(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148925
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】バッテリー管理装置及びバッテリー管理装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20231005BHJP
H01H 37/76 20060101ALI20231005BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01H37/76 F
H02H7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057217
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 圭之
【テーマコード(参考)】
5G053
5G502
5H030
【Fターム(参考)】
5G053AA09
5G053BA08
5G053EC05
5G502AA02
5G502EE04
5G502EE06
5G502FF08
5H030AA06
5H030AA10
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】意図しないヒューズの溶断をより簡便な構成で抑制できるバッテリー管理装置等を提供する。
【解決手段】バッテリー管理装置2は、バッテリーセル11,12,13,14,15と、配線31,35を有する基板9と、配線31,35に接続されたヒューズ61,62と、ヒューズ61,62の近傍で電熱を生じさせる電気抵抗63と、電気抵抗63の電流経路を開閉する電界効果型トランジスタ65と、電界効果型トランジスタ65の動作を制御する保護IC20と、保護IC20と電界効果型トランジスタ65のゲートとの間の配線から延出する第1延出部42と、電界効果型トランジスタ65のソースに接続された配線から延出する第2延出部44と、第1延出部42の端部及び第2延出部44の端部は、基板9の保護膜が形成されていない露出部50を有し、第1延出部42の端部と第2延出部44の端部は接続されていない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセルと、
前記バッテリーセルと接続される配線が形成される基板と、
前記配線に接続されたヒューズと、
前記ヒューズの近傍に配置されて電熱を生じさせる電気抵抗と、
前記電気抵抗に対する前記バッテリーセルからの電流の導通と非導通とを切り替え可能に設けられた電界効果型トランジスタと、
前記バッテリーセルと接続されて前記バッテリーセルの出力電圧の異常に応じて前記電界効果型トランジスタのソース-ドレイン間の前記導通を成立させるための動作電圧を前記電界効果型トランジスタのゲートに与える回路と、
前記回路と前記ゲートとの間の配線から延出する第1延出部と、
前記ソースに接続された配線から延出する第2延出部と、
前記第1延出部の端部及び前記第2延出部の端部は、基板の保護膜が形成されていない露出部を有し、
前記第1延出部の端部と前記第2延出部の端部は接続されていない、
バッテリー管理装置。
【請求項2】
前記第1延出部の端部及び前記第2延出部の端部の断面から前記配線の一部が露出している、
請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項3】
前記露出部は、光学的作用によって形成される、
請求項2に記載のバッテリー管理装置。
【請求項4】
前記露出部は、切削によって形成される、
請求項2に記載のバッテリー管理装置。
【請求項5】
前記第1延出部の端部及び前記第2延出部の端部の少なくとも一方には、接合用金属が露出している、
請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項6】
バッテリーセルが接続される配線が形成され、前記配線に接続されたヒューズと、前記ヒューズの近傍に配置されて電熱を生じさせる電気抵抗と、前記電気抵抗に対する前記バッテリーセルからの電流の導通と非導通とを切り替え可能に設けられた電界効果型トランジスタと、前記バッテリーセルと接続されて前記バッテリーセルの出力電圧の異常に応じて前記電界効果型トランジスタのソース-ドレイン間の前記導通を成立させるための動作電圧を前記電界効果型トランジスタのゲートに与える回路と、が設けられ、前記電界効果型トランジスタのゲート-ソース間が導通している基板と前記バッテリーセルとを接続する第1工程と、
前記基板において導通していた前記電界効果型トランジスタのゲート-ソース間の導通経路を非導通にするための前記導通経路の加工を行う第2工程と、を含むバッテリー管理装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー管理装置及びバッテリー管理装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の過充電等により電池電圧が異常に上昇すると、電池が発火する恐れがあるため、これを防止する目的で、電池が接続される電流経路にヒューズを設けることが一般的に行われている。ここで、電池の取り付け手順における誤りによって図らずも異常電圧を生じさせてしまい、ヒューズを溶断させてしまうことがあった。
【0003】
