特開 2023-148758 インターホンシステム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023148758

(43)【公開日】2023-10-13

(54)【発明の名称】インターホンシステム

(51)【国際特許分類】

   H04M 9/00 20060101AFI20231005BHJP

   H04N 7/18 20060101ALI20231005BHJP

【ＦＩ】

H04M9/00 D

H04N7/18 H

H04N7/18 U

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022056953

(22)【出願日】2022-03-30

(71)【出願人】

【識別番号】000100908

【氏名又は名称】アイホン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100121142

【弁理士】

【氏名又は名称】上田 恭一

(72)【発明者】

【氏名】山川 誠也

(72)【発明者】

【氏名】竹内 基浩

(72)【発明者】

【氏名】牧田 舞

【テーマコード（参考）】

5C054

5K038

【Ｆターム（参考）】

5C054CA04

5C054CC02

5C054CD06

5C054CH04

5C054FE14

5C054GB02

5C054GD06

5C054HA22

5K038AA06

5K038DD15

5K038DD18

5K038FF04

5K038GG03

(57)【要約】

【課題】 呼出操作を受けて玄関子機のカメラの撮像映像が居室親機に表示されている状態で、宅配ボックスが開操作されたら、表示されている映像とは独立した映像の録画が可能なインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 玄関子機１が来訪者を撮像するためのカメラ１２を備え、居室親機２がカメラ１２の撮像映像を表示するモニタ２２、及び映像を録画する記憶部２６を備えると共に、開扉されたら開扉信号を玄関子機１に出力する宅配ボックス３を備えている。親機ＣＰＵ２７は、玄関子機１が呼出操作されたらカメラ１２の最大画角での撮像エリアのうちの所定の第１のエリアをデジタルズームした第１ズーム映像をモニタ２２に表示させると共に、第１ズーム映像をモニタ２２に表示中に開扉信号を受信したら、最大画角での撮像エリアのうちの所定の第２のエリアをデジタルズームした第２ズーム映像を記憶部２６に録画させる。
【選択図】 図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有し、前記玄関子機が来訪者を撮像するためのカメラを備え、前記居室親機が前記カメラの撮像映像を表示するモニタ、及び映像を録画する記憶部を備えたインターホンシステムであって、
開扉されたら開扉信号を外部に出力する宅配ボックスを備える一方、前記開扉信号を受信する受信部を、前記玄関子機、前記居室親機の何れかに設け、
前記玄関子機が呼出操作されたら、前記カメラの最大画角での撮像エリアのうちの所定の第１のエリアをデジタルズームした第１ズーム映像を前記モニタに表示させると共に、
前記開扉信号を受信したら、前記カメラの最大画角での撮像映像と、前記最大画角での撮像エリアのうちの所定の第２のエリアをデジタルズームした第２ズーム映像との少なくとも一方を前記記憶部に録画させる映像制御部を有し、
前記映像制御部は、前記玄関子機が呼出操作されたら、前記カメラの撮像映像を前記モニタに表示させ、この表示状態で前記開扉信号を受信したら、並行して前記カメラの撮像映像の録画を実施することを特徴とするインターホンシステム。

【請求項2】

前記映像制御部は、前記開扉信号を受信したら、前記最大画角での撮像映像と、前記第２ズーム映像とを所定時間毎に切り替えて交互に録画することを特徴とする請求項１記載のインターホンシステム。

【請求項3】

前記映像制御部は、通話中に前記開扉信号を受信したら、前記モニタに宅配ボックスが開扉されたことを文字或いはアイコンで表示することを特徴とする請求項１又は２記載のインターホンシステム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明はインターホンシステムに関し、詳しくは宅配ボックスと連携動作するインターホンシステムに関する。

