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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148681
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】横転防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B60P1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056829
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】馬場 健
(72)【発明者】
【氏名】関根 孝明
(72)【発明者】
【氏名】稲井 恵一
(57)【要約】
【課題】より確実にダンプ車両の横転を未然に防止する。
【解決手段】荷台2の上げ下ろしを行う架装装置3が車体4に架装されたダンプ車両5が横転するのを防止するための横転防止装置1は、ダンプ車両5の傾斜を計測する第一センサ11及び第二センサ12と、第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定するチェック部14と、を備え、チェック部14は、第一センサ11の検出値と第二センサ12の検出値との差分が閾値を超える場合に、第一センサ11及び第二センサ12の少なくとも一方が故障していると判定する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台の上げ下ろしを行う架装装置が車体に架装されたダンプ車両が横転するのを防止するための横転防止装置であって、
前記ダンプ車両の傾斜を計測する第一センサ及び第二センサと、
前記第一センサ及び前記第二センサの故障を判定するチェック部と、を備え、
前記チェック部は、前記第一センサの検出値と前記第二センサの検出値との差分が閾値を超える場合に、前記第一センサ及び前記第二センサの少なくとも一方が故障していると判定する、
横転防止装置。
【請求項2】
前記第一センサは、前記車体のフレームに取り付けられて前記車体の傾斜を計測するセンサであり、
前記第二センサは、前記荷台に取り付けられて前記車体に対して上げ下ろしされる前記荷台の傾斜を計測するセンサである、
請求項1に記載の横転防止装置。
【請求項3】
前記ダンプ車両は、自律的に運行して前記荷台の上げ下ろしを行う自動運転車両であり、
前記チェック部は、前記ダンプ車両が運行する前に、前記第一センサ及び前記第二センサの故障を判定する、
請求項1又は2に記載の横転防止装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横転防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダンプ車の横転を防止する横転防止装置が記載されている。この横転防止装置では、ダンプ操作スイッチが投入されると、ダンプ車の車幅方向の傾斜角を検出するセンサにより検出された傾斜角と予め設定されている許容横転傾斜角とを比較する。そして、センサにより検出された傾斜角が許容横転傾斜角以上の場合は、警報信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-094051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、何らかの理由でセンサが故障すると、ダンプ車の実際の傾斜角が許容横転傾斜角以上である場合にも関わらず、センサにより検出された傾斜角が許容横転傾斜角以上とならない可能性がある。その結果、警報信号が出力されずに荷台がダンプアップされることで、ダンプ車が横転する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、より確実にダンプ車両の横転を未然に防止することができる横転防止装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る横転防止装置は、荷台の上げ下ろしを行う架装装置が車体に架装されたダンプ車両が横転するのを防止するための横転防止装置であって、ダンプ車両の傾斜を計測する第一センサ及び第二センサと、第一センサ及び第二センサの故障を判定するチェック部と、を備え、チェック部は、第一センサの検出値と第二センサの検出値との差分が閾値を超える場合に、第一センサ及び第二センサの少なくとも一方が故障していると判定する。
【0007】
この横転防止装置では、ダンプ車両の傾斜を計測するセンサとして、第一センサ及び第二センサの二つのセンサを備え、第一センサの検出値と第二センサの検出値との差分が閾値を超える場合に、第一センサ及び第二センサの少なくとも一方が故障していると判定する。これにより、第一センサ又は第二センサの故障を高精度に判定することができるため、より確実にダンプ車両の横転を未然に防止することができる。
【0008】
第一センサは、車体のフレームに取り付けられて車体の傾斜を計測するセンサであり、第二センサは、荷台に取り付けられて車体に対して上げ下ろしされる荷台の傾斜を計測するセンサであってもよい。この横転防止装置では、第一センサが車体のフレームに取り付けられて車体の傾斜を計測するセンサであるため、第一センサによるダンプ車両の傾斜の計測精度を高めることができる。一方、第二センサは、荷台に取り付けられて車体に対して上げ下ろしされる荷台の傾斜を計測するセンサであるため、荷台の水平時には車体の地面に対する傾斜を計測でき、荷台の傾斜時には荷台の車体に対する傾斜を計測できる。このように、第二センサは、荷台の水平時に、荷台の傾斜のみならず車体の傾斜を単独で計測できるため、チェック部は、荷台の水平時に、第一センサ及び第二センサの故障を判定することができる。これにより、ダンプ車両全体におけるセンサ数の増加を抑制することができる。
【0009】
