(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148716
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ステアリングホイール及びステアリングスイッチユニット
(51)【国際特許分類】
B62D 1/08 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B62D1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056890
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】成田 一真
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雄磨
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB13
(57)【要約】
【課題】運転者からの操作入力をそれぞれ受付可能な複数の受付部を備え、受付部に十分な荷重が加わったか否かを判定することができる簡素な構成のステアリングホイール、及び、ステアリングスイッチユニットを提供する。
【解決手段】ステアリングホイール5であって、運転者が把持する把持部11と、ステアリングシャフト7に接続されるハブ部13と、ハブ部及び把持部を接続するスポーク部15と、を有し、スポーク部は、後面側に本体凹部を備えたスポーク本体51と、本体凹部に嵌め込まれるステアリングスイッチユニット53とを有し、ステアリングスイッチユニットは、スポーク部の後面の少なくとも一部を構成する基体61と、基体の後面側に設けられたタッチセンサ33と、基体と本体凹部を画定する壁面との間に設けられた押圧スイッチ79とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールであって、
運転者が把持する把持部と、
ステアリングシャフトに接続されるハブ部と、
前記ハブ部及び前記把持部を接続するスポーク部と、を有し、
前記スポーク部は、後面側に本体凹部を備えたスポーク本体と、前記本体凹部に嵌め込まれるステアリングスイッチユニットとを有し、
前記ステアリングスイッチユニットは、前記スポーク部の後面の少なくとも一部を構成する基体と、前記基体の後面側に設けられたタッチセンサと、前記基体と前記本体凹部を画定する壁面との間に設けられた押圧スイッチとを備える、ステアリングホイール。
【請求項2】
前記基体は前記スポーク部の後面を構成し、且つ、少なくとも前記タッチセンサに対応する箇所において透光性を有する表面筐体と、前記表面筐体の前面に設けられた中間筐体とを有し、
前記中間筐体と前記本体凹部との間には、前後方向を向く面を有する回路基板が設けられ、
前記回路基板の後面には複数の光源が設けられ、
前記光源はそれぞれ前記タッチセンサの操作入力を受け付ける位置に対応するように配置されている請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記光源と前記光源との間には、前記回路基板と前記表面筐体とを接続し、且つ、前記光源から発せられた光を拡散させる拡散材が設けられている請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記押圧スイッチは前記回路基板の前面に設けられている請求項2又は請求項3に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記押圧スイッチは前記本体凹部の底面に設けられている請求項2又は請求項3に記載のステアリングホイール。
【請求項6】
前記中間筐体と前記本体凹部を画定する壁面との間には弾性部材が設けられている請求項2~請求項5のいずれか1つの項に記載のステアリングホイール。
【請求項7】
前記タッチセンサはケーブルを介して前記回路基板に接続されている請求項2~請求項6のいずれか1つの項に記載のステアリングホイール。
【請求項8】
運転者が把持する把持部、及び、ステアリングシャフトに接続されるハブ部を接続し、前方に凹む本体凹部を備えたスポーク本体の後面に設けられ、前記スポーク本体と協働して前記把持部と前記ハブ部とを接続するスポーク部を構成するステアリングスイッチユニットであって、
前記本体凹部に嵌め込まれて前記スポーク部の後面を構成する基体と、前記基体の後面側に設けられたタッチセンサと、前記基体と前記本体凹部を画定する壁面との間に設けられ、前記基体に加わる前方への押圧によってスイッチ動作する押圧スイッチとを備える、ステアリングスイッチユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者から操舵入力を受け付けるステアリングホイール、及び、ステアリングホイールに設けられるステアリングスイッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングホイールであって、車載機器の操作を行うためのステアリングスイッチを備えたものが公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1のステアリングスイッチは、スイッチボディと、スイッチボディの表面側に設けられ、それぞれ透光性の表示部を備えた複数の操作ノブと、スイッチボディに収容された回路基板と、回路基板とスイッチボディとの間に設けられたラバー部材とを有している。
【0003】
スイッチボディには軸部が形成され、操作ノブはその軸部に揺動可能に軸支されている。回路基板のラバー部材側の面には複数の固定接点と、光源としての複数のLEDが設けられている。ラバー部材にはそれぞれ可動接点が設けられ、操作ノブの揺動操作に連動して固定接点を押圧する弾性押圧部が突設されている。操作ノブの揺動操作によって、固定接点と弾性操作部に設けられた可動接点とを選択的に断接し、所望のスイッチ操作がなされる。
【0004】
ラバー部材の各LEDに対向する部位には薄肉の光透過部がそれぞれ形成されている。LEDから出射する光は、ラバー部材の光透過部を透過した後、操作ノブに設けられた表示部をそれぞれ照明する。
【0005】
このようなステアリングホイールでは、運転者は、スイッチ操作を行う際に、可動接点が固定接点に導通接続するまで荷重で押圧するように、操作ノブに荷重を加えて押し込む必要がある。そのため、スイッチボディに運転者が意図することなく軽く触れただけではスイッチ操作が行われないため、誤操作を防止できるという利点がある。また、運転者は操作ノブの移動によって、スイッチ操作が行われたか否かを認識できるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のステアリングホイールでは、運転者からの操作入力を受け付ける受付部(操作ノブ)それぞれに対応する数の、可動接点と固定接点とを設ける必要がある。そのため、受付部の数が増加すると、ステアリングホイールの構造が複雑になるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は以上の背景を鑑み、運転者からの操作入力をそれぞれ受付可能な複数の受付部を備え、受付部に十分な荷重が加わったか否かを判定することができる簡素な構成のステアリングホイール、及び、ステアリングスイッチユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、ステアリングホイール(5)であって、運転者が把持する把持部(11)と、ステアリングシャフト(7)に接続されるハブ部(13)と、前記ハブ部及び前記把持部を接続するスポーク部(15)と、を有し、前記スポーク部は、後面側に本体凹部を備えたスポーク本体(51)と、前記本体凹部に嵌め込まれるステアリングスイッチユニット(53)とを有し、前記ステアリングスイッチユニットは、前記スポーク部の後面の少なくとも一部を構成する基体(61)と、前記基体の後面側に設けられたタッチセンサ(33)と、前記基体と前記本体凹部を画定する壁面との間に設けられた押圧スイッチ(79)とを備える。
【0010】
この態様によれば、タッチセンサによってそれぞれ、運転者からの操作入力の位置を取得することができる。更に、押圧スイッチによって受付部に十分な荷重が加わったか否かを判定することができる。よって、操作入力が行われる位置ごとに、運転者の接触を検出し、十分な荷重が加わったか否かを判定する押圧スイッチを設ける必要がないため、ステアリングホイールの構成が簡素になる。
