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特開2023-148661アクチュエータドライバおよびその制御方法、それを用いたカメラモジュール、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148661
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】アクチュエータドライバおよびその制御方法、それを用いたカメラモジュール、電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20231005BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231005BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20231005BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/02
H04N5/232 480
H04N5/225 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056805
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 茂雄
【テーマコード(参考)】
2H100
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100DD15
2H100EE01
2H100EE02
2K005BA21
2K005BA42
2K005CA14
2K005CA23
2K005CA24
2K005CA32
2K005CA40
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA05
5C122EA41
5C122FB03
5C122FB23
5C122FC01
5C122FC02
5C122HA77
5C122HA82
5C122HA87
(57)【要約】
【課題】可動部の振動を検出可能なアクチュエータドライバを提供する。
【解決手段】アクチュエータドライバ200は、手ブレ補正機構の可動部105を第1方向に位置決めする第1アクチュエータ106_1を駆動する。制御部210は、手ブレ補正モードにおいて、第1位置指令に応じた第1制御信号S4_1を生成する。第1駆動部220_1は、手ブレ補正モードにおいて、第1制御信号S4_1に応じて第1アクチュエータ106_1を駆動し、振動検出モードにおいて、第1アクチュエータ106_1を駆動しない。第1振動検出回路230_1は、振動検出モードにおいて第1アクチュエータ106_1のコイルに発生する逆起電力VBEMF1を監視し、逆起電力VBEMF1にもとづいて、外力に起因する可動部105の第1方向の振動を検出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータを駆動するアクチュエータドライバであって、
手ブレ補正モードにおいて、第1位置指令に応じた第1制御信号を生成する第1制御部と、
前記手ブレ補正モードにおいて、前記第1制御信号に応じて前記第1アクチュエータを駆動し、振動検出モードにおいて、前記第1アクチュエータを駆動しない第1駆動部と、
前記振動検出モードにおいて前記第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、前記逆起電力にもとづいて、外力に起因する前記可動部の前記第1方向の振動を検出する第1振動検出回路と、
を備える、アクチュエータドライバ。
【請求項2】
前記アクチュエータドライバは、前記第1振動検出回路によって前記第1方向の振動が検出されると、固定モードとなり、
前記第1制御部は、前記固定モードにおいて、前記可動部が静止するように、前記第1制御信号を生成する、請求項1に記載のアクチュエータドライバ。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記固定モードにおいて、前記可動部がメカ端に抑え付けられるように、前記第1制御信号を生成する、請求項2に記載のアクチュエータドライバ。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記固定モードにおいて、前記第1制御信号を所定値に固定する、請求項3に記載のアクチュエータドライバ。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記固定モードにおいて、前記第1位置指令を、前記メカ端を超えた位置に固定する、請求項3に記載のアクチュエータドライバ。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記振動検出モードにおいて停止している、請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータドライバ。
【請求項7】
ホール素子に電力を検出するバイアス回路をさらに備え、
前記第1制御部は、前記手ブレ補正モードにおいて、前記ホール素子の出力に応じた位置検出信号が前記第1位置指令に近づくように、フィードバックにより前記第1制御信号を生成する、請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータドライバ。
【請求項8】
