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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148920
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】統合柱および統合柱設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/00 20060101AFI20231005BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20231005BHJP
   E04H 12/22 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E04H12/00 C
H02G3/04 093
E04H12/00 A
E04H12/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057208
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】000225201
【氏名又は名称】那須電機鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大原 宏行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 征之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
(57)【要約】
【課題】都市景観の向上に寄与する統合柱等を提供すること。
【解決手段】統合柱30は、一方の端部が地中に埋設される第1柱10と、前記第1柱10の上に連結されて、電灯78および変圧器76が取り付けられる第2柱20と、前記第1柱10および前記第2柱20の内部に、変圧器用ケーブルを通す空間を隔てて設けられた通信用管、電灯用管および電子機器用管とを備える。前記第2柱20は、前記電灯78に接続されるケーブルが引き出される電灯用引出口と、前記電灯用引出口と同一の寸法および形状を有し、前記電子機器用管に通されたケーブルが引き出される電子機器用引出口とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部が地中に埋設される第1柱と、
前記第1柱の上に連結されて、電灯および変圧器が取り付けられる第2柱と、
前記第1柱および前記第2柱の内部に、変圧器用ケーブルを通す空間を隔てて設けられた通信用管、電灯用管および電子機器用管と
を備える統合柱。
【請求項2】
前記第2柱は、
前記電灯に接続されるケーブルが引き出される電灯用引出口と、
前記電灯用引出口と同一の寸法および形状を有し、前記電子機器用管に通されたケーブルが引き出される電子機器用引出口と
を備える請求項1に記載の統合柱。
【請求項3】
前記電灯用管と、前記通信用管とは、前記変圧器用ケーブルを通す空間を挟んで対向配置されている
請求項1または請求項2に記載の統合柱。
【請求項4】
前記第1柱および前記第2柱は、
それぞれの内面に前記電灯用管を取り付ける電灯用管固定具と、
それぞれの内面に前記通信用管を取り付ける通信用管固定具と、
を備える請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の統合柱。
【請求項5】
前記第2柱は、開閉可能である作業用開口を複数備える
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の統合柱。
【請求項6】
前記第1柱は、
長さが5メートル以上であり、
地上高1.6メートル以下の位置に配置された開閉可能である照明基板収納用開口と、
前記照明基板収納用開口の内部に配置された浸水センサと、
前記照明基板収納用開口の上側に配置された開閉可能である延長用開口と
を備える請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の統合柱。
【請求項7】
前記第2柱は、前記変圧器が取り付けられる変圧器取付具を備える
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の統合柱。
【請求項8】
前記変圧器取付具は、前記第2柱の高さ方向に並んで複数設けられている
請求項7に記載の統合柱。
【請求項9】
前記変圧器取付具の反対側に設けられた、通信用アンテナ取付具を備える
請求項8に記載の統合柱。
【請求項10】
通信用アンテナ取付具と、
前記通信用アンテナ取付具に取り付けられており、前記変圧器と同じ方向を含む3つの方向に向けて角度方向に均等配置された第1アンテナ、第2アンテナおよび第3アンテナを支持するアンテナ支持柱を備え、
