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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148895
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】部品圧着装置、及び、部品圧着方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/60 311S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057174
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 真五
(72)【発明者】
【氏名】松尾 暢也
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044LL09
5F044PP15
(57)【要約】
【課題】シリンダが正常に機能しているか否かを簡単な構成で判定できる部品圧着装置等を提供する。
【解決手段】部品圧着装置100は、本体部206と、ピストンロッド208と、を有するシリンダ205と、ピストンロッド208の一端部に取り付けられる圧着ヘッド203と、ピストンロッドの他端部に設けられるストッパ211と、ストッパ211を介してピストンロッド208を一端部側から支持する支持体220と、支持体220を移動させるモータ214と、シリンダ205及びモータ214を制御することにより、支持体220をピストンロッド208とともに移動させて、圧着ヘッド203に、バックアップ部201aに支持された基板150に部品160を圧着させる制御部232と、モータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する判定部233と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するバックアップ部と、
前記バックアップ部が設置される基台に立設される支柱と、
前記支柱に対して固定的に設けられる本体部と、前記支柱に沿って移動可能なピストンロッドと、を有するシリンダと、
前記ピストンロッドの一端部に取り付けられる圧着ヘッドと、
前記ピストンロッドの前記一端部とは反対側に位置する他端部に設けられるストッパと、
前記支柱に沿って移動可能に設けられ、前記ストッパを介して前記ピストンロッドを前記一端部側から支持する支持体と、
前記支持体を前記支柱に沿って移動させるモータと、
前記シリンダ及び前記モータを制御することにより、前記支持体を前記ピストンロッドとともに前記一端部側に移動させて、前記圧着ヘッドに、前記バックアップ部に支持された前記基板に部品を圧着させる制御部と、
前記モータに生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、前記シリンダが正常に機能しているか否かを判定する判定部と、を備える、
部品圧着装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記シリンダを制御することにより、前記ストッパを介して前記ピストンロッドを前記支持体に支持させて、前記ストッパを介して前記ピストンロッドから前記支持体に作用する前記一端部側に向かう第1押圧力を発生させるための第1制御を行ってから、
前記モータを制御することにより、前記支持体を前記ピストンロッドとともに前記一端部側に移動させて、前記圧着ヘッドに前記部品を前記基板に圧着させる第2制御を行う、
請求項1に記載の部品圧着装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1制御を行っている間に前記モータに生じるトルクに関する前記トルク情報に基づいて、前記シリンダが正常に機能しているか否かを判定する、
請求項2に記載の部品圧着装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記トルク情報に基づいて、前記制御部が前記圧着ヘッドに前記部品を前記基板に圧着させる前に、前記シリンダが正常に機能しているか否かを判定する、
請求項2又は3に記載の部品圧着装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1制御では、前記シリンダを制御することにより、前記ストッパを介して前記ピストンロッドを前記支持体に支持させて、前記ストッパを介して前記ピストンロッドから前記支持体に作用する前記一端部側に向かう第2押圧力であって、前記第1押圧力よりも小さい第2押圧力を発生させてから、前記第1押圧力を発生させ、
前記判定部は、前記第2押圧力を発生させている間に前記モータに生じるトルクに関する前記トルク情報に基づいて、前記シリンダが正常に機能しているか否かを判定する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部が、前記シリンダが正常に機能していないと判定した場合に、前記第2制御を行わない、
請求項2から5のいずれか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項7】
前記判定部が、前記シリンダが正常に機能していないと判定した場合に、前記シリンダが正常に機能していない旨を示す不良情報を報知する報知部をさらに備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項8】
前記判定部は、
前記トルク情報に基づいて、前記モータに生じるトルクが所定のトルク以上であるか否かを判定し、
前記モータに生じるトルクが前記所定のトルク以上であると判定した場合、前記シリンダが正常に機能していると判定し、
前記モータに生じるトルクが前記所定のトルク未満であると判定した場合、前記シリンダが正常に機能していないと判定する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項9】
基板を支持するバックアップ部と、
前記バックアップ部が設置される基台に立設される支柱と、
前記支柱に対して固定的に設けられる本体部と、前記支柱に沿って移動可能なピストンロッドと、を有するシリンダと、
前記ピストンロッドの一端部に取り付けられる圧着ヘッドと、
前記ピストンロッドの前記一端部とは反対側に位置する他端部に設けられるストッパと、
前記支柱に沿って移動可能に設けられ、前記ストッパを介して前記ピストンロッドを前記一端部側から支持する支持体と、
前記支持体を前記支柱に沿って移動させるモータと、を備える部品圧着装置が実行する部品圧着方法であって、
前記シリンダ及び前記モータを制御することにより、前記支持体を前記ピストンロッドとともに前記一端部側に移動させて、前記圧着ヘッドに、前記バックアップ部に支持された前記基板に部品を圧着させる制御ステップと、