前記バイアス回路は、前記振動検出モードにおいて停止している、請求項7に記載のアクチュエータドライバ。
【請求項9】
前記アクチュエータドライバは、前記可動部を、前記第1方向と直交する第2方向に位置決めする第2アクチュエータを駆動可能であり、
前記手ブレ補正モードにおいて、第2位置指令に応じた第2制御信号を生成する第2制御部と、
前記手ブレ補正モードにおいて、前記第2制御信号に応じて前記第2アクチュエータを駆動し、前記振動検出モードにおいて前記第2アクチュエータを駆動しない第2駆動部と、
前記振動検出モードにおいて前記第2アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、前記逆起電力にもとづいて、外力に起因する前記可動部の前記第2方向の振動を検出する第2振動検出回路と、
をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータドライバ。
【請求項10】
前記アクチュエータドライバは、前記第2振動検出回路によって前記第2方向の振動が検出されると、前記固定モードとなり、
前記第2制御部は、前記固定モードにおいて、前記可動部が静止するように、前記第2制御信号を生成する、請求項9に記載のアクチュエータドライバ。
【請求項11】
前記第2制御部は、前記第1振動検出回路によって前記第1方向の振動が検出されると、前記固定モードとなり、前記可動部が静止するように、前記第2制御信号を生成し、
前記第1制御部は、前記第2振動検出回路によって前記第2方向の振動が検出されると、前記固定モードとなり、前記可動部が静止するように、前記第1制御信号を生成する、請求項10に記載のアクチュエータドライバ。
【請求項12】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータドライバ。
【請求項13】
イメージセンサと、
前記イメージセンサへの入射光路上に設けられた手ブレ補正レンズと、
前記手ブレ補正レンズを含む可動部を位置決めする第1アクチュエータと、
請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータドライバと、
を備える、カメラモジュール。
【請求項14】
イメージセンサと、
手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータと、
前記可動部の前記第1方向の位置を示す第1位置検出信号を生成する第1位置センサと、
(i)手ブレ補正モードにおいて、前記第1位置検出信号が位置指令に近づくように、前記第1アクチュエータを駆動し、(ii)振動検出モードにおいて前記第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、前記逆起電力にもとづいて、外力に起因する前記可動部の前記第1方向の振動を検出するアクチュエータドライバと、
を備える、カメラモジュール。
【請求項15】
前記アクチュエータドライバは、前記可動部の前記第1方向の振動を検出すると、固定モードとなり、前記可動部が静止するように、前記第1アクチュエータを駆動する、請求項14に記載のカメラモジュール。
【請求項16】
請求項14または15に記載のカメラモジュールを備える、電子機器。
【請求項17】
手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータの制御方法であって、
手ブレ補正モードにおいて、第1位置指令に応じた第1制御信号を生成するステップと、
前記手ブレ補正モードにおいて、前記第1制御信号に応じて前記第1アクチュエータを駆動するステップと、
前記第1アクチュエータの非駆動中に振動検出モードとなり、前記振動検出モードにおいて、前記第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、前記逆起電力にもとづいて、外力に起因する前記可動部の前記第1方向の振動を検出するステップと、
を備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータドライバおよびこれを用いたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどの電子機器に搭載されるカメラモジュールに、光学手ぶれ補正(OIS:Optical Image Stabilizer)の採用が進められている。光学手ぶれ補正付きのカメラモジュールは、イメージセンサ、イメージセンサの撮像面と平行なXY平面内で移動可能なレンズ(手ブレ補正用レンズと称する)、レンズを位置決めするアクチュエータ、アクチュエータを制御するアクチュエータドライバを備える。ジャイロセンサなどのブレ検出手段によってブレが検出されると、アクチュエータドライバは、ブレが相殺されるようにアクチュエータを駆動し、レンズをシフトさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-176259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、光学手ブレ補正付きのカメラモジュールについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0005】
