60
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056791
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】安福 雄真
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
(72)【発明者】
【氏名】柴田 洋
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 孝昭
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB10
3L260AA01
3L260AB07
3L260BA02
3L260BA41
3L260BA64
3L260CA12
3L260CB54
3L260CB62
3L260CB63
3L260CB65
3L260CB78
3L260EA07
3L260FA02
3L260FA07
3L260FB44
3L260FB51
3L260FB80
3L260JA24
(57)【要約】
【課題】少ない消費電力で住宅に対する空調を行う空調システムを提供する。
【解決手段】住宅に対する空調を行う全館空調ユニット120は、住宅のうちの空調室に設けられ、空調室に導入される空気を加熱する空調機200と、空調機200によって加熱された空調室の空気を、空調室とは独立した複数の空間のうちの一つである第1空間10に搬送する第1搬送ファン122と、第1空間10の床面に設けられ、第1空間10の暖房を行うガス型床暖房機500と、空調機200、第1搬送ファン122、及びガス型床暖房機500を制御するシステムコントローラ300とを備える。システムコントローラ300は、空調機200の消費電力が基準電力510を超えた場合に、ガス型床暖房機500を動作させる制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅に対する空調を行う空調システムであって、
前記住宅のうちの空調室に設けられ、前記空調室に導入される空気を加熱する空調機と、
前記空調機によって加熱された前記空調室の空気を、前記空調室とは独立した複数の空間のうちの一つである第1空間に搬送する第1搬送ファンと、
前記第1空間の床面に設けられ、前記第1空間の暖房を行うガス型床暖房機と、
前記空調機、前記第1搬送ファン、及び前記ガス型床暖房機を制御するシステムコントローラと、
を備え、
前記システムコントローラは、前記空調機の消費電力が基準電力を超えた場合に、前記ガス型床暖房機を動作させる制御を行う、空調システム。
【請求項2】
前記システムコントローラは、
前記ガス型床暖房機へ運転または停止の信号を送る床暖運転指示部と、
前記空調機の前記消費電力を取得する空調機消費電力取得部と、
を含み、
前記床暖運転指示部は、前記空調機消費電力取得部が前記基準電力より大きい前記消費電力の値を取得した場合に、前記ガス型床暖房機器へ運転の指示を行う、請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記基準電力は、前記空調機のCOP(Coefficient of Performance)及び前記住宅に予め設定される電気容量の少なくとも一方に基づいて設定される、請求項1または2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記システムコントローラは、
前記ガス型床暖房機の動作状況を取得する床暖動作取得部を含み、
前記床暖動作取得部が、前記ガス型床暖房機の動作信号を取得した場合に、少なくとも前記第1搬送ファンの送風量を、前記ガス型床暖房機が動作する前の前記第1搬送ファンの送風量よりも増加させるように前記第1搬送ファンを制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記空調機によって加熱された前記空調室の空気を、前記空調室とは独立した第2空間であって、かつ前記第1空間とは別の第2空間に搬送する第2搬送ファンを備え、
前記システムコントローラは、前記第2搬送ファンを制御し、
前記床暖動作取得部が、前記ガス型床暖房機の動作信号を取得した場合に、前記第1搬送ファン及び前記第2搬送ファンの送風量を、前記ガス型床暖房機が動作する前の前記第1搬送ファン及び前記第2搬送ファンの送風量よりも増加させるように前記第1搬送ファン及び前記第2搬送ファンを制御する、請求項4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記第1空間の内壁面に設けられ、前記第1搬送ファンが搬送する空気を吹き出す第1吹出口をさらに備え、
前記第1吹出口は、前記第1空間の天井近傍にて前記ガス型床暖房機が設置された前記床面に対して水平方向に空気を吹き出す、請求項1~3のいずれか一項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の空調制御に使用される空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数個の居室を備えた高断熱・高気密家屋における空調システムでは、独立して設けられた少なくとも1つの空調室内の空調が制御され、空調された空気が空調室から各居室に搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第19/107163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでの空調システムは、高断熱・高気密家屋として戸建て住宅を対象にしているが、マンション等の集合住宅に含まれる各住宅に対しても空調システムの使用が求められる。冬場の外気負荷が大きい時、住宅の空調制御には膨大な電力が使用されていた。
【0005】
そこで本発明は、上記課題を解決するものであり、少ない消費電力で住宅に対する空調を行う空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空調システムは、住宅に対する空調を行う空調システムであって、住宅のうちの空調室に設けられ、空調室に導入される空気を加熱する空調機と、空調機によって加熱された前記空調室の空気を、空調室とは独立した複数の空間のうちの一つである第1空間に搬送する第1搬送ファンと、第1空間の床面に設けられ、第1空間の暖房を行うガス型床暖房機と、空調機、第1搬送ファン、及びガス型床暖房機を制御するシステムコントローラとを備えた物であり、システムコントローラは、空調機の消費電力が基準電力を超えた場合に、ガス型床暖房機を動作させる制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、少ない消費電力で住宅に対する空調を行う空調システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る住宅の構成を示す図である。