前記モータに生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、前記シリンダが正常に機能しているか否かを判定する判定ステップと、を含む、
部品圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品圧着装置、及び、部品圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダを用いて部品を基板に圧着する部品圧着装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている部品圧着装置の一例である加圧装置は、シリンダを用いて、当該シリンダが有するピストンロッドの端部に設けられた圧着ヘッドに加圧力(押圧力ともいう)を発生させて、部品を基板に実装する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5009738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリンダが所定の押圧力を圧着ヘッドに発生させているか否かを検知するために、例えば、圧力センサが必要になる。しかしながら、例えば部品圧着装置が複数の圧着ヘッドを備えるような場合には、圧着ヘッドの数に応じた圧力センサが必要となる。そこで、シリンダが所定の押圧力を発生させているか否か、つまり、シリンダが正常に機能しているか否かを簡単な構成で判定できることが望まれている。
【0006】
本発明は、シリンダが正常に機能しているか否かを簡単な構成で判定できる部品圧着装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る部品圧着装置は、基板を支持するバックアップ部と、前記バックアップ部が設置される基台に立設される支柱と、前記支柱に対して固定的に設けられる本体部と、前記支柱に沿って移動可能なピストンロッドと、を有するシリンダと、前記ピストンロッドの一端部に取り付けられる圧着ヘッドと、前記ピストンロッドの前記一端部とは反対側に位置する他端部に設けられるストッパと、前記支柱に沿って移動可能に設けられ、前記ストッパを介して前記ピストンロッドを前記一端部側から支持する支持体と、前記支持体を前記支柱に沿って移動させるモータと、前記シリンダ及び前記モータを制御することにより、前記支持体を前記ピストンロッドとともに前記一端部側に移動させて、前記圧着ヘッドに、前記バックアップ部に支持された前記基板に部品を圧着させる制御部と、前記モータに生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、前記シリンダが正常に機能しているか否かを判定する判定部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る部品圧着方法は、基板を支持するバックアップ部と、前記バックアップ部が設置される基台に立設される支柱と、前記支柱に対して固定的に設けられる本体部と、前記支柱に沿って移動可能なピストンロッドと、を有するシリンダと、前記ピストンロッドの一端部に取り付けられる圧着ヘッドと、前記ピストンロッドの前記一端部とは反対側に位置する他端部に設けられるストッパと、前記支柱に沿って移動可能に設けられ、前記ストッパを介して前記ピストンロッドを前記一端部側から支持する支持体と、前記支持体を前記支柱に沿って移動させるモータと、を備える部品圧着装置が実行する部品圧着方法であって、前記シリンダ及び前記モータを制御することにより、前記支持体を前記ピストンロッドとともに前記一端部側に移動させて、前記圧着ヘッドに、前記バックアップ部に支持された前記基板に部品を圧着させる制御ステップと、前記モータに生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、前記シリンダが正常に機能しているか否かを判定する判定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シリンダが正常に機能しているか否かを簡単な構成で判定できる部品圧着装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る部品圧着装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態に係る部品圧着装置が備えるピストンロッド及び支持体の動作を説明するための図である。
図3図3は、トルクの時間変化の一例を説明するための図である。
図4図4は、実施の形態に係る部品圧着装置の処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、トルクの時間変化の変形例を説明するための図である。
図6図6は、実施の形態に係る部品圧着装置の処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明に至った経緯)
上記した通り、従来、シリンダを用いて部品を基板に圧着する部品圧着装置がある。この種の部品圧着装置は、例えば、圧着ヘッドの押圧力を発生させるエアシリンダ等のシリンダと、当該圧着ヘッドを昇降させることで当該圧着ヘッドの高さを制御するサーボモータ等のモータを備える。
【0012】
このように、圧着ヘッドを加圧するためのシリンダと圧着ヘッドの高さを制御するためのサーボモータとを備える部品圧着装置において、例えば、シリンダに圧縮空気を供給するための電磁バルブが故障して、所定のエア圧がシリンダに供給されなかった場合、部品に対して必要な加圧力が得られず実装不良を発生させてしまう場合がある。
【0013】
このような実装不良を防止するために、シリンダの出限の位置及び戻限の位置を検出するリミットスイッチを設けて、シリンダが備えるピストンロッドが正常に動作しているか否かを確認する方法がある。
【0014】
しかしながら、ピストンロッドが動作していても、所定の押圧力が得られている保証はなく、エアシリンダにより発生させた押圧力が所望の範囲からはずれたことを検知することは困難である。例えば、ピストンロッドの動作不良を防止するためには、シリンダに供給されるエアの圧力(単にエア圧ともいう)を監視するための圧力センサを用いることが考えられる。しかしながら、例えば、部品圧着装置が複数の圧着ヘッドを備える場合には、圧着ヘッドの数だけ圧力センサを設ける必要があるため、圧着ヘッドが多いほど、部品圧着装置のコストが高くなる。
【0015】
そこで、本願発明者らは、シリンダが正常に機能しているか否かを簡単な構成で判定できる装置等を見出した。具体的には、本発明の一態様に係る部品圧着装置等は、圧力センサを設けることなく、シリンダの押圧力の不足を検出することで、実装不良が発生することを抑制できる。また、本発明によれば、圧力センサを設ける必要がないため、本発明に係る部品圧着装置のコストを抑制できる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0017】
