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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148788
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20231005BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20231005BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 D
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056999
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】三浦 満
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敏之
(72)【発明者】
【氏名】西川 朋永
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】米山 将基
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070CB02
5E070CB13
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】コイル部品の直流抵抗を低減する。
【解決手段】コイル部品1に含まれる導体層L1は、コイルパターン10及び端子パターン11を有する。端子パターン11は、x方向におけるパターン幅が略一定である直線部11aと、y方向における両端側に位置しx方向におけるパターン幅が直線部11aよりも大きい拡幅部11b,11cとを含む。コイルパターン10の最外周ターンは、それぞれ直線部11a及び拡幅部11b,11cに沿って設けられた区間S11~S13と、区間S11~S13の両側に位置する区間S14,S15とを含む。区間S12,S13におけるパターン幅は、区間S11,S14,S15におけるパターン幅よりも大きい。このように、コイルパターン10のパターン幅が局所的に拡大されていることから、直流抵抗を低減することが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層間絶縁膜と複数の導体層が交互に積層されたコイル部と、
第1及び第2の端子電極と、
前記コイル部と前記第1及び第2の端子電極を埋め込む磁性素体と、を備え、
前記複数の導体層は、最下層に位置する第1の導体層と、最上層に位置する第2の導体層を含み、
前記第1の導体層は、第1のコイルパターンと、前記第1のコイルパターンから独立して設けられ、前記磁性素体の第1の側面から露出する第1の端子パターンとを有し、
前記第2の導体層は、第2のコイルパターンと、前記第2のコイルパターンから独立して設けられ、前記磁性素体の前記第1の側面の反対側に位置する第2の側面から露出する第2の端子パターンとを有し、
前記第1の端子電極は、前記第2の端子パターンを介して前記第1のコイルパターンの一端に接続され、
前記第2の端子電極は、前記第2のコイルパターンの一端に接続され、
前記第1の端子パターンは、前記磁性素体の前記第1の側面に対して垂直な第1の方向におけるパターン幅が略一定である第1の直線部と、前記磁性素体の前記第1の側面に沿った第2の方向における一端側に位置し、前記第1の方向におけるパターン幅が前記第1の直線部よりも大きい第1の拡幅部と、前記第2の方向における他端側に位置し、前記第1の方向におけるパターン幅が前記第1の直線部よりも大きい第2の拡幅部とを含み、
前記第1のコイルパターンの最外周ターンは、前記第1の端子パターンの前記第1の直線部に沿って設けられた第1の区間と、前記第1の端子パターンの前記第1の拡幅部に沿って設けられた第2の区間と、前記第1の端子パターンの前記第2の拡幅部に沿って設けられた第3の区間と、前記磁性素体に沿って設けられ、前記第2の区間から見て前記第1の区間の反対側に位置する第4の区間と、前記磁性素体に沿って設けられ、前記第3の区間から見て前記第1の区間の反対側に位置する第5の区間とを含み、
前記第1のコイルパターンの前記第2及び第3の区間におけるパターン幅は、前記第1のコイルパターンの前記第1、第4及び第5の区間におけるパターン幅よりも大きいことを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記第1の端子パターンの前記第1の拡幅部は、前記第2の方向における前記一端に近いほど前記第1の方向におけるパターン幅が拡大する形状を有し、
