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特開2023-148768画像形成装置、通知方法及び通知システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148768
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】画像形成装置、通知方法及び通知システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20231005BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231005BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J29/38 203
B41J29/46 Z
B41J29/38 401
G03G21/00 388
G06F3/12 303
G06F3/12 367
G06F3/12 360
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056968
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陸
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AS02
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HK23
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV32
2H270KA60
2H270KA61
2H270LA58
2H270NA01
2H270NB22
2H270NC26
2H270ND02
2H270ND06
2H270ND33
2H270ND35
2H270QA02
2H270ZB01
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】ユーザ同士が接近して密になる状況を回避する。
【解決手段】画像形成装置の通信部が複数の情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合に、制御部が前記通信部を制御して、当該複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうちの1つに前記画像形成装置への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報のうち、前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に関連付けられたユーザ識別情報とは異なる他のユーザ識別情報が関連付けられた他のユーザ端末には前記画像形成装置から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信する
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置及びユーザ端末と通信する通信部と、
前記通信部により前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを記憶する記憶部と、
前記印刷ジョブに基づいて印刷媒体に画像を形成することにより印刷を実行する画像形成部と、
前記通信部が複数の情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合に、当該複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうちの1つに画像形成装置への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報のうち、前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に関連付けられたユーザ識別情報とは異なるユーザ識別情報に関連付けられた他のユーザ端末には前記画像形成装置から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうち、前記画像形成装置に最も近いユーザ端末に前記第1の通知情報を送信し、他のユーザ端末には前記第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうち、印刷ジョブの受信時刻が最も早かった情報処理装置から受信したユーザ識別情報に関連付けられたユーザ端末に前記第1の通知情報を送信し、他のユーザ端末には前記第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記画像形成装置を中心とする所定の範囲内に、送信した印刷ジョブがまだ印刷されていない情報処理装置から受信したユーザ識別情報に関連付けられたユーザ端末が複数存在するか否かを判定し、複数存在する場合に、前記範囲内のユーザ端末のうち、前記画像形成装置に最も近いユーザ端末に前記第1の通知情報を送信し、他のユーザ端末には前記第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の通知情報をユーザ端末に送信した後、当該ユーザ端末に、印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、その後、当該ユーザ端末に前記第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1の通知情報をユーザ端末に送信した後、前記画像形成部により印刷ジョブの印刷が完了すると、当該ユーザ端末に前記第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に、前記第2の通知情報を送信した後、再び前記範囲内に、送信した印刷ジョブがまだ印刷されていない情報処理装置から受信したユーザ識別情報に関連付けられたユーザ端末が複数存在するか否かを判定し、複数存在する場合に、複数存在するユーザ端末のうち、前記画像形成装置に最も近いユーザ端末に前記第1の通知情報を送信し、他のユーザ端末には前記第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1の通知情報をユーザ端末に送信した後、当該ユーザ端末に、画像形成装置に印刷物が放置されていないか確認するようユーザに指示する為の第3の通知情報を送信し、当該ユーザ端末から印刷物が放置されている旨を示す操作情報を受信すると、過去に送信した印刷ジョブが印刷された情報処理装置から受信したユーザ識別情報に関連付けられたユーザ端末のうちの1つに、前記第1の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
過去に送信した印刷ジョブが印刷された情報処理装置から受信したユーザ識別情報に関連付けられたユーザ端末に、印刷物を受け取ったか確認するようユーザに指示する為の第5の通知情報を送信し、当該ユーザ端末から印刷物を受け取っていない旨を示す操作情報を受信した場合に、当該ユーザ端末に前記第1の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
ユーザ端末から印刷物が放置されている旨を示す操作情報を受信すると、当該ユーザ端末に前記第2の通知情報を送信した後に、過去に送信した印刷ジョブが印刷された情報処理装置から受信したユーザ識別情報に関連付けられたユーザ端末のうちの1つに、前記第1の通知情報を送信するように前記通信部を制御する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、前記ユーザ端末である
ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
画像形成装置の通信部が複数の情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合に、前記画像形成装置の制御部が前記通信部を制御して、当該複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうちの1つに前記画像形成装置への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報のうち、前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に関連付けられたユーザ識別情報とは異なる他のユーザ識別情報が関連付けられた他のユーザ端末には前記画像形成装置から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信する
ことを特徴とする通知方法。
