(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148803
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びメモリシステム
(51)【国際特許分類】
G11C 16/10 20060101AFI20231005BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20231005BHJP
G11C 5/04 20060101ALI20231005BHJP
G11C 7/10 20060101ALI20231005BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20231005BHJP
H10B 69/00 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G11C16/10 170
G06F12/00 564A
G06F12/00 597U
G11C5/04 210
G11C7/10 515
H01L27/10 495
H01L27/115
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057039
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 光弘
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 康伯
(72)【発明者】
【氏名】本間 充祥
【テーマコード(参考)】
5B160
5B225
5F083
【Fターム(参考)】
5B160CC06
5B160MM01
5B160NA01
5B225CA25
5B225DE06
5B225DE20
5B225EA05
5B225FA02
5F083EP76
(57)【要約】
【課題】 ピーク電流を抑制する。
【解決手段】 実施形態の半導体記憶装置は、第1パッドと、第1クロックを生成するクロック生成回路と、前記第1クロックを前記第1パッドから出力する出力回路と、前記第1クロックに基づいて生成される複数の時間スロットのうちの1つを特定時間スロットとして指定する指定回路と、動作が指示されたときに、電流ピークが生じる部分動作の実行を前記特定時間スロットに応じたタイミングで実行するピーク制御回路と、を具備する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パッドと、
第1クロックを生成するクロック生成回路と、
前記第1クロックを前記第1パッドから出力する出力回路と、
前記第1クロックに基づいて生成される複数の時間スロットのうちの1つを特定時間スロットとして指定する指定回路と、
動作が指示されたときに、電流ピークが生じる部分動作の実行を前記特定時間スロットに応じたタイミングで実行するピーク制御回路と、
を具備する半導体記憶装置。
【請求項2】
前記ピーク制御回路は、前記電流ピークが生じる部分動作の実行を前記特定時間スロットに応じたタイミングまで待機させる、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記クロック生成回路、前記出力回路、前記指定回路及び前記ピーク制御回路は、第1コマンドの受信によって動作を開始する、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記クロック生成回路は、
発振器と、
前記発振器の出力を分周する分周器と、
を含む請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記分周器は、分周周期の情報に基づいて、前記第1クロックを生成し、
前記指定回路は、前記複数の時間スロットの総数の情報及び前記特定時間スロットの情報に基づいて、前記特定時間スロットを指定する、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記出力回路は、リーダーに指定された場合に動作し、フォロワーに指定された場合には前記第1コマンドの受信に拘わらず動作しない、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
リーダー又はフォロワーを指定するための情報、前記分周周期の情報、前記複数の時間スロットの総数の情報及び前記特定時間スロットの情報の少なくとも1つを記録するメモリ、
を更に具備する請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
特定の伝送フォーマット従って、リーダー又はフォロワーを指定するための情報、前記分周周期の情報、前記複数の時間スロットの総数の情報及び前記特定時間スロットの情報の少なくとも1つを受信する、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記分周周期の情報及び前記複数の時間スロットの総数の情報は、ブロードキャストコマンドとして受信され、
前記リーダー又はフォロワーを指定するための情報及び前記特定時間スロットの情報は、個別コマンドとして受信される、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
請求項1の複数の半導体記憶装置と、
前記複数の半導体記憶装置を制御するメモリコントローラと、
を含むメモリシステム。
【請求項11】
前記メモリコントローラは、前記複数の半導体記憶装置のうちのリーダーの半導体記憶装置を指定するための情報、前記分周器の分周周期の情報、前記複数の時間スロットの総数の情報及び前記特定時間スロットの情報の少なくとも1つを前記半導体記憶装置に送信する、
請求項10に記載のメモリシステム。
【請求項12】
前記メモリコントローラは、前記分周器の分周周期の情報、前記複数の時間スロットの総数の情報をブロードキャストコマンドによって送信し、
前記リーダー又はフォロワーを指定するための情報及び前記特定時間スロットの情報を前記複数の半導体記憶装置のそれぞれに個別に送信する、
請求項11に記載のメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置及びメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体記憶装置としてNAND型メモリが普及している。
【0003】
このような半導体記憶装置においては、ピーク電流を抑制するという要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、ピーク電流を抑制することができる半導体記憶装置及びメモリシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体記憶装置は、第1パッドと、第1クロックを生成するクロック生成回路と、前記第1クロックを前記第1パッドから出力する出力回路と、前記第1クロックに基づいて生成される複数の時間スロットのうちの1つを特定時間スロットとして指定する指定回路と、動作が指示されたときに、電流ピークが生じる部分動作の実行を前記特定時間スロットに応じたタイミングで実行するピーク制御回路と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に関わるメモリシステムの構成例を示すブロック図。