【0011】
上記の態様において、好ましくは、前記基体は前記スポーク部の後面を構成し、且つ、少なくとも前記タッチセンサに対応する箇所において透光性を有する表面筐体(71)と、前記表面筐体の前面に設けられた中間筐体(73)とを有し、前記中間筐体と前記本体凹部との間には、前後方向を向く面を有する回路基板(67)が設けられ、前記回路基板の後面には複数の光源(65)が設けられ、前記光源はそれぞれ前記タッチセンサの操作入力を受け付ける位置(27)に対応するように配置されている。
【0012】
この態様によれば、光源によって表面筐体の操作入力を受け付ける位置が前側から照らされて後方に向かって発光する。よって、運転者が操作入力すべき位置を容易に視認することができる。
【0013】
上記の態様において、好ましくは、前記光源と前記光源との間には、前記回路基板と前記表面筐体とを接続し、且つ、前記光源から発せられた光を拡散させる拡散材(69)が設けられている。
【0014】
この態様によれば、光源から発した光のうち、拡散材の間以外の領域に向かう光が拡散材によって拡散される。これにより、表面筐体の光源に対応する箇所が他の部分に比べて明確に発光するため、操作入力すべき位置の視認性が向上する。
【0015】
上記の態様において、好ましくは、前記押圧スイッチは前記回路基板の前面に設けられている。
【0016】
この態様によれば、基体に加わる前方への押圧によってスイッチ動作するように、押圧スイッチを基体と本体凹部を画定する壁面との間に設けることができる。
【0017】
上記の態様において、好ましくは、前記押圧スイッチは前記本体凹部の底面(59)に設けられている。
【0018】
この態様によれば、基体に加わる前方への押圧によってスイッチ動作するように、押圧スイッチを基体と本体凹部を画定する壁面との間に設けることができる。
【0019】
上記の態様において、好ましくは、前記中間筐体と前記本体凹部を画定する壁面(59)との間には弾性部材(77)が設けられている。
【0020】
この態様によれば、基材をスポーク本体に対して変位可能に本体凹部に収容することができる。
【0021】
上記の態様において、好ましくは、前記タッチセンサはケーブルを介して前記回路基板に接続されている。
【0022】
この態様によれば、基体のスポーク本体に対する変位によって、タッチスイッチに接続するケーブルに引っ張り荷重が加わり難くなる。
【0023】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、運転者が把持する把持部(11)、及び、ステアリングシャフト(7)に接続されるハブ部(13)を接続し、前方に凹む本体凹部(55)を備えたスポーク本体(51)の後面に設けられ、前記スポーク本体と協働して前記把持部と前記ハブ部とを接続するスポーク部(15)を構成するステアリングスイッチユニット(53)であって、前記本体凹部に嵌め込まれて前記スポーク部の後面を構成する基体(61)と、前記基体の後面側に設けられたタッチセンサ(33)と、前記基体と前記本体凹部を画定する壁面との間に設けられ、前記基体に加わる前方への押圧によってスイッチ動作する押圧スイッチ(79)と、を備える。
【0024】
この態様によれば、タッチセンサによってそれぞれ、運転者からの操作入力をそれぞれ受付可能な受付部を基体の後面に構成することができる。更に、押圧スイッチによって受付部に十分な荷重が加わったか否かを判定することができる。また、タッチスイッチごとに押圧スイッチを設ける必要がないため、ステアリングホイールの構成が簡素になる。
【発明の効果】
【0025】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、ステアリングホイール(5)であって、運転者が把持する把持部(11)と、ステアリングシャフト(7)に接続されるハブ部(13)と、前記ハブ部及び前記把持部を接続するスポーク部(15)と、を有し、前記スポーク部は、後面側に本体凹部を備えたスポーク本体(51)と、前記本体凹部に嵌め込まれるステアリングスイッチユニット(53)とを有し、前記ステアリングスイッチユニットは、前記スポーク部の後面の少なくとも一部を構成する基体(61)と、前記基体の後面側に設けられたタッチセンサ(33)と、前記基体と前記本体凹部を画定する壁面との間に設けられた押圧スイッチ(79)とを備える。
【0026】
この態様によれば、タッチセンサによってそれぞれ、運転者からの操作入力の位置を取得することができる。更に、押圧スイッチによって受付部に十分な荷重が加わったか否かを判定することができる。よって、操作入力が行われる位置ごとに、運転者の接触を検出し、十分な荷重が加わったか否かを判定する押圧スイッチを設ける必要がないため、ステアリングホイールの構成が簡素になる。
【0027】
上記の態様において、好ましくは、前記基体は前記スポーク部の後面を構成し、且つ、少なくとも前記タッチセンサに対応する箇所において透光性を有する表面筐体(71)と、前記表面筐体の前面に設けられた中間筐体(73)とを有し、前記中間筐体と前記本体凹部との間には、前後方向を向く面を有する回路基板(67)が設けられ、前記回路基板の後面には複数の光源(65)が設けられ、前記光源はそれぞれ前記タッチセンサの操作入力を受け付ける位置(27)に対応するように配置されている。
【0028】
この態様によれば、光源によって表面筐体の操作入力を受け付ける位置が前側から照らされて後方に向かって発光する。よって、運転者が操作入力すべき位置を容易に視認することができる。
【0029】
上記の態様において、好ましくは、前記光源と前記光源との間には、前記回路基板と前記表面筐体とを接続し、且つ、前記光源から発せられた光を拡散させる拡散材(69)が設けられている。
【0030】
この態様によれば、光源から発した光のうち、拡散材の間以外の領域に向かう光が拡散材によって拡散される。これにより、表面筐体の光源に対応する箇所が他の部分に比べて明確に発光するため、操作入力すべき位置の視認性が向上する。
【0031】
上記の態様において、好ましくは、前記押圧スイッチは前記回路基板の前面に設けられている。
【0032】
この態様によれば、基体に加わる前方への押圧によってスイッチ動作するように、押圧スイッチを基体と本体凹部を画定する壁面との間に設けることができる。
【0033】
上記の態様において、好ましくは、前記押圧スイッチは前記本体凹部の底面(59)に設けられている。
【0034】
この態様によれば、基体に加わる前方への押圧によってスイッチ動作するように、押圧スイッチを基体と本体凹部を画定する壁面との間に設けることができる。
【0035】
上記の態様において、好ましくは、前記中間筐体と前記本体凹部を画定する壁面(59)との間には弾性部材(77)が設けられている。
【0036】
この態様によれば、基材をスポーク本体に対して変位可能に本体凹部に収容することができる。
【0037】
上記の態様において、好ましくは、前記タッチセンサはケーブルを介して前記回路基板に接続されている。
【0038】
この態様によれば、基体のスポーク本体に対する変位によって、タッチスイッチに接続するケーブルに引っ張り荷重が加わり難くなる。
【0039】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、運転者が把持する把持部(11)、及び、ステアリングシャフト(7)に接続されるハブ部(13)を接続し、前方に凹む本体凹部(55)を備えたスポーク本体(51)の後面に設けられ、前記スポーク本体と協働して前記把持部と前記ハブ部とを接続するスポーク部(15)を構成するステアリングスイッチユニット(53)であって、前記本体凹部に嵌め込まれて前記スポーク部の後面を構成する基体(61)と、前記基体の後面側に設けられたタッチセンサ(33)と、前記基体と前記本体凹部を画定する壁面との間に設けられ、前記基体に加わる前方への押圧によってスイッチ動作する押圧スイッチ(79)と、を備える。
【0040】
この態様によれば、タッチセンサによってそれぞれ、運転者からの操作入力をそれぞれ受付可能な受付部を基体の後面に構成することができる。更に、押圧スイッチによって受付部に十分な荷重が加わったか否かを判定することができる。また、タッチスイッチごとに押圧スイッチを設ける必要がないため、ステアリングホイールの構成が簡素になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】第1実施形態に係るステアリングホイールを後方からみたときの斜視図
