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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014891
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】散薬包装装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230124BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20230124BHJP
   B65B 37/12 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
B65B1/30 B
B65B37/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119095
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
【テーマコード(参考)】
3E055
3E118
4C047
【Fターム(参考)】
3E055AA05
3E055BA03
3E055BB01
3E055CA06
3E055DA03
3E055DA07
3E055EA04
3E055EA07
3E055EB03
3E055EB09
3E055FA01
3E118AA07
3E118AB04
3E118BA03
3E118BA10
3E118BB02
3E118BB12
3E118DA02
3E118DA08
3E118EA01
4C047JJ02
4C047JJ03
4C047JJ10
4C047JJ20
4C047JJ22
4C047JJ23
4C047JJ31
(57)【要約】
【課題】分包精度を向上できる散薬包装装置を提供する。
【解決手段】散薬包装装置1は、断面円弧状の溝10aを有する回転可能な散薬収容部材10と、溝10aに接した状態で回転可能で、かつ、溝に対して昇降可能に設けられた回転板25と、回転板25の第1面に設けられ、回転板25が所定の回転方向Rに回転したときに散薬収容部材10に収容された散薬を掻き出す掻出板29とを備える。掻出板29は、第1面から間隔を開けて配置された仕切部31と、回転板25と仕切部31との間に配置され、散薬を掻き出す掻出部30とを備える。回転方向Rにおいて、掻出板29の後方には、後方に向けて第1面と平行に延びた平坦面34aが設けられている、散薬包装装置。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円弧状の溝を有する回転可能な散薬収容部材と、
前記溝に接した状態で回転可能で、かつ、前記溝に対して昇降可能に設けられた回転板と、
前記回転板の第1面に設けられ、前記回転板が所定の回転方向に回転したときに前記散薬収容部材に収容された散薬を掻き出す掻出板と
を備え、
前記掻出板は、
前記第1面から間隔を開けて配置された仕切部と、
前記回転板と前記仕切部との間に配置され、散薬を掻き出す掻出部と
を備え、
前記回転方向において前記掻出板の後方には、前記掻出板による散薬の掻き出し後に散薬を支持する散薬支持面が設けられている、散薬包装装置。
【請求項2】
前記散薬支持面は、前記回転方向において後方に向けて前記第1面と平行に延びた平坦面を有する、請求項1に記載の散薬包装装置。
【請求項3】
前記散薬支持面は、前記回転方向において前記平坦面の後方に設けられ、後方に向かって前記第1面に近づくように傾斜して延びた傾斜面を有する、請求項2に記載の散薬包装装置。
【請求項4】
前記平坦面と前記傾斜面とは、前記回転板と一体に設けられている、請求項3に記載の散薬包装装置。
【請求項5】
前記散薬支持面は、前記回転方向において前記掻出板の後方に設けられ、後方に向かって前記第1面に近づくように傾斜して延びた傾斜面を有する、請求項1に記載の散薬包装装置。
【請求項6】
前記散薬収容部材の回転と、前記回転板の回転とを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記傾斜面が前記溝内に位置しているとき、前記散薬収容部材の回転と前記回転板の回転とを同期させる、請求項3から5のいずれか1項に記載の散薬包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散薬包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、散薬包装装置には、断面円弧状の環状溝を有する散薬収容部材(R円盤、分配皿ともいう。)に散薬を均一に供給し、掻出板を有する回転板により環状溝内の散薬を1包ずつ分配して掻き出す散薬掻出装置が設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
