(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148777
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】発電量推定装置
(51)【国際特許分類】
G01W 1/12 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01W1/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056979
(22)【出願日】2022-03-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520039179
【氏名又は名称】NTTアノードエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後川 知仁
(72)【発明者】
【氏名】武田 隆
(72)【発明者】
【氏名】市川 晴久
(72)【発明者】
【氏名】横川 慎二
(72)【発明者】
【氏名】中里 諒
(57)【要約】
【課題】所定の地域内における太陽光パネルにより発電される電力量を推定する推定式を求めることができる発電量推定装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電部が設置される設置範囲を含む推定式構築地域の情報が入力される入力部110と、地域情報に基づいて太陽光発電に寄与する有効スペースに関する第1説明変数、設置範囲における敷地面積に関する第2説明変数、および、設置範囲における高さに関する第3説明変数を抽出する抽出部120と、第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数を含む多項式であり、推定式構築地域における太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式を求める推定式作成部130であって、推定式構築地域における太陽光発電部が発電する発電量を取得し、推定式における取得した発電量との適合度に基づいて推定式を求める推定式作成部130と、が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電量の推定を行う太陽光発電部が設置される設置範囲を含む地域であって選択された推定式構築地域を特定する情報が入力される入力部と、
地図情報、並びに、前記設置範囲の位置及び形状の情報を含む地域情報に基づいて、前記推定式構築地域における前記設置範囲の太陽光発電に寄与する有効スペースに関する複数の第1説明変数、前記設置範囲における敷地面積に関する複数の第2説明変数、および、前記設置範囲における高さに関する複数の第3説明変数を抽出する抽出部と、
前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する少なくとも1つの第1の推定項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する少なくとも1つの第2の推定項、並びに、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する少なくとも1つの第3の推定項を含む多項式であり、前記推定式構築地域における前記太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式を求める推定式作成部であって、前記推定式における取得した前記発電量との適合度に基づいて前記推定式を求める推定式作成部と、
が設けられていることを特徴とする発電量推定装置。
【請求項2】
前記推定式作成部には、
前記推定式構築地域における前記太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式であって、前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する少なくとも1つの第1の仮推定項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する少なくとも1つの第2の仮推定項、並びに、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する少なくとも1つの第3の仮推定項を含む多項式である仮推定式を構築する構築部と、
取得した前記発電量と、前記仮推定式により算出される発電量の算出値との差が、所定の範囲内に収まる前記第1説明変数、前記第2説明変数および前記第3説明変数を少なくとも選択し、前記第1係数、前記第2係数および前記第3係数を求めて前記推定式を求める演算部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1記載の発電量推定装置。
【請求項3】
前記推定式作成部には、
前記推定式構築地域における前記太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式であって、前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する少なくとも1つの第1の仮推定項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する少なくとも1つの第2の仮推定項、および、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する少なくとも1つの第3の仮推定項を含む多項式である第1仮推定式を構築する第1構築部と、
前記第1仮推定式における取得した前記発電量との適合度に基づいて前記第1説明変数、前記第2説明変数および前記第3説明変数を少なくとも選択する第1演算部と、
