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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148928
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ヒンジ及びヒンジを備えた電子機器
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20231005BHJP
   E05F 3/20 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16C11/04 F
F16C11/04 R
E05F3/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057223
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 禎治
【テーマコード(参考)】
3J105
【Fターム(参考)】
3J105AB02
3J105AB08
3J105AB12
3J105AB13
3J105AB24
3J105AB46
3J105AB49
3J105AC10
3J105BC23
3J105BC26
3J105DA13
3J105DA23
(57)【要約】
【課題】ヒンジにおいて部品点数を低減させて大型化することを抑制することができるものとする。
【解決手段】固定部材20と、固定部材20に対して回動可能に構成される回動部材30と、を備えるヒンジ1において、固定部材20に対して回動部材30を開く方向に付勢する付勢部材41と、回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動する際のカム部50の回動軌跡上に回動部材30の開く方向の回動動作を制動する緩衝装置60と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に対して回動体を開閉可能に支持するヒンジであって、
前記本体に固定される固定部材と、
前記回動体に固定されて前記固定部材に対して回動可能に構成される回動部材と、
前記固定部材に対して前記回動部材を回動可能に連結するシャフトと、
前記固定部材に対して前記回動部材を開く方向に付勢する付勢部材と、
前記回動部材に設けられるカム部と、
前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動する際の前記カム部の回動軌跡上に、前記回動部材の開く方向の回動動作を制動する緩衝装置と、を備える、ヒンジ。
【請求項2】
前記緩衝装置は、前記本体部と、前記本体部から進退可能に延出されるロッドと、前記ロッドの先端部に備えられる当接部と、を備え、前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動する際の前記カム部によって、前記当接部が押圧力を受けたときに反力が発生し、前記回動部材の開く方向の回動動作を制動する、
請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記緩衝装置の前記ロッドは、その移動方向が前記シャフトの軸心方向と直交する方向に対して平行で且つ上下方向に対して傾斜するように構成される、
請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記緩衝装置は、前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動して前記カム部が前記緩衝装置の当接部に当接し前記カム部が前記緩衝装置の前記ロッドを押し込む際の衝撃を緩和させる緩衝部材を備える、
請求項2または請求項3に記載のヒンジ。
【請求項5】
前記カム部は、前記緩衝装置の前記当接部に当接する側と反対側の面にスリットが形成されて、前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動して前記カム部が前記緩衝装置の前記当接部に当接し前記カム部が前記緩衝装置の前記ロッドを押し込む際の衝撃によって撓むように構成される、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項6】
前記固定部材は、前記緩衝装置が配置される受け部を備え、
前記受け部は、前記ヒンジの全閉状態から全開状態に亘って前記緩衝装置の前記当接部と当接し、前記緩衝装置の前記当接部を中心にして前記カム部が配置される側と反対側から前記緩衝装置の前記当接部を支持するように構成される、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のヒンジを備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に対して回動体を開閉可能に支持するヒンジ及び当該ヒンジを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体に対して回動体を開閉可能に支持するヒンジは種々知られている。前記ヒンジは、本体に固定される固定部材と、回動体に固定されて固定部材に対して回動可能に構成される回動部材と、固定部材に対して回動部材を回動可能に連結するシャフトと、固定部材に対して回動部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を備え、付勢部材の反力によって回動体を本体から離間する方向(開く方向)に跳ね上げるように回動させる。
