(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148781
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】コンピュータシステムおよび意識調査・啓発支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056984
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】500229422
【氏名又は名称】株式会社ディー・クエスト
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】脇山 太介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】企業のESG全般に係る価値を効率的に向上させ得る技術を提供すること。
【解決手段】サーバシステム1100は、従業員端末1500にて回答画面W2を表示させ、同一の従業員に対して、所与の時間間隔を空けて、ESGに関する同一の設問を含むアンケートを実施する制御を行う。回答画面W2の質問意見投稿操作アイコン16への操作を検出すると、フィードバック選択肢の選択と、当該選択された選択フィードバック選択肢に関する質問又は意見と、を含むフィードバックを受け付ける制御を行う。そして、ESG分類項目毎に対応付けられた企業の担当部署又は担当者の連絡先のうち、受け付けられたフィードバックの選択フィードバック選択肢に対応するESG分類項目の連絡先に、当該フィードバックを通知する制御を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業のESG(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス))に関する意識調査および啓発支援を行うコンピュータシステムであって、
前記企業の各従業員に向けて、各設問がESG分類項目に対応付けられているアンケートを、従業員端末を通じて実施する制御を行うアンケート実施制御手段と、
前記従業員端末から、前記ESG分類項目毎に対応付けられたフィードバック選択肢の選択と、当該選択された選択フィードバック選択肢に関する質問又は意見と、を含むフィードバックを受け付ける制御を行うフィードバック受け付け制御手段と、
前記ESG分類項目毎に対応付けられた前記企業の担当部署又は担当者の連絡先のうち、前記フィードバック受け付け制御手段により受け付けられた前記フィードバックの前記選択フィードバック選択肢に対応するESG分類項目の連絡先に、当該フィードバックを通知する制御を行うフィードバック通知制御手段と、
を備え、
前記アンケート実施制御手段は、同一の従業員に対して、所与の時間間隔を空けて、同一の前記設問を含むアンケートを実施する制御を行う、
コンピュータシステム。
【請求項2】
前記従業員端末から、前記ESG分類項目毎に対応付けられた内部通報選択肢の選択と、当該選択された選択内部通報選択肢に関する通報内容と、を含む内部通報を受け付ける制御を行う内部通報受け付け制御手段と、
前記ESG分類項目毎に対応付けられた前記企業の内部通報用連絡先のうち、前記内部通報受け付け制御手段により受け付けられた前記内部通報の前記選択内部通報選択肢に対応するESG分類項目の内部通報用連絡先に、当該内部通報を通知する制御を行う内部通報通知制御手段と、
を更に備える請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記アンケート実施制御手段は、1回分のアンケートの全設問を、従業員毎に所与の期間毎に繰り返し実施し、
前記企業における前記期間毎のESGの意識調査結果として、前記アンケート実施制御手段により同一期間に実施された従業員毎の前記1回分のアンケートの回答を集計するアンケート集計手段、
を更に備える請求項1又は2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記アンケート実施制御手段は、前記1回分のアンケートの設問を分けて異なる実施時期にアンケートを実施する、
請求項3に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記ESG分類項目は、ESGの大分類毎に項目があり、
前記アンケート集計手段は、前記ESG分類項目毎に前記集計を行い、前記企業におけるESG大分類評価およびESG全体評価を決定する、
請求項3又は4に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記アンケート実施制御手段は、複数の企業に対してアンケートを実施し、
前記アンケート集計手段は、企業別に前記集計を行い、前記ESG大分類評価の平均および前記ESG全体評価の平均を算出する、
請求項5に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記アンケート実施制御手段は、共通の商品又はサービスに関連する1つの企業グループを構成する複数の企業に対してアンケートを実施し、
前記アンケート集計手段は、前記企業グループを構成する企業別に前記集計を行い、当該企業別の前記ESG大分類評価又は前記ESG全体評価を、当該企業間の関連図表とともに示す所定の企業グループ評価マップを作成する制御を行う評価マップ作成制御手段、
を更に備える請求項5又は6に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
企業のESG(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス))に関する意識調査および啓発支援をコンピュータシステムが実行するための意識調査・啓発支援方法であって、
前記企業の各従業員に向けて、各設問がESG分類項目に対応付けられているアンケートを、従業員端末を通じて実施する制御を行うことと、
前記従業員端末から、前記ESG分類項目毎に対応付けられたフィードバック選択肢の選択と、当該選択された選択フィードバック選択肢に関する質問又は意見と、を含むフィードバックを受け付ける制御を行うことと、
前記ESG分類項目毎に対応付けられた前記企業の担当部署又は担当者の連絡先のうち、前記受け付けられた前記フィードバックの前記選択フィードバック選択肢に対応するESG分類項目の連絡先に、当該フィードバックを通知する制御を行うことと、
を含み、
前記アンケートを実施する制御を行うことは、同一の従業員に対して、所与の時間間隔を空けて、同一の前記設問を含むアンケートを実施する制御を行うことを含む、
意識調査・啓発支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業における意識調査および啓発支援を行うコンピュータシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
企業の価値は、財務諸表に現れる「経済価値」だけでなく、ESG(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス))に代表される「社会価値」を合わせた両輪で評価される時代となった。機関投資家がESGに係る取り組みに積極的な企業への投資を優先するようになってきた状況の中で、企業としても環境への配慮や人権尊重、労働環境の改善に取り組むべき、との認識が広まっている。
【0003】
企業のESGに係る取り組みの1つとして、内部通報の仕組みの整備がある。特許文献1には、通報者の匿名性を担保しつつ、内部通報への対応状況や進捗状況を関係者間で効率的に共有する通報管理システムの技術が開示されている。企業は、こうしたシステムを導入することで、ESGのうちのGovernance(ガバナンス)についての自らの価値を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、Governance(ガバナンス)に関する価値だけを高めるのではなく、企業のESG全般に係る価値を向上させる仕組みが望まれる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、企業のESG全般に係る価値を効率的に向上させ得る技術を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための第1の発明は、企業のESG(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス))に関する意識調査および啓発支援を行うコンピュータシステムであって、
前記企業の各従業員に向けて、各設問がESG分類項目に対応付けられているアンケートを、従業員端末を通じて実施する制御を行うアンケート実施制御手段(例えば、
図1の制御基板1150、
図13のサーバ処理部200s、アンケート実施制御部210、
図14のアンケート実施制御データ700、
図19のアンケート実施処理)、と、
前記従業員端末から、前記ESG分類項目毎に対応付けられたフィードバック選択肢の選択と、当該選択された選択フィードバック選択肢に関する質問又は意見と、を含むフィードバックを受け付ける制御を行うフィードバック受け付け制御手段(例えば、
図1の制御基板1150、
図13のサーバ処理部200s、フィードバック受付制御部214、
図19のステップS24からステップS26)と、
前記ESG分類項目毎に対応付けられた前記企業の担当部署又は担当者の連絡先のうち、前記フィードバック受け付け制御手段により受け付けられた前記フィードバックの前記選択フィードバック選択肢に対応するESG分類項目の連絡先に、当該フィードバックを通知する制御を行うフィードバック通知制御手段(例えば、
図1の制御基板1150、
図13のサーバ処理部200s、フィードバック通知制御部216、
図16のフィードバック用連絡先設定データ560、
図19のステップS30)と、
を備え、前記アンケート実施制御手段は、同一の従業員に対して、所与の時間間隔を空けて、同一の前記設問を含むアンケートを実施する制御を行う、コンピュータシステムである。
【0008】
ここで言う「コンピュータシステム」は、単数のコンピュータで構成される場合は勿論、複数のコンピュータによって連携して構成されるものでもよい。