図2図2は、図1の住宅の構成を示す断面図である。
図3図3(a)-(b)は、図1の全館空調ユニットの構成を示す図である。
図4図4は、図1のシステムコントローラの構成を示す図である。
図5図5は、図1の空調機の消費電力とCOPの関係を示す図である。
図6図6は、図4のシステムコントローラによる空調手順を示すフローチャートである。
図7図7は、図4のシステムコントローラによる空調室温度制御処理を示すフローチャートである。
図8図8は、図4のシステムコントローラによるファン風量設定処理を示すフローチャートである。
図9図9は、図4のシステムコントローラによる床暖房動作処理を示すフローチャートである。
図10図10は、変形例1に係るシステムコントローラの構成を示す図である。
図11図11は、変形例1に係るシステムコントローラによるファン風量設定処理を示すフローチャートである。
図12図12は、変形例2に係るシステムコントローラによるファン風量設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して二度目以降の説明を省略または簡略化している。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、住宅1000の構成を示す見取り図である。住宅1000は、集合住宅における一世帯であり、居住者がプライベートな生活を営む場として提供された住居である。住宅1000には、予め電気容量が設定される。電気料金は、電気容量により基本電力が変わるため、電気会社と契約する電気容量は使用する電化製品に応じて小さな値に設定することが多い。住宅1000は、図1の左側と右側において別の住宅1000(図示せず)に接する。そのため、住宅1000の下側の壁、窓、扉である第1面1010が外部に面するとともに、住宅1000の上側の壁、窓、扉である第2面1020が外部に面する。
【0011】
住宅1000は、第1空間10、第2空間20を含む。第1空間10には、第1洋室12、LDK14、キッチン16が含まれ、第2空間20には、第2洋室22、第3洋室24、玄関26が含まれる。また、住宅1000には、第1空間10と第2空間20とは独立して、全館空調ユニット120が設置される後述の空調室(図示せず)、トイレ32、浴室34も含まれる。一般的に、排気空間30は、第1空間10と第2空間20との間に配置されるが、これに限定されない。また、空調室の空気が搬送される空間は、第1空間10と第2空間20の二空間のみである。
【0012】
このような住宅1000に設置される空調システムは、ガス型床暖房機500と、外気導入口100、外気導入ダクト102、熱交換形換気扇104、排気ダクト106、排気口108、給気ダクト110、全館空調ユニット120、第1搬送ダクト130、第1分岐チャンバー132、第1分岐搬送ダクト134a、134b、134c、134d、第1吹出口136a、136b、136c、136d、第2搬送ダクト140、第2分岐チャンバー142、第2分岐搬送ダクト144a、144b、144c、144d、第2吹出口146a、146b、146c、146dを含む。
【0013】
ガス型床暖房機500は、第1空間10の床面に設けられる。つまり、ガス型床暖房機500は第1空間10のうちの第1洋室12、LDK14に設置される。ガス型床暖房機500は、第1空間10のうちのLDK14だけに設置されてもよく、キッチン16にも設置されてもよい。ガス型床暖房機500は、ガスにより温められた水を床の下に通すことにより第1空間10の暖房を行う。
【0014】
また、空調システムは、排気空間口150、排気空間ダクト152、第1温度センサ190、第2温度センサ192、システムコントローラ300、入出力端末400を含む。外気導入ダクト102、排気ダクト106、給気ダクト110、第1搬送ダクト130、第1分岐搬送ダクト134a、134b、134c、134d、第2搬送ダクト140、第2分岐搬送ダクト144a、144b、144c、144d、排気空間ダクト152は、空気を運ぶ管、つまり風路である。
【0015】
外気導入口100は、第1面1010に設置される。外気導入口100から住宅1000の内部に向かって外気導入ダクト102が延びる。外気導入ダクト102は、熱交換形換気扇104に接続される。熱交換形換気扇104は、例えば、第1空間10と第2空間20の間、第1空間10における第2空間20側、第2空間20における第1空間10、のいずれかに配置される。ここで、熱交換形換気扇104は、建物の端部に接しない。熱交換形換気扇104には、排気ダクト106も接続され、排気ダクト106は第1面1010に向かって延びる。第1面1010には排気口108が設置され、排気口108には排気ダクト106が接続される。また、熱交換形換気扇104には、給気ダクト110も接続される。
【0016】
熱交換形換気扇104には、外気導入ファン(図示せず)が設置され、外気導入ファンの回転により、外気導入口100から外気50が取り込まれ、外気50が外気導入ダクト102を通って熱交換形換気扇104に流入される。また、熱交換形換気扇104には、住宅1000の内部から換気RA(ReturnAir:還気)52が流入される。換気RA52については後述するが、換気RA52は、住宅1000内を移動した給気に相当する。熱交換形換気扇104は、これらの間で熱交換を行う。熱交換形換気扇104における熱交換には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。熱交換形換気扇104は、熱交換の結果、排気ファン112の回転により、排気ダクト106を通って排気口108から排気54を排出する。また、熱交換形換気扇104は、熱交換された給気を給気ダクト110経由で全館空調ユニット120に供給する。
【0017】
全館空調ユニット120には、給気ダクト110から給気が流入される。また、全館空調ユニット120には、住宅1000の内部から循環RA56が流入される。循環RA56については後述するが、循環RA56は、換気RA52と同様に、住宅1000内を移動した給気に相当する。全館空調ユニット120は、給気と循環RA56とを混合した空気に対して空調を実行する。例えば、全館空調ユニット120では温度、湿度等が制御される。全館空調ユニット120には、第1搬送ダクト130と第2搬送ダクト140が接続される。
