(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148732
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20231005BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231005BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/20
B01J35/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056915
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 純
(72)【発明者】
【氏名】津崎 修
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】貴家 学
(72)【発明者】
【氏名】川内 雄雅
(72)【発明者】
【氏名】白川 宰
【テーマコード(参考)】
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD03
4C180EA34X
4C180EA52X
4C180EA54X
4C180HH15
4C180HH18
4C180HH19
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA48A
4G169CA02
4G169DA06
4G169EA07
4G169EB07
4G169EB12X
4G169EB12Y
4G169EB14Y
4G169HA05
4G169HB01
4G169HC22
4G169HE03
4G169HE07
4G169HF05
(57)【要約】
【課題】効率よく空気を処理できる空気処理装置を提供する。
【解決手段】空気処理装置10は、第1通気口16を有する筐体11を備え、筐体11内に、筐体11内に空気を流通させるファンと、筐体11内に光を照射する光照射部と、光触媒フィルタ27と、第1遮光部25と、が配設される。光触媒フィルタ27は、空気の流通方向に対する光触媒フィルタ27の開口率が10%以上で、かつ空気の流通方向と交差する方向における筐体11内の断面積に対する占有率が30%以上とする。第1遮光部25は、所定の角度の頂点部37を有する遮光部材36を備え、遮光部材36を同一間隔で複数配設する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気口から内部に空気が取り込まれる筐体と;
前記筐体内に配設され、前記筐体内の空気が流通する領域に光を照射する光照射部と;
前記筐体内の前記光照射部から照射された光が入射する位置に配設される、複数の孔を備える光触媒フィルタであって、空気の流通方向に対する前記光触媒フィルタの前記孔による開口率が10%以上で、かつ空気の流通方向と交差する方向における前記筐体内の断面積に対する占有率が30%以上とする光触媒フィルタと;
を備えることを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記筐体内に配設され、所定の角度の頂点部を有する遮光部材を備える遮光部であって、前記遮光部材を同一間隔で複数配設した遮光部を備え、
前記筐体内には、空気の流通方向の上流側から、前記遮光部、前記光触媒フィルタ、前記光照射部の順に配設される
ことを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記遮光部は、前記光照射部に対して空気の流通方向の上流側と下流側とに配設され、
前記筐体内かつ前記光照射部に対して空気の流通方向の下流側に配設された前記遮光部よりも空気の流通方向の下流側に配設され、前記筐体内に空気を流通させるファンを備える
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記遮光部は、前記遮光部材の前記頂点部の角度をα、前記遮光部材の前記頂点部から延びる両端部間の高さをH、前記遮光部材が同一間隔で複数配設されるピッチをPとしたとき、60°≦α≦120°、P≦0.5H/tan(α/2)の関係を有する
ことを特徴とする請求項2または3記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記通気口から前記光触媒フィルタに到達するまでの経路上に異物捕捉フィルタを備える
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内にファンおよび紫外線照射部が配設され、ファンの回転によって外部の空気を筐体内に循環させながら、筐体内を流通する空気に紫外線を照射して殺菌することで空気処理を行う空気処理装置がある。
【0003】