特許文献1には、複数の電池が接続される基板に設けられるヒューズを溶断させる抵抗加熱素子への電流供給経路に2つのスイッチを設ける構成が記載されている。さらに、特許文献1には、電池の電圧異常を検知して当該2つのスイッチの一方をONにする異常検出回路と、複数の電池が正常に接続された場合に流れる電流が検出された場合に当該2つのスイッチの他方をONにする動作確認回路と、を設けることが記載されている。特許文献1の構成によれば、複数の電池が正常に接続されるまで2つのスイッチの他方がOFFであることから、組み立ての誤りにより異常電圧が加わってもヒューズが溶断されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、動作確認回路と、ヒューズを溶断させる抵抗加熱素子への電流供給経路に2つのスイッチの他方と、の両方が組み立ての誤りによる異常電圧を抑制するためだけに設けられており、これらの部品によるコスト増を免れない。また、特許文献1の構成では、これらの部品を設けるための基板スペースの確保が必要になることから、係る基板スペースを確保できない構成では採用できなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、意図しないヒューズの溶断をより簡便な構成で抑制できるバッテリー管理装置及びバッテリー管理装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面のバッテリー管理装置は、バッテリーセルと、前記バッテリーセルと接続される配線が形成される基板と、前記配線に接続されたヒューズと、前記ヒューズの近傍に配置されて電熱を生じさせる電気抵抗と、前記電気抵抗に対する前記バッテリーセルからの電流の導通と非導通とを切り替え可能に設けられた電界効果型トランジスタと、前記バッテリーセルと接続されて前記バッテリーセルの出力電圧の異常に応じて前記電界効果型トランジスタのソース-ドレイン間の前記導通を成立させるための動作電圧を前記電界効果型トランジスタのゲートに与える回路と、前記回路と前記ゲートとの間の配線から延出する第1延出部と、前記ソースに接続された配線から延出する第2延出部と、前記第1延出部の端部及び前記第2延出部の端部は、基板の保護膜が形成されていない露出部を有し、前記第1延出部の端部と前記第2延出部の端部は接続されていない。
【0008】
本発明の他側面のバッテリー管理装置の製造方法は、バッテリーセルが接続される配線が形成され、前記配線に接続されたヒューズと、前記ヒューズの近傍に配置されて電熱を生じさせる電気抵抗と、前記電気抵抗に対する前記バッテリーセルからの電流の導通と非導通とを切り替え可能に設けられた電界効果型トランジスタと、前記バッテリーセルと接続されて前記バッテリーセルの出力電圧の異常に応じて前記電界効果型トランジスタのソース-ドレイン間の前記導通を成立させるための動作電圧を前記電界効果型トランジスタのゲートに与える回路と、が設けられ、前記電界効果型トランジスタのゲート-ソース間が導通している基板と前記バッテリーセルとを接続する第1工程と、前記基板において導通していた前記電界効果型トランジスタのゲート-ソース間の導通経路を非導通にするための前記導通経路の加工を行う第2工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、意図しないヒューズの溶断をより簡便な構成で抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、バッテリー管理装置の主要構成を示す回路図である。
【
図2】
図2は、バッテリー管理装置の主要構成を示す回路図である。
【
図3】
図3は、組み立て完了前の状態における電界効果型トランジスタ付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、組み立て完了後の状態における電界効果型トランジスタ付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、組み立て完了後の状態における電界効果型トランジスタ付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、組み立て完了前の状態における第1延出部と第2延出部との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、組み立て完了後の状態における第1延出部と第2延出部との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、組み立て完了前の状態における第1延出部と第2延出部との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、組み立て完了後の状態における第1延出部と第2延出部との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、バッテリーセルが接続されたバッテリー管理装置の製造工程の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では実施形態1と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0012】
(実施形態1)
図1は、バッテリー管理装置1の主要構成を示す回路図である。バッテリー管理装置1は、バッテリーセルと、バッテリーセルと接続された正極端子5及び負極端子6と、を備える。
図1では、正極端子5及び負極端子6と接続されるバッテリーセルとして、直列に接続された4つのバッテリーセル11,12,13,14を例示している。バッテリーセルとは、例えば充放電可能なリチウムイオン電池のセルであるが、これに限られるものでなく、他の二次電池であってもよい。
【0013】
バッテリー管理装置1は、保護回路60を備える。保護回路60は、万が一の過充電や過熱によってバッテリーセルが発火する事を抑制するための手段として、過充電や過熱を示す出力が検出された場合にバッテリーセルが接続された電気回路を溶断させて充放電電流を遮断する。
【0014】
図1に示す保護回路60は、ヒューズ61,62と、電気抵抗63と、を備える。電気抵抗63は、ヒューズ61,62の近傍に配置されて電熱を生じさせる電気抵抗である。電気抵抗63に電流が流れると電気抵抗63が発熱してヒューズ61,62を溶断する。ヒューズ61,62は、溶断されない限り導体として振る舞う。
【0015】
直列に接続された複数のバッテリーセルの正極と、正極端子5と、は配線35及びヒューズ61,62を介して接続されている。直列に接続された複数のバッテリーセルの負極と、負極端子6と、は配線31を介して接続されている。
