(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148904
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20231005BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20231005BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06F3/0484
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057186
(22)【出願日】2022-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ソフトウェアの配布 開示日 :令和3年3月31日 開示場所 :NTTインフラネット株式会社 配布物 :発明した装置及び方法に係るソフトウェア (2)発明に関する説明 開示日 :別紙の「説明一覧表」参照 開示場所 :別紙の「説明一覧表」参照 開示内容 :別紙の「説明資料」参照
(71)【出願人】
【識別番号】599126800
【氏名又は名称】株式会社エムティーアイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 太
(72)【発明者】
【氏名】関 貢
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050CA07
5B050EA05
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA19
5B050FA02
5E555AA25
5E555AA26
5E555BA02
5E555BA04
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC04
5E555BC08
5E555BE17
5E555CA42
5E555CA45
5E555CB12
5E555DB18
5E555DB22
5E555DB53
5E555DB57
5E555DC09
5E555DC10
5E555DC13
5E555DC19
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物体の位置等を確認し易い装置又は方法を提供する。
【解決手段】配信サーバ及び一つ以上のユーザ端末が通信ネットワークを介して互いにデータの送受信が可能となるように接続されている情報処理システムにおいて、ユーザ端末30は、情報処理装置の表示部に接続可能な制御部を備える。制御部は、敷設物OBの少なくとも一部が敷設された領域を示す領域画像を取得する取得処理と、敷設物の位置を取得する処理と、前記位置に基づき、領域画像に敷設物の画像である敷設物画像を重ねて表示した合成画像を生成する生成処理と、表示部に対し、領域の基準面と交差する方向に敷設物画像を移動可能とし、合成画像を表示させる表示処理と、を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に接続可能な制御部を備え、
前記制御部は、
敷設物の少なくとも一部が敷設された領域を示す領域画像を取得する取得処理と、
前記敷設物の位置を取得する処理と、
前記位置に基づき、前記領域画像に前記敷設物の画像である敷設物画像を重ねて表示した合成画像を生成する生成処理と、
前記表示部に対し、前記領域の基準面と交差する方向に前記敷設物画像を移動可能とし、前記合成画像を表示させる表示処理と、
を実行する装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示処理において、
前記合成画像中、前記敷設物画像のうち前記基準面から露出した部分を不透明表示し、前記敷設物画像のうち前記基準面に覆われた部分を透明または半透明に表示する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記領域画像において、前記敷設物画像の一部に対応する基準点を定める処理をさらに実行し、
前記基準点にさらに基づいて前記生成処理を実行する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記合成画像において、前記方向の座標を示す仮想物を前記敷設物画像の周囲に表示する、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記表示処理において、
前記合成画像に、前記方向に延びるバーと、前記バーに沿って移動可能な指示部とをさらに表示し、
前記指示部の移動指示を受け付ける処理と、