前記第1の端子パターンの前記第2の拡幅部は、前記第2の方向における前記他端に近いほど前記第1の方向におけるパターン幅が拡大する形状を有することを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1のコイルパターンの前記第1の区間におけるパターン幅は、前記第2の方向における中央から前記第2及び第3の区間に向かうほど大きくなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1のコイルパターンの前記第2及び第3の区間は、前記第1の方向に延在する外周エッジを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第2の端子パターンは、前記第2の方向における中央部から離れるにつれて前記第1の方向におけるパターン幅が拡大する非直線部と、前記第2の方向における一端側に位置し、前記第1の方向におけるパターン幅が略一定である第2の直線部とを含み、
前記第2のコイルパターンの最外周ターンは、前記第2の端子パターンの前記非直線部に沿って設けられた第6の区間と、前記第2の端子パターンの前記第2の直線部に沿って設けられた第7の区間と、前記磁性素体に沿って設けられ、前記第7の区間よりも前記第2のコイルパターンの前記一端に近い第8の区間とを含み、
前記第2のコイルパターンの前記第7の区間におけるパターン幅は、前記第2のコイルパターンの前記第6及び第8の区間におけるパターン幅よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記複数の導体層は、前記第1の導体層と前記第2の導体層の間に位置する第3の導体層をさらに含み、
前記第3の導体層は、第3のコイルパターンと、前記磁性素体の前記第1の側面から露出する第3の端子パターンと、前記磁性素体の前記第2の側面から露出する第4の端子パターンとを有し、
前記第1の端子電極は、前記第2及び第4の端子パターンを介して前記第1のコイルパターンの前記一端に接続され、
前記第3の端子パターンは、前記第1の方向におけるパターン幅が略一定である第3の直線部と、前記第2の方向における一端側に位置し、前記第1の方向におけるパターン幅が前記第3の直線部よりも大きい第3の拡幅部と、前記第2の方向における他端に位置し、前記第1の方向におけるパターン幅が前記第3の直線部よりも大きい第4の拡幅部とを含み、
前記第3のコイルパターンの最外周ターンは、前記第3の端子パターンの前記第3の直線部に沿って設けられた第9の区間と、前記第3の端子パターンの前記第3の拡幅部に沿って設けられた第10の区間と、前記第3の端子パターンの前記第4の拡幅部に沿って設けられた第11の区間と、前記磁性素体に沿って設けられ、前記第10の区間から見て前記第9の区間の反対側に位置する第12の区間と、前記磁性素体に沿って設けられ、前記第11の区間から見て前記第9の区間の反対側に位置する第13の区間とを含み、
前記第3のコイルパターンの前記第10及び第11の区間におけるパターン幅は、前記第3のコイルパターンの前記第9、第12及び第13の区間におけるパターン幅よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に、複数の層間絶縁膜と複数の導体層が交互に積層された構造を有するコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の層間絶縁膜と複数の導体層が交互に積層された構造を有するコイル部品が開示されている。特許文献1に記載されたコイル部品においては、2つの端子電極が複数の導体層の積層方向に配置されており、一方の端子電極は最下層に位置するコイルパターンの一端に接続され、他方の端子電極は最上層に位置するコイルパターンの一端に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-088330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたコイル部品においては、コイルパターンのパターン幅がほぼ一定であった。
【0005】