【0003】
また、本体に対して回動体を開閉可能に支持するヒンジとして、例えばストロークダンパー等で構成される緩衝装置を備えて、固定部材に対して回動部材が開く方向に回動してヒンジが全開状態となる際の衝撃を緩衝装置によって緩和させる構成のものが公知となっている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-33698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記ヒンジは、固定部材に対して回動部材が開く方向に回動する動作に連動して直線的に移動する移動部材を備え、前記移動部材の直線的な移動によってヒンジが全開状態となる際の衝撃を緩和させる。このように、前記ヒンジでは、緩衝装置による回動部材の開く方向の回動動作を制動するにあたって移動部材等を要するすることから、部品点数が多くなり、ヒンジが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、緩衝装置による回動部材の開く方向の回動動作を制動するにあたって移動部材等を要する構成のものに比べて、部品点数を低減させてヒンジが大型化することを抑制することができるヒンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、本体に対して回動体を開閉可能に支持するヒンジであって、前記本体に固定される固定部材と、前記回動体に固定されて前記固定部材に対して回動可能に構成される回動部材と、前記固定部材に対して前記回動部材を回動可能に連結するシャフトと、前記固定部材に対して前記回動部材を開く方向に付勢する付勢部材と、前記回動部材に設けられるカム部と、前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動する際の前記カム部の回動軌跡上に、前記回動部材の開く方向の回動動作を制動する緩衝装置と、を備えるものである。
【0009】
請求項2においては、前記緩衝装置は、前記本体部と、前記本体部から進退可能に延出されるロッドと、前記ロッドの先端部に備えられる当接部と、を備え、前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動する際の前記カム部によって、前記当接部が押圧力を受けたときに反力が発生し、前記回動部材の開く方向の回動動作を制動するものである。
【0010】
請求項3においては、前記緩衝装置の前記ロッドは、その移動方向が前記シャフトの軸心方向と直交する方向に対して平行で且つ上下方向に対して傾斜するように構成されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記緩衝装置は、前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動して前記カム部が前記緩衝装置の当接部に当接し前記カム部が前記緩衝装置の前記ロッドを押し込む際の衝撃を緩和させる緩衝部材を備えるものである。
【0012】
請求項5においては、前記カム部は、前記緩衝装置の前記当接部に当接する側と反対側の面にスリットが形成されて、前記回動部材が前記固定部材に対して開く方向に回動して前記カム部が前記緩衝装置の前記当接部に当接し前記カム部が前記緩衝装置の前記ロッドを押し込む際の衝撃によって撓むように構成されるものである。
【0013】
請求項6においては、前記固定部材は、前記緩衝装置が配置される受け部を備え、
前記受け部は、前記ヒンジの全閉状態から全開状態に亘って前記緩衝装置の前記当接部と当接し、前記緩衝装置の前記当接部を中心にして前記カム部が配置される側と反対側から前記緩衝装置の前記当接部を支持するように構成される、
ものである。
【0014】
請求項7においては、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のヒンジを備えた電子機器とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、緩衝装置による回動部材の開く方向の回動動作を制動するにあたって移動部材等を要する構成のものに比べて、部品点数を低減させてヒンジが大型化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るヒンジの全体的な構成を示した側面図。
図2】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図3】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図4】同じく全閉状態のヒンジの側面断面図。
図5】同じく所定角度開いた状態のヒンジの側面断面。