前記移動指示に基づき、前記合成画像において前記指示部を移動させるとともに、前記敷設物画像を前記方向に移動させる処理と、
を実行する請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記取得処理において、
前記領域を撮影した画像、及び、人工的に描画された画像の少なくとも1つを前記領域画像として取得する、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
表示部に接続可能な制御部に実行させる方法であって、
敷設物の少なくとも一部が敷設された領域を示す領域画像を取得する取得処理と、
前記敷設物の位置を取得する処理と、
前記位置に基づき、前記領域画像に前記敷設物の画像である敷設物画像を重ねて表示した合成画像を生成する生成処理と、
前記表示部に対し、前記領域と交差する方向に前記敷設物画像を移動可能とし、前記合成画像を表示させる表示処理と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に埋設された物体を画像として表示する方法が従来技術として知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなシステムにおいては、地下にある物体の位置等を確認することは難しかった。
【0005】
本発明の目的は、物体の位置等を確認し易い装置または方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一態様として表示部に接続可能な制御部を備え、前記制御部は、敷設物の少なくとも一部が敷設された領域を示す領域画像を取得する取得処理と、前記敷設物の位置を取得する処理と、前記位置に基づき、前記領域画像に前記敷設物の画像である敷設物画像を重ねて表示した合成画像を生成する生成処理と、前記表示部に対し、前記領域の基準面と交差する方向に前記敷設物画像を移動可能とし、前記合成画像を表示させる表示処理と、を実行する装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、一態様として、表示部に接続可能な制御部に実行させる方法であって、敷設物の少なくとも一部が敷設された領域を示す領域画像を取得する取得処理と、前記敷設物の位置を取得する処理と、前記位置に基づき、前記領域画像に前記敷設物の画像である敷設物画像を重ねて表示した合成画像を生成する生成処理と、前記表示部に対し、前記領域と交差する方向に前記敷設物画像を移動可能とし、前記合成画像を表示させる表示処理と、を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により本発明は、物体の形状等を確認し易い装置または方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態によるシステムの実現に際して用いられるハードウェア(情報処理装置)の一例である。
【
図3】本実施形態のシステムの実現に際して用いられる(a)配信サーバ及び(b)ユーザ端末の機能構成(ソフトウェア構成)を示す図である。
【
図4】敷設物が敷設された領域の撮影状況を説明する図である。
【
図5】本実施形態による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】(a)領域画像、(b)敷設物画像、及び(c)合成画像を説明する図である。なお、
図6(b)、(c)では理解を容易にするため、不透明表示されている部分を実線表示し、半透明表示される部分を点線で示している。
【
図7】合成画像を表示した状態のユーザ端末画面であり、
図6(c)の線図に対応する。
【
図8】敷設物画像及び合成画像と、視点から見えるイメージの関係を説明する図である。不透明表示されている部分を実線表示し、半透明表示される部分を点線で示している。
【
図9】合成画像を表示した状態のユーザ端末画面である。
【
図10】合成画像を表示した状態のユーザ端末画面である。
【
図11】合成画像を表示したユーザ端末画面を、線図で描画した図であり、敷設物画像を上方へ移動させた状態を示す。不透明表示されている部分を実線表示し、半透明表示される部分を点線で示している。
【
図12】合成画像を表示した状態のユーザ端末画面であり、
図11の線図に対応する。
【
図13】合成画像を表示したユーザ端末画面であり、
図11、
図12の状態から、敷設物画像をさらに上方へ移動させた状態を示す。
【
図14】仮想現実による合成画像を表示したユーザ端末画面である。
【
図15】ダイアログを表示したユーザ端末画面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システム概略>
