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特開2023-148862コーティング層の除去方法及びコーティング層の除去装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148862
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】コーティング層の除去方法及びコーティング層の除去装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20231005BHJP
   B29D 7/01 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
B29D7/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057133
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 知巳
(72)【発明者】
【氏名】森 裕一
(72)【発明者】
【氏名】西尾 太寿
(72)【発明者】
【氏名】吉延 毅朗
【テーマコード(参考)】
4F213
4F401
【Fターム(参考)】
4F213AA03
4F213AA24
4F213AA28
4F213AA29
4F213AC03B
4F213AG01
4F213AG03
4F213AH81
4F401AA02
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA16
4F401AA17
4F401AA22
4F401AA23
4F401AA24
4F401AA26
4F401AD01
4F401AD07
4F401BA13
4F401CA22
4F401CA31
4F401CA37
4F401CA39
4F401CA48
4F401CA49
4F401CA51
4F401CA91
4F401CB01
4F401CB34
4F401CB35
4F401DA16
4F401EA46
(57)【要約】
【課題】基材フィルム51とコーティング層とを有する積層フィルム50において、ロールツーロールで搬送される積層フィルムからコーティング層を容易に除去できるコーティング層の除去方法を提供すること。
【解決手段】基材フィルム51と、コーティング層とを有する積層フィルム50が巻回されたロール1を準備する工程と、ロール1から、積層フィルム50を繰り出す工程と、繰り出された積層フィルム50を延伸する工程と、延伸された積層フィルム50Aを、水槽32内の温水HWに浸漬することにより、積層フィルム50Aからコーティング層を除去する工程と、コーティング層が除去された基材フィルム51をロール状に巻き取る工程と、を有し、コーティング層は、中間層及び剥離剤層を含み、中間層が基材フィルム51と剥離剤層との間に配置されている、コーティング層の除去方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、コーティング層とを有する積層フィルムが巻回されたロールを準備する工程と、
前記ロールから、前記積層フィルムを繰り出す工程と、
繰り出された前記積層フィルムを延伸する工程と、
延伸された前記積層フィルムを、水槽内の温水に浸漬することにより、前記積層フィルムから前記コーティング層を除去する工程と、
前記コーティング層が除去された前記基材フィルムをロール状に巻き取る工程と、を有し、
前記コーティング層は、中間層及び剥離剤層を含み、
前記中間層が前記基材フィルムと前記剥離剤層との間に配置されている、
コーティング層の除去方法。
【請求項2】
前記コーティング層を除去する工程は、延伸された前記積層フィルムを前記温水に浸漬させた後に、前記コーティング層を前記基材フィルムから掻き落す工程である、
請求項1に記載のコーティング層の除去方法。
【請求項3】
前記水槽の上部から前記温水をオーバーフローさせて、前記積層フィルムから
脱落した前記コーティング層のカスを前記水槽の外に排出する工程をさらに有する、
請求項1または請求項2に記載のコーティング層の除去方法。
【請求項4】
前記積層フィルムを延伸する工程は、前記積層フィルムを加熱しながら行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコーティング層の除去方法。
【請求項5】
前記コーティング層が除去された前記基材フィルムを前記温水から取り出した後、かつ前記基材フィルムをロール状に巻き取る工程の前に、前記基材フィルム上の異物を取り除く工程をさらに有する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコーティング層の除去方法。
【請求項6】
前記基材フィルムと前記中間層とが、直接接触している、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコーティング層の除去方法。
【請求項7】
前記中間層が、親水性かつ非水溶性である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコーティング層の除去方法。
【請求項8】
前記積層フィルムは、セラミックグリーンシートの製造に用いられ、前記セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムである、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコーティング層の除去方法。
【請求項9】
基材フィルムと、コーティング層とを有する積層フィルムからコーティング層を除去するコーティング層の除去装置であって、
前記積層フィルムが巻回されたロールから前記積層フィルムを繰り出す繰出手段と、
繰り出された前記積層フィルムを延伸する延伸手段と、
延伸された前記積層フィルムを温水に浸漬する水槽を備える浸漬手段と、
前記水槽から取り出された前記基材フィルムをロール状に巻き取る巻取手段と、を備える、
コーティング層の除去装置。
【請求項10】
前記浸漬手段は、前記水槽内において前記コーティング層を前記基材フィルムから掻き落す手段を備え、
前記掻き落す手段は、ブレード又はワイヤブラシである、
請求項9に記載のコーティング層の除去装置。
【請求項11】
前記浸漬手段は、前記水槽の上部から前記温水をオーバーフローさせて、前記積層フィルムから脱落した前記コーティング層のカスを前記水槽の外に排出する構造を備える、
請求項9または請求項10に記載のコーティング層の除去装置。
【請求項12】
前記延伸手段は、前記積層フィルムを加熱する加熱手段を備える、
請求項9から請求項11のいずれか一項に記載のコーティング層の除去装置。
【請求項13】
前記浸漬手段及び前記巻取手段の間に、前記基材フィルム上の異物を取り除く異物除去手段を備える、
請求項9から請求項12のいずれか一項に記載のコーティング層の除去装置。
【請求項14】
前記積層フィルムは、セラミックグリーンシートの製造に用いられ、前記セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムである、
請求項9から請求項13のいずれか一項に記載のコーティング層の除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング層の除去方法及びコーティング層の除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球資源保護や環境保護等の観点から、各種分野で、廃棄物の発生抑制、再使用、及び再生利用等の取組みを通じて、循環型社会の構築を目指す動きが活発化している。