前記第1演算部により選択された前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する第1の項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する第2の項、および、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する第3の項を含む多項式である第2仮推定式を構築する第2構築部と、
取得した前記発電量と、前記第2仮推定式により算出される発電量の算出値との差が、所定の範囲内に収まる前記第1係数、前記第2係数および前記第3係数を求めて推定式を求める第2演算部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1記載の発電量推定装置。
【請求項4】
前記推定式構築地域を選択する選択部が更に設けられ、
前記入力部には、前記選択部により選択された前記推定式構築地域を特定する情報が入力されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発電量推定装置。
【請求項5】
複数の異なる前記推定式構築地域に基づいて求められた複数の前記推定式に基づいて、前記複数の異なる前記構築地域を含む領域における前記発電量の推定値を算出する領域発電量推定式を求める拡張部が更に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の発電量推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電量推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家屋やビルなどの構造物に、太陽光を電力に変換する太陽光パネルを設置する検討が進められている。太陽光パネルを設置する場所でどの程度の日射量を受けることができるのかを事前に見積もることができれば、設置した太陽光パネルで発電される電力量や費用対効果を予測できる。そのため、所定の構造物に対する日射量を計算する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の技術では、所定の構造物に対する日射量を計算することができるが、所定の地域内における全ての太陽光パネルにより発電された電力である総発電量を導出するには膨大な計算を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、所定の地域内における太陽光パネルにより発電される電力量を推定する推定式を求めることができる発電量推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の発電量推定装置は、発電量の推定を行う太陽光発電部が設置される設置範囲を含む地域であって選択された推定式構築地域を特定する情報が入力される入力部と、地図情報、並びに、前記設置範囲の位置及び形状の情報を含む地域情報に基づいて、前記推定式構築地域における前記設置範囲の太陽光発電に寄与する有効スペースに関する複数の第1説明変数、前記設置範囲における敷地面積に関する複数の第2説明変数、および、前記設置範囲における高さに関する複数の第3説明変数を抽出する抽出部と、前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する少なくとも1つの第1の推定項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する少なくとも1つの第2の推定項、並びに、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する少なくとも1つの第3の推定項を含む多項式であり、前記推定式構築地域における前記太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式を求める推定式作成部であって、前記推定式構築地域における前記太陽光発電部が発電する発電量を取得し、前記推定式における取得した前記発電量との適合度に基づいて前記推定式を求める推定式作成部と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の発電量推定装置によれば、太陽光発電の有効スペースに関する複数の第1説明変数、敷地面積に関する複数の第2説明変数、および、高さに関する複数の第3説明変数を含む推定式であって、電力量を推定する推定式を求めることができる。推定式により算出される発電量の推定値は、特許文献1に記載の技術等を用いて計算した発電量との差が所定の範囲内に収まる。そのため、推定式を用いることで、特許文献1に記載の技術等のような膨大な計算を要せず、特許文献1に記載の技術等のような高い精度で発電量を推定できる。
【0008】
上記発明において前記推定式作成部には、前記推定式構築地域における前記太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式であって、前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する少なくとも1つの第1の仮推定項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する少なくとも1つの第2の仮推定項、並びに、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する少なくとも1つの第3の仮推定項を含む多項式である仮推定式を構築する構築部と、取得した前記発電量と、前記仮推定式により算出される発電量の算出値との差が、所定の範囲内に収まる前記第1説明変数、前記第2説明変数および前記第3説明変数を少なくとも選択し、前記第1係数、前記第2係数および前記第3係数を求めて前記推定式を求める演算部と、が設けられていることが好ましい。