また、図面は、本発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0018】
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。以下の実施の形態では、Z軸方向を上下方向(鉛直方向)とし、Z軸の正方向を上方としている。
【0019】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0020】
(実施の形態)
[構成]
まず、部品圧着装置200の構成について説明する。
【0021】
図1は、実施の形態に係る部品圧着装置200の構成を示す概略図である。
【0022】
部品圧着装置200は、部品160を基板150に圧着(つまり、実装)する装置である。部品圧着装置200を備える生産システムは、液晶ディスプレイなどの表示パネルを生産するシステムである。
【0023】
基板150としては、ガラス基板等が用いられたディスプレイパネル等が例示される。
【0024】
部品160としては、TCP(Tape Carrier Package)、FPC(Flexible Printed Circuits)等のフレキシブル部品やIC(Integrated Circuit)チップが例示される。
【0025】
生産システムは、例えば、ACF(Anisotropic Conductive Film)貼付装置、仮圧着(部品配置)装置、部品圧着装置200、及び、搬送装置から構成される。
【0026】
ACF貼付装置は、電極の端子を有するガラス板などの基板150の周縁部に設けられた電極端子部にACFテープを貼り付ける装置である。
【0027】
ここで、「ACFテープ」とは、テープ状の異方性導電フィルムのことであり、熱硬化性を有する樹脂に導電性を有する微細な金属粒子を混ぜ合わせた素材からなる。種類、大きさなどACFテープの性質に応じた条件で押圧することにより、上下に配置された各端子間の導通性を保持して接合し、硬化する。
【0028】
仮圧着装置は、部品160を基板150周縁部上のACFテープが貼り付けられた電極の端子に取り付ける装置である。
【0029】
搬送装置は、ACF貼付装置、仮圧着装置、及び、部品圧着装置200の間で、基板150を搬送する装置である。
【0030】
部品圧着装置200は、いわゆる本圧着装置であって、基板150の周縁部に貼付されたACFテープを介して、部品160と、部品160が取り付けられる基板150とを所定の圧着条件で押圧することで、基板150と部品160とを圧着する装置である。これにより、ACFテープは、硬化するとともに、基板150が有する電極の端子と部品160の電極の端子とを導通させる。
【0031】
ここで、圧着条件とは、部品160を押圧する条件のことをいう。圧着条件とは、例えば、部品160を基板150に押圧する時間、当該押圧する際の温度、及び、当該押圧する際の圧力等が含まれる。
【0032】
部品圧着装置200は、具体的には、支持ステージ131により支持される基板150と部品160とを圧着する装置である。本実施の形態では、部品圧着装置200は、基板150の端部下方がバックアップ部201aに支持され、且つ、当該端部上方に部品150が載置された基板150を、圧着ヘッド203により上方から押圧することで、基板150に部品160を圧着する。部品圧着装置200は、基台201と、バックアップ部201aと、支柱202と、圧着ヘッド203と、シリンダ205と、ストッパ211と、圧力制御部213と、モータ214と、支持体220と、制御装置230と、報知部240と、を備える。
【0033】
基台201は、シリンダ205(より具体的には、本体部206)及びモータ214等を支持するための台である。基台201には、バックアップ部201a及び支柱202が設置される。
【0034】
バックアップ部201aは、基板150を支持する下受け部である。具体的には、バックアップ部201aは、部品160が接合される基板150の周縁部を下方より支持し、基板150に部品160が押圧される際にこれらを下支えするバックアップステージである。
【0035】
支柱202は、基台201に立設される柱状の部材である。支柱202は、ボールネジ218と、移動ガイド204と、を備える。
【0036】
ボールネジ218は、支持体220と螺合し、支持体220をボールねじ218の延在方向に移動可能に支持するネジ溝が設けられた柱状部材である。
【0037】
移動ガイド204は、圧着ヘッド203の部品160に対する移動を支柱202に沿った方向に規制するガイドである。
【0038】
シリンダ205は、支柱202に設けられ、基板150と部品160とを押圧するための押圧力を発生させる部品である。本実施の形態では、シリンダ205は、ポンプ等のエアを供給するための供給部等を有する圧力制御部213から供給されるエアによって押圧力を発生させるエアシリンダである。シリンダ205は、本体部206と、ピストン207と、ピストンロッド208と、を備える。
【0039】
本体部206は、支柱202に対して固定的に設けられるシリンダチューブである。具体的には、本体部206は、支柱202に対して相対的な位置関係が変化しないように、支柱202に固定して配置されている。本体部206は、圧力の伝達媒体となる流体である気体(例えば、エア)が流入及び流出する内部が中空の円筒である。
【0040】
なお、圧力の伝達媒体となる流体は、気体のような圧縮流体及び液体のような非圧縮流体のいずれであってもよい。また、本実施の形態では、シリンダ205には、エア(空気)が供給されるが、その他のガスが供給されてもよい。
【0041】
ピストン207は、本体部206の内部にて往復動する円盤状の部位である。ピストン207には、基板150と部品160とを押圧するための圧力がエアによりかけられる。ピストン207には、気密性の向上、円滑な移動等のために本体部206と接する外周面にリング部材207aが取り付けられている。
【0042】
ピストンロッド208は、ピストン207に接続され、ピストン207の往復動と連動して往復動する柱状部材である。ピストンロッド208は、支柱202に沿って移動可能に設けられる。具体的には、ピストンロッド208は、支柱202の延在方向と平行な方向に延在する柱状部材であり、支柱202の延在方向と平行な方向に移動(昇降移動)可能に配置されている。また、ピストンロッド208は、ピストン207の摺動方向におけるピストン207の両側に延出されている。
【0043】
圧着ヘッド203は、ピストンロッド208の一端部(本実施の形態では、下端側)に取り付けられ、バックアップ部201aに支持された基板150を押圧することで、基板150に部品160を圧着するためのヘッドである。具体的には、圧着ヘッド203は、ピストンロッド208の延在方向に位置する両端部のうち、基板150及び部品160が配置される側である一端部(先端部)に取り付けられる、バックアップ部201aに支持された基板150に部品160を押圧することで、部品160を基板150に圧着する。圧着ヘッド203は、支柱202の延在方向に沿って、ピストンロッド208の移動に連動して移動する。圧着ヘッド203には、ACFテープを介して基板150に部品160を加熱接合するためのヒータも備えられている。