図6】同じく全開状態のヒンジの側面断面図。
図7】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図8】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図9】同じく全閉状態のヒンジの側面図。
図10】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図11】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図12】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図13】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図14】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図15】同じく全閉状態のヒンジの斜視図。
図16】同じく全閉状態のヒンジの側面断面図。
図17】同じく所定角度開いた状態のヒンジの側面断面図。
図18】同じく全開状態のヒンジの側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図1から図9に記載のヒンジ1について説明する。
ヒンジ1は、本体に対して回動体を開閉可能に支持する。ヒンジ1は、回動体を本体から離間する方向(開く方向)に跳ね上げるように回動させる。以下において、ヒンジ1は、本体と回動体とを開閉可能に連結するものとして、炊飯器90について説明するがこれに限定されない。即ち、ヒンジ1は、「本体と回動体とを開閉可能に連結される用途」に広く適用可能であり、例えば、スキャナー、ファクス、およびコピー機、若しくは複合機等のOA機器、自動車、または、便座等の各種電子機器等に用いられる。ヒンジ1が本体と回動体とを開閉可能に連結されるものとして、例えば、プリンタの本体に回動可能に連結される扉部分、複合機の本体に回動可能に連結される原稿圧着装置、スタンドに回動可能に連結されるディスプレイ、便座に回動可能に連結される便座、自動車の車体に回動可能に連結されるボンネット等がある。なお便宜上、以下では図示のように、ヒンジ1の上下左右前後方向を規定する。
【0018】
図1に示すように、ヒンジ1は、炊飯器90の本体91に対して、回動体である蓋92を開閉可能に支持する。ヒンジ1は、固定部2と回動部3とを備え、左右方向を長手方向とするように構成される。ヒンジ1では、本体91の開口面(上面)の一側端部(後端部)に固定部2が固定され、回動部3が蓋92に固定される。ヒンジ1は、本体91の上面を蓋92が塞いでいる全閉状態(本体91に対して回動角度θ=0°)から、本体91の一側端部を中心として上方に蓋92が回動した全開状態(本体91に対して回動角度θ=85°)に亘って回動可能に構成されている。
以下の説明では、炊飯器90の蓋92が閉じた状態をヒンジ1の閉じた状態、蓋92が開いた状態をヒンジ1の開いた状態とする。また以下では便宜上、ヒンジ1の閉じた状態の上下方向、前後方向および左右方向を基準としてヒンジ1を構成する各部材の形状を説明する。
【0019】
図2から図6に示すように、ヒンジ1は、固定部材20と、回動部材30と、シャフト40と、左右一対の付勢部材41・41と、カム部50と、緩衝装置60と、を備える。ヒンジ1は、シャフト40を介して固定部材20に対して回動部材30が回動可能に構成される。固定部材20及び緩衝装置60は、ヒンジ1の固定部2を構成する。回動部材30及びカム部50は、ヒンジ1の回動部3を構成する。
【0020】
付勢部材41は、トーションバネであり、回動部材30を開く方向(固定部材20に対して回動部材30が離間する方向)に常時付勢する。左右一対の付勢部材41・41は、左右方向に並べて配置される。左右一対の付勢部材41・41は所定の間隔を空けて配置される。
【0021】
シャフト40は、固定部材20に対して回動部材30を回動可能に連結する回動軸として構成される。シャフト40は、固定部材20、回動部材30、及び付勢部材41・41に挿通される。シャフト40は、固定部材20、回動部材30、及び付勢部材41・41に挿通されることにより、これらの部材が一軸上に配置されて当該一軸上から移動したりずれたりしないように支持する支持部材として機能する。シャフト40の軸心方向はヒンジ1の左右方向とされる。
【0022】
固定部材20は、炊飯器90の本体91に固定される部材であり、平板状の部材を折曲げ加工すること等によって構成される。固定部材20は、左右両端部が後方に突出するように折り曲げられて構成される。前記固定部材20の折り曲げられた左右両端部には、シャフト40の端部が挿通可能なシャフト孔がそれぞれ設けられる。
【0023】
回動部材30は、炊飯器90の蓋体92(回動体)に固定される部材であり、平板状の部材を折曲げ加工すること等によって構成される。回動部材30は、左右一対のステー31を備える。ステー31は、平板状に構成される。左右一対のステー31・31は、固定部材30の左右両端部にそれぞれボルト等によって固定される。ステー31には、シャフト40の端部が挿通可能なシャフト孔が設けられる。