【0009】
第1の発明によれば、従業員は、アンケートの設問を読んで回答する過程で、ESGに係る意識が喚起される。こうして喚起されたESGに係る意識レベルは、時間経過とともに低下する可能性があるが、アンケートは所与の時間間隔を空けて繰り返し実施される。このため、従業員はESGに係る意識を繰り返し思い起し、意識レベルを高く維持することができる。つまり、アンケートを、ESGの意識向上とそのレベル維持を目的とした啓発活動の1つとして利用することができる。
【0010】
また、第1の発明によれば、アンケートの実施とは別に、従業員からのESGに係る質問・意見を受け付けることができる。すなわち、従業員は、アンケートの設問を読んで回答する過程でESGに係る意識が喚起される一方で、日頃の業務におけるESGに関する質問や意見を想起する可能性がある。第1の発明によれば、こうした機会を逃さずに、従業員からESGに関する質問や意見を得ることが可能となる。
【0011】
総括すれば、第1の発明によれば、従業員のESGに係る意識調査のためのアンケートを軸として、従業員のESGに係る意識向上の機会を増加させることができる啓発活動と、ESGに係る質問や意見の受け付けと、を効果的に実施できる。よって、企業のESG全般に係る価値を効率的に向上させることが可能となる。
【0012】
第2の発明は、前記従業員端末から、前記ESG分類項目毎に対応付けられた内部通報選択肢の選択と、当該選択された選択内部通報選択肢に関する通報内容と、を含む内部通報を受け付ける制御を行う内部通報受け付け制御手段(例えば、
図13のサーバ処理部200s、内部通報受付制御部218、
図19のステップS50からステップS56)と、
前記ESG分類項目毎に対応付けられた前記企業の内部通報用連絡先のうち、前記内部通報受け付け制御手段により受け付けられた前記内部通報の前記選択内部通報選択肢に対応するESG分類項目の内部通報用連絡先に、当該内部通報を通知する制御を行う内部通報通知制御手段(例えば、
図13のサーバ処理部200s、内部通報通知制御部220、
図16の内部通報用連絡先設定データ562、
図19のステップS56)と、を更に備える第1の発明のコンピュータシステムである。
【0013】
第2の発明によれば、従業員からESGに係る内部通報を受け付けることができる。すなわち、従業員は、アンケートの設問を読んで回答する過程でESGに係る意識が喚起される一方で、日頃の業務における内部通報すべき事柄を想起する可能性がある。第2の発明によれば、こうした機会を逃さずに、内部通報する機会を従業員に提供することが可能となる。
つまり、第2の発明によれば、企業のESG全般に係る取り組みの統合的運用を更に高め、ESGに関する企業の価値を更に効率的に向上させることが可能となる。
【0014】
第3の発明は、前記アンケート実施制御手段が、1回分のアンケートの全設問を、従業員毎に所与の期間毎に繰り返し実施し、前記企業における前記期間毎のESGの意識調査結果として、前記アンケート実施制御手段により同一期間に実施された従業員毎の前記1回分のアンケートの回答を集計するアンケート集計手段(例えば、
図13のサーバ処理部200s、アンケート集計部222、
図17のアンケート集計データ620、
図20のステップS84)、を更に備える第1又は第2の発明のコンピュータシステムである。
【0015】
第3の発明によれば、コンピュータシステムは、アンケートを所与の期間毎に繰り返し実施して回答を集計する。よって、企業は、従業員のESGに係る意識レベルを期間別に知ることができる。また、アンケートを繰り返し実施することで、その都度従業員のESGに係る意識を喚起し、意識レベルが高く維持される。
【0016】
第4の発明は、前記アンケート実施制御手段が、前記1回分のアンケートの設問を分けて異なる実施時期にアンケートを実施する、第3の発明のコンピュータシステムである。
【0017】
第4の発明によれば、コンピュータシステムは、1回分のアンケートを異なる実施時期に分けて分散実施する。この場合、分散実施する1実施当たりの所要時間は、1回分のアンケート全てに回答する所要時間よりも遥かに少ない。従って、アンケート実施に伴う日常の業務への影響が分散される。例えば、アンケートを実施する予定を組みやすくなるのも作用効果の1つといえる。加えて、分散実施する毎にESGに係る意識が喚起されるので、ESGの意識向上とそのレベル維持の効果が更に期待できる。
【0018】
第5の発明は、前記ESG分類項目は、ESGの大分類毎に項目があり、前記アンケート集計手段は、前記ESG分類項目毎に前記集計を行い、前記企業におけるESG大分類評価およびESG全体評価を決定する、第3又は第4の発明のコンピュータシステムである。
【0019】
第5の発明によれば、アンケートの集計結果に基づくESG大分類評価と、ESG全体評価とを得ることができる。これにより、例えば、企業の経営者は、ESG全体評価を改善するために、ESGの大分類におけるどの分野を重点的に改善するべきか分析することができる。
【0020】
第6の発明は、前記アンケート実施制御手段は、複数の企業に対してアンケートを実施し、前記アンケート集計手段は、企業別に前記集計を行い、前記ESG大分類評価の平均および前記ESG全体評価の平均を算出する、第5の発明のコンピュータシステムである。
【0021】
第6の発明によれば、アンケートの実施企業それぞれの平均値として、ESG大分類評価の平均およびESG全体評価の平均を得ることができる。これにより、アンケートの実施企業それぞれの個別評価を、実施全社平均と比較することが可能となる。
【0022】
第7の発明は、前記アンケート実施制御手段は、共通の商品又はサービスに関連する1つの企業グループを構成する複数の企業に対してアンケートを実施し、前記アンケート集計手段は、前記企業グループを構成する企業別に前記集計を行い、当該企業別の前記ESG大分類評価又は前記ESG全体評価を、当該企業間の関連図表とともに示す所定の企業グループ評価マップを作成する制御を行う評価マップ作成制御手段(例えば、
図13のサーバ処理部200s、評価マップ作成制御部212、
図17の事業別企業グループ評価マップデータ640、
図20のステップS88)、を更に備える第5又は第6の発明のコンピュータシステムである。
【0023】
「企業間の関連図表」とは、異なる複数の企業間の繋がりを表す図である。「関連」とは、例えば親企業と子企業などの資本関係、共通の商品又はサービスに係る購入先/納品先といったサプライチェーンの関係や契約関係、などであってもよい。「図表」とは、例えば、関係する企業を線で結ぶ樹形図やソシオグラム、上下左右の並びで関係性を示す階層図、など、であってもよい。
【0024】
第7の発明によれば、企業は、企業別のESG大分類評価やESG全体評価を、企業間の関連図表とともに示す企業グループ評価マップとして得ることができる。これにより、例えば、企業は、投資家向けに、関連企業を含めた企業グループ全体の評価を提示することが可能となる。
【0025】
第8の発明は、企業のESG(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス))に関する意識調査および啓発支援をコンピュータシステムが実行するための意識調査・啓発支援方法であって、前記企業の各従業員に向けて、各設問がESG分類項目に対応付けられているアンケートを、従業員端末を通じて実施する制御を行うことと、前記従業員端末から、前記ESG分類項目毎に対応付けられたフィードバック選択肢の選択と、当該選択された選択フィードバック選択肢に関する質問又は意見と、を含むフィードバックを受け付ける制御を行うことと、前記ESG分類項目毎に対応付けられた前記企業の担当部署又は担当者の連絡先のうち、前記受け付けられた前記フィードバックの前記選択フィードバック選択肢に対応するESG分類項目の連絡先に、当該フィードバックを通知する制御を行うことと、を含み、前記アンケートを実施する制御を行うことは、同一の従業員に対して、所与の時間間隔を空けて、同一の前記設問を含むアンケートを実施する制御を行うことを含む、意識調査・啓発支援方法である。
【0026】
第8の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果を奏する意識調査・啓発支援方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】1回分のアンケートにおける設問の構造および当該アンケートの分散実施について説明するための概念図。
【
図3】1回分のアンケートの分散実施、回答集計および対外的な発表のスケジュールのイメージ図。
【
図4】分散実施されるアンケートにおいて従業員端末にて表示される回答画面の一例を示す図。
【
図6】質問や意見の投稿後の扱いについて説明するための図。
【
図9】アンケートの集計結果および集計結果に基づく評価結果の出力について説明するための図。
【
図13】サーバシステムの機能構成例を示す機能ブロック図。
【
図14】サーバ記憶部が記憶するプログラムやデータの例を示す図。
【
図15】アンケート定義データのデータ構成例を示す図。
【
図18】従業員端末の機能構成例を示す機能ブロック図。
【
図19】アンケート実施処理の流れを説明するためのフローチャート。
【
図20】アンケート集計処理の流れを説明するためのフローチャート。
【
図21】結果表示処理の流れを説明するためのフローチャート。
【
図22】第2実施形態におけるサーバシステムの機能構成例を示す図。
【
図23】第2実施形態における従業員端末の機能構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の例を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。
【0029】
〔第1実施形態〕
図1は、支援システムの構成例を示す図である。
支援システム1000は、支援システム1000の利用契約をしたクライアント企業(以下、単に「企業」と言う。)のESGに係る価値の向上を支援するコンピュータシステムである。支援システム1000は、ネットワーク9を介してデータ通信が可能な、サーバシステム1100と、企業の各従業員(管理職も含む)が個別に使用する従業員端末1500と、を具備し、従業員端末1500をマンマシンインターフェース(Man Machine Interface:MMIF)とするコンピュータシステムである。なお、