近年、イメージセンサの大型化が進められている。これにともなって、手ブレ補正用レンズのサイズ、ひいては質量が大きくなっている。電子機器に大きな振動が加わると、レンズが大きな慣性を持つこととなり、手ブレ補正が追従できずに、レンズを有する可動部がメカ端に衝突するという問題がある。可動部とメカ端の衝突が繰り返し発生すると、異音が発生する。また機械的な衝撃によって、信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
本開示は係る状況においてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、可動部の振動を検出可能なアクチュエータドライバの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様のアクチュエータドライバは、手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータを駆動する。アクチュエータドライバは、手ブレ補正モードにおいて、第1位置指令に応じた第1制御信号を生成する第1制御部と、手ブレ補正モードにおいて、第1制御信号に応じて第1アクチュエータを駆動し、振動検出モードにおいて、第1アクチュエータを駆動しない第1駆動部と、振動検出モードにおいて第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、逆起電力にもとづいて、外力に起因する可動部の第1方向の振動を検出する第1振動検出回路と、を備える。
【0008】
本開示の別の態様は、カメラモジュールである。このカメラモジュールは、イメージセンサと、手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータと、可動部の第1方向の位置を示す第1位置検出信号を生成する第1位置センサと、(i)手ブレ補正モードにおいて、第1位置検出信号が位置指令に近づくように、第1アクチュエータを駆動し、(ii)振動検出モードにおいて第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、逆起電力にもとづいて、外力に起因する可動部の第1方向の振動を検出するアクチュエータドライバと、を備える。
【0009】
本開示の別の態様は、手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータの制御方法である。制御方法は、手ブレ補正モードにおいて、第1位置指令に応じた第1制御信号を生成するステップと、手ブレ補正モードにおいて、第1制御信号に応じて第1アクチュエータを駆動するステップと、第1アクチュエータの非駆動中に振動検出モードとなり、振動検出モードにおいて、第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、逆起電力にもとづいて、外力に起因する可動部の第1方向の振動を検出するステップと、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、可動部の振動を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、手振れ補正機能を備えるカメラモジュールのブロック図である。
図2図2は、図1のカメラモジュールの手ブレ補正モードの動作を説明する図である。
図3図3は、図1のカメラモジュールの固定モードの動作を説明する図である。
図4図4は、一実施例に係るアクチュエータドライバを備えるカメラモジュールのブロック図である。
図5図5は、アクチュエータドライバの構成例を示すブロック図である。
図6図6は、第1サーボコントローラの第1の構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第1サーボコントローラの第2の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0014】
一実施形態に係るアクチュエータドライバは、手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータを駆動する。アクチュエータドライバは、手ブレ補正モードにおいて、第1位置指令に応じた第1制御信号を生成する第1制御部と、手ブレ補正モードにおいて、第1制御信号に応じて第1アクチュエータを駆動し、振動検出モードにおいて、第1アクチュエータを駆動しない第1駆動部と、振動検出モードにおいて第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、逆起電力にもとづいて、外力に起因する可動部の第1方向の振動を検出する第1振動検出回路と、を備える。
【0015】
アクチュエータの可動子が外力によって振動すると、アクチュエータのコイルに逆起電力が発生する。そこで、アクチュエータの非駆動状態において、アクチュエータドライバを振動検出モードとし、コイルの逆起電力を監視することにより、アクチュエータの可動子、すなわち手ブレ補正機構の可動部の振動を検出できる。この振動検出方法は、振動検出のために、第1駆動部を動作させる必要がないため、消費電力の増加が小さいという利点がある。
【0016】
一実施形態において、たとえば、カメラモジュールが起動していない状態において、アクチュエータドライバは振動検出モードとなってもよい。
【0017】
一実施形態において、アクチュエータドライバは、第1振動検出回路によって第1方向の振動が検出されると、固定モードとなり、第1制御部は、固定モードにおいて、可動部が静止するように、第1制御信号を生成してもよい。これにより、異音の発生を抑制し、あるいは衝突による手ブレ補正機能の信頼性の低下を抑制できる。