例えば、特許文献1には、少なくとも積層フィルムを巻き出す工程と、巻き出した積層フィルム表面に温水を供給する工程と、該積層フィルムから表面積層部を剥離する工程と、剥離後のベースフィルムを巻き取る工程とを有する積層フィルムの剥離方法であって、該積層フィルム表面に温水を2秒以上接触させた後、表面積層部を剥離することを特徴とする積層フィルムの剥離方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-363140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で使用される積層フィルムは、水溶性樹脂層が非水溶性のベースフィルムと表面機能層とに挟まれた構造を有しており、積層フィルムから表面積層部(水溶性樹脂層及び表面機能層)を分離(剥離)する際のスピードが制限されるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、基材フィルムとコーティング層とを有する積層フィルムにおいて、ロールツーロールで搬送される積層フィルムからコーティング層を容易に除去できるコーティング層の除去方法及びコーティング層の除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、基材フィルムと、コーティング層とを有する積層フィルムが巻回されたロールを準備する工程と、前記ロールから、前記積層フィルムを繰り出す工程と、繰り出された前記積層フィルムを延伸する工程と、延伸された前記積層フィルムを、水槽内の温水に浸漬することにより、前記積層フィルムから前記コーティング層を除去する工程と、前記コーティング層が除去された前記基材フィルムをロール状に巻き取る工程と、を有し、前記コーティング層は、中間層及び剥離剤層を含み、前記中間層が前記基材フィルムと前記剥離剤層との間に配置されている、コーティング層の除去方法が提供される。
【0007】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去方法において、前記コーティング層を除去する工程は、延伸された前記積層フィルムを前記温水に浸漬させた後に、前記コーティング層を前記基材フィルムから掻き落す工程であることが好ましい。
【0008】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去方法において、前記水槽の上部から前記温水をオーバーフローさせて、前記積層フィルムから脱落した前記コーティング層のカスを前記水槽の外に排出する工程をさらに有することが好ましい。
【0009】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去方法において、前記積層フィルムを延伸する工程は、前記積層フィルムを加熱しながら行うことが好ましい。
【0010】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去方法において、前記コーティング層が除去された前記基材フィルムを前記温水から取り出した後、かつ前記基材フィルムをロール状に巻き取る工程の前に、前記基材フィルム上の異物を取り除く工程をさらに有することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去方法において、前記基材フィルムと前記中間層とが、直接接触していることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去方法において、前記中間層が、親水性かつ非水溶性であることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去方法において、前記積層フィルムは、セラミックグリーンシートの製造に用いられ、前記セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムであることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様によれば、基材フィルムと、コーティング層とを有する積層フィルムからコーティング層を除去するコーティング層の除去装置であって、前記積層フィルムが巻回されたロールから前記積層フィルムを繰り出す繰出手段と、繰り出された前記積層フィルムを延伸する延伸手段と、延伸された前記積層フィルムを温水に浸漬する水槽を備える浸漬手段と、前記水槽から取り出された前記基材フィルムをロール状に巻き取る巻取手段と、を備える、コーティング層の除去装置が提供される。
【0015】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去装置において、前記浸漬手段は、前記水槽内において前記コーティング層を前記基材フィルムから掻き落す手段を備え、前記掻き落す手段は、ブレード又はワイヤブラシであることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去装置において、前記浸漬手段は、前記水槽の上部から前記温水をオーバーフローさせて、前記積層フィルムから脱落した前記コーティング層のカスを前記水槽の外に排出する構造を備えることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去装置において、前記延伸手段は、前記積層フィルムを加熱する加熱手段を備えることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去装置において、前記浸漬手段及び前記巻取手段の間に、前記基材フィルム上の異物を取り除く異物除去手段を備えることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様に係るコーティング層の除去装置において、前記積層フィルムは、セラミックグリーンシートの製造に用いられ、前記セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、基材フィルムとコーティング層とを有する積層フィルムにおいて、ロールツーロールで搬送される積層フィルムからコーティング層を容易に除去できるコーティング層の除去方法及びコーティング層の除去装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るコーティング層の除去方法で用いることができる積層フィルムの断面図の一例である。
図2A】延伸工程により、図1に示す積層フィルムが長手方向に延伸されたときの、積層フィルムの断面図の一例である。
図2B】コーティング層にクラックが生じた状態を示す顕微鏡写真であり、積層フィルムをコーティング層の側から見た上面図である。
図3】第2実施形態に係るコーティング層の除去装置の一例を示す概略図である。
図4】第3実施形態に係る浸漬手段及び異物除去手段の一例の概略図である。
図5】第4実施形態に係る浸漬手段及び異物除去手段の一例の概略図である。
図6】第5実施形態に係る浸漬手段及び異物除去手段の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
(コーティング層の除去方法)
本実施形態に係るコーティング層の除去方法は、基材フィルムと、コーティング層とを有する積層フィルムが巻回されたロールを準備する工程(以下、準備工程とも称する)と、前記ロールから、前記積層フィルムを繰り出す工程(以下、繰り出し工程とも称する)と、繰り出された前記積層フィルムを延伸する工程(以下、延伸工程とも称する)と、延伸された前記積層フィルムを、水槽内の温水に浸漬することにより、前記積層フィルムから前記コーティング層を除去する工程(以下、除去工程とも称する)と、前記コーティング層が除去された前記基材フィルムをロール状に巻き取る工程(以下、巻き取り工程とも称する)と、を有する。