【背景技術】

【0002】

戸建住宅に設置された宅配ボックスの場合、集合住宅に設置されるものに比べて部外者が容易に開ける事ができるため、インターホンシステムを利用して、宅配ボックスが開扉されたら、居住者に通知するよう構成されたシステムがある。
例えば特許文献１では、宅配ボックスが解錠されると、インターホンシステムを使用して居室親機を動作させて居住者にそれを音で通知し、玄関子機のカメラを起動して撮像を開始するよう動作させた。更に、居室親機からの通知を認識した居住者が警報発報の操作をすると、玄関子機から警報音等の報音を可能とした。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－１４９６９４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記特許文献１では、開扉を検知してカメラが起動して撮像映像を録画したため、後から確認できた。
しかしながら、カメラは来訪者を撮像する設定になっているため、宅配ボックスの操作者を確認できる映像ではなかったし、カメラは１台であるため、来訪者と通話中の時はカメラは来訪者を撮像しているため、宅配ボックスの操作者まで撮像更には録画することはできなかった。

【0005】

そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、呼出操作を受けて玄関子機のカメラの撮像映像が居室親機に表示されている状態で、宅配ボックスが開操作されたら、表示されている映像とは独立した映像の録画が可能なインターホンシステムを提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題を解決する為に、請求項１の発明は、居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有し、玄関子機が来訪者を撮像するためのカメラを備え、居室親機がカメラの撮像映像を表示するモニタ、及び映像を録画する記憶部を備えたインターホンシステムであって、開扉されたら開扉信号を外部に出力する宅配ボックスを備える一方、開扉信号を受信する受信部を、玄関子機、居室親機の何れかに設け、玄関子機が呼出操作されたら、カメラの最大画角での撮像エリアのうちの所定の第１のエリアをデジタルズームした第１ズーム映像をモニタに表示させると共に、開扉信号を受信したら、カメラの最大画角での撮像映像と、最大画角での撮像エリアのうちの所定の第２のエリアをデジタルズームした第２ズーム映像との少なくとも一方を記憶部に録画させる映像制御部を有し、映像制御部は、玄関子機が呼出操作されたら、カメラの撮像映像をモニタに表示させ、この表示状態で開扉信号を受信したら、並行してカメラの撮像映像の録画を実施することを特徴とする。
この構成によれば、呼び出しを受けてカメラの撮像映像を居室親機に表示している状態でも、宅配ボックスが開扉操作されたら、モニタに表示されている映像とは異なる映像を録画できる。よって、来訪者映像を見ながら来訪者と通話中であっても、宅配ボックスを開操作した操作者を後から映像で確認することができ、セキュリティの向上に有効である。

【0007】

請求項２の発明は、請求項１に記載の構成において、映像制御部は、開扉信号を受信したら、最大画角での撮像映像と、第２ズーム映像とを所定時間毎に切り替えて交互に録画することを特徴とする。
この構成によれば、ワイド映像と所定エリアのズーム映像が交互に録画されるため、宅配ボックスを開けた人物が移動しても把握し易い。

【0008】

請求項３の発明は、請求項１又は２に記載の構成において、映像制御部は、通話中に開扉信号を受信したら、モニタに宅配ボックスが開扉されたことを文字或いはアイコンで表示することを特徴とする。
この構成によれば、来訪者と通話中であっても来訪者映像が表示されているモニタに、宅配ボックスが開扉されたことが表示される。よって、居住者は来訪者に応対していても宅配ボックスの状況を認識でき、対処し易い。

【発明の効果】

【0009】

本発明によれば、呼び出しを受けてカメラの撮像映像を居室親機に表示している状態でも、宅配ボックスが開扉操作されたら、モニタに表示されている映像とは異なる映像を録画できる。よって、来訪者映像を見ながら来訪者と通話中であっても、宅配ボックスが開操作されたら操作者の映像を録画することが可能となり、セキュリティの向上に有効である。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図である。

【図2】図１のインターホンシステムの各機器を機能ブロックで示した図である。

【図3】（ａ）は呼出信号を受けてモニタに表示される映像の説明図、（ｂ）は開扉信号を受けて録画される映像の説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図１は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図であり、インターホンシステム１０は、玄関子機１、居室親機２、宅配ボックス３により構成されている。
玄関子機１と居室親機２とは伝送線Ｌ１で接続され、宅配ボックス３は玄関子機１に信号線Ｌ２により接続されている。