【0018】
第1搬送ダクト130は、第1分岐チャンバー132まで延びて、第1分岐チャンバー132において第1分岐搬送ダクト134a、134b、134c、134dに分岐される。第1分岐搬送ダクト134aは、第1洋室12に設置された第1吹出口136aに接続される。第1分岐搬送ダクト134bは、LDK14に設置された第1吹出口136bに接続され、第1分岐搬送ダクト134cは、LDK14に設置された第1吹出口136cに接続される。第1分岐搬送ダクト134dは、キッチン16に設置された第1吹出口136dに接続される。以下、第1分岐搬送ダクト134a、134b、134c、134dは、特に区別する必要がない場合には「第1分岐搬送ダクト134」と総称する。また、第1吹出口136a、136b、136c、136dは、特に区別する必要がない場合には「第1吹出口136」と総称する。
【0019】
全館空調ユニット120の第1搬送ファン122は、空調された空気を第1搬送ダクト130、第1分岐チャンバー132、第1分岐搬送ダクト134a、134b、134c、134d、第1吹出口136a、136b、136c、136d経由で第1空間10の第1洋室12、LDK14、キッチン16に搬送する。第1吹出口136a、136b、136c、136dは、第1搬送ファン122により搬送される空気を第1空間10に吹き出す。そのため、第1搬送ファン122は、第1空間10のみに対応する。第1搬送ファン122は複数備えられてもよい。ここで、第1搬送ダクト130における空気の送風量は、第1分岐搬送ダクト134a、134b、134c、134dの送風量の合計となるので、第1搬送ダクト130の径は第1分岐搬送ダクト134の径よりも大きくされる。
【0020】
第2搬送ダクト140は、第2分岐チャンバー142まで延びて、第2分岐チャンバー142において第2分岐搬送ダクト144a、144b、144c、144dに分岐される。第2分岐搬送ダクト144aは、第2洋室22に設置された第2吹出口146aに接続される。第2分岐搬送ダクト144bは、玄関26に設置された第2吹出口146bに接続される。第2分岐搬送ダクト144cは、第3洋室24に設置された第2吹出口146cに接続され、第2分岐搬送ダクト144dは、第3洋室24に設置された第2吹出口146dに接続される。以下、第2分岐搬送ダクト144a、144b、144c、144dは、特に区別する必要がない場合には「第2分岐搬送ダクト144」と総称する。また、第2吹出口146a、146b、146c、146dは、特に区別する必要がない場合には「第2吹出口146」と総称する。
【0021】
全館空調ユニット120の第2搬送ファン124は、空調された空気を第2搬送ダクト140、第2分岐チャンバー142、第2分岐搬送ダクト144a、144b、144c、144d、第2吹出口146a、146b、146c、146d経由で第2空間20の第2洋室22、第3洋室24、玄関26に搬送する。第2吹出口146a、146b、146c、146dは、第2分岐搬送ダクト144a、144b、144c、144dにより搬送される空気を第2空間20に吹き出す。そのため、第2搬送ファン124は、第2空間20のみに対応する。第2搬送ファン124は複数備えられてもよい。ここでも、第2搬送ダクト140の径は第2分岐搬送ダクト144の径よりも大きくされる。
【0022】
第1空間10の内壁面に設けられ、第1搬送ファン122が搬送する空気を吹き出す第1吹出口136a、136b、136c、136dは、第1空間10の天井付近に設置される。第1吹出口136a、136b、136c、136dは、ガス型床暖房機500が設置された床面に対して水平方向に固定される。つまり、第1吹出口136a、136b、136c、136dは、ガス型床暖房機500が設置された床面に対し水平方向に空気を吹き出す。また、第1吹出口136a、136b、136c、136dは、住宅1000の構造に合わせて、下向きの吹き出しとしてもよい。その場合、第1吹出口136a、136b、136c、136dから吹き出される空気は、ガス型床暖房機500が設置された床面に対し垂直方向に空気を吹き出される。
【0023】
図2は、住宅1000の構成を示す断面図である。前述のごとく、住宅1000の第1面1010には、外気導入口100と排気口108が設置される。外気導入口100と排気口108に接続される外気導入ダクト102、排気ダクト106、熱交換形換気扇104、給気ダクト110は天井裏42に配置される。空調室180の天井には給気口182が設置され、給気口182には給気ダクト110が接続される。給気口182は、給気ダクト110を介して熱交換形換気扇104からの給気60を空調室180に吹き出す。
【0024】
空調室180は、前述のごとく、第1空間10と第2空間20とは独立した空間であり、空調室180には全館空調ユニット120が設置される。空調室180には空調室温度センサ194が設置され、空調室温度センサ194は空調室180の温度を取得する。空調室温度センサ194は、無線通信等の通信機能を有し、取得した空調室180の温度をシステムコントローラ300に送信する。全館空調ユニット120に接続された第1搬送ダクト130は、空調室180から天井裏42まで延びる。天井裏42において、第1搬送ダクト130、第1分岐チャンバー132、第1分岐搬送ダクト134cが順に接続される。第1分岐搬送ダクト134cに接続された第1吹出口136cは、LDK14に設けられ、LDK14の床面、つまりガス型床暖房機500に対し水平方向に空気を吹き出す。
【0025】
他の第1分岐搬送ダクト134、第1吹出口136についても同様に配置され、第2搬送ダクト140、第2分岐チャンバー142、第2分岐搬送ダクト144、第2吹出口146も同様に配置される。つまり、第1搬送ダクト130、第2搬送ダクト140、第1分岐搬送ダクト134、第2分岐搬送ダクト144は、少なくとも建物を構成する廊下40の天井裏42を通して配置される。
【0026】
