(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148783
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
A47J27/00 109B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056991
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】森川 亜美
(72)【発明者】
【氏名】梛木 隆
(72)【発明者】
【氏名】今村 泰
(72)【発明者】
【氏名】秋田 悠次
(72)【発明者】
【氏名】大川 侑亮
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓匡
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA31
4B055GB18
4B055GC31
4B055GD02
(57)【要約】
【課題】米の鍋への過剰な排出や、鍋及び蒸気排出経路のメンテナンスの際の鍋内の水の残存量を低減することができる炊飯器を提供する。
【解決手段】本開示に係る炊飯器は、鍋と、鍋を収容する収容領域を有する筐体と、鍋内に被収容物を供給する供給部と、鍋内に供給された被収容物の量を検知する検知部と、供給部を制御する制御部と、を備える。制御部は、鍋内の被収容物を炊飯する炊飯モードとは異なるモードであって被収容物を鍋内へ供給する供給モードが選択された場合に、供給部を制御して鍋内に被収容物を供給し、鍋内に供給された被収容物が予め設定された供給限界量に達したことが検知部によって検知されると、供給部を制御して鍋内への被収容物の供給を停止する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、
前記鍋を収容する収容領域を有する筐体と、
前記鍋内に被収容物を供給する供給部と、
前記鍋内に供給された前記被収容物の量を検知する検知部と、
前記供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記鍋内の前記被収容物を炊飯する炊飯モードとは異なるモードであって前記被収容物を前記鍋内へ供給する供給モードが選択された場合に、前記供給部を制御して前記鍋内に前記被収容物を供給し、前記鍋内に供給された前記被収容物が予め設定された供給限界量に達したことが前記検知部によって検知されると、前記供給部を制御して前記鍋内への前記被収容物の供給を停止する炊飯器。
【請求項2】
米を収容する米タンクを更に備え、
前記供給部は、前記米タンク内から前記鍋内に前記被収容物としての米を供給し、
前記検知部は、前記鍋内に供給された米の量を検知し、
前記供給モードは、前記米タンク内の全ての米の排出を目的とする排出モードであり、
前記制御部は、前記排出モードが選択された場合に、前記供給部を制御して前記米タンク内から前記鍋内に米を供給し、前記鍋内に供給された米が前記供給限界量に達したことが前記検知部によって検知されると、前記供給部を制御して前記米タンク内から前記鍋内への米の供給を停止する請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記供給限界量は、前記炊飯器において炊飯可能な米の最大量として設定されている量より多い請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記供給限界量は、前記鍋の容積に対応する米の量以下である請求項2または3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記筐体に設けられ、前記鍋内と連通された蒸気排出経路と、
前記筐体の内部であって前記収容領域の下方に設けられ、前記収容領域に収容された前記鍋を加熱する加熱部と、を更に備え、
前記供給部は、前記鍋内に前記被収容物としての水を供給し、
前記検知部は、前記鍋内に供給された水の量を検知し、
前記供給モードは、前記鍋及び前記蒸気排出経路を蒸気によってメンテナンスするメンテナンスモードであり、
前記制御部は、
前記メンテナンスモードが選択された場合に、前記供給部を制御して前記鍋内に水を供給する送水工程と、前記送水工程の実行後に前記加熱部を制御して前記鍋内の水を沸騰させる沸騰工程とを実行し、
前記メンテナンスモードが選択された場合の前記送水工程の実行中に、前記鍋内に供給された水が前記供給限界量に達したことが前記検知部によって検知されると、前記供給部を制御して前記鍋内への水の供給を停止する請求項1に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記制御部は、前記メンテナンスモードの前記送水工程において、前記鍋内に供給された水が前記供給限界量より少ない量に予め設定された供給下限量より少ない場合、前記沸騰工程を実行しない請求項5に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記鍋内が空であるか否かを検知する鍋内検知部を更に備え、
前記制御部は、前記メンテナンスモードが選択された場合に、前記鍋内検知部によって前記鍋内が空でないことが検知されると、前記送水工程及び前記沸騰工程を実行しない請求項5または6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記制御部は、
前記炊飯モードが選択された場合に、少なくとも前記加熱部を制御して前記鍋内の水を沸騰させる前記沸騰工程と、前記沸騰工程の実行後に前記鍋内の米を蒸らす蒸らし工程とを実行し、
前記メンテナンスモードが選択された場合に、前記蒸らし工程を実行しない請求項5から7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、米を収納する貯米部(米タンクとも称される。)と、貯米部内の米を鍋へ供給する米搬送部と、水を鍋へ供給する給水部と、鍋を加熱する加熱ユニットと、鍋で発生する蒸気を外部へ排出する蒸気筒(蒸気排出経路とも称される。)とを備える自動炊飯器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、米の鍋への過剰な排出や、鍋及び蒸気排出経路のメンテナンスの際の鍋内の水の残存を減らすことができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本開示は以下のように構成する。
本開示の一態様に係る炊飯器は、
鍋と、
前記鍋を収容する収容領域を有する筐体と、
前記鍋内に被収容物を供給する供給部と、
前記鍋内に供給された前記被収容物の量を検知する検知部と、
前記供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記鍋内の前記被収容物を炊飯する炊飯モードとは異なるモードであって前記被収容物を前記鍋内へ供給する供給モードが選択された場合に、前記供給部を制御して前記鍋内に前記被収容物を供給し、前記鍋内に供給された前記被収容物が予め設定された供給限界量に達したことが前記検知部によって検知されると、前記供給部を制御して前記鍋内への前記被収容物の供給を停止する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、米の鍋への過剰な排出や、鍋のメンテナンスの際の鍋内の水の残存を減らすことができる炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】
図4の断面図の一部を拡大し、連通部材が第1連通位置に位置する状態を示す拡大断面図。
【
図6】
図4の断面図の一部を拡大し、連通部材が第2連通位置に位置する状態を示す拡大断面図。
【
図8】炊飯器のハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図9】炊飯モードが選択されたときの炊飯器の動作を説明するためのフローチャート。
【
図10】排出モードが選択されたときの炊飯器の動作を説明するためのフローチャート。
【
図11】メンテナンスモードが選択されたときの炊飯器の動作を説明するためのフローチャート。
【
図12】本開示に係る実施の形態の変形例の炊飯器における
図1のA1-A1線に対応する断面を示す断面図。
【
図13】本開示に係る実施の形態の変形例の炊飯器の筐体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に至った経緯)
特許文献1に開示されたような自動炊飯器において、米タンク内の米を全て排出して米タンクを空にすることが求められる場合がある。例えば、米タンクの内面がユーザによって清掃されるとき、米タンクを空にすることが求められる。また、例えば、米タンク内の米が異なる銘柄の米に変えられるとき、米タンクを空にすることが求められる。
【0009】
米タンクを空にするための方法として、米タンク内の米を米搬送部を介して鍋内へ排出することが考えられる。ここで、通常、米タンクは米櫃と同様に複数回の炊飯に対応する量の米が収容されるのに対して、鍋は1回の炊飯に対応する量の米が収容される。よって、通常、米タンクの容積は鍋の容積より大きい。そのため、米タンク内の米の残存量が鍋に収容できる米の量よりも多い場合に、前記の米タンク内から鍋内への米の排出が実行されると、米が鍋から溢れるおそれがある。