ダンプ車両は、自律的に運行して荷台の上げ下ろしを行う自動運転車両であり、チェック部は、ダンプ車両が運行する前に、第一センサ及び第二センサの故障を判定してもよい。この横転防止装置では、ダンプ車両が、自律的に運行して荷台の上げ下ろしを行う自動運転車両である場合に、チェック部が、ダンプ車両が運行する前に、第一センサ及び第二センサの故障を判定する。このため、第一センサ又は第二センサが故障している場合に、ダンプ車両が運行して荷台の上げ下ろしが行われるのを未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より確実にダンプ車両の横転を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態の横転防止装置を示すブロック構成図である。
図2】第一実施形態の横転防止装置が搭載されたダンプ車両を示す模式図である。
図3】第一実施形態の横転防止装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図4】第二実施形態の横転防止装置を示すブロック構成図である。
図5】第二実施形態の横転防止装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の横転防止装置1を示すブロック構成図である。図2は、第一実施形態の横転防止装置1が搭載されたダンプ車両5を示す模式図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る横転防止装置1は、荷台2の上げ下ろしを行う架装装置3が車体4に架装されたダンプ車両5が横転するのを防止するための装置である。なお、荷台2を上げることをダンプアップといい、荷台2を下げることをダンプダウンという。ダンプ車両5は、ドライバが運転及び荷台2の上げ下ろしを操作する車両であってもよく、自律的に運行して荷台2の上げ下ろしを行う自動運転車両であってもよい。自動運転車両は、例えば、予め設定されたスケジュールで、土砂等の積み込み及び積み下ろしを行う現場まで自動運転により走行し、当該現場で荷台2を自動で上げ下ろしする。
【0014】
ダンプ車両5においては、荷台2を上げると、ダンプ車両5の重心位置が高くなる。このため、ダンプ車両5の傾斜が閾値を超えると、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転する可能性がある。ダンプ車両5の傾斜は、例えば、鉛直方向(重力方向)に対する傾斜角度で表される。また、ダンプ車両5の傾斜は、例えば、ダンプ車両5の車幅方向の傾斜である。
【0015】
そこで、横転防止装置1は、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するのを未然に防止するために、ダンプ車両5の傾斜を計測する。つまり、ダンプ車両5の傾斜を計測することで、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するか否かを推定することができ、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転すると推定した場合は、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転しないための横転防止処理を行うことができる。これにより、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するのを未然に防止することができる。なお、横転防止処理については後述する。
【0016】
横転防止装置1は、第一センサ11と、第二センサ12と、制御部13と、を備える。
【0017】
第一センサ11は、ダンプ車両5の傾斜を計測するセンサである。第二センサ12は、ダンプ車両5の傾斜を計測するセンサである。つまり、横転防止装置1は、ダンプ車両5の傾斜を計測するセンサとして、第一センサ11及び第二センサ12の二つのセンサを備えている。
【0018】
第一センサ11及び第二センサ12は、ダンプ車両5の傾斜を計測するために、ダンプ車両5における車体4及び架装装置3の何れかに取り付けられる。第一センサ11及び第二センサ12は、車体4又は架装装置3の何れか一方にのみ取り付けられてもよく、車体4及び架装装置3に分けて取り付けられてもよい。本実施形態では、一例として、車体4のフレーム6に第一センサ11が取り付けられ、架装装置3の荷台2に第二センサ12が取り付けられる。第一センサ11は、車体4の傾斜を計測するセンサであり、第二センサ12は、車体4に対して上げ下ろしされる荷台2の傾斜を計測するセンサである。第二センサ12は、荷台2の水平時には車体4の地面に対する傾斜を計測でき、荷台2の傾斜時には荷台2の車体4に対する傾斜を計測できる。このように、第二センサ12は、荷台2の傾斜のみならず車体4の傾斜を単独で計測できる。なお、自律的に走行する際に、主に第一センサ11の検出値を使用してダンプ車両5の傾斜を計測し、荷台2を上げ下ろしする際に、主に第二センサ12の検出値を使用してダンプ車両5の傾斜を計測するようにしても良い。
【0019】
第一センサ11及び第二センサ12としては、傾斜センサ、IMU(慣性計測装置:InertialMeasurement Unit)等が用いられる。第一センサ11と第二センサ12とは、同じ種類のセンサであってもよく、異なる種類のセンサであってもよい。第一センサ11と第二センサ12とが同じ種類のセンサであるとは、例えば、第一センサ11及び第二センサ12の双方が傾斜センサ又はIMUであることをいう。第一センサ11と第二センサ12とが異なる種類のセンサであるとは、例えば、第一センサ11が傾斜センサ又はIMUの何れか一方であり、第二センサ12が傾斜センサ又はIMUの何れか他方であることをいう。
【0020】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。制御部13では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。制御部13は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよく、複数の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。制御部13は、車体4に搭載されていてもよく、架装装置3に搭載されていてもよく、車体4及び架装装置3の双方に搭載されていてもよい。制御部13が車体4及び架装装置3の双方に搭載されている場合、車体4及び架装装置3のそれぞれに搭載されている制御部13は、互いに有線通信又は無線通信を行うことで、各種の制御を実行する。