第1吹出口136、第2吹出口146から空気が吹き出されることによって、第1空間10と第2空間20とにもともと存在した空気は、扉18等を超えて住宅1000内を循環する。循環する空気の一部は循環RA56として空調室180に流入される。空調室180内では、循環RA56と給気60とが混合された空気が全館空調ユニット120に取り込まれる。また、循環する空気の別の一部は換気RA52として換気口114から熱交換形換気扇104に取り込まれる。外気50が100リューベであり、かつ排気54も100リューベである場合、換気RA52が100リューベであり、給気60も100リューベである。また、循環RA56が900リューベであると、全館空調ユニット120から搬出される空気の合計は1000リューベになる。この1000リューベの空気によって循環された空気のうち、900リューベ分が循環RA56となり、100リューベ分が換気RA52となる。
【0027】
図3(a)-(b)は、全館空調ユニット120の構成を示す。図3(a)は、全館空調ユニット120の正面図であり、図3(b)は、全館空調ユニット120の側面図である。全館空調ユニット120は、第1搬送ファン122、第2搬送ファン124、空調機200、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ202、機器スイッチ204を含む。全館空調ユニット120の上段から順に空調機200、HEPAフィルタ202、第1搬送ファン122および第2搬送ファン124が配置される。
【0028】
空調機200は、エアコンディショナであり、空調室180の空調を制御する。空調機200は、空調室180の空気の温度が設定された目標温度(空調室目標温度)となるように、空調室180の空気、つまり図2の循環RA56と給気60とが混合され、空調室に導入される空気を冷却または加熱する。空調室180における空調室目標温度は、システムコントローラ300により設定される。空調機200は、加湿および除湿機能を有してもよい。HEPAフィルタ202は、エアフィルタであり、空調機200において空調がなされた空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄された空気を出力する。
【0029】
第1搬送ファン122は、空調機200により冷却または加熱された空気であり、HEPAフィルタ202において清浄された空気を第1搬送ダクト130、第1分岐チャンバー132、第1分岐搬送ダクト134経由で第1空間10に搬送する。第2搬送ファン124は、空調機200により冷却または加熱された空気であり、HEPAフィルタ202において清浄された空気を第2搬送ダクト140、第2分岐チャンバー142、第2分岐搬送ダクト144経由で第2空間20に搬送する。第1搬送ファン122および第2搬送ファン124の送風量は、システムコントローラ300によりそれぞれ設定される。機器スイッチ204は、全館空調ユニット120の電源をオン、オフするためのスイッチである。図1に戻る。
【0030】
第1温度センサ190は、第1空間10、例えばLDK14に設置され、第1空間10の温度を取得する。第1温度センサ190は、無線通信等の通信機能を有し、取得した第1空間10の温度をシステムコントローラ300に送信する。第2温度センサ192は、第2空間20、例えば玄関26に設置され、第2空間20の温度を取得する。第2温度センサ192は、無線通信等の通信機能を有し、取得した第2空間20の温度をシステムコントローラ300に送信する。
【0031】
システムコントローラ300は、空調システム全体を制御するコントローラである。システムコントローラ300は、第1搬送ファン122、第2搬送ファン124、空調機200、第1温度センサ190、第2温度センサ192、空調室温度センサ194、ガス型床暖房機500と、無線通信により通信可能に接続される。無線通信で接続されることにより、複雑な配線工事が不要になる。しかしながら、これらのうちの少なくとも一部が有線通信により通信可能に接続されてもよい。
【0032】
システムコントローラ300は、第1温度センサ190、第2温度センサ192、空調室温度センサ194のそれぞれから温度を受信する。システムコントローラ300は、受信した温度をもとに空調機200の温度を設定し、設定した温度を空調機200に送信する。また、システムコントローラ300は、受信した温度をもとに第1搬送ファン122と第2搬送ファン124のそれぞれの送風量を設定し、設定した送風量のそれぞれを第1搬送ファン122と第2搬送ファン124に送信する。このようにシステムコントローラ300は、第1搬送ファン122と第2搬送ファン124を制御する。
【0033】
システムコントローラ300は、空調機200から使用している消費電力を受信する。システムコントローラ300は、空調機200が使用している消費電力を元に、動作信号をガス型床暖房機500に送信する。このようにシステムコントローラ300は、ガス型床暖房機500を制御する。
【0034】
入出力端末400は、システムコントローラ300と無線通信により通信可能に接続され、空調システムを構築するために必要な情報の入力を受けつけてシステムコントローラ300に記憶させる。また、入出力端末400は、空調システムの状態をシステムコントローラ300から取得して表示する。入出力端末400は携帯情報端末であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末である。入出力端末400は、必ずしも無線通信によりシステムコントローラ300と接続される必要はなく、有線通信により通信可能にシステムコントローラ300と接続されてもよい。この場合、入出力端末400は、例えば、壁掛のリモートコントローラにより実現されてもよい。図1においてシステムコントローラ300と入出力端末400はLDK14に配置されているが、これらはLDK14以外の位置に配置されてもよい。
【0035】
ガス型床暖房機500は、ガスにより温められた水を床の下に通すことにより第1空間10の暖房を行う機器である。ガス型床暖房機500は、無線通信等の通信機能を有し、システムコントローラ300から送信される動作信号を受信する。ガス型床暖房機500には、一般的な機器が用いられるので、詳細な説明は省略するが、ガス型床暖房機500は、暖房を行う機能に対して電気を使用しないため、ガス型床暖房機500の消費電力は空調機200の消費電力に比べ低い。
【0036】
排気空間30の一例であるトイレ32の天井には排気空間口150が設置されており、排気空間口150には排気空間ダクト152が接続され、排気空間ダクト152は熱交換形換気扇104の排気ファン112に接続される。排気ファン112が回転することにより、トイレ32の空気は、排気空間口150、排気ダクト106を通って排気口108から建物外に排出される。一方、排気空間30には、第1搬送ファン122あるいは第2搬送ファン124により搬送される空気を吹き出すための第1吹出口136あるいは第2吹出口146が備えられない。
