(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148900
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】丁合装置
(51)【国際特許分類】
B65H 39/042 20060101AFI20231005BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65H39/042
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057182
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【テーマコード(参考)】
3F048
3F050
【Fターム(参考)】
3F048AA10
3F048AB01
3F048BA00
3F048BB02
3F048CA06
3F048DA06
3F048DC15
3F048EB21
3F050AA02
3F050BB02
3F050BD02
3F050BE12
3F050CB04
3F050CC08
3F050CD02
3F050CE05
3F050LA16
(57)【要約】
【課題】シート給送中に読取位置で一旦停止させ、シートに付された制御情報を読取り、その制御情報に基づいてシート給送制御を行う丁合装置において、給送異常を起こしても、迅速に再スタートが可能な丁合装置を提供する。
【解決手段】
制御情報を読取可能な給送機構が所定の給送指令を受けると、読取位置にシートが存在するか否かを判定する。読取位置にシートが存在しないと判定した場合は、最上位のシートを送り出してから読取位置に停止させるまでの前送り駆動を行う。読取位置にシートが存在すると判定した場合は、前送り駆動を省略する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載されたシート束から最上位の第1シートを1枚分離して送り出す複数の第1給送部と、
積載されたシート束から最上位の第2シートを1枚分離して送り出すとともに、送り出される前記第2シートに付され、その前記第2シートに重ねられるべき前記第1シートを送り出す前記第1給送部を特定する制御情報を、送り出し中にいったん読取位置に停止させた前記第2シートから読取可能な読取手段を有する少なくとも1つの第2給送部と、
前記第1給送部と前記第2給送部から送り出された各々の前記第1及び第2シートを搬送しながら重ねて丁合セットとする丁合搬送路と、
前記読取手段で読み取られた前記制御情報を記憶部に記憶するとともに、記憶された前記制御情報に基づいて特定した前記第1給送部から前記第1シートを送り出し、前記制御情報が付された前記第2シートとともに重ねて前記丁合セットとするように制御する制御部と、
を有する丁合装置において、
前記制御部は、
前記第2給送部が所定の給送指令を受けると、前記読取位置に前記第2シートが存在するか否かを判定し、
前記判定において前記読取位置に前記第2シートが存在しないと判定した場合は、前記第2給送部における最上位の前記第2シートを送り出してから前記読取位置に停止させるまでの前送り駆動を行う第1給送動作を実行させ、
前記判定において前記読取位置にシートが存在すると判定した場合は、前記前送り駆動を省略する第2給送動作を実行させる
丁合装置。
【請求項2】
前記判定は、所定の丁合スタート信号を受信した時点で行うことを特徴とする請求項1記載の丁合装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1給送動作においては、前記前送り駆動の後、さらに前記第2シートを下流側に送って前記第2給送部から送り出す後送り駆動を行うとともに、
前記第2給送動作においては、
前記前送り駆動を行うことなく、前記後送り駆動を開始することを特徴とする請求項1または2記載の丁合装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1給送動作においては、前記前送り駆動と前記後送り駆動との間に、前記制御情報の読取りを行うことを特徴とする請求項3記載の丁合装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2給送動作においては、前記後送り駆動の前に前記制御情報の読取りを行い、読み取った前記制御情報により、送り出しを行う前記第1給送部を特定することを特徴とする請求項3または4記載の丁合装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