前記コーティング層は、中間層及び剥離剤層を含み、前記中間層が前記基材フィルムと前記剥離剤層との間に配置されている。
【0023】
図1は、本実施形態に係るコーティング層の除去方法で用いることができる積層フィルム50の断面図の一例である。
積層フィルム50は、基材フィルム51と、コーティング層52とを有する。コーティング層52は、中間層521及び剥離剤層522を含み、中間層521が基材フィルム51と剥離剤層522との間に配置されている。すなわち、積層フィルム50は、基材フィルム51と、中間層521と、剥離剤層522とがこの順に積層されている。
図1中、aは、中間層521の基材フィルム側表面を示し、bは、中間層521の剥離剤層側表面を示す。dは、剥離剤層表面を示し、cは、剥離剤層522の中間層側表面を示す。
本実施形態に係る積層フィルムにおいて、基材フィルムと中間層とが直接接触していることが好ましい。図1に示す積層フィルム50の場合、基材フィルム51と中間層521とが直接接触しており、中間層521と剥離剤層522とが直接接触している。
図2Aは、延伸工程により、図1に示す積層フィルム50が長手方向(搬送方向)に延伸されたときの、積層フィルム50Aの断面図の一例である。
図2Aには、延伸された積層フィルム50Aのコーティング層52A(中間層521A及び剥離剤層522A)に、複数のクラック523が生じている状態が示されている。図2Aの場合、中間層521A及び剥離剤層522Aの両方に、複数のクラック523が生じている。
【0024】
本実施形態において、延伸工程とは、コーティング層にクラックを生じさせる工程である。コーティング層にクラックを生じさせるとは、コーティング層の厚み方向にひび割れ(亀裂)が生じることを意味し、基材フィルムとの界面にまで到達するクラックが生じることが好ましい(例えば図2A)。
なお、コーティング層の厚み方向へのひび割れ(亀裂)は、中間層及び剥離剤層の少なくともいずれかに生じればよいが、中間層及び剥離剤層の両方に生じることが好ましい。
コーティング層に生じるクラックは、初め延伸方向に対して略直交する方向に沿って形成され、さらに延伸することにより延伸方向に沿ってクラックが生じる。コーティング層にクラックが生じることで、次の工程で積層フィルムを温水に浸漬させる際に、コーティング層への温水の浸潤面積が増えるため、コーティング層の分離(剥離)のスピードを速くすることができる。
なお、特許文献1で使用される積層フィルムは、延伸工程を経ずに、積層フィルムを温水へ浸漬させるため、本実施形態の除去方法に比べ、表面積層部(水溶性樹脂層及び表面機能層)の分離(剥離)のスピードが遅くなると考えられる。
積層フィルムを延伸することにより、基材フィルム上のコーティング層がクラックによって外周を囲まれた小片状となることが好ましい。図2Bは、コーティング層にクラックが生じた状態を示す顕微鏡写真であり、積層フィルムをコーティング層の側から見た上面図である。
また、コーティング層にクラックが生じるときの衝撃で、基材フィルムとコーティング層に部分的に剥離が生じる場合がある。図2Bの顕微鏡写真において、多角形の外周が白く見える箇所は、クラックの近傍でコーティング層が基材フィルムとの界面で浮き剥がれ、空気を巻き込んだ箇所である。このような剥離が生じれば、次の工程で積層フィルムを温水に浸漬させる際に、コーティング層への温水の浸潤面積がより増えるため、コーティング層の分離(剥離)のスピードをより速くすることができる。
また、本実施形態に係るコーティング層の除去方法によれば、ロールツーロール方式で連続して各工程を実施するため、コーティング層の除去及び基材フィルムの巻き取りを効率よく行うことができる。
【0025】
本実施形態に係る積層フィルムにおいて、中間層は親水性かつ非水溶性であることが好ましい。図1及び図2Aを用いて説明する。
中間層が親水性である場合、本実施形態の効果(積層フィルムからコーティング層を容易に除去できる効果)がより発現される。その理由は以下のように考えられる。
延伸工程を実施する前の積層フィルム50において、中間層521は、主に、水素結合とアンカー効果とによって、基材フィルム51と密着している(図1)。延伸工程を実施した後の積層フィルム50Aは、中間層521A及び剥離剤層522Aに複数のクラック523が生じる(図2A)。除去工程では、図2Aに示す積層フィルム50Aが温水に浸漬され搬送される。その際に、中間層521Aが親水性であると、基材フィルム51と中間層521Aとの界面にクラック523を介して温水がより浸潤し易くなり、中間層521A及び基材フィルム51の間の水素結合及びアンカー効果が弱められる。その結果、中間層521Aが剥離剤層522Aと共に基材フィルム51からより剥がれ易くなる。
【0026】
中間層が非水溶性である場合、中間層521Aの成分が温水中に溶出することが抑制される。よって、中間層521Aが非水溶性であることで、コーティング層52Aを除去する工程(除去工程)で使用する温水の汚染を防止でき、当該温水を再利用し易くなる。
【0027】
本明細書において、中間層が「親水性」であるか否かは、中間層の基材フィルム側表面の水の接触角が55度以下である場合、当該中間層は親水性であると判断する。
図1で示す積層フィルム50の場合、中間層521の基材フィルム側表面(図1中、符号a)の水の接触角が55度以下である場合、当該中間層521は親水性である。
また、基材フィルムの分離性の促進の観点から、当該接触角は、好ましくは50度以下、より好ましくは45度以下である。当該接触角は、積層フィルムから基材フィルムを分離させた後、すなわち、中間層を水と接触させ、中間層と基材フィルムとの界面を剥離させた後、中間層の基材フィルムに接触していた面(剥離面)の、水の接触角を測定して得られる値である。
【0028】
具体的には、以下の方法で、基材フィルムから中間層を分離し中間層の基材フィルム側表面の水の接触角を測定する。得られた値を中間層の基材フィルム側表面の水の接触角とする。
積層フィルムの剥離剤層表面に、幅50mmの粘着テープ(日東電工株式会社製、製品名「ポリエステル粘着テープNo.31B」)を貼付し、その後、50mm×50mmのサイズに裁断して試験片を作製する。
次いで、容量500mLのガラス製ビーカーに300mLの温水を充填し、試験片全体を90℃の温水中に浸漬して3時間放置する。その後、試験片が、剥離剤層と中間層が一体となって粘着テープに担持された積層体と、基材フィルムとに分離されていることを確認し、剥離剤層と中間層を担持した粘着テープを温水中から取り出し、室温下で24時間乾燥させる。その後、粘着テープ上に担持されている中間層の表面(基材フィルム表面に接触していた中間層の表面)について接触角を測定する。接触角は、接触角計(協和界面科学株式会社製、製品名「DM-701」)を使用し、静滴法によってJIS R3257:1999に準じて測定する。液滴については、蒸留水を使用する。
【0029】
本明細書において、中間層が「非水溶性」であるか否かは、以下の方法を用いて測定される剥離剤層表面(図1中、符号d)の水の接触角と、中間層の基材フィルム側表面(図1中、符号a)の水の接触角との差が30度以上である場合、当該中間層は非水溶性であると判断する。当該接触角の差は、好ましくは40度以上、より好ましくは50度以上である。この差の値が小さい場合は、中間層を構成する成分が水に溶出して、部分的に表出した剥離剤層を測定したことを意味する。
また、剥離剤層表面の水の接触角は特に制限はないが、通常80度以上を示し、好ましくは85度以上、より好ましくは90度以上である。また、剥離剤層表面の水の接触角の上限値は通常150度であり、好ましくは140度であり、より好ましくは130度である。