【
図2】メモリチップ2を積層配置したメモリデバイスの構造例を説明するための模式な断面図。
【
図3】複数のパッケージを有するメモリシステムの構成例を示すブロック図。
【
図5】本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図。
【
図7】ロジック制御回路21の構成の一部を示す回路図。
【
図8】ピークイネーブル信号の発生を説明するための説明図。
【
図9】ピークイネーブル信号の発生を説明するための説明図。
【
図11】ピーク動作において生じる電流を説明するための説明図。
【
図12】ピーク動作において生じる電流を説明するための説明図。
【
図13】特定のメモリチップ2におけるピーク動作制御を説明するための説明図。
【
図15】SetFeatureシーケンスを示すタイミングチャート。
【
図16】SetFeatureシーケンスを示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、マルチチップ構成の半導体記憶装置において、特定のチップをリーダーとし、他のチップをフォロワーとして、リーダーが発生するクロックを全チップで利用して、各チップの動作を制御可能とすることにより、ピーク電流を抑制するものである。
【0010】
(メモリシステムの構成)
図1は、実施形態に関わるメモリシステムの構成例を示すブロック図である。本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1と1つ以上のNAND型不揮発性メモリを備える。
図1では4つのNAND型不揮発性メモリ2A~2Dを備える例を示している。以下、4つのNAND型不揮発性メモリ2A~2Dを区別する必要がない場合には代表してNAND型不揮発性メモリ2という。また、NAND型不揮発性メモリのことを単に不揮発性メモリともいう。メモリシステムは、図示しないホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。各不揮発性メモリ2は、チップ化されている。以下の説明では、不揮発性メモリ2をメモリチップ2とも記載する。このようなメモリチップ2は、メモリデバイス内において、積層配置されることがある。
【0011】
図2はメモリチップ2を積層配置したメモリデバイスの構造例を説明するための模式な断面図である。
図2は、n個のメモリチップ2
1、2
2、…、2
nが配線基板7上に積層されている例を示している。n個のメモリチップ2
1、2
2、…、2
nを区別する必要がない場合には、メモリチップ2という。メモリデバイス5は、複数のメモリチップ2によって、高い記憶密度及び大きい記憶容量を実現する。
【0012】
複数のメモリチップ2は、パッケージのサイズ(面積)を小さくするために、基板上に積層されている。積層されたメモリチップ2は、ボンディングワイヤ6又は貫通電極などを用いて、互いに接続されている。
【0013】
例えば、
図2に示すように、ボンディングワイヤ6によって、上層のメモリチップ2
nと下層のメモリチップ2
n-1とが接続される場合、上層のメモリチップ2
nが、下層のメモリチップ2
n-1に対して一定間隔ずらして、積層される。これによって、下層のメモリチップ2
n-1に設けられたパッド4Aが上層のメモリチップ2
nに覆われること無く、露出される。
【0014】
例えば、各メモリチップ2のパッド4Aは、共通のボンディングワイヤ6に接続され、配線基板7の端子5に接続される。このように、複数のメモリチップ2は、各信号の入出力のための配線を共有している。このため、複数のメモリチップ2は、個別にデータ線を駆動できない。したがって、データ線を共有する複数の不揮発性メモリ(及びコントローラ)のうち、データの出力が可能なチップは、1つのチップのみである。
【0015】
(ピーク電流)
図2のようなマルチチップ構成を採用した場合において、複数のメモリチップ2のセル動作のタイミングが一致することがある。この場合には、セル動作に伴って各メモリチップ2に生じる電流ピークが同時に発生して、全体として想定以上のピーク電流が発生してしまうことがある。そこで、各メモリチップ2毎に電流ピークが発生してよい期間を管理するTDPPM(Time Division Peak Power Management)が採用されることがある。
【0016】
しかしながら、この管理方法では、全メモリチップ2に共通のクロックを与えてセル動作を管理する必要がある。従来、TDPPMでは、コントローラから全メモリチップ2に対して共通クロック供給する。このため、クロック供給のための端子や配線の増加が生じ、コントローラの負荷が増大するという欠点があった。
【0017】
そこで、各メモリチップ2において、チップ内部で発生する内部クロックを用いてピークの発生期間を管理する手法も考えられる。しかしこの場合には、それぞれの内部クロックを所定期間毎に同期させる必要があり、しかも、長時間動作の場合には、確実なピーク電流の管理を行うことはできない。
【0018】
(リーダーとフォロワー)
そこで、本実施形態においては、全メモリチップ2のうち特定のメモリチップ(以下、リーダーともいう)にクロックを発生させ、当該リーダーが発生するクロックを、全メモリチップ2に共通接続された端子を利用して他の全てのメモリチップ(以下、フォロワーともいう)に供給することで、安定的にピーク電流の発生期間の管理を行うTDPPMを可能にする。
【0019】
図1において、不揮発性メモリ(メモリチップ)2は、データを不揮発に記憶する半導体記憶装置である。
図1に示すように、メモリコントローラ1と各不揮発性メモリ2とはNANDバスを介して接続される。メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って不揮発性メモリ2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って不揮発性メモリ2からのデータの読み出しを制御する。メモリコントローラ1は、RAM(Random Access Memory)11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC(Error Check and Correct)回路14およびメモリインターフェイス15を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14およびメモリインターフェイス15は、互いに内部バス16により接続される。
【0020】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータである書き込みデータなどを内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、不揮発性メモリ2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答などをホストへ送信する。