本発明は、コイルパターンのパターン幅を局所的に拡大することによって直流抵抗を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコイル部品は、複数の層間絶縁膜と複数の導体層が交互に積層されたコイル部と、第1及び第2の端子電極と、コイル部と第1及び第2の端子電極を埋め込む磁性素体とを備え、複数の導体層は、最下層に位置する第1の導体層と、最上層に位置する第2の導体層を含み、第1の導体層は、第1のコイルパターンと、第1のコイルパターンから独立して設けられ、磁性素体の第1の側面から露出する第1の端子パターンとを有し、第2の導体層は、第2のコイルパターンと、第2のコイルパターンから独立して設けられ、磁性素体の第1の側面の反対側に位置する第2の側面から露出する第2の端子パターンとを有し、第1の端子電極は、第2の端子パターンを介して第1のコイルパターンの一端に接続され、第2の端子電極は、第2のコイルパターンの一端に接続され、第1の端子パターンは、磁性素体の第1の側面に対して垂直な第1の方向におけるパターン幅が略一定である第1の直線部と、磁性素体の第1の側面に沿った第2の方向における一端側に位置し、第1の方向におけるパターン幅が第1の直線部よりも大きい第1の拡幅部と、第2の方向における他端側に位置し、第1の方向におけるパターン幅が第1の直線部よりも大きい第2の拡幅部とを含み、第1のコイルパターンの最外周ターンは、第1の端子パターンの第1の直線部に沿って設けられた第1の区間と、第1の端子パターンの第1の拡幅部に沿って設けられた第2の区間と、第1の端子パターンの第2の拡幅部に沿って設けられた第3の区間と、磁性素体に沿って設けられ、第2の区間から見て第1の区間の反対側に位置する第4の区間と、磁性素体に沿って設けられ、第3の区間から見て第1の区間の反対側に位置する第5の区間とを含み、第1のコイルパターンの第2及び第3の区間におけるパターン幅は、第1のコイルパターンの第1、第4及び第5の区間におけるパターン幅よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1のコイルパターンのパターン幅が局所的に拡大されていることから、直流抵抗を低減することが可能となる。
【0008】
本発明において、第1の端子パターンの第1の拡幅部は、第2の方向における一端に近いほど第1の方向におけるパターン幅が拡大する形状を有し、第1の端子パターンの第2の拡幅部は、第2の方向における他端に近いほど第1の方向におけるパターン幅が拡大する形状を有していても構わない。これによれば、第1のコイルパターンの第3及び第4の区間におけるパターン幅をより拡大することが可能となる。
【0009】
本発明において、第1のコイルパターンの第1の区間におけるパターン幅は、第2の方向における中央から第2及び第3の区間に向かうほど大きくなっても構わない。これによれば、第1のコイルパターンの第1の区間におけるパターン幅をより拡大することが可能となる。
【0010】
本発明において、第1のコイルパターンの第2及び第3の区間は、第1の方向に延在する外周エッジを有していても構わない。これによれば、第1のコイルパターンの第2及び第3の区間におけるパターン幅をより拡大することが可能となる。
【0011】
本発明において、第2の端子パターンは、第2の方向における中央部から離れるにつれて第1の方向におけるパターン幅が拡大する非直線部と、第2の方向における一端側に位置し、第1の方向におけるパターン幅が略一定である第2の直線部とを含み、第2のコイルパターンの最外周ターンは、第2の端子パターンの非直線部に沿って設けられた第6の区間と、第2の端子パターンの第2の直線部に沿って設けられた第7の区間と、磁性素体に沿って設けられ、第7の区間よりも第2のコイルパターンの一端に近い第8の区間とを含み、第2のコイルパターンの第7の区間におけるパターン幅は、第2のコイルパターンの第6及び第8の区間におけるパターン幅よりも大きくても構わない。これによれば、第2のコイルパターンのパターン幅が局所的に拡大されていることから、直流抵抗をより低減することが可能となる。
【0012】
本発明において、複数の導体層は、第1の導体層と第2の導体層の間に位置する第3の導体層をさらに含み、第3の導体層は、第3のコイルパターンと、磁性素体の第1の側面から露出する第3の端子パターンと、磁性素体の第2の側面から露出する第4の端子パターンとを有し、第1の端子電極は、第2及び第4の端子パターンを介して第1のコイルパターンの一端に接続され、第3の端子パターンは、第1の方向におけるパターン幅が略一定である第3の直線部と、第2の方向における一端側に位置し、第1の方向におけるパターン幅が第3の直線部よりも大きい第3の拡幅部と、第2の方向における他端に位置し、第1の方向におけるパターン幅が第3の直線部よりも大きい第4の拡幅部とを含み、第3のコイルパターンの最外周ターンは、第3の端子パターンの第3の直線部に沿って設けられた第9の区間と、第3の端子パターンの第3の拡幅部に沿って設けられた第10の区間と、第3の端子パターンの第4の拡幅部に沿って設けられた第11の区間と、磁性素体に沿って設けられ、第10の区間から見て第9の区間の反対側に位置する第12の区間と、磁性素体に沿って設けられ、第11の区間から見て第9の区間の反対側に位置する第13の区間とを含み、第3のコイルパターンの第10及び第11の区間におけるパターン幅は、第3のコイルパターンの第9、第12及び第13の区間におけるパターン幅よりも大きくても構わない。