従来の散薬包装装置では、図10(a)に示すように散薬収容部材1001に収容された散薬に回転板1002を降下させて散薬を切り込み、図10(b)に示すように回転板1002の掻出板1003(図10(a)に示す)により1包目の散薬を掻き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-179967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記散薬包装装置では、散薬収容部材1001内で堆積した2包目と3包目の散薬の一部が、図10(c)に示すように、掻出板1003(図10(a)に示す)による1包目の散薬の掻き出し動作の後に崩れ、掻出板1003が通過した領域になだれ込むことがある。その結果、図10(d)に示すように、2包目の散薬は3包目の散薬が崩れた分だけ多くなり、3包目の散薬は2包目に崩れた分だけ少なくなる等、散薬の崩れ方によって1包当たりに封入される散薬の量がばらつき、分包精度が低下する。
【0006】
本発明は、分包精度を向上できる散薬包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
断面円弧状の溝を有する回転可能な散薬収容部材と、
前記溝に接した状態で回転可能で、かつ、前記溝に対して昇降可能に設けられた回転板と、
前記回転板の第1面に設けられ、前記回転板が所定の回転方向に回転したときに前記散薬収容部材に収容された散薬を掻き出す掻出板と
を備え、
前記掻出板は、
前記第1面から間隔を開けて配置された仕切部と、
前記回転板と前記仕切部との間に配置され、散薬を掻き出す掻出部と
を備え、
前記回転方向において前記掻出板の後方には、前記掻出板による散薬の掻き出し後に散薬を支持する散薬支持面が設けられている、散薬包装装置を提供する。
【0008】
この構成によれば、散薬収容部材内に堆積した散薬は、掻出板による散薬の掻き出し後において散薬支持面に支持されるので、堆積された散薬の一部が崩れて掻出部が通過した領域にこぼれることが抑制される。その結果、1包当たりに封入される散薬の量のばらつきが低減され、分包精度を向上できる。
【0009】
前記散薬支持面は、前記回転方向において後方に向けて前記第1面と平行に延びた平坦面を有してもよい。
【0010】
ここで、平行とは、幾何学的に厳密な意味での平行に限定されない。つまり、平坦面は、回転板の第1面に厳密に平行に延びている必要はない。本明細書でいう平行とは、厳密な平行と、堆積された散薬の一部が崩れない範囲内において厳密な平行から若干ずれた形態とを含む。
【0011】
前記散薬支持面は、前記回転方向において前記平坦面の後方に設けられ、後方に向かって前記第1面に近づくように傾斜して延びた傾斜面を有する。
【0012】
前記平坦面と前記傾斜面とは、前記回転板と一体に設けられていてもよい。
【0013】
前記散薬支持面は、前記回転方向において前記掻出板の後方に設けられ、後方に向かって前記第1面に近づくように傾斜して延びた傾斜面を有してもよい。
【0014】
前記散薬収容部材の回転と、前記回転板の回転とを制御する制御装置を備えてもよく、前記制御装置は、前記傾斜面が前記溝内に位置しているとき、前記散薬収容部材の回転と前記回転板の回転とを同期させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、分包精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】散薬包装装置の全体斜視図。
図2】散薬包装装置の概略図。
図3】散薬収容部材と散薬掻出装置の斜視図。
図4】第1実施形態に係る回転部材の第1面側から見た斜視図。
図5】第1実施形態に係る回転部材の第1面側の正面図(a)及び回転部材の側面図(b)。
図6】制御装置の構成を示す図。
図7】散薬掻き出し動作を示す図。
図8】第2実施形態に係る回転部材の第1面側から見た斜視図(a)及び回転部材の第2面側から見た斜視図(b)。
図9】第3実施形態に係る回転部材の第1面側から見た斜視図(a)及び回転部材の第2面側から見た斜視図(b)。
図10】従来の散薬掻き出し状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る散薬包装装置1を示す。この散薬包装装置1は、散薬投入部2により投入された散薬を散薬掻出部3にて1包分ずつ掻き出した後、包装部4により包装するようにしたものである。また、散薬包装装置1は、錠剤を1包分ずつ手撒きして包装部4に供給する錠剤手撒部5を備えている。
【0019】
図2に示すように、散薬投入部2は、投入ホッパー6と散薬フィーダ7とを備え、投入ホッパー6から散薬フィーダ7に投入された散薬を散薬フィーダ7の振動により、散薬掻出部3の散薬収容部材10に供給するように構成されている。