2給送動作においては、前記制御情報の読取りを行わず、既に前記記憶部に記憶されている制御情報により、送り出しを行う前記第1給送部を特定することを特徴とする請求項3または4記載の丁合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のシート給送機構のそれぞれから給送されたシートを重ねて丁合セットを作成する丁合装置において、積載部に積載されたシートを1枚ずつ分離して送り出しながら、シートに付された識別情報を読取機構により読み取る読取給送機構を備えた丁合装置が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1記載の装置では、識別情報には配布先に配布する丁合セットを特定するための配布先データが含まれており、制御手段はこの配布先データに基づいて、読取給送機構以外の他の給送機構のうち、シートを送り出す給送機構を選択的に駆動する。
【0003】
読取給送機構から送り出されたシートは二つ折りされるとともに、その内側に、上方から選択的に給送されて重ねられたシートを挟むようにして重ねて丁合セットが形成される。読取給送機構では、分離して送り出した後、二つ折りされる位置との間に、送り出されたシートを1枚滞留させて保持する滞留部を備えており、この滞留部で滞留中に読取機構により識別情報を読み取り、制御手段に送信する。
したがって丁合装置は読取給送機構からのシートの送り出し、滞留部における滞留及び識別情報の読取り、読み取られた識別情報に基づいて選択された他の給送機構からのシートの送り出し、読取給送機構から送り出されたシートを二つ折りし、その内側に他の給送機構から送られてきたシートを挟んで丁合セットを作成する、というサイクルを繰り返すところ、滞留部で読み取りを行うことにより、このサイクルが先行するシートについて完了する前に次のシートのサイクルが開始できることから、丁合作業が効率化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
丁合装置では、各々のシート給送機構において、重送、空送り、紙詰まり、紙無し等の給送異常を起こすことがある。給送異常を起こした場合は丁合装置を停止する。この場合は、識別情報に基づいた配布先データに基づいた丁合ができないことになるから、読取給送機構の滞留部にはシートが残ったまま停止する。その後丁合装置を再スタートすると、上記サイクルを最初からやり直すため、読取給送機構における最上位の1枚のシートの送り出し作業から開始することになる。したがって滞留部で滞留していたシートを取り除く必要がある。しかし、滞留しているシートには識別情報が付与されているため、捨てることはできず、読取給送機構の積載部に手作業で戻さなければならず、手間がかかるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、積載されたシート束から最上位の第1シートを1枚分離して送り出す複数の第1給送部と、積載されたシート束から最上位の第2シートを1枚分離して送り出すとともに、送り出される第2シートに付され、その第2シートに重ねられるべき第1シートを送り出す第1給送部を特定する制御情報を、送り出し中にいったん読取位置に停止させた第2シートから読取可能な読取手段を有する少なくとも1つの第2給送部と、第1給送部と前記第2給送部から送り出された各々の第1及び第2シートを搬送しながら重ねて丁合セットとする丁合搬送路と、読取手段で読み取られた制御情報を記憶部に記憶するとともに、記憶された制御情報に基づいて特定した第1給送部から第1シートを送り出し、制御情報が付された第2シートとともに重ねて丁合セットとするように制御する制御部と、を有する丁合装置において、制御部は、第2給送部が所定の給送指令を受けると、読取位置に第2シートが存在するか否かを判定し、判定において読取位置にシートが存在しないと判定した場合は、第2給送部における最上位の第2シートを送り出してから読取位置に停止させるまでの前送り駆動を行う第1給送動作を実行させ、判定において読取位置に第2シートが存在すると判定した場合は、前送り駆動を省略する第2給送動作を実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給送異常を起こしても、迅速に再スタートが可能な丁合装置が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る丁合装置1を示す模式正面図である。
【
図2】丁合装置1で作成される丁合セットSを示す外観図である。
【