この空気処理装置では、効率よく空気を処理することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、効率よく空気を処理できる空気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空気処理装置は、通気口を有する筐体を備え、筐体内に、筐体内に空気を流通させるファンと、筐体内に光を照射する光照射部と、光触媒フィルタと、遮光部と、が配設される。光触媒フィルタは、空気の流通方向に対する光触媒フィルタの開口率が10%以上で、かつ空気の流通方向と交差する方向における筐体内の断面積に対する占有率が30%以上とする。遮光部は、所定の角度の頂点部を有する遮光部材を備え、遮光部材を同一間隔で複数配設する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の空気処理装置によれば、効率よく空気を処理することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態を示す空気処理装置の斜視図である。
【
図2】同上空気処理装置の内部構造を示す正面図である。
【
図3】同上空気処理装置の内部構造を示す断面図である。
【
図4】同上空気処理装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図5】同上空気処理装置の遮光部材の配置関係を示す正面図である。
【
図6】同上空気処理装置の空気の流通方向に対する光触媒フィルタの関係を示す平面図である。
【
図7】同上空気処理装置のファンを示す斜視図である。
【
図8】同上空気処理装置の遮光部を示す斜視図である。
【
図9】同上空気処理装置の光照射部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
なお、以下の実施形態における空気処理装置は、空気処理装置の内部に流通する空気に対して、所定の手法により、殺菌、除菌、滅菌、減菌、脱臭、消臭のいずれかの処理を行う装置である。以下では、空気処理装置の処理としては殺菌処理として説明を行うが、殺菌処理は、除菌処理、滅菌処理、減菌処理、脱臭処理、消臭処理、などに置き換えて解釈可能である。また、ここでの所定の手法とは、光照射、光触媒などである。光照射は、UV-C領域、UV-B領域、UV-A領域、可視光領域、赤外領域などの波長の光を照射することをいう。光触媒は、空気処理装置の内部に配設された、酸化チタンなどの光触媒に光(紫外光や可視光)を照射することで生成される活性酵素やOHラジカルによって、空気中に浮遊する菌、ウイルス、においの元などの活動を抑制したり、水と二酸化炭素に分解したりすることをいう。
【0011】
図1に、床置きタイプの空気処理装置10の斜視図を示す。空気処理装置10は、筐体11と、床面に載置されて筐体11を支持する脚部材12と、を備えている。筐体11は、前後方向に薄形で、横幅の広い縦型であって、前後方向の奥行よりも左右方向の幅が広く、前後および左右方向よりも上下方向の長さが長い形状に形成されている。
【0012】
筐体11は、本体14と、この本体14の前面に着脱可能に配設される前面パネル15と、を備えている。筐体11の下面側に通気口である第1通気口16が設けられ、上面側に通気口である第2通気口17が設けられている。本実施形態では、第1通気口16は吸込口、第2通気口17は排気口とされる。本体14の上面で第2通気口17の前側には、空気処理装置10を操作する操作部および動作状態などを表示する表示部を有する操作パネル部18が設けられている。なお、筐体11は、四角形筒状の四角筐体(略直方体形状)や、円筒状の円筒筐体(略円柱形状)に形成されていてもよい。
【0013】
脚部材12は、筐体11の下面の第1通気口16と床面との間に隙間を形成し、第1通気口16からの空気の吸い込みを可能としている。
【0014】
図2および
図3に、空気処理装置10の内部構造を示す。筐体11内には、第1通気口16と第2通気口17との間に、空気が流通する処理空間20が形成されている。処理空間20は、第1通気口16と第2通気口17との間で、同一断面形状に形成されている。処理空間20の断面形状は、左右方向が前後方向に比べて広く、筐体11の断面形状と相似した形状に形成されている。
【0015】
処理空間20は、空気が流通しその空気に紫外領域の光を照射する処理部21と、第1通気口16側の第1処理開口22と、第2通気口17側の第2処理開口23と、を備える。第1処理間口22から処理部21に空気を吸気し、第2処理間口23から処理部21外に空気を排気する。第1処理間口22と、第2処理間口23と、は略平行に構成されていることが好ましい。処理空間20は、前後面および左右面が紫外領域の光を反射する金属製の反射板24で囲まれて形成されている。
【0016】