【0021】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいてユーザデータ等を不揮発性メモリ2へ書き込む処理および不揮発性メモリ2から読み出す処理を制御する。
【0022】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2へのユーザデータおよびパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2からのユーザデータおよびパリティの読み出しを、メモリインターフェイス15へ指示する。
【0023】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、不揮発性メモリ2上の格納領域(以下、メモリ領域という)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ、すなわちページデータ、に対して実施する。本明細書では、不揮発性メモリ2の1ページに格納されるユーザデータをユニットデータと定義する。ユニットデータは、例えば、符号化されて符号語として不揮発性メモリ2に格納される。
【0024】
なお、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを不揮発性メモリ2に格納してもよいが、
図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0025】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の不揮発性メモリ2のメモリ領域を決定する。不揮発性メモリ2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域の物理アドレスを指定してユーザデータを不揮発性メモリ2へ書き込むようメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0026】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して符号語を生成する。また、ECC回路14は、不揮発性メモリ2から読み出された符号語を復号する。
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを不揮発性メモリ2へ記憶するまでに一時格納したり、不揮発性メモリ2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納する。RAM11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用メモリである。
【0027】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15をそれぞれ備える構成例を示した。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、不揮発性メモリ2に内蔵されていてもよい。
【0028】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。プロセッサ12は、書き込みデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス15に与える。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を不揮発性メモリ2に書き込む。
【0029】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。メモリインターフェイス15は、不揮発性メモリ2から読み出した符号語をECC回路14に与える。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0030】
メモリコントローラ1のプロセッサ12は、メモリインターフェイス15を制御して、信号DQ<7:0>及びデータストローブ信号DQS、/DQSを不揮発性メモリ2に送信する。メモリコントローラ1から不揮発性メモリ2へ送信される信号DQ<7:0>には、コマンド、アドレス及びデータが含まれる。このデータは、不揮発性メモリ2の各種動作モードの設定値であるSetFeature(セットフィーチャー)データと、後述するメモリセルアレイ23への書き込み動作の対象となる書き込みデータを含む。データストローブ信号DQS、/DQSは、データ転送に同期して発生する読み出し及び書き込みタイミングを示す同期制御信号である。
【0031】
プロセッサ12は、メモリインターフェイス15を制御して、チップイネーブル信号/CE、信号CLE、信号ALE、信号/WE、リードイネーブル信号RE、/REを不揮発性メモリ2に送信する。信号/CEは、各不揮発性メモリ2を動作状態にするための信号である。ライトイネーブル信号/WEは、書き込みを許可する信号であり、不揮発性メモリ2はこの信号/WEを受信することでコマンド及びアドレスの取り込みを行う。即ち、信号/WEは取り込み信号と呼んでもよい。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、コマンドのラッチを許可する信号であり、アドレスラッチイネーブル信号ALEは、アドレスのラッチを許可する信号である。
【0032】
先頭に記号"/"が付された信号 は、アクティブ・ローまたは不論理であることを示す。すなわち、先頭に記号“/”が付されていない信号は、“H”レベルのときにアクティブになるのに対して、先頭に記号“/”が付された信号は、“L”レベルのときにアクティブになる。
【0033】
一方、不揮発性メモリ2は、後述する入出力回路22によって、メモリコントローラ1からの各種信号を受信すると共に、信号DQ<7:0>及びデータストローブ信号DQS、/DQSをメモリコントローラ1に送信する。また、不揮発性メモリ2は、信号R/Bをメモリコントローラ1に送信する。レディー・ビジー信号R/Bは、外部からの命令を受け付けることが可能なレディー状態であるか、外部からの命令を受け付けることができないビジー状態であるかを示す。
【0034】
なお、メモリコントローラ1は、ライトプロテクト信号/WPを出力可能であるが、本実施形態においては、各メモリチップ2においては、ライトプロテクト信号/WPの伝送に用いる端子(パッド)/WPを相互に共通接続することから、各メモリチップ2においてライトプロテクト信号/WPは受信されない。
【0035】
4つのメモリチップ2は、パッケージ化されることがある。
図1の例は、1つのメモリコントローラ1によって、1パッケージに含まれる4つのメモリチップ2を制御するものである。また、1つのメモリコントローラ1によって、複数のパッケージに含まれるメモリチップ2を制御することもある。
【0036】
図3はこの場合の例を示すブロック図である。また、
図4は1つのパッケージの構成例を示す説明図である。
【0037】
図3に示すように、メモリコントローラ1と各パッケージP0~PN-1(以下、これらのパッケージを区別する必要が無い場合にはパッケージPという)は、NANDバスによって接続され、ライトプロテクト信号/WPを除く各信号がメモリコントローラ1とパッケージP内の各メモリチップ2との間で伝送される。また、メモリコントローラ1と各パッケージPとの間にはチップイネーブル信号/CEを個別に供給する配線が設けられる。各パッケージPには、所定の電源から電源電圧が供給される。
