(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148850
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】感覚提示データ提供装置、感覚提示データ提供方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231005BHJP
G06T 13/80 20110101ALI20231005BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06T13/80 A
G06T1/00 200E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057115
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 修一
(72)【発明者】
【氏名】木野井 慶介
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA00
5B050BA08
5B050CA07
5B050EA24
5B050FA02
5B050GA08
5E555AA08
5E555AA64
5E555BA04
5E555BA38
5E555BB04
5E555BB38
5E555BC08
5E555BE17
5E555CA44
5E555CB19
5E555CB21
5E555CB66
5E555CC22
5E555DA08
5E555DA21
5E555DA24
5E555DB53
5E555DC21
5E555DD06
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】仮想オブジェクトを視聴覚的及び触覚的に提示する視覚データ、聴覚データ及び触覚データをユーザの身体部位の位置に応じてオンラインでリアルタイムに提供することができる感覚提示データ提供装置を提供する。
【解決手段】感覚提示データ提供装置は、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための触覚データとを対応付けて格納する第1データベースと、部位位置データと、仮想オブジェクトの視覚データとを対応付けて格納する第2データベースと、部位位置データと、仮想オブジェクトの聴覚データとを対応付けて格納する第3データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データを取得する取得部と、取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを第1~第3データベースから抽出する処理部と、抽出した触覚、視覚又は聴覚データを出力する出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための触覚データとを対応付けて格納する第1データベースと、
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを視覚的に提示するための視覚データとを対応付けて格納する第2データベースと、
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを聴覚的に提示するための聴覚データとを対応付けて格納する第3データベースと、
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データを取得する取得部と、
取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを前記第1データベース、前記第2データベース又は前記第3データベースから抽出する処理部と、
抽出した触覚データ、視覚データ又は聴覚データを出力する出力部と
を備える感覚提示データ提供装置。
【請求項2】
前記第1データベースは、部位位置データ及び触覚データを対応付けた複数のテーブルを含み、
前記第2データベースは、部位位置データ及び視覚データを対応付けた複数のテーブルを含み、
前記第3データベースは、部位位置データ及び聴覚データを対応付けた複数のテーブルを含み、
ユーザの環境を示す環境データと、触覚データのテーブルと、視覚データのテーブルと、聴覚データのテーブルとの関係を示した定義データを格納する仮想オブジェクト定義データベースを備え、
前記取得部は、
ユーザの環境を示す環境データを取得し、
前記処理部は、
環境データを取得した場合、取得した環境データ及び前記定義データに基づいて、前記第1データベース、前記第2データベース及び前記第3データベースそれぞれから環境データに応じたテーブルを選択し、
部位位置データを取得した場合、取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを、環境データに基づいて選択されたテーブルから抽出する
請求項1に記載の感覚提示データ提供装置。
【請求項3】
前記処理部は、
環境データに基づいて選択されたテーブルの内容をユーザ個別の設定内容を示す設定データに基づいて調整する
請求項2に記載の感覚提示データ提供装置。
【請求項4】
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための触覚データとを対応付けて格納する第1データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを視覚的に提示するための視覚データとを対応付けて格納する第2データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを聴覚的に提示するための聴覚データとを対応付けて格納する第3データベースとを用意し、