図5】本発明の丁合装置1の制御ブロック図である。
【
図6】丁合装置1の1サイクルの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。また本発明において「給送」とは、シートを駆動して送り出すことを言う。
【0010】
本発明に係る丁合装置の一実施形態について説明する。
図1は本発明に係る丁合装置1を示す模式正面図であり、
図2はこの丁合装置1で作成される丁合セットSを示す外観図である。
図2に示すように、この丁合セットSは、複数枚のシートの束を1枚の折られたシートの内側に挟んだ形態である。
【0011】
丁合装置1には、
図1に示す左側に10個の給送機構2a~2jが、右側に10個の給送機構2k~2tが各々上下方向に積み重ねるように並べて配置されている(第1給送部)。給送機構2a~2jと、給送機構2k~2tは同一構造のものが逆向きに取り付けられている。右側の給送機構2k~2tの下方には、読取給送機構3(第2給送部)が配置されている。
【0012】
給送機構2に積載されたシート束の最上位の1枚がシート束から分離して、横搬送路6へ送り出される。丁合装置1の中央には上下方向に縦搬送路7が設けられ、各々の給送機構2から延びてきた横搬送路6はすべて縦搬送路7に合流するようになっている。各々の給送機構2は、送り出したシートが縦搬送路7で合流したときに、互いの先端が揃うようなタイミングでシートを送り出す。各々の給送機構2から1枚ずつ送り出されてきたシートは、縦搬送路7を上方から下方に向かって移動しながら互いに重ねられていく。
【0013】
読取給送機構3に積載されたシート束Pの最上位の1枚のシートP1は、分離給送機構4によってシート束Pから分離した後、いったん読取位置で停止して、シートP1に印刷された識別情報としての2次元コードを読み取る(その詳細は後述する)。なお識別情報はQRコード(登録商標)等の各種マトリクス型コードや、バーコードを積み重ねたPDF417やCODE49等が使用されるが、これに限らず、各種の1次元バーコードであってもよいし、文字や記号あるいはその組み合わせであってもよい。
【0014】
その後シートP1の搬送が再開され、折り搬送路8を図示右方へ搬送され、折りストッパ9に先端が当接する。折り搬送路8の上方には縦搬送路7の下端が面しており、折りストッパ9に当接したシートP1は縦搬送路7の下端をふさぐように停止する。その後、折りナイフ10が駆動して、折りストッパ9に当接して停止しているシートP1を折りローラ11に巻き込んで二つ折りするとともに、その二つ折りの内側に、縦搬送路7を下降してきたシート(束)が入って丁合セットSが作成される。丁合セットSはさらに、排紙搬送路12を経由して排紙口13から装置外へ排出され、スタッカ14に蓄積される。
【0015】
図3は読取給送機構3の拡大正面図、
図4は
図3における上側から見た上面図である。
【0016】
読取給送機構3は板状の積載板21を有する。積載板21上にはシート束Pが、上位のシートほど前方になるように斜めに捌いた状態で積載される。
図3では一例として、A4サイズのシートが、長辺を
図3における左右方向として積載されているが、A4サイズに限られるものではないし、短辺を
図3における左右方向としてもよい。積載されたシート束Pの
図3における奥側及び手前側の端は、積載板21から鉛直上方に立ち上がり、給送方向に平行なガイド面を有するサイドガイド40が当接している。
図3においては奥側のサイドガイド40のみを示し、手前側のサイドガイドは省略されている。
図4においては両サイドガイドとシート束Pが省略されている。
【0017】
このシート束Pの給送方向下流側の端付近に分離給送機構4が設けられており、シート束Pから最上位の1枚のシートP1を分離して下流側の横搬送路6へと送り出す。
【0018】
分離給送機構4は、最上位のシートP1を送り出す給送ローラ22、給送ローラ22に下方から圧接するサバキ板23、給送ローラ22の給送方向上流側に設けられた補助給送ローラ24を含む。両サイドの固定フレーム25、26に支持された給送軸27に、給送ローラ22と、その両サイドに補助コロ33が設けられている。サバキ板23の下方には、サバキ板23の給送ローラ22に対する圧接力(以下、サバキ圧という)を調整する公知の調整機構29が設けられている。
【0019】
ガイド板30は、積載されたシート束Pの先端部分を支持するとともに、分離給送機構4で分離された最上位のシートP1の下面をガイドする。サバキ板23の上流側には、シート有無検知センサD1が設けられている。このシート有無検知センサD1は、この読取給送機構3にシートが積載されているか否かを検知する。シート有無検知センサD1は反射型光学センサであり、このガイド板30上にシートが存在するか否かを検知する。