剥離剤層表面の水の接触角は、接触角計(協和界面科学株式会社製、製品名「DM-701」)を使用し、静滴法によってJIS R3257:1999に準じて測定される。液滴については、蒸留水を使用する。
【0030】
基材フィルム、中間層及び剥離剤層の詳細については後述する。
【0031】
本実施形態に係るコーティング層の除去方法は、例えば、第2実施形態から第5実施形態に係るコーティング層の除去装置を用いて実施できる。
始めに、第2実施形態に係るコーティング層の除去装置100について説明する。
【0032】
〔第2実施形態〕
〔コーティング層の除去装置100〕
図3は、第2実施形態に係るコーティング層の除去装置100の一例の概略図である。
以下では、延伸された積層フィルムを「延伸後の積層フィルム」と称し、延伸されたコーティング層を「延伸後のコーティング層」と称することがある。
図3におけるX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸、及びY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は前記所定平面に直交する軸とする。
【0033】
第2実施形態に係るコーティング層の除去装置100は、基材フィルム51と、コーティング層52とを有する積層フィルム50からコーティング層52を除去するコーティング層の除去装置100であって、積層フィルム50が巻回されたロール1から積層フィルム50を繰り出す繰出手段10と、繰り出された積層フィルム50を延伸する延伸手段20と、延伸された積層フィルム50Aを温水HWに浸漬する水槽32を備える浸漬手段30と、水槽32から取り出された基材フィルム51をロール状に巻き取る巻取手段40と、を備えている。
また、除去装置100は、浸漬手段30及び巻取手段40の間に、基材フィルム51上の異物を取り除く異物除去手段70を備えている。
【0034】
除去装置100に適用される積層フィルム50は、セラミックグリーンシートの製造に用いられ、セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムであることが好ましい。このようにして製造されたセラミックグリーンシートは、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の製造に用いられることが好ましい。
【0035】
<繰出手段10>
繰出手段10は、積層フィルム50が巻回されたロール1と、ロール1を回転自在に指示する支持部材(不図示)と、駆動ローラ(不図示)とを備えている。
【0036】
<延伸手段20>
延伸手段20は、第1延伸ロール3Aと、第1延伸ロール3Aよりも下流側に設けられた第2延伸ロール3Bと、第1延伸ロール3A及び第2延伸ロール3Bの周速を制御する周速制御手段3Cと、第1延伸ロール3A及び第2延伸ロール3Bにそれぞれ対向して設けられた第1ニップロール2A及び第2ニップロール2Bと、を備えている。
第1延伸ロール3A及び第2延伸ロール3Bのそれぞれの軸部には、駆動モータM1,M2が接続されている。周速制御手段3Cはこれらの駆動モータM1,M2を制御することで、第1延伸ロール3A及び第2延伸ロール3Bの周速を制御する。周速制御手段3Cは、例えばコンピュータ等である。
【0037】
延伸手段20は、積層フィルム50を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。
加熱手段としては特に限定されないが、例えば、赤外線ヒータ、ハロゲンヒータ、UVランプ、及び熱風発生装置等が挙げられる。
加熱手段は、基材フィルムを延伸させ易くする観点から、積層フィルム50の基材フィルム51の側に配置され、基材フィルム51の側から積層フィルム50を加熱することが好ましい。加熱手段は、積層フィルム50のコーティング層52の側に配置され、コーティング層52の側から積層フィルム50を加熱してもよい。
図3の場合、第1延伸ロール3Aから第2延伸ロール3Bの間に、積層フィルム50を基材フィルム51の側から加熱する加熱手段60が設けられている。
【0038】
<浸漬手段30>
浸漬手段30は、延伸された積層フィルム50Aを温水HWに浸漬する水槽32を備える。水槽32は耐熱性の水槽である。
図3の場合、浸漬手段30は、温水HWを貯留する水槽32と、温水HW中に配置され、延伸後の積層フィルム50Aを巻き掛けて搬送する複数のガイドロール31とを備えている。
温水HW中に配置されるガイドロール31の数は、水槽のサイズに合わせて適宜決定される。ガイドロール31の数は、通常2本以上である。
浸漬手段30は、温水を所定温度に調整する加熱手段を備えることが好ましい。
加熱手段は、水槽32の内部に設けられてもよいし(例えば図6)、水槽32の外部に設けられてもよい。加熱手段としては公知のヒータを用いることができる。
浸漬手段30は、基材フィルムから脱落して温水HWへ放出されたコーティング層のカスを、水槽32の所定の位置に誘導するための水流誘導手段を備えることが好ましい。
所定の位置とは、コーティング層のカスを回収し易い位置のことであり、例えば、水槽32の上部端が挙げられる。
水流誘導手段としては、例えば、回転羽根、及びポンプ等が挙げられる。
図3の場合、水流誘導手段は、水槽32の上面から水面を見た時(Z軸方向とは反対の方向(-Z軸方向)から見た時)に、複数のガイドロール31が配置されていない領域(例えば水槽32の上部端)へコーティング層のカスを誘導することが好ましい。
浸漬手段30が水流誘導手段を備えることで、コーティング層のカスを効率よく回収できる。
【0039】
<異物除去手段70>
異物除去手段70は、浸漬手段30及び巻取手段40の間に設けられ、水槽32から取り出された基材フィルム51上の異物を取り除く手段である。
異物とは、例えば、基材フィルム51上に残存するコーティング層、及び基材フィルム51上に付着した水滴である。
異物除去手段70としては特に限定されないが、例えば、エアーナイフ及びドライヤー等が挙げられる。異物除去手段70は、少なくとも、基材フィルム51に対し、コーティング層52Aが設けられていた側に配置されればよい。
図3の場合、異物除去手段70は、エアーナイフ71であり、基材フィルム51を間に挟んで対向して設けられている。エアーナイフ71は、水槽32から取り出された基材フィルム51の両面に空気を吹き付け、基材フィルム51上に残存するコーティング層、及び基材フィルム51上に付着した水滴を除去する。
異物除去手段がドライヤーの場合は、基材フィルム51に熱風を吹き付ける。
【0040】
<巻取手段40>
巻取手段40は、水槽32から取り出された基材フィルム51をロール状に巻き取るための巻き取りロール4と、巻き取りロール4を回転自在に支持する支持部材(不図示)と、駆動ローラ(不図示)とを備えている。
【0041】
第2実施形態に係るコーティング層の除去装置100を用いた場合、第1実施形態に係るコーティング層の除去方法は、例えば、以下の工程を経て実施される。
【0042】
<準備工程>
準備工程は、基材フィルム51とコーティング層52とを有する積層フィルム50が巻回されたロール1を準備する工程である。
準備工程は、予め製造されたロール(積層フィルム50が巻回されたロール1)を単に準備するだけの工程であってもよいし、積層フィルム50が巻回されたロール1を製造する工程であってもよい。
積層フィルム50は、セラミックグリーンシートの製造に用いられ、前記セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムであることが好ましい。
【0043】
<繰り出し工程>
繰り出し工程は、積層フィルム50が巻回されたロール1から、積層フィルム50を繰り出す工程である。