【
図6】第2実施形態に係るステアリングホイールの断面図
【
図7】本発明に係るステアリングホイールによるヘッドアップディスプレイの表示態様の変更を説明するための説明図
【
図8】本発明に係るステアリングホイールの第1変形例
【
図9】本発明に係るステアリングホイールの第2変形例
【
図10】本発明に係るステアリングホイールの第3変形例
【
図11】本発明に係るステアリングホイールの第4変形例
【
図12】本発明に係るステアリングホイールの第5変形例
【
図13】本発明に係るステアリングホイールの第6変形例
【
図14】本発明に係るステアリングホイールの第7変形例
【
図15】本発明に係るステアリングホイールの第8変形例
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明のステアリングホイール及びステアリングスイッチユニットについて、図面を参照して説明する。
【0043】
<<第1実施形態>>
第1実施形態に係るステアリングホイール5は、運転席の前方に設けられる。以下では、
図1に示すように、運転席が車両右側部分に位置する(いわゆる右ハンドルの)場合について説明を行うが、本発明は運転席の位置には限定されない。
【0044】
図1に示すように、ステアリングホイール5は運転席の車体前方に設けられたステアリングシャフト7に結合されている。ステアリングシャフト7は、運転席の前方に設けられ、車体に支持されたステアリングコラム(不図示)に回転自在に保持されている。これにより、ステアリングホイール5は車体にステアリングシャフト7の軸線Xを中心とする回転可能に支持されている。軸線Xは車体後方に向かって斜め上方に直線状に延びている。
【0045】
ステアリングホイール5は、運転者によって把持されるリム11(把持部)と、ステアリングシャフト7に接続されるハブ13(ハブ部)と、ハブ13から放射状に延びてリム11に連結するスポーク15(スポーク部)と、を備えている。
【0046】
リム11はステアリングシャフト7の軸線X(すなわち、操舵軸)を中心とする円環状をなし、ステアリングシャフト7の外縁を画定している。リム11は操舵入力を行うべく、運転者が把持する把持部として機能する。運転者が軸線Xを中心としてリム11を回転させると、その回転角(すなわち、操舵角)に応じて車輪の舵角が変更される。すなわち、リム11は操舵入力を行う運転者が把持する把持部として機能し、ステアリングホイール5は運転者から操舵に係る操作を受け付ける操舵操作子として機能する。
【0047】
ステアリングホイール5には一対のスポーク15が設けられている。スポーク15はそれぞれ基端側においてハブ13に接続され、軸線Xから互いに離反する方向に延び、延出端においてリム11の径方向内側の面に接続している。操舵角がゼロであるときには、スポーク15はそれぞれ概ね左右方向に延在している。
【0048】
スポーク15とリム11との接続部分であって、その上縁にはそれぞれ、径方向外側且つ下方に凹むリム凹部16が設けられている。リム凹部16は運転者の親指程度の大きさに形成され、運転者はそのリム凹部16に指を引っ掛けることができる。
【0049】
本実施形態では、スポーク15の基端(径方向内端)はそれぞれ二股に分岐し、それぞれハブ13に接続されている。これにより、スポーク15にはそれぞれ前後方向に貫通する貫通孔であるスポーク貫通孔17が設けられている。以下、操舵角がゼロであるときを基準として、スポーク15の態様について詳細に説明する。
【0050】
<ステアリングスイッチの構成>
図1及び
図2に示すように、スポーク15(スポーク部)にはその後面にそれぞれ、運転者からの操作入力を受け付けるためのステアリングスイッチ19が設けられている。左右のスポーク15は概ね左右対称をなすため、以下では、右側のスポーク15について説明を行う。
【0051】
以下では、ステアリングシャフト7の軸線Xに沿う方向であって、車体の前側を向く方向を前方とし、車体の後側を向く方向を後方と記載する。また、軸線Xに直交する方向であって、車体左側を左方向、車体右側を右方向、車体上側を上方向、車体下側を下方向とそれぞれ定義して説明を行う。但し、この定義は説明の便宜上のものであり、本発明はこの定義によって限定されない。
【0052】
ステアリングスイッチ19は、スポーク貫通孔17の上縁及び右縁(軸線Xから離反する側の縁部)に沿って延在する周縁部21と、スポーク貫通孔17の下縁に沿って延在する下縁部23とを備えている。周縁部21及び下縁部23の後面はそれぞれ、スポーク15の後面を構成している。
【0053】
周縁部21の後面には、ステアリングシャフト7の軸線Xに直交する仮想面S(
図3、
図4、及び
図5参照)に対して傾斜する傾斜面25が設けられている。
図2に示すように、傾斜面25はスポーク貫通孔17に間隔をおいて外囲している。傾斜面25は軸線Xの径方向内側に向かって、前方に傾斜している。
【0054】
傾斜面25は、スポーク貫通孔17の外縁に沿って延在する第1傾斜面25Aと、第1傾斜面25Aの外縁(スポーク貫通孔17から離れた側の縁部)に沿って延在する第2傾斜面25Bとを含む。第1傾斜面25A及び第2傾斜面25Bはそれぞれ、ステアリングシャフト7の軸線Xに直交する仮想面Sに対して傾斜した面を構成している。
図3に示すように、第2傾斜面25Bの仮想面Sに対する傾斜角度θ2は、第1傾斜面25Aの仮想面Sに対する傾斜角度θ1よりも大きい。
【0055】
図1及び
図2に示すように、周縁部21には、運転者からの操作入力を受け付ける2つの受付部27が設けられている。一方の受付部27(以下、第1受付部27A)は周縁部21の径方向外側の側縁に沿って、正面視で略上下方向に延在している。他方の受付部27(以下、第2受付部27B)は周縁部21の上縁に沿って、正面視で略左右方向に延在している。第1受付部27A及び第2受付部27Bはそれぞれ、第2傾斜面25Bに重なるように配置されている。
【0056】
第1受付部27Aには第1突条29Aが、第2受付部27Bには第2突条29Bがそれぞれ設けられている。第1突条29A及び第2突条29Bはそれぞれ、スポーク15の後面(詳細には、傾斜面25)から後方に突出し、所定方向に延びる筋状(リブ状)をなしている。第1突条29A及び第2突条29Bはそれぞれ、第1受付部27A、及び第2受付部27Bの操作入力を検出する領域(以下、検出領域、
図2の破線部分参照)の中央に位置している。第1突条29Aの延在方向は第1受付部27Aの延在方向に直交している。第1突条29A及び第2突条29Bはそれぞれ傾斜面25を通過している。本実施形態では、第1突条29A及び第2突条29Bはそれぞれ第2傾斜面25Bを通過している。
【0057】
第1突条29Aの延在方向と、第2突条29Bの延在方向とは互いに異なっている。具体的には、第1突条29Aは、上方から下方に向かって、ステアリングシャフト7の軸線Xに近づく方向に延在している。第2突条29Bは、上方から下方に向かって、ステアリングシャフト7の軸線Xに遠ざかる方向に延在している。
【0058】
第1受付部27Aは、スポーク15の径方向外側の左右側縁において概ね上下に延在している。第1受付部27Aは、リム11の上下方向略中央から、リム11に近づくように傾斜しながら下方に向かって延びている。第1受付部27Aの延在方向は概ね第1突条29Aの延在方向に交差している。第1受付部27Aはその延在方向、すなわち、第1突条29Aに交差する方向の運転者のスワイプ操作(スクロール操作、なぞり操作ともいう)に係る操作量(スワイプ量)を取得する。第1受付部27Aはその延在方向略中央において第1突条29Aに重なっているとよい。
【0059】
第2受付部27Bは、スポーク15の後面上縁において軸線Xの概ね径内外方向(左右方方向)に延在している。第2受付部27Bは第2突条29Bに交差している。第2受付部27Bは運転者のタッチ入力された位置を取得し、左右の選択、すなわち2値の選択に係る操作入力を受け付ける。第2受付部27Bは延在方向略中央部において第2突条29Bに重なり、第2突条29Bに対して左又は右のいずれに入力があったかに基づいて、左右の選択に係る操作入力を受け付けるとよい。
【0060】
図2に示すように、第2受付部27Bは、第1受付部27Aよりも上方、且つ、リム凹部16の下方に位置している。また、第2受付部27Bは、第1受付部27Aよりもハブ13に近い位置に設けられている。その他、第2受付部27Bの検出領域は、第2突条29Bの左及び右のそれぞれに位置する領域(例えば、