これによれば、第3のコイルパターンのパターン幅が局所的に拡大されていることから、直流抵抗をより低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によれば、コイルパターンのパターン幅が局所的に拡大されていることから、直流抵抗を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。
図2図2は、コイル部品1の模式的な断面図である。
図3図3は、導体層L1のパターン形状を示す平面図である。
図4図4は、導体層L2のパターン形状を示す平面図である。
図5図5は、導体層L3のパターン形状を示す平面図である。
図6図6は、導体層L4のパターン形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。また、図2は、コイル部品1の模式的な断面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態によるコイル部品1は、磁性素体2と、磁性素体2に埋め込まれたコイル部3及びバンプ状の端子電極B1,B2とを備えている。磁性素体2は、コイル部3の内径領域及び外側領域に配置されるとともに、コイル部3を軸方向であるz方向から挟む位置に設けられている。磁性素体2は、鉄(Fe)やパーマロイ系材料などからなる金属磁性体フィラーと樹脂バインダーを含む複合磁性部材であり、コイル部3に電流を流すことによって生じる磁束の磁路を構成する。磁性素体2は、コイル軸であるz方向と直交しxy面を構成する上面2aと、上面2aと直交しyz面を構成する一対の側面2b,2cを有している。側面2b,2cは互いに反対側に位置する。端子電極B1の表面は、磁性素体2の上面2a及び側面2bから露出している。端子電極B2の表面は、磁性素体2の上面2a及び側面2cから露出している。実装時においては、磁性素体2の上面2aが回路基板と向かい合うよう、端子電極B1,B2が回路基板にハンダ付けされる。
【0018】
コイル部3は、コイル軸方向に交互に積層された層間絶縁膜50~54及び導体層L1~L4からなる。導体層L1~L4は、それぞれコイルパターン10,20,30,40を有している。
【0019】
図3図6は、それぞれ導体層L1~L4のパターン形状を示す平面図である。
【0020】
図3に示すように、導体層L1は層間絶縁膜50の表面に形成されており、コイルパターン10と、端子パターン11を備えている。コイルパターン10の外周端12は面積が拡大されており、z方向から見て端子電極B1と重なりを有している。端子パターン11は、面内でコイルパターン10から分離されたパターンであり、z方向から見て端子電極B2と重なりを有している。端子パターン11は、x方向におけるパターン幅が略一定である直線部11aと、それぞれy方向における一端側及び他端側に位置し、x方向におけるパターン幅が直線部11aよりも大きい拡幅部11b,11cとを含んでいる。ここで、拡幅部11b,11cは、y方向における端部に近いほどx方向におけるパターン幅が拡大する形状を有している。したがって、磁性素体2の側面2cとは反対側に位置する拡幅部11b,11cのエッジは、y方向に対して斜め方向に延在している。これに対し、磁性素体2の側面2cとは反対側に位置する直線部11aのエッジは、y方向に対して略直線的に延在している。
【0021】
ここで、コイルパターン10の最外周ターンは、端子パターン11の直線部11aに沿って略y方向に延在する区間S11と、端子パターン11の拡幅部11bに沿って設けられた区間S12と、端子パターン11の拡幅部11cに沿って設けられた区間S13と、磁性素体2に沿って設けられ、区間S12から見て区間S11の反対側に位置する区間S14と、磁性素体2に沿って設けられ、区間S13から見て区間S11の反対側に位置する区間S15とを含んでいる。区間S14は、区間S12よりも外周端12側に位置し、x方向に延在する部分を含む。区間S15は、区間S13よりも内周端13側に位置し、x方向に延在する部分を含む。このような構成を有する導体層L1は、層間絶縁膜51によって覆われる。
【0022】