【0012】

図２は、図１のインターホンシステム１０をブロック図で示している。図２に示すように、玄関子機１は居住者の呼出操作を行う呼出ボタン１１、来訪者を撮像するためのカメラ１２、カメラ１２の撮像映像を居室親機２に送信するための信号処理を行う映像処理部１３、通話するためのマイク１４ａ及びスピーカ１４ｂ、マイク１４ａ及びスピーカ１４ｂを制御する音響部１４、カメラ１２の夜間照明としてのＬＥＤから成る照明部１５、玄関子機１を制御する子機ＣＰＵ１６、居室親機２と通信する子機通信ＩＦ１７、宅配ボックス３から送出される信号を受信する受信部１８等を備えている。

【0013】

カメラ１２は、例えば１８０度の広角で撮像できる広角カメラであり、広角で撮像した映像が居室親機２へ送信される。また、カメラ１２は、照度センサ（図示せず）を内蔵しており、子機ＣＰＵ１６が照度センサの照度情報を基に、照明部１５の点灯制御を行って夜間でも撮像を可能としている。

【0014】

居室親機２は、玄関子機１からの呼び出しに応答するための通話ボタン２１、カメラ１２の撮像映像を表示するモニタ２２、玄関子機１から送信された映像信号をモニタ２２に表示するための信号処理を行う映像処理部２３、通話するためのマイク２４ａ及びスピーカ２４ｂ、マイク２４ａ及びスピーカ２４ｂを制御する音響部２４、モニタ２２の各種表示の制御、録画操作等を行う操作部２５、カメラ１２の撮像映像の録画に加えて各種設定を記憶する記憶部２６、居室親機２を制御する親機ＣＰＵ２７、玄関子機１と通信する親機通信ＩＦ２８等を備えている。

【0015】

尚、親機ＣＰＵ２７は映像制御部としての機能を有しており、カメラ１２の撮像映像をモニタ２２に表示する制御を実施するし、後述するように録画を実施する場合は録画する映像の制御もモニタ２２の表示映像と並行して実施する。

【0016】

宅配ボックス３は、荷物の収容／取り出しの際に開閉操作する扉（図示せず）の操作を検知するセンサ装置３ａが設けられており、センサ装置３ａが信号線Ｌ２により玄関子機１に接続されている。センサ装置３ａは、宅配ボックス３の扉が開扉されたら、それを検知して開扉信号を出力する。

【0017】

ここで、モニタ２２に表示されるカメラ１２の撮像映像を説明する。カメラ１２は最大画角の広角で撮像し、広角映像が玄関子機１から居室親機２に送信される。居室親機２に送信された映像は、親機ＣＰＵ２７の制御により、ズームせずワイド映像で或いは予め設定された特定の第１のエリアがデジタルズームされた第１ズーム映像がモニタ２２に表示される。
このデジタルズーム設定は操作部２５（モニタ２２にタッチパネルとして設けられている）の所定の操作で実施される。

【0018】

具体的に、呼出ボタン１１の操作を受けた場合にモニタ２２に表示される映像は、来訪者を確認したいため、カメラ１２の撮像映像のうち来訪者を拡大した映像を表示するよう設定される。例えば、来訪者が玄関子機１の正面、即ちカメラ１２の正面に立つ場合が多ければ、正面を拡大してモニタ２２に表示する設定が成される。また、正面からズレて左右何れかに立つ場合が多ければ、その方向を拡大してモニタ２２に表示する設定が成される。こうして、来訪者を確認し易いズーム映像がモニタ２２に表示される。設定されたパン／チルト角、ズーム率は記憶部２６に記憶され、変更されない限りこのズーム映像が表示される。

【0019】

また、第１ズーム映像と異なる第２ズーム映像の設定が可能であり、宅配ボックス３からの信号を受けた場合は、第２ズーム映像が生成されて録画される。

【0020】

第２ズーム映像は、宅配ボックス３の開扉信号を受けて生成される映像で、宅配ボックス３の操作者を確認するための映像が生成される。この映像は、居室親機２に送信された広角映像のうち、宅配ボックス３の操作者が映り込む特定の第２のエリアを拡大した映像であり、このデジタルズーム設定されたパン／チルト角、ズーム率は、記憶部２６に記憶される。こうして、第１ズーム映像の設定と、第２ズーム映像の設定との２つのズーム設定が記憶部２６に登録される。

