(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148870
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】シートヒータ制御装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20231005BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20231005BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60H1/22 611D
B60H1/00 102Q
B60H1/32 623Z
B60H1/32 623F
B60H1/32 623G
B60H1/00 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057142
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末松 洋路
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA02
3L211BA32
3L211DA50
3L211DA53
3L211EA12
3L211EA16
3L211EA87
3L211GA49
3L211GA53
(57)【要約】
【課題】エアコンの吹き出し温度に応じて、シートヒータの温度を設定することができる、シートヒータ制御装置を提供する。
【解決手段】シート及びシートヒータを備える移動体に用いられるシートヒータ制御装置であって、前記シートの温度を示す座面温度を取得する第1取得部と、当該移動体が備えるエアコン制御装置が空調情報に基づいて出力する目標吹き出し温度を取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した前記座面温度と、前記第2取得部が取得した前記目標吹き出し温度と、に基づいて、前記シートヒータに流れる電流値に対応する目標シートヒータ温度を算出する算出部と、前記第1取得部が取得した前記座面温度が、前記算出部が算出した目標シートヒータ温度を下回る場合、前記シートヒータに対して、前記目標シートヒータ温度に対応する電流を出力する制御を行う制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート及びシートヒータを備える移動体に用いられるシートヒータ制御装置であって、
前記シートの温度を示す座面温度を取得する第1取得部と、
当該移動体が備えるエアコン制御装置が空調情報に基づいて空調風を出力する目標吹き出し温度を取得する第2取得部と、
前記第1取得部が取得した前記座面温度と、前記第2取得部が取得した前記目標吹き出し温度と、に基づいて、前記シートヒータに流れる電流値に対応する目標シートヒータ温度を算出する算出部と、
前記第1取得部が取得した前記座面温度が、前記算出部が算出した目標シートヒータ温度を下回る場合、前記シートヒータに対して、前記目標シートヒータ温度に対応する電流を出力する制御を行う制御部と、
を備えるシートヒータ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2取得部が取得する前記目標吹き出し温度を、前記目標シートヒータ温度に対して、フィードバックする、
請求項1に記載のシートヒータ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シートヒータに電流が流れる場合、エアコンユニットが出力する前記空調風を弱める動作を示す指示を、前記エアコン制御装置に対して出力する、
請求項1または2に記載のシートヒータ制御装置。
【請求項4】
前記空調情報は、車室内温度、外気温度、日射量、車室内設定温度のうち少なくとも1つ含まれる、
請求項1から3の何れか1項に記載のシートヒータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートヒータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のシート下に搭載されるシートヒータは、シートに着座しているユーザの位置や動きを検出することで温度を調整し、シートを温めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザによってはシート温度に対して違和感がある場合がある。