【0009】
このようにすることで、仮推定式から第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数の選択が選択され、かつ、第1係数、第2係数および第3係数が求められる。選択された説明変数および求められた係数を用いて、仮推定式から推定式が求められる。
【0010】
上記発明において前記推定式作成部には、前記推定式構築地域における前記太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式であって、前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する少なくとも1つの第1の仮推定項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する少なくとも1つの第2の仮推定項、および、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する少なくとも1つの第3の仮推定項を含む多項式である第1仮推定式を構築する第1構築部と、前記第1仮推定式における取得した前記発電量との適合度に基づいて前記第1説明変数、前記第2説明変数および前記第3説明変数を少なくとも選択する第1演算部と、前記第1演算部により選択された前記第1説明変数及び前記第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する第1の項、前記第2説明変数及び前記第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する第2の項、および、前記第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する第3の項を含む多項式である第2仮推定式を構築する第2構築部と、取得した前記発電量と、前記第2仮推定式により算出される発電量の算出値との差が、所定の範囲内に収まる前記第1係数、前記第2係数および前記第3係数を求めて推定式を求める第2演算部と、が設けられていることが好ましい。
【0011】
このようにすることで、第1仮推定式を用いて第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数の選択が選択される。選択された各説明変数を用いて構築された第2仮推定式を用いて第1係数、第2係数および第3係数が求められる。求められた各係数を用いて、第2仮推定式から推定式が求められる。
【0012】
上記発明においては、前記推定式構築地域を選択する選択部が更に設けられ、前記入力部には、前記選択部により選択された前記推定式構築地域を特定する情報が入力されることが好ましい。
【0013】
このように推定式構築地域を選択する選択部を更に設け、選択された推定式構築地域を特定する情報を入力部に入力することにより、推定式構築地域の選択を自動化することが可能となり、高度化することが可能となる。
【0014】
上記第1の態様および第2の態様に係る発明においては、複数の異なる前記推定式構築地域に基づいて求められた複数の前記推定式に基づいて、前記複数の異なる前記推定式構築地域を含む領域における前記発電量の推定値を算出する領域発電量推定式を求める拡張部が更に設けられていることが好ましい。
【0015】
このように拡張部を更に設けることにより、複数の異なる推定式構築地域を含む領域における発電量の推定値を算出する領域発電量推定式を求めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発電量推定装置によれば、所定の地域内における太陽光パネルにより発電される電力量を推定する推定式を求めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る発電量推定装置の構成を説明するブロック図である。
【
図2】エリア、推定式構築地域、地域、および、領域の関係を説明する概念図である。
【
図3】
図1の発電量推定装置における推定式を求める演算処理について説明するフローチャートである。
【
図4】
図1の発電量推定装置における演算部による各係数の推定結果を示す図である。
【
図5】発電量の算出値および推定値の関係を示す図である。
【
図6】
図1の発電量推定装置における拡張部による各係数の推定結果を示す図である。
【
図7】発電量の算出値および推定値の関係を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る発電量推定装置の構成を説明するブロック図である。
【
図9】
図8の発電量推定装置における推定式を求める演算処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る発電量推定装置100について
図1から
図7を参照しながら説明する。本実施形態の発電量推定装置100は、
図1に示すように、太陽光を電力に変換する太陽光パネルなどの太陽光発電部により発電される発電量を推定する推定式を求める装置であり、少なくとも太陽光発電部が設置される設置範囲に基づいて発電量を推定する推定式を求める装置である。
【0019】
太陽光パネルは、太陽光を電力に変換するセルを複数有する単位であるモジュールであってもよいし、複数のモジュールを有する単位であるストリングであってもよいし、複数のストリングを有する単位であるアレイであってもよい。
【0020】
本実施形態では、設置範囲が建物の沿面である例に適用して説明する。建物の沿面には、建物の側面である壁面が含まれる。建物の天面には、さらに建物の上端面である天面以外の面が含まれてもよい。
【0021】