【0018】
一実施形態において、第1制御部は、固定モードにおいて、可動部がメカ端に抑え付けられるように、第1制御信号を生成してもよい。これにより、可動部を可動範囲内で固定する場合に比べて確実に固定できる。
【0019】
一実施形態において、第1制御部は、固定モードにおいて、第1制御信号を所定値に固定してもよい。つまりオープンループ制御によって、アクチュエータに大きな力を発生させることにより、可動部をメカ端に押し付けることができる。
【0020】
一実施形態において、第1制御部は、固定モードにおいて、第1位置指令を、メカ端を超えた位置に固定してもよい。つまり、固定モードにおいて、フィードバック制御によって可動部を固定してもよい。第1位置指令をメカ端を超えた位置に設定することで、フィードバック信号と位置指令の誤差は非ゼロを維持するため、制御信号の大きさが大きくなる。これにより、アクチュエータに大きな力を発生させることができ、可動部をメカ端に押し付けることができる。
【0021】
一実施形態において、第1制御部は、振動検出モードにおいて停止していてもよい。振動検出中の消費電力をさらに低減できる。
【0022】
一実施形態において、アクチュエータドライバは、ホール素子に電力を検出するバイアス回路をさらに備えてもよい。第1制御部は、手ブレ補正モードにおいて、ホール素子の出力に応じた位置検出信号が第1位置指令に近づくように、フィードバックにより第1制御信号を生成してもよい。
【0023】
一実施形態において、バイアス回路は、振動検出モードにおいて停止していてもよい。これにより振動検出の際のアクチュエータドライバの消費電力をさらに低減できる。
【0024】
一実施形態において、アクチュエータドライバは、可動部を、第1方向と直交する第2方向に位置決めする第2アクチュエータを駆動可能であってもよい。アクチュエータドライバは、手ブレ補正モードにおいて、第2位置指令に応じた第2制御信号を生成する第2制御部と、手ブレ補正モードにおいて、第2制御信号に応じて第2アクチュエータを駆動し、振動検出モードにおいて第2アクチュエータを駆動しない第2駆動部と、振動検出モードにおいて第2アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、逆起電力にもとづいて、外力に起因する可動部の第2方向の振動を検出する第2振動検出回路と、をさらに備えてもよい。
【0025】
一実施形態において、アクチュエータドライバは、第2振動検出回路によって第2方向の振動が検出されると、固定モードとなり、第2制御部は、固定モードにおいて、可動部が静止するように、第2制御信号を生成してもよい。
【0026】
一実施形態において、第2制御部は、第1振動検出回路によって第1方向の振動が検出されると、固定モードとなり、可動部が静止するように、第2制御信号を生成し、第1制御部は、第2振動検出回路によって第2方向の振動が検出されると、固定モードとなり、可動部が静止するように、第1制御信号を生成してもよい。つまり、いずれかの方向に振動が検出されると、第1方向と第2方向の両方について可動部を固定することで、衝突による信頼性の低下や、異音を確実に防止できる。
【0027】
一実施形態において、アクチュエータドライバは、振動を検出すると、アプリケーションプロセッサに通知してもよい。アプリケーションプロセッサは、ユーザインタフェースによってユーザに振動の発生を通知してもよい。
【0028】
一実施形態において、アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0029】
一実施形態に係るカメラモジュールは、イメージセンサと、イメージセンサへの入射光路上に設けられた手ブレ補正レンズと、手ブレ補正レンズを含む可動部を位置決めするアクチュエータと、上述のいずれかのアクチュエータドライバと、を備える。
【0030】
一実施形態に係るカメラモジュールは、イメージセンサと、手ブレ補正機構の可動部を第1方向に位置決めする第1アクチュエータと、可動部の第1方向の位置を示す第1位置検出信号を生成する第1位置センサと、(i)手ブレ補正モードにおいて、第1位置検出信号が位置指令に近づくように、第1アクチュエータを駆動し、(ii)振動検出モードにおいて第1アクチュエータのコイルに発生する逆起電力を監視し、逆起電力にもとづいて、外力に起因する可動部の第1方向の振動を検出するアクチュエータドライバと、を備える。
【0031】
一実施形態において、アクチュエータドライバは、可動部の第1方向の振動を検出すると、固定モードとなり、可動部が静止するように、第1アクチュエータを駆動してもよい。
【0032】
一実施形態に係る電子機器は、上述のカメラモジュールを備えてもよい。
【0033】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0034】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0035】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0036】
図1は、手振れ補正機能を備えるカメラモジュールのブロック図である。カメラモジュールはスマートフォンやタブレット端末などの電子機器に搭載される。カメラモジュール100は、イメージセンサ102、手ブレ補正レンズ104、第1アクチュエータ106_1、第2アクチュエータ106_2、アクチュエータドライバ200、位置検出素子110_1,110_2、ブレ検出手段112、CPU(Central Processing Unit)114を備える。カメラモジュール100はその他、オートフォーカス用のレンズ、アクチュエータなどを備えるが、図1では省略している。
