(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148942
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】電子写真用フィルム
(51)【国際特許分類】
G03G 7/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G03G7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057238
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】立石 真由
(57)【要約】
【課題】低温低湿条件下においても優れたトナー画像の定着性とトナー飛散耐性を有する電子写真用フィルムを提供する。
【解決手段】フィルム基材の少なくとも片方の面にトナー受像層を有する電子写真用フィルムであって、該トナー受像層が一般式(1)で表される化合物、および一般式(2)で表わされる化合物を含有し、さらにカチオン性ウレタン樹脂を含有してもよく、トナー受像層の全固形分に対して該カチオン性ウレタン樹脂の含有量が0~77質量%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム基材の少なくとも片方の面にトナー受像層を有する電子写真用フィルムであって、該トナー受像層が一般式(1)で表される化合物、および一般式(2)で表わされる化合物を含有し、さらにカチオン性ウレタン樹脂を含有してもよく、トナー受像層の全固形分に対して該カチオン性ウレタン樹脂の含有量が0~77質量%であることを特徴とする電子写真用フィルム。
【化1】
(一般式(1)中、R
1は炭素数9~15のアルキル基を表す。)
【化2】
(一般式(2)中、mは1または2を表し、nは1以上の整数を表す。Xは、グアニジン部位と塩を形成可能な無機酸を表し、pは有理数を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用フィルムに関する。より詳しくは、優れたトナー画像の定着性とトナー飛散耐性を有する電子写真用フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いて印刷する用途は、端末PC用プリンター、ファックス、または複写機に留まらず、多品種小ロット印刷、可変情報印刷等を可能とする、いわゆるオンデマンド印刷分野でも実用化が進み、技術的進展が目覚ましい。近年では印刷速度、画質の向上に伴い、印刷部数が従来オフセット印刷やグラビア印刷で行われていた領域でも利用されている。
【0003】
電子写真方式は無版の印刷方式であるが故に可変情報を扱えるのが利点である。一方でオフセット印刷やグラビア印刷は可変情報を扱うことはできないものの、高品質の印刷を安価に大量に行うことに適している。そこで電子写真方式においても、印刷機械、トナー、記録材料の面から高画質化、高速化、省電力化、そして低コスト化による印刷の生産性向上に向けた技術開発が進められている。
【0004】
電子写真方式のうち、乾式電子写真方式は事務用複写機等に代表される方式であり、画像を形成するトナーは顔料と合成樹脂からなる固体粉末トナーを使用する。画像形成の方法は、感光体上に一様の電荷を形成して帯電させた後、露光過程で形成した静電潜像にトナーを吸着させ、このトナーを被転写物に転写、加熱する方式である。近年、乾式電子写真方式印刷機における印刷画質の向上は目覚ましく、鮮明な画像品質を得ることが可能となってきたため、従来では乾式電子写真方式の用途として考慮されることが少なかった写真出力、ならびにフォトブック用途等に用いられる機会が増加している。
【0005】
電子写真方式において写真出力に用いられる記録材料では、良好な画質にてトナーを転写する観点から、高い平滑性が要求されるため、記録材料の基材としてはフィルム基材を使用することが好まれる。しかし、フィルム基材のみでは十分な画像品質が得られないため、トナー受像層を設ける構成が提案されている。例えば、特許文献1には帯電防止剤、アクリルスチレン樹脂、およびポリエステル樹脂を含有するトナー定着層を有する、トナー密着性が良好な電子写真用印字シートが開示され、特許文献2にはプラスチックフィルムの少なくとも片面に架橋ポリアルキレンオキシドとコロイダルシリカと第4級アンモニウム塩重合物を含有する記録層を有する、トナー定着性に優れた記録シートが記載されている。また特許文献3では、トナーとの接着性が良好なレーザープリンター用受像紙として、ポリウレタン樹脂およびカチオン性高分子帯電防止剤を含有する塗布層を有するレーザープリンター用受像紙が記載され、特許文献4には基体上にバインダーと、特定の融点および特定の沸点を有する物質を含有する被覆物を有する、優れたトナー接着性を有する記録シートが開示され、該バインダーの一例としてポリ(メチレン-グアニジン)塩酸塩が記載されている。
【0006】
一方、電子写真方式において低温低湿条件下で記録材料へ印刷する場合、トナーが転写される際に所定の位置に転写されず飛散し、画像の周りにぼやけや乱れが起こり、画像品質が低下する不具合が生じる場合がある。このようなトナー飛散の対策としては、記録材料の表面抵抗値を調整する方法が知られており、例えば特許文献5には、トナーの定着性や飛散防止性等が改善された電子写真用被記録材として、プラスチックフィルム上に酸化第二錫を含有するトナー定着層を有し、表面固有抵抗値と体積固有抵抗値が調整された電子写真用被記録材料が記載されている。しかしながら、これら特許文献に記載される電子写真用フィルムにおいても、低温低湿条件下でのトナー定着性やトナー飛散耐性について更なる改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-221811号公報