【請求項13】
情報処理装置とユーザ端末と画像形成装置とを有し、
前記画像形成装置は、
前記情報処理装置及び前記ユーザ端末と通信する画像形成装置側通信部と、
前記画像形成装置側通信部により前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを記憶する記憶部と、
前記印刷ジョブに基づいて印刷媒体に画像を形成することにより印刷を実行する画像形成部と、
前記画像形成装置側通信部が複数の情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合に、当該複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうちの1つに前記画像形成装置への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報のうち、前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に関連付けられたユーザ識別情報とは異なる他のユーザ識別情報が関連付けられた他のユーザ端末には前記画像形成装置から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するように前記画像形成装置側通信部を制御する制御部と
を備え、
前記ユーザ端末は、
前記画像形成装置と通信するユーザ端末側通信部と、
前記ユーザ端末側通信部により前記画像形成装置から受信した前記第1の通知情報及び前記第2の通知情報を表示する表示部と
を備えることを特徴とする通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、通知方法及び通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、複数の情報処理装置から印刷ジョブを連続して受信すると、例えば当該印刷ジョブを順番に印刷して印刷物(すなわち画像が形成された印刷媒体)を排出するようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-53975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、情報処理装置を用いて画像形成装置に印刷指示を出した(つまり印刷ジョブを送信した)複数のユーザが、自分の印刷物を受け取る為に画像形成装置に集まってしまい、ユーザ同士が接近して密になってしまう場合があるという問題を有していた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮したものであり、ユーザ同士が接近して密になる状況を回避し得る画像形成装置、通知方法及び通知システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、情報処理装置及びユーザ端末と通信する通信部と、前記通信部により前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを記憶する記憶部と、前記印刷ジョブに基づいて印刷媒体に画像を形成することにより印刷を実行する画像形成部と、前記通信部が複数の情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合に、当該複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうちの1つに画像形成装置への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報のうち、前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に関連付けられたユーザ識別情報とは異なるユーザ識別情報に関連付けられた他のユーザ端末には前記画像形成装置から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するように前記通信部を制御する制御部とを備える。
【0007】
また本発明の通知方法は、画像形成装置の通信部が複数の情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合に、前記画像形成装置の制御部が前記通信部を制御して、当該複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうちの1つに前記画像形成装置への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報のうち、前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に関連付けられたユーザ識別情報とは異なる他のユーザ識別情報が関連付けられた他のユーザ端末には前記画像形成装置から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信する。
【0008】
さらに本発明の通知システムは、情報処理装置とユーザ端末と画像形成装置とを有し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置及び前記ユーザ端末と通信する画像形成装置側通信部と、前記画像形成装置側通信部により前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを記憶する記憶部と、前記印刷ジョブに基づいて印刷媒体に画像を形成することにより印刷を実行する画像形成部と、前記画像形成装置側通信部が複数の情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合に、当該複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報に関連付けられた複数のユーザ端末のうちの1つに前記画像形成装置への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、前記複数の情報処理装置のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザ識別情報のうち、前記第1の通知情報を送信したユーザ端末に関連付けられたユーザ識別情報とは異なる他のユーザ識別情報が関連付けられた他のユーザ端末には前記画像形成装置から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するように前記画像形成装置側通信部を制御する制御部とを備え、前記ユーザ端末は、前記画像形成装置と通信するユーザ端末側通信部と、前記ユーザ端末側通信部により前記画像形成装置から受信した前記第1の通知情報及び前記第2の通知情報を表示する表示部とを備える。
【0009】
こうすることで、情報処理装置を用いて画像形成装置に印刷ジョブを送信した複数のユーザが画像形成装置に集まってしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ユーザ同士が接近して密になる状況を回避し得る画像形成装置、通知方法及び通知システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】印刷システムの構成を示す図である。
図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3】印刷ジョブ情報の構成を示す図である。
図4】ユーザ識別情報の構成を示す図である。
図5】画像形成装置を中心とした円形の範囲内に携帯端末が複数存在する様子を示す図である。
図6】携帯端末の構成を示すブロック図である。
図7】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図8】携帯端末に表示される各種通知画面の構成を示す図である。
図9】携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[1.印刷システムの構成]
図1に、本実施の形態による通知システムとしての印刷システム1の構成を示す。この印刷システム1は、1台の画像形成装置10と、複数の携帯端末100とで構成されている。各携帯端末100は、各ユーザが携帯する情報処理装置及びユーザ端末であり、例えばアドホックモードの無線LAN2により画像形成装置10と通信可能となっている。各携帯端末100は、印刷ジョブを画像形成装置10に送信し、当該印刷ジョブに基づく印刷を画像形成装置10に実行させるようになっている。画像形成装置10は、無線LAN2を介して複数の携帯端末100と通信可能なプリンタであり、各携帯端末100から受信した印刷ジョブに基づいて印刷を実行するようになっている。このように、印刷システム1は、複数のユーザが1台の画像形成装置10を共用するシステムとなっている。
【0014】