図3に示すように、コイルパターン10の径方向におけるパターン幅は一定ではなく、区間S12,S13におけるパターン幅W12,W13が区間S11,S14,S15におけるパターン幅W11,W14,W15よりも大きい。つまり、コイルパターン10の最外周ターンは、区間S11と区間S14の間において径方向における外側に突出し、区間S11と区間S15の間において径方向における外側に突出する。
【0023】
コイルパターン10の区間S11~S13の外周エッジは、層間絶縁膜51を介し、端子パターン11に沿って延在している。このため、区間S11の外周エッジはy方向に略直線的に延在しており、その結果、区間S11におけるパターン幅W11は、y方向における中央から区間S12,S13に向かうほど大きくなる。また、区間S12,S13の外周エッジは、x方向に延在する部分を有している。これにより、区間S11から区間S12,S13に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量よりも、区間S14から区間S12に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量、並びに、区間S15から区間S13に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量の方が大きい。
【0024】
図4に示すように、導体層L2は層間絶縁膜51の表面に形成されており、コイルパターン20と、端子パターン21,22を備えている。端子パターン21,22は、面内でコイルパターン20から分離されたパターンであり、z方向から見てそれぞれ端子電極B2,B1と重なりを有している。そして、端子パターン22は、層間絶縁膜51を貫通するビア導体61を介してコイルパターン10の外周端12に接続される。また、コイルパターン20の内周端23は、層間絶縁膜51を貫通するビア導体62を介してコイルパターン10の内周端13に接続される。
【0025】
端子パターン21は、導体層L1に含まれる端子パターン11と同様の形状を有している。つまり、端子パターン21は、x方向におけるパターン幅が略一定である直線部21aと、それぞれy方向における一端側及び他端側に位置し、x方向におけるパターン幅が直線部21aよりも大きい拡幅部21b,21cとを含んでいる。また、拡幅部21b,21cは、y方向における端部に近いほどx方向におけるパターン幅が拡大する形状を有している。したがって、磁性素体2の側面2cとは反対側に位置する拡幅部21b,21cのエッジは、y方向に対して斜め方向に延在している。これに対し、磁性素体2の側面2cとは反対側に位置する直線部21aのエッジは、y方向に対して略直線的に延在している。
【0026】
端子パターン22は、y方向における中央部から離れるにつれてx方向におけるパターン幅が拡大する非直線部22aと、y方向における一端側に位置し、x方向におけるパターン幅が略一定である直線部22bとを含んでいる。磁性素体2の側面2bとは反対側に位置する非直線部22aのエッジは円弧状である。これに対し、磁性素体2の側面2bとは反対側に位置する直線部22bのエッジは、y方向に対して略直線的に延在している。
【0027】
ここで、コイルパターン20の最外周ターンは、端子パターン21の直線部21aに沿って略y方向に延在する区間S21と、端子パターン21の拡幅部21bに沿って設けられた区間S22と、端子パターン21の拡幅部21cに沿って設けられた区間S23と、磁性素体2に沿って設けられ、区間S22から見て区間S21の反対側に位置する区間S24と、磁性素体2に沿って設けられ、区間S23から見て区間S21の反対側に位置する区間S25と、端子パターン22の非直線部22aに沿って設けられた区間S26と、端子パターン22の直線部22bに沿って設けられた区間S27とを含んでいる。区間S24は、区間S22と区間S27の間に位置し、x方向に延在する部分を含む。区間S25は、区間S23よりも外周端24側に位置し、x方向に延在する部分を含む。このような構成を有する導体層L2は、層間絶縁膜52によって覆われる。
【0028】
図4に示すように、コイルパターン20の径方向におけるパターン幅は一定ではなく、区間S22,S23におけるパターン幅W22,W23が区間S21,S24,S25におけるパターン幅W21,W24,W25よりも大きく、区間S27におけるパターン幅W27が区間S24,S26におけるパターン幅W24,W26よりも大きい。つまり、コイルパターン20の最外周ターンは、区間S21と区間S24の間において径方向における外側に突出し、区間S21と区間S25の間において径方向における外側に突出し、区間S26と区間S24の間において径方向における外側に突出する。
【0029】