図3の場合、繰出手段10によりロール1から繰り出された積層フィルム50は、第1ニップロール2Aへ向かって(図3中、X軸方向)搬送される。
図3中、領域R1における積層フィルムの拡大図は、例えば図1を上下方向に180°回転させた図で示される。
ロール1から繰り出された積層フィルム50は、図3の領域R1では、Z軸方向に向かって基材フィルム51と、中間層521と、剥離剤層522とがこの順に積層されている。
【0044】
<延伸工程>
延伸工程は、積層フィルム50を延伸する工程である。
図3の場合、ロール1から繰り出された積層フィルム50は、第1ニップロール2A及び第1延伸ロール3Aを略S字状に湾曲しながら通過した後、第1延伸ロール3Aから第2延伸ロール3Bまで積層フィルム50が搬送される領域R2で延伸される。延伸工程により、コーティング層52には、クラックが生じる。図3中、領域R2における延伸後の積層フィルム50Aの拡大図は、例えば図2Aを上下方向に180°回転させた図で示される。また、領域R2における延伸後の積層フィルム50AをZ軸から見た状態は、例えば図2Bで示される。
積層フィルム50を延伸する方法としては、例えば、
・搬送経路の下流側に設けられた第2延伸ロール3Bの周速を、搬送経路の上流側に設けられた第1延伸ロール3Aの周速よりも速くなるように制御する方法、及び
・第1延伸ロール3Aから第2延伸ロール3Bまでの間に他の延伸ロールを1以上設け、積層フィルム50を第1延伸ロール3A、他の延伸ロール及び第2延伸ロール3Bに巻き掛けながら搬送する方法等が挙げられる。
積層フィルム50を延伸する方法としては、搬送経路の下流側に設けられた第2延伸ロール3Bの周速を、搬送経路の上流側に設けられた第1延伸ロール3Aの周速よりも速くなるように制御する方法が好ましい。
【0045】
延伸工程は、積層フィルム50を加熱しながら行うことが好ましい。
図3の場合、積層フィルム50が第1延伸ロール3Aから第2延伸ロール3Bまで搬送される領域R2において、積層フィルム50は基材フィルム51の側から加熱手段60を用いて加熱される。
積層フィルム50を加熱しながら延伸工程を実施することで、延伸工程を常温で実施する場合に比べ、コーティング層52(中間層521及び剥離剤層522)にクラックが生じ易くなる。
延伸工程における加熱は、積層フィルム50として、例えば、セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムを用いる場合に、より効果を発現する。
セラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルム、すなわち、使用済の積層フィルムには、セラミックグリーンシートごとに打ち抜き加工が施され、残された表面に微小な切れ目が生じることがあり、この微小な切れ目を起点に積層フィルムの破断が生じ易くなる。よって、使用済の積層フィルムを用いる場合には、積層フィルムを加熱しながら延伸工程を実施することで、積層フィルムの破断が生じにくくなる。その結果、積層フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートが所定サイズにカットされ、そしてセラミックグリーンシートが剥離された後の積層フィルムを用いた場合でも、ロールツーロール方式でコーティング層の除去及び基材フィルムの巻き取りを問題なく完遂し得る。
【0046】
積層フィルム50を加熱する際の加熱温度及び加熱時間は、基材フィルム51及びコーティング層52(中間層521及び剥離剤層522)の材質により決定される。
【0047】
積層フィルム50の加熱は、以下の理由により、基材フィルム51のガラス転移温度Tg以上の温度で行うことが好ましい。
積層フィルム50における基材フィルム51のガラス転移温度Tg、およびコーティング層52のガラス転移温度Tgは、JIS K7121(2012)に定められている方法に準拠して求められ、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する。尚、延伸時の温度は、基材フィルム51を破断せずに延伸し易くさせ、一方でコーティング層52を破断し易くさせるため、基材フィルム51のガラス転移温度Tg以上が好ましく、基材フィルム51のガラス転移温度Tg以上かつコーティング層52のガラス転移温度Tg以下がより好ましい。
【0048】
<除去工程>
除去工程は、延伸された積層フィルム50Aを、水槽32内の温水HWに浸漬することにより、前記積層フィルム50Aからコーティング層(延伸後のコーティング層52A)を除去する工程である。
延伸工程で延伸された積層フィルム50Aは、第2延伸ロール3B及び第2ニップロール2Bを略S字状に湾曲してガイドロール31aを通過した後、水槽32内の温水HWに浸漬される。
前記積層フィルム50Aは、温水HW中に設けられた複数のガイドロール31に順に巻き掛けられて温水HW中を搬送される。この搬送過程で、コーティング層(延伸後のコーティング層52A)は基材フィルムから脱落し、温水HW中へ放出される。
温水HWの温度は、例えば、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。また、100℃未満が好ましく、98℃以下がより好ましい。
【0049】
<異物除去工程>
第1実施形態に係るコーティング層の除去方法は、コーティング層が除去された基材フィルムを温水から取り出した後、かつ基材フィルムをロール状に巻き取る工程の前に、基材フィルム上の異物を取り除く工程(以下、異物除去工程とも称する)をさらに有する。
図3の場合、異物除去工程は、温水から取り出された基材フィルム51の両面に、エアーナイフ71(異物除去手段70の一例)の吹出口(不図示)から空気を吹き付けることにより、基材フィルム51上の異物を取り除く工程である。
異物除去工程の実施により、基材フィルム51上に残存するコーティング層、及び基材フィルム51上に付着した水滴が除去される。
【0050】
<巻き取り工程>
巻き取り工程は、コーティング層(延伸後のコーティング層52A)が除去された基材フィルム51をロール状に巻き取る工程である。
図3の場合、エアーナイフ71により異物が取り除かれた基材フィルム51は、ガイドロール31bを通過後、巻き取りロール4によってロール状に巻き取られる。
【0051】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係るコーティング層の除去装置は、第2実施形態に係る除去装置100に対し、浸漬手段及び異物除去手段を図4に示す浸漬手段30A及び異物除去手段70Aに変更した以外、第2実施形態と同様である。
第3実施形態では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
図4は、第3実施形態に係る浸漬手段及び異物除去手段の一例の概略図である。
【0052】
<浸漬手段30A>
浸漬手段30Aは、水槽32内において、コーティング層(延伸後のコーティング層52A)を基材フィルム51から掻き落す手段80を備えている。
図4の場合、掻き落す手段80は、ブレード81である、
ブレード81は、延伸後の積層フィルム50Aの片面(延伸後のコーティング層52Aが設けられている側の面)に前記積層フィルム50Aと当接するように設けられている。
ブレード81の配置位置は特に限定されないが、図4のように水槽32内における搬送経路の下流側に設けることが好ましい。ブレード81を搬送経路の下流側に設けることで、水の浸漬が十分に行われた後にコーティング層を掻き落すことができ、また掻き落されたコーティング層のカスが付着しそうな面を少なくできる。ブレード81は、2以上設けられていてもよい。ブレード81の材質は特に限定されない。
【0053】
<異物除去手段70A>