【0037】
理解の容易化のため、手ブレ補正レンズ104の光軸方向をZ軸にとるものとする。また、カメラモジュール100が、図1の姿勢にあるときの、左右方向をX軸、上下方向をY軸にとるものとする。X軸を第1軸、Y軸を第2軸とも表記し、X軸方向を第1方向、Y軸方向を第1方向とも表記する。
【0038】
手ブレ補正レンズ104は、イメージセンサ102に入射する光の光路上に配置される。イメージセンサ102は、CMOSセンサやCCDであり、手ブレ補正レンズ104を透過した像を撮影する。
【0039】
手ブレ補正レンズ104は、イメージセンサ102の撮像面と平行な面内(XY平面)において、X方向およびY方向に移動可能な状態で支持されている。第1アクチュエータ106_1は、手ブレ補正レンズ104を含む可動部105を第1(X軸)方向に位置決めし、第2アクチュエータ106_2は、可動部105を第2(Y軸)方向に位置決めする。第1アクチュエータ106_1および第2アクチュエータ106_2は、リニアアクチュエータであり、たとえばボイスコイルモータが用いられる。手ブレ補正レンズ104を含む可動部105は、第1方向、第2方向それぞれについて、可動範囲が機械的に制約されている。可動範囲の端部を、メカ端と称する。第1方向について、正方向と負方向それぞれに、メカ端が存在し、第2方向についても正方向と負方向それぞれに、メカ端が存在する。
【0040】
ブレ検出手段112は、カメラモジュール100のブレを検出し、ブレを示すブレ検出信号S1を生成する。ブレ検出手段112はたとえばジャイロセンサであり、カメラモジュール100のX軸周りの角速度ω、Y軸周りの角速度ω、Z軸周りの角速度ωを検出する。手ブレ補正レンズ104のX軸方向の位置が制御することにより、Y軸周りの回転(ブレ)を補正することができ、手ブレ補正レンズ104のY軸方向の位置が制御することにより、X軸周りの回転(ブレ)を補正することができる。ブレ検出信号S1は、少なくとも2軸の角速度ω,ωを含む。
【0041】
アクチュエータドライバ200は、ブレ検出手段112が検出したブレ検出信号S1にもとづいて、ブレが相殺されるように、手ブレ補正レンズ104の変位の目標値を示すターゲットコード(位置指令)を生成する。アクチュエータドライバ200は、内部で生成したターゲットコードにもとづいて、第1アクチュエータ106_1および第2アクチュエータ106_2それぞれに対する駆動信号S2_1,S2_2を生成する。アクチュエータ106_i(i=1,2)は、対応する駆動信号S2_iに応じて手ブレ補正レンズ104を位置決めする。
【0042】
手振れ補正では、手ブレ補正レンズ104を正確に位置決めする必要があるため、フィードバック制御(クローズドループ制御)が採用される。位置検出素子110_1,110_2はそれぞれ、手ブレ補正レンズ104の第1方向の位置(変位量)Pおよび第2方向の位置(変位量)Pを示す位置検出信号S3_1,S3_2を生成する。位置検出素子110はたとえばホールセンサなどを用いることができる。
【0043】
アクチュエータドライバ200は、手ブレ補正モード、振動検出モード、固定モードの3モードで動作可能である。
【0044】
手ブレ補正モードは通常の手ブレ補正モードである。カメラモジュール100は、アプリケーションプロセッサからの起動の指示を受けると、手ブレ補正モードで起動する。手ブレ補正モードにおいてアクチュエータドライバ200は、手ブレが補正されるように、第1アクチュエータ106_1および第2アクチュエータ106_2を駆動する。具体的には手ブレ補正モードにおいて、アクチュエータドライバ200は、第1位置検出信号S3_1の示す手ブレ補正レンズ104の位置Pが、ターゲットコードが示す目標位置PX(REF)と一致するように、第1駆動信号S2_1をフィードバック制御する。同様に、アクチュエータドライバ200は、第2位置検出信号S3_2の示す手ブレ補正レンズ104の位置Pが、ターゲットコードが示す目標位置PY(REF)と一致するように、第2駆動信号S2_2をフィードバック制御する。
【0045】
振動検出モードは、可動部105が外力によって振動しているか否かを判定するモードである。たとえばアクチュエータドライバ200は、アプリケーションプロセッサから起動指示を受ける前において、振動検出モードとなる。アクチュエータドライバ200は、アプリケーションプロセッサからの指示に応じて、振動検出モードとなってもよい。あるいは、アクチュエータドライバ200は、起動後に手ブレ補正モードにおいて動作中に、定期的、間欠的に振動検出モードとなってもよい。
【0046】
固定モードは、手ブレ補正を行わずに、手ブレ補正レンズ104を含む可動部105を所定位置に固定するモードである。アクチュエータドライバ200は、振動検出モードにおいて、可動部105の振動が検出されると、固定モードに移行する。たとえば固定モードにおいてアクチュエータドライバ200は、可動部105がメカ端と接触するように、第1アクチュエータ106_1および第2アクチュエータ106_2を駆動する。
【0047】
以上がカメラモジュール100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0048】