図1に本発明の一実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す。情報処理システム1は、配信サーバ10、および一つ以上のユーザ端末30の各演算装置を含む。配信サーバ10、およびユーザ端末30は、通信ネットワーク5を介して互いにデータの送受信が可能となるように接続されている。通信ネットワーク5は、無線方式または有線方式の通信手段であり、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆通信網、専用線等である。
【0011】
なお、本実施形態による情報処理システム1は上記複数の情報管理装置によって構成されているが、本発明はこれらの装置の数を限定するものではない。そのため、情報処理システム1は、以下のような機能を備えるものであれば、1以上の装置によって構成することができる。また、複数の装置に機能を分散させて構成を実現することも可能である。機能の分散の態様は、実施形態に限らず様々なものが考えられる。
【0012】
ユーザ端末30は、ユーザ(作業者など)によって操作される情報処理装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、パーソナルコンピュータ等である。
【0013】
配信サーバ10は、後述するデータ151を管理する情報処理装置である。
【0014】
図2は、配信サーバ10及びユーザ端末30の実現に用いるハードウェア(以下、「情報処理装置100」と称する。)の一例である。同図に示すように、情報処理装置100は、プロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、入力装置104、出力装置105、および通信装置106を備える。これらは図示しないバス等の通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
尚、情報処理装置100は、その全ての構成が必ずしもハードウェアで実現されている必要はなく、構成の全部又は一部が、例えば、クラウドシステム(cloud system)のクラウドサーバ(cloud server)のような仮想的な資源によって実現されていてもよい。
【0016】
プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いて構成される。プロセッサ101が、主記憶装置102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、配信サーバ10やユーザ端末30の機能が実現される。
【0017】
主記憶装置102は、プログラムやデータを記憶する装置であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性半導体メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0018】
補助記憶装置103は、例えば、SSD(Solid State Drive)、SDメモリカード等の各種不揮発性メモリ(NVRAM: Non-volatile memory)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置103に格納されているプログラムやデータは主記憶装置102に随時読み込まれる。
【0019】
入力装置104は、情報の入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、音声入力装置(マイクロフォン等)、音声認識装置等である。情報処理装置100が通信装置106を介して他の装置との間で情報の入力を受け付ける構成としてもよい。特に、ユーザ端末30は、入力装置104として、レンズ及び撮像素子を備えた撮像装置を有し、画像を撮影することができる。
【0020】
出力装置105は、各種の情報を出力するインタフェースであり、例えば、画面表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、印字装置等)、音声出力装置(スピーカ等)、音声合成装置等である。情報処理装置100が通信装置106を介して他の装置との間で情報の出力を行う構成としてもよい。特にユーザ端末30の出力装置105は、画像を表示させる画面SC(
図4などに示す)を備える。
【0021】
通信装置106は、通信ネットワーク5を介した他の装置との間の通信を実現する有線方式又は無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、シリアル通信モジュール等である。特に、ユーザ端末30の通信装置106は、GPS(Global Positioning System)と通信し、位置座標を取得することができる。
【0022】
〔地図サーバの機能構成〕