図1では、従業員端末1500を3台描いているが、実際のシステム運用においては従業員端末1500の台数は特に問わない。
【0030】
ネットワーク9は、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、ネットワーク9とは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0031】
サーバシステム1100は、制御基板1150を有する。制御基板1150は、CPU(Central Processing Unit)1151やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリ1152、通信装置1153を搭載する。制御基板1150の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)により実現するとしてもよい。
【0032】
サーバシステム1100は、制御基板1150が所定のプログラムおよびデータに基づいて演算処理することにより後述する各種機能を実現する。
【0033】
なお、
図1では、サーバシステム1100を、1台のサーバ装置であるかのように描いているが、複数の装置で実現する構成であってもよい。例えば、サーバシステム1100は、各機能を分担する複数のブレードサーバを搭載して相互に内部バスを介してデータ通信可能に接続した構成であっても良い。また、サーバシステム1100を構成するハードウェアの設置場所は問わない。離れた場所に設置された独立した複数のサーバを、ネットワーク9を介してデータ通信させることで、全体としてサーバシステム1100として機能させる構成であっても良い。サーバシステム1100は、クラウド上に構築されたシステムであっても良い。
【0034】
従業員端末1500は、企業の従業員が支援システム1000を利用するために使用するコンピュータシステムである。
図1では、従業員端末1500を、いわゆるスマートフォンと呼ばれる装置として表しているが、コンピュータシステムであれば、スマートウォッチ、スマートグラスなどのウェアラブルコンピュータや、タブレット型コンピュータ、パソコン、などでもよい。スマートフォンと、当該スマートフォンに通信接続されたスマートウォッチとの組み合わせといった複数の電子機器が通信可能に接続することで1つの機能を果たす場合にはこれらの複数の電子機器を1つの従業員端末1500とみなすことができる。
【0035】
従業員端末1500は、操作入力デバイス(例えば、タッチパネル1506、キーボード、マウスなど)と、画像表示デバイス(例えば、タッチパネル1506、ビデオモニタなど)と、制御基板1550と、を備える。
【0036】
制御基板1550は、CPU1551や、GPU,DSPなどの各種マイクロプロセッサ、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリ1552、ネットワーク9に接続する通信モジュール1553、などを搭載する。制御基板1550に搭載されているこれらの要素は、バス回路などを介して電気的に接続され、データの読み書きや信号の送受が可能に接続されている。制御基板1550の一部又は全部をASICやFPGA、SoCにて構成してもよい。そして、制御基板1550は、従業員端末としての機能を実現させるためのプログラムや各種データをICメモリ1552に記憶する。
【0037】
従業員端末1500は、所定のアプリケーションプログラムを実行することにより、支援システム1000を利用するためのMMIFとしての機能、すなわちクライアント・サーバシステムにおけるクライアント端末としての機能を実現する。
【0038】
なお、従業員端末1500は、アプリケーションプログラムやその実行に必要な各種データをサーバシステム1100からダウンロードする構成としているが、別途入手したメモリカードなどの記憶媒体から読み出す構成としてもよい。
【0039】
支援システム1000が提供する支援機能の基軸は、従業員を対象としたESG(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス))に関する意識調査を目的としたアンケートの実施である。
図2は、1回分のアンケートにおける設問の構造および当該アンケートの分散実施について説明するための概念図である。1回分のアンケートは、多数の設問4を内包し、各設問4には階層構造の分類項目が対応付けられている。最上位の分類は、ESGの何れかのESG大分類6である。その下位の構造は適宜設定可能である。例えば、
図2に示すように、1つのESG大分類6に対して複数のESG分類項目8を設ける構造とすることができる。また、ESG分類項目8を複数の階層構造とすることとしてもよい。
【0040】
複数の設問4それぞれには、ESG分類項目8が対応づけられており、設問4への回答によって、対応するESG分類項目8についての回答者である従業員の意識レベルが判定される。
【0041】
設問4には、それぞれ対応付けられている分類項目が識別できるように固有の設問IDが設定されている。
図2の例では「EA01」「EA02」…が設問IDを示す。設問IDは、ESG大分類6を示す「E」「S」「G」と、それより下位のESG分類項目8を示す「A」「B」…と、設問番号「01」「02」…と、を順に連ねて構成されている。
【0042】
アンケートの実施は、所与の期間に1回(例えば、1年に1回、数年に1回)だけ実施し、1度の実施で1回分のアンケートの全設問に全回答する形式が考えられる。しかし、ESGに係る意識調査を目的としたアンケートの場合、設問数は多数である。
【0043】
そのため、1度の実施で1回分のアンケートの全設問に全回答するとなると、相応の長さの所要時間(場合によっては1時間以上)を要することになる。企業にとっては、業務への影響をできるだけ少なくしつつ、全従業員について連続的にその所要時間を確保することが大きな負荷と考えられる。また、従業員にとっても、長時間に亘ってアンケートに回答しなければならない負荷があった。
【0044】
そこで、支援システム1000では、1度の実施で1回分のアンケートの全設問に全回答させる場合の「1回分のアンケート」を、複数回に分けて、所与の期間内で分散実施する。具体的には、最下位のESG分類項目8に対応付けられている複数の設問4を、それぞれ何れかの分散アンケートに振り分けて分散実施する。例えば、1年単位(この場合、所与の期間が1年となる)で1回分のアンケートを実施する場合に、1年の間に3回に分けて1回分のアンケートを実施する、という具合である。どの設問をどの分散アンケートに振り分けるかは、適宜設定可能である。
【0045】
図2の例では、1回分のアンケートを3回に分散実施する例を示しているが、分散回数は適宜設定可能である。分散実施の時間間隔は、概ね同じ長さとなるように設定するのが好適であるが、業務スケジュールを考慮して異なる時間間隔であってもよい。分散実施の日程は、全社一斉でもよいし職場別であってもよい。
【0046】
1度の分散実施における分散アンケートの所要時間は、1度の実施で1回分のアンケートの全設問に全回答させる場合の所要時間よりも大幅に短くなる。よって、企業側にとっては、アンケート実施のスケジュールがコントロールし易くなる。従業員にとっては、短時間でアンケートが終了するので負荷が少なくなる。
【0047】
図3は、1回分のアンケートの分散実施、回答集計および対外的な発表のスケジュールのイメージ図である。1回分のアンケートに係る全ての分散アンケート(
図3の例では、3回目の分散アンケート)が実行されることで、各従業員は所与の期間の間にアンケートの全設問に全回答したことになる。1回分のアンケートに係る全ての分散アンケートが完了すると、全設問の回答集計が行われ、集計結果から所与の期間における従業員のESGに係る意識レベルの推定が行われる。企業は、これをもって自社従業員のESGに係る意識レベルについての情報として投資家向けに開示できる。
【0048】
自社従業員のESGに係る意識レベルの開示を毎年行う方針の企業であるならば、所与の期間は1年となり、毎年同じアンケートを同じように分散実施することを繰り返せばよい。この場合、繰り返し回数が増えるにつれてESGに係る意識レベルを年ごとに比較できるようになるので、当該企業のESGに係る取り組みの連続性についての実績を示し、ESGに係る価値の向上に寄与することとなる。
【0049】
図4は、分散実施されるアンケートにおいて従業員端末1500にて表示される回答画面W2の一例を示す図である。
回答画面W2には、現在回答中の設問についてのESG分類項目の分類項目表示10と、現在の設問の目的と回答の指針を教示する教示文表示11と、設問文表示12と、回答選択肢表示14と、質問意見操作アイコン16と、内部通報操作アイコン18と、が表示される。なお、回答選択肢表示14の表示形態は、
図4に示すようなラジオボタン式に限らず適宜設定可能である。例えば、チェックボタン式、ダイヤル式、などでもよい。
【0050】
質問意見操作アイコン16は、企業宛に質問や意見を投稿する処理の開始操作を受け付ける。当該アイコンへの操作が検出されると、従業員端末1500には、
図5に示すような質問意見投稿画面W4が表示される。
【0051】
質問意見投稿画面W4には、ESG分類項目の分類項目表示20と、これから行う質問や意見が何についてであるかの分類を示すフィードバック選択肢表示22と、質問や意見のテキストを入力するための記載欄24と、実名匿名選択肢表示26と、キャンセル操作アイコン28と、投稿実行操作アイコン29と、が表示される。なお、質問意見投稿画面W4の表示内容は、これらに限らず適宜設定可能である。
【0052】
投稿者である従業員が、フィードバック選択肢表示22の中から何れかを選択操作し、記載欄24に意見や質問の内容を入力し、実名匿名選択肢表示26の何れかを選択操作し、投稿実行操作アイコン29を操作すれば、入力した質問や意見が投稿される。なお、投稿実行操作アイコン29が操作された後に、入力内容の最終確認画面を表示して、当該確認画面での承認操作をもって投稿を実行する構成としてもよい。