【0020】
給送軸27にはモータMから回転駆動力が間欠的に付与され、給送ローラ22はこの給送軸27によって間欠的に回転し、最上位のシートP1を送り出す。モータMは自らの回転量をパルスとして検知してフィードバックすることにより、任意のパルス分だけ回転させることが可能である。補助給送ローラ24はローラ支持部材31に支持された補助給送ローラ軸32に支持される。ローラ支持部材31はまた、給送軸27に支持されている。そして給送軸27と補助給送ローラ軸32との間に、ローラ支持部材31の内部においてタイミングベルト(図示省略)が掛けられ、ともにシートを送り出す方向に回転するように駆動伝達される。
【0021】
補助給送ローラ24は積載したシート束Pの上面に圧接し、最上位のシートP1を給送ローラ22に方向へ送り出す。するとシートP1は給送ローラ22とサバキ板23の間を通過して、横搬送路6へ搬出される。シートが2枚以上重なっていた場合は、2枚目以降のシートがサバキ板23で阻止されるので、最上位の1枚のみが横搬送路6へ搬出される。
【0022】
給送ローラ22の給送方向下流側に、リーダRが設けられている。リーダRに対応してガイド板30には開口30aが設けられ、シートP1の下面に印刷された2次元コードをリーダRが読み取ることができる。リーダRは給送方向に直交する方向に3か所設けられている。シートに印刷される2次元コードは、この3か所のリーダRのいずれかで読み取れるように印刷される。この3か所のうち1か所乃至2か所のみ使用する場合は、使わない位置にはリーダRを取り付けなくともよい。
【0023】
リーダRの給送方向下流側には、シート搬送検知センサD2が設けられている。シート搬送検知センサD2は、ガイド板30上を通過するシートP1の先端の到来を検知する光学センサである。
【0024】
サイドガイド40には、積載板面から鉛直方向上方にのびるライン41,42,43が、給送方向に間隔を空けて表示されている。ライン41には隣接して「A4」、ライン42には隣接して「B4」、ライン43には隣接して「A3」と表示されており、各々、そのサイズのシートが読取位置で停止した時の後端の位置を表す。
【0025】
図5は本発明の丁合装置1の制御ブロック図である。丁合装置1は各給送機構をはじめとした装置各部の駆動を制御する中央制御部50を有する。中央制御部50は記憶部50Aを有し、読取給送機構3のリーダRから読み取り情報が入力可能であり、かつ入力された読取情報を記憶可能になっている。読取給送機構3は中央制御部50と通信線で接続された給送制御部51を有する。給送制御部51はシート有無検知センサD1、シート搬送検知センサD2、重送検知センサ(図示せず)の検知情報が入力されるとともに、給送ローラ22を駆動するモータMの駆動制御を行う。各給送機構2(2a~2t)も各自が給送制御部52(52a~52t)を有し、重送、ジャム、紙無しの各給送異常を検出するセンサの検知結果が入力されるとともに、各々のシートの送り出しの駆動源であるモータm(ma~mt)の駆動制御を行う。この中央制御部50、給送制御部51、給送制御部52が連携して、丁合装置1の制御部を形成する。
【0026】
丁合装置1はユーザの操作を受け付ける操作パネル60を有する。操作パネル60は少なくとも、スタートスイッチ61とストップスイッチ62とを有する。スタートスイッチ61をユーザが操作すると、丁合装置1が起動する。ストップスイッチ62をユーザが操作すると、丁合装置1が停止する。操作パネル60は、例えば丁合装置1の本体側面に設けられたタッチパネルである。このタッチパネルは、丁合装置1に据え付けられていてもよいし、取り外し可能なタブレット等であってもよい。取り外した場合は、丁合装置1本体と有線または無線通信可能であってもよい。
【0027】
また操作パネル60は、丁合装置1とは別体に設けられ、丁合装置1と有線または無線を介して通信可能なPCやスマートフォン等の外部端末であってもよく、スタートスイッチ61、ストップスイッチ62がマウスクリック、またはPCのキーボード等を利用したものであってもよい。この外部端末は必ずしも丁合装置1に近接して設ける必要はなく、インターネット回線を介して遠方から遠隔操作可能であってもよい。
【0028】
次に丁合装置1の動作を説明する。ユーザがスタートスイッチ61を操作すると、丁合装置1が起動し、所定の動作サイクルを繰り返す。
図6は丁合装置1の1サイクルの動作を示すフローチャートである。以下、
