(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148943
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】インクジェット記録材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/52 20060101AFI20231005BHJP
D21H 19/40 20060101ALI20231005BHJP
D21H 19/60 20060101ALI20231005BHJP
D21H 19/82 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41M5/52 110
D21H19/40
D21H19/60
D21H19/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057239
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三宅 大地
【テーマコード(参考)】
2H186
4L055
【Fターム(参考)】
2H186BA12
2H186BB11X
2H186BB14Z
2H186BB19Z
2H186BB32Z
2H186BB52Z
2H186BC26Z
2H186BC57X
2H186BC77Z
2H186BC79Z
2H186CA04
2H186DA13
2H186DA19
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC06
4L055AC08
4L055AF16
4L055AG18
4L055AG19
4L055AG40
4L055AG48
4L055AG57
4L055AG64
4L055AG72
4L055AG87
4L055AH02
4L055AH11
4L055AH16
4L055AH29
4L055AJ02
4L055BE09
4L055BE13
4L055EA04
4L055EA05
4L055EA08
4L055EA16
4L055EA32
4L055FA11
4L055FA22
4L055FA23
4L055GA09
(57)【要約】
【課題】優れた発色性、インク吸収性および耐折り割れ性を有し、かつ生産時の塗布液安定性および塗布欠陥の発生が改善されたインクジェット記録材料の製造方法を提供する。
【解決手段】非吸水性支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下のシリカ微粒子、完全ケン化ポリビニルアルコール、および部分ケン化ポリビニルアルコールを含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥してインク受容層を形成した後、該インク受容層上に活性化ビニル化合物を含有するオーバーコート液を塗布、乾燥する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非吸水性支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下のシリカ微粒子、完全ケン化ポリビニルアルコール、および部分ケン化ポリビニルアルコールを含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥してインク受容層を形成した後、該インク受容層上に活性化ビニル化合物を含有するオーバーコート液を塗布、乾燥するインクジェット記録材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた発色性、インク吸収性、および耐折り割れ性を有するインクジェット記録材料を得ることができ、かつ生産時の塗布液安定性および塗布欠陥の発生が改善されたインクジェット記録材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録材料はこれまでオフィスプリント、ホームプリント等の分野に利用されてきたが、近年では商業印刷分野での応用がなされつつある。記録媒体には高いインク吸収性が要求されるため、無機微粒子を主体に含有する空隙型のインク受容層を有する記録媒体が好適に用いられている。
【0003】
近年の商業印刷分野では、例えば好みの写真又は文字等を混在させて編集されるオンデマンド写真集の用途に対する要求がある。オンデマンド写真集では、フォトブックやフォトアルバム等の冊子物として製本を行い、ページの両面に画像を配置したりする。しかしながら、見開き可能なフォトブックやフォトアルバム等に製本する時に、その折り目部分でひび割れが生じ、場合によっては折り目部分のインク受容層が線状に欠落することがある。特に無機微粒子を有する空隙型のインク受容層は、比較的脆く割れやすいため欠落が生じやすい。従って、フォトブックやアルバム等の製本用途に利用されるインクジェット記録材料においては、高い発色性やインク吸収性に加え、耐折り割れ性が良好であることが要求されている。
【0004】
耐折り割れ性が改善されたインクジェット記録材料としては、例えば特開2016-165890号公報(特許文献1)や特開2016-165891号公報(特許文献2)には、インク受容層中に無機微粒子とガラス転移点が20℃以下であるバインダーを含有するインク受容層を有する記録媒体が開示されている。また特開2016-60115号公報(特許文献3)には、無機微粒子、バインダー、架橋剤および結晶セルロースを含有し、該無機微粒子と該結晶セルロースを特定の質量比率で含有するインク受容層を有する記録媒体が記載されている。
【0005】
しかしながら上記した特許文献1および特許文献2に記載されている記録材料では、耐折り割れ性は改善しているものの、発色性やインク吸収性が十分で無かった。また特許文献3に記載される記録媒体では、インク吸収性は改善しているものの、耐折り割れ性が十分なレベルには達していなかった。
【0006】
一方、これらの無機微粒子およびバインダーを含有するインク受容層の成膜性の確保、耐水性の向上、インク吸収性の向上等の目的で該バインダーに作用する架橋剤を用いることが知られている。しかしながら、インク受容層の塗布液中に架橋剤を添加した場合、経時に伴い該塗布液が増粘し、「塗布スジ」が発生して平滑な塗布面が得られなかったり、塗布液中の成分が凝集して「塗布欠陥」が多発したりするという問題があった。
【0007】
これら架橋剤による塗布液の増粘を抑制する方法として、塗布液と架橋剤をインラインにて塗布直前に混合する方法が特開2001-80207号公報(特許文献4)や特開2003-165269号公報(特許文献5)に開示されており広く知られている。しかし、この場合も架橋剤混合後の配管内やコーターヘッド内における滞留部で同様の塗布液の増粘が生じることから、根本的な解決には至っていない。