【0053】
図6は、支援システム1000における質問や意見の投稿後の扱いについて説明するための図である。投稿実行操作アイコン29が操作されると、従業員端末1500からサーバシステム1100へ質問意見投稿画面W4での入力結果であるフィードバック30が送信される。
【0054】
サーバシステム1100は、予め、フィードバック選択肢32と対応づけて、当該選択肢に係る質問や意見に対処する担当部署又は担当者のフィードバック用連絡先情報34を記憶している。フィードバック選択肢32は、質問意見投稿画面W4に表示されたフィードバック選択肢表示22に対応している。
【0055】
サーバシステム1100は、フィードバック30を受信すると、質問意見の投稿を受け付けたとみなす。そして、受信したフィードバック30に含まれている選択フィードバック選択肢(フィードバック選択肢の選択結果)に対応するフィードバック用連絡先情報34の従業員端末1500へフィードバック通知36を送信する。
【0056】
フィードバック通知36には、日時や、質問・意見の内容、投稿者情報(実名匿名選択肢表示26で実名が選択されていれば従業員IDおよびその連絡先情報、実名匿名選択肢表示26で匿名が選択されていれば匿名を示す所定情報)が含まれている。
フィードバック通知36を受信した担当部署或いは担当者は、質問や意見について対処する。対処には、例えば、投稿者への質問や意見への回答や、追加情報を得るための問い合わせが含まれる。
【0057】
企業にとってみれば、ESGに係るアンケートを実施するなかでESGに係る意識を従業員に喚起させることができるとともに、ESGに係る質問・意見を知ることができる。従業員にとってみれば、日頃の業務のなかで埋もれてしまいがちなESGに関する質問・意見を提示するタイムリーな機会を得ることができる。つまり、企業は、従業員から従来ではありえなかったESGに係るフィードバックを得ることができる。
【0058】
このことは、従業員のESGに係る意識を啓発しそれを高く維持させる効果につながる。すなわち、従業員は、アンケートの設問文を読んで回答を考えることで、ESGに係る意識を高めることができる。また、アンケートへの回答をきっかけに、ESGに関する質問や意見をする機会ができることで、従業員のESGに係る意識レベルをより高めることができる。
【0059】
図4に戻って、内部通報操作アイコン18は、内部通報の開始操作を受け付ける。当該アイコンへの操作が検出されると、従業員端末1500には、
図7に示すような内部通報受付画面W6が表示される。
【0060】
内部通報受付画面W6には、ESG分類項目の分類項目表示40と、何についての内部通報であるかの分類を示す内部通報選択肢表示42と、通報内容のテキストを入力するための記載欄44と、キャンセル操作アイコン48と、通報実行操作アイコン49と、が表示される。なお、内部通報受付画面W6の表示内容は、これらに限らず適宜設定可能である。
【0061】
通報者である従業員が、内部通報選択肢表示42の中から何れかを選択操作し、記載欄44に通報の内容を入力し、通報実行操作アイコン49を操作すれば、匿名による内部通報が実行される。なお、通報実行操作アイコン49が操作された後に、入力内容の最終確認画面を表示して、当該確認画面での承認操作をもって投稿を実行する構成としてもよい。
【0062】
図8は、支援システム1000における内部通報の扱いについて説明するための図である。内部通報受付画面W6において通報実行操作アイコン49が操作されると、従業員端末1500からサーバシステム1100へ内部通報受付画面W6での入力結果である内部通報50が送信される。
【0063】
サーバシステム1100は、内部通報50を受信すると、内部通報の受け付けとみなして所定の内部通報処理を実行する。
内部通報処理の内容は、既存の内部通報システムと同様に実現できる。例えば、サーバシステム1100は、受信した内部通報50を一次通報情報とみなしてこれを保存し、内部通報50の内容のうち、通報者に関する情報や不開示情報(通報者が接触できる情報であるが外部に漏らされるべきでない情報;例えば個人情報や機密情報など)に該当するべき内容を検索して、該当情報を秘匿化して内部通報通知56を作成して保存する。
【0064】
そして、サーバシステム1100は、作成した内部通報通知56を担当部署或いは担当者へ送信する。具体的には、サーバシステム1100は、予め内部通報選択肢52と対応づけて、当該選択肢に係る内部通報に対処する担当部署又は担当者の内部通報用連絡先情報54を記憶しており、内部通報通知56の起源となった内部通報50に含まれている選択内部通報選択肢(内部通報選択肢の選択結果)に対応する内部通報用連絡先情報54の従業員端末1500へ送信する。内部通報通知56は、内部通報受付画面W6に表示された内部通報選択肢表示42に対応している。
【0065】
なお、内部通報通知56を受信した担当部署或いは担当者が、内部通報への回答を入力すると内部通報者が当該回答の内容を確認できる仕組みについても、従来の内部通報システムの仕組みと同様に実現することができる。実際の運用においては、内部通報通知56を受信した担当部署或いは担当者と内部通報者との間で何往復かのやり取りを経て内部通報に係る問題を処理・解決することができる。
【0066】
ESGに係るアンケートを実施するとともに、ESGに係る内部通報ができる機会を従業員に提供することで、ESGに関する企業の取り組みを改善・向上させることができ、全社的なESGに係る価値を向上させることが可能となる。
【0067】
図9は、アンケートの集計結果および集計結果に基づく評価結果の出力について説明するための図である。
サーバシステム1100は、アンケートの集計結果および集計結果に基づく評価結果の出力に係り、企業別の企業登録データ540と、アンケート実施別のアンケート集計データ620と、を記憶する。
【0068】
企業登録データ540は、支援システム1000の利用申し込みを行った企業に係る各種データを格納する。具体的には、企業登録データ540は、企業名541と、企業間関連登録データ543と、を含む。ここで言う「関連」は、資本関係、共通の商品又はサービスに係る購入/納品などの取引関係、広告代理契約や商品販売契約などの契約関係、などを適宜含めることができる。具体的には、例えば購入/納品などの取引関係に基づく企業間関連登録データ543であれば、事業の種類と、購入先企業名リストと、納品先企業名リストと、を含む。
【0069】
アンケート集計データ620は、1回分のアンケートに係る全ての分散アンケートの分散実施が完了した後に、分散アンケートで得られた全ての回答結果を集計処理して作成される。
【0070】
アンケート集計データ620は、例えば、企業名621と、実施期間622と、実施したアンケートの種類を示すアンケートID623と、ESG分類項目別評価624(
図9の例では、ESG大分類より下位の分類項目別の評価624a、ESG大分類評価624b)と、ESG分類項目評価全てを総合した評価であるESG全体評価625と、を含む。なお、アンケート集計データ620の集計項目は
図9の例に限らず適宜設定可能である。
【0071】
実施期間622は、当該集計の期限となった1回分のアンケートが実施された期間を示すものである。例えば、当該企業の事業会計年度を単位として1回分のアンケートを実施する場合には、事業会計年度の期間を実施期間622とすることができる。
ESG分類の最下層のESG分類項目別評価624については、更に当該分類項目についての部署別評価626を含む。
【0072】
アンケートの集計結果は、従業員端末1500において所定の集計結果表示の指示操作がなされたことを検出すると、当該端末に表示させる。なお、集計結果の表示機能は、管理職等の一部の従業員端末1500にのみ表示可能とすると好適である。
【0073】
集計結果の表示には、自社単独画面W10と、彼我比較画面W12と、評価マップ画面W14と、の3つの表示形態があり、サーバシステム1100は、所定の切り換え操作に応じて表示形態を切り替える。そして、各画面の表示内容は、別途、データ出力して外部発表等に利用可能である。
【0074】
図10は、自社単独画面W10の表示の一例を示す図である。
自社単独画面W10は、自社(当該画面を表示している従業員端末1500を有するユーザが所属する企業の意)についての、アンケートの集計結果に基づくESGに係る評価を表示する。アンケートの集計は、回答選択肢別に予め設定されている点数を、所与の集計関数に代入して決定される。ESGに係る評価は、ESGそれぞれの分類に対応する設問について集計された点数に基づいて評価される。
【0075】
自社単独画面W10は、アンケートの実施別に用意される実施別ページ60を有する。例えば、年に1度1回分のアンケートを実施するケースで複数年経過していれば、年数分の実施別ページ60が切替表示可能とされる。自社単独画面W10は、自社における従業員のESGに係る意識レベルの状態を把握するのに好適である。
図10の例では、年に1度1回分のアンケートを実施するケースとして3年が経過したために3ページ分の実施別ページ60が切替表示可能となっている。実際にはこれよりも少ない場合も多い場合もあり得る。実施別ページ60はタッチパネル1506へのフリップ操作によって表示を切り換えることができる。
【0076】
実施別ページ60は、ESG全体評価表示61と、ESG大分類評価表示62と、分類項目別ページ63と、を有する。
【0077】
ESG全体評価表示61は、全設問の全回答から所定の判定基準に基づいて、ESG全てについて総合的に評価した結果を示す。評価結果の表し方は適宜設定可能である。
図10の例では、評価結果は、評価マーク7(7a,7b,…)と、パーセンテージ表示と、で表示されている。パーセンテージは、全回答で最も望ましい回答選択肢が回答された場合を100%とする。評価マーク7(7a,7b,…)は、パーセンテージに基づいて判定される「健全(チェックシンボル柄)」「やや健全(△柄)」「不健全(×柄)」「不明(?柄)」の4段階の何れかを視覚的に表す。評価段階の数、評価は適宜設定可能である。
【0078】
ESG大分類評価表示62は、ESGそれぞれの大分類別に集計された点数に基づき判定される評価結果を表す。
図10の例では、バーグラフと、パーセンテージ表示とで表しているが、評価結果の表し方はこれら以外の表示形態でもよい。