【0038】
本実施形態においては、ライトプロテクト信号/WPを受信するための端子/WPは、上述したように、各パッケージP内の各メモリチップ2同士の接続に用いられる。
【0039】
図4に示すように、各パッケージPは、複数のメモリチップ2(LUN0~LUN3)を有する。なお、
図4では4つのメモリチップ2によりパッケージPが構成される例を示しているが、パッケージPに含まれるメモリチップ2の数は限定されるものではない。
図4に示すように、ライトプロテクト信号/WPを除く各種信号及び電源を供給する各種配線は、パッケージP内の各メモリチップ2で共有される。すなわち、パッケージPにおいては、信号ALE,CLE,DQ,DQS,/DQS,/WE,/RE,RE等が共有される、これらの信号線が供給されるグループをチャネルともいう。即ち、
図4の例では1パッケージPによってチャネルが構成される。
図4の例ではパッケージP内は1つのチップイネーブル信号/CEのみが供給されるが、1つのパッケージP内が複数のチップイネーブル信号/CEにより駆動されるグループを有することもある。
【0040】
1つのチップイネーブル信号/CEにより駆動されるグループの各メモリチップ2を選択するために、チップアドレスが用いられる。
図4の例では、チップイネーブル信号/CEによる選択されるメモリチップ2は4つであるので、2ビットのチップアドレスによってメモリチップ2を特定できる。なお、チップアドレスによって特定されるメモリチップ2をLUNという。
図4の例は、1つのパッケージPに、LUN0~LUN3の4つのLUNが存在する例を示している。
【0041】
(不揮発性メモリの構成)
図5は、本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。不揮発性メモリ(メモリチップ)2は、ロジック制御回路21、入出力回路22、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、ロウデコーダ25、アドレスレジスタ26a、コマンドレジスタ26b、制御回路27、電圧生成回路28、R/B信号生成回路30、入出力用パッド群32、ロジック制御用パッド群33を備えている。
【0042】
メモリセルアレイ23は、複数のブロック(メモリブロック)を備える。複数のブロックBLKの各々は、複数のメモリセルトランジスタ(メモリセル)を備える。メモリセルアレイ23には、メモリセルトランジスタに印加する電圧を制御するために、複数のビット線、複数のワード線、及びソース線などが配設される。
【0043】
入出力用パッド群32は、メモリコントローラ1との間でデータを含む各信号の送受信を行うため、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0044】
ロジック制御用パッド群33は、メモリコントローラ1との間で各信号の送受信を行うため、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE及びリードイネーブル信号RE、/REに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0045】
本実施形態においては、ライトプロテクト信号/WPに対応する端子(パッド)/WPは、リーダーとフォロワーとの間のクロックCKの伝送に用いられる。
【0046】
ロジック制御回路21及び入出力回路22は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1に接続される。ロジック制御回路21は、メモリコントローラ1からNANDバスを介して、外部制御信号(例えば、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、書き込みイネーブル信号/WE及び読み出しイネーブル信号RE、/RE)を受信する。また、R/B信号生成回路30は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1にレディー・ビジー信号R/Bを送信する。
【0047】
アドレスレジスタ26aは、アドレスを保持する。コマンドレジスタ26bは、コマンドを保持する。アドレスレジスタ26a、26bは、例えばSRAMにより構成される。
【0048】
不揮発性メモリ2は、外部から種々の動作電源、電源電圧Vcc、VccQ、Vppと、接地電圧Vssが供給される。なお、電源電圧Vccは、動作電源として一般的に外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば2.5V程度の電圧である。電源電圧VccQは、例えば1.2Vの電圧である。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間で信号を送受信する際に用いられる。電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧である。
【0049】
制御回路27は、コマンドレジスタ26bからコマンドを受け、このコマンドに基づくシーケンスに従って不揮発性メモリ2の各部を制御する。
【0050】
電圧生成回路28は、制御回路27に制御されて、不揮発性メモリ2の外部から電源電圧を受け、この電源電圧を用いて、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を生成する。電圧生成回路28は、生成した電圧を、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、及びロウデコーダ25などに供給する。
【0051】
ロウデコーダ25は、レジスタ26aからロウアドレスを受け、このロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ25は、デコードされたロウアドレスに基づいて、ワード線の選択動作を行う。そして、ロウデコーダ25は、選択されたブロックに、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を転送する。
【0052】
センスアンプ24のセンスアンプユニット群24Aは、レジスタ26aからカラムアドレスを受け、このカラムアドレスをデコードする。センスアンプユニット群24Aは、デコードされたカラムアドレスに基づいて、いずれかのビット線を選択する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを検知及び増幅する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの書き込み時には、書き込みデータをビット線に転送する。
【0053】
センスアンプ24は、データレジスタ24Bを有しており、データレジスタ24Bは、データの読み出し時には、センスアンプユニット群24Aにより検出したデータを保持し、これをシリアルに入出力回路22へ転送する。また、データレジスタ24Bは、データの書き込み時には、入出力回路22からシリアルに転送されたデータを保持し、これをセンスアンプユニット群24Aへ転送する。データレジスタ24Bは、SRAMなどで構成される。