【0021】
制御部13は、チェック部14と、横転判定部15と、横転防止処理部16と、を有する。
【0022】
チェック部14は、第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定する。チェック部14は、第一センサ11の検出値と第二センサ12の検出値との差分が閾値を超える場合に、第一センサ11及び第二センサ12の少なくとも一方が故障していると判定する。例えば、チェック部14は、第一センサ11の検出値及び第二センサ12の検出値を取得し、第一センサ11の検出値と第二センサ12の検出値との差分を算出する。この差分を、センサ間差分という。そして、チェック部14は、センサ間差分が閾値を超えるか否かを判定する。閾値は、例えば、第一センサ11及び第二センサ12の検出誤差により生じる範囲を含む範囲の閾値とすることができる。そして、チェック部14は、センサ間差分が閾値を超えないと判定した場合に、第一センサ11及び第二センサ12が故障していないと判定する。一方、チェック部14は、センサ間差分が閾値を超えると判定した場合に、第一センサ11及び第二センサ12の少なくとも一方が故障していると判定する。なお、チェック部14は、第一センサ11及び第二センサ12の何れが故障しているかまで判定してもよいが、第一センサ11及び第二センサ12の何れが故障しているかまでは判定しなくてもよい。
【0023】
チェック部14が第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定するタイミングは、特に限定されるものではない。例えば、チェック部14は、ダンプ車両5を始動させた際、ダンプ車両5を走行させる前、荷台2の水平時、又は荷台2を上げる前に、第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定してもよい。また、ダンプ車両5が自律的に運行して荷台2の上げ下ろしを行う自動運転車両である場合、チェック部14は、ダンプ車両5が運行する前に、第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定してもよい。
【0024】
横転判定部15は、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するか否かを判定する。横転判定部15は、例えば、チェック部14により第一センサ11及び第二センサ12が故障していないと判定した場合に、第一センサ11の検出値及び第二センサ12の検出値の少なくとも一方が、許容横転傾斜角を超えるか否かを判定する。許容横転傾斜角は、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転しない任意の傾斜角である。そして、横転判定部15は、第一センサ11の検出値及び第二センサ12の検出値の少なくとも一方が、許容横転傾斜角を超えないと判定した場合に、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転しないと判定する。一方、横転判定部15は、第一センサ11の検出値及び第二センサ12の検出値の少なくとも一方が、許容横転傾斜角を超えると判定した場合に、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転する判定する。
【0025】
横転防止処理部16は、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転しないための横転防止処理を行う。横転防止処理としては、例えば、音声、画像、振動等の警報を出力する処理、荷台2が上がらないようにする処理、ダンプ車両5を走行させないようにする処理等がある。また、ダンプ車両5が自律的に運行して荷台2の上げ下ろしを行う自動運転車両である場合、横転防止処理としては、例えば、ダンプ車両5の運行を停止又は中止する処理等がある。
【0026】
次に、図3を参照して、横転防止装置1の処理動作の一例について説明する。図3は、第一実施形態の横転防止装置1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図3では、自動運転車両であるダンプ車両5が運行する前に第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定する場合の、横転防止装置1の処理動作の一例を示している。
【0027】
図3に示すように、まず、横転防止装置1は、第一センサ11の検出値及び第二センサ12の検出値を取得する(ステップS1)。次に、横転防止装置1は、ステップS1で取得した第一センサ11の検出値と第二センサ12の検出値との差分をセンサ間差分として算出する(ステップS2)。次に、横転防止装置1は、ステップS2で算出したセンサ間差分が閾値を超えるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS2で算出したセンサ間差分が閾値を超えると判定した場合(ステップS3:YES)、横転防止装置1は、第一センサ11及び第二センサ12の少なくとも一方が故障していると判定し(ステップS4)、横転防止処理を行う(ステップS5)。ステップS5の横転防止処理では、例えば、音声、画像、振動等の警報を出力する処理、及びダンプ車両5の運行を停止又は中止する処理を行う。そして、横転防止装置1は、一旦処理を終了する。
【0028】