図4の場合、異物除去手段70Aは、エアーナイフ71と、さらに高圧水流ノズル72とを備える。
高圧水流ノズル72は、水槽32から排出された基材フィルム51の両面に高圧水流を噴射して、基材フィルム51上に残存するコーティング層を除去する。
【0054】
第3実施形態に係るコーティング層の除去装置を用いた場合、第1実施形態に係るコーティング層の除去方法は、以下の工程以外、第2実施形態と同様に実施される。
【0055】
<除去工程>
除去工程は、延伸後のコーティング層52Aを温水HWに浸漬させた後に、ブレード81(掻き落す手段80の一例)を用いて、前記コーティング層52Aを基材フィルム51から掻き落す工程である。
延伸後の積層フィルム50Aは、温水HW中を搬送する過程で、コーティング層(延伸後のコーティング層52A)が基材フィルムから脱落するが、図4の場合、さらにブレード81により、前記コーティング層52Aが基材フィルム51から掻き落とされる。これにより、コーティング層52Aが基材フィルム51上により残存しにくくなる。
【0056】
<異物除去工程>
図4の場合、異物除去工程は、エアーナイフ71と、高圧水流ノズル72とを用いて実施される。
まず、温水から取り出された基材フィルム51の両面に、高圧水流ノズル72から高圧水流を噴射することにより、基材フィルム51上に残存するコーティング層が除去される。続いて、エアーナイフ71の吹出口(不図示)から基材フィルム51の両面に空気を吹き付けることにより、基材フィルム51上に付着した水滴が除去される。
【0057】
〔第4実施形態〕
〔コーティング層の除去装置〕
第4実施形態に係るコーティング層の除去装置は、第3実施形態に係る除去装置に対し、異物除去手段を図5に示す異物除去手段70Bに変更した以外、第3実施形態と同様である。
第4実施形態では、第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
図5は、第4実施形態に係る浸漬手段及び異物除去手段の一例の概略図である。
【0058】
<異物除去手段70B>
図5の場合、異物除去手段70Bは、高圧水流ノズル72と、高圧水流ノズル72よりも搬送経路の下流側に設けられた一対の吸水ロール73a,73bとを備える。吸水ロール73a,73bには、それぞれ対向して一対の金属ロール74a,74bが設けられている。
一対の吸水ロール73a,73bは、水槽32から排出された基材フィルム51を間に挟んで対向して設けられている。
吸水ロール73a,73b及び金属ロール74a,74bの材質は特に限定されない。
【0059】
第4実施形態に係るコーティング層の除去装置を用いた場合、以下の工程以外、第3実施形態と同様に実施される。
【0060】
<異物除去工程>
図5の場合、異物除去工程は、高圧水流ノズル72と、吸水ロール73a,73bとを用いて実施される。
まず、第3実施形態と同様に、温水から取り出された基材フィルム51の両面に、高圧水流ノズル72から高圧水流を噴射することにより、基材フィルム51上に残存するコーティング層が除去される。続いて、基材フィルム51上に付着した水滴が吸水ロール73a,73bに吸水される。吸水ロール73a,73bに吸水された水分は、吸水ロール73a,73bへの金属ロール74a,74bの押圧により、それぞれ押し出される。図4の場合、吸水ロール73a,73bから押し出された水分は、水槽32中へ滴下する。
【0061】
〔第5実施形態〕
〔コーティング層の除去装置〕
第5実施形態に係るコーティング層の除去装置は、第4実施形態に係る除去装置に対し、浸漬手段30Aを図6に示す浸漬手段30Cに変更した以外、第4実施形態と同様である。
第5実施形態では、第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
図6は、第5実施形態に係る浸漬手段及び異物除去手段の一例の概略図である。
【0062】
<浸漬手段30C>
浸漬手段30Cは、水槽32内において、コーティング層(延伸後のコーティング層52A)を基材フィルム51から掻き落す手段80と、水槽32の上部から温水HWをオーバーフローさせて、前記積層フィルム50Aから脱落した前記コーティング層52Aのカスを水槽32の外に排出する構造(以下、排出構造とも称する)と、を備えている。
図6の場合、掻き落す手段80は、ワイヤブラシ82である。ワイヤブラシ82は、積層フィルム(延伸後の積層フィルム50A)を間に挟んで、ガイドロール31cと対向して設けられている。ワイヤブラシ82は、積層フィルム50Aの片面(前記コーティング層52Aが設けられている側の面)に積層フィルム50Aと当接するように設けられている。ワイヤブラシ82の配置位置は特に限定されないが、図6のように水槽32内における搬送経路の下流側に設けることが好ましい。ワイヤブラシ82を搬送経路の下流側に設けることで、水の浸漬が十分に行われた後にコーティング層を掻き落すことができ、また掻き落されたコーティング層のカスが付着しそうな面を少なくできる。ワイヤブラシ82は、2以上設けられていてもよい。
また、浸漬手段30Cは、温水を所定温度に調整する加熱手段95を備えている。加熱手段95は水槽32の内部に設けられている。
排出構造は、水槽32に隣接して設けられたコーティング分離槽90と、コーティング分離槽90の排水口93Aから排出された温水が循環する循環路93と、前記温水を循環させる循環ポンプPと、を有する。
コーティング分離槽90は、コーティング層のカスをろ過するフィルター92と、排水口93Aとを有する。
循環路93は、コーティング分離槽90の排水口93Aと、水槽32上部に配置された注入口93Bとを接続する。
フィルター92の孔径は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0063】
第5実施形態に係るコーティング層の除去装置を用いた場合、以下の工程以外、第4実施形態と同様に実施される。
【0064】
<除去工程>
除去工程は、延伸後のコーティング層52Aを温水HWに浸漬させた後に、ワイヤブラシ82(掻き落す手段80の一例)を用いて、前記コーティング層52Aを基材フィルム51から掻き落す工程である。
延伸後の積層フィルム50Aは、温水HW中を搬送する過程で、コーティング層(延伸後のコーティング層52A)が基材フィルムから脱落するが、図6の場合、さらにワイヤブラシ82により、前記コーティング層52Aが基材フィルム51から掻き落とされる。これにより、コーティング層52Aが基材フィルム51上により残存しにくくなる。
【0065】
<コーティング層排出工程>
第5実施形態に係るコーティング層の除去方法は、水槽の上部から温水をオーバーフローさせて、積層フィルムから脱落したコーティング層のカスを水槽の外に排出する工程(コーティング層排出工程)をさらに有する。
温水をオーバーフローさせる方法としては、例えば、オーバーフロー用の注入管から水槽内に温水又は水を注水する方法、水槽から排出された温水を循環させて当該温水を再び水槽へ供給する方法、及びこれらの方法を併用する方法等が挙げられる。
図6の場合、積層フィルム(延伸後の積層フィルム50A)から脱落したコーティング層のカスは温水HWと共に、水槽32からオーバーフローされコーティング分離槽90に排出される(コーティング層排出工程)。
コーティング分離槽90においては、コーティング層のカスがフィルター92でろ過される。フィルター92でろ過された後の温水は、コーティング分離槽90の排水口93Aから排出され、循環路93を流通して注入口93Bから再び水槽32へ供給される。
【0066】
第5実施形態によれば、除去工程で使用した温水を簡易な方法で再利用することができる。また、中間層が非水溶性である場合には、中間層の成分が温水中に溶出することが抑制されるため、温水の汚染も防止することができる。