つづけて、図1及び図2を用いて画像形成装置10の構成について説明する。尚、図1には、画像形成装置10を正面から見た場合の外観を示し、図2には、画像形成装置10の機能構成を示す。図1に示すように、画像形成装置10は、上部に設けられた排紙部11と、下部に設けられた給紙部12と、正面上部に設けられた操作パネル部13と、側面などに設けられたネットワーク通信部14とを有している。さらに図2に示すように、画像形成装置10は、制御部15と、記憶部16と、印刷部17とを有している。
【0015】
給紙部12は、印刷媒体としての用紙を印刷部17へと給紙する。印刷部17は、携帯端末100から受信した印刷ジョブに基づいて、給紙部12により給紙された用紙に画像を形成する(すなわち用紙に印刷する)。排紙部11は、画像が形成された用紙(すなわち印刷物)を図示しない排紙トレイ(スタッカ)に排出する。
【0016】
操作パネル部13は、表示部13A及び操作部13Bを有し、表示部13Aに各種画面を表示し、操作部13Bに対する操作を受け付ける。ネットワーク通信部14は、携帯端末100との通信(例えば無線LAN2を介した無線通信)を行う。記憶部16は、例えば、画像形成装置10で扱う各種情報、制御部15により実行される各種プログラム、携帯端末100から受信した印刷ジョブを記憶する。
【0017】
制御部15は、記憶部16に記憶されているプログラムを読み出して実行し、画像形成装置10全体を制御する。具体的には、制御部15は、ネットワーク通信部14により携帯端末100から印刷ジョブを受信すると、これを記憶部16に記憶する。またこのとき、制御部15は、受信した印刷ジョブごとの情報(以下、印刷ジョブ情報と呼ぶ)を記憶部16に記憶する。
【0018】
ここで、図3に、記憶部16に記憶されている印刷ジョブ情報Piを示す。図3に示すように、印刷ジョブ情報Piは、印刷ジョブIDと、ユーザIDと、受信時刻と、印刷時刻とで構成されている。印刷ジョブIDは、受信した印刷ジョブごとに制御部15が割り当てる固有のID(つまり印刷ジョブ識別情報)である。ユーザIDは、印刷ジョブを送信してきた携帯端末100を携帯するユーザに割り当てられた固有のID(つまりユーザ識別情報)である。このユーザIDは、携帯端末100から印刷ジョブとともに送信されてくるようになっている。本実施の形態では、印刷ジョブにユーザIDが含まれているとするが、印刷ジョブとは別のデータとなっていてもよい。受信時刻は、印刷ジョブを受信した時刻、印刷時刻は、当該印刷ジョブの印刷を実行した時刻である。
【0019】
画像形成装置10の制御部15は、印刷ジョブを受信するごとに、このよう印刷ジョブ情報Piを生成して記憶部16に記憶するようになっている。この為、記憶部16には、図3に示すように、これまでに受信した各印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piが蓄積されることになり、蓄積された印刷ジョブ情報Piが印刷ジョブ履歴となる。
【0020】
尚、画像形成装置10では、印刷ジョブを受信すると、直ちに印刷はせずに記憶部16に記憶しておき、その後、ユーザが画像形成装置10のところまで来て、操作部13Bを操作して当該印刷ジョブに対する印刷指示を出すと、これに応じて当該印刷ジョブの印刷を実行するようになっている。この為、印刷ジョブ情報Piには、印刷ジョブの受信時刻と印刷時刻とが別々に記されている。
【0021】
ちなみに、まだ印刷されていない印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piには、印刷時刻として例えば「-」(Null)が記されるようになっている。その後、印刷ジョブが印刷されると、当該印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piには、このときの時刻が印刷時刻として記されるようになっている。
【0022】
また画像形成装置10の記憶部16には、印刷ジョブ情報Piとは別に、ユーザごとの情報(以下、ユーザ情報と呼ぶ)があらかじめ記憶されている。ここで、図4に、記憶部16に記憶されているユーザ情報Uiを示す。ユーザ情報Uiは、ユーザIDと、ユーザ名と、IPアドレスとで構成されている。ユーザIDは、ユーザに割り当てられた固有のIDである。ユーザ名は、ユーザの名前である。IPアドレスは、ユーザが携帯する携帯端末100のIPアドレスである。
【0023】
印刷ジョブ情報Piとユーザ情報Uiは、ユーザIDにより紐付けられている。画像形成装置10の制御部15は、これら印刷ジョブ情報Piとユーザ情報Uiを参照することで、これまでに受信した各印刷ジョブがどのユーザの携帯端末100から受信したものであるのか(つまり印刷ジョブの送信を指示したユーザは誰なのか)、印刷済みであるのか等を特定することができる。
【0024】
また画像形成装置10の制御部15は、ユーザが操作部13Bを操作してユーザIDを入力すると、記憶部16に記憶してある印刷ジョブ履歴から、入力されたユーザIDを持つ印刷ジョブ情報Pi(つまり当該ユーザが携帯端末100を用いて送信した印刷ジョブの印刷ジョブ情報Pi)を抽出して、これを表示部13Aに表示する。尚、このとき、まだ印刷していないもの(印刷時刻が「-」のもの)のみを表示するようにしてもよい。
【0025】
ここで、ユーザは、操作部13Bを操作して、表示部13Aに表示された印刷ジョブ情報Piの中から印刷したい印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piを選択して印刷を指示する。当該指示に応じて、画像形成装置10の制御部15は、ユーザにより選択された印刷ジョブ情報Piにより識別される印刷ジョブを記憶部16から読み出す。そして制御部15は、当該印刷ジョブに含まれている印刷データを印刷部17で処理可能な画像データに変換し、当該画像データを印刷部17に送り、当該画像データに基づく印刷を実行させる。
【0026】
また画像形成装置10の制御部15は、図5に示すように、複数の携帯端末100(例えば携帯端末100aと携帯端末100b)から印刷ジョブを受信した場合に、複数のユーザ(つまり携帯端末100を携帯している複数のユーザ)が画像形成装置10に集まって密になってしまう状況を防ぐ為に、複数の携帯端末100のうちの1つに、画像形成装置10への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、それ以外の携帯端末100には、画像形成装置10には接近しないよう警告する為の第2の通知情報を送信するようになっている。
【0027】
具体的には、制御部15は、まず画像形成装置10の位置情報と、印刷ジョブを送信してきた複数の携帯端末100のそれぞれの位置情報とを用いて、画像形成装置10と複数の携帯端末100との距離を算出する。例えば、画像形成装置10と携帯端末100aとの距離K1と、画像形成装置10と携帯端末100bとの距離K2を算出する。
【0028】
そして制御部15は、画像形成装置10を中心とする円形の範囲H1内に、印刷ジョブを送信してきた携帯端末100が複数存在する場合に、画像形成装置10からの距離が最も近い例えば携帯端末100aに、接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、それ以外の例えば携帯端末100bに、接近しないよう警告する為の第2の通知情報を送信する。
【0029】
尚、携帯端末100は、GPS(Global Positioning System)などの位置情報取得部を備えていて、当該位置情報取得部により取得した自端末の位置情報を、画像形成装置10に送信するようになっている。一方、画像形成装置10は、自装置の位置情報を記憶部16に記憶している。画像形成装置10の制御部15は、各携帯端末100から受信した各携帯端末100の位置情報と、記憶部16に記憶している自装置の位置情報を用いて、画像形成装置10と各携帯端末100との距離(二点間距離)を算出するようになっている。ちなみに、画像形成装置10は、GPSなどの位置情報取得部を備えていない。この為、画像形成装置10は、携帯端末100から画像形成装置10の位置情報を取得するようになっている。具体的には、携帯端末100では、マップ画面上で画像形成装置10の設置場所を指定できるようになっていて、当該設置場所が指定されると、当該設置場所の位置情報を画像形成装置10の位置情報として画像形成装置10へ送信するようになっている。
【0030】
また範囲H1は、所定の距離K4を半径とする円である。よって、制御部15は、画像形成装置10からの距離が距離K4未満となる携帯端末100を、範囲H1内に存在する携帯端末100として判別するようになっている。この範囲H1の半径(距離K4)は、画像形成装置10上で設定可能であり、例えば、画像形成装置10から無線LANのアドホックモードで通信可能な最大距離(50m~100m程度)以下の値(例えば50m)に設定されている。尚、図5に示す距離K3(つまり携帯端末100同士の距離)については本実施の形態では利用しない。画像形成装置10の構成は、以上のようになっている。