なお、設置範囲には上述の建物の沿面が含まれてもよいし、建物の沿面以外の範囲が含まれてもよい。例えば、農地、河川敷、歩道、路面、庭などの太陽光発電部が設置可能な面が設置範囲に含まれてもよい。
【0022】
本実施形態では発電量推定装置100が、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するパーソナルコンピュータやサーバなどの情報処理機器である例に適用して説明する。
【0023】
また、発電量推定装置100は、LiDARデータベース170、基盤地図情報データベース180、および、天候データベース190と有線または無線による公知の情報通信網を介して、情報通信可能に接続されている。
【0024】
LiDARデータベース170は、航空LiDARデータを保存するデータベースである。航空LiDARデータは、航空機を用いて測定された地形データであって、レーザ光を用いて測定するLiDAR(Light Detection And Ranging)により測定された地形データである。なお、本実施形態では航空LiDARデータを取得する例に適用して説明するが、LiDAR以外の技術を用いて測定された地形データを用いてもよい。
【0025】
基盤地図情報データベース180は、基盤地図情報を保存するデータベースである。基盤地図情報には、建物などの位置情報、例えば公共施設の境界線や測量の基準点等が含まれる電子地図が含まれる。本実施形態では、国土交通省国土地理院が提供する基盤地図情報を用いる例に適用して説明する。なお、基盤地図情報には、建物の高さや建物の属性などの情報が含まれてもよい。
【0026】
天候データベース190は、太陽光発電部により発電される発電量の推定に用いられる気象情報を保存するデータベースである。保存される気象情報には過去5年分の雲量情報が含まれる。本実施形態では、気象庁が提供する気象情報を用いる例に適用して説明する。
【0027】
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、
図1に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて入力部110、抽出部120、推定式作成部130、推定部140、選択部150、および、拡張部160として機能させるものである。
【0028】
入力部110は、選択部150により選択された推定式構築地域A2を特定する情報が入力されるインタフェースである。推定式構築地域A2は、発電量の推定を行う太陽光発電部が設置される設置範囲を含む地域である。
【0029】
抽出部120は、選択された推定式構築地域A2における地域情報に基づいて複数の第1説明変数、複数の第2説明変数、および、複数の第3説明変数を抽出する処理部である。地域情報は、地図情報、並びに、設置範囲の位置及び形状の情報を含む情報である。地図情報は基盤地図情報データベース180から取得される情報である。設置範囲の位置及び形状の情報はLiDARデータベース170から取得される情報である。
【0030】
第1説明変数は、推定式構築地域A2における設置範囲の太陽光発電に寄与する有効スペースに関する変数である。第1説明変数には、Nbld、Sarea、Rroad、および、Rosが含まれる。Nbldは棟数密度(棟/km2)であり、Sareaは敷地面積総和(m2)であり、Rroadは道路率(%)であり、Rosは非対象スペース(%)である。
【0031】
第2説明変数は、設置範囲における建物敷地面積に関する変数である。第2説明変数には、Sbld、σbld、および、CVsが含まれる。Sbldは平均敷地面積(m2)であり、σbldは敷地面積標準偏差(m2)であり、CVsは敷地面積変動係数である。
【0032】
第3説明変数は、設置範囲における建物の高さに関する変数である。第3説明変数には、hbld、σh、および、CVhが含まれる。hbldは建物の高さ平均(m)であり、σhは、建物の垂直方向の広がり方に関する建物の高さ標準偏差(m)であり、CVhは建物の高さの変動係数である。
【0033】
推定式作成部130は、推定式構築地域A2における太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する推定式を求める処理部である。推定式作成部130には、構築部131と、演算部132と、が設けられている。
【0034】
推定式は、少なくとも1つの第1の推定項、少なくとも1つの第2の推定項、および、少なくとも1つの第3の推定項を含む多項式である。第1の推定項は、第1説明変数及び第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する項である。第2の推定項は、第2説明変数及び第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する項である。第3の推定項は、第3説明変数及び前記第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する項である。
【0035】
構築部131は、推定式構築地域A2における太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する多項式であって、推定式を求める際に用いられる仮推定式を構築する処理部である。
【0036】
仮推定式は、少なくとも1つの第1の仮推定項、少なくとも1つの第2の仮推定項、および、少なくとも1つの第3の仮推定項を含む多項式である。第1の仮推定項は、第1説明変数及び第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する項である。第2の仮推定項は、第2説明変数及び第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する項である。第3の仮推定項は、第3説明変数及び第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する項である。
