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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148663
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20231005BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04C15/00 K
F04C15/00 E
F04B53/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056807
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】金物 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前川 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】池田 智一
【テーマコード(参考)】
3H044
3H071
【Fターム(参考)】
3H044AA02
3H044CC14
3H044DD05
3H044DD18
3H044DD27
3H044DD28
3H071AA01
3H071BB01
3H071CC32
3H071CC36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被取付体に変更が生じた場合であっても製造コストが増大することを抑制できる構造を有する電動ポンプを提供する。
【解決手段】中心軸を中心として回転可能なシャフトおよびロータを有するモータと、シャフトの軸方向の一方側に連結されるポンプ機構と、モータを収容するハウジングと、ハウジングと別体に設けられたフランジ部と、を備える。ハウジングは、内部に前記モータを収容するハウジング本体部と、フランジ部に着脱可能なフランジ固定部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なシャフトおよびロータを有するモータと、
前記シャフトの軸方向の一方側に連結されるポンプ機構と、
前記モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングと別体に設けられたフランジ部と、を備え、
前記ハウジングは、
内部に前記モータを収容するハウジング本体部と
前記フランジ部に着脱可能なフランジ固定部と、を有する
電動ポンプ。
【請求項2】
前記フランジ固定部は、
前記ハウジング本体部から前記シャフトの軸方向に交差する径方向に延び、
前記シャフトの軸方向の一方側を向く第1面と、
前記シャフトの軸方向の他方側を向く第2面と、を有し、
前記フランジ部は、
前記第1面および前記第2面のいずれか一方に接触する
請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記フランジ固定部は、
前記フランジ部に固定部材で固定され、
前記フランジ部は、
前記固定部材が固定されるボス部を有し、
前記ボス部の端面は、
前記第1面および前記第2面のいずれか一方に接触する
請求項2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記固定部材は、
ボルトである
請求項3に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記モータに電気的に接続される基板を備え、
前記ハウジングは、
前記基板を前記中心軸回りに囲んで収容する基板収容部を有し、
軸方向から見て前記基板収容部の内縁は、周方向に延びる円弧状内縁部と、
直線状に延びる直線状内縁部と、を有し、
軸方向から見て前記基板の外縁は、
前記円弧状内縁部の径方向内側に対向して配置され、周方向に延びる円弧状外縁部と、
前記直線状内縁部の径方向内側に対向して配置され、直線状に延びる直線状外縁部と、
を有し、
前記フランジ固定部は、
前記基板収容部の径方向外縁部のうち前記直線状内縁部の径方向外側に位置する部分から径方向外側に突出している
請求項1から4のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
前記フランジ部は、
前記ハウジング本体部を囲む環状である
請求項1から5のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項7】
前記フランジ部は、
内周にメネジを有し、
前記ハウジング本体部は、
外周に前記メネジに締結されるオネジを有する
請求項6に記載の電動ポンプ。
【請求項8】
前記フランジ部は、
前記フランジ固定部が固定され、周方向に間隔を空けて配置される複数のハウジング固定部と、
被取付体に固定され、周方向に間隔を空けて配置される複数の被取付体固定部と、
を有し、
前記複数のハウジング固定部と前記複数の被取付体固定部とは、周方向の位置が互いに異なる