前記アンテナ支持柱は、前記変圧器と同じ方向に向けられた前記第3アンテナを前記変圧器よりも高い位置に支持する
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の統合柱。
【請求項11】
前記変圧器用ケーブルが引き出される位置よりも上側に、前記通信用管に通されたケーブルが引き出される通信用開口を備える
請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の統合柱。
【請求項12】
内部に通信用管、電灯用管および電子機器用管が、変圧器用ケーブルを通す空間を隔てて取り付けられた第1柱と第2柱とを用意し、
前記第1柱の下部を、地中に配置された柱体取付枡に取り付け、
前記第2柱を、前記第1柱の上部に取り付ける
統合柱設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合柱および統合柱設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歩道の下に埋設された雨水貯留浸透槽を貫通するように、電力用および通信用の各種ケーブルを収容する管路材を配置する雨水貯留浸透無電柱化システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-35307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、歩道の下の地下空間を有効利用できるとともに、無電柱化を実現できる。無電柱化により、減災および都市景観の向上が期待されている。
【0005】
しかしながら、道路脇に設置されている柱状構造物は、電柱だけではない。たとえば、街灯および信号機の支柱等の、様々な用途の柱状構造物が設置されている。これらの柱状構造物は、それぞれの管理者が個別に設置するため、外観デザインはバラバラである。したがって、特許文献1のシステムによる無電柱化では、都市景観を十分に向上させることは難しい。
【0006】
一つの側面では、都市景観の向上に寄与する統合柱等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
統合柱は、一方の端部が地中に埋設される第1柱と、前記第1柱の上に連結されて、電灯および変圧器が取り付けられる第2柱と、前記第1柱および前記第2柱の内部に、変圧器用ケーブルを通す空間を隔てて設けられた通信用管、電灯用管および電子機器用管とを備える。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、都市景観の向上に寄与する統合柱等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】統合柱の使用例を説明する説明図である。
図2】統合柱の斜視図である。
図3図2におけるIII矢視図である。
図4図2におけるIV-IV線による斜視断面図である。
図5図2におけるV-V線による斜視断面図である。
図6図2におけるVI-VI線による斜視断面図である。
図7図6におけるVII-VII線による拡大断面図である。
図8図6におけるVIII-VIII線による拡大断面図である。
図9図2におけるIX-IX線による斜視断面図である。
図10図2におけるX部拡大図である。
図11】開口蓋を外した状態の統合柱の斜視拡大図である。
図12図11におけるXII-XII線による斜視断面図である。
図13図1におけるXIII矢視図である。
図14】第1柱および第2柱を説明する説明図である。
図15】延長用開口の使用例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
都市部においては、無電柱化が推進されている。電柱と電柱との間に張り巡らされる電線を無くすことにより、景観の向上が期待される。さらに、強風時に飛来物が電線に引っ掛かることによる停電および感電等の事故も防止できる。
【0011】
無電柱化された地域においては、電力ケーブルおよび通信ケーブル等がたとえば電線共同溝に埋設されている。電線共同溝は、道路の下に埋設される場合が多い。道幅が広い場所においては、変圧器および開閉器等の配電用機器を収容した地上機器収容箱が歩道脇に設置される。歩道の幅が狭いために地上機器の設置が難しい場所においては、上部に配電用機器が設置された支持柱を道路脇に設置する、いわゆるソフト地中化方式が採用される場合がある。
【0012】
変圧器によりたとえば100ボルトまたは200ボルト等に降圧された電力が、地中に埋設された引込線を介してそれぞれの電力需要者に供給される。一般家庭向け電力の場合、一台の変圧器から、多数の需要者に電力を供給できる。
【0013】