【0031】
つづけて、図1及び図6を用いて、携帯端末100の構成について説明する。尚、図1には、携帯端末100を正面から見た場合の外観を示し、図6には、携帯端末100の機能構成を示す。携帯端末100は、例えばスマートフォンであり、操作パネル部101と、ネットワーク通信部102と、制御部103と、記憶部104と、アプリケーション部105と、位置情報取得部106とを有している。
【0032】
操作パネル部101は、表示部及び操作部として機能するタッチパネルであり、各種画面を表示するとともに、各種画面に対する操作を受け付ける。ネットワーク通信部102は、画像形成装置10との通信(例えば無線LAN2を介した無線通信)を行う。記憶部104は、例えば、携帯端末100で扱う各種情報、制御部103により実行される各種プログラム(基本ソフトウェア、ドライバ、アプリケーションなど)を記憶する。位置情報取得部106は、GPSを利用して携帯端末100の位置情報を取得する。
【0033】
制御部103は、記憶部16に記憶されているOS(Operating System)などの基本ソフトウェアを読み出して実行し、携帯端末100全体を制御する。また制御部103は、記憶部104に記憶されているアプリケーションを読み出して実行することで、アプリケーション部105として機能する。アプリケーション部105は、操作パネル部101を介して印刷ジョブを画像形成装置10に送信するようユーザに指示されると、プリンタドライバを用いて画像形成装置10で印刷可能な印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブをネットワーク通信部102を介して画像形成装置10に送信する。またアプリケーション部105は、位置情報取得部106により携帯端末100の位置情報を取得し、ネットワーク通信部102を介して画像形成装置10に送信する。さらにアプリケーション部105は、マップ画面を操作パネル部101に表示し、当該マップ画面上でユーザにより画像形成装置10の設置場所が指定されると、当該設置場所の位置情報を取得し、ネットワーク通信部102を介して画像形成装置10に送信する。さらにアプリケーション部105は、ネットワーク通信部102を介して画像形成装置10から受信した通知情報(第1の通知情報、第2の通知情報など)に基づく通知画面を操作パネル部101に表示し、当該通知画面に対する操作が行われると、行われた操作を示す操作情報をネットワーク通信部102を介して画像形成装置10に送信する。携帯端末100の構成は、以上のようになっている。
【0034】
[2.印刷システムの動作]
次に、印刷システム1の動作について説明する。ここでは、印刷システム1の動作を画像形成装置10側の動作と携帯端末100側の動作に分けて説明する。まず図7に示すフローチャートを用いて、画像形成装置10側の動作から説明する。
【0035】
図7に示すフローチャートは、画像形成装置10が携帯端末100に各種通知情報を送信する際の動作を示すものである。この動作は、画像形成装置10の制御部15が主体となって行う動作である。
【0036】
図7に示す最初のステップSP1において、画像形成装置10の制御部15は、ネットワーク通信部14を介して携帯端末100から接続要求を受信すると、これに応じて携帯端末100と接続し、携帯端末100から送信されてくる印刷ジョブを受信する。ここで、制御部15は、受信した印刷ジョブを記憶部16に記憶するとともに、当該印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piを生成して記憶部16に記憶する。尚、このとき生成した印刷ジョブ情報Piは、印刷ジョブがまだ印刷されていない為、印刷時刻には例えば「-」(Null)が記される。
【0037】
つづくステップSP2において、画像形成装置10の制御部15は、携帯端末100から位置情報を取得する。具体的には制御部15は、まず記憶部16から、印刷時刻が「-」の印刷ジョブ情報Piを読み出す。ここで、印刷時刻が「-」の印刷ジョブ情報Piは、まだ印刷されていない印刷ジョブを示している。つまり、この印刷ジョブを携帯端末100から画像形成装置10に送信したユーザは、印刷する為にこれから画像形成装置10のところまで行こうとしている可能性が高いユーザであると言える。
【0038】
画像形成装置10の制御部15は、読み出した印刷ジョブ情報Piに含まれているユーザIDにより紐付けられたユーザ情報Uiを、記憶部16から読み出す。このとき読み出したユーザ情報Uiが、これから画像形成装置10のところまで行こうとしている可能性が高いユーザのユーザ情報Uiとなる。つづけて制御部15は、読み出したユーザ情報UiからIPアドレス(つまりこれから画像形成装置10のところまで行こうとしている可能性が高いユーザの携帯端末100のIPアドレス)を抽出する。
【0039】
そして画像形成装置10の制御部15は、ネットワーク通信部14を介して、抽出したIPアドレスのそれぞれに位置情報を要求することで、抽出したIPアドレスの携帯端末100のそれぞれから位置情報を取得する。尚、この時点で、印刷時刻が「-」の印刷ジョブ情報Piが1つも存在しない場合や、範囲H1内に携帯端末100が1つも存在しない場合、画像形成装置10側の動作はここで終了する。
【0040】
つづくステップSP3において、画像形成装置10の制御部15は、ステップSP2で取得した携帯端末100の位置情報と、画像形成装置10の位置情報とを用いて、携帯端末100のそれぞれと画像形成装置10との距離を算出する。
【0041】
つづくステップSP4において、画像形成装置10の制御部15は、ステップSP3で算出した携帯端末100のそれぞれと画像形成装置10との距離をもとに、画像形成装置10を中心とする範囲H1内に携帯端末100が2つ以上存在するか否かを判定する。
【0042】
範囲H1内に携帯端末100が2つ以上存在する場合、このことは、画像形成装置10の周辺(具体的には無線LAN2で通信可能な範囲)に、これから画像形成装置10のところまで行こうとしている可能性が高いユーザが2人以上存在することを意味する。この場合、画像形成装置10の制御部15は、上述のステップSP4で肯定結果を得て、ステップSP5に移る。
【0043】
ステップSP5において、画像形成装置10の制御部15は、範囲H1内に存在する携帯端末100のうち、画像形成装置10から最も近い位置の携帯端末100に、ネットワーク通信部14を介して、画像形成装置10への接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、それ以外の携帯端末100に、画像形成装置10に接近しないよう(つまり離れるよう)警告する為の第2の通知情報を送信する。第1の通知情報を受信した携帯端末100(つまり画像形成装置10に最も近い位置の携帯端末100)は、この第1の通知情報に基づく第1の通知画面を操作パネル部101に表示する。一方で、第2の通知情報を受信した携帯端末100(つまり画像形成装置10に1番近い位置の携帯端末100以外の携帯端末100)は、この第2の通知情報に基づく第2の通知画面を操作パネル部101に表示する。
【0044】
ここで図8(A)に、携帯端末100に表示される第1の通知画面210の例を示す。この第1の通知画面210には、画像形成装置10への接近を許可するメッセージ211が表示される。このメッセージ211は、第1の通知情報に含まれていて、例えば「印刷物を取りに来てください」というメッセージである。ユーザは、携帯端末100に第1の通知画面210が表示されると、これに応じて画像形成装置10に印刷物を取りに行く(つまり印刷を実行しに行く)。
【0045】
一方で図8(B)に、携帯端末100に表示される第2の通知画面220の例を示す。この第2の通知画面220には、画像形成装置10へ接近しないよう(離れるよう)警告するメッセージ221が表示される。このメッセージ221は、第2の通知情報に含まれていて、例えば「人と密にならないようにプリンタから離れてください」というメッセージである。ユーザは、携帯端末100に第2の通知画面220が表示されると、これに応じて画像形成装置10から離れる。
【0046】
このように画像形成装置10は、範囲H1内に複数の携帯端末100が存在する場合、画像形成装置10に最も近い位置の携帯端末100には、画像形成装置10への接近を許可するメッセージ211を含む第1の通知情報を送信し、それ以外の携帯端末100には画像形成装置10へ接近しないよう(離れるよう)警告するメッセージ221を含む第2の通知情報を送信するようになっている。
【0047】