【0054】
入出力回路22は、ロジック制御回路21によって制御されて、メモリコントローラ1との間でNANDバスを介して、信号DQ(例えばDQ0~DQ7)及び信号DQS、/DQSを送受信する。
【0055】
図6は入出力回路22の構成の一部を示す回路図である。
図6に示すように、入出力回路22は、入出力用パッド群32の各端子毎に、入力レシーバ22a及び出力ドライバ22bを有する。入力レシーバ22aは、各端子を介して入力された信号を受信し、出力ドライバ22bは、各端子を介して出力する信号を送信する。
【0056】
入出力回路22は、信号DQS、/DQSとともに信号DQが与えられると、当該信号DQS、/DQSに同期して、信号DQをデータとして受信するように構成される。また、入出力回路22は、ロジック制御回路21に与えられる信号REに対応して、メモリセルアレイ23から読み出されたデータを信号DQとして信号DQS、/DQSとともにメモリコントローラ1へ送信する。
【0057】
入出力回路22は、ロジック制御回路21に制御されて、信号/WEに対応した信号転送や信号DQS、/DQSに対応した信号転送を可能にする。入出力回路22は、ロジック制御回路21に制御されて、受信した各種信号をアドレスレジスタ26a又はコマンドレジスタ26bに出力する。
【0058】
ロジック制御回路21は、アドレスCaddによって、自身の不揮発性メモリ2との間の信号転送がメモリコントローラ1により指定されているか否かを判定する。ロジック制御回路21は、信号CLEに対応して入出力回路22を制御して、信号DQとして受信したコマンドをコマンドレジスタ26bに出力可能にする。ロジック制御回路21は、信号ALEに対応して入出力回路22を制御して、信号DQとして受信したアドレスをアドレスレジスタ26aに出力可能にする。ロジック制御回路21は、信号/WEに同期して、入出力回路22に受信された信号を各部に出力させて書き込みを可能にする。
【0059】
制御回路27は、コマンドレジスタ26bからコマンドが与えられると、当該コマンドを解析して、解析結果に基づいてロジック制御回路21を制御する。
【0060】
(ピーク動作制御)
本実施形態においては、制御回路27は、ピーク制御開始コマンドが入力されると、TDPPMによるピーク管理を実行するようになっている。
【0061】
メモリセルアレイ23には、システムの動作を設定するためのシステム情報を記憶する領域(以下、ROM領域という)が設けられる。本実施形態においては、ROM領域には、TDPPMのためのピーク管理情報も記憶されるようになっている。TDPPMにおいては、クロックCKに同期した時間スロット(以下、単にスロットという)であって、所定のスロット数(以下、スロット総数という)の周期でスロットを指定する番号(以下、スロット番号という)が一巡するスロットを設定する。メモリチップ2毎にピーク電流を発生してよいスロットを特定することで、ピーク電流の管理(ピーク動作制御)が行われる。
【0062】
ROM領域に記憶されるピーク管理情報としては、TDPPMの制御に用いるクロック周波数を設定すための分周周期の情報、スロット番号が一巡する周期を示すスロット総数の情報、電流ピークを発生してよいスロットを指定するスロット割当番号の情報、リーダーかフォロワーかを示すリーダー・フォロワー情報がある。なお、スロット割当番号の情報及びリーダー・フォロワー情報は、メモリチップ2毎に設定される。
【0063】
ピーク管理情報を含むシステム情報は、メモリシステムまたはメモリチップ2が起動した直後に実行されるパワー・オン・リードによって読み出される。メモリチップ2は、パワー・オン・リードによりROM領域から読み出されたシステム情報及びピーク管理情報を用いて、ユーザデータの書き込み動作及び読み出し動作を制御する。
【0064】
制御回路27は、ピーク制御回路27a及びROMレジスタ27bを有する。ROMレジスタ27bは、パワー・オン・リードによって読み出されたシステム情報及びピーク管理情報を保持する。ピーク制御回路27aは、メモリチップ2内に流れる電流のピークが発生するタイミングを制御する。即ち、ピーク制御回路27aは、メモリチップ2における動作のうち電流ピークが発生する部分動作(以下、ピーク動作という)の実行を許可するピークイネーブル信号が入力されるまで、ピーク動作を保留する。例えば、リード動作においては、電流ピーク制御の対象となる部分動作(ピーク動作)としてチャネルクリーン動作がある。ピーク制御回路27aは、このチャネルクリーン動作等のピーク動作については、ピークイネーブル信号の入力を待って実行させるための制御(ピーク動作制御)を行うことにより、ピーク電流が想定以上に増大することを防止するようになっている。なお、ピーク制御回路27aは、適宜のタイミング調整によって、ピーク動作をピークイネーブル信号が入力されるタイミングに対応するタイミングで実行するようになっていてもよい。
【0065】
制御回路27は、ピークイネーブル信号を発生させるために、ROMレジスタ27bに記憶されているピーク管理情報をロジック制御回路21に出力する。
【0066】
(ピーク動作制御に関するロジック制御回路の構成)
図7はロジック制御回路21の構成の一部を示す回路図である。ロジック制御回路21は、ロジック制御用パッド群33の各端子毎に、入力レシーバ21aを有する。入力レシーバ21aは、各端子を介して入力された信号を受信する。また、ロジック制御回路21は、ロジック制御用パッド群33中の端子/WPに対応して出力ドライバ21bを有する。入力レシーバ21aは各端子を介して入力された信号を受信する。なお、端子/WPに対応する入力レシーバ21aは、後述するように、他のメモリチップ2の端子/WPから送信されたクロックCKを受信し、出力ドライバ21bは、端子/WPを介して他のメモリチップ2に与えるクロックCKを送信する。
【0067】
図5に示すように、ロジック制御回路21は、入出力回路22を制御するための回路部の他に、制御部41、クロック(CLK)発振器42、分周器43、出力回路44、入力回路45、マルチプレクサ46及びピーク動作許可回路47を含む。なお、入力回路45は
図7の入力レシーバ21aに相当し、出力回路44は
図7の出力ドライバ21bに相当する。制御部41は、ロジック制御回路21の全体を制御する。制御部41はCPUやFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたプロセッサによって構成されていてもよい。制御部41は、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御部41は、ピーク管理情報に基づいて、各部を制御する。
【0068】
クロック発振器42は、所定周波数のクロックを生成して分周器43に出力する。分周器43は、制御部41によりピーク管理情報中の分周周期の情報に基づいて分周数が指定されて、クロック発振器42の出力クロックを分周してクロックCKを発生する。分周器43は分周して得たクロックCKを出力回路44及びマルチプレクサ46に出力する。クロック発振器42及び分周器43によりクロック生成回路が構成される。