コイルパターン20の区間S21~S23の外周エッジは、層間絶縁膜52を介し、端子パターン21に沿って延在している。このため、区間S21の外周エッジはy方向に略直線的に延在しており、その結果、区間S21におけるパターン幅W21は、y方向における中央から区間S22,S23に向かうほど大きくなる。また、区間S22,S23の外周エッジは、x方向に延在する部分を有している。これにより、区間S21から区間S22,S23に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量よりも、区間S24から区間S22に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量、並びに、区間S25から区間S23に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量の方が大きい。同様に、区間S27の外周エッジは、x方向に延在する部分を有している。これにより、区間S26から区間S27に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量よりも、区間S24から区間S27に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量の方が大きい。
【0030】
図5に示すように、導体層L3は層間絶縁膜52の表面に形成されており、コイルパターン30と、端子パターン31,32を備えている。端子パターン31,32は、面内でコイルパターン30から分離されたパターンであり、z方向から見てそれぞれ端子電極B2,B1と重なりを有している。そして、端子パターン32は、層間絶縁膜52を貫通するビア導体63を介して導体層L2の端子パターン22に接続される。ビア導体63の平面位置はビア導体61の平面位置とは異なっており、これによりビア導体の積層によって生じる導体層の凹みが防止されている。また、コイルパターン30の外周端34は、層間絶縁膜52を貫通するビア導体64を介してコイルパターン20の外周端24に接続される。
【0031】
端子パターン31は、導体層L1,L2に含まれる端子パターン11,21と同様の形状を有している。つまり、端子パターン31は、x方向におけるパターン幅が略一定である直線部31aと、それぞれy方向における一端側及び他端側に位置し、x方向におけるパターン幅が直線部31aよりも大きい拡幅部31b,31cとを含んでいる。また、拡幅部31b,31cは、y方向における端部に近いほどx方向におけるパターン幅が拡大する形状を有している。したがって、磁性素体2の側面2cとは反対側に位置する拡幅部31b,31cのエッジは、y方向に対して斜め方向に延在している。これに対し、磁性素体2の側面2cとは反対側に位置する直線部31aのエッジは、y方向に対して略直線的に延在している。
【0032】
端子パターン32は、導体層L2に含まれる端子パターン22と同様の形状を有している。つまり、端子パターン32は、y方向における中央部から離れるにつれてx方向におけるパターン幅が拡大する非直線部32aと、y方向における一端側に位置し、x方向におけるパターン幅が略一定である直線部32bとを含んでいる。磁性素体2の側面2bとは反対側に位置する非直線部32aのエッジは円弧状である。これに対し、磁性素体2の側面2bとは反対側に位置する直線部32bのエッジは、y方向に対して略直線的に延在している。
【0033】
ここで、コイルパターン30の最外周ターンは、端子パターン31の直線部31aに沿って略y方向に延在する区間S31と、端子パターン31の拡幅部31bに沿って設けられた区間S32と、端子パターン31の拡幅部31cに沿って設けられた区間S33と、磁性素体2に沿って設けられ、区間S32から見て区間S31の反対側に位置する区間S34と、磁性素体2に沿って設けられ、区間S33から見て区間S31の反対側に位置する区間S35と、端子パターン32の非直線部32aに沿って設けられた区間S36と、端子パターン32の直線部32bに沿って設けられた区間S37とを含んでいる。区間S34は、区間S32と区間S37の間に位置し、x方向に延在する部分を含む。区間S35は、区間S33よりも内周端33側に位置し、x方向に延在する部分を含む。このような構成を有する導体層L3は、層間絶縁膜53によって覆われる。
【0034】
図5に示すように、コイルパターン30の径方向におけるパターン幅は一定ではなく、区間S32,S33におけるパターン幅W32,W33が区間S31,S34,S35におけるパターン幅W31,W34,W35よりも大きく、区間S37におけるパターン幅W37が区間S34,S36におけるパターン幅W34,W36よりも大きい。つまり、コイルパターン30の最外周ターンは、区間S31と区間S34の間において径方向における外側に突出し、区間S31と区間S35の間において径方向における外側に突出し、区間S36と区間S34の間において径方向における外側に突出する。