筐体11内で、第1通気口16側である処理部21の下部側の第1処理間口22側には、空気の流通方向の上流側から、遮光部である第1遮光部25、異物捕捉フィルタ26、光触媒フィルタ27が順に配設されている。
【0017】
筐体11内で、第2通気口17側である処理部21の上側の第2処理間口23側には、空気の流通方向の上流側から、光照射部28、遮光部である第2遮光部29、ファン30が順に配設されている。
【0018】
筐体11の両側面と処理空間20の両側の反射板24との間の枠内部には、図示しないが、光照射部28を点灯させる点灯ユニットと、ファン30を駆動する駆動ユニットと、が配置されている。
【0019】
第1通気口16には、通気可能な格子状の通気枠31が配置され、また、第2通気口17には、排気する空気の方向を調整可能(例えば斜め前方とするように整流する)なルーバー32が配設されている。なお、第1通気口16は、通気枠31を配置せず、開口されていてもよい。
【0020】
また、
図2ないし
図4に示すように、第1遮光部25は、上下面が開口された枠部35と、この枠部35の内側に開口に沿って複数配設された板状の遮光部材36と、を備えている。枠部35および遮光部材36とも、金属材料で形成されている。
【0021】
遮光部材36は、特に紫外線に対する耐光性が高く、紫外線反射率が低いものが好ましく、例えば、鉄、亜鉛メッキ鋼板、ステンレスのような金属、あるいはフッ化物樹脂、ABS樹脂などによって形成されている。遮光部材36は、所定の角度に折曲された頂点部37と、この頂点部37から所定の角度の方向に向けて延びる一対の遮光板部38と、を有する断面略「く」の字形に形成されている。
【0022】
第1遮光部25は、処理空間20の左右方向の中央を境とした左右の領域にそれぞれ配設されている。左右のそれぞれの領域に配設される第1遮光部25の遮光部材36は、各遮光部材36の頂点部37が互いに対向する反対向きで複数配設されている。なお、遮光部材36は、頂点部37が全て同じ向きとなるように複数配設されてもよく、あるいは第2遮光部29で説明するように頂点部37が前方向および後方向に向くように複数配設されてもよく、あるいは筐体11が円筒状や四角筒状などの筒状の場合には周方向に頂点部37が向くように円周上に複数配設されてもよい。
【0023】
隣接する遮光部材36は、平面視で、隣接する一方の遮光部材36の頂点部37または遮光板部38と隣接する他方の遮光部材36の遮光板部38または頂点部37とが重なり合うピッチに配置されている。
【0024】
具体的には、
図5に示すように、第1遮光部25は、遮光部材36の頂点部37の角度をα、遮光部材36の頂点部37から延びる一対の遮光板部38の両端部間の高さをH、遮光部材36が同一間隔で複数配設されるピッチをPとしたとき、60°≦α≦120°、P≦0.5H/tan(α/2)の関係を有するように配設されている。
【0025】
頂点部37の角度αが60°よりも小さいと、空気の流通の抵抗が増加し、一方、60°よりも大きいと、遮光部材36の数を多くしないと遮光が難しくなる。また、遮光部材36のピッチPがP≦0.5H/tan(α/2)よりも大きいと、隣り合う遮光部材36間を光がそのまま通過する可能性がある。
【0026】
なお、数値パラメータの一例として、角度αは90°、高さHは42mm、ピッチPは20mmである。
【0027】
また、
図2ないし
図4に示すように、異物捕捉フィルタ26は、第1通気口16の略全体を覆うように配置されている。異物捕捉フィルタ26は、第1通気口16から空気とともに吸い込まれる塵埃や紙片などの異物を捕捉する。異物捕捉フィルタ26は、金属材料で網状の金網が用いられる。異物捕捉フィルタ26は、前面パネル15を外した本体14の前面側から着脱可能とし、清掃や交換が可能となっている。なお、異物捕捉フィルタ26は、非金属の例えば、樹脂、布材、紙材などで形成されてもよいが、この場合には、第1遮光部25よりも空気の流通方向の上流側に配置することで、紫外線の照射による劣化を防止して長期間使用することが可能となる。
【0028】
また、
図2ないし
図4、
図6に示すように、光触媒フィルタ27は、孔(通気孔)41が複数設けられた担持体42に酸化チタンなどの光触媒が保持・塗布されて担持されており、光照射部28、もしくは光照射部28とは別の光照射部から、少なくとも360nmから420nmのUV-Aの波長成分の紫外線もしくは可視光を受けることで、活性酵素とOHラジカルを生成し、生成された活性酵素やOHラジカルによって、空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、ウイルスの活動を抑制したりする。
【0029】