【0067】
〔実施形態の変形例〕
例えば、第3実施形態又は第4実施形態に係る除去装置において、コーティング層(延伸後のコーティング層52A)を基材フィルム51から掻き落す手段80としてのブレード81を、第5実施形態で用いたワイヤブラシ82に変更してもよい。
ワイヤブラシ82は、図6に示すように、積層フィルム(延伸後の積層フィルム50A)を間に挟んで、ガイドロール31cと対向して設けられることが好ましい。
第2実施形態から第5実施形態に係る除去装置において、加熱手段60は、繰出手段10及び第1延伸ロール3Aの間に設けられてもよい。すなわち、加熱手段60は、積層フィルム50が延伸される前に、積層フィルム50を加熱するように配置されることも好ましい。この場合、第1実施形態に係る除去方法は、繰り出し工程の後、かつ延伸工程の前に、積層フィルム50を加熱する工程をさらに有する。延伸工程を実施する前に積層フィルム50を加熱することで、コーティング層52(中間層521及び剥離剤層522)にクラックが生じ易くなる。
【0068】
第2実施形態から第5実施形態に係る除去装置において、ロール1から繰り出された積層フィルム50は、図3の領域R1において、Z軸方向に向かって基材フィルム51、中間層521及び剥離剤層522の順に積層された方向となっているが、上下が逆の積層順となる方向であってもよい。
第3実施形態から第5実施形態に係る除去装置において、掻き落す手段80(ブレード81又はワイヤブラシ82)は、延伸後の積層フィルム50Aの片面に前記積層フィルム50Aと当接するように設けられているがこれに限定されない。例えば、掻き落す手段80は、延伸後の積層フィルム50Aの両面に前記積層フィルム50Aと当接するように設けられていてもよい。
第3実施形態から第5実施形態に係る除去装置において、掻き落す手段80(ブレード81又はワイヤブラシ82)は、水槽32内における搬送経路の下流側に設けられているがこれに限定されない、例えば、水槽32内における搬送経路の上流側又は中央付近に設けられていてもよい。
本発明は、前記実施形態に限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良等を含むことができる。
【0069】
第1実施形態に係るコーティング層の除去方法、及び第2実施形態から第5実施形態に係るコーティング層の除去装置に用いられる積層フィルムの構成について説明する。
【0070】
〔積層フィルム〕
前述のいずれかの実施形態で用いる積層フィルムは、基材フィルムと、コーティング層とを有する。コーティング層は、中間層及び剥離剤層を含む。中間層は、基材フィルムと剥離剤層との間に配置されている。
中間層は単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の中間層からなる複層であってもよい。剥離剤層は単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の剥離剤層からなる複層であってもよい。
積層フィルムは、当該積層フィルムからコーティング層を除去し、残存する基材フィルムを回収し易くする観点から、基材フィルムと中間層とが、直接積層している構成であることが好ましい。ここで、「直接積層」とは、例えば、基材フィルムと、中間層との間に、他の層を有さずに、各層が互いに直接接触している構成を指す。
また、積層フィルムの一態様としては、基材フィルムと、中間層と、剥離剤層とがこの順で直接積層していてもよい。すなわち、基材フィルムと、中間層と、剥離剤層との間に、他の層を有さずに、各層が互いに直接接触している構成であってもよい。
【0071】
<基材フィルム>
基材フィルムは、回収を予定している樹脂成分が製膜された樹脂フィルムが使用される。
樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリアセテートフィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム;エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム;シクロオレフィンポリマーフィルム;ポリウレタンフィルム;ポリフェニレンスルフィドフィルム;セロハン;等を用いることができる。
これらの中でも、耐熱性及び強度の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムとしては、樹脂の回収及び再生がし易い観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートのいずれかを主たる構成成分とするポリエステルフィルムが好ましい。
また、樹脂フィルムは、公知のフィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、及び触媒等を含有してもよい。また、樹脂フィルムは、透明なものであっても、所望により着色等されていてもよい。また、基材フィルムの少なくとも1つの表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、及び酸化等のエッチング処理等の表面処理を必要に応じて施してもよい。
【0072】
基材フィルムの厚さは、特に制限はないが、強度、剛性等の観点から、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは15μm以上300μm以下、更に好ましくは20μm以上200μm以下である。
【0073】
<剥離剤層>
前記剥離剤層は、剥離剤組成物から形成された層であることが好ましい。
前記剥離剤層の形成に用いられる剥離剤組成物としては、剥離性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、シリコーン系化合物;フッ素化合物;長鎖アルキル基含有化合物;オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂などの熱可塑性樹脂材料;などを主成分とする剥離剤組成物を用いることができる。また、エネルギー線硬化型又は熱硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物を使用することが好ましい。これらの剥離剤組成物は、1種を単独で用いてもよく、又は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
シリコーン系化合物を主成分とする剥離剤組成物において、前記シリコーン系化合物としては、基本骨格としてオルガノポリシロキサンを有するシリコーン系化合物が挙げられる。また、前記シリコーン系化合物としては、付加反応型及び縮合反応型などの熱硬化型シリコーン系化合物;紫外線硬化型、及び電子線硬化型などのエネルギー線硬化型シリコーン系化合物;などが挙げられる。
【0075】
フッ素化合物を主成分とする剥離剤組成物において、前記フッ素化合物としては、フッ素シリコーン化合物、フッ素ボロン化合物、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖含有化合物などが挙げられる。
【0076】
長鎖アルキル基含有化合物を主成分とする剥離剤組成物において、前記長鎖アルキル基含有化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール系重合体に、長鎖アルキルイソシアネートを反応させて得られたポリビニルカーバメートや、ポリエチレンイミンに、長鎖アルキルイソシアネートを反応させて得られたアルキル尿素誘導体、あるいは長鎖アルキル(メタ)アクリレートの共重合体などが挙げられる。さらに、多価アルコールと多塩基酸との縮合反応によって得られるアルキド樹脂に、長鎖脂肪酸を変性剤として用いた長鎖アルキル変性アルキッド樹脂が用いられてもよい。