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データを取得し、
取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを前記第1データベース、前記第2データベース又は前記第3データベースから抽出し、
抽出した触覚データ、視覚データ又は聴覚データを出力する
感覚提示データ提供方法。
【請求項5】
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための触覚データとを対応付けて格納する第1データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを視覚的に提示するための視覚データとを対応付けて格納する第2データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを聴覚的に提示するための聴覚データとを対応付けて格納する第3データベースとにアクセス可能なコンピュータに、
ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データを取得し、
取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを、前記第1データベース、前記第2データベース又は前記第3データベースから抽出し、
抽出した触覚データ、視覚データ又は聴覚データを出力する
処理を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感覚提示データ提供装置、感覚提示データ提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の五感のうち、視覚及び聴覚に係る画像及び音声の伝達技術が高精度化しており、昨今では、触覚を提示するハプティクス技術が種々提案されている。
【0003】
特許文献1は仮想オブジェクト触覚提示装置を開示する。仮想オブジェクト触覚提示装置は、仮想オブジェクトを表示するHMD(Head Mounted Display)と、HMDに表示された仮想オブジェクトに応じた触覚をユーザに提示する触覚提示装置とを備える。HMDは仮想オブジェクト毎に触覚情報を格納した触覚情報DBを備え、仮想オブジェクトの種類に対応付けられた触覚情報を触覚情報DBから読み出して触覚提示装置に送信する。触覚提示装置は、磁気粘性流体に与える磁場を制御することによって仮想オブジェクトの感触を提示する。磁気粘性流体は磁性粒子を分散媒体に分散させた流体であり、磁場が加えられると粘度が変化する特性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、仮想オブジェクトを視聴覚的及び触覚的に提示する視覚データ、聴覚データ及び触覚データをユーザの身体部位の位置に応じてオンラインでリアルタイムに提供することができる感覚提示データ提供装置、感覚提示データ提供方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る感覚提示データ提供装置は、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための触覚データとを対応付けて格納する第1データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを視覚的に提示するための視覚データとを対応付けて格納する第2データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを聴覚的に提示するための聴覚データとを対応付けて格納する第3データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データを取得する取得部と、取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを前記第1データベース、前記第2データベース又は前記第3データベースから抽出する処理部と、抽出した触覚データ、視覚データ又は聴覚データを出力する出力部とを備える。
【0007】
本開示の一側面に係る感覚提示データ提供方法は、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための触覚データとを対応付けて格納する第1データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを視覚的に提示するための視覚データとを対応付けて格納する第2データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを聴覚的に提示するための聴覚データとを対応付けて格納する第3データベースとを用意し、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データを取得し、取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを前記第1データベース、前記第2データベース又は前記第3データベースから抽出し、抽出した触覚データ、視覚データ又は聴覚データを出力する。
【0008】