ステップS2で算出したセンサ間差分が閾値を超えないと判定した場合(ステップS3:NO)、横転防止装置1は、第一センサ11及び第二センサ12が故障していないと判定し(ステップS6)、運行を開始して、土砂等の積み込み及び積み下ろしを行う現場まで自動運転により走行する(ステップS7)。そして、横転防止装置1は、土砂等の積み込み及び積み下ろしを行う現場に到着すると、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8では、例えば、第一センサ11の検出値及び第二センサ12の検出値の少なくとも一方が許容横転傾斜角を超えるか否かに基づいて、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するか否かを判定する。荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転しないと判定した場合(ステップS8:NO)、横転防止装置1は、土砂等の積み込み及び積み下ろしを行う現場で荷台2を自動で上げ下ろしする(ステップS9)。そして、横転防止装置1は、一旦処理を終了する。
【0029】
荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転すると判定した場合(ステップS8:YES)、横転防止装置1は、横転防止処理を行う(ステップS10)。ステップS10の横転防止処理では、例えば、音声、画像、振動等の警報を出力する処理、及び荷台2が上がらないようにする処理を行う。そして、横転防止装置1は、一旦処理を終了する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る横転防止装置1では、ダンプ車両5の傾斜を計測するセンサとして、第一センサ11及び第二センサ12の二つのセンサを備え、第一センサ11の検出値と第二センサ12の検出値との差分が閾値を超える場合に、第一センサ11及び第二センサ12の少なくとも一方が故障していると判定する。これにより、第一センサ11又は第二センサ12の故障を高精度に判定することができるため、より確実にダンプ車両5の横転を未然に防止することができる。
【0031】
また、この横転防止装置1では、第一センサ11が車体4のフレーム6に取り付けられて車体の傾斜を計測するセンサであるため、第一センサ11によるダンプ車両5の傾斜の計測精度を高めることができる。一方、第二センサ12は、荷台2に取り付けられて車体4に対して上げ下ろしされる荷台2の傾斜を計測するセンサであるため、荷台2の水平時には車体4の地面に対する傾斜を計測でき、荷台2の傾斜時には荷台2の車体4に対する傾斜を計測できる。このように、第二センサ12は、荷台2の水平時に、荷台2の傾斜のみならず車体4の傾斜を単独で計測できるため、チェック部14は、荷台の水平時に、第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定することができる。これにより、ダンプ車両5全体におけるセンサ数の増加を抑制することができる。
【0032】
また、この横転防止装置1では、ダンプ車両5が、自律的に運行して荷台2の上げ下ろしを行う自動運転車両である場合に、チェック部14が、ダンプ車両5が運行する前に、第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定する。このため、第一センサ11又は第二センサ12が故障している場合に、ダンプ車両5が運行して荷台の上げ下ろしが行われるのを未然に防止することができる。
【0033】
[第二実施形態]
図4は、第二実施形態の横転防止装置1Aを示すブロック構成図である。第二実施形態の横転防止装置1Aは、基本的に第一実施形態の横転防止装置1と同様であり、第一実施形態の横転判定部15及び横転防止処理部16を備えない点のみ、第一実施形態の横転防止装置1と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図4に示すように、第二実施形態の横転防止装置1Aは、第一センサ11と、第二センサ12と、制御部13Aと、を備え、制御部13Aは、チェック部14を備える。このため、変形例の横転防止装置1Aは、チェック部14により第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定するが、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するか否かの判定、及び荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転しないための横転防止処理を行わない。
【0034】
図5は、第二実施形態の横転防止装置1Aの処理動作の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、第二実施形態の横転防止装置1Aは、第一実施形態と同様に、ステップS1~S3を行う。そして、ステップS2で算出したセンサ間差分が閾値を超えると判定した場合(ステップS3:YES)、横転防止装置1は、第一センサ11及び第二センサ12の少なくとも一方が故障していると判定して(ステップS4)、一旦処理を終了する。一方、ステップS2で算出したセンサ間差分が閾値を超えないと判定した場合(ステップS3:NO)、横転防止装置1は、第一センサ11及び第二センサ12が故障していないと判定して(ステップS6)、一旦処理を終了する。
【0035】
このように、第二実施形態の横転防止装置1Aにおいても、チェック部14により第一センサ11及び第二センサ12の故障を判定することで、より確実にダンプ車両の横転を未然に防止することができる。この場合、荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転するか否かの判定、及び荷台2を上げた際にダンプ車両5が横転しないための横転防止処理は、他の装置により実現してもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…横転防止装置、1A…横転防止装置、2…荷台、3…架装装置、4…車体、5…ダンプ車両、6…フレーム、11…第一センサ、12…第二センサ、13…制御部、13A…制御部、14…チェック部、15…横転判定部、16…横転防止処理部。
図1
図2
図3
図4
図5