請求項1から7のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項9】
前記複数のハウジング固定部それぞれの周方向の位置は、
周方向に隣り合う前記被取付体固定部どうしの間の位置である
請求項8に記載の電動ポンプ。
【請求項10】
前記被取付体固定部は、
周方向に間隔をあけて3つ設けられ、
前記ハウジング固定部は、
周方向に間隔をあけて2つ設けられ、
3つの前記被取付体固定部のうちの1つの第1被取付体固定部が、2つの前記ハウジング固定部のうちの一方の第1ハウジング固定部と隣接して設けられ、
軸方向から見て、3つの前記被取付体固定部のうちの前記第1被取付体固定部以外の第2被取付体固定部、第3被取付体固定部、および2つの前記ハウジング固定部のうちの他方の第2ハウジング固定部は、
前記第1ハウジング固定部と前記中心軸とを結んだ直線に直交し前記中心軸を通る直線を挟んで、前記第1ハウジング固定部および前記第1被取付体固定部が配置されている側と反対側に配置される
請求項8または9に記載の電動ポンプ。
【請求項11】
前記ハウジング固定部の少なくとも一部が、軸方向から見て、前記被取付体固定部の少なくとも一部に重なる
請求項8から10のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された電動ポンプは、モータを収容するセンターハウジングを有する。センターハウジングは、被取付体である自動変速機のハウジングにボルト固定するためのフランジが設けられている。電動ポンプの吐出ポートは、被取付体のハウジングに設けられた吐出油路に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-82918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動ポンプは、電動ポンプが取り付けられる被取付体が変わると、ハウジング全体の形状を変更する必要などが生じる。そのため、電動ポンプを製造するコストが増大する問題があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、被取付体に変更が生じた場合であっても製造コストが増大することを抑制できる構造を有する電動ポンプを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動ポンプの1つの態様は、中心軸を中心として回転可能なシャフトおよびロータを有するモータと、前記シャフトの軸方向の一方側に連結されるポンプ機構と、前記モータを収容するハウジングと、前記ハウジングと別体に設けられたフランジ部と、を有し、前記ハウジングは、前記フランジ部に着脱可能なフランジ固定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1つの形態によれば、被取付体に変更が生じた場合であっても製造コストが増大することを抑制できる構造を有する電動ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の電動ポンプを示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態の電動ポンプを軸方向の他方側から見た図である。
図3図3は、図2のA-A線断面図である。
図4図4は、一実施形態の電動ポンプを示す分解斜視図である。
図5図5は、フランジ部を省略した電動ポンプを示す斜視図である。
図6図6は、フランジ部を軸方向の他方側から見た図である。
図7図7は、フランジ部を示す斜視図である。
図8図8は、フランジ部を径方向の外側から見た図である。
図9図9は、蓋部を省略した電動ポンプを軸方向の他方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において図には、適宜、Y軸を示す。Y軸は、以下に説明する実施形態のシャフト21の中心軸211が延びる方向を示している。各図に示す中心軸211は、仮想軸線である。以下の説明では、中心軸211が延びる方向、つまりY軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸211を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸211を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を「一方側」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を「他方側」と呼ぶ。
【0010】
図1図3に示す本実施形態による電動ポンプ1は、例えば自動変速機などの被取付体11に取り付けられる。被取付体11は、図3に示す。電動ポンプ1は、モータ2と、ポンプ機構3と、ハウジング4と、フランジ部5と、を有する。図3に示すように、モータ2は、中心軸211を中心として回転可能なシャフト21およびロータ22を有する。ポンプ機構3は、シャフト21の軸方向の一方側に連結される。ハウジング4は、モータ2を収容する。フランジ部5は、ハウジング4とは別体に設けられる。