本開示に一側面に係るコンピュータプログラムは、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための触覚データとを対応付けて格納する第1データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを視覚的に提示するための視覚データとを対応付けて格納する第2データベースと、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データと、仮想オブジェクトを聴覚的に提示するための聴覚データとを対応付けて格納する第3データベースとにアクセス可能なコンピュータに、ユーザの身体部位の位置を示す部位位置データを取得し、取得した部位位置データに対応する触覚データ、視覚データ又は聴覚データを、前記第1データベース、前記第2データベース又は前記第3データベースから抽出し、抽出した触覚データ、視覚データ又は聴覚データを出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、仮想オブジェクトを視聴覚的及び触覚的に提示する視覚データ、聴覚データ及び触覚データをユーザの身体部位の位置に応じてオンラインでリアルタイムに提供することができる感覚提示データ提供装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る仮想オブジェクト触覚提示システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係る仮想オブジェクト触覚提示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係るデータベースのレコードレイアウトを示す概念図である。
【
図4】実施形態1に係る感覚提示データ提供方法を示す概念図である。
【
図5】実施形態1に係る感覚提示データ提供方法に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1に係る感覚提示データ提供方法に係る処理手順を示すフローチャートである。
【0011】
本開示の実施形態に係る仮想オブジェクト触覚提示システムを、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(実施形態1)
<仮想オブジェクト触覚提示システム100の概要>
図1は、実施形態1に係る仮想オブジェクト触覚提示システム100の構成例を示す模式図である。仮想オブジェクト触覚提示システム100は、通信端末装置1と、触覚提示装置2と、感覚提示データ提供装置3とを含む。通信端末装置1と、触覚提示装置2とは近距離無線通信又は有線で通信接続され、相互にデータを授受する。通信端末装置1と、感覚提示データ提供装置3とは、3G(Generation)回線、4G回線、LTE(Long Term Evolution)回線、インターネット等の通信網Nを介して接続され、相互にデータを授受する。
【0013】
感覚提示データ提供装置3は、サーバコンピュータであり、ユーザの環境及び身体部位の位置に応じて変化する仮想オブジェクトを視覚的、聴覚的及び触覚的に提示するための画像データ(視覚データ)、音声データ(聴覚データ)及び触覚データを通信端末装置1及び触覚提示装置2に提供する装置である。ユーザの環境は、例えばバーチャル空間又はリアル空間におけるユーザの位置及び外界の状態を意味する。外界の状態には、ユーザの周囲の明るさ、気温等の天候、その他の自然環境等が含まれる。ユーザの身体部位は、触覚を有するユーザの体の部位であり、例えば指、手、腕、脚である。以下、本実施形態では身体部位を指であるものとして説明し、身体部位の位置を指位置と呼ぶ。
また、本実施形態に係る感覚提示データ提供装置3は、仮想オブジェクトを登場させる仮想空間を提示するためのデータを通信端末装置1に提供する処理を実行するものとする。通信端末装置1は感覚提示データ提供装置3から提供された当該データを受信し、仮想空間を提示して画像を表示する。なお、仮想空間は、仮想空間提供サーバとして機能する他のサーバコンピュータが提供するように構成してもよい。また、通信端末装置1にインストールされたアプリケーションプログラムを実行することによって仮想空間を生成し、仮想空間に係る画像を表示するように構成してもよい。
【0014】
通信端末装置1は、ユーザの環境及び指位置を示すデータを感覚提示データ提供装置3へ送信し、当該環境及び指位置に応じて感覚提示データ提供装置3から提供される画像データ及び音声データを受信し、仮想オブジェクトに対してユーザが感じる視覚的又は聴覚的刺激を提示する装置である。通信端末装置1は、例えば表示部13及び音声出力部14を有するスマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のPC(Personal Computer)等である。これらの端末は一例であり、表示機能、音声出力機能及び通信機能を有する装置であれば、通信端末装置1の構成は特に限定されるものではない。表示機能も特に限定されるものではなく、スクリーンへの投影、ユーザへの網膜投影、虚像投影など、仮想オブジェクトを視覚的に提示できる機器であれば、特に限定されるものでは無い。例えば、HMD(Head Mounted Display)、プロジェクタ、3Dホログラムディスプレイなどであってもよい。
【0015】
触覚提示装置2は、感覚提示データ提供装置3から提供される触覚データを、通信端末装置1を介して受信し、仮想オブジェクトに対してユーザが感じる触覚を提示する装置である。触覚提示装置2は、ユーザの操作によって変位する変位部202と、変位部202に変位抵抗を付与することによって仮想オブジェクトの触覚を提示するMRF(Magneto-Rheological Fluid)デバイス24とを備える。磁気粘性流体(RMF: Magneto-Rheological Fluid)は磁性粒子を分散媒体に分散させた流体であり、磁場が加えられると粘度が変化する特性を有する。触覚提示装置2は、磁気粘性流体に与える磁場を制御することによって仮想オブジェクトの感触を提示する。磁気粘性流体を用いた触覚提示は一例であり、触覚提示機能を有する装置であれば、触覚提示装置2の構成は特に限定されるものではない。例えば、超音波、圧電素子等を用いて触覚提示を行う触覚提示装置であってもよい。
