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  • 特開-回路遮断器 図1
  • 特開-回路遮断器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148795
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H01H73/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057010
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030AA04
5G030FC05
5G030FE05
5G030XX08
(57)【要約】
【課題】 可動接点を解離させる付勢手段を電気絶縁を考慮する必要のない部材で構成した回路遮断器を提供する。
【解決手段】 可動接触子12に取り付けられた可動接点5が、固定接触子11に取り付けられた固定接点4に対して接触/解離することで、電路が接続/遮断される構成で、可動接点5を解離させる付勢手段として一対の永久磁石が配置され、可動接触子12の可動接点5を配置した面と同一面に、一方の永久磁石15aが配置されると共に、この永久磁石15aと対峙する回路遮断器ハウジング1内の所定部位に他方の永久磁石15bが配置され、且つ両永久磁石15は互いに同一極が向かい合うよう配置されて成り、可動接点5が固定接点4に接触した電路接続状態では、両永久磁石15が接近して反発力が生成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動接触子に取り付けられた可動接点が、固定接触子に取り付けられた固定接点に対して接触/解離することで、電路が接続/遮断される回路遮断器であって、
前記可動接点を解離させる付勢手段として、一対の永久磁石が配置され、
前記可動接触子の、前記可動接点を配置した面と同一面に、一方の永久磁石が配置されると共に、この永久磁石と対峙する回路遮断器ハウジング内の所定部位に他方の永久磁石が配置され、
且つ両永久磁石は互いに同一極が向かい合うよう配置されて成り、
前記可動接点が前記固定接点に接触した電路接続状態では、前記一対の永久磁石が接近して反発力が生成されることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記永久磁石は、導電性の無い物質から成ることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電路の過電流等を検知して電路を遮断する回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は固定接点と可動接点を有して、固定接点に可動接点を密着させることで電路が接続状態となり、可動接点を固定接点から解離させることで電路が遮断状態となる。
従来の回路遮断器は、この可動接点の解離動作をコイルバネ等の弾性力を利用して実施し、確実に解離するよう動作させた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-205174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のコイルバネ等のバネを使用して可動接点を解離させる構成は、瞬時の解離を実施でき、アークの発生を抑制できた。
しかしながら、バネは金属製であり可動接点が設けられている可動接触子等の充電部に接触している。そのため、バネも電気絶縁を考慮して周囲の充電部とは一定の距離を設けて配置する必要があり、回路遮断器の小型化を進める上での1つの問題点となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、可動接点を解離させる付勢手段を電気絶縁を考慮する必要のない部材で構成した回路遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、可動接触子に取り付けられた可動接点が、固定接触子に取り付けられた固定接点に対して接触/解離することで、電路が接続/遮断される回路遮断器であって、可動接点を解離させる付勢手段として、一対の永久磁石が配置され、可動接触子の、可動接点を配置した面と同一面に、一方の永久磁石が配置されると共に、この永久磁石と対峙する回路遮断器ハウジング内の所定部位に他方の永久磁石が配置され、且つ両永久磁石は互いに同一極が向かい合うよう配置されて成り、可動接点が固定接点に接触した電路接続状態では、一対の永久磁石が接近して反発力が生成されることを特徴とする。
この構成によれば、可動接点を解離させる付勢手段が一対の永久磁石であるため、永久磁石が可動接触子に接触していても、解離後の2つの永久磁石の間には導電部材は無く充電部は存在しない。そのため、解離した接点部の配置空間には充電部が存在せず、周囲の電気絶縁を考慮する必要が無い。よって、接点部周囲の空間を有効活用でき、回路遮断器の小型化に貢献できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、永久磁石は、導電性の無い物質から成ることを特徴とする。