光触媒フィルタ27は、例えば正方形である四角形状に形成され、処理空間20内で左右方向に複数並んで配設されている。複数の光触媒フィルタ27を枠体で一体的に保持して光触媒フィルタユニット43が構成されている。光触媒フィルタユニット43は、前面パネル15を外した本体14の前面側から着脱可能とし、清掃や交換が可能となっている。光触媒フィルタユニット43は、異物捕捉フィルタ26と組み合わされ、異物捕捉フィルタ26と一緒に筐体11に対して着脱できるようにしてもよい。
【0030】
光触媒フィルタ27は、空気の流通方向に対する光触媒フィルタ27の開口率(つまり、1枚の光触媒フィルタ27の平面において、孔41が占める面積/全体面積(孔41も含む))が10%以上で、かつ空気の流通方向と交差する方向における筐体11内の断面積つまり処理空間20の断面積に対する占有率(つまり、光触媒フィルタ27の全体面積(孔41も含む)/処理空間20の光触媒フィルタ27と平行な面の断面積)が30%以上とする。
【0031】
開口率は、例えば、10%以上、80%以下が好ましく、最良は45%である。開口率が大きいと空気の流れを阻害しにくくなるが、その分、光触媒フィルタ27を通過する光が増加するため、開口率が大きい場合は第1遮光部25と組み合わせて空気処理装置10外への漏れ光を抑制することが好ましい。また、占有率は、例えば、30%以上、100%以下が好ましく、最良は100%である。占有率が大きいほど光触媒フィルタ27の領域が大きくなるため空気処理装置10での空気処理効率が向上するが、その分、空気処理装置10内で光触媒フィルタ27を保持する機構が小さくなり、光触媒フィルタ27の保持安定性が低下する。
【0032】
光触媒フィルタ27は、開口率が10%以上で、処理空間20の断面積に対する占有率が30%以上に配設されていることで、空気の流通に対する圧損が少ないが、光触媒フィルタ27を通過する光を低減する特性を有している。
【0033】
なお、数値パラメータの一例として、処理空間20は、左右方向の幅が310mm、奥行が130mm、断面積が40300mm2であり、また、光触媒フィルタ27は、一辺が100mmの正方形で、面積が10000mm2、厚さが8m、空気の流通方向に対する開口率45%であり、3つの光触媒フィルタ27を用いた場合の空気の流通方向と交差する方向における処理空間20の断面積に対する占有率が74%(30000mm2/40300mm2)である。
【0034】
また、
図2、
図3および
図9に示すように、光照射部28は、第2遮光部29の下側に取り付けられる前後一対の取付部材45に取り付けられ、下方の処理部21内に向けて紫外領域の光を照射する。
【0035】
光照射部28は、長尺状の基板46の表面の長手方向に沿って紫外線発光素子47が複数実装された紫外線光源モジュール48を備えている。紫外線発光素子47には、空気を殺菌するためのピーク波長が300nm以下のUV-Cの波長成分の紫外線であって、好ましくは260~280nmの波長成分の紫外線を放射する紫外線LEDと、光触媒フィルタ27に担持された光触媒を励起するための少なくとも360nmから420nmのUV-Aの波長成分の紫外線を放射する紫外線LEDと、が用いられる。UV-Cの紫外線発光素子47とUV-Aの紫外線発光素子47とは、基板46の長手方向に混合した状態で配置され、例えば交互に配置されている。なお、光照射部28は、紫外線光源モジュール48に限らず、紫外線ランプなどの紫外線光源を用いてもよい。
【0036】
紫外線光源モジュール48は、2つ用いられ、第2遮光部29の下面側に取り付けられる前後一対の各取付部材45に取り付けられる。取付部材45は、筐体11の左右方向に長尺で、上面側には、左右両端および中央に第2遮光部29の枠部材に取り付けられる取付片部49が設けられ、また、下面側には、基板46の裏面側が取り付けられる基板取付部50が設けられ、上下部間には通風口51が複数設けられている。
【0037】
前後一対の取付部材45の間、および各取付部材45に取り付けられる前後一対の紫外線光源モジュール48の間は、開口され、処理部21と第2遮光部29とが連通されている。
【0038】
また、
図7ないし
図9に示すように、第2遮光部29は、第1の遮光ブロック54と第2の遮光ブロック55とを有し、これら遮光ブロック54,55が筐体11内の左右方向に並んで配設されている。例えば、筐体11の正面視で、左側に第1の遮光ブロック54が配設され、右側に第2の遮光ブロック55が配設されている。
【0039】
第2遮光部29の各遮光ブロック54,55は、上下面が開口された枠部35と、この枠部35の内側に上下面の開口に沿った一方向に向けて同一間隔に複数配設された遮光部材36と、を備えている。なお、第2遮光部29は、第1遮光部25と基本的な構成が共通であるため、同一符号を用いて説明する。
【0040】
枠部35は、左右一対の断面略コ字形の枠部材56を有し、両側の枠部材56の上部側が筐体11内で第2遮光部29とファン30との間に配設された取付台57の下面側にねじ止めにより取り付けられ、両側の枠部材56の下部側が前後一対の取付部材45にねじ止めされて取り付けられている。取付台57および取付部材45により、各遮光ブロック54,55の枠部35が一体に組み立てられている。