【特許文献2】特開平08-67064号公報
【特許文献3】特開2010-208059号公報
【特許文献4】特開平07-5720号公報
【特許文献5】特開2006-276841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低温低湿条件下においても優れたトナー画像の定着性とトナー飛散耐性を有する電子写真用フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、以下の発明によって達成される。
フィルム基材の少なくとも片方の面にトナー受像層を有する電子写真用フィルムであって、該トナー受像層が一般式(1)で表される化合物、および一般式(2)で表わされる化合物を含有し、さらにカチオン性ウレタン樹脂を含有してもよく、トナー受像層の全固形分に対して該カチオン性ウレタン樹脂の含有量が0~77質量%であることを特徴とする電子写真用フィルム。
【0010】
【0011】
一般式(1)中、R1は炭素数9~15のアルキル基を表す。
【0012】
【0013】
一般式(2)中、mは1または2を表し、nは1以上の整数を表す。Xは、グアニジン部位と塩を形成可能な無機酸を表し、pは有理数を表す。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、低温低湿条件下においても優れたトナー画像の定着性とトナー飛散耐性を有する電子写真用フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電子写真用フィルムについて詳細に説明する。
【0016】
本発明の電子写真用フィルムは、フィルム基材の少なくとも片面にトナー受像層を有する。
【0017】
<フィルム基材>
本発明の電子写真用フィルムが有するフィルム基材としては、特に限定はされないが、プラスチックフィルムが主に用いられる。プラスチックフィルムは、ポリエステル、ポリイミド、ナイロン、ポリカーボネート等を主体としたフィルムがあるが、フィルムの汎用性や価格面から、ポリエステルフィルム、特にエチレングリコール、テレフタル酸を重縮合して得られるポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムが好ましい。
【0018】
フィルム基材の厚みは特に限定されないが、プリンター内での搬送性の観点から75μm~150μmが好ましい。
【0019】
<トナー受像層>
本発明の電子写真用フィルムが有するトナー受像層は、カチオン性ウレタン樹脂、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表わされる化合物を含有する。
【0020】
一般式(1)で表される化合物は、炭素数9~15のアルキル基を有する4級アンモニウム塩であり、例えばトリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。中でも優れたトナー飛散耐性およびトナー定着性が得られる観点から、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。トナー受像層における一般式(1)で表される化合物の含有量は、トナー受像層の全固形分に対して10~43質量%であることが好ましく、10~30質量%がより好ましい。10質量%未満の場合は、トナー受像層に転写されるトナー量が十分でなく、トナー画像の濃度が低くなる場合がある。43質量%を超える場合は、トナーの飛散や画像に意図しない筋が入る等の画像欠陥が発生する場合がある。
【0021】
一般式(2)中のXはグアニジン部位と塩を形成可能な無機酸を表し、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等を例示することができる。一般式(2)で表わされる化合物としては、例えば、m=1のポリヘキサメチレングアニジンの塩酸塩、同リン酸塩等、m=2のポリヘキサメチレンビグアニジンの塩酸塩等を挙げることができる。トナー受像層における一般式(2)で表わされる化合物の含有量は、トナー受像層の全固形分に対して15~58質量%であることが好ましく、15~40質量%がより好ましい。15質量%を下回る場合は、画像品質の低下が起きる場合があり、58質量%を超える場合は、べたつきや搬送性に問題が生じる場合がある。
【0022】
トナー受像層が含有するカチオン性ウレタン樹脂としては、カーボネート系カチオン性ウレタン樹脂やエステル系カチオン性ウレタン樹脂、エーテル系カチオン性ウレタン樹脂等が挙げられるが、トナー飛散耐性とトナー定着性向上の観点から、カーボネート系カチオン性ウレタン樹脂およびエステル系カチオン性ウレタン樹脂が好適に用いられる。このようなカチオン性ウレタン樹脂の市販品としては、第一工業製薬(株)製のスーパーフレックス(登録商標)650(カーボネート系カチオン性ウレタン樹脂)、同じくスーパーフレックス620(エステル系カチオン性ウレタン樹脂)を使用することができる。トナー受容層が含有するカチオン性ウレタン樹脂の含有量は、上記トナー受像層の全固形分に対して0~77質量%であり、30~69質量%がより好ましい。77質量%を超える場合は、低温低湿条件下でのトナー飛散耐性が低下する。
【0023】
本発明において、フィルム基材とトナー受像層の密着性を向上させるために、フィルム基材にはプライマー処理やコロナ放電処理等の公知の易接着処理を施してもよい。
【0024】