図2の2つの三角形で示された部分)に分離された形で設けられ、それぞれの領域への入力に基づいて、選択操作に係る入力を受け付けてもよい。
【0061】
第1受付部27A及び第2受付部27Bはそれぞれステアリングスイッチ19の後面に設けられた1枚(又は、複数枚)のタッチセンサ33によって構成されている。タッチセンサ33はシート状の部材であり、運転者によって接触(タッチ)された位置を取得する。タッチセンサ33は周縁部21及び下縁部23の後面を覆うように配置されている。
【0062】
タッチセンサ33は第1受付部27A及び第2受付部27Bに対応する検出領域への運転者の接触(タッチ)位置や、近接位置を取得する。更に、タッチセンサ33は検出領域内の接触位置(又は近接位置)の時間変化に基づいてスワイプ量(なぞり動作おけるなぞり量。スクロール量ともいう)を取得することができる。
【0063】
下縁部23には前方に凹むスポーク凹部35が設けられている。
図4に示すように、スポーク凹部35は、仮想面Sに対して前方に凹む凹部である。スポーク凹部35には、少なくとも一つの受付部27が設けられている。スポーク凹部35に設けられた受付部27はそれぞれ運転者からの操作入力であって、特にタッチによる操作入力を受け付ける。本実施形態では、スポーク凹部35に設けられた受付部27はそれぞれ運転者からの押圧操作も併せて受け付けるように構成されている。本実施形態では、5つの受付部27がスポーク凹部35に設けられている。
【0064】
スポーク凹部35は、第1面37、第2面39、及び、第3面41の3つの面によって画定されている。第1面37、第2面39、及び、第3面41はそれぞれ、傾斜角度が異なる略平坦な面である。スポーク凹部35の右側、すなわち、第3面41の右側には段部42(
図3及び
図4参照)が設けられている。
【0065】
第1面37は、下方に向かって後方且つ軸線Xの径外側(軸線Xから離れる方向)に傾斜している。
【0066】
第2面39は第1面37の下方に設けられている。第2面39は第1面37の下縁に接続している。第2面39は上方に向かって前方且つ軸線Xの径外側に傾斜している。第1面37と第2面39がなす角度は90度以上に設定されている。
【0067】
第3面41は、第1面37及び第2面39よりもステアリングシャフト7の軸線Xから離反する側に設けられている。第3面41は、第1面37の径外縁(軸線Xから離れた側の縁部)及び第2面39の径外縁にそれぞれ接続している。第3面41は、軸線Xの径外側に向かって後方に傾斜している。
【0068】
第1面37と第2面39との間には第1稜線43が形成されている。第1稜線43は、第1面37及び第2面39の交線であって、第1面37及び第2面39を接続する。第2面39と第3面41との間には第2稜線45が形成されている。第2稜線45は、第2面39及び第3面41の交線であって、第2面39及び第3面41を接続する。第3面41と第1面37との間には第3稜線47が形成されている。第3稜線47は、第3面41及び第1面37の交線であって、第3面41及び第1面37を接続する。
【0069】
第2面39と第3面41との間の第2稜線45は、軸線Xから離れる方向(径外側)に向かって、後方且つ下方に傾斜している。第1稜線43及び第2稜線45がなす角度と、第2稜線45及び第3稜線47がなす角度と、第3稜線47及び第1稜線43がなす角度とはそれぞれ、90度以上に設定されている。
【0070】
第1面37には後方に突出し、且つ、略上下方向の延在する第3突条29Cが設けられている。第3突条29Cは第1面37を軸線Xに近接する側(径方向内側)と、軸線Xから離反する側(径方向外側)との2つの部分に区分けしている。第1面37の区分けされた部分にはそれぞれ受付部27が設けられている。以下、第1面37のうち第3突条29Cより径方向内側に設けられた受付部27を第3受付部27C、径方向外側に設けられた受付部27を第4受付部27Dとそれぞれ記載する。
【0071】
第3受付部27Cは、第1面37のうち、第3突条29Cより径方向内側の部分への運転者の入力を受け付ける。第3受付部27Cは第1受付部27A及び第2受付部27Bを構成するタッチセンサ33によって構成されている。タッチセンサ33は、第1面37のうち、第3突条29Cより径方向内側の部分(
図2の破線参照)へのタッチ入力を検出することができる。
【0072】
第4受付部27Dは、第1面37のうち、第3突条29Cより径方向外側の部分への運転者の入力を受け付ける。第4受付部27Dは第1受付部27A及び第2受付部27Bを構成するタッチセンサ33によって構成されている。タッチセンサ33は、第1面37のうち、第3突条29Cより径方向外側の部分(
図2の破線参照)へのタッチ入力を検出することができる。
【0073】
第2面39には後方に突出し、且つ、略上下方向の延在する第4突条29Dが設けられている。第4突条29Dは第2面39を軸線Xに近接する側(径方向内側)と、軸線Xから離反する側(径方向外側)との2つの部分に区分けしている。第2面39の区分けされた部分にはそれぞれ受付部27が設けられている。以下、第2面39のうち第4突条29Dより径方向内側に設けられた受付部27を第5受付部27E、径方向外側に設けられた受付部27を第6受付部27Fとそれぞれ記載する。
【0074】
第5受付部27Eは、第2面39のうち、第4突条29Dより径方向内側の部分への運転者の入力を受け付ける。第5受付部27Eは第1受付部27A及び第2受付部27Bを構成するタッチセンサ33によって構成されている。タッチセンサ33は、第2面39のうち、第4突条29Dより径方向内側の部分(
図2の破線参照)へのタッチ入力を検出することができる。
【0075】
第6受付部27Fは、第2面39のうち、第4突条29Dより径方向外側の部分への運転者の入力を受け付ける。第6受付部27Fは第1受付部27A及び第2受付部27Bを構成するタッチセンサ33によって構成されている。タッチセンサ33は、第2面39のうち、第4突条29Dより径方向外側の部分(
図2の破線参照)へのタッチ入力を検出することができる。
【0076】
第3面41には1つの受付部27(以下、第7受付部27G)が設けられている。第7受付部27Gは第3面41への運転者の入力を受け付ける。第7受付部27Gは、第1受付部27A及び第2受付部27Bを構成するタッチセンサ33によって構成されている。タッチセンサ33は、第3面41(
図2の破線参照)へのタッチ入力を検出することができる。
【0077】
第1受付部27A~第7受付部27Gはそれぞれ、対応するスポーク凹部35を画定する面や部分への運転者のスワイプやタッチに加えて、押圧操作(押し込み操作ともいう)によって、運転者の操作入力を受け付けることができる。また、第3受付部27C~第7受付部27Gはそれぞれ、第1受付部27A及び第2受付部27Bにおいて受け付ける操作入力に対応する操作対象の選択操作に係る入力や、その他の操作入力を受け付ける。
【0078】
例えば、第3受付部27Cは、第1受付部27Aや第2受付部27Bにおいて受け付ける操作入力を停止し、対応する操作対象を選択する操作入力を受け付ける。第4受付部27Dは、操作入力を開始する前の状態に戻すための操作入力を受け付ける。第5受付部27Eは警音器(クラクション)に係る操作入力を受け付ける。第6受付部27Fは各種メータに係る操作入力であって、例えば、第6受付部27Fは、運転者の前方に位置するメータパネルの表示態様の変更などに係る操作入力を受け付ける。
【0079】
第7受付部27Gはウィンカーに対する操作入力を受け付ける。例えば、右側のスポーク15に設けられた第7受付部27Gを運転者が押圧すると、右側の方向指示器が点滅する。左側のスポーク15に設けられた第7受付部27Gを運転者が押圧すると、左側の方向指示器が点滅する。
【0080】
本実施形態では、第7受付部27Gは運転者からのタッチ操作と押圧操作とを受付可能となるように構成されている。そのため、例えば、第7受付部27Gにおいてタッチ操作のみが入力されたときには、方向指示器が所定回数(例えば、3回)点滅する、いわゆるワンタッチウィンカーが作動するように構成されていてもよい。そのときには、第7受付部27Gにおいてタッチ操作と押圧操作とが入力されると、方向指示器が点滅を開始し、その後、方向指示器が車両の旋回完了まで点滅を継続するように構成されているとよい。これにより、第7受付部27Gによって、従来のウィンカー操作を行うためのレバースイッチや、ウインカーレバーと同様の操作が可能となる。