【0041】
遮光部材36は、上述した第1遮光部25の遮光部材36と同様に、所定の角度に折曲された頂点部37と、この頂点部37から所定の角度の方向に向けて延びる一対の遮光板部38と、を有する断面略「く」の字形に形成されている。
【0042】
隣接する遮光部材36は、平面視で、隣接する一方の遮光部材36の頂点部37または遮光板部38と隣接する他方の遮光部材36の遮光板部38または頂点部37とが重なり合うピッチに配置されている。
【0043】
具体的には、
図5に示すように、第1遮光部25は、遮光部材36の頂点部37の角度をα、遮光部材36の頂点部37から延びる一対の遮光板部38の両端部間の高さをH、遮光部材36が同一間隔で複数配設されるピッチをPとしたとき、60°≦α≦120°、P≦0.5H/tan(α/2)の関係を有するように配設されている。
【0044】
頂点部37の角度αが60°よりも小さいと、空気の流通の抵抗が増加し、一方、60°よりも大きいと、遮光部材36の数を多くしないと遮光が難しくなる。また、遮光部材36のピッチPがP≦0.5H/tan(α/2)よりも大きいと、隣り合う遮光部材36間を光がそのまま通過する可能性がある。
【0045】
なお、数値パラメータの一例として、角度αは90°、高さHは42mm、ピッチPは20mmである。
【0046】
第2遮光部29の第1の遮光ブロック54は、頂点部37が前方向に向くように遮光部材36が同一間隔で複数配設され、また、第2の遮光ブロック55は、頂点部37が後方向に向くように遮光部材36が同一間隔で複数配設されている。
【0047】
なお、第2遮光部29は、第1遮光部25と同じ構造を採用してもよく、あるいは頂点部37が全て同じ向きとなるように複数配設されてもよく、あるいは筐体11が円筒状や四角筒状などの筒状の場合には周方向に頂点部37が向くように円周上に複数配設されてもよい。
【0048】
また、
図7ないし
図9に示すように、ファン30は、排気ファンであり、軸流ファンを用いている。ファン30は、軸方向に空気を送る羽根車60と、この羽根車60を回転させるモータ61と、このモータ61を支持し、羽根車60が配置される通風口62を有するフレーム63と、を備えている。ファン30の羽根車60およびフレーム63は非金属の材料であって樹脂材料で形成されている。ファン30は、羽根車60の回転軸を鉛直方向とし、羽根車60が平面視時計回り方向に回転することにより、筐体11の下端側の第1通気口16から外部の空気を吸い込み、筐体11の上端側の第2通気口17から外部に空気を排気し、筐体11内の処理空間20に外部からの空気を循環させる気流を発生させる。
【0049】
ファン30は、筐体11内に配設される取付台57上に左右方向に並んで配設されている。取付台57は、ファン30を取り付ける上面部57aと、第2遮光部29の前後面を覆う覆い部57bと、を備え、上面部57aの左右方向の両端部が筐体11の本体14に固定されている。取付台57は、処理部21側と上端側の第2通気口17側との間を仕切って配置されている。上面部57aには、ファン30の通風口62と第2遮光部29とを連通するために図示しない2つの開口部が形成されている。
【0050】
なお、ファン30は、1台でもよく、3台以上用いてもよい。また、ファン30は、軸流ファンに限らず、遠心ファン、シロッコファンなどの他のファン形式のものを用いてもよい。
【0051】
そして、空気処理装置10の動作を説明する。
【0052】
ファン30が回転すると、外部の空気を筐体11の下端側の第1通気口16から第1遮光部25、異物捕捉フィルタ26および光触媒フィルタ27を通じて処理空間20の処理部21に吸い込むとともに、処理部21内の空気を筐体11の上端側の第2遮光部29およびファン30を通じて上端側の第2通気口17から外部に排気することで、処理部21内に外部からの空気が循環する。
【0053】
光照射部28から処理部21に向けて紫外線を照射することで、処理部21内を流通する空気に紫外線が照射されて殺菌される。紫外線が照射された空気は、第2遮光部29を通じて上端側の第2通気口17から筐体11の外部に排気される。
【0054】
光照射部28は第2遮光部29に取り付けられているため、光照射部28の紫外線発光素子47が発生する熱が第2遮光部に伝達されて効率よく冷却される。
【0055】
また、第1遮光部25では、複数の遮光部材36間の間隙を通じて、第1通気口16から外部の空気が処理部21に吸い込まれる。さらに、第1遮光部25では、光触媒フィルタ27の開口領域、および異物捕捉フィルタ26を通過してくる紫外線を遮光し、第1通気口16からの光漏れを防止する。
【0056】