【0011】
被取付体11は、凹部111と、固定面112と、吸入路113と、を有する。凹部111の内部は、電動ポンプ1の軸方向の一方側の部分を配置する領域である。凹部111は、軸方向の他方側に開口している。凹部111を軸方向から見た形状は、円形である。固定面112は、凹部111の周囲に位置し軸方向の他方側を向く面である。吸入路113は、凹部111の軸方向の一方側に連続して設けられている。吸入路113には、後述する吸入ポート431が嵌めこまれる。
【0012】
図3図5に示すように、ハウジング4は、ハウジング本体部41と、カバー部材42と、ポンプカバー部材43と、を有する。ハウジング本体部41の内部には、モータ2が収容される。ハウジング本体部41は、中心軸211を中心として軸方向に延びる略円筒状である。カバー部材42は、ハウジング本体部41の軸方向の他方側に固定される。ポンプカバー部材43は、ハウジング本体部41の軸方向の一方側に配置される。ポンプカバー部材43は、吸入ポート431を有する。吸入ポート431は、軸方向に延びる円筒状である。上述しているように、吸入ポート431は、被取付体11の吸入路113に嵌め込まれる。吸入ポート431の外周面431aと吸入路113の内周面113aとの間には、クリアランス83が設けられる。吸入ポート431の外周面には、環状のシール部材73が設けられる。吸入ポート431が被取付体11の吸入路113に嵌め込まれると、シール部材73が変形して吸入路113の内周面113aと密着する。
【0013】
カバー部材42は、カバー円筒部44と、2つのフランジ固定部45,46と、爪部47と、蓋部48と、を有する。カバー円筒部44は、中心軸211を中心として軸方向に延びる略円筒状である。爪部47は、カバー円筒部44の軸方向の一方側に接続されている。爪部47は、周方向に間隔をあけて複数配列されている。蓋部48は、カバー円筒部44の軸方向の他方側に着脱可能に設けられる。
【0014】
図3に示すように、カバー円筒部44は、ハウジング本体部41の軸方向の他方側に配置される。カバー円筒部44の外径は、ハウジング本体部41の軸方向の他方側の部分における外径と略同じ大きさである。カバー円筒部44の内径は、ハウジング本体部41の軸方向の他方側の部分における内径と略同じ径である。爪部47は、ハウジング本体部41の軸方向の他方側の端部に固定される。爪部47がハウジング本体部41に固定されることによって、カバー円筒部44とハウジング本体部41とが連結される。
【0015】
図2に示すように、2つのフランジ固定部45,46は、それぞれカバー円筒部44の外周面における軸方向の他方側の部分から径方向の外側に突出している。2つのフランジ固定部45,46は、それぞれハウジング本体部41の外周面よりも径方向の外側に突出している。2つのフランジ固定部45,46は、周方向に180°間隔をあけて配置される。
【0016】
図3に示すように、フランジ固定部45,46は、軸方向の一方側を向く第1面451と、軸方向の他方側を向く第2面452と、を有する。第1面451は、フランジ固定部45,46における軸方向の一方側の端面である。第2面452は、フランジ固定部45,46における軸方向の他方側の端面である。フランジ固定部45,46は、軸方向に貫通する孔部453を有する。孔部453は、後述するボルト6の径よりもやや大きい、孔部453に挿入されたボルト6と、孔部453の内周面との間にはクリアランス84が設けられる。
【0017】
図4図6図7に示すように、フランジ部5は、フランジ円筒部51と、2つのハウジング固定部52,53と、3つの被取付体固定部54,55,56と、を有する。フランジ円筒部51は、中心軸211を中心として軸方向に延びる略円筒状である。フランジ円筒部51は、環状である。図7および図8に示すように、フランジ円筒部51の軸方向の一方側の部分は、軸方向の他方側の部分よりも外径が小さい。フランジ円筒部51における軸方向の一方側で外径が小さい部分を小径部513と表記し、軸方向の他方側で外径が大きい部分を大径部512と表記する。小径部513の外形は、凹部111の内径よりも小さい。小径部513は、凹部111に挿入可能である。大径部512の外形は、凹部111の内径よりも大きい。大径部512は、凹部111に挿入不可能である。図6に示すように、2つのハウジング固定部52,53および3つの被取付体固定部54,55,56は、大径部512から径方向の外側に突出している。
【0018】
フランジ円筒部51の内径は、軸方向全体にわたって略同じ寸法である。大径部512の内径と小径部513の内径とは同じ寸法である。フランジ円筒部51の内径は、ハウジング本体部41およびカバー円筒部44の外径よりもやや大きい。ハウジング本体部41およびカバー部材42における軸方向の一方側でフランジ固定部45,46が設けられていない部分は、フランジ円筒部51の内側を通り抜け可能である。カバー部材42における軸方向の他方側でフランジ固定部45,46が設けられている部分は、フランジ円筒部51の内側を通り抜け不可能である。