ところで、線状降水帯等により、長時間にわたって同じ地域で集中豪雨が発生する現象が知られている。河川の上流域でこのような集中豪雨が発生した場合、下流域の堤防が決壊して浸水被害が生じるおそれがある。たとえば、荒川の堤防が決壊した場合、埼玉県南部および東京23区の広い地域で数メートルの浸水被害が出るという予測がある。
【0014】
1から2メートル程度の浸水であっても、歩道脇に設置された地上機器収容箱は水没する。ソフト地中化方式の場合であっても、4から5メートル程度の浸水で配電用機器が損傷を受ける可能性が高い。電線共同溝等の地下設備に関しては、浸水を想定した防水対策が実施されている。しかしながら地下設備と需要者とを接続する配電機器等が破損した場合には、電力供給の復旧に時間を要する。
【0015】
以下の説明では5メートルの浸水が生じる大規模水害で生じる被害を低減可能な統合柱30(図1参照)について説明する。
【0016】
図1は、統合柱30の使用例を説明する説明図である。図1には、交差点近辺に設置された統合柱30の例を示す。統合柱30は、円柱状であり、下部に枡固定部39を備える。枡固定部39は、電線共同溝に設けられた柱体取付枡に固定される。枡固定部39は、地中に埋設されている。
【0017】
統合柱30には、下から電灯78、信号機77、第1機器71、第2機器72、変圧器76、および通信用アンテナ55が取り付けられている。統合柱30の下部に、照明基板収納用開口蓋64と、延長用開口蓋65(図2参照)とが設けられている。統合柱30の上部に、作業用のステップボルト19が複数取り付けられている。
【0018】
電灯78は、電線共同溝内の電灯用ケーブルに接続されており、電灯用ケーブルを介して電力の供給を受ける。電灯78は、地方自治体または地域の自治会等が管理する。電灯78の管理者は、統合柱30の下部に配置された照明基板収納用開口蓋64を取り外し、内部に配置されている照明基板のメンテナンスを行なえる。
【0019】
照明基板の近傍には、浸水センサ645(図3参照)が配置されていることが望ましい。浸水センサ645は、浸水を検知した場合に無線または有線でたとえば地方自治体または国土交通省等の災害対策サーバに通知を送るように設定されている。浸水被害を自動通報することにより、速やかな災害対策に寄与する統合柱30を実現できる。
【0020】
信号機77は、電線共同溝内の信号機用ケーブルに接続されており、信号機用ケーブルを介して電力および制御信号の供給を受ける。信号機77は、たとえば一定の周期で赤と青を切り替える等の、スタンドアロンで動作するタイプであってもよい。信号機77は、警察が管理する。
【0021】
変圧器76は、電線共同溝内の電力ケーブルと、需要者に電力を送る引込線とに接続されている。変圧器76は、電力ケーブルから高圧電力を受電し、降圧した電力を需要者に供給する配電用機器の例示である。図示を省略する開閉器等の配電に必須の機器も、変圧器76の近傍に配置されている。変圧器76は、電力会社が管理する。以下の説明では統合柱30の内部を通り、変圧器76に接続される高圧側のケーブルと低圧側のケーブルとをまとめて変圧器用ケーブルと記載する。
【0022】
通信用アンテナ55は、統合柱30を挟んで変圧器76の反対側に設置されたアンテナ支持柱555に取り付けられている。通信用アンテナ55は、電線共同溝内の通信用ケーブルに接続されている。通信用アンテナ55は、たとえば携帯電話用のアンテナであり、携帯電話会社が管理する。通信用アンテナ55の詳細については、後述する。
【0023】
第1機器71および第2機器72は、たとえば監視カメラ、防災スピーカー、交通管制システム用のセンサ、または街頭ディスプレイ等の任意の機器である。第1機器71および第2機器72は、大規模停電に備えて配置される蓄電池であってもよい。統合柱30には、図示を省略する第3機器、第4機器等の任意の機器が取り付けられていてもよい。
【0024】
複数の統合柱30には、それぞれ別の機器が取り付けられてもよい。たとえば、前述の通り交差点近傍に設置された統合柱30には信号機77が取り付けられるが、交差点から離れが場所に設置された統合柱30には信号機77は取り付けられない。
【0025】
以上に説明した通り、統合柱30には様々な管理者がそれぞれ管理する多様な機器が取り付けられる。したがって、統合柱30を使用することにより、それぞれの機器の管理者が道路脇にバラバラのデザインの柱を立てる場合に比べて、街の景観を良くできる。また、複数の柱をそれぞれ立てる場合に比べて、製造コスト、設置コスト、メンテナンスコストおよび設置スペースを低減できる。
【0026】
図2は、統合柱30の斜視図である。図2は、電灯78等の各種機器を取り付ける前の統合柱30を示す。統合柱30の設置事業者は、図2に示す状態の統合柱30を所定の場所に設置する。その後、それぞれの管理者が電灯78等の機器を取り付ける。
【0027】