【0037】
演算部132は、仮推定式に基づいて推定式を求める演算を行う処理部である。演算部132における処理では、推定部140から太陽光発電部により発電される発電量の推定値が取得される。演算処理の内容については後述する。
【0038】
なお、演算部132による推定式を求める演算処理において、推定部140から取得された推定値が用いられてもよいし、太陽光発電部により発電された発電量の測定値が用いられてもよい。
【0039】
推定部140は、推定式を求める際に用いられる太陽光発電部により発電される発電量の推定値を求める処理部である。推定部140における発電量の推定値を求める演算処理の内容としては、公知の内容を用いることができる。
本実施形態では、推定部140が発電量推定装置100に設けられている例に適用して説明するが、推定部140は、発電量推定装置100に情報通信可能に接続された他のパーソナルコンピュータなどの情報処理端末に設けられてもよい。
【0040】
選択部150は、推定式構築地域A2を選択する際に用いられる。推定式構築地域A2を特定する情報は、選択部150から入力部110へ出力される。推定式構築地域A2の選択は、発電量推定装置100に設けられたキーボートやマウスなどの入力機器が用いられる。なお、選択部150は発電量推定装置100に設けられてもよいし、発電量推定装置100に情報通信可能に接続された他のパーソナルコンピュータなどの情報処理端末に設けられてもよい。
【0041】
拡張部160は、領域発電量推定式を求める演算を行う処理部である。領域発電量推定式は、複数の異なる推定式構築地域A2を含む領域A4に関する式であり、当該領域A4に含まれる太陽光発電部により発電される発電量の推定値を算出する式である。
【0042】
次に、上記の構成からなる発電量推定装置100における推定式を求める演算処理について説明する。まず、推定式を求める際に用いられる面積の単位であるエリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4について
図2を参照しながら説明する。
【0043】
エリアA1は、推定式構築の対象となる面積単位である。切り取られた特定の面積単位である。本実施形態ではエリアA1が1km×1kmの広さを有する面積単位である例に適用して説明する。
【0044】
なお、エリアA1は上述の1km×1kmの広さを有してもよいし、1km×1kmよりも広くてもよいし、狭くてもよい。また、1km×1kmのように正方形の形状を有してもよいし、その他の形状を有してもよい。
【0045】
推定式構築地域A2は、少なくとも1つのエリアA1を含む推定式構築の構築対象となる地域である。本実施形態では、1つの推定式構築地域A2に、3つのエリアA1の集合体が含まれる。1つの集合体には6つのエリアA1が含まれる例に適用して説明する。
【0046】
なお、推定式構築地域A2に含まれるエリアA1の数は、上述の18であってもよいし、18よりも多くてもよいし、少なくてもよい。また、推定式構築地域A2に含まれるエリアA1が集合体を形成してもよいし、集合体を形成しなくてもよい。
【0047】
推定式構築地域A2は、町並みや生活形態のおおよその分類でもある。本実施形態では推定式構築地域A2が、都心部や、臨海地区や、住宅地などの分類である例に適用して説明する。
【0048】
都心部としては大手町や、霞が関や、虎ノ門などを例示することができる。臨海地区としてはお台場や、国際展示場や、豊洲などを例示することができる。住宅地としては、北区や、足立区や、葛飾区や、調布などを例示することができる。なお、推定式構築地域A2の広さや、地域の形状は特に限定するものではない。
【0049】
地域A3は、少なくとも1つの推定式構築地域A2を含む経済圏、生活圏等のおおよそのまとまりである。本実施形態では地域A3が北海道、東北や、関東(東京)や、中部や、近畿や、中国・四国や、九州などである例に適用して説明する。
【0050】
領域A4は、地域A3よりも広い範囲を定義するものであり、定められた地域A3の集合である。地域A3が複数の場合には、全ての地域A3を含む。領域A4の例としては日本国を挙げることができる。
【0051】
エリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4を定める処理としては、公知の処理を用いることができ、処理の内容を限定するものではない。例えば、個々にエリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4を定める処理を行ってもよいし、予め定められた規則に従ってエリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4を定める処理を行ってもよい。
【0052】
エリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4を定める処理は、推定式を求める演算処理とは別に行われてもよい。この場合、定められたエリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4の情報が記憶され、推定式を求める演算処理を行う際に、記憶されたエリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4の情報が用いられる。
【0053】
また、推定式を求める演算処理を行う際に、エリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4を定める処理を同時に行ってもよい。例えば、エリアA1、推定式構築地域A2、地域A3、および、領域A4を定める処理を行い、続いて推定式を求める演算処理を行ってもよい。