【0021】

但し、玄関子機１と宅配ボックス３の位置関係から、カメラ１２を最大画角での撮像映像に宅配ボックス３、操作者が入り込まない場合は、宅配ボックス３からの信号を受けてモニタ２２に表示される映像は、ズームしないワイド映像としても良い。こうすることで、不審な動きをする不審者である場合は映り込む確率が高くなる。

【0022】

上記の如く構成されたインターホンシステム１０の動作は以下のようである。玄関子機１が操作されて居住者の呼び出しが行われると、呼出信号が居室親機２に送信される。同時に、カメラ１２が撮像を開始して、その撮像映像が居室親機２に送信される。
呼出信号及び撮像映像が送信された居室親機２では、親機ＣＰＵ２７の制御により呼出音が鳴動すると共にモニタ２２に来訪者映像が表示される。この時、モニタ２２には、記憶部２６に登録された設定の第１ズーム映像が表示される。即ち、来訪者を確認し易いズーム映像が表示される。

【0023】

図３（ａ）はこの時モニタ２２に表示される映像を示している。図３（ａ）に示すように来訪者の上半身が拡大されて、来訪者を確認し易い映像がモニタ２２に表示される。
呼び出しを認識した居住者が通話ボタン２１を操作すると、玄関子機１との間で通話路が形成されて通話が可能となり、居住者は来訪者を映像で確認しながら通話が実施される。

【0024】

次に、この通話状態で宅配ボックス３が開扉された場合を説明する。開扉されたら、センサ装置３ａがそれを検知して、信号線Ｌ２を介して玄関子機１に信号（開扉信号）が送信される。この信号は、玄関子機１から居室親機２に送信され、親機ＣＰＵ２７の制御により、次のような映像制御が実施される。
玄関子機１から送信されたカメラ１２の撮像映像のうち、設定された第２ズーム映像が生成されて記憶部２６に録画される。また、開扉信号を受けて、来訪者映像を表示中のモニタ２２に、開扉信号を受信した旨の表示がなされる。

【0025】

図３（ｂ）は、こうして録画された映像の説明図であり、録画を再生した場合、このような映像がモニタ２２に表示される。図３（ｂ）は宅配ボックス３がカメラ１２の撮像エリア内に設置されている場合を示し、宅配ボックス３の操作者が映り込んだ状態を示している。そして、図３（ａ）に表示されている「宅配ＢＯＸ開扉中」の表示Ｐ１が、開扉信号を受けた際の表示を示している。

【0026】

このように、玄関子機１から呼び出しを受けて、カメラ１２の撮像映像を居室親機２に表示している状態でも、宅配ボックス３が開扉操作されたら、モニタ２２に表示されている映像とは異なる映像を録画できる。よって、来訪者映像を見ながら来訪者と通話中であっても、宅配ボックス３が開操作されたら、その操作者の映像を後から確認することができ、セキュリティの向上に有効である。
また、来訪者と通話中に宅配ボックス３が開扉されたら、来訪者映像が表示されているモニタ２２に宅配ボックス３が開扉されたことが表示されるため、居住者は来訪者に応対していても宅配ボックス３の状況を認識でき、対処し易い。

【0027】

尚、上記実施形態では、開扉信号を受けて録画する映像を第２ズーム映像としているが、ズームしないワイド映像と第２ズーム映像とを例えば３秒毎に切り替えて交互に録画しても良い。こうすることで、ワイド映像とズーム映像が交互に録画されるため、宅配ボックス３を開けた人物が移動した場合でも把握し易い。
また、カメラ１２を最大画角のワイド映像としても宅配ボックス３が映り込まない場合は、ズームせず、ワイド映像のみ録画しても良い。
更に、来訪者と通話中に宅配ボックス３が開扉されたら、表示されている来訪者映像にその旨を文字で表示しているが、それを認識させるアイコンを表示しても良い。

【符号の説明】

【0028】

１・・玄関子機、２・・居室親機、３・・宅配ボックス、１０・・インターホンシステム、１１・・呼出ボタン、１２・・カメラ、１６・・子機ＣＰＵ、１８・・受信部、２２・・モニタ、２６・・記憶部、２７・・親機ＣＰＵ（映像制御部）。

【図1】

【図2】

【図3】