【0081】
<スポークの構造>
次に、スポーク15の構造の詳細について説明する。
図2に示すように、スポーク15はそれぞれハブ13及びリム11を接続するスポーク本体51と、スポーク本体51に設けられたスイッチユニット53(ステアリングスイッチユニット)とを備えている。
【0082】
スポーク本体51はそれぞれ基端側においてハブ13に接続され、軸線Xから左右方向に径方向外側に延びている。スポーク本体51は延出端においてリム11の径内側に接続されている。本実施形態では、スポーク本体51は基端側において、二又に分岐している。
【0083】
図3~
図5に示すように、スポーク本体51の後面側には前方に凹む本体凹部55が設けられている。本実施形態では、本体凹部55は軸線Xから離反する側からスポーク貫通孔17を取り囲む円弧状をなすように形成されている。本体凹部55の上縁、左右側縁、下縁、及び、貫通孔との境界を画定する壁面(以下、側壁面57)はそれぞれ軸線Xに平行をなし、本体凹部55の前縁を画定する壁面(底面59)は軸線Xに対して垂直をなしているとよい。
【0084】
スイッチユニット53は、ユニット本体61と、タッチセンサ33と、複数の光源65を備えた回路基板67と、拡散材69とを備えている。
【0085】
ユニット本体61は樹脂製の部材によって形成されている。ユニット本体61は本体凹部55に嵌め込まれている。ユニット本体61は、その後部を構成する表面筐体71と、表面筐体71から前方に延びる中間筐体73とを備えている。
【0086】
表面筐体71は平板状をなし、後面(表面ともいう)においてスポーク本体51に連続する面を構成する。第1傾斜面25A、第2傾斜面25B、及び、スポーク凹部35はそれぞれ表面筐体71の後面に設けられている。
【0087】
表面筐体71は少なくとも、第1受付部27A~第7受付部27Gに対応する部分において、光源65からの光を通過させる透光性を有している。表面筐体71の全体が透光性を有する樹脂製の部材で構成されている場合には、表面筐体71の後面側であって、第1受付部27A~第7受付部27Gに対応する部分を除く他の部分が、非透光性の塗料(例えば、黒色の塗料)による塗膜によって覆われる態様であってよい。
【0088】
中間筐体73は表面筐体71の前面(裏面ともいう)から前方に突出する壁状をなしている。中間筐体73は本体凹部55の側壁面57に沿って延在する壁体をなすように構成されていてもよい。中間筐体73の前端(突端)と本体凹部55の底面59との間には隙間が設けられている。中間筐体73の前端には、本体凹部55を画定する側壁面57から離反する方向に折り返された折り返し部75が設けられている。折り返し部75は本体凹部55の底面59に略平行な主面を有する板状をなしているとよい。
【0089】
中間筐体73と本体凹部55を画定する壁面との間には、両者を接続する弾性部材77が設けられている。本実施形態では、中間筐体73の折り返し部75と、本体凹部55の底面59との間にそれぞれ、弾性部材77が設けられている。弾性部材77はそれぞれ中間筐体73と本体凹部55を画定する壁面とに接着されている。弾性部材77は中間筐体73から本体凹部55を画定する壁面に向かう荷重が加わると変形して小さくなり、荷重が加わらなくなると概ね元の形状に戻る。弾性部材77はバネなどの付勢部材によって構成されていてもよく、また、弾性変形可能なゴム部材(例えば、シリコンラバー)等によって構成されていてもよい。
【0090】
タッチセンサ33は透光性を有するシート状の部材によって構成されている。タッチセンサ33は、静電容量式の近接センサ又は接触センサあってもよく、また抵抗膜式の接触センサであってもよい。タッチセンサ33はそれぞれ表面筐体71の表面に沿うように配置されて、表面筐体71に結合されている。
【0091】
回路基板67は表面筐体71の裏面側に配置されている。回路基板67は平板状をなす、いわゆるプリント基板であって、本実施形態では、両面にパターンを備えた両面基板である。回路基板67はその主面が軸線Xに対して直交ように配置されている。以下、適宜、回路基板67の後方を向く面を表面、前方を向く面を裏面と記載する。回路基板67は表面筐体71に拡散材69を介して支持されている。
【0092】
光源65はそれぞれ、回路基板67の表面筐体71側に位置する面、すなわち後面(以下、表面)に設けられている。光源65はいわゆるLED素子(発光ダイオード素子)であり、チップ状のものであってよい。光源65はそれぞれ、受付部27のそれぞれに前後方向に揃い、前後に重なる位置に配置されている。
【0093】
拡散材69は、表面筐体71の裏面から前方に突出する壁状をなしている。拡散材69は、表面筐体71の裏面と、回路基板67の表面とに結合されている。拡散材69は光源65から入射した光を拡散させる部材である。拡散材69は例えば、透明樹脂内に屈折率の異なる粒子を分散させることによって構成されているとよい。拡散材69は、ポリスチレン樹脂や、ポリメタクリル酸メチル樹脂などによって構成されているとよい。
【0094】
拡散材69は、光源65と光源65との間に延在する壁体状をなす。換言すれば、拡散材69によって区分けされた回路基板67上の領域には二つの光源65が存在することはなく、それぞれの領域に存在する光源65の数は1個以下に設定されている。
【0095】
光源65が光を発すると、表面筐体71の受付部27に対応する部分が前側から照らされる。表面筐体71は透光性を有するため、運転者には、表面筐体71の受付部27に対応する部分が発光しているように視認される。光源65と光源65との間には拡散材69が設けられているため、拡散材69によって、光源65から発した光の表面筐体71の対応しない受付部27が設けられた部分へ到達が阻止され、対応しない受付部27が設けられた部分の発光が防止される。
【0096】
回路基板67の表面筐体71から離反する側に位置する面、すなわち裏面には、押圧スイッチ79が設けられている。押圧スイッチ79は押圧面79Sを押圧することによって、オン・オフするスイッチであり、その押圧面79Sがスポーク凹部35の底面59に向くように配置されている。本実施形態では、スポーク凹部35の底面59には、押圧スイッチ79の押圧面79Sに対応する部分に、前方(すなわち、押圧スイッチ79の方向)に突出する柱体81が設けられている。押圧スイッチ79は、押圧面79Sが押圧されたときに、回路基板67及びスポーク凹部35の底面59に対して反力を与える、すなわち、節度感を与えるスイッチ(例えば、押し釦スイッチなど)であってもよい。
【0097】
タッチセンサ33はケーブル83を介して、回路基板67に接続されている。ケーブル83は、表面筐体71に設けられた貫通孔(不図示)を通過していてもよく、また、表面筐体71と本体凹部55を画定する壁面との間の隙間を通過するように構成されていてもよい。ケーブル83は、並列に並ぶように配置された導体を絶縁体のフィルムによって挟むことによって形成されるフラットケーブル、いわゆる、FPC(Flexible Flat Cable)であってよい。
【0098】
回路基板67はケーブル(不図示)を介して、車体に設けられた制御装置85(
図1参照)に接続されている。制御装置85は、中央演算処理装置(CPU)、RAM(ランダムアクセスメモリ)及びROM(リードオンリーメモリ)等のメモリ、SSD(ソリッドステートドライブ)やHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置を備えたコンピュータによって構成されている。制御装置85は受付部27それぞれにおいて受け付けた操作入力に応じて、操作対象を操作するとともに、回路基板67に設けられた光源65に電力を供給して駆動させる。
【0099】
本実施形態では、制御装置85は、タッチセンサ33によって、スポーク15後面の第1受付部27A(
図2の破線を参照。以下、検出領域)へのスワイプ量を操作入力として取得する。また、制御装置85は、第1受付部27Aに対応する領域の中央部(OKと書かれた部分)接触があり、且つ、押圧スイッチ79によって押圧が検出されたときに、第1受付部27Aに対して、スワイプ量とは異なる操作入力があったと判定してもよい。
【0100】
制御装置85は、タッチセンサ33によって、スポーク15後面の第2受付部27Bへタッチ操作を検出したときに、タッチ位置が第2突条29Bの左右いずれに位置するかを判定し、左右いずれかに係る選択操作に係る入力を受け付ける。