【0054】
次に、推定式を求める演算処理について
図3を参照しながら説明する。
まず、選択部150により推定式構築地域A2が選択される処理が行われる(S11)。選択された選択された推定式構築地域A2を特定する情報は、選択部150から入力部110に出力される。推定式構築地域A2を特定する情報は、入力部110から抽出部120へ出力される。
【0055】
推定式構築地域A2が選択されると、抽出部120は説明変数を抽出する処理を行う(S12)。抽出される説明変数には、第1説明変数であるNbld、Sarea、Rroad、および、Ros、第2説明変数であるSbld、σbld、および、CVs、および、第3説明変数であるhbld、σh、および、CVhが含まれる。
【0056】
説明変数は、推定式構築地域A2を特定する情報に基づいて、基盤地図情報データベース180およびLiDARデータベース170から抽出される。言い換えると、選択された推定式構築地域A2に含まれる複数のエリアA1に関連する説明変数が抽出される。
【0057】
説明変数が抽出されると、推定式作成部130の構築部131は、仮推定式を構築する処理を行う(S13)。具体的には、構築部131は以下の式(1)で示される仮推定式を構築する処理を行う。
【0058】
【0059】
式(1)におけるCareaは1日あたりの発電量(kWh/エリア)である。a0は正則化項である。a1Nbld、a2Sarea、a3Rroad、および、a4Rosは第1の推定項であり、a1、a2、a3、およびa4は第1係数である。a5Sbld、a6σbld、および、a7CVsは第1の推定項であり、a5、a6、および、a7は第2係数である。a8hbld、a9σh、および、a10CVhは第3の推定項であり、a8、a9、および、a10は第3係数である。
【0060】
その一方で、推定部140は、太陽光発電部により発電される発電量の推定値を求める処理を行う(S14)。推定値は、推定式構築地域A2に含まれる太陽光発電部により発電されると推定される発電量である。推定部140は、天候データベース190から取得された気象情報を用いて推定値を求める処理を行う。
【0061】
S13の処理で仮推定式が構築され、S14の処理で推定値が求められると、推定式作成部130の演算部132は、推定式を求める演算処理を行う(S15)。具体的には、取得した発電量の推定値と構築された仮推定式を用いて、仮推定式に含まれる説明変数の選択および係数の推定を行い、推定式を求める処理を行う。
【0062】
本実施形態では、演算部132がLasso回帰によって推定式を求める処理を行う例に適用して説明する。推定式を求めるにあたりAICcにより判定を行った。AICcは補正赤池情報量基準である。
【0063】
演算部132における説明変数の選択では、調布、葛飾区、大手町、霞が関、お台場、および国際展示場における1月と7月の推定値が用いられる例について説明する。調布および葛飾区は住宅地に分類され、大手町および霞が関は都心部に分類され、お台場、および国際展示場は臨海地区に分類される。
【0064】
演算部132により次の説明変数が選択された例について説明する。つまり、非対象スペース率(Ros)と、平均敷地面積(Sbld)と、建物の高さ標準偏差(σh)と、季節による固定効果(Mi)と、が選択された例について説明する。
【0065】
非対象スペース率(Ros)は、太陽光発電部における発電の有効スペースに関する説明変数であり、対象面積に対する発電に寄与しない面積の比率である。平均敷地面積(Sbld)は、建物の水平方向の広がり方に関する説明変数であり、敷地面積の平均である。建物の高さ標準偏差(σh)は、建物の垂直方向の広がり方に関する説明変数である。季節による固定効果(Mi)は、季節による変動に関する説明変数である。iは1月や7月などの月を表す。
【0066】
演算部132により選択された説明変数に基づく推定式を以下に示す。
【数2】
【0067】
演算部132は、上述の式(2)における各係数の値を推定する演算を行う。演算部132における各係数の値の推定では、調布、葛飾区、大手町、霞が関、お台場、および国際展示場における1月と7月と10月の推定値が用いられる例について説明する。
【0068】
演算部132による各係数の推定結果は、
図4に示す通りとなる。また、上述の式(2)について、
図4に示す各係数の推定値を用いた太陽光発電部による発電量の算出値と、推定部140により求められた太陽光発電部により発電される発電量の推定値との関係を
図5に示す。
【0069】
図5における薄いハッチングが施されたプロットは住宅地(調布および葛飾区)における発電量を示す。濃いハッチングが施されたプロットは都心部(大手町および霞が関)における発電量を示す。塗りつぶされたプロットは臨海地区(お台場、および国際展示場)における発電量を示す。さらに、丸形状のプロットは1月における発電量を示す。三角形状のプロットは7月における発電量を示す。四角形状のプロットは10月における発電量を示す。
【0070】
図5に示す上述の式(2)を用いた発電量の算出値と、推定部140により求められた推定値との間のRMSE(Root Mean Squared Error)は0.096である。また、R
2(coefficient of determination)は0.99である。
【0071】
演算部132により推定式(式(2))が求められると、拡張部160は、領域A4に関する推定式である領域発電量推定式を求める演算を行う(S16)。拡張部160は、地域A3に関する推定式を求め、求めた地域A3に関する推定式に基づいて領域A4に関する領域発電量推定式を求める演算を行う。また、拡張部160は、式(2)を求める際に用いた推定値とは異なる推定値を用いる。
【0072】