【0016】
図1に示す仮想オブジェクト触覚提示システム100では、通信端末装置1と、触覚提示装置2と、感覚提示データ提供装置3とが連携して動作し、ユーザの環境及び指位置に応じた仮想オブジェクトを視聴覚的及び触覚的に提示する。感覚提示データ提供装置3は、ユーザの環境及び指位置に応じた仮想オブジェクトの触覚データ、画像データ及び音声データを通信端末装置1に提供する。通信端末装置1は、仮想オブジェクトを画像及び音声によって提示すると共に、触覚提示装置2にて仮想オブジェクトの触覚を提示する。
【0017】
<仮想オブジェクト触覚提示システム100の詳細>
図2は、実施形態1に係る仮想オブジェクト触覚提示システム100の構成例を示すブロック図である。通信端末装置1は、制御部10、端末記憶部11、通信部12、表示部13、音声出力部14、操作部15及び無線通信部16を備える。
【0018】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)等の演算回路、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の内部記憶装置、I/O端子、計時部等を有するプロセッサである。制御部10には、端末記憶部11、通信部12、表示部13、音声出力部14、操作部15及び無線通信部16が接続されている。制御部10は、端末記憶部11が記憶する触覚提示用の制御プログラムを実行することにより、感覚提示データ提供装置3にアクセスし、感覚提示データ提供装置3とが連携して仮想オブジェクトを視聴覚的又は触覚的に提示する処理を実行する。
【0019】
端末記憶部11は、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive )等の不揮発性メモリである。端末記憶部11は、制御部10が参照するデータを記憶する。制御プログラムは、例えば通信部12を介して外部のプログラムサーバ装置からダウンロードして実行可能に記憶したものである。
【0020】
通信部12は、3G(Generation)回線、4G回線、LTE(Long Term Evolution)回線等を介して、通話音声及び各種データの送受信を行う通信モジュール(通信回路)、又はIEEE802.11規格、WiFi規格に準拠した無線通信を行う無線LAN通信モジュール(無線通信回路)である。制御部10は、通信部12を介して感覚提示データ提供装置3との間でデータを送受信する。
【0021】
表示部13は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイである。表示部13は例えば、タッチパネル内蔵型ディスプレイである。表示部13は、制御部10の処理に従って、仮想オブジェクトを視覚的に提示する画像、各種操作画面を表示する。なお、表示部13は、スクリーンへの投影、ユーザへの網膜投影、虚像投影などを行う投影装置であってもよい。
【0022】
音声出力部14は、スピーカ等である。音声出力部14は、制御部10の制御に従って、仮想オブジェクトを聴覚的に提示する音声を出力する。
【0023】
操作部15は、ユーザインタフェースである。操作部15は、例えば、表示部13に内蔵されたタッチパネルである。操作部15は、ハードウェアボタン、キーを有する入力装置であってもよい。制御部10は、操作部15を介してユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容を示すデータを制御部10に与える。
【0024】
無線通信部16は、近距離無線通信、例えばBluetooth(登録商標)の通信モジュール(近接通信回路)である。制御部10は、無線通信部16を介して触覚提示装置2との間でデータを送受信する。なお、無線通信部16は有線で通信する回路であってもよい。
【0025】
触覚提示装置2は、
図1に示すようにユーザによって把持及び操作される把持体200と、
図2に示す触覚制御部20と、触覚データ記憶部21と、無線通信部22と、電源部23と、MRFデバイス24と、変位センサ25とを備える。なお、
図2に示す触覚制御部20、電源部23等の制御及び給電に係る回路は、把持体200と一体的に構成してもよいし、別体で構成して有線又は無線で接続してもよい。
【0026】
把持体200は、中空円板状のケーシング201と、変位部202と、結束具203と、リンク機構204とを含む。ケーシング201は磁気粘性流体と、回転軸を有するロータとを収納している。ロータは円板状の部材であり、磁気粘性流体で満たされたケーシング201の内部で回転する。ロータは、磁気粘性流体による回転抵抗力を受ける。また、把持体200には、磁気粘性流体に磁場を印加するための電磁石(不図示)が設けられており、電磁石は、磁気粘性流体及びロータ等と共にMRFデバイス24を構成している。具体的には、電磁石は、隙間を空けて円板状のロータを挟むように配されたヨークと、ヨークに設けられたコイルとを有する。コイルに電流が流れると磁界が発生し、磁気粘性流体の粘度(ずり応力)が変化し、回転軸に加わる回転抵抗力が与えられる。
【0027】
変位部202は、ケーシング201の周面の一部に沿うように湾曲した帯状平板の部材である。変位部202の基端部は、変位部202の先端部がケーシング201から接離する方向に移動することができるように、支軸によってケーシング201に回動可能に支持されている。変位部202の先端部外側の面には、ユーザの指を結束するための結束具203が設けられている。結束具203はリングをなす帯状の部材である。変位部202の先端部と、ロータの回転軸とは、リンク機構204によって連結している。リンク機構204は、ケーシング201に対して接近又は離反する変位部202の運動を、回転軸の回転運動に変換して伝達する機構である。