【0019】
2つのハウジング固定部52,53は、フランジ円筒部51に対して周方向に180°間隔をあけて配置される。ハウジング固定部52,53には、軸方向に延びるボルト孔521が設けられている。ボルト孔521には、メネジが設けられボルト6を締結可能である。2つのハウジング固定部52,53には、ボルト孔521を設けるための円筒体であるボス522が設けられる。3つの被取付体固定部54,55,56は、周方向に間隔をあけて配置される。3つの被取付体固定部54,55,56には、軸方向に貫通する孔部541が設けられている。孔部541には、フランジ部5を被取付体11に固定するためのピンやボルトなどの固定部材が挿入される。3つの被取付体固定部54,55,56には、孔部541を設けるための円筒体であるボス542が設けられる。
【0020】
フランジ円筒部51の大径部512の軸方向の一方側の面、2つのハウジング固定部52,53のボス522の軸方向の一方側の面、3つの被取付体固定部54,55,56のボス542の一方側の面は、中心軸211に直交する同一面に配置される。これらのフランジ円筒部51の大径部512の軸方向の一方側の面、2つのハウジング固定部52,53のボス522の軸方向の一方側の面、3つの被取付体固定部54,55,56のボス542の一方側の面を併せて、フランジ部固定面5aと表記する。
【0021】
図2に示すように、フランジ部5は、被取付体11の凹部111に軸方向の他方側から挿入される。フランジ部5の小径部513は、凹部111の内部に挿入される。小径部513の外周面と凹部111の内周面との間には、クリアランス81が設けられる。小径部513の周囲には、環状のシール部材71が設けられている。小径部513が凹部111に挿入されると、シール部材71が変形して凹部111の内周面と密着する。
フランジ部5の大径部512、2つのハウジング固定部52,53、3つの被取付体固定部54,55,56は、凹部111の内径よりも外形が大きいため凹部111の内部に挿入されない。フランジ部5の5aは、凹部111の周囲の固定面112と接触する。
【0022】
図6に示すように、2つのハウジング固定部52,53は、3つの被取付体固定部54,55,56よりも、フランジ円筒部51の中心軸からの距離が短い。すなわち、2つのハウジング固定部52,53は、3つの被取付体固定部54,55,56よりも径方向の内側に配置されている。2つのハウジング固定部52,53は、3つの被取付体固定部54,55,56と径方向にずれた位置に配置される。2つのハウジング固定部52,53と3つの被取付体固定部54,55,56とは、周方向の位置が異なる。
【0023】
2つのハウジング固定部52,53を第1ハウジング固定部52および第2ハウジング固定部53と表記する。3つの被取付体固定部54,55,56を第1被取付体固定部54、第2被取付体固定部55および第3被取付固定部56と表記する。第1ハウジング固定部52は、第1被取付体固定部54と第2被取付体固定部55との略中央を通る直線上に配置される。第3被取付固定部56は、第1被取付体固定部54と第2被取付体固定部55との間を通る直線上に配置される。第2ハウジング固定部53は、第3被取付固定部56の近傍に隣接して配置される。第1ハウジング固定部52と中心軸211とを結ぶ直線571に直交し、中心軸211を通る直線572で区分された一方側には、隣接する第3被取付固定部56および第2ハウジング固定部53が配置され、他方側には、第1被取付体固定部54、第2被取付体固定部55および第1ハウジング固定部52が配置される。図3において直線572で区分された一方側とは、直線572の右側の部分であり、他方側とは、直線572の左側の部分である。
【0024】
図6に示すように、フランジ円筒部51における大径部512および2つのハウジング固定部52,53および3つの被取付体固定部54,55,56が設けられる部分には、複数の肉抜き部58が設けられて、隣り合う肉抜き部58の間および外周部にリブ59が設けられる。2つのハウジング固定部52,53のボス522および3つの被取付体固定部54,55,56のボス542は、リブ59と接続される。
フランジ円筒部51は、フランジ部固定面5aから軸方向の一方側に突出する位置決めピン514を有する。位置決めピン514は、被取付体11の固定面112に設けられた孔部に挿入可能である。
【0025】
図3および図9に示すように、ハウジング4は、基板9を中心軸回りに囲んで収容する基板収容部49を有する。基板9は、モータ2に電気的に接続される。基板収容部49は、カバー部材42の軸方向の他方側の端部に設けられる。基板収容部49の軸方向の一方側には、蓋部48が設けられる。