【0044】
ストッパ211は、ピストンロッド208の一端部とは反対側に位置する他端部(本実施の形態では、上端部)に設けられる部材である。ストッパ211は、ピストンロッド208に固定されている。
【0045】
支持体220は、支柱202に沿って移動可能に設けられ、ストッパ211を介してピストンロッド208をピストンロッド208の一端部側から支持する部材である。言い換えると、支持体220は、ストッパ211の下端を支持することで、ピストンロッド208の上端部を、下端部側から支持するための部材である。具体的には、支持体220は、支柱202に沿って移動可能に設けられ、ストッパ211を介してピストンロッド208を一端部側から支持する。より具体的には、支持体220は、ストッパ211をシリンダ205による加圧方向(本実施の形態では、Z軸負方向)とは反対側から下支えし、ストッパ211を介してピストンロッド208を支持する。支持体220は、ボールネジ218と螺合しており、ボールネジ218の回転に連動して支柱202の延在方向と平行な方向に移動する。この移動により、支持体220が支持するピストンロッド208及びピストンロッド208に設けられる圧着ヘッド203等を支柱202に沿って移動させる。
【0046】
圧力制御部213は、基板150と部品160とに目標となる押圧力(以下、目標押圧力ともいう)をかけるために必要な押圧力をシリンダ205が発生させるように、シリンダ205による押圧力を制御するための装置である。圧力制御部213は、例えば、エアをシリンダ205に供給するポンプ(エア源)、エアの供給量を制御する電磁バルブ等のレギュレータ、及び、ソレノイドバルブ等により実現される。
【0047】
モータ214は、支持体220を支柱202に沿って移動させるモータである。具体的には、モータ214は、ボールネジ218を回転させ、ボールネジ218と螺合する支持体220を支柱202に沿って移動させる駆動源である。つまり、モータ214は、支持体220をピストンロッド208の延在方向と平行な方向に移動させる。本実施の形態では、モータ214は、エンコーダとドライバを備えるサーボモータ(より具体的には、ACサーボモータ)である。
【0048】
エンコーダは、モータ214が備える駆動軸の位置を検出するための検出器である。エンコーダは、検出した駆動軸の位置を示す位置情報をドライバを介して制御装置230に出力する。位置情報は、例えば、回転量(回転角度)、回転速度等の情報である。ドライバは、制御装置230の指令に応じてモータ214を駆動するための駆動回路である。ドライバはモータ214のトルクに関する情報を制御装置230に出力する。例えば、制御装置230は、モータ214が備えるエンコーダやドライバ等によって検知されたモータ214のトルク等の情報に基づいてモータ214の回転動作を制御する。
【0049】
制御装置230は、モータ214の駆動を制御するための指令をドライバに行ったり、圧力制御部213を制御することでシリンダ205の押圧力を制御させたりする制御装置である。
【0050】
制御装置230は、例えば、モータ214からのトルク等の情報に基づいてモータ214の回転量を制御することによって、支持体220の移動の開始、移動の速度及び移動後の配置を制御する。また、制御装置230は、例えば、基板150と部品160との厚さの合計を示す情報、及び、基板150と部品160とにかける押圧力を示す情報等を記憶部235等から取得し、取得した情報に基づいて、支持体220が配置されるべき位置を決定する。
【0051】
制御装置230は、例えば、圧力制御部213及びモータ214を制御するための制御線が接続されるインターフェース、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、信号の送受信をするための入出力ポート、及び、プログラムを実行するプロセッサ等により実現される。
【0052】
制御装置230は、取得部231と、制御部232と、判定部233と、出力部234と、記憶部235と、を備える。
【0053】
取得部231は、制御部232及び判定部233が実行する処理に用いられる各種情報を取得する処理部である。取得部231は、例えば、モータ214から、モータ214のトルクに関するトルク情報を取得する。
【0054】
トルク情報は、例えば、モータ214のドライバから出力される、モータ214に生じるトルクに応じた電流値である。
【0055】
制御部232は、シリンダ205(より具体的には、圧力制御部213)とモータ214とを制御する処理部である。具体的には、制御部232は、シリンダ205及びモータ214を制御することにより、支持体220をピストンロッド208とともにピストンロッド208の一端部側に移動させて、圧着ヘッド203に、バックアップ部201aに支持された基板150に部品160を圧着させる。より具体的には、制御部232は、シリンダ205を制御することにより、ストッパ211を介してピストンロッド208を支持体220に支持させて、ストッパ211を介してピストンロッド208から支持体220に作用するピストンロッド208の一端部側に向かう第1押圧力を発生させるための第1制御を行ってから、モータ214を制御することにより、支持体220をピストンロッド208とともにピストンロッド208の一端部側に移動させて、圧着ヘッド203に部品160を基板150に圧着させる第2制御を行う。
【0056】
図2は、実施の形態に係る部品圧着装置200が備えるピストンロッド208及び支持体220の動作を説明するための図である。
【0057】
図2の(a)に示すように、例えば、部品圧着装置200が部品160を基板150に圧着する前には、ピストンロッド208の他端部に位置するストッパ211と支持体220とが接触していない状態でピストンロッド208が位置する。つまり、この状態では、ピストンロッド208が支持体220に支持されていない。
【0058】
次に、図2の(b)に示すように、制御部232は、部品圧着装置200が部品160を基板150に圧着させる際に、シリンダ205を制御することでピストンロッド208を下方に移動させて、ピストンロッド208の他端部に位置するストッパ211と支持体220とを接触させる第1制御を行う。これにより、ピストンロッド208が支持体220に支持された状態となる。このときにピストンロッド208から支持体220に作用する、ピストンロッド208の一端部側に向かう押圧力が第1押圧力である。また、モータ214には、当該押圧力によって下方に移動されそうになる支持体220の位置を維持するためにトルクが生じる。
【0059】