【0028】
触覚制御部20は、CPU、MPU(Micro-Processing Unit )等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを含む。触覚制御部20は、例えばマイクロコントローラである。
【0029】
触覚データ記憶部21は、触覚制御部20に対する補助記憶メモリであり、触覚データを記憶する。また、触覚データ記憶部21は、MRFデバイス24の制御データを書き換え可能に記憶する。なお、触覚データ記憶部21は不揮発性メモリであってもよいし、揮発性メモリであってもよい。
【0030】
無線通信部22は、近距離無線通信、例えばBluetooth(登録商標)の通信モジュール(近接通信回路)である。触覚制御部20は、無線通信部22によって通信端末装置1との間でデータを送受信する。なお、無線通信部22は有線で通信する回路であってもよい。
【0031】
電源部23は、充電可能なバッテリを含む。電源部23は、触覚制御部20の制御に従って、MRFデバイス24の電磁石へ電流を供給する。また、電源部23は、各構成部に必要な電力を供給する。
【0032】
MRFデバイス24の構成は上記の通りであり、電源部23から供給される電流によって、ロータの回転軸に回転抵抗力が与えられる。電流の大きさが変化すると、回転抵抗力が変更される。
【0033】
変位センサ25は、把持体200における変位部202の変位量を測定して触覚制御部20へ出力する。具体的には、変位センサ25は、ケーシング201に対する変位部202の回動角度を測定し、測定された角度を示すデータを触覚制御部20へ出力する。触覚制御部20は、該データを指位置データとして取得する。指位置データは無線通信部22によって通信端末装置1へ送信される。変位センサ25は、ジャイロセンサ、加速度センサ等の複数のセンサから構成されてもよい。
【0034】
このように構成された把持体200によれば、ユーザは把持体200を把持し、指を開閉動作させることによって、触覚刺激を得ることができる。例えば、ユーザは、
図1に示すように、ケーシング201を親指と中指とで掴み、人差し指を変位部202に沿わせて結束具203に挿入することによって、把持体200を把持することができる。ユーザは指を閉じることによって、変位部202をケーシング201に近接する方向へ移動させることができる。ユーザは指を開けることによって、変位部202をケーシング201から離反する方向へ移動させることができる。
【0035】
触覚制御部20は、変位センサ25によって変位部202の変位量を測定し、変位量に応じた電流をMRFデバイス24へ供給することによって、ユーザの変位部202への操作に対する反力(抵抗力)を生じさせ、触覚を提示することができる。詳細は以下の通りである。
変位部202の変位運動はリンク機構204を介してMRFデバイス24のロータの回転軸へ回転運動として伝達される。回転軸及びロータは、MRFデバイス24が動作していない場合、即ち制御電流がゼロである場合、磁気粘性流体の粘度は低く、変位部202は抵抗なく変動する。MRFデバイス24が動作し、制御電流が供給されている場合、MRFデバイス24へ流れる電流の大きさに応じてMRFデバイス24内部の磁気粘性流体の粘度が増加し、変位部202は抵抗力を受ける。触覚制御部20は、MRFデバイス24へ供給する電流の大きさを変更することによって、変位部202に対する抵抗力の大きさ及びその出現方法を変更することができる。
【0036】
触覚提示装置2は、変位部202の変位量、つまりユーザの指位置に応じて、抵抗力を変動させることによって、ヌルリとした触覚を提示したり、ギュッとした固さの触覚を提示したり、抵抗力の大小を繰り返してザクザクとした触覚を提示したりすることができる。
【0037】
感覚提示データ提供装置3は、処理部30、記憶部31、通信部32を備えたコンピュータである。感覚提示データ提供装置3は、ウェブサーバ、データベースサーバ、仮想空間提供サーバとして機能する。なお、感覚提示データ提供装置3は、複数台のコンピュータで構成し分散処理する構成でもよいし、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよいし、クラウドサーバによって実現されていてもよいし、一部を量子コンピュータで構成してもよい。
【0038】
処理部30は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を有し、記憶部31に記憶されたコンピュータプログラムPを読み出して実行することにより、実施形態1に係る感覚提示データ提供方法に係る処理を実行する。
【0039】
記憶部31は、ハードディスク、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部31は、感覚提示データ提供方法に係る処理を処理部30に実行させるためのコンピュータプログラムPを記憶している。コンピュータプログラムPは、記録媒体4にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でも良い。記憶部31は、図示しない読出装置によって記録媒体4から読み出されたコンピュータプログラムPを記憶する。記録媒体4はフラッシュメモリ等の半導体メモリ、光ディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク等である。また、通信網Nに接続されている図示しない外部サーバから実施形態1に係るコンピュータプログラムPをダウンロードし、記憶部31に記憶させる態様であってもよい。