【0010】
また、炊飯器では、鍋内に供給された水が沸騰したときに発生する蒸気によって、鍋及び蒸気排出経路に付着した米や糠等を取り除くメンテナンスが実行される場合がある。非自動の炊飯器でのメンテナンスでは、メーカーの指定量の水がユーザによって手動で鍋に供給される。その後、加熱ユニットによって鍋が加熱されることにより、鍋内の水が沸騰する。加熱ユニットの加熱時間は、指定量の水の全てが蒸気となる時間に設定される。
【0011】
しかし、ユーザが指定量ちょうどの水を鍋に入れるとは限らない。メンテナンス時に指定量より多い水が鍋に供給された場合、メンテナンスモードの実行終了後に鍋内に水が残存してしまう。
【0012】
そこで、本発明者らは、米の鍋への過剰な排出や、鍋及び蒸気排出経路のメンテナンスの際の鍋内の水の残存を低減することができる炊飯器の構成を見出し、本開示に至った。
【0013】
本開示の第1態様の炊飯器は、
鍋と、
前記鍋を収容する収容領域を有する筐体と、
前記鍋内に被収容物を供給する供給部と、
前記鍋内に供給された前記被収容物の量を検知する検知部と、
前記供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記鍋内の前記被収容物を炊飯する炊飯モードとは異なるモードであって前記被収容物を前記鍋内へ供給する供給モードが選択された場合に、前記供給部を制御して前記鍋内に前記被収容物を供給し、前記鍋内に供給された前記被収容物が予め設定された供給限界量に達したことが前記検知部によって検知されると、前記供給部を制御して前記鍋内への前記被収容物の供給を停止する。
【0014】
この構成によれば、供給モードが選択された場合に、鍋内に供給された被収容物が供給限界量に達すると鍋内への被収容物の供給が停止される。これにより、被収容物としての米の鍋への過剰な排出や、鍋のメンテナンスの際の鍋内の被収容物としての水の残存を減らすことができる。
【0015】
本開示の第2態様の炊飯器は、
米を収容する米タンクを更に備えていてもよく、
本開示の第2態様の炊飯器において、
前記供給部は、前記米タンク内から前記鍋内に前記被収容物としての米を供給してもよく、
前記検知部は、前記鍋内に供給された米の量を検知してもよく、
前記供給モードは、前記米タンク内の全ての米の排出を目的とする排出モードであってもよく、
前記制御部は、前記排出モードが選択された場合に、前記供給部を制御して前記米タンク内から前記鍋内に米を供給し、前記鍋内に供給された米が前記供給限界量に達したことが前記検知部によって検知されると、前記供給部を制御して前記米タンク内から前記鍋内への米の供給を停止してもよい。
【0016】
この構成によれば、排出モードが選択された場合に、鍋内に供給された米が供給限界量に達すると米タンク内から鍋内への米の供給が停止される。これにより、米タンク内の米の過剰な排出を減らすことができる。
【0017】
本開示の第3態様の炊飯器において、
前記供給限界量は、前記炊飯器において炊飯可能な米の最大量として設定されている量より多くてもよい。
【0018】
この構成によれば、排出モードが選択された場合に、米が炊飯される場合よりも多量の米を米タンク内から鍋内に供給することができる。
【0019】
本開示の第4態様の炊飯器において、
前記供給限界量は、前記鍋の容積に対応する米の量以下であってもよい。
【0020】
この構成によれば、排出モードが選択された場合に、最大で鍋内の全てが米で満たされるまで、米タンク内の米を鍋内に供給することができる。
【0021】
本開示の第5態様の炊飯器は、
前記筐体に設けられ、前記鍋内と連通された蒸気排出経路と、
前記筐体の内部であって前記収容領域の下方に設けられ、前記収容領域に収容された前記鍋を加熱する加熱部と、を更に備えていてもよく、
本開示の第5態様の炊飯器において、
前記供給部は、前記鍋内に水を供給してもよく、
前記検知部は、前記鍋内に供給された水の量を検知してもよく、
前記供給モードは、前記鍋及び前記蒸気排出経路を蒸気によってメンテナンスするメンテナンスモードであってもよく、
前記制御部は、
前記メンテナンスモードが選択された場合に、前記供給部を制御して前記鍋内に水を供給する送水工程と、前記送水工程の実行後に前記加熱部を制御して前記鍋内の水を沸騰させる沸騰工程とを実行してもよく、
前記メンテナンスモードが選択された場合の前記送水工程の実行中に、前記鍋内に供給された水が前記供給限界量に達したことが前記検知部によって検知されると、前記供給部を制御して前記鍋内への水の供給を停止してもよい。
【0022】
この構成によれば、メンテナンスモードが選択された場合の送水工程の実行中に、鍋内に供給された水が供給限界量に達すると鍋内への水の供給が停止される。これにより、鍋への過剰な水の供給が抑制されるため、鍋及び蒸気排出経路のメンテナンスの際の鍋内の水の残存量を減らすことができる。
【0023】
本開示の第6態様の炊飯器において、
前記制御部は、前記メンテナンスモードの前記送水工程において、前記鍋内に供給された水が前記供給限界量より少ない量に予め設定された供給下限量より少ない場合、前記沸騰工程を実行しなくてもよい。
【0024】
メンテナンスモードが選択された場合の沸騰工程の実行時に、鍋内の水の量が少ない場合、鍋内の水が無くなったにもかかわらず加熱が続行されるおそれがある。この構成によれば、メンテナンスモードの送水工程において、鍋内に供給された水が水供給下限量より少ない場合、沸騰工程は実行されない。そのため、沸騰工程において、鍋内の水が無くなったにもかかわらず加熱が続行される可能性を低くすることができる。
【0025】
本開示の第7態様の炊飯器は、
前記鍋内が空であるか否かを検知する鍋内検知部を更に備えていてもよく、
本開示の第7態様の炊飯器において、
前記制御部は、前記メンテナンスモードが選択された場合に、前記鍋内検知部によって前記鍋内が空でないことが検知されると、前記送水工程及び前記沸騰工程を実行しなくてもよい。
【0026】
メンテナンスモードの沸騰工程時に、鍋内に米があると、沸騰した蒸気中に米や糠が含まれてしまい、鍋や蒸気排出経路から米や糠を取り除くことができないばかりか、鍋や蒸気排出経路に米や糠が付着してしまうおそれがある。この構成によれば、メンテナンスモードが選択された場合に、鍋内検知部によって鍋内が空でないことが検知されると、送水工程及び沸騰工程が実行されない。言い換えると、メンテナンスモードが選択された場合に、鍋内が空である場合にのみ、送水工程及び前記沸騰工程が実行される。これにより、鍋内に米がある状態でメンテナンスモードが実行されることを回避することができる。
【0027】
本開示の第8態様の炊飯器において、
前記制御部は、
前記炊飯モードが選択された場合に、少なくとも前記加熱部を制御して前記鍋内の水を沸騰させる前記沸騰工程と、前記沸騰工程の実行後に前記鍋内の米を蒸らす蒸らし工程とを実行してもよく、
前記メンテナンスモードが選択された場合に、前記蒸らし工程を実行しなくてもよい。
【0028】
メンテナンスモードが選択された場合、鍋内には水のみが供給され、供給された水が沸騰されればよく、その他の工程は不要である。この構成によれば、メンテナンスモードが選択された場合、送水工程及び沸騰工程が実行される一方で、炊飯モードにおいて実行される蒸らし工程は実行されない。つまり、メンテナンスモードと炊飯モードとは明確に区別されており、メンテナンスモードにおいて、必要最小限の工程のみを実行することができる。
【0029】
(実施の形態)
[炊飯器]
本開示に係る実施の形態の炊飯器について説明する。
図1は、本開示に係る実施の形態の炊飯器の斜視図である。この実施の形態の炊飯器1は、米及び水の鍋内への供給から炊飯まで自動的に行うことができる、いわゆる全自動炊飯器である。
【0030】
図1に示すように、炊飯器1は、筐体11と、米タンク301と、鍋2(
図2に示す)と、鍋容器21と、蓋体22とを備えている。
【0031】
筐体11は、平面視において、矩形形状の1辺が半円の円弧状に曲げられたような形状である。
【0032】
この実施の形態において、筐体11の曲面側が前方であり、筐体11の曲面とは反対側が後方であり、前方及び後方に向かう方向が前後方向Yである。
【0033】
この実施の形態において、筐体11及び米タンク301のうち米タンク301が設けられている側が上方であり、筐体11及び米タンク301のうち筐体11が設けられている側が下方であり、上方及び下方に向かう方向が上下方向Zである。
【0034】
この実施の形態において、前後方向Y及び上下方向Zと直交する方向が横方向Xである。炊飯器1を前方から見て、横方向Xの左右が規定される。例えば、水タンク401は、炊飯器1の右側に設けられている。
【0035】
横方向X、前後方向Y、及び上下方向Zは、互いに直交している。また、この実施の形態では、Z方向と直交する方向が、側方である。
【0036】
筐体11の前下部には、鍋容器21を収容可能な収容領域12が設けられている。鍋容器21は、スライド移動によって側方から収容領域12に収容可能である。
図1では、一例として、鍋容器21がスライド移動によって前方から収容領域12に収容される構成が示されている。
【0037】
筐体11の前面である湾曲面における収容領域12の上方には、後述する蒸気口53bが設けられている。
【0038】