図3(a)に配信サーバ10が備える主な機能(ソフトウェア構成)を示す。同図に示すように、配信サーバ10は、記憶領域110、管理部120の各機能を備える。これらの機能は、配信サーバ10のプロセッサ101が配信サーバ10の主記憶装置102または補助記憶装置103に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また配信サーバ10は、上記の機能に加えて、オペレーティングシステム、ファイルシステム、デバイスドライバ、DBMS(DataBase Management System)等の機能を備える。
【0023】
記憶領域110は、例えばROMやRAM等により構成され、各種のデータやプログラムを記憶するとともに、データの一時的な記憶領域として利用される。記憶領域110に記憶されるプログラムとしては、オペレーティングシステム(以下、「OS」という)やデータ151の管理プログラムなどがある。
【0024】
また、記憶領域110には、データ151が保存される。データ151には、地形及びオブジェクトの3次元画像を作成するために必要なデータが含まれる。例えば、地上または地下に敷設されるオブジェクトのデータが含まれる。
【0025】
データ151には地上及び地下に敷設されたオブジェクトの名称、種別、形状及び座標に関するデータが含まれる。オブジェクトの具体例としては、建物、道路、上下水道管、管路、地下ケーブル、ガス管、地下道、トンネル、電信柱、電力柱、共架柱、とう道、及び、これらの施設を構成するマンホール、ハンドホールなどが挙げられる。
【0026】
加えて、データ151には、地形データや、地図及び図面に記載された縮尺、寸法、寸法線、記号、等高線などのデータが含まれ得る。なお、地形の例としては、河川、海岸線、植生、標高、土質などが挙げられる。
【0027】
データ151は、地形及びオブジェクトの3次元座標を保持する。座標の形式は様々な形式があるが、一例として、オブジェクトの緯度、経度、及び、地表面からの高さまたは深さ(土被りなど)を、データ151は保持することができる。また、地形データとして、データ151は、複数地点の緯度、経度、及び標高を保持することができる。
【0028】
配信サーバ10は、CPU110にプログラムを起動させることによって様々な機能を発揮する。配信サーバ10は、それらの機能として、合成画像の生成や、撮影画像の取得などの各処理を実行できる。
【0029】
〔ユーザ端末30の機能構成〕
ユーザ端末30は、
図3(b)に示すように、記憶領域310、管理部320の各機能を備える。これらの機能は、ユーザ端末30のプロセッサ101がユーザ端末30の主記憶装置102または補助記憶装置103に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また配信サーバ10は、上記の機能に加えて、オペレーティングシステム、ファイルシステム、デバイスドライバ、DBMS(DataBase Management System)等の機能を備える。
【0030】
記憶領域310は、例えばROMやRAM等により構成され、各種のデータやプログラムを記憶するとともに、データの一時的な記憶領域として利用される。記憶領域310に記憶されるプログラムとしては、OSや画像処理プログラムなどがある。管理部320は、記憶領域310から読み出したプログラムを実行することにより、ユーザ端末30の各部を制御する。
【0031】
管理部320は、ユーザ端末30の機能を用いて、以下に述べるように、領域画像P、敷設物画像Q、及び合成画像Rの生成を行う。
【0032】
<処理>
ユーザ端末30における処理について、
図5のフローを用いて以下に説明する。
【0033】
管理部320は、まず、配信サーバ10からデータ151を取得する(S1)。
【0034】
次に管理部320は、領域画像Pの取得を実行する(S3)。領域画像Pは、データ151から地形を立体的に表現した3次元画像を形成することによって生成されてもよいし(仮想現実モード。詳細は後述)、調査したい領域を撮影することによって取得されてもよい(拡張現実モード)。この説明では、まず、ユーザが、ある領域Aを撮影することによって、領域画像Pの生成が行われるものとする。
【0035】
ユーザは、
図4に示すように、カメラなどの外部装置、または、入力装置104(撮像装置)を用いて領域Aの撮影を行い、領域画像P(
図6(a))の取得を行う。領域画像Pは、静止画でもよいし、動画として取得されてもよい。このステップにおいて、管理部320は、画像撮影が行われた領域Aの緯度、経度をGPSなどから取得するとともに、取得した緯度、経度を用いてデータ151を参照し、領域Aの標高などを取得する。
【0036】
次に管理部320は、基準点の設定を行う(S5)。基準点とは、領域画像P上でのオブジェクト画像の位置決めを行うための点である。