【0079】
分類項目別ページ63は、ESGの大分類別の評価結果を表す。
図10の例では、ESG大分類別に分類項目別ページ63が表示されており、フリップ操作によって表示するページを切り換えることができる。
【0080】
分類項目別ページ63は、表示している大分類を示す大分類表示64と、項目別評価表示65と、職場別結果表示66と、を有する。
【0081】
項目別評価表示65は、大分類より下位の分類項目別の評価結果である。
図10の例では、項目別のレーダーチャートとして表しているが、評価結果の表し方はこれら以外の表示形態でもよい。レーダーチャートには、予め企業が設定した目標値と、集計結果値と、が表示され、分野別の達成度合を視覚的に理解できるようになっている。
【0082】
職場別結果表示66は、大分類より下位の分類項目別の評価結果を職場別に表示する。フリップ操作することにより表示させる分類項目を切り換えることができる。
図10の例では、バーグラフとして表しているが、評価結果の表し方はこれら以外の表示形態でもよい。
【0083】
図11は、彼我比較画面W12の表示の一例を示す図である。
彼我比較画面W12は、同じアンケートの結果に基づくESGに係る評価を、自社と他企業とで比較表示する。彼我比較画面W12は、アンケートの実施別に用意される実施別ページ70と、全体評価比較表示71と、ESG大分類評価比較表示73と、分類項目別比較表示ページ75と、を有する。
【0084】
実施別ページ70は、アンケートの実施別に用意される。例えば、1年に1回分のアンケートを実施するケースでは、複数年経過していれば年数分の実施別ページ70が表示されることになる。実施別ページ70はタッチパネル1506へのフリップ操作によって表示するページを切り換えることができる。
【0085】
全体評価比較表示71は、支援システム1000を利用している複数の企業を比較対象として自社のESG全体評価を比較表示する。
図11の例では、相対比較としての順位表示と、絶対比較としての評価結果のパーセンテージ表示と、の例を示しているが、相対評価の表し方はこれ以外でもよい。なお、相対比較の対象は、同じアンケートを実施した全ての企業としてもよいし、絞り込み操作アイコン72を操作して企業の絞り込み条件を設定することで絞り込んだ企業としてもよい。
【0086】
ESG大分類評価比較表示73は、ESGそれぞれの大分類別の相対評価を表す。
図11の例では、ESGの3項目のレーダーチャートとし、パーセンテージ形式で平均値および自社値を示しているが、表示形態はこれ以外でもよい。
【0087】
分類項目別比較表示ページ75は、ESGの大分類別に用意され、当該大分類に属する分類項目についての評価を比較表示する。当該表示ページはフリップ操作することにより、表示させる大分類を切り替えることができる。
図11の例では、表示させる大分類に属する分類項目のレーダーチャートとして、パーセンテージ形式で平均値および自社値を示しているが、表示形態はこれ以外でもよい。
【0088】
図12は、評価マップ画面W14の表示の一例を示す図である。
評価マップ画面W14は、自社および自社と関連のある他企業を1つの企業グループとみなして、企業グループについての評価結果をマップ様に一覧表示する。関連については、企業登録データ540の企業間関連登録データ543に基づいて判定される。
【0089】
評価マップ画面W14は、アンケートの実施別に用意される実施別ページ80を有する。実施別ページ80は、アンケートの実施別に用意される。例えば、1年に1回分のアンケートを実施するケースでは、複数年経過していれば、年数分の実施別ページ80が表示されることになる。実施別ページ80はタッチパネル1506へのフリップ操作によって表示を切り替えることができる。
【0090】
実施別ページ80は、事業別企業グループ評価マップ82(82a、82b、…)を有する。事業別企業グループ評価マップ82は、自社の事業別に用意され、当該事業に係り自社および関連する他企業の企業名と評価マーク7とを、関連図(例えば、階層図、樹形図、ソシオグラムなどの形式)とともに表示する。
【0091】
評価マップ画面W14では、自社に係る企業グループに属する各企業のESGに係る意識レベルを知ることができるので、自社単独だけでなく関係企業も含めた全体としてのESGに係る価値を投資家にアピールするのに有益である。
【0092】
次に、支援システム1000の機能構成について説明する。
図13は、サーバシステム1100の機能構成例を示す機能ブロック図である。
サーバシステム1100は、操作入力部100sと、サーバ処理部200sと、音出力部390sと、画像表示部392sと、通信部394sと、サーバ記憶部500sとを備える。
【0093】
操作入力部100sは、サーバシステム1100の管理のための各種操作を入力するための手段である。サーバシステム1100用のキーボードやタッチパネルがこれに該当する。
【0094】
サーバ処理部200sは、例えばCPUやGPU、ASIC、FPGA等の演算回路となるプロセッサの他、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100sやサーバ記憶部500sを含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100sからの操作入力信号、従業員端末1500から受信したデータ、等に基づいて各種の演算処理を実行して、サーバシステム1100の動作を統合的に制御する。
【0095】
サーバ処理部200sは、企業登録管理部202と、アンケート実施制御部210と、フィードバック受付制御部214と、フィードバック通知制御部216と、内部通報受付制御部218と、内部通報通知制御部220と、アンケート集計部222と、結果表示制御部224と、データ保存制御部226と、計時部280sと、音生成部290sと、画像生成部292sと、通信制御部294sとを含む。勿論、これら以外の機能部も適宜含めることができる。
【0096】
企業登録管理部202は、支援システム1000の利用契約をした企業に係る各種データを登録し管理する制御を行う。
【0097】
アンケート実施制御部210は、利用契約をした企業の各従業員に向けて、各設問がESG分類項目に対応付けられているアンケートを、従業員端末1500を通じて実施する制御を行う。回答画面W2に係る表示制御および操作入力の受付制御などがこれに該当する(
図4参照)。
【0098】
そして、アンケート実施制御部210は、同一の従業員に対して、所与の時間間隔を空けて、同一の設問を含むアンケートを実施する制御を行う。具体的には、1回分のアンケートの全設問を、従業員毎に所与の期間毎(例えば、1年毎、数年毎)に繰り返し実施するよう制御する。より具体的には、1回分のアンケートの設問を分けて異なる実施時期にアンケートを分散実施するように制御する(
図3参照)。
【0099】
また、アンケート実施制御部210は、評価マップ作成制御部212を有する。
評価マップ作成制御部212は、企業間の関連性の設定に基づく企業グループ、例えば、共通の商品又はサービスに関連する1つの企業グループを構成する複数の企業に対して実施されたアンケートに係り、企業グループを構成する企業別に集計を行い、当該企業別のESG大分類評価又はESG全体評価を、当該企業間の関連図表とともに示す所定の企業グループ評価マップを作成する制御を行う。
【0100】
フィードバック受付制御部214は、従業員端末1500から、ESG分類項目毎に対応付けられたフィードバック選択肢の選択と、当該選択された選択フィードバック選択肢に関する質問又は意見と、を含むフィードバックを受け付ける制御を行う。質問意見投稿画面W4に係る表示制御および操作入力の受付制御などがこれに該当する(
図5参照)。
【0101】
フィードバック通知制御部216は、ESG分類項目毎に対応付けられた企業の担当部署又は担当者の連絡先のうち、フィードバック受付制御部214により受け付けられたフィードバックの選択フィードバック選択肢に対応するESG分類項目の連絡先に、当該フィードバックを通知する制御を行う(
図6参照)。
【0102】
内部通報受付制御部218は、従業員端末1500から、ESG分類項目毎に対応付けられた内部通報選択肢の選択と、当該選択された選択内部通報選択肢(通報者により内部通報選択肢表示42の中か選択された選択肢)に関する通報内容と、を含む内部通報を受け付ける制御を行う。内部通報受付画面W6に係る表示制御および操作入力の受付制御などがこれに該当する(
図7参照)。
【0103】
内部通報通知制御部220は、ESG分類項目毎に対応付けられた企業の内部通報用連絡先のうち、内部通報受付制御部218により受け付けられた内部通報の選択内部通報選択肢に対応するESG分類項目の内部通報用連絡先に、当該内部通報を通知する制御を行う。内部通報通知56の作成およびデータ保存などもこれに該当する(
図8参照)。
【0104】
アンケート集計部222は、企業における所与の期間毎のESGの意識調査結果として、アンケート実施制御部210により同一期間に実施された従業員毎の1回分のアンケートの回答を集計する。
また、アンケート集計部222は、集計結果に基づいて所与の評価処理を実行する。具体的には、ESGの大分類毎のESG分類項目毎に集計を行い、企業におけるESG大分類評価およびESG全体評価を決定する。
また、アンケート集計部222は、企業別に集計を行い、ESG大分類評価の平均およびESG全体評価の平均を算出する。
【0105】
結果表示制御部224は、アンケートの集計結果、集計結果に基づくESGに関する各種評価の結果を従業員端末1500にて表示させる制御を行う。自社単独画面W10、彼我比較画面W12、評価マップ画面W14の表示制御がこれに該当する(
図10から
図12参照)。
【0106】
データ保存制御部226は、アンケートの回答結果、フィードバック、フィードバック通知、内部通報、内部通報通知、集計結果、評価結果、評価マップ、等の各種データを企業別に保存管理する制御を行う。
【0107】
計時部280sは、システムクロックを利用して現在日時や制限時間等の各種計時を行う。
【0108】