筐体11の右下側部に、水タンク載置部11bが設けられている。水タンク載置部11bには、水タンク401が配置される。水タンク401は、水を収容する容器である。この実施の形態では、水タンク401の一例として、ペットボトルが配置されている。
【0039】
米タンク301は、米を収容する容器である。米タンク301は、筐体11の上方に設けられ、筐体11に支持されている。米タンク301の上端部には、米タンク301を覆う蓋11aが着脱可能に取り付けられている。
【0040】
なお、水タンク401は、米タンク301のように炊飯器1の一部を構成していてもよい。また、炊飯器1は、水タンク401と接続されていなくてもよい。この場合、例えば、炊飯器1は、水道と接続されて、水道から水を供給される。また、米タンク301は、水タンク401の一例のペットボトルのように、炊飯器1とは別に設けられていてもよい。
【0041】
収容領域12には、鍋容器21と、鍋容器21に取り出し可能に収容される鍋2(
図2参照)と、鍋容器21に着脱可能に取り付けられている蓋体22とが収容されている。鍋容器21、鍋2、及び蓋体22は、収容領域12に収容可能であると共に、収容領域12から取り外し可能である。鍋容器21は、鍋2が収容され且つ蓋体22が取り付けられた状態で、スライド移動によって前方から後方へ向けて収容領域12に収容され、後方から前方へ向けて収容領域12から引き出される。言い換えると、鍋2、鍋容器21、及び蓋体22は、収容領域12と筐体11の外部との間を、前後方向Yに沿ってスライド移動することによって、筐体11に対して着脱可能である。
【0042】
【0043】
図2に示すように、鍋2は、有底筒状の形状である。鍋2は、底部2aと、底部2aから上方へ延びた側壁2bと、側壁2bの上端部によって形成される開口部2cと、フランジ部2dを有する。フランジ部2dは、側壁2bの上端部の周方向の全周に亘って、側壁2bの上端部から鍋2の外側に向かって延在している。鍋2は、金属で形成されている。
【0044】
鍋容器21は、鍋2を収容可能な有底筒状の形状である。鍋容器21は、底部21aと、底部21aから上方へ延びた側壁211と、側壁211の上端部によって形成される上側開口部21hとを有する。鍋容器21は、例えば、樹脂で形成されている。
【0045】
側壁211は、内壁部21bと、リブ21cと、外壁部21dとを有する。内壁部21bの外周面には、上下方向Zに沿った複数のリブ21cが設けられている。外壁部21dは、内壁部21bの外周面と互いに対向している。外壁部21dと内壁部21bとの間に、複数のリブ21cが位置している。内壁部21bと外壁部21dとの間には、空気層21eが形成されている。
【0046】
鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋容器21の内壁部21bと鍋2の側壁2bとの間、及び、鍋容器21の底部21aと鍋2の底部2aとの間には、隙間が生じる。そのため、鍋容器21と鍋2との間に隙間が無い場合と比べて、鍋2から鍋容器21に伝わる熱が抑えられる。
【0047】
鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋容器21の内壁部21bの上端部には、鍋2のフランジ部2dが載置されている。これにより、鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋2は、鍋容器21によって支持されている。
【0048】
鍋容器21の底部21aの中央部には、底部21aを上下方向に貫通している貫通穴(不図示)が設けられている。
【0049】
【0050】
図3に示すように、収容領域12の底部には、凸部61が設けられている。収容領域12に収容された鍋容器21は、凸部61に支持される。
【0051】
図1及び
図2に示すように、蓋体22は、鍋容器21の上側開口部21hを覆う。
図2に示すように、蓋体22は、蓋体本体22aと、穴部22bと、鍋パッキン22cと、取り付け部材22dとを備える。
【0052】
この実施の形態において、蓋体本体22aは、リング状の平板部分と、当該平板部分の外縁から下方へ突出した円筒状部分とを有する。穴部22bは、蓋体本体22aの平板部分の中央部に形成されている。後述する米供給部3により送米される米及び後述する水供給部4により送水される水が鍋2内に供給される際に、当該米及び当該水は、穴部22bを通る。
【0053】
鍋パッキン22cは、蓋体22が鍋2の開口部を覆うように鍋容器21に着脱可能に取り付けられているとき、鍋2と接触するように設けられている。取り付け部材22dは、鍋パッキン22cを間に挟み込むようにして蓋体本体22aに取り付けられている。
【0054】
図4は、
図1のA1-A1線の断面を示す断面図である。
図5は、
図4の断面図の一部を拡大し、連通部材が第1連通位置に位置する状態を示す拡大断面図である。
図6は、
図4の断面図の一部を拡大し、連通部材が第2連通位置に位置する状態を示す拡大断面図である。
図7は、筐体の平面図である。なお、
図7には、後述する連通部材5が第2連通部材の位置するときの筐体11が示されている。
図8は、炊飯器のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【0055】
図4~
図7に示すように、炊飯器1は、米供給部3と、水供給部4と、連通部材5と、重量検知部6と、加熱部7と、温度検知部8と、制御部91とを有する。また、
図8に示すように、炊飯器1は、記憶部92と、報知部93とを有する。
【0056】
図4に示すように、米供給部3は、筐体11内の米移送空間302に配置されている。米移送空間302は、米タンク301の下方且つ収容領域12の上方に形成されている。米移送空間302の後端部は、不図示の貫通孔を介して、米タンク301の底面と連通している。米移送空間302の前端部は、筒部303と連通している。筒部303は、米移送空間302から下方へ延びており、収容領域12に収容された蓋体22の穴部22bに向けて開口している。
【0057】
米供給部3は、送米軸31と、送米羽根32とを有する。送米軸31は、米移送空間302内を前後方向Yに沿って延びている。送米羽根32は、送米軸31の軸周りに螺旋状に形成されている。
【0058】
米タンク301に収容されている米は、重力により貫通孔を介して米移送空間302に落下する。米移送空間302内の米は、例えば、モータなどで回転される送米軸31及び送米羽根32により前方へ送米される。収容領域12に鍋容器21が収容されているとき、収容領域12の上方に送米された米は、重力により筒部303に落下する。筒部303から更に落下した米は、蓋体22の穴部22bを通じて、鍋容器21に収容された鍋2内に入る。以上のようにして、米供給部3は、米タンク301内の米を収容領域12にある鍋2内に供給する。
【0059】
図7に示すように、水供給部4は、筐体11の内部に配置されている。水供給部4は、送水管41と、送水ポンプ42とを有する。
【0060】
送水管41は、一端部41a及び他端部41bを有する。一端部41aは、
図4に示すように、収容領域12に収容された蓋体22の穴部22bに向けて開口している。この実施の形態において、他端部41bは、
図7に示すように、筐体11の背面において、取水部材402と互いに連通可能に接続されている。取水部材402は、水タンク載置部11bに載置されている水タンク401の内部から水を取水する管状の部材である。
【0061】
取水部材402は、水や気体等の流体が流通可能な取水管402aと、水タンク401の開口部に着脱可能に取り付けられるキャップ部402bとを備える。取水管402aの一端部は、キャップ部402bに接続され、キャップ部402bを介して水タンクの内部と連通している。取水管402aの他端部は、送水管41の一端部41aに接続されている。
【0062】
送水管41には、送水ポンプ42が設けられている。送水ポンプ42は、例えば、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプ、ピストン型ポンプなどの容積ポンプである。この実施の形態において、送水ポンプ42は、2本の送水管41を連結するように取り付けられている。送水ポンプ42が駆動されると、水タンク401内の水は、取水管402aを通って送水管41へ吸い上げられ、送水管41の他端部41bから一端部41aへ流通する。一端部41aへ流通した水は、
図4に示すように、収容領域12に収容された蓋体22の穴部22bを通って、鍋容器21に収容された鍋2内に供給される。以上のようにして、水供給部4は、水タンク401内の米を収容領域12にある鍋2内に供給する。
【0063】
図4に示すように、連通部材5は、筐体11内に配置されており、連通部材本体51と、シール材52と、蒸気筒53とを有する。蒸気筒53は、蒸気排出経路の一例である。連通部材5は、
図5に示す第1連通位置と、
図6に示す第2連通位置とに移動可能に配置されている。
【0064】
図5に示すように、連通部材5が第1連通位置のとき、シール材52が蓋体22の穴部22bを塞いでいる。ここで、シール材52には、蒸気筒53が取り付けられている。これにより、連通部材5が第1連通位置のとき、蓋体22の穴部22bと蒸気筒53との間を蒸気が流通可能である。つまり、蒸気筒53は、鍋2内と連通されている。一方、連通部材5が第1連通位置のとき、蓋体22の穴部22bと米供給部3(筒部303)及び水供給部4(送水管41)との間は、シール材52によって塞がれている。そのため、蓋体22の穴部22bと米供給部3(筒部303)及び水供給部4(送水管41)との間において、米や水等の流体は流通不可能である。