本実施形態では、拡張部160が、足立区、虎ノ門における1月および7月の推定値と、豊洲における7月の推定値を用いて地域A3である東京都に関する推定式を求める例について説明する。足立区は住宅地に分類され、虎ノ門は都心部に分類され、豊洲は臨海地区に分類される。地域A3は、東京都よりも広い範囲であってもよいし、狭い範囲であってもよい。拡張部160は、東京都以外の地域A3関する推定式を更に求めてもよい。
【0073】
拡張部160は、式(2)における各係数の値を再推定することにより、地域A3である東京に関する推定式を求める演算を行う。拡張部160による各係数の推定結果は、
図6に示す通りとなる。また、上述の式(2)について、
図6に示す各係数の推定値を用いた太陽光発電部による発電量の算出値と、推定部140により求められた太陽光発電部により発電される発電量の推定値との関係を
図7に示す。
【0074】
図7における白抜き四角形に十のプロットは住宅地(足立区)における発電量を示す。白抜き四角形に×のプロットは都心部(虎ノ門)における発電量を示す。白抜き四角形のプロットは臨海地区(豊洲)における発電量を示す。
【0075】
図7に示す上述の式(2)を用いた発電量の算出値と、推定部140により求められた推定値との間のRMSE(Root Mean Squared Error)は0.12である。また、R
2(coefficient of determination)は0.98である。
【0076】
更に拡張部160は、地域A3である東京に関する推定式を求める場合と同様に、地域A3に関する推定式を求める際に用いた推定値とは異なる推定値を用いて、領域A4である日本に関する領域発電量推定式を求める演算処理を行う。なお、領域A4は関東地方などの日本よりも狭い範囲であってもよいし、東アジアなどの日本よりも広い範囲であってもよい。
【0077】
拡張部160により領域発電量推定式が求められると、発電量推定装置100による推定式を求める演算処理が終了する。なお、上述のように、拡張部160による領域発電量推定式を求める処理まで行ってもよいし、演算部132による推定式を求める処理まで行って演算処理を終了してもよい。
【0078】
上記の構成の発電量推定装置100によれば、太陽光発電の有効スペースに関する複数の第1説明変数、敷地面積に関する複数の第2説明変数、および、高さに関する複数の第3説明変数を含む推定式であって、電力量を推定する推定式(式(2))を求めることができる。推定式により算出される発電量の推定値は、特許文献1に記載の技術等を用いて計算した発電量との差が所定の範囲内に収まる。そのため、推定式(式(2))を用いることで、特許文献1に記載の技術等のような膨大な計算を要せず、特許文献1に記載の技術等のような高い精度で発電量を推定できる。
【0079】
推定式作成部130に、構築部131および演算部132を設けることにより、仮推定式(式(1))から第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数の選択が選択され、かつ、第1係数、第2係数および第3係数が求められる。選択された説明変数および求められた係数を用いて、仮推定式(式(1))から推定式(式(2))が求められる。
【0080】
推定式構築地域A2を選択する選択部150を更に設け、選択された推定式構築地域A2を特定する情報を入力部110に入力することにより、推定式構築地域A2の選択を自動化することが可能となり、高度化することが可能となる。
【0081】
拡張部160を更に設けることにより、複数の異なる推定式構築地域A2を含む領域における発電量の推定値を算出する領域発電量推定式を求めることができる。
【0082】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る発電量推定装置200について
図8および
図9を参照して説明する。本実施形態の発電量推定装置200の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、推定式作成部230における処理が異なっている。本実施形態においては、
図8および
図9を用いて推定式作成部230における処理について説明し、その他の説明を省略する。
【0083】
発電量推定装置200には、入力部110と、抽出部120と、推定式作成部230と、選択部150と、拡張部160と、が設けられている。推定式作成部230には、第1構築部231と、第1演算部232と、第2構築部233と、第2演算部234と、が設けられている。
【0084】
第1構築部231は、推定式構築地域A2における太陽光発電部が発電する発電量の推定値を算出する多項式であって、推定式を求める際に用いられる第1仮推定式を構築する処理部である。
【0085】
第1仮推定式は、少なくとも1つの第1の仮推定項、少なくとも1つの第2の仮推定項、および、少なくとも1つの第3の仮推定項を含む多項式である。第1の仮推定項は、第1説明変数及び第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する項である。第2の仮推定項は、第2説明変数及び第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する項である。第3の仮推定項は、第3説明変数及び第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する項である。
【0086】
第1演算部232は、第1仮推定式における第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数を少なくとも選択する演算を行う処理部である。第1演算部232における処理では、推定部140から太陽光発電部により発電される発電量の推定値が取得される。演算処理の内容については後述する。