この構成によれば、永久磁石を導電性のない物質とすれば、一方の永久磁石が充電部である可動接触子に接触していても、永久磁石自体の電気絶縁を考慮する必要が無い。よって、永久磁石周囲の空間も有効活用でき、更なる小型化に貢献できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可動接点を解離させる付勢手段が一対の永久磁石であるため、永久磁石が可動接触子に接触していても、解離後の2つの永久磁石の間には導電部材は無く充電部は存在しない。そのため、解離した接点部の配置空間には充電部が存在せず、周囲の電気絶縁を考慮する必要が無い。よって、接点部周囲の空間を有効活用でき、回路遮断器の小型化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る回路遮断器の一例を示す構成図であり、オン操作状態の断面説明図である。
図2図1の回路遮断器のオフ操作状態の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1,2は本発明に係る回路遮断器の一例を示す構成図であり、図1はオン操作状態(電路接続状態)の断面説明図、図2はオフ操作状態の断面説明図である。
回路遮断器10は、ハウジング1の一端に電源側端子2、他端に負荷側端子3が設けられ、両端子の間に配設された電路Lの途中に固定接点4、可動接点5から成る接点部6が配置されている。
またハウジング1内には、短絡電流等の過電流を検知する過電流検知手段7、開閉機構部8が設けられており、電路Lに過電流が発生したら過電流検知手段7がそれを検知して開閉機構部8が接点部6を解離させて遮断動作するよう構成されている。
尚、ここでは過電流検知手段7は、オイルダッシュポットを備えた電磁引き外し装置となっている。
【0011】
また、11は固定接点4が先端に配置された固定接触子、12は可動接点5が先端に配置された可動接触子であり、固定接触子11は、基部が電源側端子2の端子座2aに連結され、可動接触子12の基部は過電流検知手段7に連結されている。そして、過電流検知手段7の先は負荷側端子3の端子座3aに接続されている。こうして、固定接触子11及び可動接触子12はそれぞれ電路Lの一部を構成している。
尚、ハウジング1の上部には、接点部6の接触/解離を操作(電路の開閉操作)する操作ハンドル14が配置されている。
【0012】
こうして、固定接触子11と可動接触子12とは、向かい合って両先端同士が重なり合うよう配設され、この重なり合う部位に固定接点4及び可動接点5が配置されている。
この可動接触子12が上下に移動することで、可動接点5と固定接点4の接触/解離を実施している。
【0013】
そして、可動接点5と同じ向きとなる可動接触子12の下面には第1の永久磁石15a(15)が取り付けられ、対峙するハウジング1の下部にも第2の永久磁石15b(15)が取り付けられている。双方の永久磁石15は同一極が向かい合うように配置され、接近すると互いに反発するよう配置されている。
この永久磁石15は、導電性のない例えばフェライト磁石が使用され、第1の永久磁石15aは例えば可動接触子12に添着して固定される。一方、第2の永久磁石15bは例えばハウジング1の底部に形成した凹部に収容されて固定される。
【0014】
この結果、永久磁石15は、接点部6を接触させたオン状態では、図1に示すように、永久磁石15同士は近接した状態となるため、大きな反発力が発生する。そのため、遮断動作した際、或いは操作ハンドル14をオフ操作した際に、図2に示すように可動接点5は確実に固定接点4から離れることができ、解離時に発生するアークを抑制することができる。
【0015】
このように、可動接点5を解離させる付勢手段が第1及び第2から成る一対の永久磁石15であるため、永久磁石15が可動接触子12に接触していても、解離後の2つの永久磁石15の間には導電部材は無く充電部は存在しない。そのため、解離した接点部6の配置空間には充電部が存在せず、周囲の電気絶縁を考慮する必要が無い。よって、接点部6周囲の空間を有効活用でき、回路遮断器の小型化に貢献できる。
特に、永久磁石15をフェライト等の導電性のない物質とすれば、一方の永久磁石15が充電部である可動接触子12に接触していても、永久磁石15自体の電気絶縁を考慮する必要が無い。よって、永久磁石15周囲の空間も有効活用でき、更なる小型化に貢献できる。
【0016】
尚、上記実施形態では、永久磁石を導電性の無い物質のものとしたが、金属製等の導電性を有するものであっても良く、解離した状態の2つの永久磁石の間には何も無いため、周囲の電気絶縁を考慮する必要が無く、回路遮断器の小型化に有効である。
また、固定接触子11及び可動接触子12を電源側端子2から負荷側端子3に向けて横方向に配設したが、直交する縦方向に配設しても良い。この場合、付勢手段である一対の永久磁石15は上下で無く、可動接触子の移動方向となる横方向に配置される。
【符号の説明】
【0017】
1・・ハウジング(回路遮断器ハウジング)、2・・電源側端子、3・・負荷側端子、4・・固定接点、5・・可動接点、6・・接点部、7・・過電流検知手段、8・・開閉機構部、10・・回路遮断器、11・・固定接触子、12・・可動接触子、15(15a,15b)・・永久磁石、L・・電路。
図1
図2