次に、図2の(c)に示すように、制御部232は、シリンダ205を制御することでピストンロッド208を下方に移動させ、且つ、支持体220を下方に移動させることで、部品160を基板150に圧着させる第2制御を行う。つまり、ピストンロッド208の一端部側に向かう第1押圧力が発生された状態で、部品160が基板150に押圧される。これにより、第1押圧力に応じた、シリンダ205(より具体的には、ピストンロッド208)による押圧力を、基板150及び部品160に印加しつつ、基板150に部品160を圧着できる。
【0060】
判定部233は、モータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。具体的には、判定部233は、トルク情報に基づいて、シリンダ205に所定のエア圧が加わっているか否か(つまり、本体部206に所定のエア圧が供給されているか否か)を判定する。つまり、判定部233は、圧着ヘッド203が基板150を(より具体的には、部品160を介して基板150を)押圧する押圧力の良否を判定する。判定部233は、例えば、支持体220がピストンロッド208を支持している間にモータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。
【0061】
また、例えば、判定部233は、トルク情報に基づいて、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であるか否かを判定する。例えば、判定部233は、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であると判定した場合、シリンダ205が正常に機能していると判定する。一方、例えば、判定部233は、モータ214に生じるトルクが所定のトルク未満であると判定した場合、シリンダ205が正常に機能していないと判定する。
【0062】
所定のトルクは、予め任意に定められてよく、特に限定されない。所定のトルクを示す閾値情報は、例えば、予め記憶部235に記憶される。
【0063】
例えば、判定部233は、制御部232が第1制御を行っている間にモータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。具体的には、判定部233は、トルク情報に基づいて、制御部232が圧着ヘッド203に部品160を基板150に圧着させる前に、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。
【0064】
なお、制御部232が第1制御を行う時間、つまり、第1押圧力を発生させる時間は、任意に定められてよい。この時間を示す時間情報は、例えば、記憶部235に予め記憶される。
【0065】
或いは、制御部232は、判定部233によるシリンダ205の良否判定の判定結果がでるまで、第1押圧力が発生するようにシリンダ205(より具体的には、圧力制御部213)を制御してもよい。
【0066】
また、例えば、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合には、第2制御、つまり、部品160を基板150に圧着させる制御を行わない。
【0067】
なお、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合には、モータ214及びシリンダ205をそのままの状態(例えば、図2の(b)に示す状態)で停止させてもよいし、モータ214及びシリンダ205を初期位置(例えば、図2の(a)に示す状態)に戻して停止させてもよい。
【0068】
図3は、トルクの時間変化の一例を説明するための図である。具体的には、図3の(a)は、ピストンロッド208に加わる下方への駆動力の時間変化を模式的に示すグラフである。また、図3の(b)は、圧着ヘッド203の高さの時間変化を模式的に示すグラフである。また、図3の(c)は、ピストンロッド208が支持体220を押し下げる力(押圧力)の時間変化を模式的に示すグラフである。また、図3の(d)は、支持体220の高さの時間変化を模式的に示すグラフである。また、図3の(e)は、圧着ヘッド203が部品160を基板150に押圧する押圧力の時間変化を模式的に示すグラフである。また、図3の(f)は、モータ214に生じるトルク(モータ214が所定の位置を維持するために用いる電流量)の時間変化を模式的に示すグラフである。
【0069】
図3に示すように、シリンダ205の加圧側ポートへのエアの供給が開始される、言い換えると、第1制御によってピストンロッド208を下方に移動させるように本体部206へのエアの供給(エア圧の供給ともいう)が開始されると、支持体220の高さが変化されずに圧着ヘッド203の高さが下がる。つまり、ピストンロッド208が下方に移動する。次に、ストッパ211と支持体220とが接触し、支持体220に作用する第1押圧力が発生される。次に、第2制御によって、第1押圧力が発生された状態で、支持体220を下方に移動させ、部品160を基板150に圧着させる。判定部233は、例えば、シリンダ205の加圧側ポートへのエアの供給が開始されてから支持体220を下降させるまでにモータ214に生じたトルクに基づいて、シリンダ205が正常に動作しているか否かを判定する。
【0070】
なお、判定部233は、トルク情報に基づいて、モータ214に生じるトルクが所定の範囲内であるか否かを判定してもよい。例えば、判定部233は、モータ214に生じるトルクが所定の範囲内であると判定した場合、シリンダ205が正常に機能していると判定する。一方、例えば、判定部233は、モータ214に生じるトルクが所定の範囲外であると判定した場合、シリンダ205が正常に機能していないと判定する。このように、判定部233は、モータ214に生じるトルクが大きすぎる場合(例えば、所定のトルク以上である場合)に、シリンダ205が正常に機能していないと判定してもよい。
【0071】
出力部234は、判定部233による判定結果(判定結果情報)を報知部240に出力する処理部である。
【0072】
なお、出力部234は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合に、シリンダ205が正常に機能していない旨を示す不良情報を判定結果として出力してもよい。この場合、例えば、出力部234は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合には、判定結果を出力しなくてもよい。
【0073】
記憶部235は、基板150のサイズ、基板150に実装する部品160の種類、実装位置、実装方向、各装置の動作、当該動作のタイミング、基板150を搬送するタイミング等の部品圧着処理に必要な各種データ、処理部が実行する制御プログラム等を記憶する記憶装置である。
【0074】
記憶部235は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリにより実現される。
【0075】