これに対して、範囲H1内に携帯端末100が2つ以上存在しない場合、このことは、画像形成装置10の周辺(具体的には無線LANで通信可能な範囲)に、携帯端末100が1つしか存在せず、これから画像形成装置10のところまで行こうとしている可能性が高いユーザが1人しか存在しないことを意味する。この場合、画像形成装置10の制御部15は、上述のステップSP4(図7)で否定結果を得て、ステップSP6に移る。
【0048】
ステップSP6において、画像形成装置10の制御部15は、範囲H1内に存在する1つの携帯端末100に、ネットワーク通信部14を介して、接近を許可するメッセージ211を含む第1の通知情報を送信する。第1の通知情報を受信した携帯端末100は、この第1の通知情報に基づく第1の通知画面210を操作パネル部101に表示する。ユーザは、携帯端末100に第1の通知画面210が表示されると、これに応じて画像形成装置10に印刷物を取りに行く(つまり印刷を実行しに行く)。
【0049】
ステップSP5又はステップSP6の後につづくステップSP7において、画像形成装置10の制御部15は、画像形成装置10の排紙トレイ(スタッカ)に他のユーザの印刷物が放置されていないか確認するようユーザに指示する為の第3の通知情報を、ネットワーク通信部14を介して、ステップSP5又はステップSP6で第1の通知情報の送信先となった携帯端末100(つまり接近を許可した携帯端末100)に送信する。第3の通知情報を受信した携帯端末100は、この第3の通知情報に基づく第3の通知画面を操作パネル部101に表示する。
【0050】
ここで図8(C)に、携帯端末100に表示される第3の通知画面230の例を示す。この第3の通知画面230には、画像形成装置10の排紙トレイに他のユーザの印刷物が放置されていないか確認するようユーザに指示するメッセージ231と、放置されている場合に押下操作する「ある」ボタン232と、放置されていない場合に押下操作する「ない」ボタン233とが表示される。メッセージ231は、第3の通知情報に含まれていて、例えば「自分が印刷した印刷物以外に放置されている印刷物はありますか?」というメッセージである。
【0051】
ユーザは、携帯端末100にこの第3の通知画面230が表示されると、これに応じて画像形成装置10の排紙トレイに他のユーザの印刷物が放置されていないか確認し、放置されていない場合には「ない」ボタン233を押下操作し、放置されている場合には「ある」ボタン232を押下操作する。このとき携帯端末100から画像形成装置10に対し、「ある」ボタン232と「ない」ボタン233のどちらが押下操作されたのかを示すボタン操作情報が送信される。
【0052】
つづくステップSP8(図7)において、画像形成装置10の制御部15は、ネットワーク通信部14を介して、携帯端末100からボタン操作情報を受信し、当該ボタン操作情報に基づいて、排紙トレイに他のユーザの印刷物が放置されているか否か(つまり「ある」ボタン232が押下操作されたか否か)を判定する。
【0053】
「ない」ボタン233が押下操作された場合(つまり排紙トレイに他のユーザの印刷物が放置されていない場合)、画像形成装置10の制御部15は、上述のステップSP8で否定結果を得て、ステップSP9に移る。ステップSP9において、制御部15は、印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を、ネットワーク通信部14を介して、第1の通知情報及び第3の通知情報の送信先となった携帯端末100(つまり画像形成装置10への接近を許可したユーザの携帯端末100)に送信する。第4の通知情報を受信した携帯端末100は、この第4の通知情報に基づく第4の通知画面を操作パネル部101に表示する。
【0054】
ここで図8(D)に、携帯端末100に表示される第4の通知画面240の例を示す。この第4の通知画面240には、画像形成装置10から印刷物を受け取るようユーザに指示するメッセージ241と、受け取った場合に押下操作する「受け取った」ボタン242とが表示される。メッセージ241は、第4の通知情報に含まれていて、例えば「印刷物を受け取ってください」というメッセージである。尚、このとき、画像形成装置10の制御部15が、携帯端末100に第4の通知情報を送信するとともに、画像形成装置10の表示部13Aに、印刷を実行するようユーザに指示する為のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0055】
ユーザは、携帯端末100にこの第4の通知画面240が表示されると、これに応じて画像形成装置10の操作部13Bを操作して、携帯端末100から送信した印刷ジョブの印刷を指示する。この指示に応じて、画像形成装置10の制御部15は、当該印刷ジョブの印刷を実行する。これにより、画像形成装置10の排紙トレイに、当該印刷ジョブの印刷結果となる印刷物が排出され、これをユーザが受け取る。またこのとき、制御部15は、印刷した印刷ジョブに対応する印刷ジョブ情報Piに含まれる印刷時刻を、「-」から現在時刻に更新する。
【0056】
印刷物を受け取ったユーザは、携帯端末100に表示されている第4の通知画面240の「受け取った」ボタン242を押下操作する。このとき携帯端末100から画像形成装置10に対し、「受け取った」ボタン242が押下操作されたことを示すボタン操作情報が送信される。
【0057】
つづくステップSP10(図7)において、画像形成装置10の制御部15は、所定時間(例えば5分間)、ユーザが印刷物を受け取るのを待ち受ける(つまり「受け取った」ボタン242の押下操作を待ち受ける)。そして制御部15は、所定時間内に、ネットワーク通信部14を介して、携帯端末100から「受け取った」ボタン242が押下操作されたことを示すボタン操作情報を受信すると、上述のステップSP10で肯定結果を得て、ステップSP11に移る。また制御部15は、所定時間経過しても、携帯端末100から「受け取った」ボタン242が押下操作されたことを示すボタン操作情報を受信しなかった場合(つまり所定時間内にユーザが印刷物を受け取らなかった場合)も、上述のステップSP10で肯定結果を得て、ステップSP11に移る。このように、画像形成装置10では、印刷物の受け取りに時間制限を設けることで、他のユーザの待ち時間を減らすことができるようになっている。
【0058】
ステップSP11において、画像形成装置10の制御部15は、画像形成装置10から離れるよう警告するメッセージ221を含む第2の通知情報を、ネットワーク通信部14を介して、第4の通知情報の送信先となった携帯端末100(つまり印刷物を受け取るよう指示したユーザの携帯端末100)に送信する。第2の通知情報を受信した携帯端末100は、この第2の通知情報に基づく第2の通知画面220を操作パネル部101に表示する。ユーザは、携帯端末100に第2の通知画面220が表示されると、これに応じて画像形成装置10から離れる。
【0059】
このように、画像形成装置10では、印刷物を受け取ったユーザに対し、画像形成装置10から離れるよう警告することで、印刷物を受け取ったユーザが画像形成装置10近傍に留まり続けてしまう状況を回避することができる。
【0060】
このようにして、第2の通知情報を携帯端末100に送信した後、制御部15は、ステップSP2に戻る。今回印刷物を受け取ったユーザ以外に印刷待ちをしているユーザがいる場合、ステップSP2以降の処理により順番に画像形成装置10への接近が許可されることになる。
【0061】
尚、本実施の形態では、画像形成装置10の制御部15が、上述のステップSP9、ステップSP10において、接近を許可したユーザの携帯端末100に対し、自分の印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、ユーザが印刷物を受け取るのを待ち受け、ユーザが印刷物を受け取った後(もしくは受け取ることなく所定時間経過後)に、上述のステップSP11において、画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにした。これに限らず、上述のステップSP9、SP10の処理を省略し、代わりに、画像形成装置10の制御部15が、印刷部17においてユーザにより指示された印刷ジョブの印刷を完了した後(もしくはユーザが印刷ジョブの印刷を指示することなく所定時間経過後)に、上述のステップSP11において、画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにしてもよい。
【0062】
また一方で、画像形成装置10の排紙トレイに他のユーザの印刷物が放置されている場合、ユーザは、携帯端末100に表示された第3の通知画面230上で「ある」ボタン232を押下操作する。この場合、画像形成装置10の制御部15は、上述のステップSP8で肯定結果を得て、ステップSP12に移る。
【0063】