固定部材20のシャフト孔および回動部材30のシャフト孔にシャフト40が挿通されることによって、シャフト40を介して固定部材20に対して回動部材30が回動可能に構成される。
【0024】
固定部材20は受け部22を備える。受け部22は、固定部材20の後面の左右中央部に設けられる。受け部22は、上端に開口を有する有底筒状に構成され、緩衝装置60(緩衝装置60の本体部61)を配置可能に構成される。受け部22は、軸心が後上前下に傾斜して後上方に向かって開口するように構成される。
【0025】
緩衝装置60は、受け部22に配置される。緩衝装置60は、ストロークダンパーであり、本体部61と、本体部61から進退可能に延出されるロッド62と、ロッド62の先端部を構成する当接部63と、を備える。緩衝装置60は、カム部50によって当接部63が押圧力を受けてロッド62(ロッド62および当接部63)が押し込まれたときに反力が発生するように構成される。本体部61が固定部材20に受け部22内に配置され、ロッド62および当接部63が受け部22の開口部から後上方に延出する。緩衝装置60はシャフト40の後下方に配置される。当接部63はシャフト40の後方に配置される。ロッド62は、その移動方向がシャフト40の軸心方向と直交する方向に対して平行するように構成される。ロッド62は、その移動方向が上下方向に対して傾斜(後上前下に傾斜)するように構成される。
【0026】
カム部50は、ボルト等によって回動部材30に設けられる。ヒンジ1の全閉状態から回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動する際のカム部50の回動軌跡上に、緩衝装置60の当接部63が配置される。カム部50は、回動部材30が開く方向に回動することによって回動部材30とともに回動して緩衝装置60の当接部63に当接し、ロッド62および当接部63を押し込む。カム部50は、回動部材30の上端部に配置される。カム部50は、左右一対の付勢部材41・41同士の間であって回動部材30の左右中央部に配置される。カム部50は、後方に突出するように構成される。カム部50の後方に突出する側の端部は、緩衝装置60の当接部63に当接する部分であり、曲面状に構成されるカム面51が形成される。
【0027】
次に、ヒンジ1の全閉状態から全開状態となる動作について説明する。
まず、例えば、蓋92が本体91にロック機構によってロックされまた作業者によって蓋92が保持されること等によって、炊飯器90の蓋92が全閉状態とされ、ヒンジ1が全閉状態とされている(図4参照)。そして、前記蓋92のロックが解除されまたは作業者による保持が解除されると、付勢部材41に付勢されて回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動することによって、蓋92が本体91に対して開く方向に回動する。
ヒンジ1の全閉状態から回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動し、回動部材30が固定部材20に対して回動角度θ=65°になると、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接する(図5参照)。
カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接した状態から、さらに回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動することによって、カム部50によって緩衝装置60のロッド62(ロッド62および当接部63)が押し込まれていく。
カム部50によって緩衝装置60のロッド62(ロッド62および当接部63)が押し込まれていき、回動部材30が固定部材20に対して回動角度θ=85°になると、炊飯器90の蓋92が全開状態とされ、ヒンジ1が全開状態とされる(図6参照)。このように、ヒンジ1が全閉状態から全開状態となる際に、回動部材30の固定部材20に対する回動角度が所定の角度(回動角度θ=65°)の状態から全開状態に亘ってカム部50によって緩衝装置60のロッド62(ロッド62および当接部63)が押し込まれることから、緩衝装置60によって回動部材30の開く方向の回動動作を制動して、炊飯器90の蓋92が全開状態となる際の衝撃を緩和させることができる。
以上のようにして、ヒンジ1が全閉状態から全開状態に変遷する。
【0028】
以上のように、緩衝装置60が、ヒンジ1の全閉状態から回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動する際のカム部50の回動軌跡上に配置され、回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動し、回動部材30が固定部材20に対して所定の回動角度(回動角度θ=65°)になると、カム部50が緩衝装置60に当接し、緩衝装置60によって回動部材30の開く方向の回動動作を制動する。このため、緩衝装置60による回動部材30の開く方向の回動動作を制動するにあたって移動部材等を要する構成のものに比べて、部品点数を低減させてヒンジ1が大型化することを抑制し、簡易な構成でヒンジ1が全開状態となる際の衝撃を緩和させるものとすることができる。