図2は、図1のカメラモジュール100の手ブレ補正モードの動作を説明する図である。破線800は、手ブレ補正レンズ104を含む可動部105の可動範囲を示している。可動範囲の第1方向(X軸方向)の端部801および802は、メカ端に相当する。同様に、可動範囲の第2方向(Y軸方向)の端部803および804は、メカ端に相当する。
【0049】
アクチュエータドライバ200が手ブレ補正モードであるときの動作は従来と同様であり、ブレ検出手段112が検出したブレが相殺されるように、手ブレ補正レンズ104を含む可動部105が、可動範囲800内において、X軸方向およびY軸方向に位置決めされる。
【0050】
図3は、図1のカメラモジュール100の固定モードの動作を説明する図である。固定モードでは、可動部105は、メカ端801および804に押し付けられる。これにより、カメラモジュール100に振動が加わった場合でも、可動部105がメカ端801および804から離れないため、可動部105とメカ端801、804との衝突の繰り返しを抑制できる。
【0051】
ここで、第1方向(X軸方向)について、2つのメカ端801および802が存在し、第2方向(Y軸方向)についても2つのメカ端803および804が存在する。アクチュエータドライバ200は、2つのメカ端801と802の一方を選択して、選択した一方に対して可動部105を押し付ける。同様に、2つのメカ端803と804の一方を選択して、選択した一方に対して可動部105を押し付ける。
【0052】
続いてアクチュエータドライバ200の構成を説明する。
【0053】
図4は、一実施例に係るアクチュエータドライバ200を備えるカメラモジュール100のブロック図である。アクチュエータドライバ200は、制御部210、第1駆動部220_1、第2駆動部220_2、第1振動検出部230_1、第2振動検出部230_2を備える。ジャイロセンサ112Aは、図1のブレ検出手段112であり、カメラモジュール100の角速度を検出する。
【0054】
制御部210は、手ブレ補正モードにおいて、手ブレが補正されるように、第1アクチュエータ106_1および第2アクチュエータ106_2に対する制御信号S4_1,S4_2を生成する。
【0055】
制御部210は、固定モードにおいて、手ブレ補正機構の可動部105が所定位置に固定されるように、第1アクチュエータ106_1および第2アクチュエータ106_2に対する制御信号S4_1,S4_2を生成する。
【0056】
第1駆動部220_1および第2駆動部220_2は、手ブレ補正モードおよび固定モードにおいてアクティブとなる。第1制御信号S4_1はたとえば電流指令であり、第1駆動部220_1は、第1制御信号S4_1に応じた電流量の駆動電流を、第1アクチュエータ106_1に供給する。あるいは第1制御信号S4_1は電圧指令であり、第1駆動部220_1は、第1制御信号S4_1に応じた電圧レベルの駆動電圧を、第1アクチュエータ106_1に供給する。第2駆動部220_2についても同様である。
【0057】
第1駆動部220_1および第2駆動部220_2は、振動検出モードにおいて動作を停止し、それらの出力はハイインピーダンスとなり、第1アクチュエータ106_1および第2アクチュエータ106_2は非駆動状態とされる。各アクチュエータ106_i(i=1,2)の非駆動状態は、対応する駆動部220_iの出力がハイインピーダンスである状態であり、駆動部220_iからアクチュエータ106_iに電力が供給されていない期間である。
【0058】
第1振動検出部230_1および第2振動検出部230_2は、振動検出モードにおいてアクティブとなる。
【0059】
第1振動検出部230_1は、振動検出モードにおいて、第1アクチュエータ106_1のボイスコイルに発生する逆起電力VBEMF1を監視する。そして第1振動検出部230_1は、逆起電力VBEMF1にもとづいて、外力に起因する可動部の第1方向(X軸方向)の振動を検出する。
【0060】
たとえば、第1振動検出部230_1は、逆起電力VBEMF1の振幅が所定のしきい値を越えると、第1方向の振動が発生していることを示す第1振動検出信号S5_1をアサート(たとえばハイレベル)する。
【0061】
同様に第2振動検出部230_2は、振動検出モードにおいて、第2アクチュエータ106_2のボイスコイルに発生する逆起電力VBEMF2を監視する。そして第2振動検出部230_2は、逆起電力VBEMF2にもとづいて、外力に起因する可動部の第2方向(Y軸方向)の振動を検出する。第2振動検出部230_2は、逆起電力VBEMF2の振幅が所定のしきい値を越えると、第2方向の振動が発生していることを示す第2振動検出信号S5_2をアサート(たとえばハイレベル)する。
【0062】
制御部210は、第1振動検出信号S5_1および第2振動検出信号S5_2にもとづいて、固定モードに移行するか否かを決定する。
【0063】
以上がアクチュエータドライバ200の構成である。続いて、アクチュエータドライバ200の振動検出モードおよび固定モードの動作を説明する。
【0064】
制御部210は、振動検出モードにおいて、第1駆動部220_1および第2駆動部220_2を停止状態とする。第1振動検出部230_1は、逆起電力VBEMF1にもとづいて、可動部105の第1方向の振動の有無を判定する。そして振動が発生しているものと判定すると、第1振動検出信号S5_1をアサートする。第2振動検出部230_2は同様に、逆起電力VBEMF2にもとづいて、可動部105の第2方向の振動の有無を判定する。そして振動が発生しているものと判定すると、第2振動検出信号S5_2をアサートする。