ステップSP12において、画像形成装置10の制御部15は、上述したステップSP9~ステップSP11と同様の処理を実行する。すなわち、制御部15は、接近を許可したユーザの携帯端末100に対し、自分の印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、ユーザが印刷物を受け取るのを待ち受け、ユーザが印刷物を受け取った後(もしくは受け取ることなく所定時間経過後)に、画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信する。尚、上述したように、ユーザにより指示された印刷ジョブの印刷を完了した後(もしくはユーザが印刷ジョブの印刷を指示することなく所定時間経過後)に、画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにしてもよい。
【0064】
つづくステップSP13において、画像形成装置10の制御部15は、過去に印刷を行ったユーザの携帯端末100の1つに、印刷物を受け取ったか確認するようユーザに指示する為の第5の通知情報を送信する。
【0065】
具体的には、制御部15は、記憶部16から、印刷ジョブ履歴として蓄積されている印刷ジョブ情報Piのうち、過去に印刷した印刷ジョブ(今回印刷した印刷ジョブは除く)のなかで印刷時刻が最も新しいものを読み出す。つまり、制御部15は、記憶部16から、前回印刷した印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piを読み出す。そして制御部15は、読み出した印刷ジョブ情報Piに記されているユーザIDにより紐付けられたユーザ情報Uiを、記憶部16から読み出す。このとき読み出したユーザ情報Uiが、画像形成装置10から印刷物を受け取り忘れて放置した可能性があるユーザのユーザ情報Uiとなる。つづけて制御部15は、読み出したユーザ情報UiからIPアドレス(つまり印刷物を放置した可能性があるユーザの携帯端末100のIPアドレス)を抽出する。
【0066】
そして画像形成装置10の制御部15は、ネットワーク通信部14を介して、抽出したIPアドレスに、印刷物を受け取ったか確認するようユーザに指示する為の第5の通知情報を送信する。第5の通知情報を受信した携帯端末100は、この第5の通知情報に基づく第5の通知画面を操作パネル部101に表示する。
【0067】
ここで図8(E)に、携帯端末100に表示される第5の通知画面250の例を示す。この第5の通知画面250には、印刷物を受け取ったか確認するようユーザに指示するメッセージ251と、受け取った場合に押下操作する「はい」ボタン252と、受け取っていない場合に押下操作する「いいえ」ボタン253とが表示される。メッセージ251は、第5の通知情報に含まれていて、例えば「印刷物を受け取りましたか?」というメッセージである。
【0068】
ユーザは、携帯端末100にこの第5の通知画面250が表示されると、これに応じて印刷物を受け取ったか確認し(例えば印刷物を全ページ分受け取っているか確認し)、受け取っている場合には「はい」ボタン252を押下操作し、受け取っていない場合(つまり受け取り忘れて画像形成装置10に放置してしまった場合)には「いいえ」ボタン253を押下操作する。このとき携帯端末100から画像形成装置10に対し、「はい」ボタン252と「いいえ」ボタン253のどちらが押下操作されたのかを示すボタン操作情報が送信される。
【0069】
つづくステップSP14(図7)において、画像形成装置10の制御部15は、ネットワーク通信部14を介して、携帯端末100からボタン操作情報を受信し、当該ボタン操作情報に基づいて、ユーザが印刷物を受け取り済みであるか否か(つまり「はい」ボタン252が押下操作されたか否か)を判定する。
【0070】
ここで「いいえ」ボタン253が押下操作されていた場合(つまりユーザが印刷物を受け取り済みである場合)、画像形成装置10の制御部15は、上述のステップSP14で肯定結果を得て、ステップSP13に戻る。ここで、制御部15は、記憶部16から、前々回印刷した印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piを読み出し、読み出した印刷ジョブ情報Piに紐付けられたユーザ情報Uiに記されたIPアドレスに、第5の通知情報を送信する。このようにして制御部15は、過去に印刷した印刷ジョブの印刷ジョブ情報Piを、新しいものから順番にたどっていくことで、印刷物を放置したユーザを探し出すようになっている。
【0071】
一方で、「はい」ボタン252が押下操作されていた場合(つまりユーザが印刷物を受け取り忘れて画像形成装置10に放置してしまった場合)、画像形成装置10の制御部15は、上述のステップSP14で否定結果を得て、ステップSP15に戻る。
【0072】
ステップSP15において、画像形成装置10の制御部15は、「はい」ボタン252が押下操作されたことを示すボタン操作情報を送信してきた携帯端末100(つまり印刷物を受け取り忘れて画像形成装置10に放置してしまったユーザの携帯端末100)に、ネットワーク通信部14を介して、接近を許可する為の第1の通知情報を送信する。第1の通知情報を受信した携帯端末100は、この第1の通知情報に基づく第1の通知画面210を操作パネル部101に表示する。ユーザは、携帯端末100に第1の通知画面210が表示されると、これに応じて画像形成装置10に印刷物を取りに行く。
【0073】
つづくステップSP16~ステップSP18の処理は、上述したステップSP9~ステップSP11と同様の処理であり、画像形成装置10の制御部15は、接近を許可したユーザの携帯端末100(つまり印刷物を受け取り忘れて画像形成装置10に放置してしまったユーザの携帯端末100)に対し、印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、ユーザが印刷物を受け取るのを待ち受け、ユーザが印刷物を受け取った後(もしくは受け取ることなく所定時間経過後)に、画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信する。
【0074】
このようにして、第2の通知情報を携帯端末100に送信した後、制御部15は、ステップSP2に戻る。放置した印刷物を受け取ったユーザ以外に印刷待ちをしているユーザがいる場合、ステップSP2以降の処理により順番に画像形成装置10への接近が許可されることになる。画像形成装置10が携帯端末100に各種通知情報を送信する際の動作は、以上のようになっている。
【0075】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、携帯端末100側の動作について説明する。図9に示すフローチャートは、携帯端末100が画像形成装置10から各種通知情報を受信する際の動作を示すものである。この動作は、携帯端末100の制御部103のアプリケーション部105が主体となって行う動作である。
【0076】
図9に示す最初のステップSP101において、携帯端末100の制御部103は、記憶部104に記憶されているアプリケーションを読み出して実行(起動)することで、アプリケーション部105として機能する。
【0077】
つづくステップSP102において、アプリケーション部105は、ネットワーク通信部102を介して、画像形成装置10と接続する。つづくステップSP103において、アプリケーション部105は、ネットワーク通信部102を介して、画像形成装置10から通知情報を受信したか否かを判定する。
【0078】
画像形成装置10から通知情報を受信していない場合、アプリケーション部105は、上述のステップSP103で否定結果を得て、ステップSP107に移り、アプリケーションを終了することで、一連の動作を終了する。
【0079】
一方で、画像形成装置10から通知情報を受信した場合、アプリケーション部105は、上述のステップSP103で肯定結果を得て、ステップSP104に移る。ステップSP104において、アプリケーション部105は、受信した通知情報に基づく通知画面を操作パネル部101に表示する。つづくステップSP105において、アプリケーション部105は、通知画面上でボタン操作が行われたか否かを判定する。
【0080】
通知画面上でボタン操作が行われていない場合、アプリケーション部105は、上述のステップSP105で否定結果を得て、ステップSP107に移り、アプリケーションを終了することで、一連の動作を終了する。
【0081】
一方で、通知画面上でボタン操作が行われた場合、アプリケーション部105は、上述のステップSP105で肯定結果を得て、ステップSP106に移り、ネットワーク通信部102を介して、当該ボタン操作を示すボタン操作情報を画像形成装置10に送信する。その後、アプリケーション部105は、ステップSP107に移り、アプリケーションを終了することで、一連の動作を終了する。
【0082】