【0016】
電気抵抗63の一端は、ヒューズ61を介して配線35と接続されている。電気抵抗63の他端は、配線39の一端と接続されている。配線39の他端は、電界効果型トランジスタ65のドレイン(
図3参照)と接続されている。電界効果型トランジスタ65は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のような電界効果型トランジスタである。電界効果型トランジスタ65は、ゲートへの電圧の印加に応じてソース-ドレイン間の導通と非導通とを切り替え可能に設けられる。電界効果型トランジスタ65のソース(
図3参照)は、配線40を介して配線31と接続されている。電界効果型トランジスタ65のゲート(
図3参照)は、配線38を介して保護IC(Integrated Circuit)20と接続されている。
【0017】
バッテリー管理装置1は、保護回路60の動作を制御する保護IC20を備える。電気抵抗63に電流を流すための通電経路の開閉を制御する。
図1に示す構成では、バッテリーセル11の負極は、配線31と接続されている。配線31と保護IC20とは、配線31から分岐する配線36を介して接続されている。バッテリーセル11の正極及びバッテリーセル12の負極は、配線32を介して保護IC20と接続されている。バッテリーセル12の正極及びバッテリーセル13の負極は、配線33を介して保護IC20と接続されている。バッテリーセル13の正極及びバッテリーセル14の負極は、配線34を介して保護IC20と接続されている。バッテリーセル14の正極は、配線35と接続されている。配線35と保護IC20とは、配線35から分岐する配線37を介して接続されている。
【0018】
複数のバッテリーセルのうち1つ以上からの印加電圧に異常が生じた場合、予め定められたバッテリーセルの正常電圧範囲から逸脱した電圧が配線36,32,33,34,37のいずれか1つ以上を介して保護IC20に与えられる。保護IC20は、複数のバッテリーセルのうち1つ以上からの印加電圧に異常が生じた場合、電気抵抗63が設けられている配線35と配線31との間の通電経路に設けられた電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間を導通させるための信号を出力する。保護IC20から出力された信号は、配線38を介して電界効果型トランジスタ65のゲートに与えられ、電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間を導通させる電圧として機能する。電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間が導通状態になることで、複数のバッテリーセルからの電流が電気抵抗63に流れ、電気抵抗63を発熱される。これによって、ヒューズ61,62が溶断される。
【0019】
ところで、複数のバッテリーセルが保護IC20と接続される際には、図示しない基板に保護IC20、保護回路60、電界効果型トランジスタ65及びこれらの構成に接続される配線が既に実装されている。また、直列に接続される複数のバッテリーセルは、より負極側に設けられるバッテリーセルから接続される。
図1に示す構成では、バッテリーセル11,12,13,14の順に接続される。バッテリー管理装置1を組み立てる者がこのような接続順を守らずにバッテリーセルと保護IC20とを接続した場合や、バッテリーセルを接続する配線を誤った場合、バッテリーセルから保護IC20に過電圧が与えられてしまうことがある。当該過電圧は、保護IC20を動作させることがある。すなわち、当該過電圧は、電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間の導通によって電気抵抗63の発熱を生じさせ、ヒューズ61,62を溶断させることがある。このように、バッテリー管理装置1の組み立て工程における誤りによって、ヒューズ61,62が溶断してしまうことがある。
【0020】
そこで、バッテリー管理装置1には、組み立て工程で誤ってバッテリーセルから保護IC20に過電圧が与えられた場合であっても電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間の導通が成立しないようにする仕組みが設けられている。具体的には、配線38の分岐点41から第1延出部42が分岐するように延出し、配線40の分岐点43から第2延出部44が分岐するように延出している。第1延出部42と第2延出部44とは、複数のバッテリーセルの全てと保護IC20との接続が正しい手順で完了する組み立て完了時点まで接続されている。組み立て完了後、第1延出部42と第2延出部44とを切断する露出部50が設けられる。これによって、保護IC20の動作に応じたヒューズ61,62の溶断を機能させることができる状態になる。以下、組み立て完了後の状態と記載した場合、特筆しない限り、第1延出部42と第2延出部44とを切断する露出部50が設けられた後の状態をさす。また、組み立て完了前の状態と記載した場合、特筆しない限り、第1延出部42と第2延出部44とを切断する露出部50が設けられる前の状態をさす。
【0021】
図2は、バッテリー管理装置2の主要構成を示す回路図である。
図2では、保護IC20に接続されるバッテリーセルとして、5つのバッテリーセル11,12,13,14,15を例示している。保護IC20、正極端子5及び負極端子6と接続されるバッテリーセルは、1つ以上であればよい。
【0022】
図2に示すように、保護IC20は、保護回路60、電界効果型トランジスタ65及びこれらに接続される配線は、基板9に実装されている。基板9には、接続端子70,71,72,73,74,75が設けられている。接続端子70は、配線31及び配線36と接続されている。接続端子71は、配線32と接続されている。接続端子72は、配線33と接続されている。接続端子73は、配線34と接続されている。接続端子74は、配線30と接続されている。接続端子75は、配線35及び配線37と接続されている。
【0023】