【0065】
図6に示すように、連通部材5が第2連通位置のとき、シール材52が蓋体22の穴部22bから退避している。これにより、連通部材5が第2連通位置のとき、蓋体22の穴部22bと米供給部3及び水供給部4との間を米や水等の流体が流通可能である。一方、連通部材5が第2連通位置のとき、蓋体22の穴部22bと蒸気筒53との間において、蒸気は流通不可能である。
【0066】
図4に示すように、蒸気筒53の一端部53aは、シール材52に取り付けられている。蒸気筒53の他端部は、筐体11の前面に形成された蒸気口53bに連通している。これにより、連通部材5が第1連通位置に位置するとき、鍋2内の蒸気は、蓋体22の穴部22b及び蒸気筒53を介して筐体11の外部へ排出される。
【0067】
重量検知部6は、収容領域12の下方の筐体11内に設けられている。重量検知部6は、凸部61を支持している。凸部61は、収容領域12の底部を構成している。収容領域12に収容された鍋容器21が凸部61に載置される。鍋容器21の自重が凸部61を介して重量検知部6に作用する。これにより、重量検知部6は、収容領域12に収容されている物の重量を検知する。
【0068】
例えば、鍋容器21に鍋2が収容され且つ鍋容器21に蓋体22が取り付けられている場合、重量検知部6は、鍋容器21、鍋2、及び蓋体22の合計重量を検知する。この場合、収容領域12に収容されている物は、鍋容器21、鍋2、及び蓋体22である。また、例えば、鍋容器21に鍋2が収容される一方で鍋容器21に蓋体22が取り付けられていない場合、重量検知部6は、鍋容器21及び鍋2の合計重量を検知する。この場合、収容領域12に収容されている物は、鍋容器21及び鍋2である。また、例えば、鍋容器21に鍋2が収容され、鍋2に米及び水が収容され、且つ鍋容器21に蓋体22が取り付けられている場合、重量検知部6は、鍋容器21、鍋2、鍋2内の米及び水、及び蓋体22の合計重量を検知する。この場合、収容領域12に収容されている物は、鍋容器21、鍋2、鍋2内の米、鍋2内の水、及び蓋体22である。
【0069】
加熱部7は、収容領域12に収容された鍋2を加熱する。加熱部7は、筐体11の内部で且つ収容領域12の下方に設けられている。収容領域12に鍋2が収容されている場合、加熱部7は、鍋2の底部2aに対向している。加熱部7は、例えば、通電されることにより、鍋2を誘導加熱する誘導加熱コイルである。
【0070】
図3に示すように、重量検知部6に支持された凸部61の中央部には、光を透過可能なガラスプレート61aが設けられている。
【0071】
図4に示すように、筐体11の内部で且つガラスプレート61aの下方には、温度検知部8が設けられている。この実施の形態において、温度検知部8は、赤外線センサである。赤外線センサは、鍋2の底部2aから放射される赤外線を、鍋容器21の底部21aの貫通穴及びガラスプレート61aを介して検知する。これにより、赤外線センサは、鍋2の底部2aの温度を測定する。なお、温度検知部8は、赤外線センサに限らない。例えば、鍋2の底部2aに直接接触することで、鍋2の温度を検知する底センサであってもよい。
【0072】
制御部91は、筐体11の内部に設けられている。この実施の形態において、制御部91は、プリント基板に実装された電子部品として構成されている。制御部91は、炊飯器1の動作を制御する。
【0073】
この実施の形態において、炊飯器1の動作は、互いに異なるモードである炊飯モード、排出モード、及びメンテナンスモードを含む。制御部91は、選択されたモードの動作を実行する。モードの選択の指示は、例えば、炊飯器1の筐体11等に設けられたスイッチ及びタッチパネル等の入力部(不図示)を通じたユーザによる入力に応じて、入力部から制御部91へ送られる。また、例えば、モードの選択の指示は、スマートフォン及びパーソナルコンピュータ等の外部機器においてユーザによって選択されたモードが、外部機器から炊飯器1の制御部91へ送られてもよい。この場合、炊飯器1と外部機器とは、有線または無線により通信可能に構成されている。
【0074】
炊飯モードは、鍋2内の米を炊飯するモードである。炊飯モードにおいて、送米工程、送水工程、吸水工程と、沸騰工程と、及び蒸らし工程を含む炊飯工程が実行される。送米工程は、鍋2内に米を供給する工程である。送水工程は、鍋2内に水を供給する工程である。吸水工程は、鍋2内の温度を糊化温度以下(例えば55度)に保つように鍋2を加熱して、米に吸水させる工程である。沸騰工程は、鍋2内の水を沸騰させるように鍋2を加熱する工程である。蒸らし工程は、鍋2を加熱して鍋2内の米を蒸らす工程である。
【0075】
排出モードは、米タンク301内の米を鍋2内へ供給するモードである。排出モードは、米タンク301内の全ての米を排出して、米タンク301内を空にすることを目的とする。排出モードにおいて、送米工程が実行される。但し、後述するように、排出モードにおける米の供給量は、炊飯モードにおける米の供給量とは異なる。
【0076】
メンテナンスモードは、鍋2内及び蒸気筒53内をメンテナンスするモードである。炊飯モードが実行されるとき、鍋2内の水が沸騰することで蒸気が発生すると、鍋2内の米や糠等が、蒸気と共に鍋2内を上昇して蒸気筒53に進入する。これにより、鍋2の内面及び蒸気筒53の内面に、米や糠が付着する。メンテナンスモードは、鍋2の内面及び蒸気筒53の内面に付着した米や糠を除去して、鍋2及び蒸気筒53をメンテナンスすることを目的とする。メンテナンスモードにおいて、送水工程と、沸騰工程とが実行される。鍋2に米が含まれていない状態で鍋2内の水が沸騰され、蒸気が発生する。この蒸気によって、鍋2の内面及び蒸気筒53の内面に付着した米や糠が除去されて、鍋2及び蒸気筒53がメンテナンスされる。なお、メンテナンスモードでは、鍋2が加熱される吸水工程、沸騰工程、及び蒸らし工程のうちの沸騰工程のみが実行され、吸水工程及び蒸らし工程は実行されない。
【0077】
制御部91による各モードが選択されたときの各工程の動作は、後述される。
【0078】
制御部91は、例えば、
図8に示す記憶部92に記憶されたプログラムを読み込んで実行するプロセッサを備えている。
【0079】
制御部91は様々な態様で実現可能である。例えば、制御部91として、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するプロセッサが用いられてもよい。制御部91としてプロセッサを用いれば、制御部91は、プログラムを格納している記憶部92からプログラムを読み込んでこれを実行することで、各種処理を実行することができる。記憶部92に記憶されたプログラムを変更することで処理内容を変更できるので、制御内容の変更の自由度を高めることができる。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、及び、MPU(Micro-Processing Unit)を含む。また、制御部91としてプログラムの書き換えが不可能なワイヤードロジックが用いられてもよい。制御部91としてワイヤードロジックを用いることは、処理速度の向上に有効である。ワイヤードロジックとしては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等がある。また、制御部91は、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現されてもよい。制御部91を、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現すれば、ソフトウェア設計の自由度を高めつつ、処理速度を向上することができる。また、制御部91と、制御部91と別の機能を有する回路とを、1つの半導体素子で構成してもよい。別の機能を有する回路としては、例えば、A/D変換回路(analog to digital converter)、D/A変換回路(digital to analog converter)などがある。また、制御部91は、1つの半導体素子で構成されてもよいし、複数の半導体素子で構成されてもよい。複数の半導体素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を、互いに異なる半導体素子で実現してもよい。さらに、半導体素子と抵抗、コンデンサなどの受動部品とを含む構成によって制御部91が構成されてもよい。
【0080】
図8に示すように、制御部91は、送米工程において、米供給部3を制御する。この実施の形態では、制御部91は、不図示のモータを駆動することによって送米軸31を回転させる。これにより、米タンク301内の米が、収容領域12にある鍋2内に供給される。
【0081】
また、制御部91は、送水工程において、水供給部4を制御する。詳細には、制御部91は、送水ポンプ42を駆動する。これにより、水タンク401内の水が収容領域12にある鍋2内に供給される。
【0082】
また、制御部91は、連通部材5を制御する。この実施の形態では、制御部91は、不図示のモータを駆動することによって連通部材5を第1連通位置と第2連通位置とに移動させる。これにより、鍋2内と米供給部3及び水供給部4との連通と、鍋2内と蒸気筒53との連通とが、選択的に切り替えられる。