【0037】
図4は、システムコントローラ300の構成を示す。システムコントローラ300は、目標温度取得部310、空調室温度制御部312、送風量決定部314、ファン風量制御部316、空調機消費電力取得部502、基準電力取得部504、床暖房指示部506を含む。目標温度取得部310は、入出力端末400により第1空間10と第2空間20のそれぞれに設定された目標温度を取得する。
【0038】
空調室温度制御部312は、冷房期、つまり第1空間10あるいは第2空間20の室内温度が高く、空調機200が冷房運転する場合であれば、空調室180の温度(空調室温度)が、目標温度取得部310が取得した第1空間10の目標温度と第2空間20の目標温度のうち、低い方の温度以下となるように、空調機200を制御する。空調室温度制御部312は、暖房期、つまり第1空間10あるいは第2空間20の室内温度が低く、空調機200が暖房運転する場合であれば、空調室180の温度が、目標温度取得部310が取得した第1空間10の目標温度と第2空間20の目標温度のうち、高い方の温度以上となるように、空調機200を制御する。このような処理により、空調室温度制御部312は、空調室180の温度を制御する。
【0039】
送風量決定部314は、目標温度取得部310が取得した第1空間10の目標温度と第2空間20の目標温度と、空調室温度制御部312にて制御された空調室180の温度と、第1温度センサ190が取得した第1空間10の室内温度と、第2温度センサ192が取得した第2空間20の室内温度とをもとに、第1搬送ファン122と第2搬送ファン124のそれぞれの送風量を決定する。送風量の決定、変更手順については後述する。ファン風量制御部316は、送風量決定部314が決定した送風量で第1搬送ファン122と第2搬送ファン124のそれぞれの送風量を制御する。
【0040】
空調機消費電力取得部502は、空調機200が動作する際に消費する電力(空調機消費電力)を取得する。
【0041】
基準電力取得部504は、入出力端末400によりガス型床暖房機500が動作を開始する際の閾値を設定された基準電力510を取得する。基準電力510は、空調機200のCOP(Coefficient of Performance)に基づいて設定される。COPは高い値であるほど効率の良い空調効果を得られるため、空調機200は、COPが高い範囲で使用することが好まれる。基準電力510の決定方法については後述する。
【0042】
床暖房指示部506は、空調機消費電力取得部502の取得する値が基準電力取得部504の取得する値を超えた場合、動作させる指示が示された信号(以下、「指示信号」という)をガス型床暖房機500へ送信する。この時、ガス型床暖房機500は指示信号に応じて床暖房を動作させる。
【0043】
図5は、空調機200の消費電力とCOPの関係を示す。なお、空調機200の種類によって消費電力とCOPの関係は異なるが、本実施の形態では、図5に示す「消費電力とCOPの関係を示す図」の関係とする。図5の横軸は空調機200の消費電力を示し、縦軸はそれぞれの消費電力に対する空調機200のCOPを示す。例えば、空調機200の消費電力が1000Wであった場合、COPは「4」となる。図5より、COPはある消費電力を境に減少する。空調機200は、COPが高い値となる範囲で使用することが好まれるため、基準電力510は、例えばCOPが「4以上」となる1000Wとする。
【0044】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0045】
図6図9を参照して、システムコントローラ300により実行される空調処理について説明する。図6図9は、システムコントローラ300による空調手順を示すフローチャートである。特に、図6は、空調手順を示すフローチャートであり、図7は、空調室温度制御処理を示すフローチャートであり、図8は、ファン風量設定処理を示すフローチャートであり、図9は、床暖房動作処理を示すフローチャートである。
【0046】
システムコントローラ300が実行する空調処理は、図6に示すように、主に空調室温度制御処理S100、ファン風量設定処理S200、床暖房動作処理S300により構成され、この順で実行される。
【0047】
ユーザが空調処理を実行すると、システムコントローラ300は、図7に示す空調室温度制御処理S100を実行する。空調室温度制御処理S100では、システムコントローラ300は、入出力端末400にて設定された冷暖房期設定を取得する(S101)。ここで冷暖房期設定とは、例えば気温が高くなり空調機200を冷房機として運転(稼働)させる夏季を冷房期と設定し、気温が低くなり空調機200を暖房機として運転させる冬季を暖房期と設定する。ユーザは、入出力端末400のカレンダー機能に対して、例えば六月から九月を冷房期と設定し、一二月から三月を暖房期と設定することで、システムコントローラ300は当該設定を取得することができる。次にシステムコントローラ300は、目標温度取得部310を介して入出力端末400により第1空間10と第2空間20のそれぞれに設定された目標温度を取得する(S102)。
【0048】
目標温度を取得すると、空調室温度制御部312は、空調機200に空調室180の目標温度(空調室目標温度)を設定する(S103)。例えば、第1空間10は、室内温度が28℃、目標温度が25℃であり、第2空間20は、室内温度が27℃、目標温度が20℃である。空調室温度制御部312は、S101で取得した冷暖房期設定が冷房期、つまり冷房運転であるので、空調室目標温度を複数の目標温度のうち最も低い温度以下の温度に制御する。ここでは、複数の目標温度を比較し、最も低い20℃以下に設定する。例えば、空調室目標温度は20℃にされる。一方、暖房期、つまり暖房運転である場合には、空調室温度制御部312は、空調室目標温度を第1空間10と第2空間20の目標温度のうち最も高い温度以上の温度に制御する。
【0049】
次に、システムコントローラ300は、図8に示すファン風量設定処理S200を実行する。ファン風量設定処理S200において、システムコントローラ300は、空調室温度センサ194から空調室温度を取得する(S201)。システムコントローラ300は、第1温度センサ190から第1空間10の室内温度を取得し、第2温度センサ192から第2空間20の室内温度を取得する(S202)。システムコントローラ300は、目標温度取得部310を介して入出力端末400から第1空間10の目標温度と第2空間20の目標温度とを取得する(S203)。