【0101】
制御装置85は、タッチセンサ33によって第3受付部27C~第7受付部27Gに対応する領域(
図2の破線を参照)において接触が検知され、且つ、押圧スイッチ79によって押圧が検出されたときに、第3受付部27C~第7受付部27Gに対して操作入力があったと判定する。
【0102】
制御装置85は、第7受付部27Gにおいてタッチ操作のみが入力されたときには、方向指示器を所定回数(例えば、3回)点滅させ、第7受付部27Gにおいてタッチ操作が検出され、更に、押圧スイッチ79がオンとなったときに、方向指示器が点滅を開始し、旋回完了まで点滅を継続させるとよい。
【0103】
次に、このように構成したステアリングホイール5及びスイッチユニット53の効果について説明する。
【0104】
第1受付部27A及び第2受付部27Bはそれぞれ、ステアリングシャフト7の軸線Xに直交する仮想面Sに対して傾斜する傾斜面25に設けられている。そのため、運転者は傾斜面25の傾斜角度によって第1受付部27A、及び第2受付部27Bの位置を容易に把握することができる。よって、運転者は目視することなく操作入力ができ、ステアリングスイッチ19への操作入力が容易である。
【0105】
第1受付部27A及び第2受付部27Bは軸線Xの径方向内側に向かって、前方に傾斜している傾斜面25に設けられている。第1受付部27A及び第2受付部27Bがリム11を把持した運転者の親指に沿うように傾斜する傾斜面25に設けられる態様となるため、第1受付部27A及び第2受付部27Bへの操作入力が容易である。
【0106】
第1受付部27A及び第2受付部27Bはそれぞれ、第1傾斜面25Aよりも径外側に位置する第2傾斜面25Bに重なるように設けられている。そのため、第1受付部27A及び第2受付部27Bが第1傾斜面25Aのみ設けられる場合に比べて、径方向外側に設けられ、リム11に近い位置に配置される。よって、第1受付部27A及び第2受付部27Bがリム11を把持した運転者の手(
図2の2点鎖線参照)の親指により近い位置に配置される。これにより、第1受付部27A及び第2受付部27Bへの操作入力が容易である。本実施形態では、
図2の二点鎖線で示すように、運転者はリム11を把持したまま、親指を動かすことで、第2受付部27Bへの操作入力が可能となっている。
【0107】
スポーク15の下縁部23には仮想面Sに対して前方に凹むスポーク凹部35が設けられている。これにより、スポーク15の下縁部23にスポーク凹部35によって画定されたスペースAが形成される。リム11を把持し、運転操作を行う運転者は、親指をスポーク凹部35に配置して、内部のスペースAに親指を収めることができる。これにより、運転者にとって運転操作のし易く、把持し易いステアリングホイール5を提供できる。
【0108】
第2面39と第3面41との間の第2稜線45は、径外側に向かって、後方且つ下方に傾斜している。これにより、第2稜線45がリム11を把持する運転者の親指に沿う方向となる。そのため、運転者は親指を第2面39と第3面41との間に容易に配置することができ、受付部27への操作入力を容易に行うことができる。
【0109】
ウィンカー操作に係る操作入力を受け付ける第7受付部27Gは第3面41に設けられている。そのため、第7受付部27Gが第1面37及び第2面39に設けられる場合に比べて、径方向外側に配置されるため、運転者はウィンカー操作に係る操作入力を容易に行うことができる。特に、ウィンカー操作は、例えば、警告音に係る操作などに比べて、入力頻度が高いため、ステアリングホイール5の操作性や利便性が向上する。また、第3面41の径方向外側に段部42が設けられている。そのため、段部42が第3面41の位置を示すガイドとして機能し、運転者は段部42に接触することによって、第3面41の位置を容易に理解することができる。
【0110】
運転者からの操作入力を受け付ける第3受付部27C~第7受付部27Gがスポーク凹部35に重なるように設けられる。スポーク凹部35はスポーク15の後面の凹部として形成されているため、運転者は接触することによって、スポーク凹部35の位置を把握することができる。よって、運転者は視認することなく、第3受付部27C~第7受付部27Gの位置を把握することができる。よって、運転操作を行う運転者にとっても、操作入力を行いやすいステアリングホイール5及びスイッチユニット53を提供することができる。
【0111】
第1面37と第2面39とがなす角度は90度以上に設定されている。よって、第1面37及び第2面39にそれぞれ第3受付部27C~第7受付部27Gが設けられた場合であっても、スポーク凹部35が深くなり過ぎず、運転者が第3受付部27C~第7受付部27Gに対して操作入力(タッチ操作)を容易に行うことができる。
【0112】
第1面37、第2面39、及び、第3面41はそれぞれ傾斜角度が異なる。そのため、運転者は傾斜角度によって、第1面37、第2面39、及び、第3面41を判別することができる。よって、運転者は第1面37、第2面39、及び、第3面41のそれぞれの面に設けられた受付部27に選択的に操作入力を行うことができる。
【0113】
第1稜線43及び第2稜線45がなす角度と、第2稜線45及び第3稜線47がなす角度と、第3稜線47及び第1稜線43がなす角度とはそれぞれ、90度以上に設定されている。これにより、スポーク凹部35が深くなり過ぎないため、運転者が第3受付部27C~第7受付部27Gへの操作入力(タッチ操作)を容易に行うことができる。
【0114】
図2に示すように、第1面37には第3突条29Cが設けられている。これにより、第1面37が第3突条29Cによって径方向内側と径方向外側との2つの部分に区分けされている。第1面37の第3突条29Cによって区分けされた部分にそれぞれ第3受付部27C及び第4受付部27Dが設けられている。
【0115】
第2面39には第4突条29Dが設けられている。これにより、第2面39が第4突条29Dによって径方向内側と径方向外側との2つの部分に区分けされている。第2面39の第4突条29Dによって区分けされた部分にそれぞれ第5受付部27E及び第6受付部27Fが設けられている。
【0116】
リム11を把持する運転者は第1面37や第2面39に触れることによって、第3突条29C及び第4突条29Dの位置を把握することができる。これにより、運転者は視認することなく、第1面37や第2面39の第3突条29C及び第4突条29Dよって区分けされた部分を認識することができる。よって、運転者は容易に第3受付部27C~第6受付部27Fに対して選択的に操作入力を行うことができる。
【0117】
運転者が、第3受付部27C~第7受付部27Gのいずれか一つの受付部27を前方に向けて十分な荷重で押圧すると、運転者の接触位置がタッチセンサ33によって取得され、押圧スイッチ79がオンとなる。これにより、制御装置85は、タッチセンサ33によって取得された接触位置において、押圧スイッチ79がオンとなる程度に十分な荷重の操作入力がされたかを判定することができる。よって、運転者の意図しないステアリングホイール5への接触による誤入力が防止できる。
【0118】
第1受付部27Aには第1突条29Aが設けられ、第2受付部27Bには第2突条29Bが設けられている。第1突条29A及び第2突条29Bの延在方向はそれぞれ異なっている。従って、その延在方向に基づいて、運転者は第1突条29A及び第2突条29Bを判別することができる。これにより、運転者が目視することなく第1突条29A及び第2突条29Bのいずれかに選択的に操作入力を行うことができるため、運転者にとって入力を行いやすいステアリングホイール5及びスイッチユニット53を提供できる。
【0119】
第1突条29A及び第2突条29Bを判別するときには、運転者は突条をそれぞれ上下方向に辿ればよい。第1突条29Aは、上方から下方に向かって、ステアリングシャフト7の軸線Xに近づく方向に延在している。第2突条29Bは、上方から下方に向かって、ステアリングシャフト7の軸線Xに遠ざかる方向に延在している。よって、突条を上下方向に辿り、突条の延在方向が軸線Xに近づくか否かを判定することによって、運転者は第1突条29A及び第2突条29Bを判別することができる。
【0120】
第1受付部27Aは第1突条29Aに交差する方向の運転者のスワイプ量を取得し、第2受付部27Bは第2突条29Bに交差する方向の運転者の接触位置を取得する。このように、第1受付部27A及び第2受付部27Bは対応する突条はそれぞれの検出領域の中央部分に位置しているため、運転者は突条の位置によって接触又は近接すべき位置(すなわち、操作入力すべき位置)を目視することなく、容易に認識することができる。