バッテリーセル11の負極は、接続端子70と接続される。バッテリーセル11の正極及びバッテリーセル12の負極は、接続端子71と接続される。バッテリーセル12の正極及びバッテリーセル13の負極は、接続端子72と接続される。バッテリーセル13の正極及びバッテリーセル14の負極は、接続端子73と接続される。バッテリーセル14の正極及びバッテリーセル15の負極は、接続端子74と接続されることで、配線30を介して保護IC20と接続される。バッテリーセル15の正極は、接続端子75と接続される。以上、特筆した事項を除き、
図2に示すバッテリーセルであるバッテリーセル11,12,13、14,15と保護IC20との接続は、
図1に示すバッテリーセルであるバッテリーセル11,12,13,14と保護IC20との接続と同様である。
【0024】
なお、
図2で接続端子70,71,72,73,74,75に付された番号「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」は、バッテリーセルの接続順を示す。具体的には、より小さい値が付されたものから先に接続が行われる。より具体的には、まず、「0」が付された接続端子70に対するバッテリーセル11の負極の接続が行われる。次に、「1」が付された接続端子71に対するバッテリーセル11の正極及びバッテリーセル12の負極の接続が行われる。以降、同様に、より小さい値が付されたものに対して、
図2に示す構成の接続が順次行われる。
【0025】
保護IC20は、電圧比較部21,22,23,24,25を有する。電圧比較部21,22,23,24,25は、2つの入力の一方(+)と他方(-)との電位差に応じた出力を行うコンパレータである。電圧比較部21の入力の一方(+)には、配線32が接続されている。電圧比較部22の入力の一方(+)には、配線33が接続されている。電圧比較部23の入力の一方(+)には、配線34が接続されている。電圧比較部24の入力の一方(+)には、配線30が接続されている。電圧比較部25の入力の一方(+)には、配線37が接続されている。
【0026】
電圧比較部21,22,23,24,25の入力の他方(-)には、基準電圧発生部76,77,78,79,80の正極が接続されている。
図2では、電圧比較部21には、基準電圧発生部76が接続されている。電圧比較部22には、基準電圧発生部77が接続されている。電圧比較部23には、基準電圧発生部78が接続されている。電圧比較部24には、基準電圧発生部79が接続されている。電圧比較部25には、基準電圧発生部80が接続されている。
【0027】
基準電圧発生部76,77,78,79,80の負極側には、分圧抵抗81,82,83,84,85が接続されている。分圧抵抗81,82,83,84,85は、電気抵抗である。
図2では、分圧抵抗81の一端側は、基準電圧発生部76の負極と接続端子70との間で配線36に接続されている。分圧抵抗81の他端側及び分圧抵抗82の一端側は、基準電圧発生部77の負極と接続端子71との間で配線32に接続されている。分圧抵抗82の他端側及び分圧抵抗83の一端側は、基準電圧発生部78の負極と接続端子72との間で配線33に接続されている。分圧抵抗83の他端側及び分圧抵抗84の一端側は、基準電圧発生部79の負極と接続端子73との間で配線34に接続されている。分圧抵抗84の他端側及び分圧抵抗85の一端側は、基準電圧発生部80の負極と接続端子74との間で配線30に接続されている。分圧抵抗85の他端側は、接続端子75と電圧比較部25との間で配線37に接続されている。
【0028】
基準電圧発生部76,77,78,79,80のような基準電圧発生部は、バッテリーセルの正常電圧範囲に対応した電圧をコンパレータ(電圧比較部21,22,23,24,25)の入力の他方(-)に与える。すなわち、基準電圧発生部76,77,78,79,80は、バッテリーセルの出力が正常電圧範囲内である場合に生じるコンパレータの出力と、バッテリーセルの出力が正常電圧範囲を逸脱した場合に生じるコンパレータの出力と、が異なるように設けられている。以下、異常出力と記載した場合、特筆しない限り、バッテリーセルの出力が正常電圧範囲を逸脱した場合に生じるコンパレータの出力をさす。なお、正常電圧範囲とは、想定されたバッテリーセルの出力に対応して予め設定された電圧の高低範囲を指す。具体例を挙げると、正常電圧範囲は、
図2に示すバッテリーセル11,12,13,14,15の各々の1つずつにより生じる電圧の高低範囲であって、設計通りにバッテリーセル11,12,13,14,15が動作している場合の電圧の高低範囲であるが、これに限られるものでなく、適宜任意に設定可能である。
【0029】
なお、分圧抵抗81,82,83,84,85の電気抵抗値は、保護IC20による複数のバッテリーセルの各々の電圧測定精度に厳密に関わるものでない。また、分圧抵抗81,82,83,84,85は、バッテリーセルの消費電流を押さえる目的で、非常に大きな電気抵抗値を示す構成になっている。これらの事情から、分圧抵抗81,82,83,84,85の電気抵抗値の精度は、厳密に定められたものでなくてもよい。
【0030】
保護IC20は、さらに、制御回路26を有する。制御回路26は、電圧比較部21,22,23,24,25のいずれか1つ以上による異常出力に応じて、電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間を導通させるための信号を配線38に出力する。
【0031】
以上、特筆した事項を除いて、バッテリー管理装置2は、
図1を参照して説明したバッテリー管理装置1と機能的に同様である。例えば、バッテリー管理装置1の保護IC20は、
図2を参照して説明した保護IC20と同様の回路構成によるものであってよいし、同様に機能するが詳細な構成が異なるものであってもよい。
【0032】
なお、
図1を参照して説明したのと同様、
図2でも図示するように、バッテリー管理装置2でも、組み立て完了後、第1延出部42と第2延出部44とを切断する露出部50が設けられる。以下、露出部50の具体的な形態及び形成方法について説明する。