【0050】
送風量決定部314は、目標温度と空調室温度とを比較して温度差を算出する(S204)。送風量決定部314は、算出した温度差をもとに、搬送ファンの送風量を決定する(S205)。送風量の決定は、例えば次のようになされる。第2空間20の目標温度が20℃、空調制御された空調室180の温度が20℃である場合、第2空間20と空調室180とを結ぶ第2搬送ダクト140に対応する第2搬送ファン124の送風量を最大値とする。ここで送風量とは、搬送ファンの送風能力、あるいは動作ノッチとすることができる。例えば搬送ファンの送風量を送風量の小さいものから順に送風量「1」~送風量「10」の10段階の設定が可能とすると、ここでは第2搬送ファン124の送風量を「10」に決定する。つまり送風量決定部314は、第2空間20の室内温度を27℃から下げ、さらに目標温度の20℃を維持するために、空調室180の同温(20℃)の空気を最大量送風するよう、決定する。
【0051】
また、第1空間10の目標温度が25℃、空調制御された空調室180の温度が20℃である場合、第1搬送ファン122の送風能力を最大値である送風量「10」とすると、第1空間10の目標温度が25℃を下回る可能性がある。そのため、送風量決定部314は、第1搬送ファン122の送風量を最大値より低い例えば送風量「5」とする。つまり、送風量決定部314は、目標温度と空調室の温度の差に応じて、例えば温度差が小さい空間(第2空間20:温度差0℃)に対しては、温度差が大きい空間(例えば第1空間10:温度差5℃)に対するよりも搬送ファンの送風量を小さくする。上記処理は、すべての空間に対して行われる(S206N→S202・・・→S206Y)。ファン風量制御部316は、送風量決定部314において決定された送風量により、第1搬送ファン122と第2搬送ファン124を制御する(S207)。
【0052】
次に、システムコントローラ300は、図9に示す床暖房動作処理S300を実行する。床暖房動作処理S300において、システムコントローラ300は、空調機消費電力取得部502を介して空調機200から空調機消費電力を取得する(S302)。また、システムコントローラ300は、基準電力取得部504を介して入出力端末400から基準電力510を取得する(S304)。
【0053】
床暖房指示部506は、取得した空調機消費電力と基準電力510とを比較し、空調機消費電力が基準電力510以上であった場合(S306Y)、ガス型床暖房機500へ指示信号を送信する(S308)。一方、空調機消費電力が基準電力510未満であった場合(S306N)床暖房指示部506はガス型床暖房機500へ指示信号を送信しない。
【0054】
本実施の形態によれば、空調機消費電力取得部502が取得した空調機200の消費電力が基準電力510を超えた場合、ガス型床暖房機500を運転させるため、空調機200による消費電力の多い時間のピーク電力を下げることができる。消費電力の多い時間のピーク電力を下げることができるため、空調に係る電気を削減することができる。また、電力消費の多い時間のピーク電力がカットされるので、少ない契約電力でも全館空調を実現できる。また、第1吹出口136a、136b、136c、136dは、ガス型床暖房機500が設置された床面に対し水平方向に空気を吹き出すため、ガス型床暖房機500により空調された空気の上昇気流に乗って室内上方へ流れる気流に対し、効率よく室内温度を平準化することができる。
【0055】
また、空調室180の空気は、第1空間10と第2空間20のみに搬送されるので、集合住宅における住宅1000に適した空調を実行できる。また、集合住宅における住宅1000に適した空調が実行されるので、集合住宅における住宅1000に対する空調を効率的に実行できる。また、第1空間10のみに対応する第1搬送ファン122と、第2空間20のみに対応する第2搬送ファン124が空気を搬送するので、制御が簡単でありながらも効率を向上できる。また、制御が簡単でありながらも効率が向上するので、安価に構成できる。また、第1空間10と第2空間20に分けるので、季節による高負荷に合わせた制御を実行できる。また、季節による高負荷に合わせた制御が実行されるので、快適さを低コストで実現できる。
【0056】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0057】
(変形例1)
図10及び図11を参照して、変形例1に係るシステムコントローラ300による制御動作について説明する。
【0058】
実施の形態1に係る空調システムでは、システムコントローラ300は、目標温度と空調室温度とを比較して温度差を算出し、算出した温度差をもとに第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124の送風量を決定するとしたが、これに限られない。例えば、ガス型床暖房機500が動作した場合、第1空間10への送風量を大きくしてもよい。具体的には、システムコントローラ300は、ガス型床暖房機500の動作信号を取得した場合、第1搬送ファン122の送風量をガス型床暖房機500が動作する前の第1搬送ファン122の送風量よりも大きくするように第1搬送ファン122を制御する。このようにしても、電力のピークカットをすることができる。以下、変形例1での制御動作を詳細に説明する。
【0059】
図10は、変形例1に係るシステムコントローラ300の構成を示す。システムコントローラ300は、図4の構成に対して、床暖房動作取得部508をさらに含む。床暖房動作取得部508は、ガス型床暖房機500から動作信号を受信し、ガス型床暖房機500の動作状況を取得する。
【0060】
送風量決定部314は、目標温度取得部310が取得した第1空間10の目標温度と第2空間20の目標温度と、空調室温度制御部312にて制御された空調室180の温度と、第1温度センサ190が取得した第1空間10の室内温度と、第2温度センサ192が取得した第2空間20の室内温度とをもとに、第1搬送ファン122と第2搬送ファン124のそれぞれの送風量を決定する。ここで、送風量決定部314は、床暖房動作取得部508がガス型床暖房機500の動作信号を取得した場合、第1搬送ファン122の送風量をガス型床暖房機500が動作する前の第1搬送ファン122の送風量よりも大きくするように第1搬送ファンの122の送風量を制御する。送風量の決定、変更手順については後述する。ファン風量制御部316は、送風量決定部314が決定した送風量で第1搬送ファン122と第2搬送ファン124のそれぞれの送風量を制御する。