また、記憶部31は、触覚DB(Data Base)31a、画像DB31b、音声DB31c、ユーザ管理DB31d、オブジェクト定義DB31eを記憶する。各種データベースの詳細は後述する。
【0040】
通信部32は、通信網Nを介して通信端末装置1と通信するための通信モジュール(通信回路)である。処理部30は、通信部32を介して通信端末装置1との間でデータを送受信する。通信部32は、仮想オブジェクトを提示する触覚データ、画像データ及び音声データを出力する出力部の一例である。
【0041】
図3は、実施形態1に係るデータベースのレコードレイアウトを示す概念図である。
図3Aは触覚DB31a、
図3Bは画像DB31b、
図3Cは音声DB31c、
図3Dはユーザ管理DB31d、
図3Eはオブジェクト定義DB31eの構成を示している。
【0042】
触覚DB31aは、ユーザの指位置を示す指位置データと、仮想オブジェクトを触覚的に提示するために、当該指位置において出力すべき触覚データとを対応付けた複数の触覚データテーブルを、当該テーブルを識別するための触覚テーブルIDに対応付けて格納している。指位置データは、触覚提示装置2における変位部202の位置、すなわち角度を示すデータである。触覚データは、触覚提示装置2のMRFデバイス24に流す電流値を示すデータである。
【0043】
画像DB31bは、ユーザの指位置を示す指位置データと、仮想オブジェクトを視覚的に提示するために、当該指位置において出力すべき画像データとを対応付けた複数の画像データテーブルを、当該テーブルを識別するための画像テーブルIDに対応付けて格納している。複数の画像データは、例えば触覚提示装置2における変位部202の位置毎に用意されたフレーム画像のデータである。フレーム画像は、指又は変位部202の位置変化に応じて連続的に表示されることによって、仮想オブジェクトのアニメーション画像として認識される、一枚の静止画像である。
【0044】
音声DB31cは、ユーザの指位置を示す指位置データと、仮想オブジェクトを聴覚的に提示するために、当該指位置において出力すべき音声データとを対応付けた複数の画像データテーブルを、当該テーブルを識別するための音声テーブルIDに対応付けて格納している。聴覚データは、触覚提示装置2における変位部202の位置によって異なる音声波形データであってもよい。変位部202の位置に対応する音声データのタイムスタンプであってもよい。
【0045】
ユーザ管理DB31dは、ユーザIDと、認証情報と、設定データとを対応付けて格納している。認証情報は、感覚提示データ提供装置3にアクセスするユーザを認証するための情報である。認証情報は例えばパスワードである。設定データは、触覚提示装置2のキャリブレーション情報、ユーザの身体的個人差に関する各種調整値を含む。例えば、設定データには、指位置と、触覚データ、画像データ及び音声データとの対応関係を調整するための調整値が含まれる。
【0046】
オブジェクト定義DB31eは、仮想オブジェクトを定義するための定義データを格納している。具体的には、オブジェクト定義DB31eは、オブジェクトIDに対応付けて仮想空間ID、環境データ、触覚テーブルID、画像テーブルID、音声テーブルID等を対応付けて格納している。仮想空間IDは、仮想オブジェクトが存在する仮想空間を識別するIDである。環境データは、仮想空間におけるユーザの位置及び周囲の環境を示すデータである。仮想オブジェクトの状態は環境によって変化するものであり、環境データは当該環境における仮想オブジェクトを特定するための情報である。触覚テーブルID、画像テーブルID及び音声テーブルIDは、仮想空間IDが示す仮想空間において、環境データが示す環境にある仮想オブジェクトを提示するために出力すべき、触覚データ、画像データ及び音声データを格納したテーブルをそれぞれ示すIDである。オブジェクト定義DB31eは、環境データを定めるパラメータが複数ある場合、パラメータの組み合わせ毎に触覚テーブルID、画像テーブルID及び音声テーブルIDを対応付けて記憶している。
なお、仮想オブジェクトの定義方法は特に限定されるものでは無く、テーブル形式でなくても良い。環境データに応じた各テーブルの組み合わせをXML(Extensible Markup Language)にて記述してもよい。また、環境データに対して各テーブルのIDを返す関数であってもよい。
【0047】
図4は、実施形態1に係る感覚提示データ提供方法を示す概念図、
図5は、実施形態1に係る感覚提示データ提供方法に係る処理手順を示すフローチャートである。通信端末装置1の制御部10は、感覚提示データ提供装置3によって認証され、感覚提示データ提供装置3との通信が確立しているものとする。また、ユーザは通信端末装置1を用いて仮想空間に入場しているものとする。感覚提示データ提供装置3は、通信確立時に発行したセッションIDにより通信を管理しており、セッションIDには、ユーザIDと、ユーザが入場している仮想空間を示す仮想空間IDとが対応付けられた状態にある。なお、セッションIDを用いた通信管理は一例である。
【0048】
通信端末装置1の制御部10は、ユーザの環境データを取得する(ステップS111)。例えば、制御部10は、仮想空間提供サーバにアクセスし、ユーザのアバターが存在する位置、仮想空間におけるアバター周囲の外界の状態(仮想空間における明るさ、天候など)を示すデータを環境データとして取得する。