本発明の電子写真用フィルムが有するトナー受像層は、上記した各成分を含有するトナー受像層塗布液を作製し、該塗布液をフィルム基材の少なくとも片面に塗布、乾燥して形成することができる。該トナー受像層塗布液の塗布に用いられる塗布方式としては、公知の各種塗布方式を用いることができる。例えば、スプレーガン方式、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等が挙げられる。
【0025】
フィルム基材のトナー受像層が設けられる面と反対側の面には、カール防止、印字直後に重ね合わせた際のブロッキング防止、更なるトナー転写性の向上のために種々のバック層を有してもよい。また、前述したトナー受像層を両面に有してもよい。
【実施例0026】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。以下、「%」は、特に説明のない限り質量%である。
【0027】
(実施例1)
(トナー受像層の作成)
厚みが100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ダイアホイル(登録商標)T100-100、三菱ケミカル(株)製)をフィルム基材とし、一方の面に下記組成のトナー受像層塗液1をグラビアロール方式にて、湿潤塗布量が6g/m2になるようにして塗布を行った。塗布後に40~60℃の加熱空気を吹き付けて乾燥させ、実施例1の電子写真用フィルムを得た。
【0028】
(トナー受像層塗液1)
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 99.30%
【0029】
(実施例2)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液2に変更した以外は同様にして実施例2の電子写真用フィルムを得た。
【0030】
(トナー受像層塗液2)
カーボネート系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス650;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.52%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 98.78%
【0031】
(実施例3)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液3に変更した以外は同様にして実施例3の電子写真用フィルムを得た。
【0032】
(トナー受像層塗液3)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.30%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 99.00%
【0033】
(実施例4)
実施例4において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液4に変更した以外は同様にして実施例4の電子写真用フィルムを得た。
【0034】
(トナー受像層塗液4)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.60%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 98.70%
【0035】
(実施例5)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液5に変更した以外は同様にして実施例5の電子写真用フィルムを得た。
【0036】
(トナー受像層塗液5)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)1.50%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 97.80%
【0037】
(実施例6)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液6に変更した以外は同様にして実施例6の電子写真用フィルムを得た。
【0038】
(トナー受像層塗液6)
カーボネート系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス650;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.52%
ポリヘキサメチレングアニジンリン酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 98.78%
【0039】
(実施例7)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液7に変更した以外は同様にして実施例7の電子写真用フィルムを得た。
【0040】
(トナー受像層塗液7)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.60%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 98.70%
【0041】
(実施例8)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液8に変更した以外は同様にして実施例8の電子写真用フィルムを得た。
【0042】
(トナー受像層塗液8)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.60%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
デシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 98.70%