図6を参照してこの1サイクルの動作を説明する。
【0029】
丁合装置1を起動すると、中央制御部50はまず読取給送機構3の給送制御部51に給送指令を送る。給送制御部51はこれを受けて、読取位置にシートが存在するか否かを判定する。具体的には、シート搬送検知センサD2の信号を参照する(ステップS1)。シート搬送検知センサD2がシートを検知していれば、読取位置にシートP1が存在すると判定する。シート搬送検知センサD2がシートを検知していなければ、読取位置にシートP1が存在していないと判定する。
【0030】
読取位置にシートP1が存在しないと判定された場合(ステップS1のNO)、給送制御部51はモータMに回転指令を出し、モータMが回転駆動開始する(ステップS2)。モータMの駆動により給送ローラ22が回転開始し、最上位のシートP1が1枚分離され、
図3の右側から左側へ進む。
【0031】
シートP1が進んで、シート搬送検知センサD2がシートP1の先端の到来を検知すると(ステップS3)、その時点からパルス数PAをゼロセットする(ステップS5)。パルス数PAは、モータMの回転軸に設けられたインデックスセンサ等により取得する。あるいはモータMが自ら出力する回転量に比例するパルスを利用してもよい。その後、パルスを受信するごとにパルス数PAを1ずつインクリメントし(ステップS5)、パルス数PAが所定の数値N1に達すると(ステップS6)、モータMの駆動を停止させる(ステップS7)。この結果、シートP1は読取位置に停止する。このステップS2からS7までが、読取給送機構3に積載された最上位のシートP1を送り出してから、読取位置に停止するまでの前送り駆動である。
【0032】
図3はシートP1が読取位置に停止している状態を示している。シートP1の先端は、シート搬送検知センサD2の検知位置を通過してからから距離L1だけ搬送された位置にある。
図3の例ではシートP1はA4サイズであるので、その後端はライン41の位置と一致している。
【0033】
次に、読取位置で停止したシートP1の2次元コードがリーダRで読み取られる(ステップS8)。すなわち読取位置は、シートP1に印刷された2次元コードの位置が開口30aと一致し、2次元コードがリーダRで読み取り可能となる位置である。リーダRによる読取のトリガは、モータMの停止タイミングでもよいし、シートP1が読取位置に到来したことを検知するセンサ(図示せず)をシート搬送検知センサD2の給送方向下流側に設け、その検知信号をトリガとしてもよい。
【0034】
ここで、読取ができなかった場合(ステップS9のNO)は、エラー信号を発生させて丁合装置1を停止させる。読取ができない原因は、シートP1に2次元コードが印刷されていないか、あるいは印刷が汚れている等の異常がある可能性がある。シートP1に2次元コードが印刷されている場合は、シートP1が本来の読取位置からずれた位置に停止していて、シートP1に印刷された2次元コードの位置と開口30aの位置が合っていない可能性がある。その場合は、ユーザが数値N1を微調整することができる。この微調整については後述する。
【0035】
読み取られた2次元コードには、このシートP1と重ねるべきシートが積載された給送機構2(第1給送部)を特定する給送部特定情報を含む。中央制御部50はリーダRを通じてこの給送部特定情報を取得し、該当する給送機構2を選択的に駆動する(ステップS10)。例えば給送部特定情報により給送機構2a、2c、2d、2j、2m、2tの6個が特定されていた場合は、その6個の給送機構を駆動し、各々に積載されている複数のシートから最上位のシートを1枚分離して給送する。給送機構2は、送り出されたシート同士が縦搬送路7で先端が揃った状態で重なるように、上方から下方に向かって順次駆動される。
【0036】
読取給送機構3においてはシートP1が読取後搬送再開され(ステップS10)、読取給送機構3から送り出されて折りストッパ9に当接して停止する(ステップS11)。シートP1はその状態で、縦搬送路7を下降してくる給送機構2からのシート(束)を待機する。給送機構2からのシート(束)が降りてくると、それを内側に挟むようにシートP1が折り曲げられ、丁合セットSを形成する(ステップS12)。形成された丁合セットSはスタッカ14に排出される(ステップS13)。読取後に読取給紙機構3からシートP1が送り出され、折ストッパ9に当接するまでの後送り駆動(ステップS10、S11)は、モータMの駆動再開によってスタートするが、シートP1の先端が下流側のローラ対に突入すると、モータMは駆動停止し、以後は下流側のローラ対によりシートP1が搬送される。給送ローラ22は図示しないワンウェイクラッチが設けられているので、モータMの駆動停止後も、送り出されるシートP1に従動回転するが、シートP1が抜けると回転停止し、次位のシートが連れ送りされないようになっている。