[3.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、画像形成装置10に、情報処理装置及びユーザ端末としての携帯端末100と通信する画像形成装置側通信部としてのネットワーク通信部14と、ネットワーク通信部14により携帯端末100から受信した印刷ジョブを記憶する記憶部16と、印刷ジョブに基づいて印刷媒体としての用紙に画像を形成することにより印刷を実行する画像形成部としての印刷部17と、ネットワーク通信部14が複数の携帯端末100から印刷ジョブを受信した場合に、当該複数の携帯端末100のうちの1つ(つまり複数の携帯端末100のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザIDに関連付けられた複数の携帯端末100のうちの1つ)に接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、他の携帯端末100(つまり複数の携帯端末100のそれぞれから印刷ジョブとともに受信したユーザIDのうち、第1の通知情報を送信した携帯端末100に関連付けられたユーザIDとは異なるユーザIDに関連付けられた他の携帯端末100)には離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するように、ネットワーク通信部14を制御する制御部15とを設けた。
【0083】
また本実施の形態では、携帯端末100に、画像形成装置10と通信するユーザ端末側通信部としてのネットワーク通信部102と、ネットワーク通信部102により画像形成装置10から受信した前記第1の通知情報及び前記第2の通知情報を表示する表示部としての操作パネル部101とを設けた。
【0084】
さらに言うと画像形成装置10の制御部15は、送信した印刷ジョブが画像形成装置10でまだ印刷されていないユーザの携帯端末100と画像形成装置10との距離を算出し、当該距離に基づいて、画像形成装置10を中心とする円形の範囲H1内に、送信した印刷ジョブがまだ印刷されていないユーザの携帯端末100が複数存在するか否かを判定し、複数存在する場合に、画像形成装置10に最も近い携帯端末100に第1の通知情報を送信し、他の携帯端末100には第2の通知情報を送信するようにした。
【0085】
こうすることで、画像形成装置10は、携帯端末100を用いて画像形成装置10に印刷ジョブを送信した複数のユーザが画像形成装置10に集まってしまうことを防ぐことができる。かくして、本実施の形態の画像形成装置10によれば、ユーザ同士が接近して密になる状況を回避することができる。
【0086】
また画像形成装置10の制御部15は、接近を許可する為の第1の通知情報を携帯端末100に送信した後、当該携帯端末100に、印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、当該携帯端末100からユーザが印刷物を受け取った旨を示す操作情報を受信すると、当該携帯端末100に画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにした。こうすることで、画像形成装置10は、印刷物を受け取ったユーザが画像形成装置10近傍に留まり続けてしまう状況を回避することができ、ユーザ同士が接近して密になる状況を回避することができる。また画像形成装置10は、携帯端末100からユーザが印刷物を受け取った旨を示す操作情報を受信することでユーザが印刷物を受け取ったことを把握できるので、印刷物が受け取られたか否かを検知するセンサなどを画像形成装置10に設ける必要がないという利点も有する。
【0087】
また画像形成装置10の制御部15は、印刷物を受け取ったユーザの携帯端末100に画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信した後、再び範囲H1内に、送信した印刷ジョブがまだ印刷されていない携帯端末100が複数存在するか否かを判定し、複数存在する場合に、画像形成装置10に最も近い携帯端末100に第1の通知情報を送信し、他の携帯端末100には第2の通知情報を送信するようにした。
【0088】
このように、画像形成装置10は、範囲H1内に存在する複数の携帯端末100に対し、画像形成装置10に近いものから順番に画像形成装置10への接近を許可するようにした。かくして、本実施の形態の画像形成装置10によれば、ユーザ同士が接近して密になる状況を回避することができる。
【0089】
さらに画像形成装置10の制御部15は、接近を許可する為の第1の通知情報を携帯端末100に送信した後、当該携帯端末100に、画像形成装置10に印刷物が放置されていないか確認するようユーザに指示する為の第3の通知情報を送信し、当該携帯端末100から印刷物が放置されている旨を示す操作情報を受信すると、当該携帯端末100に印刷物(つまり今回印刷した印刷物)を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信する一方で、過去に印刷ジョブを印刷したユーザの携帯端末100の1つに、接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、さらに印刷物(つまり放置された印刷物)を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、当該携帯端末100からユーザが印刷物を受け取った旨を示す操作情報を受信すると、当該携帯端末100に画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにした。
【0090】
こうすることで、画像形成装置10は、過去に印刷した印刷物が放置されている場合には、今回印刷を指示したユーザが印刷物を受け取った後に、過去に印刷を指示して印刷物を受け取り忘れて放置してしまった他のユーザに、印刷物を取りに来させることができる。かくして、本実施の形態の画像形成装置10によれば、ユーザ同士が接近して密になる状況を回避することができる。
【0091】
[4.他の実施の形態1]
[4-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、画像形成装置10の制御部15が、範囲H1内に、送信した印刷ジョブがまだ印刷されていない携帯端末100が複数存在する場合に、画像形成装置10に最も近い携帯端末100に接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、他の携帯端末100には離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにした。
【0092】
これに限らず、例えば、範囲H1内に、送信した印刷ジョブがまだ印刷されていない携帯端末100が複数存在する場合に、制御部15が、印刷ジョブの受信時刻が最も早いユーザの携帯端末100に接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、他の携帯端末100には離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにしてもよい。またこれに限らず、範囲H1内に限定せず、送信した印刷ジョブがまだ印刷されていない携帯端末100のうち、画像形成装置10に最も近い携帯端末100に接近を許可する為の第1の通知情報を送信し、他の携帯端末100には離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信するようにしてもよい。
【0093】
[4-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、図5に示す距離K3については利用しなかったが、この距離K3を利用するようにしてもよい。具体的には、画像形成装置10の制御部15は、各携帯端末100から受信した位置情報に基づいて、範囲H1内に存在する携帯端末100同士の距離(例えば図5に示す距離K3)を算出する。そして制御部15は、他の携帯端末100との距離が所定の閾値(例えばソーシャルディスタンスとしての2m)未満の携帯端末100に対し、密にならないように周囲を確認するようユーザに指示するメッセージを含む第6の通知情報を送信する。
【0094】
尚、この第6の通知情報を第1の通知情報や第2の通知情報とは別に送信してもよいし、この第6の通知情報に含まれるメッセージを、第1の通知情報や第2の通知情報に含めて送信するようにしてもよい。ユーザは、携帯端末100にこのメッセージが表示されることで、密にならないように周囲を確認しながら、画像形成装置10に近づいたり、画像形成装置10から離れたりすることができる。
【0095】