【0083】
また、制御部91は、加熱工程において、加熱部7を制御して収容領域12に収容されている鍋2を加熱する。これにより、鍋2と鍋2内の米及び水等の被調理物とが加熱される。制御部91は、記憶部92に記憶されている炊飯シーケンスに基づいて、加熱部7に制御信号を出力する。炊飯シーケンスは、炊飯工程中の各工程における通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等の予め決められている炊飯の手順である。
【0084】
また、制御部91は、収容領域12に収容されている物の重量の情報を、重量検知部6から取得する。また、制御部91は、鍋2の底部2aの温度情報を、温度検知部8から取得する。なお、鍋2の底部2aの温度は、鍋2内の温度と同じである。
【0085】
記憶部92は、炊飯器1の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを含む種々の情報を記録する記録媒体である。この実施の形態において、記憶部92は、プリント基板に実装された電子部品として構成されている。記憶部92は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)などの半導体メモリ装置、ハードディスク等の磁気記憶装置、その他の記憶デバイス単独で又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部92は、種々の情報を一時的に記憶する高速動作可能なSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリを含んでもよい。
【0086】
記憶部92には、空の鍋重量、米供給限界量、水供給限界量、及び供給下限量が記憶される。
【0087】
空の鍋重量は、米や水等が収容されていない空の鍋2と、鍋容器21と、蓋体22との合計重量である。つまり、空の鍋重量は、空の鍋2が収容領域12内にあるときに収容領域12にあるものの総重量である。
【0088】
米供給限界量は、排出モードにおいて米タンク301から鍋2内へ供給される米の最大量であり、予め設定された量である。例えば、米供給限界量は、炊飯器1において炊飯可能な米の最大量として設定されている量より多い量に設定される。つまり、この場合、米供給限界量は、炊飯モードのときには設定され得ない量に設定される。また、例えば、米供給限界量は、鍋2の容積に対応する米の量以下に設定される。鍋2の容積に対応する米の量は、鍋2の全ての内部空間が米で満たされたときの米の量である。この実施の形態では、米供給限界量は、鍋2の容積に対応する米の量より僅かに少ない量に設定されている。なお、米供給限界量は、炊飯器1において炊飯可能な米の最大量として設定されている量以下の量に設定されてもよい。
【0089】
水供給限界量は、メンテナンスモードにおいて水タンク401から鍋2内へ供給される水の最大量であり、予め設定された量である。例えば、水供給限界量は、後述する供給下限量以上の量に設定される。また、例えば、水供給限界量は、鍋2に水のみが入っている状態で、米を2合炊くときに鍋2に供給される水と同一の水面となる量に設定される。言い換えると、前記の例の水供給限界量は、米を2合炊くときに鍋2に供給される水の量に、2合の米と同体積の水の量を加算した量である。なお、水供給限界量は、前記の量に限らない。
【0090】
供給下限量は、メンテナンスモードにおいて水タンク401から鍋2内へ供給される水の最小量であり、予め設定された量である。例えば、供給下限量は、鍋2の内面及び蒸気筒53の内面に付着した米や糠を除去可能な最低限の量に設定される。
【0091】
報知部93は、炊飯器1のディスプレイ等で構成される。報知部93は、例えば、筐体11の前面における53bの上方に設けられる。報知部93は、制御部91によって制御され、制御部91から送られてきた情報を表示する。なお、報知部93は、情報を炊飯器1のユーザへ報知可能なものであればよく、ディスプレイに限らない。例えば、報知部93は、音声によって報知を行うスピーカであってもよい。
【0092】
以下、炊飯モードが選択されたときに制御部91の制御によって実行される炊飯器1の動作が、
図9を参照しつつ説明される。
図9は、炊飯モードが選択されたときの炊飯器1の動作を説明するためのフローチャートである。炊飯モードが選択されたとき、制御部91に制御によって炊飯工程が実行される。炊飯工程は、送米工程(S30)と、送水工程(S40)と、吸水工程(S60)と、沸騰工程(S70)と、蒸らし工程(S80)とを含む。炊飯器1のユーザによって炊飯モードが選択されると、炊飯指示の情報が、入力部及び外部機器等から制御部91へ送られる。
【0093】
制御部91は、炊飯指示の情報を入力部及び外部機器等から取得すると(S10:YES)、連通部材5を制御して第2連通位置に移動させる(S20)。これにより、米タンク301から鍋2内への米の供給が可能となり、水タンク401から鍋2内への水の供給が可能となる。
【0094】
次に、制御部91は、送米工程を実行する(S30)。送米工程において、制御部91は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な米の量を決定する。制御部91は、米供給部3を制御して、決定した量の米を米タンク301から鍋2内へ供給する。
【0095】
次に、制御部91は、送水工程を実行する(S40)。送水工程において、制御部91は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な水の量を決定する。制御部91は、水供給部4を制御して、決定した量の水を水タンク401から鍋2内へ供給する。
【0096】
次に、制御部91は、連通部材5を制御して第1連通位置に移動させる(S50)。これにより、以下で説明する吸水工程、沸騰工程、及び蒸らし工程において鍋2内において発生した蒸気が蒸気筒53へ流通可能となる。
【0097】
次に、制御部91は、吸水工程を実行する(S60)。吸水工程において、制御部91は、加熱部7を制御して鍋2を加熱する。このとき、制御部91は、鍋2内の温度を糊化温度以下(例えば55度)に保ち、米に吸水させる。制御部91は、鍋2内の温度を、温度検知部8から入力された情報に基づいて認識する。
【0098】
次に、制御部91は、沸騰工程を実行する(S70)。沸騰工程において、制御部91は、加熱部7を制御して吸水工程のときより強く鍋2を加熱し、鍋2内の温度を上昇させ、鍋2内の水を沸騰状態に移行させる。鍋2内の水が沸騰状態に移行すると、制御部91は、鍋2への加熱を弱くしてもよい。但し、加熱部7による加熱強度は、鍋2内の水の沸騰が維持される程度に保たれる。
【0099】
次に、制御部91は、蒸らし工程を実行する(S80)。蒸らし工程において、制御部91は、加熱部7を制御して鍋2を短時間加熱する。これにより、鍋2内の米が蒸らされると共に、鍋2を上方から覆う蓋体22の下面に付着している水滴が気化する。
【0100】
以下、排出モードが選択されたときに制御部91の制御によって実行される炊飯器1の動作が、
図10を参照しつつ説明される。
図10は、排出モードが選択されたときの炊飯器1の動作を説明するためのフローチャートである。排出モードが選択されたとき、制御部91の制御によって送米工程が実行される。炊飯器1のユーザによって排出モードが選択されると、排出指示の情報が入力部及び外部機器等から制御部91へ送られる。
【0101】
制御部91は、排出指示の情報を入力部及び外部機器等から取得すると(S210:YES)、連通部材5を制御して第2連通位置に移動させる(S220)。これにより、米タンク301から鍋2内への米の供給が可能となる。
【0102】
次に、制御部91は、米供給部3を制御して、米タンク301から鍋2内へ米を供給する送米工程を実行する(S230)。送米工程の実行中に、制御部91は、例えば常時または予め設定された一定時間毎に、米の供給量が記憶部92に記憶された米供給限界量に達したか否かを判定する(S240)。この実施の形態において、米の供給量は、例えば、送米工程の実行中に重量検知部6から取得した重量の情報と、送米工程の実行前に重量検知部6から取得した重量の情報との差によって算出される。
【0103】
米の供給量が米供給限界量に達していない場合(S240:NO)、制御部91は、米タンク301が空であるか否かを判定する(S250)。米タンク301から空であることは、例えば、米供給部3が駆動しているにもかかわらず、予め設定された時間以上の間、重量検知部6から取得した重量が変わらないことによって識別される。
【0104】
米タンク301が空でない場合(S250:NO)、米タンク301から鍋2内への米の供給が続行される(S230)。米タンク301が空である場合(S250:YES)、制御部91は、米供給部3を制御して、米タンク301から鍋2内への米の供給動作を停止する(S260)。これにより、排出モードの動作が終了する。
【0105】