【0065】
制御部210は、第1振動検出信号S5_1と第2振動検出信号S5_2の少なくとも一方がアサートされると、固定モードに移行する。制御部210は、固定モードにおいて、第1駆動部220_1および第2駆動部220_2を動作状態に切りかえる。
【0066】
そして、制御部210は、可動部105が所定位置に静止するように、具体的には可動部105がメカ端と接触するように、制御信号S4_1,S4_2を生成する。
【0067】
以上がアクチュエータドライバ200の動作である。
【0068】
このアクチュエータドライバ200によれば、コイルの逆起電力を監視することにより、アクチュエータの可動子、すなわち手ブレ補正機構の可動部の振動を検出できる。この振動検出方法は、振動検出のために、駆動部220_1,220_2を動作させる必要がないため、消費電力の増加が小さいという利点がある。
【0069】
なお、位置検出素子110_1および110_2はホール素子であってもよい。この場合、アクチュエータドライバ200は、ホール素子にバイアス信号を供給するバイアス回路240_1,240_2を備える。振動検出モードでは、バイアス回路240_1,240_2を停止することができ、これにより振動検出モードにおけるアクチュエータドライバ200の消費電力を削減できる。
【0070】
続いてアクチュエータドライバ200の具体的な構成例を説明する。
【0071】
図5は、アクチュエータドライバ200Aの構成例を示すブロック図である。制御部210は、位置指令生成部212、モードコントローラ214、第1サーボコントローラ216_1、第2サーボコントローラ216_2を備える。
【0072】
位置指令生成部212は、手ブレ補正モードにおいて、ジャイロセンサ112Aが生成するブレ検出信号S1を受け、X軸およびY軸それぞれについて、ブレを相殺することができる手ブレ補正レンズ104の位置を示す位置指令PX(REF),PY(REF)を生成する。たとえば位置指令生成部212は、X軸周りの角速度ωを積分して所定のゲインを乗算することにより、位置指令PX(REF)を生成する。同様に、位置指令生成部212は、X軸周りの角速度ωを積分して所定のゲインを乗算することにより、位置指令PY(REF)を生成する。
【0073】
モードコントローラ214は、ステートマシンであり、3つのモードのひとつを選択する。モードコントローラ214は、振動検出モードにおいて、第1振動検出信号S5_1および第2振動検出信号S5_2の少なくとも一方がアサートされると、固定モードに移行する。
【0074】
モードコントローラ214からサーボコントローラ216_1,216_2に対しては、モードを指示する信号が供給される。
【0075】
第1サーボコントローラ216_1は、手ブレ補正モードにおいて、位置検出素子110_1が生成する位置検出信号S3_1が示す可動部105のX座標PX(FB)が位置指令PX(REF)に近づくように、第1制御信号S4_1を生成する。第1駆動部220_1は、第1制御信号S4_1に応じた第1駆動信号S2_1を生成する。
【0076】
同様に、第2サーボコントローラ216_2は、手ブレ補正モードにおいて、位置検出素子110_2が生成する位置検出信号S3_2が示す可動部105のY座標PY(FB)が位置指令PY(REF)に近づくように、第2制御信号S4_2を生成する。第2駆動部220は_2、第2制御信号S4_2に応じた第2駆動信号S2_2を生成する。
【0077】
第1サーボコントローラ216_1および第2サーボコントローラ216_2は、固定モードにおいて、可動部105が静止するように、第1制御信号S4_1、第2制御信号S4_2を生成する。
【0078】
(振動検出モード)
振動検出モードにおいて、第1サーボコントローラ216_1,第2サーボコントローラ216_2は、動作を停止することができる。これにより消費電力を削減できる。
【0079】
以上がアクチュエータドライバ200Aの構成例である。
【0080】
続いて、固定モードにおける、可動子の固定方法について説明する。
【0081】
(第1の固定方法)
一実施例に係る第1サーボコントローラ216_1は、固定モードにおいて第1制御信号S4_1を所定値Aに固定する。同様に、第2サーボコントローラ216_2は、固定モードにおいて第2制御信号S4_2を所定値Aに固定する。この場合、ディセーブル状態における第1サーボコントローラ216_1および第2サーボコントローラ216_2は、演算処理が不要となるため、消費電力がイネーブル状態に比べて減少するという利点がある。
【0082】
図6は、第1サーボコントローラ216_1の第1の構成例を示すブロック図である。第1サーボコントローラ216_1は、誤差検出器270、補償器272、セレクタ274、固定値生成部276を含む。
【0083】
誤差検出器270および補償器272は、手ブレ補正モードにおいてアクティブとなり、位置指令PX(REF)と位置のフィードバック信号PX(FB)の誤差がゼロに近づくように、フィードバックによって第1制御信号S4_1を生成する。誤差検出器270は、位置指令PX(REF)と位置のフィードバック信号PX(FB)の誤差を示す誤差信号を生成する。補償器272は、PI(比例積分)補償器あるいはPID(比例積分微分)補償器などであり、誤差信号を入力とする演算を行い、第1制御信号S4_1を生成する。
【0084】