光触媒フィルタ27は、開口率が10%以上で、処理空間20の断面積に対する占有率が30%以上に配設されていることで、空気の流通に対する圧損が少ないが、光触媒フィルタ27を通過して第1遮光部25へ向う光照射部28からの光が多いなる特性を有している。
【0057】
この特性の光触媒フィルタ27を用いた場合でも、光触媒フィルタ27よりも空気の流通方向の上流側の第1流通口16側に、断面略「く」の字形の遮光部材36を同一間隔で複数配設した第1遮光部25を配設することで、隣り合う遮光部材36間を紫外線が一直線上に通過することを不可能とするため、光漏れを確実に防止できる。
【0058】
しかも、第1遮光部25は、遮光部材36の頂点部37の角度をα、遮光部材36の頂点部37から延びる一対の遮光板部38の両端部間の高さをH、遮光部材36が同一間隔で複数配設されるピッチをPとしたとき、60°≦α≦120°、P≦0.5H/tan(α/2)の関係を有するように配設するため、通気性の確保と紫外線の遮光とを両立できる。
【0059】
また、異物捕捉フィルタ26では、下端側の第1通気口16から空気とともに吸い込まれる塵埃や紙片などの異物を捕捉する。異物捕捉フィルタ26は、第1通気口16から光触媒フィルタ27へ到達するまでの空気の経路上に配設されることが好ましい。異物捕捉フィルタ26は、例えば、第1通気口16、第1遮光部25との間に配設されたり、第1遮光部25と、光触媒フィルタ27との間に配設されたりする。異物捕捉フィルタ26は、金属材料で形成されているため、第1遮光部25よりも空気の流通方向の下流側に光触媒フィルタ27とともに配置しても、紫外線の照射による劣化を防止できる。
【0060】
また、光触媒フィルタ27は、光照射部28から照射される少なくとも360nmから420nmのUV-Aの波長成分の紫外線もしくは可視光が照射されることで、活性酵素とOHラジカルを生成し、生成された活性酵素やOHラジカルによって、空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、ウイルスの活動を抑制したりする。光触媒フィルタ27は、開口率が10%以上であるが、処理空間20の断面積に対する占有率が30%以上に配設されていることで、空気と触れる表面積が確保され、必要な光触媒の効果が得られる。
【0061】
また、処理部21の上端側の第2遮光部29では、複数の遮光部材36間の間隙を通じて、処理部21内の空気がファン30に吸い込まれる。さらに、第2遮光部29では、処理部21内から向ってくる紫外線を遮光し、第2通気口17からの光漏れを防止する。
【0062】
処理部21よりも空気の流通方向の下流側の第2流通口17側に、断面略「く」の字形の遮光部材36を同一間隔で複数配設した第2遮光部29を配設することで、隣り合う遮光部材36間を紫外線が一直線上に通過することを不可能とするため、光漏れを確実に防止できる。
【0063】
しかも、第2遮光部29は、遮光部材36の頂点部37の角度をα、遮光部材36の頂点部37から延びる一対の遮光板部38の両端部間の高さをH、遮光部材36が同一間隔で複数配設されるピッチをPとしたとき、60°≦α≦120°、P≦0.5H/tan(α/2)の関係を有するように配設するため、通気性の確保と紫外線の遮光とを両立できる。
【0064】
また、ファン30は、羽根車60およびフレーム63が非金属である樹脂材料で形成されているが、処理部21に対して第2遮光部29よりも空気の流通方向の下流側に配設されるため、紫外線が照射されるのが防止され、紫外線による樹脂部品の劣化を防止できる。
【0065】
以上のように、実施形態の空気処理装置10では、開口率が10%以上で、処理空間20の断面積に対する占有率が30%以上に配設されている光触媒フィルタ27を用いた場合でも、断面略「く」の字形の遮光部材36を同一間隔で複数配設した第1遮光部25を用いることで、光漏れを防止でき、効率よく空気を処理することが期待できる。
【0066】
なお、筐体11の下端側の第1通気口16は吸気口、上端側の第2通気口17は排気口のまま、ファン30を吸気ファンとして下端側の第1通気口16側に配設してもよい。
【0067】
また、筐体11の下端側の第1通気口16は排気口、上端側の第2通気口17は吸込口であってもよい。この場合、ファン30を逆回転させてもよいし、ファン30を第1通気口16側に配設してもよい。
【0068】
また、ファン30は、遮光部25,29間の外側に配設することが好ましいが、ファン30を金属部品で構成し、遮光部25,29間の内側に配設してもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10 空気処理装置
11 筐体
16 通気口である第1通気口
17 通気口である第2通気口
25 遮光部である第1遮光部
26 異物捕捉フィルタ
27 光触媒フィルタ
28 光照射部
29 遮光部である第2遮光部
30 ファン
36 遮光部材
37 頂点部
41 孔