例えば、同じシート温度であったとしても、ユーザによっては熱すぎると感じる場合や、一方で冷たすぎると感じる場合もあり、ユーザに違和感を与えることがあるため、更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、エアコンの吹き出し温度に応じて、シートヒータの温度を設定することができる、シートヒータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明に係るシートヒータ制御装置は、シート及びシートヒータを備える移動体に用いられるシートヒータ制御装置であって、前記シートの温度を示す座面温度を取得する第1取得部と、当該移動体が備えるエアコン制御装置が空調情報に基づいて空調風を出力する目標吹き出し温度を取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した前記座面温度と、前記第2取得部が取得した前記目標吹き出し温度と、に基づいて、前記シートヒータに流れる電流値に対応する目標シートヒータ温度を算出する算出部と、前記第1取得部が取得した前記座面温度が、前記算出部が算出した目標シートヒータ温度を下回る場合、前記シートヒータに対して、前記目標シートヒータ温度に対応する電流を出力する制御を行う制御部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、座面温度及び目標吹き出し温度に基づいて、シートヒータに流れる電流値に対応する目標シートヒータ温度を算出し、算出した目標シートヒータ温度に対応する電流を出力する制御を行う。そのため、エアコンの吹き出し温度に応じて、シートヒータに流れる電流が調整することができるため、ユーザに与えるシート温度の変化による違和感を抑制することができる。
【0008】
また、空調情報は、車室内温度、外気温度、日射量、車室内設定温度のうち少なくとも1つ含まれても良い。さらに、制御部は、第2取得部が取得する目標吹き出し温度を、目標シートヒータ温度に対して、フィードバックしても良い。
【0009】
この構成によれば、制御部は、算出部が算出する目標シートヒータ温度に対して、フィードバックして、その結果、算出部が算出する目標シートヒータ温度を上下させている。エアコンの吹き出し温度と連動し、目標シートヒータ温度が上下することで、車室内空間との温度差が小さくなる。そのため、ユーザが体感する温度の変化もなくなり、ユーザは座面温度に対する違和感を軽減することができる。
【0010】
さらに、制御部は、シートヒータに電流が流れる場合、エアコンユニットが出力する空調風を弱める動作を示す指示を、エアコン制御装置に対して出力しても良い。この構成によれば、例えば、車両が電動車両(一例として、ハイブリット車や電気自動車等)の場合、エアコンユニット10の動作(空調風を弱める)を調整することで、電池の消費電力の負荷を抑制することができ、電動車両の電費が向上することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エアコンの吹き出し温度に応じて、シートヒータに流れる電流が調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る移動体用空調システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るシートヒータ制御装置の一例を示すハードウェア構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るシートヒータ制御装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るシートヒータ温度設定の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るシートヒータ制御装置が行うシートヒータ制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例に係るシートヒータ制御装置が行うシートヒータ制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
(車両用空調システム)
図1は、車両用空調システムの全体構成の一例を示すブロック図である。車両用空調システムは、移動体用空調システムの一例である。車両用空調システム100は、車両(図示せず)の室内空間の温度を調整するシステムである。
【0015】
車両用空調システム100は、シートヒータ制御装置1、シートヒータ2、シート温度センサ3、シートヒータ操作パネル4、エアコン制御装置5、内気温センサ6、外気温センサ7、日射センサ8、エアコン操作パネル9及びエアコンユニット10を備える。なお、車両用空調システム100が備える構成はこれに限定されない。
【0016】
シートヒータ制御装置1は、後述するシート温度センサ3及びシートヒータ操作パネル4が出力する信号と、エアコン制御装置5が出力する空調情報に基づいて、シートヒータ2を制御する。なお、シートヒータ制御装置1が有する機能の説明は後述する。また、空調情報の詳細な説明は後述する。
【0017】
シートヒータ2は、車両の室内のシート(図示せず)の内部に配置され、シートの温度を調整する周知の部材である。シートヒータ2は、シートヒータ制御装置1が算出した目標シートヒータ温度に基づいて、目標シートヒータ温度に対応する電流を出力する。
【0018】
シート温度センサ3は、車両の室内のシート(図示せず)の内部、例えば、車両を搭乗するユーザの着座位置に配置され、シートの温度を検出する周知の部材である。シート温度センサ3は、検出したシート温度に対応するシート温度信号をシートヒータ制御装置1に出力する。シート温度センサ3は、例えば、サーミスタである。なお、シート温度センサ3は、ユーザの着座位置に限らず、シートの背もたれ面に配置しても良い。
【0019】