【0037】
この処理において、管理部320は、領域画像Pをユーザ端末30の出力装置105(画面SC)に表示させ、ユーザに基準点の箇所を指定させる。基準点は、領域Aに敷設されたオブジェクト(以下、敷設物OBとする)の一部に対応する点であれば良いが、ユーザから視認できる部分とすることが望ましい。例えば、マンホールの蓋の中心部や汚水桝の蓋の中心等は地上に露出しているため、ユーザから認識し易く、基準点とすることに適している。
【0038】
基準点の設定方法には様々な方法が考えられる。本実施形態においては、管理部320は、領域画像P上において、ユーザに位置を指定させる方法が用いられる。ユーザは、ユーザ端末30の入力装置104を用いて、領域画像P上で基準点となる位置を指定する。管理部320は、指定された位置を基準点として認識するとともに、ブロックBの画像を、その下端が基準点と一致するように領域画像P上に表示する(
図6(a)、
図9など)。
【0039】
基準点の設定が行われると、次のステップS7において敷設物画像Qの生成が行われる。この処理において、管理部320は、まず領域Aの座標を用いてデータ151を参照し、敷設物OBの座標を取得する。管理部320は、取得した座標に基づいて敷設物OBの3次元画像を生成し、敷設物画像Qとする(
図6(b))。
【0040】
次に、管理部320は、合成画像Rの生成を行う(S9)。この処理において管理部320は、領域画像Pに設定された基準点に基づき、敷設物画像Qを領域画像Pに重ね合わせ、合成画像Rを生成する。
【0041】
基準点がマンホール蓋の中心として設定されている場合、管理部320は、領域画像P上の基準点と、敷設物画像Qのマンホール蓋の中心とが一致するように、敷設物画像Qを移動させる。管理部320は、移動した敷設物画像Qを領域画像Pに重ね合わせることにより、合成画像Rを生成する。
【0042】
合成画像Rの生成に際し、管理部320は、
図6-
図8などに示すように、地上に露出されている部分を不透明に表示し、地下に埋設されている部分を半透明に表示する。詳細に述べると、管理部320は、領域Aに対して基準面RPを設定し、敷設物OBの座標と基準面RPの高さを比較する。比較の結果より、管理部320は、基準面RPよりも上方の部位と下方の部位とに対し、不透明表示と半透明表示に描画方法を変える(
図8)。
【0043】
基準面RPは、ユーザの所望する任意の位置に設定可能である。なお、この説明において、基準面RPは領域Aの地表面に一致するものとする。上述の通り、管理部320はデータ151より地表面の座標(標高を含む)を取得することができる。
【0044】
図8、
図9などに示すように、合成画像Rの生成時に設定したユーザ視点から敷設物画像Qを観察すると、ユーザにとっては、基準面RPから露出した部分は基準面RPよりも手前にあるように見える。また、基準面RPに覆われた部分は、基準面RPの奥に隠れたように見える。
【0045】
次に管理部320は、画面SCに合成画像Rを表示させる(S10)。表示の際、管理部320は、ポールR1、スライダーR2、切り替え部SW、アイコンR3-R6を、さらに合成画像Rに重ねて表示する(
図7-
図10など)。管理部320は、新たなユーザからの指示を受け付けるまで表示を継続する(S11:NO、S13:NO)。
【0046】
ポールR1は、基準面RPから上下方向に延びる仮想の棒部材を描いた画像であり、黒白の縞模様が表面に描かれている。黒色、白色の縞模様は、合成画像Rにおける縮尺の役割を有しており、白黒の各模様の上下長さは、実際の領域Aにおける20センチに相当する。換言すれば、ポールR1は、領域Aにおける上下方向の座標や高さを示している。ポールR1が表示されることで、ユーザは、画面に表示される敷設物OBの寸法、上下方向の座標、上下長さなどを読み取ることができる。
【0047】
ポールR1は、合成画像Rの任意の位置に配置可能であるが、敷設物OBのうち、地上に露出した部分(マンホール蓋など)の周囲に表示されることが望ましい。その際、管理部320は、露出した部分の形状の形状に応じてポールR1を配置する。具体例として、管理部320は、地表に露出した蓋の角部にポールR1を配置させる。すなわち蓋が三角形であれば3つの角部にポールR1を配置させ、蓋が六角形であればポールR1を6つの角部に配置させる。蓋が円形や楕円形などの角部がない形状である場合、埋設物OBのうち、地下にある部分の角部にポールR1を配置させる。
【0048】
図10では、矩形の蓋の4つの角部それぞれにポールR1が配置されている。また、各図に示すように、管理部320は、ポールR1を、基準面RPより下の部分を半透明に、基準面RP以上の部分を不透明に描画する。
【0049】