制御部10は、リアル空間におけるユーザの位置及び外界の状態を示すデータを、環境データとして取得してもよい。例えば、ユーザが所持するGPS通信機、GPS機能を有するスマートフォン等から、ユーザの位置を示すデータを環境情報として取得することができる。ユーザが所持する明るさセンサ、温度センサ、湿度センサ、高度センサ、電子コンパスを搭載する機器から、ユーザの周囲の温度、湿度、高度、方位等を示すデータを、環境データとして取得してもよい。
【0049】
そして、制御部10は、セッションID及び環境データを通信部12にて感覚提示データ提供装置3へ送信する(ステップS112)。通信端末装置1は、常時、定期的に環境データを感覚提示データ提供装置3へ送信するように構成してもよいし、ユーザの環境が変化した際に環境データを感覚提示データ提供装置3へ送信するように構成してもよい。
【0050】
感覚提示データ提供装置3の処理部30は、通信端末装置1から送信されたセッションID及び環境データを通信部32にて受信する(ステップS151)。処理部30は、セッションIDに対応付けられたユーザID及び仮想空間IDを特定し、ユーザIDを用いて設定データをユーザ管理DB31dから読み出す(ステップS152)。
なお、感覚提示データ提供装置3は、ユーザに代わって仮想空間提供サーバにアクセスする権限が付与されている場合、セッションIDに対応付けられたユーザの情報に基づいて仮想空間提供サーバにアクセスし、ユーザの環境データを取得するように構成してもよい。
【0051】
次いで、処理部30は、仮想空間ID及び環境データをキーにして、ユーザ環境に応じた触覚データテーブルを、触覚DB31aから抽出する(ステップS153)。また、処理部30は、仮想空間ID及び環境データをキーにして、ユーザ環境に応じた画像データテーブルを、画像DB31bから抽出する(ステップS154)。更に、処理部30は、仮想空間ID及び環境データをキーにして、ユーザ環境に応じた音声データテーブルを、音声DB31cから抽出する(ステップS155)。
【0052】
次いで、処理部30は、抽出した各テーブルデータを、ユーザの設定データに基づいて調整する(ステップS156)。例えば、設定データは、変位量と、画像データ、音声データ、触覚データとの対応関係をシフトさせる補正データを含む。画像データテーブルの変位量θと、画像データ(θ)とが対応付けられている場合、補正データΔθにより、変位量(θ+Δθ)と、画像データ(θ)とを対応付ける補正を行うことができる。音声データ及び触覚データについても同様である。なお、補正データの内容は一例であり、その他、通信端末装置1及び触覚提示装置2の機器特性に応じた補正を行うためのデータであってもよい。なお、処理部30は、環境データに含まれるパラメータを用いて、各テーブルデータの値を調整してもよい。
【0053】
処理部30は、抽出及び調整された各テーブルデータを、セッションIDに対応付けて記憶部31に記憶させる。
【0054】
一方、通信端末装置1の制御部10は、触覚提示装置2と無線通信を行い、変位センサ25にてユーザの指位置を常時監視し、指位置データを取得する(ステップS113)。そして、制御部10は、指位置が変化した場合、セッションID及び指位置データを含むリクエストデータを感覚提示データ提供装置3へ送信する(ステップS114)。リクエストデータは、指位置に応じた、触覚データ、画像データ及び音声データを要求するデータである。なお、通信端末装置1は、触覚データ、画像データ及び音声データのいずれか一つ又は2つを要求するリクエストデータを送信することもできる。
なお、指位置が変化していなくても、指位置の変化を想定し、変化後の指位置データに対応する触覚データ、画像データ及び音声データを要求し、バッファリングするように構成してもよい。本実施形態1では指位置の変位量(角度)は一方向に増減する構成であるため、現在の指位置から所定量ずつ増減させた指位置を、変化後の指位置として予測することができる。
【0055】
感覚提示データ提供装置3の処理部30は、通信端末装置1から送信されるリクエストデータを受信した場合、当該リクエストデータに含まれるセッションIDに対応する触覚データテーブル、画像データテーブル及び音声データテーブルを特定し、特定された各テーブルから、リクエストデータに含まれる指位置データに対応する触覚データ、画像データ及び音声データを取得する(ステップS157)。リクエストデータが、触覚データ、画像データ又は音声データのいずれか一つ又は2つを要求するものである場合、要求されたデータを選択的に取得する。
【0056】
処理部30は、取得した触覚データ、画像データ及び音声データを、通信部32にて通信端末装置1へ送信する(ステップS158)。リクエストデータが、触覚データ、画像データ又は音声データのいずれか一つ又は2つを要求するものである場合、要求されたデータを選択的に送信する。
処理部30は、触覚データ、画像データ及び音声データを送信する際、所定の優先順位又はユーザによって指定された優先順位に従って順に送信するように構成してもよい。例えば、処理部30は、画像データ、音声データ及び触覚データの順で送信する。
【0057】
通信端末装置1の制御部10は、感覚提示データ提供装置3から送信された触覚データ、画像データ及び音声データを受信し、受信した画像データ及び音声データに基づいて、指位置に応じた仮想オブジェクトの画像及び音声を再生する(ステップS115)。つまり、制御部10は、仮想オブジェクトの画像を表示部13に表示し、音声を音声出力部14にて出力する。
【0058】
また、制御部10は、触覚データを無線通信部16にて触覚提示装置2へ送信することによって、仮想オブジェクトの触覚提示を行う(ステップS116)。触覚提示装置2は、通信端末装置1から無線送信された触覚データを受信し、受信した触覚データを触覚データ記憶部21に記憶する。触覚制御部20は、受信した触覚データに基づいて、電源部23からMRFデバイス24へ供給する電流の大きさを制御することによって、触覚を提示する。