【0008】
他方、特開2004-106202号公報(特許文献6)には、湿式シリカを含有する空隙型のインク受容層を2層有し、下層のインク受容層が完全ケン化ポリビニルアルコールと部分ケン化ポリビニルアルコールを含有するインクジェット記録材料の具体例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-165890号公報
【特許文献2】特開2016-165891号公報
【特許文献3】特開2016-60115号公報
【特許文献4】特開2001-80207号公報
【特許文献5】特開2003-165269号公報
【特許文献6】特開2004-106202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、優れた発色性、インク吸収性、および耐折り割れ性を有するインクジェット記録材料を得ることができ、かつ生産時の塗布液安定性および塗布欠陥の発生が改善されたインクジェット記録材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は以下の発明により達成される。
非吸水性支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下のシリカ微粒子、完全ケン化ポリビニルアルコール、および部分ケン化ポリビニルアルコールを含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥してインク受容層を形成した後、該インク受容層上に活性化ビニル化合物を含有するオーバーコート液を塗布、乾燥するインクジェット記録材料の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた発色性、インク吸収性、および耐折り割れ性を有するインクジェット記録材料を得ることができ、かつ生産時の塗布液安定性および塗布欠陥の発生が改善されたインクジェット記録材料の製造方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】
<インク受容層塗布液>
本発明のインクジェット記録材料の製造方法において、インク受容層塗布液は、平均二次粒子径が500nm以下のシリカ微粒子、完全ケン化ポリビニルアルコール、および部分ケン化ポリビニルアルコールを含有する。
【0015】
本発明においてインク受容層塗布液が含有するシリカ微粒子は非晶質合成シリカであることが好ましく、該非晶質合成シリカは製造方法によって気相法シリカ、湿式法シリカに大別することが出来るが、本発明では何れも利用することが出来る。該シリカ微粒子の平均二次粒子径は500nm以下であり、該平均二次粒子径は10~300nmであることがより好ましい。これにより発色性にとりわけ優れたインクジェット記録材料を得ることが出来る。
【0016】
湿式法シリカは、製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカはケイ酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシール(登録商標)として市販されている。ゲル法シリカはケイ酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゲル法シリカとしては、例えば水澤化学工業(株)からミズカシル(登録商標)として、東ソー・シリカ(株)からニップジェル(登録商標)として市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学(株)からスノーテックス(登録商標)として市販されている。
【0017】
気相法シリカは乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には、四塩化珪素を水素および酸素と共に燃焼して製造される。気相法シリカとしては、例えば日本アエロジル(株)からAEROSIL(登録商標)として市販されている。
【0018】
平均二次粒子径が500nm以下のシリカ微粒子を含有するシリカスラリーを製造する方法としては、例えば、特開2002-144701号公報、特開2005-1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、カチオン性化合物の存在下で分散する方法、シランカップリング剤の存在下で分散する方法等を挙げることが出来る。中でも、カチオン性化合物の存在下で分散する方法が、分散性の観点からより好ましい。またスラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いてもよい。
【0019】
上記したカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用出来る。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59-20696号公報、特開昭59-33176号公報、特開昭59-33177号公報、特開昭59-155088号公報、特開昭60-11389号公報、特開昭60-49990号公報、特開昭60-83882号公報、特開昭60-109894号公報、特開昭62-198493号公報、特開昭63-49478号公報、特開昭63-115780号公報、特開昭63-280681号公報、特開平1-40371号公報、特開平6-234268号公報、特開平7-125411号公報、特開平10-193776号公報等に記載された1~3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの質量平均分子量は2000~10万程度が好ましく、特に2000~3万程度が好ましい。
【0020】
本発明におけるインク受容層塗布液は、上記したシリカ微粒子のバインダー成分として、完全ケン化ポリビニルアルコールと部分ケン化ポリビニルアルコールを含有する。該完全ケン化ポリビニルアルコールと該部分ケン化ポリビニルアルコールの質量比は、95:5~60:40とすることが好ましく、85:15~70:30とすることがより好ましい。これにより発色性を低下させることなく、優れたインク吸収性を得ることが可能となる。これらポリビニルアルコールの合計の含有量は、平均二次粒子径が500nm以下のシリカ微粒子の総量に対して3~40質量%が好ましく、5~35質量%がより好ましい。
【0021】