【0121】
第1突条29A及び第2突条29Bはそれぞれ傾斜面25を通過している。そのため、運転者は傾斜面25の傾斜角度によって第1突条29A及び第2突条29Bが設けられている位置を容易に把握することができる。
【0122】
第1突条29A及び第2突条29Bはそれぞれ、第2傾斜面25Bを通過するように設けられている。よって、第1受付部27A及び第2受付部27Bはそれぞれ、第2傾斜面25Bに重なるように配置される。これにより、第1受付部27A及び第2受付部27Bが第1傾斜面25Aのみ設けられる場合に比べて第1受付部27A及び第2受付部27Bがリム11に近くなり、リム11を把持する運転者にとって操作入力が容易になる。
【0123】
第1受付部27Aはスポーク15の後面の上縁に位置し、第2受付部27Bはスポーク15の後面の左右側縁に位置している。よって、運転者は操作入力すべき場所を容易に把握することができる。更に、第1受付部27Aは、リム11の上下方向略中央から、リム11に近づくように傾斜しながら下方に向かって延びている。そのため、第1受付部27Aは、リム11を把持した状態を保ったまま、運転者が親指を移動させたときの移動可能な領域に沿うように配置される。これにより、第1受付部27Aが傾斜することなく上下に延在する場合に比べて、第1受付部27Aへの操作入力が容易になる。
【0124】
このように、スポーク本体51と、スポーク本体51の後面に設けられたタッチセンサ33と、一つの押圧スイッチ79とによって、運転者の操作入力を受け付けるステアリングスイッチ19が構成されている。換言すれば、ステアリングスイッチ19はスポーク本体51の基体を構成している。
【0125】
ステアリングスイッチ19は、タッチセンサ33によってそれぞれ、運転者からの操作入力位置やスワイプ量を取得し、押圧スイッチ79によって受付部27に十分な荷重が加わったか否かを判定する。このように構成することによって、受付部27ごとに押圧スイッチ79を設ける必要がないため、ステアリングホイール5の構成が簡素になる。また、運転者が受付部27を押圧すると、押圧スイッチ79から運転者に節度感に伝わるため、運転者は操作入力が行われたことを確実に認識することができる。
【0126】
光源65が光を発すると、表面筐体71の対応するタッチセンサ33が設けられた部分が前側から照らされる。表面筐体71及びタッチセンサ33は透光性を有するため、表面筐体71の対応するタッチセンサ33が設けられた部分に達した光は、表面筐体71及びタッチセンサ33を通過する。これにより、運転者には、対応する受付部27が後方に発光するように視認される。これにより、運転者が受付部27の位置、すなわち、操作入力すべき位置を容易に認識することができる。
【0127】
光源65から発した光のうち、拡散材69の間以外の領域に向かう光は拡散材69によって拡散される。これにより、表面筐体71のうち、光源65に対応する箇所が選択的に前側から照らされる。よって、光源65に対応する受付部27が他の部分に比べてより強く発光するように視認されるため、操作入力すべき位置の視認性が向上する。
【0128】
中間筐体73と本体凹部55を画定する壁面との間には、両者を接続する弾性部材77が設けられている。そのため、基材をスポーク本体51に対して変位可能に本体凹部55に収容されている。運転者が受付部27を前方に向けて押圧すると、基材をスポーク本体51に対して前方に移動し、押圧スイッチ79がスポーク凹部35の底面59によって押圧される。
【0129】
このように、回路基板67が中間筐体73の前端に支持され、押圧スイッチ79は回路基板67の前面に設けられているため、押圧スイッチ79を基体に加わる前方への押圧力によってスイッチ動作する。換言すれば、回路基板67が中間筐体73の前端に支持され、押圧スイッチ79は回路基板67の前面に配置することで、押圧力によってスイッチ動作するように、押圧スイッチ79を基体と本体凹部55を画定する壁面との間に配置することができる。
【0130】
タッチセンサ33はケーブル83を介して回路基板67に接続されている。そのため、運転者の押圧力によって、基材が前方に移動するときに、タッチセンサ33と回路基板67とは相対変位することなく、前方に移動する。よって、基体のスポーク本体51に対する変位によって、タッチセンサ33に接続するケーブル83に引っ張り荷重が加わることが防止できる。
【0131】
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係るステアリングホイール5は、押圧スイッチ79の位置が異なり、他の構成は第1実施形態と同様であるため、他の構成については説明を省略する。
【0132】
図6には、第2実施形態に係るステアリングホイール5の
図2にIII-III断面図に対応する断面図が示されている。第2実施形態では、押圧スイッチ79は本体凹部55の底面59に設けられている。詳細には、押圧スイッチ79は、本体凹部55の底面59に設けられた柱体81の突端面において、回路基板67に対向するように配置されている。押圧スイッチ79は配線を介して、回路基板67に接続されているとよい。
【0133】
次に、第2実施形態に係るステアリングホイール5及びスイッチユニット53の効果について説明する。
【0134】
運転者が受付部27に操作入力すべく、基体を前方に押圧すると、その押圧に応じて、回路基体に固定された基板が前方に移動する。これにより、押圧スイッチ79が回路基板67によって押圧され、押圧スイッチ79がオンとなる。このように、押圧スイッチ79を本体凹部55の底面59に設けることで、押圧スイッチ79をスイッチ動作するように、基体と本体凹部55を画定する壁面との間に配置することができる。
【0135】
<ヘッドアップディスプレイ>
本発明に係るステアリングスイッチ19は、ディスプレイの表示内容を変更するために用いることができる。表示内容が変更されるディスプレイとしては、例えば、運転者の前方に位置するフロントウィンドウ87に情報を表示するヘッドアップディスプレイ89が考えられる。
【0136】
しかし、ヘッドアップディスプレイ89はフロントウィンドウ87に設けられた場合、その表示によって、運転者の運転操作が阻害される虞がある。ここでは、実施形態の一つとして、ステアリングスイッチ19への入力に基づいて制御装置85がヘッドアップディスプレイ89への表示内容を変更し、且つ、運転操作が阻害されることを防止することのできる表示システム88について説明する。但し、この実施形態は、ステアリングスイッチ19への入力に基づいて制御装置85が行う処理の一例を示したものに過ぎず、本発明はこの態様には限定されない。
【0137】
図7に示すように、表示システム88は制御装置85に加え、ユーザインタフェースと、ヘッドアップディスプレイ89と、車両状態を検出する車両状態センサ91と、により構成される。
【0138】
ユーザインタフェースは、ステアリングスイッチ19を含む種々のデバイスによって構成される。車両状態センサ91は、車両の速度を検出する車速センサ、及び、車間距離を検出する車間距離検出センサ等含む。車両状態センサ91は、その他、車両の加速度を検出する加速度センサを含んでいてもよい。車間距離検出センサは例えば、ライダやレーダ、ソナーなどによって構成されているとよい。
【0139】
ヘッドアップディスプレイ89は、フロントウィンドウ87に映像を投影することで、運転者の目線に入りやすい位置に情報を表示する。ヘッドアップディスプレイ89は、例えば、車速、燃料やバッテリの残量、カーナビゲーションシステムによる経路情報や進行方向指示などを表示するものであってよい。
【0140】
制御装置85は、車両状態センサ91及びユーザインタフェースの入力に基づいて、ヘッドアップディスプレイ89に表示すべき内容(例えば、速度メータなど)を設定する。更に、制御装置85は、その設定内容に基づき、ヘッドアップディスプレイ89を制御して、表示させる。また、制御装置85は、車両状態センサ91によって取得した情報に基づき、運転操作に慎重さが求められるか否か、又は、慎重さが求められる度合いを判定し、その判定結果に基づいて、ヘッドアップディスプレイ89の表示態様を変更する。
【0141】