別の例として、埋設物OBの形状に関わらず、ポールR1が常に同じ配置位置となってもよい。この場合、管理部320は、蓋が円形、矩形であるかに関わらず、常に同じ数(4つ、6つなど)のポールR1を、蓋の周囲に沿って等間隔に配置する。
【0050】
スライダーR2は、上下に延びるスケール部R21と、指示部R22とを有する。スケール部R21には、上下方向の座標に対応する目盛りが描かれている。指示部R22は、入力装置104を介したユーザの指示に応じて、スケール部R21に沿って上下に移動可能である。指示部R22をスケール部R21に沿って移動させることにより、ユーザは、敷設物画像Qを上下に移動させることができる。
【0051】
例えば、ユーザが指示部R22を、スケール部R21の目盛りで20センチ分上方に移動させると、管理部320は、合成画像Rの再描画を行う(S11:YES)。再描画において管理部320は、領域Aにおける実際の高さ20センチに相当する移動量で敷設物画像Qを上方に移動させる(S7)。さらに管理部320は、敷設物画像Qを領域画像Pと合成して合成画像Rを生成する(S9)。
【0052】
図11-
図13に示すように、敷設物画像Qを上方に移動させることによって、基準面RP(地表面)に埋没されていた部分が基準面RPから露出し、不透明表示される。ユーザは、再描画された合成画像Rを観察することにより、敷設物画像Qの形状、すなわち敷設物OBの形状を詳細に把握できる。
【0053】
なお、スライダーR2の方向を変えることも可能である。例えば、スライダーR2を斜めや水平方向に傾け、指示部R22を操作することも可能である。この場合、指示部R22のスケール部R21に対する移動量及び移動方向に応じて、管理部320が敷設物画像Qを移動させ、合成画像Rの再描画を行う。
【0054】
切り替え部SWは、領域画像Pの取得、生成方法の切り替え指示を受け付けるアイコンである。領域画像Pの取得方法は、上述のように領域Aを撮影した画像を用いる方法(AR、拡張現実モード)と、管理部320によって領域画像Pを生成する方法(VR、仮想現実モード)との2種がある。
【0055】
ユーザが切り替え部SWを操作し、仮想現実モードを選択すると(S13:YES)、管理部320は、処理をS3に戻し、データ151に保持される地形データに基づき、領域画像Pを3次元画像として再描画し、敷設物画像Q及び合成画像Rの生成まで順次実行する(S7、S9)。なお、仮想現実モードでは、ステップS5の処理は実行されなくてもよい。再描画の結果、仮想現実における3次元空間の画像として生成された合成画像Rが、画面SCに表示される(S10)。
【0056】
仮想現実モードでは、
図14に示すように、広域にわたって合成画像Rの生成ができる。そのため、ユーザは現場に行かなくても、敷設物OBの確認を、敷設物画像Qを用いて行うことが可能となる。
【0057】
仮想現実モードにおいて、管理部320は、スライダーR2やポールR1だけでなく、アイコンMPをさらに画面SCに表示させる(S10、
図14)。管理部320は、アイコンMPを介してユーザの操作を受け付けることができる。アイコンMPに対する指示を受付けると、管理部320は、広域の地図を示したダイアログDLを画面SCに表示する(
図15)。
【0058】
ユーザは、ダイアログDLに対して領域を指定することにより、所望する領域における合成画像Rを管理部320に表示させることができる。詳細には、管理部320がダイアログDLに対する指示を受け付けると(S13:YES)、管理部320は、指示された領域に対して、領域画像P、敷設物画像Q、合成画像Rを順次生成し(S3-S9)、表示する(S10)。
【0059】
上記に加え、ユーザはアイコンR3-R6を操作することにより、管理部320に対し、各アイコンに割り当てられた制御を実行させることができる。
【0060】
アイコンR3は、敷設物OBの方角の方角を変更するために使用される。アイコンR3に対する操作を受け付けると(S11:YES)、管理部320は、敷設物OBがあたかも水平に回転したようにその座標を変換し、敷設物画像Qを描画する(S7)。新たに生成された敷設物画像Qを用いて、管理部320は、合成画像Rを生成、表示する(S9、S10)。このような制御を行うことにより、ユーザは、敷設物画像Qと領域画像Pとのずれを修正することができる。この処理は、敷設物OBの種別毎など、敷設物画像Qの一部だけに対して実行させることもできる。
【0061】
アイコンR4は、敷設物OBの詳細な情報を表示させる制御に対応する。アイコンR4に対する操作を受け付けると、管理部320は、敷設物OBの種別や座標などの情報が記載された、新たなウインドウを画面SCに表示させる。
【0062】