統合柱30は、第1柱10と第2柱20により構成されている。第1柱10は、枡固定部39を備え、下部が地中に埋設されている。第2柱20は、第1柱10の上部に固定されている。
【0028】
図3は、図2におけるIII矢視図である。図3を使用して、統合柱30の概略寸法を説明する。なお、以下に示す寸法はいずれも例示である。統合柱30の寸法は、下記の寸法に限定されるものではない。
【0029】
第1柱は、5メートル以上であることが望ましい。本実施の形態においては、第1柱10の長さであるL1は、5190ミリメートルである。第2柱20の長さであるL2は、4900ミリメートルである。G.L(Ground Level)は、地面の高さを示す。第1柱10が地面に埋設される部分の深さは、電線共同溝に設けられた柱体取付枡の深さに依存するが、約650ミリメートルから800ミリメートル程度である。
【0030】
したがって、アンテナ支持柱555の部分を除く統合柱30の全長は約10メートルであり、地面からの高さは9メートル強である。統合柱30の外装部材である第1外管11(図4参照)および第2外管21(図6参照)は、直径267.4ミリメートルの鋼管である。鋼管メーカから標準品として供給されている寸法の鋼管を使用することで、統合柱30の製造コストを低減できる。
【0031】
照明基板収納用開口蓋64および延長用開口蓋65は、地上高が1.6メートル以下の場所に配置されている。したがって、自治体等の担当者は脚立等を使用せずに照明基板収納用開口蓋64および延長用開口蓋65を開閉可能である。
【0032】
図4は、図2におけるIV-IV線による斜視断面図である。統合柱30の下側の端部には、略正方形のベースプレート38が溶接されている。ベースプレート38と統合柱30との側面との間には、略L字板状のリブが溶接されている。ベースプレート38の上側に、箱型の枡固定部39が溶接およびボルト締めにより固定されている。枡固定部39の内面と、第1外管11の内面とは連通しており、ケーブル類を挿通可能である。
【0033】
第1外管11の内面に、略D字板形状の通信用管固定具47が溶接されている。通信用管固定具47には、3個の孔が設けられている。それぞれの孔に、下部第1電子機器用管411、下部第2電子機器用管421および下部通信用管451が挿通されている。
【0034】
図5は、図2におけるV-V線による斜視断面図である。第1外管11の内面に、略D字板形状の電灯用管固定具48が溶接されている。電灯用管固定具48の位置は、延長用開口蓋65の上端よりも数センチメートル程度上側である。電灯用管固定具48には、2個の孔が設けられている。それぞれの孔に、下部電灯用管461および下部第3電子機器用管431が挿通されている。
【0035】
図6は、図2におけるVI-VI線による斜視断面図である。第2外管21の内面に略D字板形状の電灯用管固定具48が溶接されている。電灯用管固定具48には、2個の孔が設けられている。それぞれの孔に、上部電灯用管462および上部第3電子機器用管432が挿通されている。上部第3電子機器用管432と下部第3電子機器用管431、および、上部電灯用管462と下部電灯用管461とは、それぞれ略一直線状に配置されている。
【0036】
第2外管21の内面に、略D字板形状の通信用管固定具47が溶接されている。通信用管固定具47には、3個の孔が設けられている。それぞれの孔に、上部第1電子機器用管412、上部第2電子機器用管422および上部通信用管452が挿通されている。上部第1電子機器用管412と下部第1電子機器用管411、上部第2電子機器用管422と下部第2電子機器用管421、および、上部通信用管452と下部通信用管451は、それぞれ略一直線状に配置されている。
【0037】
以後の説明では下部電灯用管461および上部電灯用管462をまとめて電灯用管46(図7参照)と記載する場合がある。同様に、下部通信用管451および上部通信用管452を通信用管45(図8参照)と記載し、下部第1電子機器用管411、上部第1電子機器用管412、下部第2電子機器用管421、上部第2電子機器用管422、下部第3電子機器用管431および上部第3電子機器用管432を電子機器用管41(図7参照)と記載する場合がある。
【0038】
統合柱30の中心部は、統合柱30に変圧器76が取り付けられる場合に変圧器用ケーブルが配置される空間である。図4から図6に示すように、通信用管45と電灯用管46とは、変圧器用ケーブルが配置される空間を挟んで対向配置されている。
【0039】
図7は、図6におけるVII-VII線による拡大断面図である。図6および図7に示すように、第2外管21の下端には鍔状の第2フランジ23が溶接されている。同様に第1外管11の上端には、鍔状の第1フランジ13が溶接されている。第1フランジ13および第2フランジ23には、複数のボルト孔が設けられている。第1フランジ13と第2フランジ23とが突き合わされて、ボルトとナットとにより締結されている。