【0033】
図3は、組み立て完了前の状態における電界効果型トランジスタ65付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
図4は、
図3のA-A´断面図である。なお、基板9の板面に沿う二方向のうち一方をX方向とし、他方をY方向とする。X方向とY方向とは直交する。また、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。なお、基板の上側又は基板上とした場合、
図4に示すような基材90に対する第1延出部42、第2延出部44側をさす。
【0034】
図1を参照して説明したように、電界効果型トランジスタ65のゲートには配線38が接続されている。また、電界効果型トランジスタ65のソースには配線40が接続されている。また、配線38と第1延出部42とは、分岐点41を介して接続されている。すなわち、第1延出部42も電界効果型トランジスタ65のゲートに接続されている。また、配線40と第2延出部44とは、分岐点43を介して接続されている。すなわち、第2延出部44も電界効果型トランジスタ65のソースに接続されている。
【0035】
そして、組み立て完了前の状態では、
図3に示すように、第1延出部42と第2延出部44とは、例えば接続部45を介して接続されている。第1延出部42、第2延出部44及び接続部45は、基板9に実装された配線である。
【0036】
また、
図4に示すように、基板9は、基材90と、レジスト91と、を有する。基材90は、板状の部材であり、第1延出部42及び第2延出部44を含む各種の配線を積層可能に設けられる。レジスト91は、第1延出部42及び第2延出部44を含む各種の配線が実装された後に、基材90において配線が実装された実装面を覆う保護膜として設けられる。レジスト91は、配線の保護膜として機能する。
図4に示すように、第1延出部42及び第2延出部44は、基材90とレジスト91との間に位置する。
【0037】
図5は、組み立て完了後の状態における電界効果型トランジスタ65付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
図6は、
図5のA-A´断面図である。
図5に示すように、実施形態1では、第1延出部42及び第2延出部44の一部が除去されることで露出部50が形成されている。これによって、
図6に示すように、露出部50は基材90が露出した状態になっており、レジスト91に覆われていない。このように、第1延出部42の端部及び第2延出部42の端部は、基板9の保護膜が形成されていない露出部50を有し、第1延出部42の端部と第2延出部44の端部は接続されていない。また、露出部50では、第1延出部42の端部及び第2延出部44の端部の断面から配線の一部が露出している。
【0038】
露出部50の形成は、全てのバッテリーセルと保護IC20との接続が正しい手順で完了した組み立て完了後に、レーザー等、光学的作用で第1延出部42、第2延出部44のような基板に設けられたパターン配線を除去できる工具を利用して行われる。係るレーザーとして、例えばUV(UltraViolet)レーザーが挙げられるが、これに限られるものでなく、第1延出部42、第2延出部44のパターンを焼損等によって非導通状態にできるものであればよい。
【0039】
なお、
図5及び
図6では、第1延出部42及び第2延出部44の一部が除去されることで露出部50が形成されているが、露出部50の具体的な形態及び形成方法はこれに限られるものでない。例えば、第1延出部42及び第2延出部44の全部が除去されることで露出部50が形成されてもよいし、さらに接続部45の一部又は全部が除去されることで露出部50が形成されてもよい。実施形態1の露出部50は、第1延出部42、第2延出部44及び接続部45のうち一つ以上の少なくとも一部が電界効果型トランジスタ65のソース-ゲートの間の電気的な接続を絶たれるように除去された部位を含んでいればよい。なお、レーザー等、光学的作用で露出部50が形成された場合、露出部50は焼損による基材の変色が観察される。
【0040】
図3及び
図4を参照して説明したように、実施形態1における組み立て完了前の状態は、保護回路60のヒューズ61,62を溶断させる仕組みに利用される電界効果型トランジスタ65のゲート-ソース間が接続部45のようなパターン配線でショートされている状態である。すなわち、組み立て完了前の状態は、電界効果型トランジスタ65に対するゲートへの電圧印加に応じた電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間の導通が無効化されている状態である。組み立て完了前の状態で、バッテリーセルと保護IC20とを接続する際に各セル電圧線の接続順を誤る等の手順の誤りが生じたとしても、ヒューズ61,62が溶断されることはない。
【0041】
仮に接続部45がない場合の一例として、バッテリーセルの接続位置に誤りがある場合の一例を挙げると、
図2に示すバッテリーセル13の正極を、接続端子73ではなく誤って接続端子72に接続した場合、電圧比較部22にはバッテリーセル12だけでなくバッテリーセル13の電圧が印加されてしまう。このため、電圧比較部22は、正常電圧範囲を逸脱した過電圧が印加されたことを示す信号を制御回路26に出力する。これによって、制御回路26が電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間の導通を成立させてしまい、ヒューズ61,62が溶断されてしまう。
【0042】