固定値生成部276は、固定モードにおいて、第1制御信号S4_1の値となる所定値Aを出力する。固定値生成部276は、メカ端選択信号MEにもとづいて、所定値Aを変化させる。たとえば、正の所定値をTとするとき、Aの値を、メカ端選択信号MEにもとづいて、Tと-Tの2値で切りかえてもよい。
【0085】
セレクタ274は、モード制御信号MODEが第1値(1)であるとき、補償器272の出力を選択し、モード制御信号MODEが第2値(0)であるとき、固定値生成部276が生成する所定値を選択し、選択した信号を、第1制御信号S4_1として出力する。
【0086】
以上が第1サーボコントローラ216_1の構成例である。第2サーボコントローラ216_2は、第1サーボコントローラ216_1と同様に構成される。
【0087】
図6の第1サーボコントローラ216_1によれば、手ブレ補正モードでは、サーボ制御によって可動部105を目標位置に位置決めして、手ブレをキャンセルすることができる。また固定モードでは、オープンループ制御によって第1制御信号S4_1を固定することにより、可動部105を、重力方向に応じて選択されたメカ端に押し付けることができる。
【0088】
(第2の固定方法)
一実施例に係る第1サーボコントローラ216_1は、固定モードにおいて、第1位置指令を、メカ端を超えた位置に固定する。
【0089】
図7は、第1サーボコントローラ216_1の第2の構成例を示すブロック図である。固定目標位置設定部278は、固定モードにおける可動部105の目標位置を示す固定値Sfixを生成する。この目標位置は、可動部105のX軸方向の可動範囲の外側に定められる。
【0090】
セレクタ280は、モード制御信号MODEが第1値(1)であるとき、位置指令生成部212が生成する位置指令PX(REF)を選択し、モード制御信号MODEが第2値(0)であるとき、固定目標位置設定部278が生成する固定値Sfixを選択する。
【0091】
誤差検出器270は、セレクタ280の出力とフィードバック信号PX(FB)の誤差を示す誤差信号を生成する。補償器272は、PI(比例積分)補償器あるいはPID(比例積分微分)補償器などであり、誤差信号を入力とする演算を行い、第1制御信号S4_1を生成する。
【0092】
図7の第1サーボコントローラ216_1によれば、手ブレ補正モードでは、サーボ制御によって可動部105を目標位置に位置決めして、手ブレをキャンセルすることができる。また固定モードにおいても、サーボ制御は有効であるが、そのときの第1位置指令はメカ端を超えた位置に設定されているため、フィードバック信号PX(FB)と位置指令Sfixの誤差は非ゼロを維持するため、第1制御信号S4_1の大きさが大きくなる。これにより、第1アクチュエータ106_1に大きな力を発生させることができ、可動部105をメカ端に押し付けることができる。
【0093】
(変形例)
上述した実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なことが当業者に理解される。以下、こうした変形例について説明する。
【0094】
(変形例1)
実施形態では固定モードにおいて、可動部105をメカ端に押し付けて固定したがその限りでない。アクチュエータ106_1,106_2の力が十分に強い場合には、アクチュエータドライバ200は、固定モードにおいて、可動部105を、可動範囲内の所定位置に静止させてもよい。
【0095】
(変形例2)
実施形態では、振動が検出されると固定モードとなり、可動子を固定したがその限りでない。たとえばアクチュエータドライバ200は、振動を検出すると、アプリケーションプロセッサに通知してもよい。この通知に応答して、アプリケーションプロセッサは、電子機器のユーザに対して、振動を取り除くように警告してもよい。
【0096】
(変形例3)
実施形態では、手ブレ補正機構として、手ブレ補正レンズをイメージセンサと平行にシフトさせるものを説明したがその限りでない。たとえばイメージセンサをシフトさせる手ブレ補正機構やプリズムを利用した手ブレ補正機構にも、本開示は適用可能である。
【0097】
(変形例4)
実施形態では、角度ブレを対象とする補正を説明したが、並進ブレを補正してもよく、並進ブレの検出には、ジャイロセンサに代えて加速度センサを利用してもよい。その場合、並進ブレ検出用のセンサと、モード制御のための振動検出用のセンサを兼用できる。反対に、モード制御のための振動の検出に、ジャイロセンサを利用してもよい。
【0098】
(変形例5)
第1振動検出信号S5_1のみがアサートされる状況では、第1方向についてのみ、可動部105を固定する制御を行い、第2振動検出信号S5_2のみがアサートされる状況では、第2方向についてのみ、可動部105を固定する制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 カメラモジュール
102 イメージセンサ
104 手ブレ補正レンズ
105 可動部
106_1 第1アクチュエータ
106_2 第2アクチュエータ
110 位置検出素子
112 ブレ検出手段
112A ジャイロセンサ
114 CPU
200 アクチュエータドライバ
210 制御部
212 位置指令生成部
214 モードコントローラ
216_1 第1サーボコントローラ
216_2 第2サーボコントローラ
220_1 第1駆動部
220_2 第2駆動部
230_1 第1振動検出部
230_2 第2振動検出部
270 誤差検出器
272 補償器
274 セレクタ
276 固定値生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7