【0040】
第1外管11の内部に配置された、下部電灯用管461および下部第3電子機器用管431は、図5に示したように延長用開口蓋65の上側から、図7に示すように第1外管11の上端近傍までの長さである。両者の長さは略同一である。
【0041】
第2外管21の内部に配置された上部電灯用管462は、第2外管21の下端近傍から図1において電灯78が取り付けられた電灯用引出口56の下側までの長さである。上部第3電子機器用管432は、第2外管21の下端近傍から図1において信号機77が取り付けられた第1電子機器用引出口511の上側までの長さである。
【0042】
電灯用管46、下部第3電子機器用管431および上部第3電子機器用管432それぞれの両端近傍において、第1外管11および第2外管21の内面に電灯用管固定具48が溶接されている。それぞれの管の端部には、電灯用管固定具48に設けられた孔よりも太径のストッパ49が取り付けられている。
【0043】
図8は、図6におけるVIII-VIII線による拡大断面図である。第1外管11の内部に配置された、下部通信用管451、下部第1電子機器用管411および上部第1電子機器用管412は、図4に示したように枡固定部39の上側から、図8に示すように第1外管11の上端近傍までの長さである。3本の管の長さは略同一である。
【0044】
下部第1電子機器用管411および上部第1電子機器用管412は、第2外管21の下端近傍から図1において信号機77が取り付けられた第1電子機器用引出口511の上側までの長さである。2本の管の長さは略同一である。
【0045】
図9は、図2におけるIX-IX線による斜視断面図である。第2外管21の上側の端面には、蓋が溶接されている。上部通信用管452は、図8に示すように第2外管21の下端部近傍から、アンテナ支持柱555が取り付けられた部分の下側までの長さである。
【0046】
通信用管45、下部第1電子機器用管411、上部第1電子機器用管412、下部第2電子機器用管421および上部第2電子機器用管422それぞれの両端近傍において、第1外管11および第2外管21の内面に通信用管固定具47が溶接されている。それぞれの管の端部には、電灯用管固定具48に設けられた孔よりも太径のストッパ49が取り付けられている。
【0047】
第1外管11および第2外管21の内側にそれぞれの管を固定する手順について、上部通信用管452を例にして説明する。上部通信用管452の一方の端部に、ストッパ49が取り付けられる。ストッパ49が取り付けられていない側から、上部通信用管452が通信用管固定具47の孔に挿入される。3枚の通信用管固定具47にそれぞれ設けられた孔を通過したところで、ストッパ49が電灯用管固定具48に突き当たる。上部通信用管452の他方の端部にストッパ49が取り付けられる。
【0048】
上部通信用管452の両端のストッパ49同士の間隔は、両端の2枚の通信用管固定具47同士の間隔よりも若干長くなっている。したがって、上部通信用管452は第2外管21の内部で長手方向に移動可能である。
【0049】
以上により、第2外管21の内部に上部通信用管452が取り付けられる。第2外管21と上部通信用管452との間では、溶接またはネジ固定等の強固な固定が行なわれていないため、たとえば日射等により第2外管21に熱膨張が生じた場合であっても、内部の上部通信用管452には熱応力が加わらない。第1外管11および第2外管21の内部に配置された他の管についても同様である。
【0050】
図10は、図2におけるX部拡大図である。図11は、開口蓋61を外した状態の統合柱30の斜視拡大図である。図10と、図11とは、同じ場所を示す。図12は、図11におけるXII-XII線による斜視断面図である。
【0051】
図1において信号機77が取り付けられた第1電子機器用引出口511と、同じく第1機器71が取り付けられた第2電子機器用引出口512とは、第2外管21の中心軸を基準にして互いに180度離れた位置で、同一の高さに配置されている。
【0052】
第2外管21の中心軸を基準にして第2電子機器用引出口512と同じ方向に、図1において第2機器72が取り付けられた第3電子機器用引出口513が配置されている。第2外管21の中心軸を基準にして第1電子機器用引出口511と同じ方向で、第3電子機器用引出口513と同じ高さに、図1においては機器が取り付けられていない第4電子機器用引出口514が配置されている。以後の説明では、第1電子機器用引出口511、第2電子機器用引出口512、第3電子機器用引出口513および第4電子機器用引出口514をまとめて電子機器用引出口51と記載する場合がある。
【0053】