【0029】
以上のように、ヒンジ1の全閉状態から回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動する際のカム部50の回動軌跡上に、緩衝装置60(緩衝装置60の当接部63)が配置され、回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動し、回動部材30が固定部材20に対して所定の回動角度(回動角度θ=65°)になると、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接して、カム部50が緩衝装置60のロッド62および当接部63を押し込み、緩衝装置60によって回動部材30の開く方向の回動動作を制動する。このため、緩衝装置60のロッド62の移動方向の延長線上(上方)に移動部材等が配置される構成のものに比べて、緩衝装置60のロッド62の移動方向側にヒンジ1が大型化することを抑制することができる。またこのように、移動部材等を備えることを要さないことから、部品点数を低減させて簡易な構成でヒンジ1が全開状態となる際の衝撃を緩和させるものとすることができる。
なお、緩衝装置60は、ロッド62が受け部22内に配置されてロッド62の先端部が受け部22の底部に当接し、且つ、本体部61の一部が受け部22の開口部から延出し、本体部61の底部が受け部22の開口部の外側に配置される構成であっても良いものとする。このように緩衝装置60が構成される場合には、本体部61の底部が当接部63として構成される。また、緩衝装置60は、ストロークダンパーであることに限定されず、例えば、ピストンダンパーまたはロータリーダンパーで構成されても良いものとする。
【0030】
また以上のように、緩衝装置60はシャフト40の後下方に配置され、緩衝装置60のロッド62は、その移動方向がシャフト40の軸心方向と直交する方向に対して平行で且つ上下方向に対して傾斜(後上前下に傾斜)するように構成されることから、緩衝装置60のロッド62の移動方向の延長線上(上方)に移動部材等が配置される構成のものに比べて、緩衝装置60のロッド62の移動方向側にヒンジ1が大型化することを抑制することができる。
【0031】
図4から図6に示すように、緩衝装置60は、緩衝部材64を備える。緩衝部材64は、「回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動して、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接し、カム部50が緩衝装置60のロッド62および当接部63を押し込む際の衝撃」を緩和させる。緩衝部材64は、第一緩衝部材64aと、第二緩衝部材64bと、で構成される。
第一緩衝部材64aは、弾性変形可能に構成されるものであり、例えば、ゴム板材やスポンジ材等で構成される。第一緩衝部材64aは、緩衝装置60の本体部61の底部と固定部材20の受け部22の底部との間に配置される。このように第一緩衝部材64aを備えることにより、「回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動して、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接し、カム部50が緩衝装置60のロッド62および当接部63を押し込む際の衝撃」を簡易な構成で緩和させることができる
第二緩衝部材64bは、弾性変形可能に構成されるものであり、例えば、ゴム板材やスポンジ材等で構成される。緩衝装置60の当接部63におけるカム部50のカム面51と当接する部分(当接部63の上面)に設けられる。このように第二緩衝部材64bを備えることにより、「回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動して、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接し、カム部50が緩衝装置60のロッド62および当接部63を押し込む際の衝撃」を簡易な構成で緩和させることができる。
【0032】
図2から図6に示すように、カム部50は、スリット52を備える。スリット52は、カム部50の上面に形成される。スリット52は、カム部50における緩衝装置60の当接部63に当接する側と反対側の面に形成される。スリット52は、カム部50の上面から下方に延出する。スリット52は、カム部50の上面から上下略中央部に亘って切り欠かれるように構成される。スリット52は、回動部材30の後方に配置される。カム部50は、スリット52が形成されることによって、回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動して、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接し、カム部50が緩衝装置60のロッド62および当接部63を押し込む際の衝撃」によって撓むように構成される。