[4-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、ユーザが、携帯端末100を用いて、印刷ジョブを画像形成装置10に送信し、画像形成装置10から送信される各種通知情報を受信して表示するようにした。これに限らず、例えば、ユーザが、例えばPCなどの情報処理装置を用いて印刷ジョブを画像形成装置10に送信し、情報処理装置とは別のユーザ端末(例えば携帯端末100)を用いて画像形成装置10から送信される各種通知情報を受信して表示するようにしてもよい。つまり、ユーザが、印刷ジョブを画像形成装置10に送信する装置と、画像形成装置10から送信される各種通知情報を受信して表示する装置とを別々に有していてもよい。
【0096】
この場合、例えば、画像形成装置10の記憶部16に記憶されるユーザ情報Uiに、印刷ジョブを画像形成装置10に送信する情報処理装置のIPアドレスと、ユーザが携帯する携帯端末100のIPアドレスとを別々に記すようにする。そして、画像形成装置10の制御部15が、各種通知情報を、携帯端末100のIPアドレスの方に送信するようにすればよい。
【0097】
[4-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置10の制御部15が、範囲H1内に存在していて、且つ送信した印刷ジョブがまだ印刷されていないユーザの携帯端末100に、接近を許可する為の第1の通知情報や離れるよう傾向する為の第2の通知情報を送信するようにした。
【0098】
これに限らず、例えば、範囲H1内に存在していて、且つ送信した印刷ジョブがまだ印刷されてなく、さらに携帯端末100の位置が当該携帯端末100のユーザの自席の位置から所定距離(例えば数m)以上離れている携帯端末100に、第1の通知情報や第2の通知情報を送信するようにしてもよい。
【0099】
このようにすれば、印刷する為に画像形成装置10へ行こうとしている可能性が高いユーザの携帯端末100をより正確に特定して、第1の通知情報や第2の通知情報を送信することができる。別の言い方をすると、携帯端末100を用いて印刷ジョブを画像形成装置10に送信したものの自席で他の作業をしていてすぐに画像形成装置10へ行こうとはしていないユーザの携帯端末100については、通知情報の送信対象から外すことができる。
【0100】
尚、この場合、例えば携帯端末100に表示されるマップ画面上でユーザが自席を指定できるようになっていて、携帯端末100が、自端末の位置情報を画像形成装置10に送信する際に、ユーザの自席の位置情報も送信するようにすればよい。
【0101】
[4-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置10の制御部15が、所定時間内に、画像形成装置10から印刷物を受け取った旨を示すボタン操作情報を受信した場合(もしくは所定時間経過しても当該ボタン操作情報を受信しなかった場合)に、印刷待ちをしている他のユーザの携帯端末100のうちの1つに、接近を許可する為の第1の通知情報を送信するようにした。
【0102】
これに限らず、例えば、画像形成装置10に、ユーザを検知する検知手段を設け、画像形成装置10の制御部15が、所定時間内に、画像形成装置10から印刷物を受け取った旨を示すボタン操作情報を受信した場合(もしくは所定時間経過しても当該ボタン操作情報を受信しなかった場合)に、検知手段がユーザを検知しているか否かを確認し、検知していない場合に、ユーザが画像形成装置10から離れていったとして、印刷待ちをしている他のユーザの携帯端末100のうちの1つに、接近を許可する為の第1の通知情報を送信するようにしてもよい。
【0103】
ここで、検知手段としては、例えば操作部13Bを用いることができる。この場合、画像形成装置10の制御部15は、操作部13Bが所定時間操作されていなければ、検知手段がユーザを検知していないと判定する。また検知手段として、人感センサなどの各種センサを用いてもよい。
【0104】
[4-6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態では、印刷ジョブにユーザIDが含まれていて、当該印刷ジョブを受信した画像形成装置10側で、ユーザがユーザIDを入力することで、当該ユーザIDを含む印刷ジョブを印刷できるようにした。これに限らず、印刷ジョブにユーザIDとパスワードを含めるようにし、当該印刷ジョブを受信した画像形成装置10側で、ユーザがユーザIDとパスワードを入力することで、当該ユーザIDとパスワードが一致する印刷ジョブを印刷(認証印刷)できるようにしてもよい。
【0105】
[4-7.他の実施の形態7]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置10の排紙トレイに他のユーザの印刷物が放置されている場合に、画像形成装置10の制御部15が、接近を許可したユーザの携帯端末100に対し、自分の印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、ユーザが印刷物を受け取るのを待ち受け、ユーザが印刷物を受け取った後(もしくは受け取ることなく所定時間経過後)に、画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信し、その後、過去に印刷を行ったユーザの携帯端末100の1つに、印刷物を受け取ったか確認するようユーザに指示する為の第5の通知情報を送信するようにした。
【0106】
これに限らず、例えば、画像形成装置10の制御部15が、接近を許可したユーザの携帯端末100に対し、自分の印刷物を受け取るようユーザに指示する為の第4の通知情報を送信し、ユーザが印刷物を受け取るのを待ち受け、ユーザが印刷物を受け取った後(もしくは受け取ることなく所定時間経過後)に、画像形成装置10から離れるよう警告する為の第2の通知情報を送信する一方で、過去に印刷を行ったユーザの携帯端末100の1つに、印刷物を受け取ったか確認するようユーザに指示する為の第5の通知情報を送信するようにしてもよい。
【0107】
[4-8.他の実施の形態8]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置10と携帯端末100が、アドホックモードの無線LAN2を用いて通信するようにした。これに限らず、他の無線通信規格を用いて画像形成装置10と携帯端末100とが通信するようになっていてもよい。例えば、インフラストラクチャモードの無線LANや、Bluetooth(登録商標)などの他の無線通信規格を用いて通信するようになっていてもよい。尚、通信可能範囲が狭すぎると、画像形成装置10と携帯端末100とを通信させる為に、ユーザが画像形成装置10周辺に集まってしまうので、密にならない程度の通信可能範囲を有する無線通信規格が望ましい。
【0108】
[4-9.他の実施の形態9]
さらに上述した各実施の形態では、画像形成装置10と携帯端末100とで構成され、画像形成装置10と携帯端末100とが無線LAN2により通信可能な印刷システム1に本発明を適用した。これに限らず、上述したように、画像形成装置と、印刷ジョブを画像形成装置に送信する情報処理装置と、画像形成装置から送信される通知情報を受信して表示するユーザ端末とで構成され、画像形成装置と情報処理装置とが有線LANで接続され、画像形成装置とユーザ端末が無線通信可能な印刷システムなどにも適用することができる。さらに上述した各実施の形態では、画像形成装置10がプリンタであるとしたが、これに限らず、複合機などであってもよい。さらに上述した実施の形態では、画像形成装置10が携帯端末100から画像形成装置10の設置場所の位置情報を取得するようにしたが、これに限らず、画像形成装置10に自装置の位置情報を取得する位置情報取得部を設けるようにしてもよい。
【0109】
[4-10.他の実施の形態10]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、例えば複数のユーザで共用される画像形成装置などで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1……印刷システム、2……無線LAN、10……画像形成装置、11……排紙部、12……給紙部、13……操作パネル部、14……ネットワーク通信部、15……制御部、16……記憶部、17……印刷部、100……携帯端末、101……操作パネル部、102……ネットワーク通信部、103……制御部、104……記憶部、105……アプリケーション部、106……位置情報取得部、210……第1の通知画面、220……第2の通知画面、230……第3の通知画面、240……第4の通知画面、250……第5の通知画面、211、221、231、241、251……メッセージ、Pi……印刷ジョブ情報、Ui……ユーザ情報、H1……範囲、K1、K2、K3、K4……距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9