第1電子機器用引出口511と第3電子機器用引出口513との中間の高さに、3個の作業用開口54が配置されている。作業用開口54同士は、第2外管21の中心軸を基準にして、互いに120度離れて角度方向に均等配置されている。図10に示すように、それぞれの作業用開口54には、開口蓋61が取り付けられている。
【0054】
作業用開口54は、第2外管21の側面に設けられた角孔に、箱型の開口枠62が溶接された構成である。開口枠62の底面には、長方形の孔と、4個のボルト孔が設けられている。それぞれのボルト孔の裏面には、ナットが固定されている。ナットを使用する代わりに、開口枠62の底面にバーリング加工等によりネジ穴が設けられていてもよい。開口蓋61は、4本のボルトを用いて開口枠62の底面に固定される。
【0055】
図11に示すように、開口蓋61等が取り付けられていない状態では、作業用開口54と電子機器用引出口51とは同一の構造である。したがって、たとえば図1における第4電子機器用引出口514のように使用されていない電子機器用引出口51には、作業用開口54と同様に、開口蓋61が取り付けられる。
【0056】
信号機77、第1機器71、および第2機器72等は、開口蓋61と同様の配置の4個のボルト孔を備えるように構成することで、統合柱30に容易に取り付け可能である。重い機器または大きい機器等を固定する場合には、たとえば図9に示すアンテナ支持柱555のように、複数の開口枠62を用いて統合柱30に取り付けることが望ましい。複数の用途に共通の開口枠62を使用することにより、統合柱30の製造コストを低減できる。アンテナ支持柱555が取り付けられている開口枠62は、通信用アンテナ取付具の例示である。
【0057】
信号機77の取り付け作業を行なう場合を例にして、作業用開口54の使用方法の概要を説明する。前述の通り、作業用開口54には通常は開口蓋61が取り付けられている。作業担当者は、3個の開口蓋61を取り外す。作業用開口54の近傍には、図11および図12に表示されている上部第3電子機器用管432の上端に加えて、図12においては第2外管21の手前側の部分に隠れて見えないが、下部第1電子機器用管411および上部第1電子機器用管412の上端も存在する。
【0058】
作業担当者は、信号機77から延びる信号機用ケーブルの先端を、たとえば上部第3電子機器用管432の内部に落とし入れる。3か所の作業用開口54が開放されているため、作業担当者は、両手を使って統合柱30内部での作業を行なえる。したがって、たとえば変圧器用ケーブルが上部第3電子機器用管432の上端付近に覆いかぶさっているような場合であっても、作業担当者は支障なく信号機77の取り付け作業を行なえる。
【0059】
信号機77の取り付け終了後、作業者は作業用開口54に開口蓋61を取り付ける。作業中以外は作業用開口54が塞がれているため、統合柱30の内部への鳥の営巣等を防止できる。
【0060】
変圧器76は、図3に示す2個の変圧器取付具67を用いて統合柱30に固定される。変圧器取付具67は、たとえばハンガー座である。2個の変圧器取付具67は、統合柱30の高さ方向に並んで配置されている。
【0061】
図13は、図1におけるXIII矢視図である。図1および図13を使用して、統合柱30に変圧器76と通信用アンテナ55との両方を取り付ける場合の両者の位置関係について説明する。
【0062】
通信用アンテナ55は、たとえば5G用のアンテナである。通信用アンテナ55は、アンテナ支持柱555に対して互いに120度離れて角度方向に均等配置された第1アンテナ551、第2アンテナ552および第3アンテナ553により構成されている。このうち第1アンテナ551は、統合柱30および変圧器76の側に向けて配置されている。通信用アンテナ55から延びる通信用ケーブルは、図9に示す通信用開口556を介して、上部通信用管452に挿通されている。
【0063】
5Gは、周波数が高いため、障害物の影響を受けやすい。したがって、仮に第1アンテナ551と変圧器76とが同じ高さに配置されている場合、第1アンテナ551から放射された電波は変圧器76により電波障害を受ける。
【0064】
しかしながら図1に示すように、第1アンテナ551は第2外管21の上端および変圧器76の上端よりも高い位置に配置されている。したがって、変圧器76による電波障害を防止する統合柱30を提供できる。
【0065】
図14は、第1柱10および第2柱20を説明する説明図である。図14を使用して統合柱30を製造および設置する方法の概要を説明する。
【0066】
まず、工場において第1柱10および第2柱20が製造される。第2柱20を例にして説明する。所定の寸法に切断された鋼管である第2外管21の側面に、開口枠62等を取り付ける角孔と、ステップボルト19取付用の丸穴とが作成される。角孔に、あらかじめ作成された開口枠62が溶接される。第2外管21の内面に、通信用管固定具47および電灯用管固定具48が溶接される。第2外管21の一端に第2フランジ23が溶接される。