【0077】
エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基及びマレイミド基から選択される反応性官能基を有するエネルギー線硬化性化合物と、ポリオルガノシロキサンとを含むものが好ましい。この剥離剤組成物により形成された剥離剤層においては、相互に分子構造、極性、分子量が異なるエネルギー線硬化性化合物及びポリオルガノシロキサンを用いているので、硬化前にポリオルガノシロキサンに由来する成分が剥離剤層の外表面付近に偏析した状態となり、その後エネルギー線により硬化し偏析が固定化する。これにより、剥離剤層の剥離性を向上することができる。エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、更に、光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0078】
熱硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、例えば、メラミン樹脂を主成分とする剥離剤組成物やエポキシ樹脂を主成分とする剥離剤組成物が挙げられる。メラミン樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、主剤であるメラミン樹脂、メラミン樹脂を熱硬化させる酸触媒、及び剥離剤層に剥離性を付与するポリオルガノシロキサンを含む組成物が挙げられる。また、エポキシ樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、主剤であるエポキシ樹脂、エポキシ樹脂を熱硬化させる酸又は塩基性の熱硬化触媒、及び剥離剤層に剥離性を付与するポリオルガノシロキサンを含む組成物が挙げられる。硬化前にポリオルガノシロキサンに由来する成分が剥離剤層の外表面付近に偏析した状態となり、その後硬化して偏析が固定化する。これにより、剥離剤層の剥離性を向上することができる。
【0079】
また、前記剥離剤層には、前述の樹脂成分以外に、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、老化防止剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、可塑剤等が挙げられる。
【0080】
剥離剤層の厚さは、適宜、選択することが可能であり、特に制限はないが、例えば、好ましくは0.02μm以上5μm以下、より好ましくは0.03μm以上2μm以下、更に好ましくは0.05μm以上1.5μm以下である。
【0081】
<中間層>
前記中間層としては、親水性かつ非水溶性を示し、中間層の基材フィルム側表面からコーティング層をより容易に除去する観点から、加水分解により重縮合性を示すシラン系化合物からなる層であることが好ましい。
【0082】
前記シラン系化合物としては、下記一般式(a)で表される4官能シラン系化合物及びそのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことが好ましい。
Si(OR)P (X)4-P (a)
〔一般式(a)中、Rはアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R及びXが複数存在する場合、複数のR及びXは、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0以上4以下の整数を表す。〕
アルキル基の炭素数は、1以上4以下であることが好ましい。
なお、前記一般式(a)で表されるシラン系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
また、前記一般式(a)で表されるシラン系化合物としては、前記一般式(a)中のpが4であるシラン系化合物を含むことが好ましい。
前記一般式(a)中のpが4であるシラン系化合物(すなわち4官能シラン系化合物)は、テトラアルコキシシランであることが好ましい。前記テトラアルコキシシランのより好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易性及び加水分解反応の反応性の観点から、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランの少なくとも一方、又は、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランの混合物であることが好ましい。
【0084】
前記シラン系化合物の加水分解重縮合物としては市販品を用いることもでき、当該市販品の好適例としては、「コルコート(登録商標)N-103X」、「コルコート(登録商標)PX」、テトラメトキシシランの平均4量体オリゴマーである「メチルシリケート51」、テトラメトキシシランの平均7量体オリゴマーである「メチルシリケート53A」、テトラエトキシシランの平均5量体オリゴマーである「エチルシリケート40」、テトラエトキシシランの平均10量体オリゴマーである「エチルシリケート48」、テトラメトキシシランの平均10量体オリゴマーと、テトラエトキシシランの平均10量体オリゴマーとの混合物である「EMS-485」(いずれも、コルコート株式会社製)等が挙げられる。
【0085】
前記中間層の厚さは、中間層が水と接した際に、水が浸潤し易くなる観点から、好ましくは0.01μm以上1μm以下、より好ましくは0.03μm以上0.5μm以下、更に好ましくは0.05μm以上0.3μm以下である。
【0086】
本発明の各実施形態で用いられる積層フィルムが、親水性かつ非水溶性の中間層をもつことにより、除去されたコーティング層のカスは、剥離剤層表面と親水性の中間層表面を持つ構成となる。この構成のカスを水に浸漬すると、表面張力により剥離剤層表面が空気に対面し、中間層表面が水に対向することで安定する。すなわち、この構成のカスは水中よりも水と空気の境界に存在しやすい。ここで、コーティング層のカスは極薄の膜なので少々密度が大きくても表面張力による浮力が勝り、さらに中間層が非水溶性であることで水の表面に浮き続けることができると考えられる。
【0087】
各実施形態で用いられる積層フィルムは、一般に、特定の用途に用いられる他の機能性シートや各種部品の製造、運搬、保管時等に、これらの機能性シートや部品の表面を保護する目的等で用いられる。実際にこれらの部品等の保護の役目を果たした後は、表面から剥離され、廃棄されることも多い。そのため、前記積層フィルムを用いることで、積層フィルムからコーティング層と基材フィルムとを容易に分離することができるため、資源保護、環境保護の観点からも、貢献度の高い用途である。
【符号の説明】
【0088】
1…ロール、2A…第1ニップロール、2B…第2ニップロール、3A…第1延伸ロール、3B…第2延伸ロール、3C…周速制御手段、4…巻き取りロール、10…繰出手段、20…延伸手段、30,30A,30C…浸漬手段、31,31a,31b,31c…ガイドロール、32…水槽、40…巻取手段、50,50A…積層フィルム、51…基材フィルム、52,52A…コーティング層、60…加熱手段、70,70A,70B…異物除去手段、71…エアーナイフ、72…高圧水流ノズル、73a,73b…吸水ロール、74a,74b…金属ロール、80…掻き落す手段、81…ブレード、82…ワイヤブラシ、90…コーティング分離槽、92…フィルター、93…循環路、93A…排水口、93B…注入口、95…加熱手段、100…除去装置、521,521A…中間層、522,522A…剥離剤層、523…クラック。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6