このようにカム部50にスリット52が形成されて、「回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動して、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接し、カム部50が緩衝装置60のロッド62および当接部63を押し込む際の衝撃」によってカム部50が撓むように構成されることから、このような衝撃を簡易な構成で緩和させることができる。
【0033】
図7から図9に示すように、受け部22は、ヒンジ1の全閉状態から全開状態に亘って緩衝装置60の当接部63と当接し、緩衝装置60の当接部63を中心にしてカム部50が配置される側と反対側(下方)から緩衝装置60の当接部63を支持するように構成することもできる。受け部22は、その突出側端部の下部が後上方にさらに延出する。前記受け部22の突出側端部の下部の上面が、ヒンジ1の全閉状態から全開状態に亘って緩衝装置60の当接部63と当接する。
このように、受け部22は、ヒンジ1の全閉状態から全開状態に亘って緩衝装置60の当接部63と当接し、緩衝装置60の当接部63を中心にしてカム部50が配置される側と反対側から緩衝装置60の当接部63を支持するように構成されることから、カム部50のカム面51が緩衝装置60の当接部63に当接した状態からさらに回動部材30が固定部材20に対して開く方向に回動してカム部50によって緩衝装置60のロッド62(ロッド62および当接部63)が押し込まれていく際の動作を安定させることができる。
【0034】
次に、図10から図11に記載のヒンジ1について説明する。なお、図10から図11に記載のヒンジ1の説明については、図1から図9に記載のヒンジ1と同様の部分の説明については適宜省略し、図1から図9に記載のヒンジ1と異なる部分を中心に説明する。
【0035】
図10から図11に示すように、ヒンジ1は、固定部材20と、回動部材30と、シャフト40と、左右一対の付勢部材41・41と、カム部50と、緩衝装置60と、を備える。
【0036】
固定部材20の受け部22は、固定部材20の後面の左右中央部よりも右側寄りに設けられる。受け部22は、軸心が上下方向に構成され、上方に向かって開口するように構成される。緩衝装置60のロッド62および当接部63は受け部22の開口部から上方に延出する。緩衝装置60のロッド62は、その移動方向が上下方向に構成される。
【0037】
カム部50は、回動部材30の後端部が二つ折りに折り曲げ加工されることによって構成される。カム部50は、回動部材30の後端部において左右端部に亘って形成される。カム部50のカム面51は、回動部材30の後端の曲面状に形成される部分で構成される。
【0038】
このように回動部材30が二つ折りに折り曲げ加工されることによってカム部50が構成されることから、部品点数を低減させることができる。
【0039】
次に、図12から図13に記載のヒンジ1について説明する。なお、図12から図13に記載のヒンジ1の説明については、図1から図11に記載のヒンジ1と同様の部分の説明については適宜省略し、図1から図11に記載のヒンジ1と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
図12から図13に示すように、ヒンジ1は、固定部材20と、回動部材30と、シャフト40と、左右一対の付勢部材41と、カム部50と、緩衝装置60と、を備える。
【0041】
固定部材20の受け部22は、固定部材20の後面の左右中央部よりも左側寄りに設けられる。受け部22は、軸心が上下方向に構成され、上方に向かって開口するように構成される。緩衝装置60のロッド62は、その移動方向が上下方向に構成される。
【0042】
カム部50は、ボルト等によって回動部材30に設けられる。カム部50は、回動部材30の上端部に配置される。カム部50は、回動部材30の左右中央部よりも左側寄りに配置される。
【0043】
次に、図14から図18に記載のヒンジ1について説明する。なお、図14から図18に記載のヒンジ1の説明については、図1から図13に記載のヒンジ1と同様の部分の説明については適宜省略し、図1から図13に記載のヒンジ1と異なる部分を中心に説明する。
【0044】
図14から図18に示すように、ヒンジ1は、固定部材20と、回動部材30と、シャフト40と、左右一対の付勢部材41と、カム部50と、緩衝装置60と、を備える。
【0045】
緩衝装置60のロッド62および当接部63は受け部22の開口部から上方に延出する。緩衝装置60はシャフト40の下方の若干後方寄りに配置される。当接部63はシャフト40の下方に配置される。ロッド62は、その移動方向がシャフト40の軸心方向と直交する方向に対して平行するように構成される。ロッド62は、その移動方向が上下方向に構成される。
【符号の説明】
【0046】
1 ヒンジ
2 固定部
3 回動部
20 固定部材
30 回動部材
40 シャフト
41 付勢部材
50 カム部
51 カムン面
52 スリット
60 緩衝装置
61 本体部
62 ロッド
63 当接部
64 緩衝部材
90 炊飯器
91 本体
92 蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18