【0037】
丁合装置1は、このステップS1~S13のサイクルを繰り返して、複数の丁合セットSを作成する。このサイクルはオーバーラップして繰り返される。すなわち今回のサイクルが完了しないうちに、次回のサイクルが開始される。その結果給送機構2においては、今回サイクルの駆動が下方に向かって進んでいる途中で、次回サイクルの駆動が上方から開始される。
【0038】
具体的には、今回サイクルのシートP1が折りストッパ9に当接し(ステップS11)、給送機構2からの今回サイクルのシート(束)を待機している間、読取給送機構3では、次回サイクルのシートP1(2)が読取位置まで送り出されて2次元コードが読み取られ(ステップS8)、その2次元コードで特定された次回サイクルの給送機構2の駆動が開始される。そして今回サイクルのシートP1が二つ折りされ、給送機構2から今回サイクルのシート(束)と重ねられると、次回サイクルのシートP1(2)が折りストッパ9まで進出し、給送機構2からの次回サイクルのシート(束)を待機する。したがって、今回サイクルの丁合が完了しないうちに、次回サイクルの丁合に関する給送部特定情報の取得が行われ、上方の給送機構2の駆動を開始できるため、処理速度を高めることができる。
【0039】
ところで、各給送機構2には図示しない重送検知センサやジャムセンサ、紙無しセンサを有し、重送、ジャム、紙無し等の給送異常を検知する。給送異常が検知された時点で給送機構2から送り出し済みのシートは、そのまま縦搬送路7を下降するが、シートP1に挟まれることなくスタッカ14に排出され、丁合装置1はエラーを表示して停止する。
【0040】
この時すでに読取給送機構3では、次回サイクルの丁合に備えて次回のシートP1(2)を読取位置まで送り出している可能性がある。したがってその後所定のスタート操作により丁合装置1の動作を再開させると、読取給送機構3に給送指令が送られた時点で、読取給送機構3の読取位置にはシートP1(2)が存在していることになる。
【0041】
したがってその場合、ステップS1において、シート搬送検知センサD2がシートP1(2)を検知するので、YESとなる。すなわち、読取位置にシートP1(2)が存在すると判定する。その場合は、ステップS2~S7をスキップする。すなわち前送り駆動を省略する。そして既に読取位置に停止していたシートP1(2)の2次元コードがリーダRで読み取られる(ステップS8)。その後はステップS9~S13と同じである。
【0042】
したがって、シートP1(2)が読取位置に停止したままエラー等で動作が中断した後であっても、シートP1(2)を読取給送機構3の積載板21に戻すことなく、読取位置に停止したシートP1(2)から読み取った情報に基づいて、駆動すべき給送機構2を特定して、丁合作業を開始することができる。したがって、給送異常を起こしても、迅速に再スタートが可能となる。
【0043】
なお、本実施形態では、読取位置にシートP1(2)が存在しないと判定した場合、前送り駆動を省略して、リーダRによる読取を行うが、シートP1(2)の制御情報が、給送異常等で丁合装置1が一旦停止する直前にリーダRで読み取り済みで、記憶部50Aに記憶済みの場合は、リーダRによる改めての読取りすなわちステップS8を省略し、記憶済みの制御情報を参照して給送機構2を駆動してもよい。
【0044】
丁合装置1の処理が中断したあと、シートP1(2)が積載板21上に戻された場合は、再スタート時には、ステップS1においてシート搬送検知センサD2によりシートP1(2)が検知されない。したがって読取位置にシートP1(2)が存在しないと判定する。したがって、その後はステップS2~S7と進み、すなわち前送り駆動を行うため、シートP1(2)は分離給送され、改めて読取位置まで送られる。
【0045】
丁合装置1の処理が中断したあと、シートP1(2)の位置がずらされることにより、シート搬送検知センサD2には検知されているが、2次元コードが開口30aの位置と合わなくなった場合は、再スタート時には読取位置にシートP1(2)が存在すると判定され、ステップS2~S7をスキップした後、ステップS8において正常な読取ができないので、ステップS9がNoとなり、エラー表示を行って丁合装置1が停止する。その場合はユーザはシートP1(2)を積載板21上に戻して再スタートすればよい。
【0046】