【0020】
図2に示すように、散薬掻出部3は、散薬収容部材10と、散薬掻出装置11とを備えている。
【0021】
散薬収容部材10は、上面外周部に断面円弧状の環状溝10aが形成された穴あき円板からなり、モータ12の駆動により回転する。環状溝10aには、散薬投入部2から投入された散薬が均一に収容される。
【0022】
散薬掻出装置11は、図3に示すように、基台13と、アーム14と、回転部材15とを備えている。
【0023】
基台13は、散薬収容部材10の内側に配置され、回転用モータ16と、昇降用モータ17とを有している。回転用モータ16は、そのモータギア(不図示)から、中間ギア16a、駆動ギア16bを介して駆動軸18のプーリ19に動力を伝達する。昇降用モータ17は、モータギア17aを介して昇降ギア17bを回転し、昇降ギア17bに設けたピン17cを介して昇降台20を昇降させるようになっている。
【0024】
アーム14は、一端が基台13の駆動軸18に回動可能に取り付けられ、他端には後述する回転軸23が取り付けられている。駆動軸18のプーリ19と回転軸23のプーリ21の間にはベルト22が架け渡され、駆動軸18の回転力が回転軸23に伝達されるようになっている。また、アーム14は、昇降台20に支持され、昇降台20の昇降により、駆動軸18を中心に所定角度で掻出位置と退避位置とに回動するようになっている。
【0025】
回転部材15は、図3に示すように、回転軸23と、取付基板24と、回転板25とからなっている。
【0026】
回転軸23は、前述したようにアーム14の先端に回転可能に取り付けられている。
【0027】
取付基板24は、ステンレス鋼製の円板からなり、回転軸23の一端に一体回転可能に取り付けられている。取付基板24の回転板側の面には、三角錐状の突出部26が取り付けられている。上記突出部の両側の対称位置には、円錐状の装着ピン27が取り付けられている。上記装着ピンは、半径方向にスライド可能に設けられ、図示しないばねにより半径方向外側に付勢されている。
【0028】
図4及び図5を併せて参照すると、回転板25は、散薬収容部材10の環状溝10aの円弧と同じ曲率半径を有するステンレス鋼製の円板からなり、外周部には全周に亘ってシリコン等の弾性縁部28が熱融着により一体化されている。回転板25の中央部には、取付基板24の突出部26が係合する三角形の取付孔25aが形成され、該取付孔25aを挟んで両側には、取付基板24の装着ピン27が係合する長孔からなる位置決め孔25bが形成されている。回転板25の回転軸23と反対側にある第1面(表面)には掻出板29が一体に設けられている。
【0029】
掻出板29は、回転板25が所定の回転方向R(図4及び図5において矢印で示す)に回転したときに散薬収容部材10内の散薬を掻き出す。掻出板29は、ステンレス等の板状体を折り曲げて掻出部30と仕切部31を形成したものである。掻出部30の先端にはシリコン等の弾性片32が一体化されている。仕切部31の外縁の一部は散薬収容部材10の環状溝10aに沿う円弧状に形成されている。
【0030】
本実施形態の回転板25は、回転方向Rにおいて掻出板29の後方に設けられた散薬支持部材33を備える。散薬支持部材33は、樹脂又はステンレス鋼で形成され、掻出板29に連なって設けられている。散薬支持部材33は、回転板25の周方向に沿って延びている。散薬支持部材33の外周縁の軸方向から見た形状は、回転板25の外周縁と同じ曲率半径を有する円弧である。
【0031】
散薬支持部材33は、回転方向Rにおいて掻出板29の後方に設けられ、掻出板29による散薬の掻き出し後も散薬を支持する散薬支持面34と、散薬支持面34の内縁に連続して軸方向に延びた内側面35と、散薬支持面34の外縁に連続して軸方向に延びた外側面36とを有する。
【0032】
散薬支持面34は、仕切部31の外側面(回転板25とは反対側にある側面)と、回転板25の上記第1面(表面)とを接続するように、回転板25の周方向に延びている。散薬支持面34は、回転方向Rにおける仕切部31の後側の端部に連なって設けられ、後方に向けて延びた平坦面34aと、回転方向Rにおける平坦面34aの後側の端部から後方に向けて延びた傾斜面34bとを有する。平坦面34aは、回転板25の第1面と平行に延びている。また、仕切部31と平坦面34aとは面一である。一方で、傾斜面34bは、回転方向Rにおける後方に向かって回転板25の第1面に近づくように延びている。また、傾斜面34bの平坦面34aとは反対側の端縁は、第1面と連なっている。
【0033】
ここで、平行とは、幾何学的に厳密な意味での平行に限定されない。つまり、平坦面34aは、回転板25の第1面に厳密に平行に延びている必要はない。本明細書でいう平行とは、厳密な平行と、堆積された散薬の一部が崩れない範囲内において厳密な平行から若干ずれた形態とを含む。