【0059】
通信端末装置1及び感覚提示データ提供装置3の制御部10及び処理部30は、上記処理を繰り返し実行することによって、仮想オブジェクトの画像及び音声を再生すると共に、仮想オブジェクトの触覚をユーザに提示することができる。
【0060】
以上のように構成された実施形態1に係る感覚提示データ提供装置3等によれば、仮想オブジェクトを視聴覚的及び触覚的に提示する画像データ、音声データ及び触覚データをユーザの指位置に応じてオンラインでリアルタイムに提供することができる。
【0061】
感覚提示データ提供装置3は、仮想オブジェクトを視聴覚及び触覚的に提示するためのデータを、触覚DB31a、音声DB31c及び画像DB31bの3つのデータベースで構成することによって、データベースをコンパクトに構成することができる。各データベースに格納されたデータテーブルを組み合わせることによって、種々の仮想オブジェクトを提示するためのテーブルを作成することができる。
【0062】
感覚提示データ提供装置3は、仮想空間及びユーザの環境に応じて変化する、触覚データテーブル、画像データテーブル及び音声データテーブルを構成して用意することができる。感覚提示データ提供装置3は、通信端末装置1からのリクエストに対して、仮想空間及びユーザの環境に応じたデータテーブルを用いて、指位置に対応した触覚データ、画像データ及び音声データを通信端末装置1に提供することができる。
【0063】
感覚提示データ提供装置3は、ユーザ設定に応じて調整された触覚データテーブル、画像データテーブル及び音声データテーブルを構成して用意することができる。感覚提示データ提供装置3は、通信端末装置1からのリクエストに対して、仮想空間及びユーザの環境並びにユーザ設定に応じたデータテーブルを用いて、指位置に対応した触覚データ、画像データ及び音声データを通信端末装置1に提供することができる。
【0064】
感覚提示データ提供装置3は、要求に応じて、触覚データ、画像データ及び音声データのいずれか一つ又は2つを選択的に提供することができる。
【0065】
なお、本実施形態1では、主に通信端末装置1から送信される環境データに基づいて、仮想オブジェクトのデータテーブルが変化する例を説明したが、感覚提示データ提供装置3が他の装置から取得する環境データ又は自装置が生成する環境データに基づいて、仮想オブジェクトを提示するデータテーブルの組み合わせを変化させるように構成してもよい。
【0066】
また、仮想オブジェクトを提示するデータテーブルの組み合わせを環境データに応じて変化させる処理は必須のものでは無く、環境に依存しない静的なものであってもよい。
【0067】
(実施形態2)
実施形態2に係る仮想オブジェクト触覚提示システム100は、ユーザが関わる環境と、その他の外部環境に基づいて、触覚データテーブル、画像データテーブル、音声データテーブルを動的に変化させ、触覚データ、画像データ及び音声データを通信端末装置1へ提供する点が実施形態1と異なる。仮想オブジェクト触覚提示システム100のその他の構成は、実施形態1と同様であるため、同様の箇所には同じ符号及びステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0068】
実施形態2に係るオブジェクト定義DB31eは、オブジェクトIDに対応付けて仮想空間ID、環境データ、外部環境データ、触覚テーブルID、画像テーブルID、音声テーブルID等を対応付けて格納している。外部環境データは、例えばユーザと同じ仮想空間にいる他のユーザ(同じ仮想空間IDを有するユーザ)の環境データ、仮想オブジェクトの作成者から提供されるデータ、仮想環境提供サーバからイベント的に提供されるデータ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0069】
図6は、実施形態2に係る感覚提示データ提供方法に係る処理手順を示すフローチャートである。実施形態2に係る感覚提示データ提供装置3の処理部30は、ユーザから得られる環境データとは別に外部環境データを取得する(ステップS250)。処理部30は、実施形態1と同様について、セッションID及び環境データを受信し(ステップS251)、ユーザの各種設定データを読み出す(ステップS252)。次いで、処理部30は、仮想空間ID、環境データ及び外部環境データをキーにして、ユーザ環境及び外部環境に応じた触覚データテーブルを、触覚DB31aから抽出する(ステップS253)。また、処理部30は、仮想空間ID、環境データ及び外部環境データをキーにして、ユーザ環境及び外部環境に応じた画像データテーブルを、画像DB31bから抽出する(ステップS254)。更に、処理部30は、仮想空間ID、環境データ及び外部環境データをキーにして、ユーザ環境及び外部環境に応じた音声データテーブルを、音声DB31cから抽出する(ステップS255)。以下の処理(ステップS156~)は実施形態1と同様である。
【0070】
実施形態2に係る感覚提示データ提供装置3等によれば、ユーザの環境及び外部環境に応じて変化する仮想オブジェクトを視聴覚的及び触覚的に提示する画像データ、音声データ及び触覚データをユーザの身体部位の位置に応じてオンラインでリアルタイムに提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 通信端末装置
2 触覚提示装置
3 感覚提示データ提供装置
4 記録媒体
30 処理部
31 記憶部
31a 触覚DB
31b 画像DB
31c 音声DB
31d ユーザ管理DB
31e オブジェクト定義DB
32 通信部
100 仮想オブジェクト触覚提示システム
P コンピュータプログラム