図9に示すように、軸方向から見て、基板収容部49の内縁は、周方向に延びる円弧状内縁部491と、直線状に延びる直線状内縁部492と、を有する。軸方向から見て基板9の外縁は、円弧状内縁部491の径方向内側に対向して配置され、周方向に延びる円弧状外縁部91と、直線状内縁部492の径方向内側に対向して配置され、直線状に延びる直線状外縁部92と、を有する。フランジ固定部45,46は、基板収容部49の径方向外縁部のうち直線状内縁部492の径方向外側に位置する部分から径方向外側に突出している。
【0026】
電動ポンプ1は、以下のように被取付体11に取り付けられる。フランジ部5の小径部513を凹部111に入れて、フランジ部5のフランジ部固定面5aを被取付体11の固定面112と接触させる。フランジ部5に設けられた位置決めピン514を固定面112に設けられた孔部に挿入する。3つの被取付体固定部54,55,56の孔部541にフランジ部5を被取付体11に固定するためのピンやボルトなどの固定部材を挿入し、フランジ部5を被取付体11に固定する。
【0027】
被取付体11に固定されたフランジ部5の内部にモータ2やポンプ機構3を収容したハウジング4を軸方向の他方側から挿入し、ハウジング4を凹部111に配置する。吸入ポート431を被取付体11の吸入路113に嵌め込む。ハウジング4の2つのフランジ固定部45,46をフランジ部5の2つのハウジング固定部52,53の軸方向の他方側に重ねて配置する。フランジ固定部45,46の第1面451が、ハウジング固定部52,53と接触する。
【0028】
フランジ固定部45,46の孔部453およびハウジング固定部52,53のボルト孔521にボルト6を挿入し、ボルト6をハウジング固定部52,53のボルト孔521に締結する。ハウジング4がフランジ部5に固定され、電動ポンプ1が被取付体11に取り付けられる。
図3に示すように、ハウジング4がフランジ部5に固定されると、フランジ円筒部51の内部には、ハウジング本体部41とカバー部材42との接続部分が配置される。フランジ円筒部51の内周面とハウジング本体部41およびカバー部材42のカバー円筒部44それぞれの外周面との間には、クリアランス82が設けられる。カバー円筒部44の外周面には、環状のシール部材72が設けられている。フランジ円筒部51に挿入されると、シール部材72が変形してフランジ円筒部51の内周面と密着する。
【0029】
本実施形態による電動ポンプ1では、被取付体11に固定されるフランジ部5とハウジング4とが別体に設けられる。このため、電動ポンプ1が取り付けられる被取付体11に変更が生じた場合であっても、フランジ部5の形状を変更すれば、ハウジング4の形状を変更する必要がないため、製造コストが増大することを抑制できる。また、電動ポンプ1が取り付けられる被取付体11自体が変わった場合であっても、フランジ部5の形状を変更すれば、ハウジング4やモータ2などを変更する必要がなく、必要に応じた被取付体11へ取り付けることができる。ハウジング4やモータ2などを変更する必要がないため、必要に応じた被取付体11への汎用性を高めることができる。
ハウジング4をフランジ部5に固定するボルト6が挿通されるフランジ固定部45,46の孔部453の内周面とボルト6の間にはクリアランス84が設けられる。フランジ円筒部51の内周面とハウジング本体部41およびカバー部材42のカバー円筒部44それぞれの外周面との間には、クリアランス82が設けられる。このため、クリアランス82,84の範囲でハウジング4とフランジ部5との位置調整を行うことができる。
【0030】
ハウジング4のフランジ固定部45,46は、軸方向の一方側を向く第1面451がフランジ部5のハウジング固定部52,53のボス522の端面と接触する。このような構成とすることにより、フランジ部5に対してハウジング4を安定した状態に配置できる。ボルト6をハウジング固定部52のボルト孔521に安定した状態で締結でき、フランジ部5にハウジング4と容易にかつ的確に固定できる。ハウジング4のフランジ固定部45,46をフランジ部5のハウジング固定部52、53にボルト6で固定するため、ハウジング4をフランジ部5に容易に固定できる。本実施形態では、ハウジング4のフランジ固定部45,46の第1面451にフランジ部5のハウジング固定部52,53のボス522の端面を接触させて固定する場合を示すが、ハウジング4におけるフランジ部5を固定する面は、第1面451だけに限らない。例えば、ハウジング4のフランジ固定部45,46の第2面452にフランジ部5が固定されてもよい。
【0031】
フランジ部5のフランジ円筒部51は、ハウジング本体部41を囲む環状である。このため、フランジ部5にハウジング本体部41を挿通させることで、フランジ部5に対してハウジング本体部41を容易に装着できる。
【0032】
ハウジング4のフランジ固定部45,46は、基板収容部49の径方向外縁部のうち直線状内縁部492の径方向外側に位置する部分から径方向外側に突出している。フランジ固定部45,46が、基板収容部49の径方向外縁部のうち円弧状内縁部491の径方向外側に位置する部分から径方向外側に突出する場合と比べて、フランジ固定部45,46を周方向の内側に配置できる。このため、ハウジング4が径方向に大きくなることを防止できる。