【0034】
内側面35と外側面36は、平坦面34aと傾斜面34bを回転板25に対して支持している。外側面36を設けずに、内側面35だけで平坦面34aと傾斜面34bを支持してもよい。また、内側面35と外側面36の代わりに、ステーにより平坦面34aと傾斜面34bを回転板25に対して支持してもよい。
【0035】
図2に戻ると、包装部4は、ペーパロール40から繰り出されて2つ折りされる包装紙41に、散薬掻出部3から掻き出された散薬を包装ホッパー42を介して受け入れ、ヒータローラ43a、43bにより1包ずつシールして排出するように構成されている。
【0036】
また、包装部4のヒータローラ43a、43bの後工程には、画像検査装置44と、マーキング装置45とが設けられている。
【0037】
画像検査装置44は、分包袋毎に画像を撮影し、撮影された画像を画像処理することで、分包袋に封入された散薬の面積を算出する。画像検査装置44は、検査対象の分包袋の前に検査された分包袋からの上記面積の変化率を算出し、上記変化率が所定の閾値以上であるときに警告を発する。または、上記変化率が所定の閾値以上であるときに、マーキング装置45により検査対象の分包袋にマーキングを付してもよい。
【0038】
図1に示すように、散薬包装装置1の前面の右側には、手動で各部の清掃を行うための清掃ノズル50及び吸引ホース51が設けられている。吸引ホース51は、散薬包装装置1の内部に設けられた掃除機(図示せず)に接続されている。本実施形態の散薬包装装置1は、待機中に清掃ノズル50が使用者により取り出されたとき、図2に2点鎖線で示すように、投入ホッパー6が上昇するように構成されている。
【0039】
散薬フィーダ7を清掃するときに、投入ホッパー6が散薬フィーダ7に近接していると、散薬フィーダ7を清掃しにくいため、散薬が散薬フィーダ7上に残留しやすい。また、投入ホッパー6が散薬フィーダ7に近接していると、散薬フィーダ7を清掃できているかを確認しにくい。このため、万が一、散薬フィーダ7に散薬が残留していることに気づかずに別の散薬を分包しようとすると、コンタミネーションが発生する恐れがある。これに対して、本実施形態では、待機中に清掃ノズル50が使用者により取り出されたとき、投入ホッパー6が上昇する。このため、手動で清掃を行う場合に、投入ホッパー6が散薬フィーダ7から離れているため、散薬フィーダ7を清掃しやすい。また、散薬フィーダ7に薬が残っていないかどうかを容易に確認できる。さらに、散薬フィーダ7に残った散薬を清掃ノズル50により確実に吸引できるため、コンタミネーションの発生を抑制できる。
【0040】
次に、前記構成からなる散薬包装装置における散薬掻出部3の動作について説明する。
【0041】
以下の説明においては、掻出板29がある側の回転板25の面を第1面又は表面、回転軸23がある側の回転板25の面を第2面又は裏面という。また、散薬収容部材10を回転板25の第1面側から第2面側に回転させる方向を正転方向、回転板25の第2面側から第1面側に回転させる方向を逆転方向という。
【0042】
散薬掻出部3による散薬掻出動作は、散薬包装装置1に設けられた図6に示す制御装置70により制御される。制御装置70の中央演算処理部71は、ROMメモリ72に記憶されたプログラムに従い、RAMメモリ73と協働しつつ、散薬収容部材10のモータ12、散薬掻出部3の回転用モータ16及び昇降用モータ17を制御して、散薬収容部材10に処方に示された散薬を収容し、処方に示された包数Nに分割して、包装ホッパー42に掻き出す。
【0043】
まず、モータ12を駆動して散薬収容部材10を回転させ、処方に応じた散薬を散薬投入部2から散薬収容部材10の環状溝10aに散薬を均一に散布する。
【0044】
次に、回転板25を回転させ、掻出板29が散薬収容部材10に入る前の状態の原点位置(図7(a)に示す掻出板29の位置)に停止する。その後、回転板25を散薬収容部材10の環状溝10aに降下させると、回転板25の周縁の一部が散薬収容部材(R円盤)10に均一に収容された散薬を切り込む。
【0045】
回転板25を図7(a)において時計回りに回転させて掻出板29により散薬収容部材10から1包目の散薬を掻き出す。このとき、掻出板29により押しのけられた散薬は、散薬収容部材10内に堆積している。図7(b)に示すように、掻出板29が散薬収容部材10から出た後において、散薬支持部材33の平坦面34aが散薬収容部材10内に位置しているとき、堆積された散薬は、平坦面34aにより支持されているため、崩れることがない。
【0046】