シートヒータ操作パネル4は、車両のインストルメントパネル(図示せず)の近傍に配置され、ユーザが操作するシートヒータ2のON/OFF機能を調整する周知の部材である。シートヒータ操作パネル4は、ユーザが調整したシートのON/OFF機能に対応するON/OFF信号をシートヒータ制御装置1に出力する。
【0020】
また、シートヒータ2のON/OFF機能は、シートヒータ感度の調整をすることができる。シートヒータ感度とは、ユーザが体感する感覚を表す度合いである。シートヒータ感度の調整は、ユーザ毎に体感する温度感覚が異なるため設けられる。例えば、ユーザは、同じ温度であったとしても、車室内温度と座面温度との差があると、ユーザ毎に、寒い、もしくは暑いと感じる場合がある。そのため、シートヒータ感度の設定を、例えば、低め、普通、高めの3段階で設ける。シート感度の設定はこれに限定されない。これにより、ユーザの利便性を向上することができる。
【0021】
エアコン制御装置5は、後述する内気温センサ6、外気温センサ7、日射センサ8及びエアコン操作パネル9が出力する信号(以下、空調情報ともいう)に基づいて、エアコンユニット10を制御する。具体的には、エアコン制御装置5は、内気温センサ6、外気温センサ7、日射センサ8及びエアコン操作パネル9が出力する信号を取得する。エアコン制御装置5は、取得した空調情報に基づいて、空調風を出力する目標吹き出し温度(以下、TAO(Temperature Air Outlet)ともいう)を算出する。空調情報は、車室内温度、外気温度、日射量、車室内設定温度のうち少なくとも1つ含まれる。
【0022】
エアコン制御装置5は、算出した目標吹き出し温度に対応する目標吹き出し温度信号をエアコンユニット10に出力する。エアコン制御装置5は、算出した目標吹き出し温度に対応する目標吹き出し温度信号をシートヒータ制御装置1に出力する。
【0023】
内気温センサ6は、車両の室内(車室内)に配置され、車室内の空気温度を検出する周知の部材である。内気温センサ6は、検出した車室内の空気温度に対応する内気温信号をエアコン制御装置5に出力する。
【0024】
外気温センサ7は、車両の室外(車室外)に配置され、車室外の空気温度を検出する周知の部材である。外気温センサ7は、検出した車室外の空気温度に対応する外気温信号をエアコン制御装置5に出力する。
【0025】
日射センサ8は、車両に備えられるフロントウィンドウ(図示せず)の内側に配置され、車室内への日射量を検出する周知の部材である。日射センサ8は、検出した日射量に対応する日射量信号をエアコン制御装置5に出力する。
【0026】
エアコン操作パネル9は、車両のインストルメントパネルの近傍に配置され、ユーザが操作する車室内の設定温度を調整する周知の部材である。エアコン操作パネル9は、ユーザが調整した車室内の設定温度に対応する車室内設定温度信号をエアコン制御装置5に出力する。
【0027】
エアコンユニット10は、車室内の吹き出し口(図示せず)から空調風を出力する周知の部材である。エアコンユニット10は、エアコン制御装置5が算出した目標吹き出し温度信号に基づいて、目標吹き出し温度信号に対応する空調風を吹き出し口から出力する。
【0028】
(ハードウェア構成)
図2を参照しながら、本実施形態に係るシートヒータ制御装置1のハードウェア構成について説明する。
図2は、実施形態に係るシートヒータ制御装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2は、エアコン制御装置5のハードウェア構成図でもある。なお、エアコン制御装置5のハードウェア構成も、シートヒータ制御装置1のハードウェア構成と同様である。このため、エアコン制御装置5のハードウェア構成は、以下のシートヒータ制御装置1のハードウェア構成の説明を参照されたい。
【0029】
図2に示すように、シートヒータ制御装置1は、コンピュータによって構築されており、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、外部I/F(Interface)14及び補助記憶装置15を備える。これらの各部は、バス16を介して互いにデータ通信が可能となるように接続されている。
【0030】
CPU11は、シートヒータ制御装置1全体の動作を制御する演算装置である。ROM12は、例えば、IPL(Initial Program Loader)のようなCPU11が最初に実行するプログラム等を記憶する不揮発性記憶装置である。RAM13は、CPU11のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。なお、CPU11、ROM12及びRAM13は、例えば、1つの基板に実装されたSoC(System on a Chip)として構成されていてもよい。
【0031】
外部I/F14は、例えば、外部機器等に接続してデータ通信するためのインターフェースである。補助記憶装置15は、シートヒータ制御装置1の制御処理で用いられるプログラム等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)またはmicroSDカード等の補助記憶装置である。
【0032】
次に、シートヒータ制御装置1が備える機能について
図3を用いて説明する。
【0033】
(機能構成)
図3は、シートヒータ制御装置1の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【0034】