仮に接続部45がない場合の他の一例として、バッテリーセルの接続手順に誤りがある場合の一例を挙げると、バッテリーセル11,12,13,14,15が直列に接続されている状態のバッテリーセルの接続において、接続端子70とバッテリーセル11の負極との接続の次に接続端子75とバッテリーセル15の正極との接続を行ってしまった場合、電圧比較部21,22,23,24,25にはバッテリーセル11,12,13,14,15の総電圧であって、分圧抵抗81,82,83,84,85によって分圧された電圧が入力されることになる。ここで、上記のとおり分圧抵抗81,82,83,84,85の電気抵抗の精度は厳密でないことがある。従って、分圧抵抗81,82,83,84,85の電気抵抗にばらつきがあるとき、電圧比較部21,22,23,24,25の一部に正常電圧範囲を逸脱した過電圧が印加されることがありうる。このときも、ヒューズ61,62が溶断されてしまう。また、接続端子70とバッテリーセル11の負極との接続を行わずに接続端子71,72,73,74,75に対するバッテリーセルの接続が行われた場合にも電圧比較部21,22,23,24,25の一部に正常電圧範囲を逸脱した過電圧が印加されることがありうる。
【0043】
仮に、接続端子70,71,72,73,74,75と、バッテリーセル11,12,13,14,15と、の接続に介在するコネクタが設けられていても、コネクタのピンの接続順を制御することは困難であるから、上記したバッテリーセルの接続手順に誤りがある場合に該当する事例が生じる可能性をゼロにすることは困難である。
【0044】
上記で例示したような、仮に接続部45がない場合に生じうる事象を考慮し、接続部45のように第1延出部42と第2延出部44とをショートさせる構成を設けることで、図らずもヒューズ61,62が溶断されてしまうことを抑制できる。
【0045】
一方、組み立て完了後の状態は、
図5及び
図6を参照して説明したように、露出部50が形成されることで、電界効果型トランジスタ65のゲート-ソース間のショートが解消されている状態である。これによって、万が一バッテリーセルの出力による電圧が正常電圧範囲から逸脱する異常が生じたとしても、保護IC20の動作による電界効果型トランジスタ65に対するゲートへの電圧印加に応じた電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間の導通が成立し、ヒューズ61,62が溶断される回路保護の仕組みが成立する。
【0046】
以上説明したように、実施形態1のバッテリー管理装置1やバッテリー管理装置2は、バッテリーセル11,12,13,14,15のようなバッテリーセルと、配線31,35のように当該バッテリーセルが接続される配線が形成される基板9と、当該バッテリーセルが接続される配線に接続されたヒューズ61,62と、ヒューズ61,62の近傍に配置されて電熱を生じさせる電気抵抗63と、電気抵抗63に対する当該バッテリーセルからの電流の導通と非導通とを切り替え可能に設けられた電界効果型トランジスタ65と、当該バッテリーセルと接続されて当該バッテリーセルの出力電圧の異常に応じて電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間の導通を成立させるための動作電圧を電界効果型トランジスタ65のゲートに与える回路である保護IC20と、保護IC20と電界効果型トランジスタ65のゲートとの間の配線から延出する第1延出部42と、電界効果型トランジスタ65のソースに接続された配線から延出する第2延出部44と、第1延出部42の端部及び第2延出部42の端部は、基板9の保護膜が形成されていない露出部50を有し、第1延出部42の端部と第2延出部44の端部は接続されていない。
【0047】
これにより、露出部50が電界効果型トランジスタ65のゲート-ソース間のショートを解消し、万が一バッテリーセルの出力による電圧が正常電圧範囲から逸脱する異常が生じたとしても、ヒューズ61,62が溶断される仕組みが成立する。一方、露出部50が形成されるまでは、例えばバッテリーセルと保護IC20との接続の誤りのような、組み立てにおける誤りによって万が一保護IC20が図らずも動作することがあったとしても、ヒューズ61,62が溶断されることを抑制できる。このように、露出部50が形成されているということは、露出部50が形成されるまで意図しないヒューズ61,62の溶断をより簡便な構成で抑制できていたことを示す。従って、意図しないヒューズ61,62の溶断によるバッテリー管理装置1やバッテリー管理装置2の製造不良の発生を抑制でき、歩留まりの向上が望める。
【0048】
また、第1延出部42の端部及び第2延出部44の端部の断面から配線の一部が露出している。基板9に形成されていた配線を除去するだけで露出部50を形成できるので、露出部50が形成されるまで意図しないヒューズの溶断をより簡便な構成で抑制することに加えて、露出部50の形成をより容易に行うこともできる。
【0049】
また、露出部50は、光学的作用によって形成される。従って、意図しないヒューズ61,62の溶断によるバッテリー管理装置1やバッテリー管理装置2の製造不良の発生を抑制するための仕組みに追加の回路の必要がなく、より安価でより省スペースな構成によって意図しないヒューズ61,62の溶断を抑制できる。また、上記した特許文献1における動作確認回路や2つのスイッチの他方の動作不良に起因する製造不良も当然生じないので、歩留まりの向上がより望める。
【0050】
さらに実施形態1によれば、バッテリーセルと保護IC20との接続時のノイズ等で電界効果型トランジスタ65が誤動作するような事態が生じたとしても、やはり、意図しないヒューズ61,62の溶断を抑制できる。
【0051】
以上、
図5及び
図6を参照して実施形態1の露出部50について説明したが、露出部50と同様に機能する構成の具体的形態及びその形成方法は、これに限られるものでない。以下、露出部50と同様に機能する構成の具体的形態及びその形成方法について説明する。
【0052】
(実施形態2)
図7は、組み立て完了後の状態における電界効果型トランジスタ65付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
図8は、
図7のA-A´断面図である。
図7に示すように、実施形態2では、組み立て完了前の状態(
図3参照)において第1延出部42及び第2延出部44の一部が形成されていた領域を含む露出部501が形成されている。