音生成部290sは、音声データの生成やデコードをするICやソフトウェアの実行により実現され、サーバシステム1100のシステム管理や、ゲームの実行に係る操作音や警告音などの音声データを生成或いはデコードする。そして、システム管理に関する音声信号は音出力部390sへ出力する。
【0109】
音出力部390sは、音声信号を放音する。サーバシステム1100に用意されるタッチパネルが備えるスピーカ(不図示)などがこれに該当する。
【0110】
画像生成部292sは、画像表示部392sに表示させる画像を生成し、その画像信号の出力を行う。サーバシステム1100のシステム管理や、各種画面(又はそれらを従業員端末1500で表示させるためのデータ)などを生成する機能の一部がこれに該当する。
【0111】
画像表示部392sは、フラットパネルディスプレイや、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクターなど、画像を表示させる装置で実現される。サーバシステム1100に用意されるタッチパネルがこれに該当する。
【0112】
通信制御部294sは、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部394sを介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0113】
通信部394sは、ネットワーク9と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。
図1の例では通信装置1153が該当する。
【0114】
サーバ記憶部500sは、サーバ処理部200sにサーバシステム1100を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのプログラムや各種データ等を記憶する。また、サーバ処理部200sの作業領域として用いられ、サーバ処理部200sが各種プログラムに従って実行した演算結果などを一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスク、オンラインストレージなどによって実現される。
図1の例ではICメモリ1152やストレージ1140、ハードディスクなどの記憶媒体がこれに該当する。
【0115】
図14は、サーバ記憶部500sが記憶するプログラムやデータの例を示す図である。本実施形態におけるサーバ記憶部500sは、サーバプログラム501と、配信用クライアントプログラム503と、アンケート定義データ510と、企業登録データ540と、アンケート実施制御データ700と、企業間比較用データ702と、結果表示制御データ704と、現在日時900と、を記憶する。サーバ記憶部500sは、その他のプログラムやデータ(例えばタイマーや、カウンタ、各種フラグなど)も適宜記憶する。
【0116】
サーバプログラム501は、サーバ処理部200sが読み出して実行することで、企業登録管理部202からデータ保存制御部226までの機能を実現させるためのプログラムである。
【0117】
配信用クライアントプログラム503は、従業員端末1500へ提供されるクライアントプログラム(従業員端末1500から見るとアプリケーションプログラム)のオリジナルである。
【0118】
アンケート定義データ510は、当該アンケートに係る各種データを格納する。アンケート定義データ510は、例えば
図15に示すように、固有のアンケートID511と、設問別に用意される設問定義データ513と、を格納する。勿論、これら以外のデータも適宜格納してもよい。
【0119】
1つの設問定義データ513は、固有の設問ID515と、許可フィードバック選択肢517と、何回目の分散実施で当該設問の回答を求めるか(言い換えると当該設問がどの分散アンケートに含まれるか)を示す分散実施順番519と、教示文521と、設問文523と、回答選択肢定義データ525と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めてもよい。
【0120】
許可フィードバック選択肢517は、当該設問に係る質問意見投稿画面W4(
図5参照)においてフィードバック選択肢表示22にて表示される選択肢を示す。
【0121】
回答選択肢定義データ525は、当該設問の回答選択肢毎に用意される。1つの回答選択肢定義データ525は、固有の回答選択肢ID、回答選択肢表示14(
図4参照)での表示順と、回答選択肢表示14での表示文であり当該回答選択肢に対応付けられている段階評価文と、評価点と、を対応づけて格納する。
【0122】
図16は、企業登録データ540のデータ構成例を示す図である。企業登録データ540は、支援システム1000の利用契約をした企業別に用意され、当該企業に係る各種データを格納する。
【0123】
1つの企業登録データ540は、固有の企業名541と、企業間関連登録データ543と、従業員登録データ547と、フィードバック用連絡先設定データ560と、内部通報用連絡先設定データ562と、スケジュールデータ570と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めてもよい。
【0124】
従業員登録データ547は、当該企業の従業員(管理職含む)別に作成され、当該従業員に係る各種データを格納する。1つの従業員登録データ547は、固有の従業員ID(例えば、番号や氏名など)、職場ID、連絡先情報(例えば、電子メールアドレス、電話番号、など)を対応づけて格納する。
【0125】
フィードバック用連絡先設定データ560は、ESG分類項目別に用意され、フィードバック選択肢と、フィードバック用連絡先情報と、を対応づけて格納する(
図6参照)。
【0126】
内部通報用連絡先設定データ562は、ESG分類項目別に用意され、内部通報選択肢と、内部通報用連絡先情報と、を対応づけて格納する(
図8参照)。
【0127】
スケジュールデータ570は、1回分実施期間571と、繰り返し間隔573と、分散回数574と、分散実施スケジュールデータ575とを格納する。
【0128】
1回分実施期間571は、1回分のアンケートを実施するための期間である。繰り返し間隔573は、1回分のアンケートを繰り返す時間間隔である。例えば、1回分のアンケートを会計年度の年単位で繰り返し実施する場合には、1回分実施期間571には会計年度の年単位の始期と終期とが設定され、繰り返し間隔573には1年が設定される。
【0129】
分散回数574は、1回分のアンケートを何回に分けて分散実施するかの回数である。分散実施スケジュールデータ575は、予定されている1回分のアンケートを実施するスケジュールデータである。1つの分散実施スケジュールデータ575は、分散アンケートを行う職場を示す職場IDリストと、分散実施別の分散実施期間と、を格納する。分散実施期間は、基本的には、1回分実施期間571と繰り返し間隔573と分散回数574とを設定すると自動的に初期値が設定されるが、企業の担当者が、所定の分散スケジュール設定操作を従業員端末1500にて行うことで、分散実施期間を適宜変更できる。
【0130】
サーベイデータ600は、当該企業へのアンケートおよびアンケートに係り発生した各種データを格納する。
サーベイデータ600は、例えば
図17に示すように、アンケート回答データ610と、フィードバック受付データ612と、フィードバック通知データ614と、内部通報受付データ616と、内部通報通知データ618と、アンケート集計データ620と、事業別企業グループ評価マップデータ640と、を格納する。勿論、これら以外のデータも適宜格納してもよい。
【0131】
アンケート回答データ610は、従業員端末1500にて分散アンケートが分散実施される毎に作成され、分散アンケートへの回答結果に関するデータが蓄積される。例えば、1つのアンケート回答データ610は、回答者を示す従業員IDと、アンケートIDと、分散実施順番と、回答日時と、設問別回答データと、を含む。設問別回答データは、設問IDと選択された回答選択肢IDとの対応付けデータである。アンケート回答データ610を検索することで、どの従業員がどのアンケートの何回目の分散アンケートまで回答しているかを知ることができる。
【0132】
フィードバック受付データ612は、従業員からの質問・意見という形でのフィードバックを受け付けたデータであって、従業員端末1500から受信したフィードバック30に基づいて作成され、質問意見投稿画面W4での入力内容を格納する(
図5参照)。
【0133】
フィードバック受付データ612は、例えば、固有のフィードバックIDと、受付日時(質問意見の投稿日時;フィードバック30の受信日時)と、従業員IDと、設問IDと、選択フィードバック選択肢と、質問意見の内容を示す質問意見テキストデータと、を格納する。
【0134】
フィードバック通知データ614は、フィードバック通知36(
図5参照)のデータであって、固有の通知IDと、通知日時と、宛先と、当該通知の起源となったフィードバック受付データ612の写しと、を格納する。
【0135】
内部通報受付データ616は、従業員からの内部通報の受け付け事実を示すデータであって、従業員端末1500から受信した内部通報50に基づいて作成され、内部通報受付画面W6での入力内容を格納する(
図7参照)。具体的には、内部通報受付データ616は、固有の内部通報IDと、受付日時(内部通報50の受信日時)と、従業員IDと、設問IDと、選択フィードバック選択肢と、内部通報の内容を示す内部通報内容データと、を格納する。
【0136】
内部通報通知データ618は、内部通報通知56(
図8参照)のデータであって、固有の通知IDと、通知日時と、宛先と、秘匿済内部通報内容データと、を格納する。秘匿済内部通報内容データは、当該通知の起源となった内部通報受付データ616の内部通報内容データのうち、通報者に関する情報や不開示情報に該当するべき内容を秘匿化したデータである。
【0137】
アンケート集計データ620は、1回分のアンケートに係る全ての分散アンケートが完了する毎に作成される、1回分のアンケートに係る全ての分散アンケートの全ての回答を対象とした集計結果と、集計結果に基づく評価結果等のデータを格納する。例えば、アンケート集計データ620は、実施期間と、職場別ESG項目別集計データ、ESG大分類評価、ESG全体評価、などを格納する。
【0138】
事業別企業グループ評価マップデータ640は、事業別企業グループ評価マップ82(