制御装置85は、車両状態センサ91によって取得した車両状態に基づいて、運転操作に慎重さが求められるか否かを判定する。具体的には、制御装置85は、車速が所定の車速閾値以下(例えば、車速が80km以下)、且つ、車間距離が所定の距離閾値(例えば、車間距離が30m以上)以上である否かを判定する。車速が車速閾値以下、且つ、車間距離が距離閾値以上であるときには、制御装置85は、ヘッドアップディスプレイ89の表示領域を、
図7の実線示すようにフロントウィンドウ87において、運転席正面の正面下部の第1表示領域93Aに設定する。
【0142】
車速が車速閾値より大きいか、又は、車間距離が距離閾値よりも小さい場合には、制御装置85はヘッドアップディスプレイ89の表示領域を、フロントウィンドウ87において、第2表示領域93Bに設定する。第2表示領域93Bは、第1表示領域93Aとは異なり、
図7の二点鎖線で示すように、第1表示領域93Aよりも小さくなるように設定されている。
【0143】
第2表示領域93Bは、
図7の一点鎖線で示すように、第1表示領域93Aに比べて、運転者の目の前の位置からずれた(すなわち、運転操作が阻害され難い)領域に設定されていてもよい。第2表示領域93Bは、例えば、第1表示領域93Aよりも助手席側に設定されていてもよく、また、フロントウィンドウ87の上縁や下縁に設定されていてもよい。まだ、第2表示領域93Bは第1表示領域93Aよりも小さくなるように設定されていてもよい。
【0144】
その他、車速が車速閾値より大きいか、又は、車間距離が距離閾値よりも小さい場合には、制御装置85はヘッドアップディスプレイ89の表示を薄くなるように設定してもよい。車速が車速閾値より大きいか、又は、車間距離が距離閾値よりも小さい場合には、制御装置85は、ヘッドアップディスプレイ89の表示を運転操作が阻害されないように設定するとともに、併せて、別の通知手段 (音声、光、振動等、又は、それらの組み合わせ)によって、運転者に通知するように構成されていてもよい。
【0145】
<ステアリングホイール>
ステアリングホイール5の態様は、
図1及び
図2に示す態様には限定されない。例えば、
図8に示すように、スポーク15に径方向外側に向かって、その向きが連続的に変わる面101S(例えば、上方から後方に変わる面。ねじれた面ともいう)が設けられる場合がある。その場合には、その面にステアリングスイッチ19の受付部27が設けられていてもよい。
【0146】
上記実施形態では、周縁部21にスワイプ量を検出するための受付部27が設けられていたが、この態様には限定されない。例えば、
図9に示すように、周縁部21よりも径方向外側であって、スポーク15のリム11への接続部分であり、且つ、後方を向く面103S(リム11に立体的に繋がる面)にスワイプ量を検出するための受付部27が設けられていてもよい。また、スワイプ量を検出する受付部27は、下縁部23の下縁に沿って設けられていてもよい。
【0147】
図10及び
図11に示すように、ステアリングホイール5に上下左右の方向に係る入力を受け付ける受付部27が十字キー27Kとして設けられる場合がある。その場合には、十字キー27Kは、スポーク15の後面であって、その略平坦な面105S、107Sに設けられているとよい。このように構成することで、十字キー27Kが視認され易くなる。また、
図10に示すように、ステアリングホイール5に設けられる受付部27はステアリングホイール5の軸線Xを中心として左右対称に配置されているとよい。
【0148】
図12に示すように、スポーク15に前方に凹み、逆四角錐台状の凹部109が設けられる場合がある。凹部109は、四角形状をなす凹部底面111と、凹部底面111を外囲する4つの台形形状の凹部縁面113とによって画定される。その場合には、凹部底面111に十字キー27Kが設けられていてもよい。また、台形形状をなす凹部縁面113に十字キー27Kが設けられていてもよい。このように、十字キー27Kを凹部109に設けることで、運転者は十字キー27Kの位置を容易に理解することができるため、十字キー27Kの操作性が向上する。
【0149】
図13に示すように、スポーク15に四角錐状をなし、後方に向けて突出する凸部115が設けられる場合がある。その場合には、受付部27が凸部115を画定する壁面に設けられているとよい。受付部27はタッチセンサ33によって構成されているとよい。これにより、凸部115に接触することで運転者は受付部27の位置を把握することができるため、ステアリングスイッチ19の操作性が向上する。
【0150】
また、
図14に示すように、スポーク15の後面にタッチパネル117が設けられ、そのタッチパネル117に運転者からの操作入力を受け付ける受付部27が表示される構成であってもよい。
【0151】
図15に示すように、受付部27の間に十字状のリブ119が設けられ、そのリブ119に隣接する位置に受付部27(タッチセンサ33)が設けられていてもよい。このとき、リブ119は隣接する受付部27の間を通過するように設けられているとよい。これにより、これにより、リブ119が受付部27(タッチセンサ33)の境界線として機能するため、運転者は目視することなく、受付部27の位置を把握することができる。
【0152】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【0153】
上記実施形態では、第1面37及び第2面39にそれぞれ第3突条29C及び第4突条29Dが設けられていたが、本発明はこの態様には限定されない。例えば、第1面37、第2面39、及び、第3面41のいずれか一つに、所定方向に延在し、対応する面を2つの部分に区分けする突条が設けられていればよく、その突条によって区分けされた部分それぞれに、受付部27が設けられている態様であれば、いかなる態様であってもよい。
【0154】
上記実施形態では、第1面37、第2面39、及び第3面41の内部にそれぞれ受付部27が設けられていたが、本発明はこの態様には限定されない。受付部27の少なくとも一部がスポーク凹部35に重なるように設けられている態様であれば、いかなる態様であってもよい。これにより、運転者はスポーク凹部35を触ることで、目視することなく、その位置を把握することができる。よって、運転操作を行う運転者にとって操作入力が容易なステアリングホイール5を提供することができる。
【0155】
上記実施形態では、受付部27が一つのタッチセンサ33によって構成される例を記載したが、この態様には限定されず、例えば、受付部27ごとにタッチセンサ33が設けられてもよく、また、例えば、1又は2の受付部27がタッチセンサ33によって構成される態様であってもよい。また、第3受付部27C~第7受付部27Gが一つのタッチセンサ33によって構成される態様であってもよい。受付部27それぞれにおいて受け付ける操作入力は上記態様には限定されず、それぞれ、接触、近接、スワイプ(スクロール、なぞり)、押圧や、それらの組み合わせ等の態様であってよい。
【符号の説明】
【0156】
5 :ステアリングホイール
7 :ステアリングシャフト
11 :リム(把持部)
13 :ハブ(ハブ部)
15 :スポーク(スポーク部)
16 :リム凹部
17 :スポーク貫通孔
19 :ステアリングスイッチ
21 :周縁部
23 :下縁部
25 :傾斜面
25A :第1傾斜面
25B :第2傾斜面
27 :受付部
27A :第1受付部
27B :第2受付部
27C :第3受付部
27D :第4受付部
27E :第5受付部
27F :第6受付部
27G :第7受付部
27K :十字キー
29A :第1突条
29B :第2突条
29C :第3突条
29D :第4突条
33 :タッチセンサ
35 :スポーク凹部
37 :第1面
39 :第2面
41 :第3面
42 :段部
43 :第1稜線
45 :第2稜線
47 :第3稜線
51 :スポーク本体(基体)
53 :スイッチユニット(ステアリングスイッチユニット)
55 :本体凹部
57 :側壁面
59 :底面
61 :ユニット本体
65 :光源
67 :回路基板
69 :拡散材
71 :表面筐体
73 :中間筐体
75 :折り返し部
77 :弾性部材
79 :押圧スイッチ
79S :押圧面
81 :柱体
83 :ケーブル
85 :制御装置
87 :フロントウィンドウ
88 :表示システム
89 :ヘッドアップディスプレイ
91 :車両状態センサ
93A :第1表示領域
93B :第2表示領域
101S :面
103S :面
105S :面
107S :面
109 :凹部
111 :凹部底面
113 :凹部縁面
115 :凸部
117 :タッチパネル
119 :リブ
A :スペース
S :仮想面
X :軸線