図8に示すように、露出部501は、基材90を掘り下げるように基材90、第1延出部42及び第2延出部44の一部及び当該一部のレジスト91を削り取ることで形成されている。このため、露出部50は基材90が露出した状態になっており、レジスト91に覆われていない。
【0053】
露出部501の形成は、全てのバッテリーセルと保護IC20との接続が正しい手順で完了した組み立て完了後に、カッター等、物理的に第1延出部42、第2延出部44のような基板に設けられたパターン配線を基材90ごと物理的に切削することができる工具を利用して行われる。実施形態2における露出部501は、実施形態1における露出部50と同様に機能する。なお、切削加工の場合は、切削した部分に基材を掘り下げた部分を観察することができる。
【0054】
露出部501は、実施形態1の露出部50に代えて形成されている。以上、特筆した事項を除き、実施形態2は、実施形態1と同様である。
【0055】
以上説明したように、実施形態2によれば、露出部50が切削によって形成されるので、意図しないヒューズ61,62の溶断によるバッテリー管理装置1やバッテリー管理装置2の製造不良の発生を抑制するための仕組みに追加の回路の必要がなく、より安価でより省スペースな構成によって意図しないヒューズ61,62の溶断を抑制できる。また、実施形態2によれば、上記した実施形態1の作用効果を同様に奏することができる。
【0056】
(実施形態3)
図9は、組み立て完了前の状態における第1延出部42と第2延出部44との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
図10は、
図9のB-B´断面図である。実施形態3では、
図9に示すように、組み立て完了前の状態における第1延出部42と第2延出部44とは、接合用金属452を介して接続されている。具体的には、
図10に示すように、実施形態3において基材90に実装された第1延出部42と第2延出部44とは、隙間46を挟んでZ方向に直交する方向に対向する。接合用金属452は、基材90の上側に実装された第1延出部42、隙間46及び第2延出部44のさらに上側に設けられ、第1延出部42と第2延出部44とを導通させる。接合用金属452は、例えばはんだであるが、いわゆる無鉛はんだその他の接合用金属であってもよい。
【0057】
図11は、組み立て完了後の状態における第1延出部42と第2延出部44との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
図12は、
図11のB-B´断面図である。実施形態3では、組み立て完了前に基材90の上側に実装された第1延出部42、隙間46及び第2延出部44のさらに上側に設けられていた接合用金属452(
図9、
図10参照)が、組み立て完了後に取り除かれる(
図11、
図12参照)。このように、接合用金属452の除去によって第1延出部42と第2延出部44との導通が解消された露出部502が形成される。実施形態3において隙間46を含む露出部502は、実施形態1における露出部50と同様に機能する。また、
図11、
図12では明確に図示しないが、接合用金属452が取り除かれて露出部502が形成された実施形態3では、第1延出部42の端部及び第2延出部44の端部の少なくとも一方には、接合用金属が露出している。ここで、露出している接合用金属は、除去される前に形成されていた接合用金属452の一部の残存物である。
図12では、残存した接合用金属452の一部として、除去跡421を模式的に示している。従って、接合用金属452が利用されていた場合、第1延出部42の端部及び第2延出部44の端部の少なくとも一方に接合用金属を観察することができる。ただし、隙間46による非接続部を埋めて第1延出部42、第2延出部44を接続するほどに接合用金属452の一部が残存することはない。
【0058】
露出部502は、実施形態1の露出部50に代えて形成されている。以上、特筆した事項を除き、実施形態3は、実施形態1と同様である。
【0059】
以上説明したように、実施形態3によれば、第1延出部42の端部及び第2延出部44の端部の少なくとも一方には、接合用金属が露出している。当該接合用金属の除去跡は、例えば上記した除去跡421である。これは、接合用金属452によって第1延出部42と第2延出部44との接続が成立していたことを示す。従って、接合用金属452によってバッテリーセルと保護IC20との接続完了までの意図しないヒューズ61,62の溶断を抑制でき、接合用金属452の除去による露出部502の形成によってヒューズ61,62の溶断に係る仕組みを成立させることができる。言い換えれば、接合用金属452の形成と除去に係る基板9のスペース以外に特別な構成を必要としない。また、実施形態3によれば、上記した実施形態1の作用効果を同様に奏することができる。
【0060】
(実施形態4)
図13は、組み立て完了前の状態における第1延出部42と第2延出部44との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
図14は、
図13のC-C´断面図である。実施形態4では、
図13に示すように、組み立て完了前の状態における第1延出部42と第2延出部44とは、ジャンパーワイヤー453を介して接続されている。
【0061】
具体的には、
図14に示すように、実施形態4において基材90に実装された第1延出部42と第2延出部44とは、隙間47を挟んでZ方向に直交する方向に対向する。基材90を挟んで第1延出部42、第2延出部44の反対側の面は、レジスト95で覆われる。
【0062】
また、第1延出部42には、実施形態4で基板9に代えて基板として採用される基板902をZ方向に貫通する孔93が設けられる。また、第2延出部44には、基板902をZ方向に貫通する孔94が設けられる。ジャンパーワイヤー453の一端側は、孔93に挿通され、接合用金属454によって第1延出部42と接続されている。ジャンパーワイヤー453の他端側は、孔94に挿通され、接合用金属455によって第2延出部44と接続されている。ジャンパーワイヤー453は、レジスト95側で孔93と孔94の間を接続する。