ステップS240において、米の供給量が米供給限界量に達した場合(S240:YES)、制御部91は、米供給部3を制御して、米タンク301から鍋2内への米の供給を停止させる(S270)。また、制御部91は、報知部93を制御して、米の供給量が米供給限界量に達したこと、例えば鍋2が米で満たされているためにこれ以上の米の供給が不可能であることを報知させる(S280)。なお、制御部91は、米タンク301が空である場合(S250:YES)に米タンク301から鍋2内への米の供給動作を停止する(S260)場合に、報知部93を制御して、米タンク301が空になったことを報知させてもよい。
【0106】
排出モードが選択されたとき、排出モードは供給モードに相当し、米は被収容物に相当し、米供給部3は供給部に相当し、重量検知部6は検知部に相当し、米供給限界量は供給限界量に相当する。
【0107】
以下、メンテナンスモードが選択されたときに制御部91の制御によって実行される炊飯器1の動作が、
図11を参照しつつ説明される。
図11は、メンテナンスモードが選択されたときの炊飯器1の動作を説明するためのフローチャートである。メンテナンスモードが選択されたとき、制御部91の制御によって送水工程及び沸騰工程が実行される。一方、メンテナンスモードが選択されたとき、送米工程、吸水工程、及び蒸らし工程は実行されない。メンテナンスモードが炊飯器1のユーザによって選択されると、メンテナンス指示の情報が入力部及び外部機器等から制御部91へ送られる。
【0108】
制御部91は、メンテナンス指示の情報を入力部及び外部機器等から取得すると(S410:YES)、重量検知部6から取得した重量の情報が記憶部92に記憶された空の鍋重量の情報より大きいか否かを判定する(S420)。
【0109】
重量検知部6から取得した重量の情報が空の鍋重量の情報より大きい場合(S420:YES)、制御部91は、鍋2内に米等が収容されていると、つまり鍋2内が空ではないと判定する。この場合、制御部91は、ステップS430~S510の処理を実行しない。つまり、制御部91は、送水工程(S440)及び沸騰工程(S500)を実行しない。鍋2内が空ではないと判定した場合(S420:YES)、制御部91は、報知部93を制御して、鍋2内に米等の残存物があるために鍋2及び蒸気筒53のメンテナンスが実行されないことを報知させる(S520)。
【0110】
重量検知部6から取得した重量の情報が空の鍋重量の情報以下の場合(S420:NO)、制御部91は、鍋2内に米等が収容されていると、つまり鍋2内が空であると判定する。この場合、制御部91は、連通部材5を制御して第2連通位置に移動させる(S430)。これにより、水タンク401から鍋2内への水の供給が可能となる。以上より、重量検知部6は、鍋2内が空であるか否かを検知する鍋内検知部の一例である。
【0111】
次に、制御部91は、水供給部4を制御して、水タンク401から鍋2内へ米を供給する送水工程を実行する(S440)。送水工程の実行中に、制御部91は、ステップS450,S470,S480の判定を実行する。
【0112】
制御部91は、例えば常時または予め設定された一定時間毎に、水の供給量が記憶部92に記憶された水供給限界量に達したか否かを判定する(S450)。この実施の形態において、水の供給量は、例えば、送水工程の実行中に重量検知部6から取得した重量の情報と、送水工程の実行前に重量検知部6から取得した重量の情報との差によって算出される。また、例えば、水の供給量は、送水工程の実行中に重量検知部6から取得した重量の情報と、記憶部92に記憶された空の鍋重量の情報との差によって算出される。
【0113】
水の供給量が水供給限界量に達している場合(S450:YES)、制御部91は、水供給部4を制御して、水タンク401から鍋2内への水の供給を停止する(S460)。
【0114】
水の供給量が水供給限界量に達していない場合(S450:NO)、制御部91は、水タンク401が空であるか否かを判定する(S470)。水タンク401から空であることは、例えば、水供給部4が駆動しているにもかかわらず、予め設定された時間以上の間、重量検知部6から取得した重量が変わらないことによって識別される。
【0115】
水タンク401が空でない場合(S470:NO)、水タンク401から鍋2内への水の供給が続行される(S440)。
【0116】
水タンク401が空である場合(S470:YES)、制御部91は、水の供給量が記憶部92に記憶された供給下限量より少ないか否かを判定する(S480)。
【0117】
水の供給量が供給下限量より少ない場合(S480:YES)、制御部91は、鍋2内に供給された水の量が鍋2及び蒸気筒53のメンテナンスを適正に行うためには少なすぎると判定する。この場合、制御部91は、ステップS460,S490,S500,S510の処理を実行しない。つまり、制御部91は、沸騰工程(S500)を実行しない。また、この場合、制御部91は、報知部93を制御して、鍋2内に供給された水の量が鍋2及び蒸気筒53のメンテナンスを適正に行うためには少なすぎるために、沸騰工程が実行されないことを報知させる(S520)。
【0118】
水の供給量が供給下限量以上の場合(S480:NO)、水タンク401から鍋2内への水の供給が制御部91によって停止される(S460)。なお、ステップS480の実行前または実行中に、水タンク401から鍋2内への水の供給が停止されてもよい。
【0119】
水タンク401から鍋2内への水の供給が制御部91によって停止された後(S460)、制御部91は、連通部材5を制御して第1連通位置に移動させる(S490)。これにより、以下で説明する沸騰工程において鍋2内において発生した蒸気が蒸気筒53へ流通可能となる。
【0120】
次に、制御部91は、沸騰工程を実行する(S500)。沸騰工程において、制御部91は、加熱部7を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の温度を上昇させ、鍋2内の水を沸騰状態に移行させる。鍋2内の水が沸騰状態に移行すると、制御部91は、鍋2への加熱を弱くしてもよい。但し、加熱部7による加熱強度は、鍋2内の水の沸騰が維持される程度に保たれる。
【0121】
沸騰工程は、鍋2内の水が全て沸騰するまで実行される(S510:NO)。鍋2内の水が全て沸騰すると(S510:YES)、メンテナンスモードが終了する。なお、制御部91は、ステップS510が実行されてメンテナンスモードが終了する場合に、報知部93を制御して、メンテナンスモードが正常に終了することを報知させてもよい。
【0122】
例えば、鍋2内の水が全て沸騰したか否かは、以下のようにして判定される。沸騰工程において鍋2内の水供給限界量の水が全て蒸気となるまでの時間が記憶部92に予め記憶される。制御部91は、計時部(カウンタ)の沸騰工程開始時からのカウント値に基づいて、沸騰工程の実行時間を取得する。取得した実行時間が記憶部92に記憶された前記の時間に達すると、制御部91は、鍋2内の水が全て沸騰したと判定する。なお、計時部は、制御部91に内蔵されていてもよいし、制御部91とは別に設けられていてもよい。
【0123】
また、例えば、重量検知部6から取得した重量の情報と、記憶部92に記憶された空の鍋重量の情報との差が予め設定された閾値以下となった場合に、制御部91は、鍋2内の水が全て沸騰したと判定してもよい。閾値は、例えばゼロまたはゼロ近傍の値に設定される。
【0124】
メンテナンスモードが選択されたとき、メンテナンスモードは供給モードに相当し、水は被収容物に相当し、水供給部4は供給部に相当し、重量検知部6は検知部に相当し、水供給限界量は供給限界量に相当する。
【0125】
[効果]
この実施の形態の炊飯器1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0126】
炊飯器1は、鍋2と、鍋2を収容する収容領域12を有する筐体11と、鍋2内に被収容物(米、水)を供給する供給部(米供給部3、水供給部4)と、鍋2内に供給された被収容物(米、水)の量を検知する検知部(重量検知部6)と、供給部(米供給部3、水供給部4)を制御する制御部91と、を備え、
制御部91は、鍋2内の被収容物(米、水)を炊飯する炊飯モードとは異なるモードであって被収容物(米、水)を鍋2内へ供給する供給モードが選択された場合に、供給部(米供給部3、水供給部4)を制御して鍋2内に被収容物(米、水)を供給し、鍋2内に供給された被収容物(米、水)が予め設定された供給限界量(米供給限界量、水供給限界量)に達したことが検知部(重量検知部6)によって検知されると、供給部(米供給部3、水供給部4)を制御して鍋2内への被収容物(米、水)の供給を停止する。
【0127】
この実施の形態によれば、供給モードが選択された場合に、鍋2内に供給された被収容物(米、水)が供給限界量(米供給限界量、水供給限界量)に達すると鍋内への被収容物(米、水)の供給が停止される。これにより、被収容物(米、水)としての米の鍋2への過剰な排出や、鍋2のメンテナンスの際の鍋2内の被収容物(米、水)としての水の残存を減らすことができる。
【0128】
炊飯器1は、米を収容する米タンク301を更に備え、供給部(米供給部3)は、米タンク301内から鍋2内に被収容物(米、水)としての米を供給し、検知部(重量検知部6)は、鍋2内に供給された米の量を検知し、供給モードは、米タンク301内の全ての米の排出を目的とする排出モードであり、制御部91は、排出モードが選択された場合に、供給部(米供給部3)を制御して米タンク301内から鍋2内に米を供給し、鍋2内に供給された米が供給限界量(米供給限界量)に達したことが検知部(重量検知部6)によって検知されると、供給部(米供給部3)を制御して米タンク301内から鍋2内への米の供給を停止する。