報知部240は、判定部233による判定結果をユーザに報知する装置である。
【0076】
報知部240は、例えば、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合に、シリンダ205が正常に機能していない旨を示す不良情報を判定結果として報知する。
【0077】
なお、例えば、報知部240は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合には、判定結果を報知しなくてもよい。
【0078】
報知部240は、判定部233による判定結果をユーザに報知することができる装置であればよく、例えば、判定結果を示す画像を表示するディスプレイ等の表示装置でもよいし、判定結果を示す音を出力する音響装置でもよい。
【0079】
[処理手順]
続いて、部品圧着装置200の処理手順について説明する。
【0080】
図4は、実施の形態に係る部品圧着装置200の処理手順を示すフローチャートである。
【0081】
まず、制御部232は、シリンダ205を制御することにより、ストッパ211を介してピストンロッド208を支持体220に支持させる(S110)。具体的には、制御部232は、ピストンロッド208が下方に移動するように、圧力制御部213に、本体部206に所定のエア圧を供給させて、ストッパ211の下端側を支持体220に支持させることで、ストッパ211に固定されているピストンロッド208を下方側から支持体220に支持させる。
【0082】
これにより、制御部232は、ピストンロッド208から支持体220に作用する、ピストンロッド208の一端部側に向かう第1押圧力を発生させる(S120)。
【0083】
次に、取得部231は、モータ214のドライバから、モータ214に生じるトルクに関するトルク情報を取得する(S130)。
【0084】
次に、判定部233は、トルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。具体的には、判定部233は、トルク情報に基づいて、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であるか否かを判定する(S140)。
【0085】
制御部232は、判定部233が、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であると判定した場合(S140でYes)、つまり、シリンダ205が正常に機能していると判定した場合、モータ214を制御することにより、支持体220をピストンロッド208とともにピストンロッド208の一端部側に移動させて、圧着ヘッド203に部品160を基板150に圧着させる(S150)。
【0086】
これにより、制御部232は、第1押圧力を発生させた状態で、圧着ヘッド203に部品160を基板150に圧着させることができる。
【0087】
一方、制御部232は、判定部233が、モータ214に生じるトルクが所定のトルク未満であると判定した場合(S140でNo)、つまり、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合、部品160を基板150に圧着させる処理を中止する(S160)。具体的には、制御部232は、第2制御を実行しない。
【0088】
次に、制御部232は、シリンダ205が正常に機能していない旨を示す不良情報を報知部240に報知させる(S170)。
【0089】
以上のように、制御部232は、判定部233の判定結果に基づいて、各種処理を実行する。例えば、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していると判定した場合には、第2制御を実行する、つまり、基板150に部品160を圧着させる制御を実行する。一方、例えば、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合には、第2制御を実行しない、つまり、基板150に部品160を圧着させる制御を実行しない。また、例えば、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合には、報知部240を制御することで、シリンダ205が正常に機能していない旨を示す不良情報をユーザに報知する。
【0090】
[変形例]
変形例では、制御部232は、第1制御では、シリンダ205を制御することにより、ストッパ211を介してピストンロッド208を支持体220に支持させて、ストッパ211を介してピストンロッド208から支持体220に作用するピストンロッド208の一端部側に向かう第2押圧力であって、第1押圧力よりも小さい第2押圧力を発生させてから、第1押圧力を発生させる。つまり、制御部232は、部品160を基板150に圧着させる際の押圧力である第1押圧力をシリンダ205に発生させる前に、当該第1押圧力よりも低い押圧力である第2押圧力をシリンダ205に発生させるように、シリンダ205に供給するエア圧を制御する。
【0091】
また、判定部233は、制御部232が第2押圧力を発生させている間にモータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。
【0092】
図5は、トルクの時間変化の変形例を説明するための図である。具体的には、図5の(a)は、ピストンロッド208に加わる下方への駆動力の時間変化の変形例を模式的に示すグラフである。また、図5の(b)は、ピストンロッド208が支持体220を押し下げる力(押圧力)の時間変化の変形例を模式的に示すグラフである。また、図5の(c)は、モータ214に生じるトルクの時間変化の変形例を模式的に示すグラフである。
【0093】
図5に示すように、シリンダ205の加圧側ポートへのエアの供給が開始される、言い換えると、第1制御によってピストンロッド208を下方に移動させるように本体部206へのエアの供給が開始され、ストッパ211と支持体220とが接触し、支持体220に作用する押圧力が発生される。
【0094】
本変形例では、まず、本体部206には、本体部206に第2エア圧が供給される。これにより、支持体220に作用する第2押圧力が発生される。
【0095】
次に、所定の時間が経過後に、本体部206には、本体部206に、第2エア圧より高い第1エア圧が供給される。これにより、支持体220に作用する、第2押圧力より高い第1押圧力が発生される。
【0096】
次に、第2制御によって、第1押圧力が発生された状態で、支持体220を下方に移動させ、部品160を基板150に圧着させる。判定部233は、例えば、支持体220に作用する第2押圧力が発生された状態においてモータ214に生じたトルクに基づいて、シリンダ205が正常に動作しているか否かを判定する。
【0097】
なお、第2押圧力を発生させる所定の時間は、任意に定められてよい。所定の時間を示す時間情報は、例えば、記憶部235に予め記憶される。
【0098】