【0061】
図11を参照して、システムコントローラ300により実行される空調処理について説明する。図11は、変形例1に係るシステムコントローラ300によるファン風量設定手順を示すフローチャートである。
【0062】
システムコントローラ300は、図11に示すファン風量設定処理S400を実行する。ファン風量設定処理S400において、システムコントローラ300は、空調室温度センサ194から空調室温度を取得する(S401)。システムコントローラ300は、第1温度センサ190から第1空間10の室内温度を取得し、第2温度センサ192から第2空間20の室内温度を取得する(S402)。システムコントローラ300は、目標温度取得部310を介して入出力端末400から第1空間10の目標温度と第2空間20の目標温度とを取得する(S403)。
【0063】
送風量決定部314は、目標温度と空調室温度とを比較して温度差を算出する(S404)。送風量決定部314は、算出した温度差をもとに、搬送ファンの送風量を決定する(S405)。上記処理は、すべての空間に対して行われる(S406N→S402・・・→S406Y)。
【0064】
送風量決定部314は、床暖房動作取得部508がガス型床暖房機500の動作信号を取得した場合(S407Y)、現在決定されている第1搬送ファン122に送風量より大きい値となるように第1搬送ファン122の送風量を調整する(S408)。例えば、現在決定されている第1搬送ファン122の送風量が「5」の時、送風量決定部314は、第1搬送ファン122の風量を「6」と調整する。ファン風量制御部316は、送風量決定部314において調節された送風量により、第1搬送ファン122を制御する(S409)。
【0065】
一方、床暖房動作取得部508がガス型床暖房機500の動作信号を取得しなかった場合(S407N)、送風量決定部314は、現在決定されている第1搬送ファン122の送風量を調整しない。ファン風量制御部316は、送風量決定部314において決定された送風量により、第1搬送ファン122を制御する(S409)。
【0066】
変形例1によれば、ガス型床暖房機500が動作した場合、ガス型床暖房機500が設置された第1空間10への送風量を、ガス型床暖房機500が動作する前の第1搬送ファン122の送風量よりも大きくするようにするため、ガス型床暖房機500によって暖房された空気を効率よく循環させることができる。また、効率よく空気を循環させることができるため、第1空間10及び第2空間20における空調を効率よく行うことができる。また、ガス型床暖房機500の暖房を第1空間10及び第2空間20に効率よく搬送することができるため、空調機200にかかる負荷を減少させることができる。空調機200にかかる負荷を減少させることができるため、電気によるエネルギー消費量を減少させることができる。電気によるエネルギー消費量を減少させることができるため、消費電力の多い時間帯のピーク電力をカットできる。
【0067】
(変形例2)
図12を参照して、変形例2に係るシステムコントローラ300による制御動作について説明する。
【0068】
実施の形態1に係る空調システムでは、システムコントローラ300は、目標温度と空調室温度とを比較して温度差を算出し、算出した温度差をもとに搬送ファンの送風量を決定するとしたが、これに限られない。例えば、システムコントローラ300は、ガス型床暖房機500が動作した場合、第1空間10及び第2空間20への送風量を大きくしてもよい。具体的には、ガス型床暖房機500の動作信号を取得した場合、第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124の送風量をガス型床暖房機500が動作する前の第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124の送風量よりも大きくするように第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124を制御する。このようにしても、電力のピークカットをすることができる。以下、変形例2での制御動作を説明する。
【0069】
図12を参照して、システムコントローラ300により実行される空調処理について説明する。図12は、変形例2に係るシステムコントローラ300によるファン風量設定処理を示すフローチャートである。
【0070】
システムコントローラ300は、図12に示すファン風量設定処理S500を実行する。
【0071】
前述のとおり、送風量決定部314は、搬送ファンの送風量を決定する(S501)。送風量決定部314は、床暖房動作取得部508がガス型床暖房機500の動作信号を取得した場合(S502Y)、現在決定されている第1搬送ファン122に送風量より大きい値となるように第1搬送ファン122の送風量を調整する(S503)。例えば、現在決定されている第1搬送ファン122の送風量が「5」の時、送風量決定部314は、第1搬送ファン122の風量を「6」と調整する。
【0072】
送風量決定部314は、床暖房動作取得部508がガス型床暖房機500の動作信号を取得した場合(S502Y)、現在決定されている第2搬送ファン124に送風量より大きい値となるように第2搬送ファン124の送風量を調整する(S503)。例えば、現在決定されている第2搬送ファン124の送風量が「5」の時、送風量決定部314は、第2搬送ファン124の風量を「6」と調整する。
【0073】
上記処理は、すべての空間に対して行われる(S504N→S502・・・→S504Y)。
【0074】
ファン風量制御部316は、送風量決定部314において調節された送風量により、第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124を制御する(S505)。
【0075】
一方、床暖房動作取得部508がガス型床暖房機500の動作信号を取得しなかった場合(S502N)、送風量決定部314は、現在決定されている第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124の送風量を調整しない。ファン風量制御部316は、送風量決定部314において決定された送風量により、第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124を制御する(S505)。
【0076】