【0063】
図15は、組み立て完了後の状態における第1延出部42と第2延出部44との境界付近の回路実装構成の一例を示す模式図である。
図16は、
図15のC-C´断面図である。実施形態4では、組み立て完了後に、
図16に示すようにジャンパーワイヤー453の一部がレジスト95側で除去されて除去部503が形成され、ジャンパーワイヤー453による第1延出部42と第2延出部44との接続が解消される。実施形態4における除去部503は、実施形態1における露出部50と同様に機能する。
【0064】
なお、実施形態4では、ジャンパーワイヤー453を切断するだけでも第1延出部42と第2延出部44との接続を解消することができる。
図15及び
図16に示す例では、ジャンパーワイヤー453の一部を除去する除去部503を形成することによって、物理的に第1延出部42と第2延出部44とを接続するためのジャンパーワイヤー453の延出長を失わせて第1延出部42と第2延出部44との非接続状態をより確実に生じさせている。
【0065】
除去部503は、実施形態1の露出部50に代えて形成されている。以上、特筆した事項を除き、実施形態4は、実施形態1と同様である。
【0066】
以上説明したように、実施形態4によれば、ジャンパーワイヤー453によってバッテリーセルと保護IC20との接続完了までの意図しないヒューズ61,62の溶断を抑制でき、除去部503の形成によってヒューズ61,62の溶断に係る仕組みを成立させることができる。言い換えれば、ジャンパーワイヤー453の形成とその一部の除去に係る基板9のスペース以外に特別な構成を必要としない。従って、意図しないヒューズの溶断をより簡便な構成で抑制することができる。また、除去部503は、目視で容易に確認できる。従って、ヒューズ61,62の溶断に係る仕組みの成立の有無をより容易、確実に確認できる。
【0067】
図17は、バッテリーセルが接続されたバッテリー管理装置の製造工程の流れを示すフローチャートである。まず、回路基板の製造が行われる(ステップS1)。ステップS1では、例えば
図1を参照して説明したバッテリー管理装置1の構成のうち、バッテリーセル11,12,13,14,15及び露出部50を除いた構成の製造が行われる。また、ステップS1では、例えば
図2を参照して説明したバッテリー管理装置2の構成のうち、バッテリーセル11,12,13,14,15及び露出部50を除いた構成の製造が行われる。ステップS1の完了時点では、第1延出部42と第2延出部44とは導通している。
【0068】
ステップS1の処理後、ステップS1で製造された回路基板と、バッテリーセルとの接続が行われる(ステップS2)。ステップS2の完了時点では、第1延出部42と第2延出部44とは導通している。ステップS2の処理後、第1延出部42と第2延出部44との切断加工が行われる(ステップS3)。具体例を挙げると、
図5及び
図6を参照して説明した露出部50、
図7及び
図8を参照して説明した露出部501、
図11及び
図12を参照して説明した露出部502又は
図15及び
図16を参照して説明した除去部503のいずれかの形成が行われる。
【0069】
このように、バッテリー管理装置1やバッテリー管理装置2の製造では、バッテリーセル11,12,13,14,15のようなバッテリーセルが接続される配線(配線31,35等)が形成され、当該配線に接続されたヒューズ61,62と、ヒューズ61,62の近傍に配置されて電熱を生じさせる電気抵抗63と、電気抵抗63に対する当該バッテリーセルからの電流の導通と非導通とを切り替え可能に設けられた電界効果型トランジスタ65と、当該バッテリーセルと接続されて当該バッテリーセルの出力電圧の異常に応じて電界効果型トランジスタ65のソース-ドレイン間の導通を成立させるための動作電圧を電界効果型トランジスタ65のゲートに与える回路である保護IC20と、が設けられ、電界効果型トランジスタ65のゲート-ソース間が導通している基板9と当該バッテリーセルとを接続する第1工程(ステップS2)と、基板9において導通していた電界効果型トランジスタ65のゲート-ソース間の導通経路を非導通にするための当該導通経路の加工を行う第2工程(ステップS3)と、を含む。
【0070】
これにより、上記第2工程が行われた後には、電界効果型トランジスタ65のゲート-ソース間のショートを解消し、万が一バッテリーセルの出力による電圧が正常電圧範囲から逸脱する異常が生じたとしても、ヒューズ61,62が溶断される仕組みが成立する。一方、上記第2工程が行われる前には、例えばバッテリーセルと保護IC20との接続の誤りのような、組み立てにおける誤りによって万が一保護IC20が図らずも動作することがあったとしても、ヒューズ61,62が溶断されることを抑制できる。従って、意図しないヒューズ61,62の溶断によるバッテリー管理装置1やバッテリー管理装置2の製造不良の発生を抑制でき、歩留まりの向上が望める。
【0071】
なお、上記した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0072】
例えば、電圧比較部21,22,23,24,25は、コンパレータと同様に機能するオペアンプであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,2 バッテリー管理装置
9,902 基板
11,12,13,14,15 バッテリーセル
20 保護IC
21,22,23,24,25 電圧比較部
26 制御回路
30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40 配線
41,43 分岐点
42 第1延出部
44 第2延出部
45 接続部
50,501,502 露出部
503 除去部
65 電界効果型トランジスタ
70,71,72,73,74,75 接続端子
76,77,78,79,80 基準電圧発生部
81,82,83,84,85 分圧抵抗
90 基材
91,95 レジスト
421 除去跡
452,454,455 接合用金属
453 ジャンパーワイヤー