シートヒータ制御装置1は、第1取得部101、第2取得部102、第3取得部103、算出部104、判定部105及び制御部106を備える。なお、シートヒータ制御装置1が備える機能はこれに限定されない。
【0035】
第1取得部101は、シート温度を取得する。具体的には、第1取得部101は、シート温度センサ3と協働して、ユーザが着座するシートの温度を示すシート温度(以下、座面温度ともいう)を取得する。なお、シート温度は、ユーザが着座する位置に限定されず、シートの背もたれ面も含まれても良い。
【0036】
第2取得部102は、目標吹き出し温度を取得する。具体的には、第2取得部102は、エアコン制御装置5が出力する目標吹き出し温度を取得する。
【0037】
第3取得部103は、ON/OFF信号を取得する。具体的には、第3取得部103は、シートヒータ操作パネル4と協働して、ユーザが操作したON/OFFの結果に対応するON/OFF信号を取得する。
【0038】
算出部104は、座面温度、目標吹き出し温度及びON/OFF信号に基づいて、目標シートヒータ温度を算出する。具体的には、算出部104は、第3取得部103が取得したON/OFF信号がONの場合、第1取得部101が取得した座面温度及び第2取得部102が取得した目標吹き出し温度に基づいて、シートヒータ2に流れる電流値に対応する目標シートヒータ温度を算出する。
【0039】
判定部105は、座面温度が目標シートヒータ温度を上回るか否かを判定する。具体的には、判定部105は、第1取得部101が取得した座面温度が、算出部104が算出した目標シートヒータ温度を上回るか否かを判定する。なお、判定部105は、座面温度が目標シートヒータ温度の範囲内(例えば、温度閾値αを設け、目標シートヒータ温度に対して、±αの範囲)を上回るか否かを判定しても良い。なお、判定部105が判定する処理は後述する制御部106が行っても良い。
【0040】
制御部106は、判定結果に基づいて、シートヒータ2を制御する。具体的には、制御部106は、判定部105により座面温度が目標シートヒータ温度を上回ると判定された場合、シートヒータ2に対して、電流を出力しない制御を行う。
【0041】
また、制御部106は、判定部105により座面温度が目標シートヒータ温度を下回ると判定された場合、算出部104が算出した目標シートヒータ温度に基づいて、シートヒータ2に対して、目標シートヒータ温度に対応する電流を出力する制御を行う。
【0042】
さらに、制御部106は、第2取得部102が取得した目標吹き出し温度を、算出部104が算出した目標シートヒータ温度に対して、フィードバックする処理を行う。
【0043】
ここで、
図4を用いて、制御部106が目標シートヒータ温度に対して、フィードバックする処理の内容について説明する。
図4に示すグラフは、横軸は目標吹き出し温度、縦軸は目標シートヒータ温度の目標温度レベルである。
【0044】
図4を参照すると、例えば、目標吹き出し温度が高い場合、目標温度レベルも高くなる。エアコンユニット10は、高い吹き出し温度で空調風を出力すると、徐々に車室内温度が上昇するため、目標吹き出し温度は低くなる。目標温度レベルは、目標吹き出し温度と連動しているため、目標吹き出し温度は低くなると、目標温度レベルも低くなる。
【0045】
つまり、制御部106は、エアコン制御装置5から出力される吹き出し温度を、算出部104が算出する目標シートヒータ温度に対して、フィードバックして、その結果、算出部104が算出する目標シートヒータ温度を上下させている。エアコンの吹き出し温度と連動し、目標シートヒータ温度が上下することで、車室内空間との温度差が小さくなる。そのため、ユーザが体感する温度の変化もなくなり、ユーザは座面温度に対する違和感を軽減することができる。
【0046】
次に、
図5を用いて、シートヒータ制御装置1が行うシートヒータ制御の流れについて説明する。
【0047】
(シートヒータ制御)
図5は、実施形態に係るシートヒータ制御装置1が行うシートヒータ制御の一例を示すフローチャートである。本処理では、例えば、ユーザがシートヒータ操作パネル4を操作し、シートヒータ2をONにした状態で、目標シートヒータ温度に対して、シートヒータ2の制御を開始するものとする。
【0048】
第1取得部101は、シート温度センサ3と協働して、ユーザが着座する座面温度を取得する(ステップS1)。続いて、第2取得部102は、エアコン制御装置5が出力する目標吹き出し温度を取得する(ステップS2)。続いて、算出部104は、第1取得部101が取得した座面温度と、第2取得部102が取得した目標吹き出し温度と、に基づいて、シートヒータ2に流れる電流値に対応する目標シートヒータ温度を算出する(ステップS3)。
【0049】
続いて、判定部105は、座面温度が目標シートヒータ温度を上回るか否かを判定する(ステップS4)。ここで、判定部105は、座面温度が目標シートヒータ温度を下回ると判定した場合(ステップS4:No)、ステップS6へ進む。判定部105は、座面温度が目標シートヒータ温度を上回ると判定した場合(ステップS4:Yes)、ステップS5へ進む。
【0050】