【0035】
コイルパターン30の区間S31~S33の外周エッジは、層間絶縁膜53を介し、端子パターン31に沿って延在している。このため、区間S31の外周エッジはy方向に略直線的に延在しており、その結果、区間S31におけるパターン幅W31は、y方向における中央から区間S32,S33に向かうほど大きくなる。また、区間S32,S33の外周エッジは、x方向に延在する部分を有している。これにより、区間S31から区間S32,S33に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量よりも、区間S34から区間S32に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量、並びに、区間S35から区間S33に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量の方が大きい。同様に、区間S37の外周エッジは、x方向に延在する部分を有している。これにより、区間S36から区間S37に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量よりも、区間S34から区間S37に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量の方が大きい。
【0036】
図6に示すように、導体層L4は層間絶縁膜53の表面に形成されており、コイルパターン40と、端子パターン42を備えている。端子パターン42は、面内でコイルパターン40から分離されたパターンであり、z方向から見て端子電極B1と重なりを有している。そして、端子パターン42は、層間絶縁膜53を貫通するビア導体65を介して端子パターン32に接続される。ビア導体65の平面位置はビア導体63の平面位置とは異なっており、これによりビア導体の積層によって生じる導体層の凹みが防止されている。また、コイルパターン40の内周端43は、層間絶縁膜53を貫通するビア導体66を介してコイルパターン30の内周端33に接続される。
【0037】
端子パターン42は、導体層L2,L3に含まれる端子パターン22,32と同様の形状を有している。つまり、端子パターン42は、y方向における中央部から離れるにつれてx方向におけるパターン幅が拡大する非直線部42aと、y方向における一端側に位置し、x方向におけるパターン幅が略一定である直線部42bとを含んでいる。磁性素体2の側面2bとは反対側に位置する非直線部42aのエッジは円弧状である。これに対し、磁性素体2の側面2bとは反対側に位置する直線部42bのエッジは、y方向に対して略直線的に延在している。
【0038】
ここで、コイルパターン40の最外周ターンは、端子パターン42の非直線部42aに沿って設けられた区間S46と、端子パターン42の直線部42bに沿って設けられた区間S47と、区間S47から見て区間S46の反対側に位置する区間S44とを含んでいる。区間S44は、区間S47と外周端41の間に位置し、x方向に延在する部分を含む。このような構成を有する導体層L4は、層間絶縁膜54によって覆われる。
【0039】
図6に示すように、コイルパターン40の径方向におけるパターン幅は一定ではなく、区間S47におけるパターン幅W47が区間S44,S46におけるパターン幅W44,W46よりも大きい。つまり、コイルパターン40の最外周ターンは、区間S46と区間S44の間において径方向における外側に突出する。区間S47の外周エッジは、x方向に延在する部分を有している。これにより、区間S46から区間S47に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量よりも、区間S44から区間S47に向かう単位周方向長さ当たりのパターン幅の増大量の方が大きい。
【0040】
層間絶縁膜54上には、バンプ状の端子電極B1,B2が設けられる。端子電極B1は、層間絶縁膜54を貫通するビア導体67を介して端子パターン42に接続される。端子電極B2は、層間絶縁膜54を貫通するビア導体68を介してコイルパターン40の外周端41に接続される。ビア導体67の平面位置はビア導体65の平面位置とは異なっており、これによりビア導体の積層によって生じる導体層の凹みが防止されている。また、ビア導体68は、コイル部品1をダイシングによって個片化する際のマージンを考慮して、一部がコイルパターン30の区間S32と重なる位置に設けられている。