【0033】
2つのハウジング固定部52,53と3つの被取付体固定部54,55,56とは、周方向の位置が異なる。ハウジング固定部52,53それぞれの周方向の位置は、周方向に隣り合う被取付体固定部54,55,56の間の位置である。これにより、2つのハウジング固定部52,53と3つの被取付体固定部54,55,56とが径方向に重なることが無く、フランジ部5が径方向に大きくなることを防止できる。
【0034】
フランジ部5では、第1ハウジング固定部52と中心軸211とを結ぶ直線571に直交し、中心軸211を通る直線572で区分された一方側には、隣接する第3被取付固定部56および第2ハウジング固定部53が配置され、他方側には、第1被取付体固定部54、第2被取付体固定部55および第1ハウジング固定部52が配置される。フランジ部5に対して、2つのハウジング固定部52,53と3つの被取付体固定部54,55,56とバランスよく配置できる。第1ハウジング固定部52と第2ハウジング固定部53とが直線572の両側に対向して配置されるため、フランジ部5に対してハウジング4を安定して固定できる。換言すると、第1ハウジング固定部52と第2ハウジング固定部53とが周方向の一部に集中して配置されないため、フランジ部5に対してハウジング4を固定する箇所が集中せず、フランジ部5に対してハウジング4を安定して固定できる。第1被取付体固定部54および第2被取付体固定部55と第3被取付固定部56とが直線572の両側に対向して配置されるため、フランジ部5を被取付体11に安定して固定できる。換言すると、第1被取付体固定部54、第2被取付体固定部55および第3被取付固定部56が周方向の一部に集中して配置されないため、フランジ部5を被取付体11に固定する箇所が集中せず、フランジ部5に対してハウジング4を安定して固定できる。
【0035】
ハウジング固定部52,53の少なくとも一部が、軸方向から見て、被取付体固定部54,55,56の少なくとも一部に重なる。これにより、2つのハウジング固定部52,53と3つの被取付体固定部54,55,56とを集約できるため、フランジ部5の小型化を図ることができる。
【0036】
以上、本発明による電動ポンプの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、フランジ部5は、ハウジング固定部52,53を有し、ハウジング4は、フランジ固定部45,46を有し、フランジ固定部45、46とハウジング固定部52,53とが固定される。これに対し、フランジ部5の内周にメネジが設けられ、ハウジング本体部41の外周にオネジが設けられ、フランジ部5のメネジにハウジング本体部41のオネジが嵌るように構成されていてもよい。このようにすることで、ボルト6など部品点数を低減しながらフランジ部5に対してハウジング4を容易に取り付けることができる。フランジ部5およびハウジング本体部41は、適宜凹部や凸部などの形状を設け、フランジ部5の内周に設けたメネジと、ハウジング本体部41の外周に設けたオネジとを組立易くしてもよい。
【0037】
上記の実施形態では、ハウジング固定部52,53とフランジ固定部45,46とがボルト6で接合されているが、ハウジング固定部52,53およびフランジ固定部45,46それぞれにメネジの無い孔部が設けられ、この孔部に圧入ピンを同時に圧入して接合してもよい。
【0038】
上記の実施形態では、ハウジング4のフランジ固定部45,46は、基板収容部49の径方向外縁部のうち直線状内縁部492の径方向外側に位置する部分から径方向外側に突出している。基板9の形状や基板収容部49の形状は、適宜設定されてよい。
【0039】
上記の実施形態では、ハウジング4のフランジ固定部45,46は、軸方向の一方側を向く第1面451がフランジ部5のハウジング固定部52,53のボス522の端面と接触しているが、ハウジング4のフランジ固定部45,46は、軸方向の他方側を向く第2面452がフランジ部5のハウジング固定部52,53と接触するように構成されていてもよい。
【0040】
2つのハウジング固定部52,53、および3つの被取付体固定部54,55,56の
フランジ部5に対する配置は、上記以外であってもよい。また、2つのハウジング固定部52,53と被取付体固定部54,55,56とは、それぞれの一部が軸方向に重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…電動ポンプ、2…モータ、3…ポンプ機構、4…ハウジング、5…フランジ部、6…ボルト、9…基板、11…被取付体、21…シャフト、22…ロータ、41…ハウジング本体部、45,46…フランジ固定部、49…基板収容部、52,53…ハウジング固定部、54,55,56…被取付体固定部、91…円弧状外縁部、211…中心軸、451…第1面、452…第2面、491…円弧状内縁部、492…直線状内縁部、522,542…ボス、542…ボス、571,572…直線
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