【0069】
出力回路44は、制御部41に制御されて、分周器43からのクロックCKを端子/WPに出力する。また、入力回路45は、制御部41に制御されて、端子/WPを介して入力されたクロックCKを受信する。入力回路45は、受信したクロックCKをマルチプレクサ46に出力する。
【0070】
マルチプレクサ46は、制御部41に制御されて、分周器43からのクロックCK又は入力回路45により受信されたクロックCKの一方を選択してピーク動作許可回路47に出力する。
【0071】
本実施形態においては、制御部41は、ROMレジスタ27bに記憶されたピーク管理情報中のリーダー・フォロワー情報に基づいて、リーダーに指定されたか又はフォロワーに指定されたかを判定する。リーダーに指定されたメモリチップの制御部41は、クロック発振器42、分周器43、出力回路44、マルチプレクサ46及び許可動作許可回路47を動作させる。また、フォロワーに指定されたメモリチップの制御部41は、入力回路45、マルチプレクサ46及びピーク動作許可回路47を動作させる。
【0072】
即ち、リーダーに指定されたメモリチップのロジック制御回路21においては、出力回路44によりクロックCKが端子/WPを介して端子/WPに接続された各メモリチップ2に出力される。また、フォロワーに指定されたメモリチップのロジック制御回路21においては、入力回路45が端子/WPを介して他のメモリチップ2から出力されたクロックCKを受信する。リーダーに指定されたメモリチップの制御部41は、マルチプレクサ46に分周器43が出力したクロックCKを選択させてピーク動作許可回路47に与え、フォロワーに指定されたメモリチップの制御部41は、マルチプレクサ46に分周器43が出力したクロックCKを選択させてピーク動作許可回路47に与える。
【0073】
本実施形態においては、指定回路としてのピーク動作許可回路47は、制御部41に制御されて、ピーク電流が発生するタイミングを制御するためのピークイネーブル信号を発生する。例えば、ピーク動作許可回路47は、シフトレジスタにより構成されていてもよい。ピーク動作許可回路47は、スロット総数の情報に基づいてカウント値をリセットしながら、マルチプレクサ46を介して入力されるクロックCKをカウントすることで、現在のスロット番号を認識する。ピーク動作許可回路47は、制御部41からスロット割当番号が与えられ、現在のスロット番号がスロット割当番号に到達するタイミングに同期してピークイネーブル信号を発生する。ピーク動作許可回路47は、発生したピークイネーブル信号をピーク制御回路27aに出力する。
【0074】
図8及び
図9はピークイネーブル信号の発生を説明するための説明図である。
【0075】
図8の例は、スロット総数が4で、ある特定のメモリチップ2に設定されるスロット割当番号が0の例である。また、
図9の例は、スロット総数が8で、ある特定のメモリチップ2に設定されるスロット割当番号が2の例である。
【0076】
上述したように、ピーク動作許可回路47は、スロット総数でカウント値をリセットしながらクロックCKをカウントすることで、現在のスロット番号を得る。即ち、
図8の例では、スロット番号、0,1,2,3,0,1,…が得られる。ピーク動作許可回路47は、現在のスロット番号がスロット割当番号に到達するタイミングでピークイネーブル信号を発生する。
図8の例ではスロット割当番号が0であるので、カウント値が0になる毎に、Hレベルとなるピークイネーブル信号が得られる。
【0077】
また、
図9の例では、スロット番号として、0,1,2,3,4,5,6,7,0,1,…が得られる。
図9の例ではスロット割当番号が2であるので、カウント値が2になる毎に、Hレベルとなるピークイネーブル信号が得られる。
【0078】
(動作)
次に、このように構成された実施の形態の動作について
図10から
図13を参照して説明する。
図10はピーク動作制御を説明するための説明図である。
図11及び
図12はピーク動作において生じる電流を説明するための説明図であり、
図13は特定のメモリチップ2におけるピーク動作制御を説明するための説明図である。
【0079】
図10は横軸に時間をとり、メモリコントローラ1からのコマンドとN+1個のメモリチップ2(
図10ではメモリチップDie0~DieN)のそれぞれのピーク動作制御によるピーク動作の期間を示している。なお、
図10の例はメモリセルアレイ23のROM領域に記憶されるピーク管理情報として、分周周期、スロット総数がN、各メモリチップDie0~DieN毎のスロット割当番号及びメモリチップDie0がリーダーでその他のメモリチップDie1~DieNがフォロワーであることを示す情報を含むものとする。
【0080】
電源投入後において、各メモリチップDie0~DieNは、メモリコントローラ1から送信されたパワー・オン・リードコマンドFFhを受信する。パワー・オン・リードコマンドFFhは、チップアドレスCaddを伴わない。すなわち、各メモリチップDie0~DieNはコマンドFFhを受信すると、各メモリチップDie0~DieNのチップアドレスに関係なく、パワー・オン・リード動作を実行する。各メモリチップDie0~DieNは、コマンドFFhを受信すると、それぞれのメモリセルアレイ23のROM領域からシステム情報及びピーク管理情報を読み出して、制御回路27のROMレジスタ27bに格納する。パワー・オン・リードコマンドFFhのように、チップアドレスCaddを伴わないコマンドを、ブロードキャストコマンドともいう。これに対して、チップアドレスCaddを伴うコマンドを、個別コマンドともいう。
【0081】
図10の例では、パワー・オン・リード(POR)により、メモリチップDie0は、リーダーに設定され、スロット割当番号として0が設定される。また、メモリチップDie1~DieNは、フォロワーに設定され、スロット割当番号としてそれぞれ1~Nが設定される。また、メモリチップDie0~DieNには、クロック周期及びスロット総数の情報も設定される。
【0082】
各メモリチップDie0~DieNの制御回路27は、メモリコントローラ1から送信されるピーク制御開始コマンドXXhの受信を待つ。このピーク制御開始コマンドXXhも、チップアドレスCaddを伴わない。すなわち、各メモリチップDie0~DieNはコマンドXXhを受信すると、各メモリチップDie0~DieNのチップアドレスに関係なく、ピーク制御開始を開始する。すなわち、本実施形態においては、ピーク制御開始コマンドの受信によって、各メモリチップ2はピーク動作制御を開始するようになっている。すなわちピーク制御開始コマンドXXhはブロードキャストコマンドである、ピーク動作制御が必要な場合には、ピーク制御開始コマンドをメモリコントローラ1から送信させる。逆に言えば、ピーク動作制御が不要な場合には、メモリコントローラ1からのピーク制御開始コマンドの送信を保留することで、ピーク動作制御が実施されることを防止することができる。なお、ピーク制御開始コマンドによるピーク動作制御の開始の制御が不要な場合には、パワー・オン・リードの開始から所定時間経過後にピーク動作制御を開始するようになっていてもよい。各Die0~DieNの制御回路27は、ピーク制御開始コマンドを受信すると、ピーク管理情報をロジック制御回路21の制御部41に与えて、ピーク動作制御を開始させる。