変形例2によれば、ガス型床暖房機500が動作した場合、ガス型床暖房機500が設置された第1空間10及び第2空間20への送風量を、ガス型床暖房機500が動作する前の第1搬送ファン122及び第2搬送ファン124の送風量よりも大きくするようにするため、ガス型床暖房機500によって暖房された空気を効率よく循環させることができる。また、効率よく空気を循環させることができるため、第1空間10及び第2空間20における空調を効率よく行うことができる。また、ガス型床暖房機500の暖房を第1空間10及び第2空間20に効率よく搬送することができるため、空調機200にかかる負荷を減少させることができる。空調機200にかかる負荷を減少させることができるため、電気によるエネルギー消費量を減少させることができる。電気によるエネルギー消費量を減少させることができるため、消費電力の多い時間帯のピーク電力をカットできる。
【0077】
(変形例3)
変形例3に係るシステムコントローラ300による制御動作について説明する。
【0078】
実施の形態1に係る空調システムでは、システムコントローラ300は、基準電力510を、空調機200のCOPに基づいて設定したが、これに限られない。例えば、システムコントローラ300は、基準電力510を、住宅1000に予め設定される電気容量に基づいて設定してもよい。このようにしても、電力のピークカットをすることができる。以下、変形例4での制御動作を説明する。
【0079】
前述のとおり、住宅1000には、予め電気容量が設定される。基準電力510を、住宅1000に予め設定される電気容量に基づいて設定する場合は、下記の通りである。例えば、住宅1000に予め設定される電気容量が60Aであり、本空調システム以外で使用する電化製品の合計の電気容量が40Aであれば、残りの電気容量は20Aとなる。空調機200の電圧が200Vの場合、使用できる消費電力は4000Wとなる。この時、基準電力510は4000Wの50%に当たる2000Wとする。
【0080】
図4の床暖房指示部506は、空調機200から取得した空調機消費電力と、上述のように設定した基準電力510とを比較し、空調機消費電力が基準電力510を超えた場合、ガス型床暖房機500へ指示信号を送信する。ガス型床暖房機500は指示信号に応じて床暖房を動作させる。
【0081】
変形例3によれば、空調機消費電力取得部502が取得した空調機200の消費電力が基準電力510を超えた場合、ガス型床暖房機500を運転させるため、空調機200による消費電力の多い時間のピーク電力を下げることができる。消費電力の多い時間のピーク電力を下げることができるため、空調に係る電気を削減することができる。また、電力消費の多い時間のピーク電力がカットされるので、少ない契約電力でも全館空調を実現できる。
【0082】
なお、変形例3での基準電力510を、空調機200のCOPに基づいた設定と住宅1000に予め設定される電気容量に基づいた設定の両方に基づいて設定するようにしてもよい。この場合には、空調機200のCOPに基づいた設定と、住宅1000に予め設定される電気容量に基づいた設定とを比較し、より小さい値の設定を優先して基準電力510とする。具体的には、基準電力510を空調機200のCOPに基づいた設定とした場合、基準電力510は、例えば図5に基づいてCOPが「4以上」となる1000Wと見積もられる。一方、基準電力510を住宅1000に予め設定される電気容量に基づいて設定する場合、例えば、住宅1000に予め設定される電気容量が60Aであり、本空調システム以外で使用する電化製品の合計の電気容量が40Aであれば、残りの電気容量は20Aとなる。つまり、空調機200の電圧が200Vの場合、使用できる消費電力は4000Wとなる。この時、基準電力510は4000Wの50%に当たる2000Wと見積もられる。見積もりの結果、空調機200のCOPに基づいた設定の方が住宅1000に予め設定される電気容量に基づいて設定に比べ低い値となっているので、基準電力510は、空調機200のCOPに基づいた設定を採用することになる。このようにしても、電力のピークカットをすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る空調システムは、ガス型床暖房機と連携することにより、冬場のピーク電力をカットすることを可能にする空調システムとして有効である。
【符号の説明】
【0084】
1000 住宅
1010 第1面
1020 第2面
10 第1空間
20 第2空間
12 第1洋室
14 LDK
16 キッチン
18 扉
22 第2洋室
24 第3洋室
26 玄関
30 排気空間
32 トイレ
34 浴室
42 天井裏
52 換気RA
54 排気
56 循環RA
60 給気
100 外気導入口
102 外気導入ダクト
104 熱交換形換気扇
106 排気ダクト
108 排気口
110 給気ダクト
112 排気ファン
120 全館空調ユニット
122 第1搬送ファン
124 第2搬送ファン
130 第1搬送ダクト
132 第1分岐チャンバー
134 第1分岐搬送ダクト
134a 第1分岐搬送ダクト
134b 第1分岐搬送ダクト
134c 第1分岐搬送ダクト
134d 第1分岐搬送ダクト
136 第1吹出口
136a 第1吹出口
136b 第1吹出口
136c 第1吹出口
136d 第1吹出口
140 第2搬送ダクト
142 第2分岐チャンバー
144 第2分岐搬送ダクト
144a 第2分岐搬送ダクト
144b 第2分岐搬送ダクト
144c 第2分岐搬送ダクト
144d 第2分岐搬送ダクト
146 第2吹出口
146a 第2吹出口
146b 第2吹出口
146c 第2吹出口
146d 第2吹出口
150 排気空間口
152 排気空間ダクト
190 第1温度センサ
192 第2温度センサ
194 空調室温度センサ
200 空調機
202 HEPAフィルタ
204 機器スイッチ
300 システムコントローラ
310 目標温度取得部
312 空調室温度制御部
314 送風量決定部
316 ファン風量制御部
400 入出力端末
500 ガス型床暖房機
502 空調機消費電力取得部
504 基準電力取得部
506 床暖房指示部
508 床暖房動作取得部
510 基準電力
図1
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図3
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図5
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図12