【0087】
なお、第1演算部232における演算処理において、推定部140から取得された推定値が用いられてもよいし、太陽光発電部により発電された発電量の測定値が用いられてもよい。
【0088】
第2構築部233は、第1演算部232の選択結果に基づいて、第2仮推定式を構築する処理部である。第2仮推定式は、第1演算部232により選択された第1説明変数を有する第1の項、第2説明変数を有する第2の項、および、第3説明変数を有する第3の項を含む多項式である。
【0089】
第1の項は、第1説明変数及び第1説明変数の重みづけ係数である第1係数を有する。第2の項は、第2説明変数及び第2説明変数の重みづけ係数である第2係数を有する。第3の項は、第3説明変数及び第3説明変数の重みづけ係数である第3係数を有する。
【0090】
第2演算部234は、第2仮推定式における第1係数、第2係数および第3係数を求めて推定式を求める演算処理を行う処理部である。第2演算部234における処理では、推定部140から太陽光発電部により発電される発電量の推定値が取得される。演算処理の内容については後述する。
【0091】
なお、第2演算部234における演算処理において、推定部140から取得された推定値が用いられてもよいし、太陽光発電部により発電された発電量の測定値が用いられてもよい。
【0092】
次に、推定式を求める演算処理について
図9を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態における推定式を求める演算処理と同じ演算処理については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0093】
まず、選択部150により推定式構築地域A2が選択される処理が行われる(S11)。推定式構築地域A2が選択されると、抽出部120は説明変数を抽出する処理を行う(S12)。
【0094】
説明変数が抽出されると、推定式作成部230の第1構築部231は、第1仮推定式を構築する処理を行う(S113)。具体的には、の第1構築部231は以下の式(3)で示される仮推定式を構築する処理を行う。
【0095】
【0096】
式(3)におけるCareaは1日あたりの発電量(kWh/エリア)である。a0は正則化項である。a1Nbld、a2Sarea、a3Rroad、および、a4Rosは第1の推定項であり、a1、a2、a3、およびa4は第1係数である。a5Sbld、a6σbld、および、a7CVsは第1の推定項であり、a5、a6、および、a7は第2係数である。a8hbld、a9σh、および、a10CVhは第3の推定項であり、a8、a9、および、a10は第3係数である。
【0097】
S113の処理で第1仮推定式(式(3))が構築され、S14の処理で推定値が求められると、推定式作成部230の第1演算部232は、第1仮推定式(式(3))における第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数を少なくとも選択する演算処理を行う(S114)。具体的には、第1仮推定式(式(3))と、取得した発電量との適合度に基づいて第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数を少なくとも選択する。
【0098】
第1演算部232における説明変数の選択では、第1の実施形態と同様に、調布、葛飾区、大手町、霞が関、お台場、および国際展示場における1月と7月の推定値が用いられる例について説明する。
【0099】
本実施形態では、第1演算部232により次の説明変数が選択された例について説明する。つまり、非対象スペース率(Ros)と、平均敷地面積(Sbld)と、建物の高さ標準偏差(σh)と、季節による固定効果(Mi)と、が選択された例について説明する。
【0100】
第1演算部232により次の説明変数が選択されると、推定式作成部230の第2構築部233は、第1演算部232の選択結果に基づいて、第2仮推定式を構築する処理を行う(S115)。具体的には、第2構築部233は以下の式(4)で示される仮推定式を構築する処理を行う。
【0101】
【0102】
第2構築部233により第2仮推定式(式(4))が構築されると、第2演算部234は第2仮推定式(式(4))における第1係数、第2係数および第3係数を求めて推定式を求める演算処理を行う(S116)。
【0103】
第2演算部234における各係数の値の推定では、調布、葛飾区、大手町、霞が関、お台場、および国際展示場における1月と7月と10月の推定値が用いられる例について説明する。
【0104】
第2演算部234は、S14の処理で求められた発電量の推定値と、第2仮推定式により算出される発電量の算出値との差が、所定の範囲内に収まる第1係数、第2係数および第3係数を求める演算処理を行う。
【0105】
第2演算部234により推定式が求められると、拡張部160は、領域発電量推定式を求める演算を行う(S16)。拡張部160により領域発電量推定式が求められると、発電量推定装置100による推定式を求める演算処理が終了する。
【0106】
上記の構成の発電量推定装置200によれば、第1仮推定式(式(3))を用いて第1説明変数、第2説明変数および第3説明変数の選択が選択される。選択された各説明変数を用いて構築された第2仮推定式(式(4))を用いて第1係数、第2係数および第3係数が求められる。求められた各係数を用いて、第2仮推定式(式(4))から推定式が求められる。
【符号の説明】
【0107】
100,200…発電量推定装置、 110…入力部、 120…抽出部、 130,230…推定式作成部、 131…構築部、 132…演算部、 150…選択部、 160…拡張部、 231…第1構築部、 232…第1演算部、 233…第2構築部、 234…第2演算部