アイコンR5は、画面SCに表示させる敷設物画像Qの長さまたは範囲の変更を行う制御に対応する。アイコンR5に対する操作を受け付けると(S11:YES)、管理部320は、表示範囲を変更し、敷設物画像Qを再度生成する(S7)。なお、ステップS5は省略されてもよい。新たに生成された敷設物画像Qを用いて、管理部320は、合成画像Rを生成、表示する(S9、S10)。この制御により、敷設物画像Qとして表示される管路の長さを変更するなどの調整が可能となる。
【0063】
アイコンR6は、画面SCに表示させる敷設物画像Qの色調や透明度の変更を行う制御に対応する。アイコンR6に対する操作を受け付けると(S11:YES)、管理部320は、敷設物画像Qの色調や透明度を変更し、敷設物画像Qを再度生成する(S7)。新たに生成された敷設物画像Qを用いて、管理部320は、合成画像Rを生成、表示する(S9、S10)。この制御により、ユーザは、視認し易い表示態様を用いて、敷設物画像Qを表示させることができる。
【0064】
<効果>
上記実施形態では、ユーザ端末30は、出力装置105(表示部に相当)に接続するプロセッサ101を備える。プロセッサ101に生成される管理部320は、敷設物OBの少なくとも一部が敷設された領域Aを示す領域画像Pを取得する取得処理(S3)と、敷設物OBの位置を取得する処理(S7)と、敷設物OBの位置に基づき、領域画像Pに敷設物OBの画像である敷設物画像Qを重ねて表示した合成画像Rを生成する生成処理(S9)と、出力装置105に対し、領域Aの基準面RPと交差する方向(実施形態では上下方向)に敷設物画像Qを移動可能とし、合成画像Rを表示させる表示処理(S10)とを実行する。
【0065】
上記構成においてユーザは、敷設物画像Qを基準面RPに対して移動させることにより、基準面より下方にある部分を認識することなどが可能となる。そのため、物体の位置等を確認し易い方法または装置とすることができる。
【0066】
管理部320は、表示処理(S10)において、合成画像R中、敷設物画像Qのうち基準面RPから露出した部分を不透明表示し、敷設物画像Qのうち基準面RPに覆われた部分を透明または半透明に表示する。
【0067】
上記構成によると、合成画像Rにおいて、基準面RPから露出された部分は基準面RPよりも手前にあるように表示され、基準面RPに覆われた部分は、基準面RPの奥に隠れたように表示される(
図8、
図9など各図)。そのため、敷設物OBがどの程度基準面RPに覆われているのか、または基準面RPから露出しているのかを、ユーザは明確に把握できる。
【0068】
本件構成に対する比較として、従来技術のように、敷設物画像Qの全体が不透明や半透明など、全て同じ態様で表示された状態を考えてみる。この場合、2次元の画面上では、敷設物画像Qが全て基準面RPから露出しているように見えたり、基準面RPから上方に浮上しているように見えたり、あるいは、全て基準面RPに覆われたように見えたりしてしまう。そのため、従来のユーザにとって、敷設物OBがどこに位置するのかを認識するのは困難であった。一方、本件構成では、そのような困難を解消している。
【0069】
管理部320は、領域画像Pにおいて、敷設物画像Qの一部に対応する基準点を定める処理をさらに実行し(S5)、基準点にさらに基づいて生成処理(S9)を実行する。
【0070】
上記構成では、基準点を定めることによって、さらに正確に敷設物画像Qの位置決めを行うことができる。正確な合成画像Rを生成することができる。
【0071】
管理部320は、表示処理(S10)において、合成画像Rに、上下に延びるスケール部R21(バーに相当)と、スケール部R21に沿って移動可能な指示部R22とをさらに表示する。また、管理部320は、指示部R22の移動指示を受け付ける処理(S11:YES)と、移動指示に基づき、合成画像Rにおいて指示部R22を移動させるとともに、敷設物画像Qを上下に移動させる処理(S7、S9)と、を実行する。
【0072】
上記構成により、ユーザは、敷設物画像Qを移動させ、埋設された部分の形状を確認することができる。また、スライダーR2を用いて上下に移動させることにより、現実での移動長さを確認することが可能である。敷設物OBの寸法を把握しやすく、また、所望する長さ分だけ正確に敷設物画像Qを移動させることができる。
【0073】
管理部320は、取得処理(S3)において、領域Aを撮影した画像、及び、人工的に描画された画像の少なくとも1つを前記領域画像として取得する。
【0074】
上記構成では、ユーザは、合成画像RをVR(仮想現実)とAR(拡張現実)のいずれの態様によっても表示することができる。ARを用いた場合では、現実の現場でどのように敷設物OBが敷設されているか、ユーザは把握しやすい。また、VRを用いた場合、現場に直接行かずとも、ユーザは敷設物OBの状態を確認することができる。また、広域で敷設物OBの確認ができる。
【符号の説明】
【0075】
1 情報処理システム
10 配信サーバ
30 ユーザ端末