或いは、制御部232は、判定部233によるシリンダ205の良否判定の判定結果がでるまで、第2押圧力が発生するようにシリンダ205(より具体的には、圧力制御部213)を制御してもよい。
【0099】
続いて、部品圧着装置200の処理手順の変形例について説明する。
【0100】
図6は、実施の形態に係る部品圧着装置200の処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【0101】
まず、制御部232は、シリンダ205を制御することにより、ストッパ211を介してピストンロッド208を支持体220に支持させる(S110)。
【0102】
これにより、制御部232は、ピストンロッド208から支持体220に作用する、ピストンロッド208の一端部側に向かう第2押圧力を発生させる(S210)。
【0103】
次に、取得部231は、モータ214のドライバから、モータ214に生じるトルクに関するトルク情報を取得する(S130)。
【0104】
次に、判定部233は、トルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。具体的には、判定部233は、トルク情報に基づいて、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であるか否かを判定する(S140)。
【0105】
制御部232は、判定部233が、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であると判定した場合(S140でYes)、つまり、シリンダ205が正常に機能していると判定した場合、シリンダ205を制御することにより、ピストンロッド208から支持体220に作用する、ピストンロッド208の一端部側に向かう第1押圧力を発生させる(S220)。具体的には、制御部232は、圧力制御部213に、本体部206に第1エア圧を供給させることで、第1押圧力を発生させる。
【0106】
次に、制御部232は、モータ214を制御することにより、支持体220をピストンロッド208とともにピストンロッド208の一端部側に移動させて、圧着ヘッド203に部品160を基板150に圧着させる(S150)。
【0107】
一方、制御部232は、判定部233が、モータ214に生じるトルクが所定のトルク未満であると判定した場合(S140でNo)、つまり、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合、部品160を基板150に圧着させる処理を中止する(S160)。具体的には、制御部232は、第1押圧力を発生させる制御はせず、且つ、第2制御を実行しない。
【0108】
次に、制御部232は、シリンダ205が正常に機能していない旨を示す不良情報を報知部240に報知させる(S170)。
【0109】
以上のように、制御部232は、判定部233の判定結果に基づいて、各種処理を実行する。例えば、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していると判定した場合には、第1押圧力を発生させた後に、第2制御を実行する、つまり、基板150に部品160を圧着させる制御を実行する。一方、例えば、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合には、第1押圧力を発生させず、且つ、第2制御を実行しない、つまり、基板150に部品160を圧着させる制御を実行しない。
【0110】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態に係る部品圧着装置200は、基板150を支持するバックアップ部201aと、バックアップ部201aが設置される基台201に立設される支柱202と、支柱202に対して固定的に設けられる本体部206と、支柱202に沿って移動可能なピストンロッド208と、を有するシリンダ205と、ピストンロッド208の一端部に取り付けられる圧着ヘッド203と、ピストンロッド208の一端部とは反対側に位置する他端部に設けられるストッパ211と、支柱202に沿って移動可能に設けられ、ストッパ211を介してピストンロッド208を一端部側から支持する支持体220と、支持体220を支柱202に沿って移動させるモータ214と、シリンダ205及びモータ214を制御することで、支持体220をピストンロッド208とともに一端部側に移動させて、圧着ヘッド203に、バックアップ部201aに支持された基板150に部品160を圧着させる制御部232と、モータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する判定部233と、を備える。
【0111】
これによれば、シリンダ205のエア圧を測定する圧力センサ等を設けることなく、通常備えられるモータ214から得られるトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かが判定される。そのため、部品圧着装置200によれば、シリンダ205が正常に機能しているか否かを簡単な構成で判定できる。
【0112】
また、例えば、制御部232は、シリンダ205を制御することにより、ストッパ211を介してピストンロッド208を支持体220に支持させて、ストッパ211を介してピストンロッド208から支持体220に作用する一端部側に向かう第1押圧力を発生させるための第1制御を行ってから、モータ214を制御することにより、支持体220をピストンロッド208とともに一端部側に移動させて、圧着ヘッド203に部品160を基板150に圧着させる第2制御を行う。
【0113】
また、例えば、判定部233は、第1制御を行っている間にモータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。
【0114】
これによれば、支持体220を移動させていないため、第1押圧力が安定する。そのため、安定したトルク情報が取得され得る。
【0115】
また、例えば、判定部233は、トルク情報に基づいて、制御部232が圧着ヘッド203に部品160を基板150に圧着させる前に、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。
【0116】
これによれば、例えば、シリンダ205が正常に機能していない場合に圧着を停止させる等することで実装不良の発生が抑制され得る。
【0117】
また、例えば、制御部232は、第1制御では、シリンダ205を制御することにより、ストッパ211を介してピストンロッド208を支持体220に支持させて、ストッパ211を介してピストンロッド208から支持体220に作用する一端部側に向かう第2押圧力であって、第1押圧力よりも小さい第2押圧力を発生させてから、第1押圧力を発生させ、判定部233は、第2押圧力を発生させている間にモータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する。