【0129】
この実施の形態によれば、排出モードが選択された場合に、鍋2内に供給された米が供給限界量(米供給限界量)に達すると米タンク301内から鍋2内への米の供給が停止される。これにより、米タンク301内の米の過剰な排出を減らすことができる。
【0130】
供給限界量(米供給限界量)は、炊飯器1において炊飯可能な米の最大量として設定されている量より多い。
【0131】
この実施の形態によれば、排出モードが選択された場合に、米が炊飯される場合よりも多量の米を米タンク301内から鍋2内に供給することができる。
【0132】
供給限界量(米供給限界量)は、鍋2の容積に対応する米の量以下である。
【0133】
この実施の形態によれば、排出モードが選択された場合に、最大で鍋2内の全てが米で満たされるまで、米タンク301内の米を鍋2内に供給することができる。
【0134】
炊飯器1は、筐体11に設けられ、鍋2内と連通された蒸気排出経路(蒸気筒53)と、筐体11の内部であって収容領域12の下方に設けられ、収容領域12に収容された鍋2を加熱する加熱部7と、を更に備え、供給部(水供給部4)は、鍋2内に被収容物(米、水)としての水を供給し、検知部(重量検知部6)は、鍋2内に供給された水の量を検知し、供給モードは、鍋2及び蒸気排出経路(蒸気筒53)を蒸気によってメンテナンスするメンテナンスモードであり、制御部91は、メンテナンスモードが選択された場合に、供給部(水供給部4)を制御して鍋2内に水を供給する送水工程と、送水工程の実行後に加熱部7を制御して鍋2内の水を沸騰させる沸騰工程とを実行し、メンテナンスモードが選択された場合の送水工程の実行中に、鍋2内に供給された水が供給限界量(水供給限界量)に達したことが検知部(重量検知部6)によって検知されると、供給部(水供給部4)を制御して鍋2内への水の供給を停止する。
【0135】
この実施の形態によれば、メンテナンスモードが選択された場合の送水工程の実行中に、鍋2内に供給された水が供給限界量(水供給限界量)に達すると鍋2内への水の供給が停止される。これにより、鍋2への過剰な水の供給が抑制されるため、鍋2及び蒸気排出経路(蒸気筒53)のメンテナンスの際の鍋2内の水の残存量を減らすことができる。
【0136】
制御部91は、メンテナンスモードの送水工程において、鍋2内に供給された水が供給限界量(水供給限界量)より少ない量に予め設定された供給下限量より少ない場合、沸騰工程を実行しない
【0137】
メンテナンスモードが選択された場合の沸騰工程の実行時に、鍋2内の水の量が少ない場合、鍋2内の水が無くなったにもかかわらず加熱が続行されるおそれがある。この実施の形態によれば、メンテナンスモードの送水工程において、鍋2内に供給された水が水供給下限量より少ない場合、沸騰工程は実行されない。そのため、沸騰工程において、鍋2内の水が無くなったにもかかわらず加熱が続行される可能性を低くすることができる。
【0138】
炊飯器1は、鍋2内が空であるか否かを検知する鍋内検知部(重量検知部6)を更に備え、制御部91は、メンテナンスモードが選択された場合に、鍋内検知部(重量検知部6)によって鍋2内が空でないことが検知されると、送水工程及び沸騰工程を実行しない。
【0139】
メンテナンスモードの沸騰工程時に、鍋2内に米があると、沸騰した蒸気中に米や糠が含まれてしまい、鍋2や蒸気排出経路(蒸気筒53)から米や糠を取り除くことができないばかりか、鍋や蒸気排出経路(蒸気筒53)に米や糠が付着してしまうおそれがある。この実施の形態によれば、メンテナンスモードが選択された場合に、鍋内検知部(重量検知部6)によって鍋2内が空でないことが検知されると、送水工程及び沸騰工程が実行されない。言い換えると、メンテナンスモードが選択された場合に、鍋2内が空である場合にのみ、送水工程及び前記沸騰工程が実行される。これにより、鍋2内に米がある状態でメンテナンスモードが実行されることを回避することができる。
【0140】
制御部91は、炊飯モードが選択された場合に、少なくとも加熱部7を制御して鍋2内の水を沸騰させる沸騰工程と、沸騰工程の実行後に鍋2内の米を蒸らす蒸らし工程とを実行し、メンテナンスモードが選択された場合に、蒸らし工程を実行しない。
【0141】
メンテナンスモードが選択された場合、鍋2内には水のみが供給され、供給された水が沸騰されればよく、その他の工程は不要である。この実施の形態によれば、メンテナンスモードが選択された場合、送水工程及び沸騰工程が実行される一方で、炊飯モードにおいて実行される蒸らし工程は実行されない。つまり、メンテナンスモードと炊飯モードとは明確に区別されており、メンテナンスモードにおいて、必要最小限の工程のみを実行することができる。
【0142】
[変形例]
前記の実施の形態では、米タンク301から鍋2内への米の供給量、水タンク401から鍋2内への水の供給量、米タンク301が空であるか否か、及び水タンク401が空であるか否かは、収容領域12に収容されている物の重量を検知する重量検知部6から取得した情報に基づいて判定されている。前記の判定は、重量検知部6以外から取得した情報に基づいて、なされてもよい。
【0143】
図12は、本開示に係る実施の形態の変形例の炊飯器における
図1のA1-A1線に対応する断面を示す断面図である。
【0144】
例えば、
図12に示すように、炊飯器1は、米タンク301に収容されている米の量を検知する検知部71及び検知部72の少なくとも一方を備えていてもよい。
【0145】
検知部71として、例えば重量センサが採用されてもよい。重量センサは、例えば米タンク301の下方に設けられている。重量センサは、米タンク301の自重が作用するように、米タンク301を支持している。これにより、重量センサは、米タンク301及び米タンク301に収容されている米の重量を検知して、重量の情報を制御部91へ送る。制御部91は、当該重量の情報に基づいて、米タンク301に収容されている米の量を識別する。
【0146】
検知部72として、例えば赤外線センサが採用されてもよい。赤外線センサは、例えば米タンク301の前壁301aに設けられている。赤外線センサは、米タンク301内へ赤外線を照射する。前記赤外線の反射光が赤外線センサに入射される。赤外線センサは、反射光の光量の情報を制御部91へ送る。制御部91は、赤外線センサに入射された反射光の強さに基づいて、米タンク301に収容されている米の量を識別する。例えば、制御部91は、赤外線センサに入射された反射光が強い程、多くの米が米タンク301に収容されていると識別する。赤外線センサは、米タンク301の前壁301a以外に設けられていてもよい。例えば、赤外線センサは、米タンク301の後壁301bや、蓋11aに設けられていてもよい。また、米タンク301が透光性を有する部材で構成されている場合、赤外線センサは、米タンク301の外部に設けられていてもよい。また、赤外線センサは発信部と受信部の2つの部位に分かれていてもよく、発信部から米タンク301内へ発信した赤外線を発信部とは別部位に設置した受信部で受信してもよい。制御部91は、赤外線センサの発信部が赤外線を発信してから受信部が受信した反射光の強さに基づいて、米タンク301に収容されている米の量を識別する。
【0147】
検知部72として、例えば静電容量式のセンサが採用されてもよい。静電容量式のセンサは、例えば米タンク301の前壁301aに設けられている。静電容量式のセンサは、
図12に破線で示すように、上下方向に間隔をあけて並んで配置された複数の検知電極72aを備える。複数の検知電極72aの静電容量は、米タンク301に収容されている米の量に応じて変化する。例えば、米タンク301に収容されている米の量の多い程、多くの検知電極72aが米と対向する。この場合、複数の検知電極72aの静電容量が増加する。静電容量式のセンサは、静電容量に応じた信号を制御部91へ送る。制御部91は、静電容量式のセンサから取得した信号に基づいて、米タンク301に収容されている米の量を識別する。静電容量式のセンサは、米タンク301の前壁301a以外に設けられていてもよい。例えば、静電容量式のセンサは、米タンク301の後壁301bに設けられていてもよい。
【0148】
検知部72として、例えば超音波センサが採用されてもよい。超音波センサは、例えば米タンク301の前壁301aに設けられている。超音波センサは、米タンク301内へ超音波を発信する。超音波センサは、前記超音波の反射波を受信する。制御部91は、超音波センサが超音波を発信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、米タンク301に収容されている米の量を識別する。超音波センサは、米タンク301の前壁301a以外に設けられていてもよい。例えば、超音波センサは、米タンク301の後壁301bや、蓋11aに設けられていてもよい。また、超音波センサは発信部と受信部の2つの部位に分かれていてもよく、発信部から米タンク301内へ発信した超音波を発信部とは別部位に設置した受信部で受信してもよい。制御部91は、超音波センサの発信部が超音波を発信してから受信部が超音波を受信するまでの時間に基づいて、米タンク301に収容されている米の量を識別する。
【0149】