図12参照)を示すデータである。
【0139】
図14に戻って、アンケート実施制御データ700は、従業員端末1500でアンケートを実施する毎に作成され、アンケートの最新の進行状態を記述する各種データを格納する。
【0140】
企業間比較用データ702は、1つの企業について1回分のアンケートに係る全ての分散アンケートが完了する毎に作成・更新され、当該1回分のアンケートに係り企業間の彼我比較を行うための各種データを格納する。企業間比較用データ702は、例えば、実施期間、ESG大分類評価平均、ESG全体評価平均、などを格納する。また、企業間比較用データ702には、全企業の平均データを示すESG大分類評価平均およびESG全体評価平均や、業種別の企業群の平均データを示すESG大分類評価平均およびESG全体評価平均を含めることができる。勿論、彼我比較する内容に応じて格納するデータの種類・内容はこれに限らず、適宜設定できる。
【0141】
結果表示制御データ704は、従業員端末1500にて、アンケートの集計結果および集計結果に基づく評価の出力表示をする毎に作成され、表示制御に係る各種データを格納する。すなわち、自社単独画面W10(
図10参照)、彼我比較画面W12(
図11参照)、評価マップ画面W14(
図12参照)を表示させるための各種制御データを一時的に格納する。
【0142】
図18は、従業員端末1500の機能構成例を示す機能ブロック図である。
従業員端末1500は、操作入力部100と、端末処理部200と、音出力部390と、画像表示部392と、通信部394と、端末記憶部500と、を備える。
【0143】
操作入力部100は、ユーザによってなされた各種の操作入力に応じた操作入力信号を端末処理部200に出力する。例えば、プッシュスイッチや、ジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、加速度センサ、ジャイロ、CCDモジュール、などによって実現できる。
図1の例では、タッチパネル1506がこれに該当する。
【0144】
端末処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100や端末記憶部500を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号、サーバシステム1100から受信した各種データに基づいて各種の演算処理を実行して、従業員端末1500の動作を制御する。
図1の例では、制御基板1550がこれに該当する。
【0145】
そして、端末処理部200は、クライアント制御部260と、計時部280と、音生成部290と、画像生成部292と、通信制御部294と、を有する。
【0146】
クライアント制御部260は、クライアント・サーバシステムにおけるクライアントとしての制御を行う。クライアント制御部260は、操作入力情報提供部261と、表示制御部262と、を有する。
【0147】
操作入力情報提供部261は、操作入力部100より入力された操作入力信号に応じて操作入力情報を生成し、サーバシステム1100へ送信する制御を行う。
【0148】
表示制御部262は、サーバシステム1100から受信した各種データや、操作入力部100から入力された操作入力信号に基づいて、従業員端末1500で各種の画面を表示させるための各種制御を行う。
【0149】
計時部280は、システムクロックを利用して現在日時や制限時間等の計時を行う。
【0150】
音生成部290は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、音声合成ICなどのプロセッサ、音声ファイルを再生可能なオーディオコーデック等によって実現され、楽曲や効果音、各種操作音の音信号を生成し、音出力部390に出力する。
【0151】
音出力部390は、音生成部290から入力される音信号に基づいて音出力(放音)する装置によって実現される。
【0152】
画像生成部292は、クライアント制御部260の制御に基づいて各種の画像を生成する。そして、それらを表示させるための画像信号を画像表示部392に出力する。
図1の例では、制御基板1550に搭載されるGPU(Graphics Processing Unit)や、グラフィックコントローラがこれに該当する。
【0153】
画像表示部392は、フラットパネルディスプレイなどの画像を表示させる装置で実現される。
図1の例では、タッチパネル1506がこれに該当する。
【0154】
通信制御部294は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部394を介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0155】
通信部394は、ネットワーク9と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。
図1の例では通信モジュール1553がこれに該当する。
【0156】
端末記憶部500は、端末処理部200に所与の機能を実現させるためのプログラムや、各種データ等を記憶する。また、端末処理部200の作業領域として用いられ、端末処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。こうした機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。
図1の例では、制御基板1550が搭載するICメモリ1552がこれに該当する。オンラインストレージを利用する構成も可能である。
【0157】
そして、端末記憶部500は、端末処理部200をクライアント制御部260として機能させるためのクライアントプログラム502(アプリケーションプログラム)と、現在日時900と、を記憶する。勿論、これら以外のデータも適宜記憶できる。
【0158】
次に、支援システム1000の動作について説明する。
図19は、サーバシステム1100が実行するアンケート実施処理の流れを説明するためのフローチャートであって、クライアントプログラム502が実行されている1台の従業員端末1500が、従業員IDでログインしている状態(通信可能状態)にあって、当該端末を使用する従業員を対象として分散アンケートを実施する処理の流れである。当該処理の流れは、サーバシステム1100がサーバプログラム501を実行することにより実現される。
【0159】
サーバシステム1100は、通信接続している従業員端末1500に関し、分散実施期間中に有って未回答の分散アンケートの有無を判定する(ステップS10)。
【0160】
具体的には、サーバシステム1100は、従業員端末1500でログインしている従業員の従業員IDが従業員登録データ547(
図16参照)に登録されている企業の分散実施スケジュールデータ575を読み出す。現在日時900が分散実施スケジュールデータ575の分散実施期間に該当している場合、分散実施スケジュールデータ575に基づいて、該当する分散実施期間における何番目の分散アンケートを実施するべきかが分かる。
【0161】
そして、サーバシステム1100は、アンケート回答データ610(
図17参照)の中から、ログインしている従業員の回答データであって、回答日時が該当する分散実施期間に含まれるアンケート回答データ610を検索する。サーバシステム1100は、該当するアンケート回答データ610があれば、ログインしている従業員は、実施されるべき分散アンケートには既に回答済みであり未回答の分散アンケートは無いと判定する。該当がなければ実施すべき未回答の分散アンケートが有ると判定する。
【0162】
未回答の分散アンケートがあれば(ステップS10のYES)、アンケート定義データ510(
図15参照)を読み込んで(ステップS12)、当該分散アンケートに割り振られている設問毎にループAを実行する(ステップS20からステップS58)。すなわち、未回答の分散アンケートを実施するとともに、アンケートへの回答の流れで質問意見の投稿および内部通報を受け付ける。
【0163】
ループAにおいて、サーバシステム1100は、回答画面W2を表示させてループAの処理対象設問を提示して回答を受け付ける(ステップS22)。受け付けた回答は、アンケート回答データ610として保存される(
図17参照)。
【0164】
回答画面W2において質問意見操作アイコン16への操作入力が検出されたならば、サーバシステム1100は質問意見の投稿開始操作があったとみなし(ステップS24のYES)、質問意見投稿画面W4(
図5参照)を表示させて、フィードバック選択肢の選択、質問意見の内容、実名匿名の選択、をそれぞれ受け付ける(ステップS26)。受け付けた内容は、フィードバック受付データ612(
図17参照)として保存される。
【0165】
そして、サーバシステム1100は、投稿実行操作アイコン29への操作が検出されると、投稿の実行承認が得られたとみなして(ステップS28の承認)、質問・意見という形のフィードバック30の受け付けとフィードバック通知36を実行する(ステップS30;
図6参照)。具体的には、投稿者の企業のフィードバック用連絡先設定データ560(
図16参照)を参照して、今回のフィードバック30の選択フィードバック選択肢に対応するフィードバック用連絡先情報34へフィードバック通知36を送信する。
【0166】
サーバシステム1100は、回答画面W2において内部通報操作アイコン18への操作が検出されると、内部通報の開始操作が有ったとみなして(ステップS50のYES)、内部通報受付画面W6(
図7参照)を表示させて、内部通報選択肢の選択、通報内容の入力を受け付ける(ステップS52)。受け付けた内容は、内部通報受付データ616として保存される(
図17参照)。
【0167】
そして、サーバシステム1100は、通報実行操作アイコン49への操作が検出されると、内部通報の実行承認が得られたとみなして(ステップS54の承認)、今回の内部通報に係る選択内部通報選択肢(内部通報選択肢表示42で選択された内部通報選択肢)に対応する連絡先へ内部通報通知56を送信する(ステップS56)。
【0168】
具体的には、通報者の企業の内部通報用連絡先設定データ562(