【0083】
リーダーとして指定されたメモリチップDie0の制御部41は、クロック発振器42、分周器43、出力回路44、マルチプレクサ46及びピーク動作許可回路47を動作させる。クロック発振器42は、クロックを生成し、分周器43は、分周周期によって指定された分周数でクロック発振器42の発振クロックを分周し、クロックCKを出力する。
図10に示すように、出力回路44は、クロックCKを端子/WPを介して出力する。メモリチップDie0~DieNの端子/WPは、相互に接続されており、リーダーであるメモリチップDie0からのクロックCKは、フォロワーである各メモリチップDie1~DieNの端子/WPに供給される。リーダーであるメモリチップDie0のマルチプレクサ46は、分周器43からのクロックCKをピーク動作許可回路47に出力する。
【0084】
フォロワーに設定されたメモリチップDie1~DieNの制御部41は、分周器43、マルチプレクサ46及びピーク動作許可回路47を動作させる。メモリチップDie1~DieNでは、入力回路45が端子/WPを介して入力されたクロックCKを受信してマルチプレクサ46に与える。メモリチップDie1~DieNのマルチプレクサ46は、入力回路45が受信したクロックCKをピーク動作許可回路47に出力する。
【0085】
こうして、メモリチップDie0~DieNのそれぞれのピーク動作許可回路47には、共通のクロックCKが入力される。ピーク動作許可回路47は、スロット総数でカウント値をリセットしながらクロックCKをカウントする。これにより、
図10に示すように、クロックCKに同期してスロット0~Nが設定される。ピーク動作許可回路47は、スロット番号がスロット割当番号に一致すると、ピークイネーブル信号を発生する。
【0086】
図10の斜線部はピークイネーブル信号がアクティブになる期間を示しており、各Die0~DieNのピーク動作許可回路47は、それぞれ、スロット番号0,1,2,…Nで示すスロットに対応するタイミングでピークイネーブル信号を発生して、ピーク制御回路27aに与える。こうして、各Die0~DieNのピーク制御回路27aは、それぞれ割り当てられたスロット割当番号に対応するスロット期間にピーク電流を発生させるピーク動作制御を行う。
【0087】
図11及び
図12はメモリセルアレイ23を構成する各配線の電圧変化の一例を示している。
図11はプログラム動作における電圧変化の結果により生じるピーク電流の発生を示し、
図12は読み出し動作における電圧変化の結果により生じるピーク電流の発生を示している。
【0088】
メモリセルアレイ23には、ワード線WL、ビット線BL、選択ゲート線SGD,SGS等の配線が設けられており、
図11はプログラム動作時におけるこれらの配線の電圧変化を示している。即ち、書き込み対象のブロックBLK(選択ブロックBLK)については、プログラム電圧Vpgmの印加前の時刻t11~t12にチャネルプリチャージ期間が設けられ、この期間に選択ゲート線SGDを例えば5Vにする。チャネルプリチャージ期間の終了後に、選択されていないワード線(非選択WL)に比較的高い電圧Vpassが印加され、更に、書き込み対象のワード線(選択WL)に高い電圧Vpgmが印加される。このようなプログラム動作において、チャネルプリチャージ期間の開始時、電圧Vpassの印加開始時及び電圧Vpgmの印加開始時等に対応して電流ピークが発生する。
【0089】
図12に示すように、読み出し動作(ベリファイ動作)時には、時刻t21~t22において、ディスターブ防止期間(USTRDIS期間)が設定され、この期間には、選択ブロックの選択ワード線WL(以下、WL_selとも示す)に読み出し電圧Vrが印加される。ディスターブ防止期間の終了後に読み出し期間(時刻t22以降)が設定され、読み出し期間において、選択ブロックの選択ゲート線SGD_sel、SGD_usel、及び、SGSに対して、電圧VSG(例えば、5V)が印加される。また、選択ブロックの選択ワード線WL_sel、及び、選択ブロックの非選択ワード線WL_uselに対して、それぞれ、十分に高い電圧VREAD(例えば、8V)が印加される。このような読み出し動作において、ディスターブ防止期間の開始時、電圧Vpassの印加開始時に対応して電流ピークが発生すると共に読み出し期間のあるタイミングで電流ピークが発生する。
【0090】
本実施形態においては、このような電流ピークが発生するピーク動作は、メモリチップDie0~DieNにそれぞれ割り当てられたスロット割当番号のスロットで行われる。
図13は特定のメモリチップ2において行われるプログラム期間においてピーク動作が行われる期間を示している。
図13の例では、特定のメモリチップ2においては、スロット番号0のスロットにおいてピーク動作が実行される。
【0091】
図13の例では、スロット割当番号として0が割り当てられたメモリチップ2の一例を示している。このメモリチップ2のピーク制御回路27aは、スロット番号0の期間にチャネルプリチャージを開始する。これにより、スロット番号0の期間に電流ピークが発生する。このメモリチップ2は、次にスロット番号が0になるまでピーク動作を実施しない。従って、例えばスロット番号2のスロットの期間にチャネルプリチャージ期間が終了しても、次のスロット番号0のスロットになるまでプログラム動作は保留される。スロット番号0のスロットになると、ピーク動作となるプログラム動作が再開される。
【0092】
各メモリチップ2は、相互に異なるスロットでピーク動作を実行することになり、電流ピークのタイミングがずれるので、メモリシステム全体としてピーク電流を抑制することができる。
【0093】
このように本実施形態においては、マルチチップ構成の半導体記憶装置において、特定のチップをリーダーとし、他のチップをフォロワーとして、リーダーが発生するクロックを全チップで利用して、各チップのピーク動作制御を実施しており、ピーク電流を抑制することが可能である。また、予めメモリセルアレイにピーク動作制御のためのピーク管理情報を記憶させており、メモリコントローラ1からピーク管理情報をメモリチップ2に供給する必要は無い。また、ピーク制御開始コマンドによって、ピーク動作制御を開始させることが可能であり、必要な場合にピーク動作制御を実施できる。
【0094】
なお、上記説明では、各メモリチップ2の端子/WPを相互に共通接続して、ピーク動作制御のためのクロックCKを伝送する例を説明したが、メモリチップ2の他の端子を利用してクロックCKを伝送するようにしてもよい。例えば、レディー・ビジー信号R/Bを伝送する端子を利用して、クロックCKを伝送するようにしてもよい。
【0095】
(第2の実施形態)
図14は本発明の他の実施形態を示す説明図である。本実施形態のハードウェア構成は第1の実施形態と同様である。また、
図15及び
図16はSetFeatureシーケンスを示すタイミングチャートである。
図15は全体のSetFeatureシーケンスを示し、
図16は個別のSetFeatureシーケンスを示している。
【0096】