【0043】
(比較例1)
実施例1において、トナー受像層塗液1を塗布せず、PETフィルムをそのまま比較例1の電子写真用フィルムとした。
【0044】
(比較例2)
実施例1において、トナー受像層塗液1を、下記トナー受像層塗液9に変更した以外は同様にして比較例2の電子写真用フィルムを得た。
【0045】
(トナー受像層塗液9)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)4.50%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 94.80%
【0046】
(比較例3)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液10に変更した以外は同様にして比較例3の電子写真用フィルムを得た。
【0047】
(トナー受像層塗液10)
カーボネート系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス650;第一工業製薬(株)製)(固形分として)6.50%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 92.80%
【0048】
(比較例4)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液11に変更した以外は同様にして比較例4の電子写真用フィルムを得た。
【0049】
(トナー受像層塗液11)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)7.50%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 91.80%
【0050】
(比較例5)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液12に変更した以外は同様にして比較例5の電子写真用フィルムを得た。
【0051】
(トナー受像層塗液12)
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
エタノール 87.92%
純水 11.68%
【0052】
(比較例6)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液13に変更した以外は同様にして比較例6の電子写真用フィルムを得た。
【0053】
(トナー受像層塗液13)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.60%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
セチルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 98.70%
【0054】
(比較例7)
実施例1において、トナー受像層塗液1を下記トナー受像層塗液14に変更した以外は同様にして比較例7の電子写真用フィルムを得た。
【0055】
(トナー受像層塗液14)
エステル系カチオン性ウレタン樹脂
(スーパーフレックス620;第一工業製薬(株)製)(固形分として)0.60%
ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩 0.40%
オクチルトリメチルアンモニウムクロリド 0.30%
純水 98.70%
【0056】
(トナー定着性の評価)
実施例1~8および比較例1~7の電子写真用フィルムに、乾式電子写真方式のプリンター(キヤノン(株)製 Satera LBP621C)を使用して低温低湿条件(15℃15%RH)と常温常湿条件(23℃50%RH)で印刷を行った。評価に使用する印刷画像として、ブラックの単色を濃度100%で20mm×20mmの正方形サイズのパターンを出力した。この印刷物にセロハンテープを、セロハンテープと印刷画像の間に空気が入らないように強く貼り付けて剥がすことを繰り返し、トナーの残り具合を観察して、トナー定着性を評価した。トナー定着性の評価は、以下の基準で行い、○または△である場合に、本発明の電子写真用フィルムとして基準を満たしていることとした。結果を表1に示す。
【0057】
<トナー定着性評価基準>
○:3回目の剥離で印刷物のトナーが取れた。
△:2回目の剥離で印刷物のトナーが取れた。
×:1回目の剥離で印刷物のトナーが取れた。
【0058】
(トナー飛散耐性の評価)
実施例1~8および比較例1~7の電子写真用フィルムに、乾式電子写真方式のプリンター(キヤノン(株)製 Satera LBP621C)を使用して、低温低湿条件(15℃15%RH)と常温常湿条件(23℃50%RH)で、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、ブルー、グリーンを各色濃度100%で20mm×20mmの正方形サイズのパターンと縦52mm×横16mmの短冊状のグラデーション図形パターンを印刷した。その後、印字部と非印字部の境界を目視で確認し、トナー飛散耐性を評価した。トナー飛散耐性の評価は、以下の基準で行い、○または△である場合に、本発明の電子写真用フィルムとして基準を満たしていることとした。結果を表1に示す。
【0059】
<トナー飛散耐性評価基準>
○:トナーは飛散しておらず、実用上問題ない。
△:画像の一部でトナーの飛散が見られるが、実用上問題ない。
×:画像の大部分でトナーが飛散しており、実用上問題がある。
【0060】
【0061】
表1の結果から、本発明の電子写真用フィルムは、トナー画像の定着性とトナー飛散耐性に優れていることがわかる。