図16参照)を参照して、今回の内部通報に係る選択内部通報選択肢(内部通報選択肢表示42で選択された内部通報選択肢)に対応する内部通報用連絡先情報54の示す宛先へ内部通報通知56を送信する(
図8参照)。
【0169】
実施すべき分散アンケートに振り分けられている設問全てについてループAを実行したならば(ステップS58)、アンケート実施処理を終了する。
【0170】
図20は、アンケート集計処理の流れを説明するためのフローチャートである。
サーバシステム1100は、所与のタイミングでアンケート集計処理を実行する。例えば、1日に1回所定時刻に実行を開始するとしてもよいし、アンケート実施処理を終了する毎に実行してもよい。
【0171】
サーバシステム1100は、企業別にループBを実行する(ステップS80からステップS90)。ループBでは、処理対象企業の分散実施スケジュールデータ575と現在日時900とを参照して、全ての分散アンケートの実施が終了したかを判定する(ステップS82)。最後の分散実施期間が終了していれば、これを肯定と判定し(ステップS82のYES)、サーバシステム1100は、関連する全ての分散アンケートのアンケート回答データ610に基づいてアンケートの集計を行う(ステップS84)。
【0172】
次いで、サーバシステム1100は、集計結果に基づいて、職場別ESG分類項目別評価、ESG大分類評価、ESG全体評価、などの各種評価を判定し(ステップS86)、処理対象企業を自社とする事業別企業グループ評価マップデータ640を更新して(ステップS88)、ループBを終了する(ステップS90)。
【0173】
全ての企業についてループBを実行したならば、サーバシステム1100はアンケート集計処理を終了する。
【0174】
図21は、サーバシステム1100が実行する結果表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。同処理は、サーバシステム1100が、集計結果表示操作が検出された従業員端末1500を対象にして実行する。
【0175】
同処理において、サーバシステム1100は、操作メニューを提示する(ステップS100)。
そして、自社単独表示操作が検出された場合(ステップS102のYES)、サーバシステム1100は、自社単独画面W10(
図10参照)を開始する(ステップS104)。これ以降、自社単独画面W10を表示させている間、実施別ページ60や、分類項目別ページ63、職場別結果表示66における表示切り換え操作に応じた表示の変更制御も行われる。
【0176】
彼我比較表示操作が検出された場合(ステップS106のYES)、サーバシステム1100は、彼我比較画面W12(
図11参照)を開始する(ステップS108)。これ以降、彼我比較画面W12を表示させている間、実施別ページ70や、分類項目別比較表示ページ75の表示切り換え操作に応じた表示の変更制御も行われる。
【0177】
評価マップ表示操作が検出された場合(ステップS110のYES)、サーバシステム1100は、評価マップ画面W14(
図12参照)を開始する(ステップS112)。これ以降、評価マップ画面W14を表示させている間、実施別ページ80の表示切り換え操作に応じた表示の変更制御も行われる。
【0178】
所定の集計結果表示の終了操作が検出されると(ステップS114のYES)、サーバシステム1100は結果表示処理を終了する。
【0179】
以上、本実施形態によれば、企業のESGに係る複数の取り組みを統合的に連携して運用して、企業のESG全般に係る価値を効率的に向上させ得る技術を提供することができる。
【0180】
〔第2実施形態〕
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。なお、以降では主に第1実施形態との差異について述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同じ符号を付与して説明を省略する。基本構成は第1実施形態と同じだが一部が異なる構成要素については、符号の末尾に大文字のアルファベットを付けて識別している。
【0181】
図22は、第2実施形態におけるサーバシステム1100Bの機能構成例を示す図である。サーバシステム1100Bのサーバ処理部200sの機能構成は、基本的に第1実施形態と同様であるが、サーバシステム1100Bは、アンケート実施制御部210と結果表示制御部224とを有していない。
【0182】
サーバシステム1100Bのサーバ記憶部500sは、サーバプログラム501Bと、配信用サーベイプログラム505と、アンケート定義データ510と、企業登録データ540と、現在日時900と、を記憶する。配信用サーベイプログラム505は、本実施形態における従業員端末1500Bへ配信・提供されるアプリケーションプログラムのオリジナルである。
【0183】
第1実施形態と比較すると、サーバ記憶部500sから、アンケート実施制御データ700と、結果表示制御データ704とが省略されている。
【0184】
図23は、第2実施形態における従業員端末1500Bの機能構成例を示す図である。
従業員端末1500Bの端末処理部200は、第1実施形態のアンケート実施制御部210に相当するアンケート実施制御部210Bと、第1実施形態の結果表示制御部224に相当する結果表示制御部224Bとを有する。
【0185】
従業員端末1500Bの端末記憶部500は、配信用サーベイプログラム505をダウンロードしたサーベイプログラム504Bと、サーバシステム1100Bから取得したアンケート定義データ510Bと、アンケート実施制御データ700と、結果表示制御データ704と、現在日時900とを記憶する。
【0186】
本実施形態における支援システム1000の動作は、基本的には第1実施形態の支援システム1000と同様である。但し、本実施形態では従業員端末1500Bがアンケート実施制御部210Bを有しており、
図19のフローチャートにおける各処理を従業員端末1500Bが実行主体となって実行する。従って、
図19のフローチャートの実行主体を、従業員端末1500Bと読み替えることで、本実施形態におけるアンケート実施の動作となる。なお、処理の内容によって、従業員端末1500Bが企業登録データ540を参照する必要がある場合には、従業員端末1500Bはサーバシステム1100Bへデータの提供をリクエストし、サーバシステム1100Bはこれに応えるものとする。
【0187】
また、本実施形態では従業員端末1500Bが結果表示制御部224Bを有しており、
図22のフローチャートにおける各処理を従業員端末1500Bが実行主体となって実行する。従って、
図22のフローチャートの実行主体を、従業員端末1500Bと読み替えることで、本実施形態における結果表示の動作となる。なお、処理の内容によって、従業員端末1500Bが企業登録データ540や企業間比較用データ702を参照する必要がある場合には、従業員端末1500Bはサーバシステム1100Bへデータの提供をリクエストし、サーバシステム1100Bはこれに応えるものとする。
【0188】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0189】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態の例について説明したが、本発明を適用可能な形態は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0190】
(変形例その1)
例えば、アンケートへの回答の流れから質問意見の投稿および内部通報が可能な例を説明したが、質問意見の投稿、内部通報の何れかを省略した構成も可能である。また、上記実施形態に加えて、質問意見の投稿と内部通報は、それぞれ従業員端末1500にて所定の開始操作を入力することでアンケートの実施とは連携せずに単独でも実行できるようにしてもよい。
【0191】
(変形例その2)
また例えば、アンケートの集計結果や、集計結果に基づく評価結果の表示形態は上記の例に限らず適宜設定できる。例えば、自社単独表示に係るアンケート実施期間別の比較表示として、
図24に示すようなESG全体評価やESG大分類評価についてのアンケート実施期間別表示90、
図25に示すようなESG分類項目別のアンケート実施期間別表示91、などを表示させてもよい。
【符号の説明】
【0192】
4…設問
6…ESG大分類
7…評価マーク
8…ESG分類項目
14…回答選択肢表示
16…質問意見操作アイコン
18…内部通報操作アイコン
22…フィードバック選択肢表示
32…フィードバック選択肢
34…フィードバック用連絡先情報
36…フィードバック通知
42…内部通報選択肢表示
50…内部通報
52…内部通報選択肢
54…内部通報用連絡先情報
56…内部通報通知
61…ESG全体評価表示
62…ESG大分類評価表示
71…全体評価比較表示
73…ESG大分類評価比較表示
82…事業別企業グループ評価マップ
200s…サーバ処理部
202…企業登録管理部
210…アンケート実施制御部
212…評価マップ作成制御部
214…フィードバック受付制御部
216…フィードバック通知制御部
218…内部通報受付制御部
220…内部通報通知制御部
222…アンケート集計部
224…結果表示制御部
500s…サーバ記憶部
501…サーバプログラム
510…アンケート定義データ
513…設問定義データ
519…分散実施順番
523…設問文
525…回答選択肢定義データ
540…企業登録データ
543…企業間関連登録データ
547…従業員登録データ
560…フィードバック用連絡先設定データ
562…内部通報用連絡先設定データ
570…スケジュールデータ
575…分散実施スケジュールデータ
610…アンケート回答データ
612…フィードバック受付データ
614…フィードバック通知データ
616…内部通報受付データ
618…内部通報通知データ
620…アンケート集計データ
624…ESG分類項目別評価
624b…ESG大分類評価
625…ESG全体評価
640…事業別企業グループ評価マップデータ
700…アンケート実施制御データ
704…結果表示制御データ
1000…支援システム
1100…サーバシステム
1500…従業員端末
W2…回答画面
W4…質問意見投稿画面
W6…内部通報受付画面
W10…自社単独画面
W12…彼我比較画面
W14…評価マップ画面