【0118】
例えば圧着される部品160の種類が互いに異なる基板Aと基板Bと基板Cとでは、部品160を基板150に圧着するときに必要となる押圧力が異なる。そのため、押圧力を適切な値にするために、基板150の種類に応じて本体部206に供給されるエア圧が設定される。図5に示す例では、基板Bに部品を実装する際に必要な第1押圧力が、基板Aに部品を実装する際に必要な第1押圧力よりも大きいため、図5の(a)に一点鎖線で示すように、基板Bに部品を実装する際には、基板Aに部品を実装する際に本体部206に供給される第1エア圧よりも高いエア圧が本体部206に供給される。また、基板Cに部品を実装する際に必要な第1押圧力が、基板Aに部品を実装する際に必要な第1押圧力よりも小さいため、図5の(a)に二点鎖線で示すように、基板Cに部品を実装する際には、基板Aに部品を実装する際に本体部206に供給される第1エア圧よりも低いエア圧が本体部206に供給される。そのため、第1押圧力を発生させた際にモータ214に生じるトルクは、図5の(c)に示すように、基板Aに部品160を実装する際と、基板Bに部品160を実装する際と、基板Cに部品160を実装する際とで異なる。そうすると、第1押圧力を発生させた際のトルクに基づいて、判定部233が、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定するためには、基板150の種類毎の判定基準が必要になる。
【0119】
そこで、各基板150に部品160を圧着させる際には、図5の(b)に示すように、基板150の種類によらず共通の第2押圧力を発生させる。つまり、図5の(a)に示すように、基板150の種類によらず共通の第2押圧力を発生するように、本体部206に第2エア圧を供給する。これにより、ピストンロッド208が支持体220に接触する瞬間の負荷を、基板150の種類(つまり、部品160の種類)によらず同じ値とすることができる。そのため、基板150の種類(つまり、部品160の種類)によって異なる押圧力に応じた判定基準を設ける必要がなくなる。
【0120】
また、例えば、制御部232は、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合に、第2制御を行わない。
【0121】
これによれば、実装不良の発生が抑制され得る。
【0122】
また、例えば、判定部233が、シリンダ205が正常に機能していないと判定した場合に、シリンダ205が正常に機能していない旨を示す不良情報を報知する報知部240をさらに備える。
【0123】
これによれば、シリンダ205が正常に機能していない旨をユーザに通知できる。
【0124】
また、例えば、判定部233は、トルク情報に基づいて、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であるか否かを判定し、モータ214に生じるトルクが所定のトルク以上であると判定した場合、シリンダ205が正常に機能していると判定し、モータ214に生じるトルクが所定のトルク未満であると判定した場合、シリンダ205が正常に機能していないと判定する。
【0125】
これによれば、シリンダが正常に機能しているか否かが適切に判定され得る。
【0126】
また、実施の形態に係る部品圧着方法は、基板150を支持するバックアップ部201aと、バックアップ部201aが設置される基台201に立設される支柱202と、支柱202に対して固定的に設けられる本体部206と、支柱202に沿って移動可能なピストンロッド208と、を有するシリンダ205と、ピストンロッド208の一端部に取り付けられる圧着ヘッド203と、ピストンロッド208の一端部とは反対側に位置する他端部に設けられるストッパ211と、支柱202に沿って移動可能に設けられ、ストッパ211を介してピストンロッド208を一端部側から支持する支持体220と、支持体220を支柱202に沿って移動させるモータ214と、を備える部品圧着装置200が実行する部品圧着方法であって、シリンダ205及びモータ214を制御することで、支持体220をピストンロッド208とともに一端部側に移動させて、圧着ヘッド203に、バックアップ部201aに支持された基板150に部品160を圧着させる制御ステップと、モータ214に生じるトルクに関するトルク情報に基づいて、シリンダ205が正常に機能しているか否かを判定する判定ステップと、を含む。
【0127】
これによれば、部品圧着装置200と同様の効果を奏する。
【0128】
(その他の実施の形態)
以上、本実施の形態に係る部品圧着装置等について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0129】
上記実施の形態では、部品圧着装置200は、1つの圧着ヘッド203を備えるが、複数の圧着ヘッドを備えてもよい。例えば、部品圧着装置は、圧着ヘッドとシリンダとの組を複数備え、各組を1つのモータで制御(高さ制御)している場合には、各シリンダによって発生される押圧力の合計値を用いて各シリンダが正常に機能しているか否かを判定してもよい。
【0130】
また、例えば、モータ214は、サーボモータではなく、パルスモータ、又は、リニアモータ等であってもよい。
【0131】
また、例えば、モータ214の回転量等を検出するエンコーダは、モータ214に設けられるロータリーエンコーダでもよいし、モータ214とは別途設けられたリニアエンコーダ等でもよい。
【0132】
また、例えば、上記実施の形態では、制御装置230が備える処理部の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0133】
また、制御装置230が備える処理部は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0134】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0135】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、部品を基板に圧着する圧着装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0137】
131 支持ステージ
150 基板
160 部品
200 部品圧着装置
201 基台
201a バックアップ部
202 支柱
203 圧着ヘッド
204 移動ガイド
205 シリンダ
206 本体部
207 ピストン
207a リング部材
208 ピストンロッド
211 ストッパ
213 圧力制御部
214 モータ
218 ボールネジ
220 支持体
230 制御装置
231 取得部
232 制御部
233 判定部
234 出力部
235 記憶部
240 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6