【0067】
通信用管固定具47および電灯用管固定具48に設けられた所定の孔に、一方の端部にストッパ49が取り付けられた電子機器用管41、通信用管45および電灯用管46が挿通される。その後、これらの管の他方の端部にストッパ49が取り付けられる。
【0068】
第2外管21の他端に蓋が溶接される。第2外管21の側面に、変圧器取付具67が溶接される。丸穴にステップボルト19が溶接またはネジ固定により取り付けられる。作業用開口54、および、すぐに使用される予定のない開口枠62に、開口蓋61が固定される。アンテナ支持柱555が、上部の開口枠62に固定される。以上により、第2柱20が完成する。第1柱10も、概略同様の手順で作成される。
【0069】
第1柱10および第2柱20が、統合柱30の設置場所に輸送される。第1柱10の枡固定部39が、電線共同溝に設けられた柱体取付枡に固定される。さらに、ベースプレート38に設けられた孔にアンカーボルトが挿入されて、第1柱10が強固に固定される。
【0070】
第1柱10の上に、第2柱20が載置される。第1フランジ13と第2フランジ23とが締結されることにより、第1柱10の上に第2柱20が連結される。以上により、統合柱30の設置が完了する。なお、開口蓋61およびアンテナ支持柱555等の、ネジにより固定される部品は、工場で取り付けられる代わりに、設置場所で取り付けられてもよい。
【0071】
設置場所で溶接作業を行なう必要がないため、比較的短時間で統合柱30を設置できる。規格化された第1柱10および第2柱20を使用した統合柱30を設置した後に、必要に応じて電灯78、信号機77、第1機器71および第2機器72等の機器を、様々な事業者が取り付けられるため、現地の状況に応じた使い方が可能な統合柱30を提供できる。
【0072】
第1柱10と第2柱20とを分けて製造されているため、統合柱30の設置に必要な機材の輸送に、長尺物輸送用の大型トラックを使用する必要がない。したがって、統合柱30の設置コストを低減できる。
【0073】
なお、統合柱30は、3本以上に分割して製造されて、設置場所で接続されてもよい。たとえば、全長は約10メートルのまま、3本に分割されていてもよい。たとえば、前述の第2柱20と同程度の長さの柱をもう一本追加した場合、全長約15メートルの統合柱30を設置できる。
【0074】
なお、第1柱10および第2柱20は、統合柱30の用途に応じてカスタマイズした状態で製造されてもよい。たとえば、用途に応じて開口枠62の取り付け位置、内部に配置される管の数と長さ等が変更されて、工場で製造されてもよい。
【0075】
図15は、延長用開口651の使用例である。図15は、延長用開口蓋65を外した状態を示す。図15の右側に見えるケーブルは、延長用開口蓋65の上側から、電線共同溝に向けて延びるケーブルである。2個の電源用コネクタ17が、延長用開口651の内部に収容されている。
【0076】
電源用コネクタ17は、たとえば100ボルト用のプラグと、200ボルト用のプラグである。たとえば広域停電が発生して、電源共通溝内の電力ケーブルから電力が供給されなくなった場合、電源車または電気自動車を電源用コネクタ17に接続して、信号機77および通信用アンテナ55等の、災害復旧に必要な機器に電力を供給する。なお、延長用開口651の用途は、図15に限定しない。
【0077】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
10 第1柱
11 第1外管
13 第1フランジ
17 電源用コネクタ
19 ステップボルト
20 第2柱
21 第2外管
23 第2フランジ
30 統合柱
38 ベースプレート
39 枡固定部
41 電子機器用管
411 下部第1電子機器用管
412 上部第1電子機器用管
421 下部第2電子機器用管
422 上部第2電子機器用管
431 下部第3電子機器用管
432 上部第3電子機器用管
45 通信用管
451 下部通信用管
452 上部通信用管
46 電灯用管
461 下部電灯用管
462 上部電灯用管
47 通信用管固定具
48 電灯用管固定具
49 ストッパ
51 電子機器用引出口
511 第1電子機器用引出口
512 第2電子機器用引出口
513 第3電子機器用引出口
514 第4電子機器用引出口
54 作業用開口
55 通信用アンテナ
551 第1アンテナ
552 第2アンテナ
553 第3アンテナ
555 アンテナ支持柱
556 通信用開口
56 電灯用引出口
61 開口蓋
62 開口枠
64 照明基板収納用開口蓋
645 浸水センサ
65 延長用開口蓋
651 延長用開口
67 変圧器取付具
71 第1機器
72 第2機器
76 変圧器
77 信号機
78 電灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15