【0041】
このような構成により、端子電極B1は、端子パターン42,32,22を介してコイルパターン10の外周端12に接続される。コイルパターン10の外周端12及び端子パターン22,32,42は、磁性素体2の側面2bから露出する。一方、端子電極B2は、コイルパターン40の外周端41に接続される。端子パターン11,21,31及びコイルパターン40の外周端41は、磁性素体2の側面2cから露出する。
【0042】
そして、コイルパターン10,20,30,40のパターン幅は一定ではなく、対応する端子パターンのy方向における端部近傍においてパターン幅が拡大されていることから、直流抵抗を低減することが可能となる。しかも、端子パターン11,21,31は直線部11a,21a,31aを有しており、直線部11a,21a,31aと隣接するコイルパターン10,20,30の外周エッジも略直線的であることから、端子パターン11,21,31の内周エッジを円弧状とする場合と比べ、コイルパターン10,20,30のパターン幅を十分に確保することが可能となる。ここで、直線部11a,21a,31aの内周エッジを直線的としているのは、コイル部品1をダイシングによって個片化する際、アライメントずれを考慮したx方向におけるマージンを最低限確保しつつ、端子パターン11,21,31の面積をできるだけ縮小するためである。これにより、端子パターン11,21,31の面積を縮小した分、コイルパターン10,20,30のパターン幅を拡大することが可能となる。これが可能であるのは、端子パターン11,21,31については、互いに接続されることなく絶縁され、ビア導体を設ける必要がないことから、x方向における幅の縮小が容易だからである。
【0043】
また、直線部11aのy方向における両端に設けられた拡幅部11b,11c、直線部21aのy方向における両端に設けられた拡幅部21b,21c、並びに、直線部31aのy方向における両端に設けられた拡幅部31b,31cは、本実施形態によるコイル部品1の製造歩留まりを高める役割を果たす。これは、このような拡幅部を設けることにより、電解めっきによって導体層L1,L2,L3を形成する際、コイルパターン10,20,30と端子パターン11,21,31の間に位置するレジストパターンに、拡幅部に対応する非直線部が含まれることになるため、電解めっきを行う際に使用するめっき液の流れがレジストパターンの非直線部によって抑制される結果、レジストパターンの倒壊が生じにくくなるからである。
【0044】
一方、端子パターン22,32,42にはビア導体61,63,65,67が接続されることから、ビア導体61,63,65,67の形成マージンを考慮すれば、端子パターン11,21,31よりもx方向における幅を十分に確保する必要がある。このため、端子パターン11,21,31のように直線部11a,21a,31aを設けるのではなく、端子パターン22,32,42の内周エッジを円弧状としている。この場合であっても、ビア導体61,63,65,67が形成されない端子パターン22,32,42のy方向における端部においては、直線部22b,32b,42bを設けることによってx方向における幅を抑え、その分、コイルパターン20,30,40のパターン幅を拡大することによって、直流抵抗を低減している。
【0045】
ここで、上述したパターン幅W11~W15,W21~W27,W31~W37,W44,W46,W47が周方向位置によって変動する場合、その平均幅によってパターン幅を定義すれば良い。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0047】
例えば、上記実施形態においては、層間絶縁膜を介して4層の導体層L1~L4が積層されているが、導体層の積層数についてはこれに限定されず、3層構造であっても構わないし、5層以上が積層された構造であっても構わない。
【符号の説明】
【0048】
1 コイル部品
2 磁性素体
2a 磁性素体の上面
2b,2c 磁性素体の側面
3 コイル部
10,20,30,40 コイルパターン
11,21,22,31,32,42 端子パターン
11a,21a,22b,31a,32b,42b 直線部
11b,11c,21b,21c,31b,31c 拡幅部
12,24,34,41 外周端
13,23,33,43 内周端
22a,32a,42a 非直線部
50~54 層間絶縁膜
61~68 ビア導体
B1,B2 端子電極
L1~L4 導体層
S11~S15,S21~S27,S31~S37,S44,S46,S47 区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6