制御部91は、検知部71や検知部72から取得した情報や信号に基づいて、米タンク301に収容されている米の量、及び米タンク301から鍋2内への米の供給量を判定する。例えば、制御部91は、重量センサから取得した重量の情報から、記憶部92に予め記憶された空の米タンク301の重量の情報を減算することによって、米タンク301に収容されている米の重量を判定する。また、例えば、制御部91は、米タンク301から鍋2内への米の供給前に重量センサから取得した重量の情報から、米タンク301から鍋2内への米の供給後に重量センサから取得した重量の情報を減算することによって、米タンク301から鍋2内への米の供給量を判定する。赤外線センサ、静電容量式のセンサ、及び超音波センサの場合も重量センサの場合と同様にして、米タンク301に収容されている米の量、及び米タンク301から鍋2内への米の供給量が判定される。
【0150】
制御部91は、計時部(カウンタ)のカウント値に基づいて、米タンク301から鍋2内への米の供給量、及び米タンク301に収容されている米の量を算出してもよい。例えば、米供給部3が単位時間(例えば1秒)に米タンク301から鍋2内へ供給する米の量が、記憶部92に記憶される。制御部91は、米の供給が開始されると計時部のカウント動作をスタートさせる。制御部91は、計時部から取得したカウント値によって米の供給量を算出する。また、米タンク301から鍋2内への米の供給前に米タンク301に収容されている米の量が重量センサ等によって明らかである場合、制御部91は、当該米の量から前記の米の供給量を減算することによって、米タンク301に収容されている米の量を算出し得る。
【0151】
図13は、本開示に係る実施の形態の変形例の炊飯器の筐体の斜視図である。
【0152】
例えば、
図13に示すように、炊飯器1は、水タンク401に収容されている水の量を検知する検知部73及び検知部74の少なくとも一方を備えていてもよい。
【0153】
検知部73として、例えば重量センサが採用されてもよい。重量センサは、例えば水タンク載置部11bに設けられている。重量センサは、水タンク401の自重が作用するように、水タンク401を支持している。これにより、重量センサは、水タンク401及び水タンク401に収容されている水の重量を検知して、重量の情報を制御部91へ送る。制御部91は、当該重量の情報に基づいて、水タンク401に収容されている水の量を識別する。
【0154】
検知部74として、例えば赤外線センサが採用されてもよい。赤外線センサは、例えば筐体11の側面のうち、水タンク載置部11bから上方へ延びた右側面11cに設けられている。赤外線センサは、水タンク401内へ赤外線を照射する。前記赤外線の反射光が赤外線センサに入射される。赤外線センサは、反射光の光量の情報を制御部91へ送る。制御部91は、赤外線センサに入射された反射光の強さに基づいて、水タンク401に収容されている水の量を識別する。例えば、制御部91は、赤外線センサに入射された反射光が強い程、多くの水が水タンク401に収容されていると識別する。また、例えば、赤外線センサは、水タンク401に設けられていてもよい。また、赤外線センサは発信部と受信部の2つの部位に分かれていてもよく、発信部から水タンク401内へ発信した赤外線を発信部とは別部位に設置した受信部で受信してもよい。制御部91は、赤外線センサの発信部が赤外線を発信してから受信部が受信した反射光の強さに基づいて、水タンク401に収容されている水の量を識別する。
【0155】
検知部74として、例えば静電容量式のセンサが採用されてもよい。静電容量式のセンサは、例えば筐体11の右側面11cに設けられている。静電容量式のセンサは、
図13に破線で示すように、上下方向に間隔をあけて並んで配置された複数の検知電極74aを備える。複数の検知電極74aの静電容量は、水タンク401に収容されている水の量に応じて変化する。例えば、水タンク401に収容されている水の量の多い程、多くの検知電極74aが水と対向する。この場合、複数の検知電極74aの静電容量が増加する。静電容量式のセンサは、静電容量に応じた信号を制御部91へ送る。制御部91は、静電容量式のセンサから取得した信号に基づいて、水タンク401に収容されている水の量を識別する。
【0156】
検知部74として、例えば超音波センサが採用されてもよい。超音波センサは、例えば筐体11の右側面11cに設けられている。超音波センサは、水タンク401内へ超音波を発信する。超音波センサは、前記超音波の反射波を受信する。制御部91は、超音波センサが超音波を発信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、水タンク401に収容されている水の量を識別する。また、超音波センサは発信部と受信部の2つの部位に分かれていてもよく、発信部から水タンク401内へ発信した超音波を発信部とは別部位に設置した受信部で受信してもよい。制御部91は、超音波センサの発信部が超音波を発信してから受信部が超音波を受信するまでの時間に基づいて、水タンク401に収容されている水の量を識別する。
【0157】
制御部91は、検知部73や検知部74から取得した情報や信号に基づいて、水タンク401に収容されている水の量、及び水タンク401から鍋2内への水の供給量を判定する。例えば、制御部91は、重量センサから取得した重量の情報から、記憶部92に予め記憶された空の水タンク401の重量の情報を減算することによって、水タンク401に収容されている水の重量を判定する。また、例えば、制御部91は、水タンク401から鍋2内への水の供給前に重量センサから取得した重量の情報から、水タンク401から鍋2内への水の供給後に重量センサから取得した重量の情報を減算することによって、水タンク401から鍋2内への水の供給量を判定する。赤外線センサ、静電容量式のセンサ、及び超音波センサの場合も重量センサの場合と同様にして、水タンク401に収容されている水の量、及び水タンク401から鍋2内への米の供給量が判定される。
【0158】
制御部91は、前述した計時部のカウント値に基づいて、水タンク401から鍋2内への水の供給量を算出してもよい。例えば、水供給部4が単位時間(例えば1秒)に水タンク401から鍋2内へ供給する水の量が、記憶部92に記憶される。制御部91は、水の供給が開始されると計時部のカウント動作をスタートさせる。制御部91は、計時部から取得したカウント値によって水の供給量を算出する。また、水タンク401から鍋2内への水の供給前に水タンク401に収容されている水の量が重量センサ等によって明らかである場合、制御部91は、当該水の量から前記の水の供給量を減算することによって、水タンク401に収容されている米の量を算出し得る。
【0159】
米タンク301から鍋2内への米の供給量、水タンク401から鍋2内への水の供給量、米タンク301が空であるか否か、及び水タンク401が空であるか否かの判定が前述した各手段によって行われる場合の効果は、以下の通りである。
【0160】
前記の判定が重量検知部6や重量センサの検知に基づいて行われる場合、赤外線センサ等の他の手段の場合よりも、前記の判定の即時性を高めることができる。また、赤外線センサ等の他の手段の場合よりも、前記の判定の精度を向上することができる。
【0161】
前記の判定が赤外線センサや超音波センサの検知に基づいて行われる場合、米タンク301や水タンク401に大容量の米や水が収容されていても、検知精度を良好に維持することができる。
【0162】
前記の判定が計時部の検知に基づいて行われる場合、前記の判定を行うためのセンサを設けることが必ずしも必要とされない。そのため、炊飯器1の部品数を少なくすることができ、炊飯器1のコストを低くすることができる。
【0163】
前記の実施の形態では、炊飯モードにおいて、送水工程は送米工程の後に実行される。しかし、送米工程及び送水工程の順序は前記の順序に限らない。例えば、送米工程が送水工程の後に実行されてもよい。また、例えば、送米工程と送水工程とが並行して実行されてもよい。また、例えば、送米工程及び送水工程の各々が複数回に分けて実行されてもよい。この場合、送米工程及び送水工程が交互に実行されてもよい。また、この場合、1回の送米工程で、炊飯指示に応じて決定された量の米の一部が鍋2内へ供給され、1回の送水工程で、炊飯指示に応じて決定された量の水の一部が鍋2内へ供給される。なお、記憶部92に記憶されている総重量の更新は、送米工程の実行の度に行われ、送水工程の実行の度に行われる。
【0164】
前記の実施の形態では、炊飯器1は、鍋2が収容された鍋容器21がスライド移動によって側方から収容領域12に収容されるものである。しかし、炊飯器は、鍋と、鍋を収容する収容領域を有する筐体とを備えていればよい。例えば、炊飯器は、上方に開放された収容領域を有し、鍋が上方から当該収容領域に収容されるものであってもよい。この場合、炊飯器は鍋容器21及び蓋体22を備えておらず、鍋のみが収容領域に収容される。
【0165】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0166】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0167】
1 炊飯器
11 筐体
12 収容領域
2 鍋
3 米供給部(供給部)
301 米タンク
4 水供給部(供給部)
53 蒸気筒(蒸気排出経路)
6 重量検知部(検知部)
7 加熱部
91 制御部
92 記憶部