読取給送機構3において、シートP1は給送ローラ22に押圧され、サバキ板23と摩擦しながら読取位置まで搬送されるため、給送ローラ22とシートP1との間に滑りが生じる。したがって給送ローラ22の線速とシートP1の前進速度は必ずしも一致せず、特にサバキ圧の影響を受けやすい。したがって、サバキ圧の強弱によって距離L1がばらつく。
【0047】
丁合装置1では、丁合作業開始前に、所定のボタン操作により、読取給送機構3のみをテスト動作させることができる。所定の第1ボタンを押下すると、最上位のシートP1が送り出される。シートP1の先端がシート搬送検知センサD2で検知されると、モータMはさらに数値N1だけパルスが計数されるまで回転させ停止し、シートP1は所定位置で停止する。
【0048】
ユーザはこの所定位置が読取位置と一致するように数値N1を調整する。ユーザが所定の第2ボタンを1回押下すると、数値N1が所定量減少する。ユーザが所定の第3ボタンを押下すると、数値N1が所定量増加する。
【0049】
第1乃至第3ボタンは図示されていないが、操作パネル60に設けられてもよいし、操作パネル60とは別に、読取給送機構3近傍に設けられても良い。
【0050】
ユーザは所定位置で停止したシートP1の後端と、そのシートP1のサイズすなわちA4サイズに応じたライン41との位置関係を確認する。読取位置にあるシートP1の後端がライン41よりも下流側にある場合、所定の第2ボタンを押下する。すると数値N1が減少し、次回の給送においてはその分だけ距離L1が短くなり、後端がライン41に近づく。読取位置にあるシートP1の後端がライン41よりも上流側にある場合、所定の第3ボタンを押下する。すると数値N1が増加し、次回の給送においてはその分だけ距離L1が長くなり、後端がライン41に近づく。所定位置にあるシートP1の後端とライン41との間隔に応じて、必要に応じ複数回第2または第3ボタンを押下する。
【0051】
その後第1ボタンを押下するとシートP1は搬送再開され、スタッカ14に排出される。ユーザは所定位置が読取位置に一致するまで必要であれば複数回このテスト動作を実行する。シートのサイズに応じて読取位置に停止したシートの後端位置があらかじめ表示されているので、このテスト動作において押下すべきボタンが第2、第3ボタンのいずれであるのか、あるいはもはや押下の必要がないのか、一目で判断することができる。
【0052】
シートP1がB4サイズである場合はライン42と、A3サイズである場合はライン43との位置関係を確認する。表示するラインの数は必要に応じて増加させてもよく、短辺を搬送方向として積載した場合に対応するラインを表示させてもよい。テスト動作中、所定の表示部に数値N1を増加させた場合は、その増加の度合いを示す正数を、減少させた場合はその減少の度合いを示す負数を表示させてもよく、数値N1そのものを数値として表示させてもよい。
【0053】
このテスト動作により、数値N1がサバキ圧に応じた数値に調整されるので、シートP1は読取位置に停止するようになり、その際にリーダRでシートP1に印刷された2次元コードを読み取ることができる。
【0054】
このテスト動作は、丁合作業開始前だけでなく、丁合作業開始後であっても、丁合作業をいったん中断して行うことができる。したがって丁合作業において、ステップS7で停止したシートP1の2次元コードの位置が開口30aに合っておらず、2次元コードの読み取りができなかった場合は、このテスト動作を行って、読取位置を微調整することができる。
【0055】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0056】
例えば、実施の形態では、ステップS1におけるシートP1の有無の判定と、ステップS7におけるシートP1の読取位置での停止タイミングは、ともにシート搬送検知センサD2の検知結果に基づいているが、各々異なるセンサの検知結果に基づいていてもよい。
【0057】
また例えば、実施の形態では、シート搬送検知センサD2は、リーダRの下流側に配置されているが、リーダRの上流側に配置されていてもよい。シート搬送検知センサD2とリーダRとの位置関係は、モータMの駆動停止後にシートP1が慣性により搬送される分等を考慮し、適宜の数値N1を設定することにより、停止後のシートP1の2次元コードの位置をリーダRの位置に合わせることができるように設計されればよい。
【符号の説明】
【0058】
1 :丁合装置
2 :給送機構(第1給送部)
3 :読取給送機構(第2給送部)
30 :ガイド板
30a:開口
50 :中央制御部
50A:記憶部
D2 :シート搬送検知センサ
M :モータ
P1 :最上位のシート
R :リーダ