第1の実施形態においては、ピーク管理情報が予めメモリセルアレイ23に格納されている例を説明した。これに対し、本実施形態はメモリコントローラ1からのコマンドによって、ピーク管理情報を各メモリチップ2に設定するものである。
図14は横軸に時間をとり、メモリコントローラ1からのコマンドとN+1個のメモリチップ2(
図14ではメモリチップDie0~DieN)のそれぞれのピーク動作制御によるピーク動作の期間を示している。
【0097】
電源投入後において、メモリコントローラ1のプロセッサ12は、全メモリチップDie0~DieNに対して、パワー・オン・リードのためのコマンドFFhを送信する。各メモリチップDie0~DieNは、コマンドFFhを受信すると、それぞれのメモリセルアレイ23のROM領域からシステム情報を読み出して、制御回路27のROMレジスタ27bに格納する。この段階では、メモリチップDie0~DieNのROMレジスタ27bには、ピーク管理情報は格納されていない。次に、メモリコントローラ1のプロセッサ12は、全メモリチップDie0~DieNに対するSetFeature(セットフィーチャー)コマンドEFhを発生して、全メモリチップDie0~DieNに共通するピーク管理情報を送信する。セットフィーチャーコマンドEFhは、チップアドレスCaddを伴わないため、ブロードキャストコマンドである。
【0098】
図15はこの場合のSetFeatureシーケンスを示している。メモリコントローラ1のプロセッサ12は、SetFeatureシーケンスの開始時において、信号CLEをアクティブにして、SetFeatureコマンドEFhを発生させ、信号/WEをアクティブにすることで、SetFeatureコマンドEFhをメモリチップDie0~DieNに取り込ませる。次に、プロセッサ12は、信号ALEをアクティブにして、フィーチャーアドレスFaddを発生させることで、フィーチャーアドレスFaddをメモリチップDie0~DieNに取り込ませる。
【0099】
次に、プロセッサ12は、信号DQSを複数回アクティブにして、SetFeatureデータD0~D3(フィーチャーデータFdata)を伝送する。これにより、SetFeatureデータD0~D3がメモリチップDie0~DieNに取り込まれる。SetFeatureデータD0~D3によって、ピーク管理情報中のクロック周期及びスロット総数の情報がメモリチップDie0~DieNに伝送され、ROMレジスタ27bに格納される。
【0100】
次に、メモリコントローラ1のプロセッサ12は、各メモリチップDie0~DieNに個別にピーク管理情報を伝送する。この場合には、プロセッサ12は、
図16のシーケンスに従って、各メモリチップDie0~DieNに順次ピーク管理情報を伝送する。この場合に伝送されるピーク管理情報は、リーダー・フォロワー情報とスロット割当番号の情報である。プロセッサ12は、個別のSetFeatureコマンドD5hを発生させて信号/WEをアクティブにする。更に、プロセッサ12は、信号ALEをアクティブにして、チップアドレスCadd及びフィーチャーアドレスFaddを連続的に発生させる。そして、プロセッサ12は、信号DQSを複数回アクティブにして、リーダー・フォロワー情報とスロット割当番号の情報をSetFeatureデータD0~D3(フィーチャーデータFdata)として伝送する。セットフィーチャーコマンドD5hは、チップアドレスCaddを伴うため、個別コマンドである。
【0101】
図14の例では、メモリチップDie0に対して、リーダーを示す情報とスロット割当番号が0であることを示す情報が伝送される。メモリチップDie0の制御回路27は、受信したピーク管理情報をROMレジスタ27bに格納する。次いで、メモリチップDie1,Die2,…,DieNが順次リーダー・フォロワー情報とスロット割当番号の情報を受信する。なお、メモリチップDie1,Die2,…,DieNにはフォロワーである情報と、スロット割当番号がそれぞれ1,2,…,Nであることを示す情報が与えられる。メモリチップDie1,Die2,…,DieNの制御回路27は、受信したフォロワーの情報と、スロット割当番号とをROMレジスタ27bに格納する。こうして、メモリチップDie0~DieNのROMレジスタ27bに、全てのピーク管理情報が格納される。
【0102】
なお、
図14では、SetFeatureシーケンスをD5h-Cadd-Fadd-Fdataにより示しているが、メモリチップDie1~DieNに対するSetFeatureシーケンスについては省略して示している。なお、初期設定により、全メモリチップDie0~DieNに、フォロワーとスロット割当番号とを設定しておいてもよい。この場合には、メモリチップDie0~DieNのうちの1つのメモリチップにリーダーの情報を与えればよく、個別のSetFeatureシーケンスを1回に省略することができる。
【0103】
メモリコントローラ1のプロセッサ12は、ピーク制御開始コマンドXXhを送信する。各メモリチップDie0~DieNの制御回路27は、メモリコントローラ1から送信されるピーク制御開始コマンドXXhを受信すると、ピーク管理情報をロジック制御回路21の制御部41に与えて、ピーク動作制御を開始させる。
【0104】
なお、仮に、メモリシステムにおいて16枚のメモリチップを有する場合には、メモリコントローラ1が出力する必要のあるコマンドは、以下の通りである。
・パワー・オン・リード (ブロードキャストコマンド) FFh × 1
・Set Feature (ブロードキャストコマンド) -- 分周周期×1
・Set Feature (ブロードキャストコマンド) -- スロット総数×1
・Set Feature (個別コマンド) -- スロット割当番号×16
・Set Feature (個別コマンド) -- リーダー情報 × 1
・Set Feature (個別コマンド) -- フォロワー情報 × 15
・ピーク制御開始 (ブロードキャストコマンド) --×1
他の作用は
図10と同様である。
【0105】
このように構成された実施形態においては、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、メモリコントローラからのコマンドによってピーク管理情報を設定することができることから、ピーク動作制御の自由度を向上させることができる。
【0106】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0107】
1…メモリコントローラ、2…メモリチップ、11…RAM、12…プロセッサ、13…ホストインターフェイス、14…ECC回路、15…メモリインターフェイス、16…内部バス、21…ロジック制御回路、21a…入力レシーバ、21b…出力ドライバ、22…入出力回路、22a…入力ドライバ、22b…出力ドライバ、23…メモリセルアレイ、24…センスアンプ、25…ロウデコーダ、26a…アドレスレジスタ、26b…ROMレジスタ、26b…コマンドレジスタ、27…制御回路、27a…ピーク制御回路、27b…ROMレジスタ、28…電圧生成回路、30…R/B信号生成回路、32…入出力用パッド群、33…ロジック制御用パッド群、41…制御部、42…クロック発振器、43…分周器、44…出力回路、45…入力回路、46…マルチプレクサ、47…ピーク動作許可回路。