制御部106は、座面温度が目標シートヒータ温度を上回る場合、シートヒータ2に対して、電流を出力しないように制御を行う(ステップS5)。制御部106は、座面温度が目標シートヒータ温度を下回ると判定された場合、算出部104が算出した目標シートヒータ温度に基づいて、シートヒータ2に対して、目標シートヒータ温度に対応する電流を出力するように制御を行う(ステップS6)。
【0051】
ステップS5、あるいはステップS6が終了すると、ステップS1へ戻る。本処理は、シートヒータ2が動作中(シートヒータ操作パネルがONの状態)において、処理は続けられる。つまり、制御部106は、第2取得部102が取得した目標吹き出し温度を、目標シートヒータ温度に対して、フィードバックする処理を行う。また、本処理は、例えば、ユーザがシートヒータ操作パネル4を操作し、シートヒータ2をOFFにすると終了する。
【0052】
(本実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係るシートヒータ制御装置1は、座面温度と、目標吹き出し温度と、に基づいて、シートヒータ2に流れる電流値に対応する目標シートヒータ温度を算出する。また、シートヒータ制御装置1は、算出した目標シートヒータ温度に対応する電流を出力する制御を行う。
【0053】
そのため、本発明によれば、エアコンの吹き出し温度に応じて、シートヒータ2に流れる電流が調整することができるため、シート温度の変化による違和感をユーザに与えることを抑制することができる。
【0054】
また、シートヒータ制御装置1は、目標吹き出し温度を、目標シートヒータ温度に対して、フィードバックしても良い。この構成によれば、目標吹き出し温度を、目標シートヒータ温度に対して、フィードバックして、その結果、目標シートヒータ温度を上下させている。エアコンの吹き出し温度と連動し、目標シートヒータ温度が上下することで、車室内空間との温度差が小さくなる。そのため、ユーザが体感する温度の変化もなくなり、ユーザは座面温度に対する違和感を軽減することができる。
【0055】
(変形例)
変形例に係るシートヒータ制御装置1について、上述の実施形態に係るシートヒータ制御装置1とは相違する点を説明する。上記実施形態では、制御部106は、シートヒータ2に対して制御処理を行う形態について説明した。本変形例における制御部106は、シートヒータ2が動作する場合、エアコン制御装置5へ空調風を調整するように指示する内容について説明する。
【0056】
例えば、制御部106は、目標シートヒータ温度に対応する電流を出力するように制御を行った後、エアコン制御装置5に対して、空調風を調整するように指示を出力する。エアコン制御装置5に対して調整するように指示する内容は、例えば、エアコンユニット10が吹き出し口から出力する空調風を弱めるように風量制御を調整(抑制)する指示内容である。
【0057】
この処理は、シートヒータ2やエアコンユニット10は、車両に搭載される電池を消費することで動作しているため、例えば、車両が電動車両(一例として、ハイブリット車や電気自動車等)の場合、エアコンユニット10の動作を調整することで、電池の消費電力の負荷を抑制することができ、電動車両の電費が向上することができる。
【0058】
図6は、変形例に係るシートヒータ制御装置1が行う制御の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS1~ステップS6は、
図5に記載のステップS1~ステップS6の内容と一致する。
【0059】
制御部106は、エアコン制御装置5に対して調整するように指示を出力する(ステップS7)。ステップS7が終了すると、ステップS1へ戻る。本処理は、シートヒータ2が動作中において、処理は続けられる。つまり、制御部106は、第2取得部102が取得した目標吹き出し温度を、目標シートヒータ温度に対して、フィードバックする処理を行う。
【0060】
以上説明したように、変形例に係るシートヒータ制御装置1は、シートヒータ2に電流が流れる場合、エアコンユニット10が出力する空調風を弱める動作を示す指示を、エアコン制御装置5に対して出力しても良い。この構成によれば、例えば、車両が電動車両(一例として、ハイブリット車や電気自動車等)の場合、エアコンユニット10の動作(空調風を弱める)を調整することで、電池の消費電力の負荷を抑制することができ、電動車両の電費が向上することができる。
【0061】
なお、本実施形態は車両で適用するシートヒータ制御装置について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、閉じられた室内空間を備える移動体である、船舶、電車、航空機等に適用することができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 シートヒータ制御装置
2 シートヒータ
3 シート温度センサ
4 シートヒータ操作パネル
5 エアコン制御装置
6 内気温センサ
7 外気温センサ
8 日射センサ
9 エアコン操作パネル
10 エアコンユニット
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 外部I/F
15 補助記憶装置
16 バス
101 第1取得部
102 第2取得部
103 第3取得部
104 算出部
105 判定部
106 制御部