回転板25を図7(b)において時計回りにさらに回転させると、図7(c)に示すように、散薬支持部材33の傾斜面34bが散薬収容部材10内に入る。傾斜面34bが散薬収容部材10内に入ると、回転板25を回転させつつ、散薬収容部材(R円盤)10を正転させる。このとき、回転板25の回転と、散薬収容部材(R円盤)10の回転とは、散薬収容部材10内に堆積された散薬が傾斜面34bにより支持されながら送られるように、同期している。つまり、この状態において、散薬収容部材10内に堆積された散薬は、傾斜面34bにより支持されているため、崩れることがない。
【0047】
その後、回転板25を回転させつつ散薬収容部材(R円盤)10を正転させ、傾斜面34bが散薬収容部材10から出ると、散薬収容部材(R円盤)10の回転を停止する。このとき、散薬収容部材10内に堆積された散薬は、回転板25の第1面により支持されているため、崩れることがない。そして、回転板25を図7(a)に示す原点位置にまで回転させて、1包目の散薬を掻き出す動作が完了する。
【0048】
以下、最終のN包目の散薬が掻き出されるまで、掻出板29で散薬を掻き出す動作を繰り返す。最終のN包目が掻き出されたと判断すると、回転板25を上昇させて散薬掻出動作を終了する。
【0049】
本実施形態の散薬包装装置1は、以下の機能を有する。
【0050】
散薬収容部材10内に堆積した散薬が、掻出板29による散薬の掻き出し後において散薬支持面34に支持されるので、堆積された散薬の一部が崩れて掻出部30が通過した領域にこぼれることが抑制される。その結果、1包当たりに封入される散薬の量のばらつきが低減され、分包精度を向上できる。
【0051】
また、傾斜面34bが散薬収容部材10内に位置しているとき、散薬収容部材10内に堆積された散薬が傾斜面34bにより支持されながら送られるように、散薬収容部材10(R円盤)の回転と回転板25の回転とを同期させる。その結果、堆積された散薬の一部が崩れて掻出部30が通過した領域にこぼれることが抑制されるため、1包当たりに封入される散薬の量のばらつきが低減され、分包精度を向上できる。
【0052】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る回転板125の第1面側から見た斜視図(a)と、回転板125の第2面側から見た斜視図である。本発明の第2実施形態に係る散薬包装装置は、回転板125の構成を除いて、第1実施形態に係る散薬包装装置と同様の構成を有しており、図1-3及び図6-7を援用する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図8を参照すると、本実施形態では、散薬支持部材134は、回転板125と一体に設けられ、回転板125の一部を構成している。より詳細には、平坦面134aと傾斜面134bとが回転板125と一体に設けられている。本実施形態の回転板125の外周部は、掻出部30の外端と仕切部31とが交わるa点から平坦面134aと傾斜面134bの境界であるb点までの円弧形状と、b点から傾斜面134bと回転板125の境界であるc点までの螺旋形状と、c点から掻出部30の外端と回転板125とが交わるd点までの円弧形状とからなり、言い換えれば、本実施形態の回転板125の外周部は、掻出板29が設けられた部分が切れて軸方向にずれた円環状である。
【0054】
第2実施形態の散薬包装装置は、第1実施形態の散薬包装装置1と同様の機能を有する。
【0055】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る回転板225を第1面側から見た斜視図(a)と、回転板225を第2面側から見た斜視図である。本発明の第3実施形態に係る散薬包装装置は、回転板225の散薬支持部材233の構成を除いて、第1実施形態に係る散薬包装装置と同様の構成を有しており、図1-3及び図6-7を援用する。第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。
【0056】
図9を参照すると、本実施形態では、散薬支持部材233の散薬支持面234は、回転方向Rにおける後方に向かって回転板225の第1面に近づくように延びている傾斜面234bからなる。傾斜面234bは、回転方向Rにおける仕切部31の後側の端部に連なって設けられている。
【0057】
第3実施形態の散薬包装装置は、第1実施形態の散薬包装装置1と同様の機能を有する。
【0058】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、発明の要旨を変更することなく、変形や修正が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 散薬包装装置
10 散薬収容部材
10a 環状溝
11 散薬掻出装置
25,125,225 回転板
29 掻出板
33、133,233 散薬支持部材
34 散薬支持面
34a,134a 平坦面
34b,134b,234b 傾斜面
70 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10