本発明においてインク受容層塗布液が含有する完全ケン化ポリビニルアルコールは、ケン化度が97モル%を超えてケン化されているポリビニルアルコールであり、ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニル基の殆ど全てがケン化されている。市販品として重合度の異なるタイプが数多く販売されているが、重合度1000以上のものが、強固な結合力により良好な造膜性を発現させるため、耐折り割れ性やインク吸収性に優れたインクジェット記録材料が得られるため好ましい。
【0022】
本発明において、インク受容層塗布液が含有する部分ケン化ポリビニルアルコールは、ケン化度が69~90モル%の範囲でケン化されているポリビニルアルコールであり、重合度が3000以上でケン化度80モル%以上のものが、良好な塗布安定性が得られる観点から好ましい。重合度が3000を下回るものは、微細な亀裂が発生しやすくなる場合がある。
【0023】
本発明においてインク受容層塗布液は、前述の平均二次粒子径が500nm以下のシリカ微粒子を含有するシリカスラリーを得る際に使用されるカチオン性ポリマーを更に含有してもよい。またインク受容層塗布液は、耐水性向上等のため水溶性多価金属化合物を含有することが出来る。水溶性多価金属化合物としては水溶性アルミニウム化合物が好ましく利用出来る。
【0024】
水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
【0025】
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層塗布液に安定に添加出来るものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2または3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0026】
[Al2(OH)nCl6-n]m ・・式1
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式3
【0027】
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で市販されており、各種グレードのものが容易に入手出来る。
【0028】
前記した水溶性多価金属化合物の含有量は、インク受容層塗布液が含有するシリカ微粒子に対して0.1~10質量%の範囲が好ましい。
【0029】
本発明においてインク受容層塗布液は、更に着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤等の公知の各種添加剤を添加することも出来る。
【0030】
本発明において非吸水性支持体上にインク受容層塗布液をする方法は特に限定されず、公知の塗布方法を用いることが出来る。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。インク受容層の乾燥塗布量は10~60g/m2であることが好ましく15~60g/m2であることが好ましい。
【0031】
<オーバーコート液>
本発明のインクジェット記録材料の製造方法において、オーバーコート液は架橋剤として活性化ビニル化合物を含有する。オーバーコート液が該活性化ビニル化合物を含有することにより、優れた発色性および耐折り割れ性を得ることが出来る。オーバーコート液に活性化ビニル化合物を含有しない場合、良好な発色性と耐折り割れ性は得られず、またインク受容層塗布液が活性化ビニル化合物を含有する場合には、塗布液の経時増粘により、塗布スジや塗布液中の成分の凝集による塗布欠陥が発生する。オーバーコート液における活性化ビニル化合物の含有量は、前記した完全ケン化ポリビニルアルコールと該部分ケン化ポリビニルアルコールの合計量に対して1~40質量%が好ましく、より好ましくは15~25質量%である。
【0032】
上記した活性化ビニル化合物としては、ジビニルスルホン系化合物、β-ヒドロキシエチルスルホン系化合物等が例示される。かかる活性化ビニル化合物は市販品を用いても良く、例えば富士フイルム和光純薬(株)よりVS-B、VS-C等として市販されている。
【0033】
本発明においてオーバーコート液は、上記した活性化ビニル化合物以外にも、両性界面活性剤、カチオン性ポリマーおよび活性化ビニル化合物以外の架橋剤を含有することが出来る。
【0034】
オーバーコート液が含有することが出来る両性界面活性剤としては、種々の両性界面活性剤を用いることが出来る。例えばカルボキシアンモニウムベタイン型、スルホアンモニウムベタイン型、アミノ酸型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリニウムベタイン型等の両性界面活性剤が挙げられ、米国特許第3,843,368号、特開昭59-49535号、同昭63-236546号、同平5-303205号、同平8-262742号、同平10-282619号公報等に記載されている。
【0035】
また両性界面活性剤は市販品を入手して利用することも可能であり、例えば、花王(株)より市販されるアンヒトール(登録商標)20HD、川研ファインケミカル(株)より市販されるソフタゾリン(登録商標)LSB、同ソフタゾリンLSB-R等を例示することが出来る。
【0036】
上記した両性界面活性剤のオーバーコート液中における含有量は、オーバーコート液の全量に対して0.03質量%以上であることが好ましい。0.03質量%よりも少ないと、インク受容層の表面にひび割れや亀裂などの、オーバーコート液の塗布に由来する塗布欠陥や、光沢ムラが生じる場合がある。またオーバーコート液中における両性界面活性剤の含有量は1.0質量%以下であることが好ましい。1.0質量%を超えるとインク吸収性が低下する場合がある。
【0037】
オーバーコート液が含有することが出来るカチオン性ポリマーとしては、発色性の観点から特に4級カチオン性ポリマーであることが好ましい。かかるカチオン性ポリマーとしては市販品を入手し使用することも可能であり、例えば(株)センカからユニセンス(登録商標)KHE104Lとして、また大和化学工業(株)からサンブライト(登録商標)KH-55等として市販されている。オーバーコート液におけるカチオン性ポリマーの含有量としては、オーバーコート液の全量に対して1~10質量%の範囲であることが好ましい。
【0038】
オーバーコート液が含有することが出来る活性化ビニル化合物以外の架橋剤としては、以下の化合物が挙げられる。
【0039】
(1)ポリアミン類
脂肪族ポリアミン類;
・アルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)。
・ポリアルキレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、イミノビス(プロピルアミン)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど)。
・これらのアルキルまたはヒドロキシアルキル置換体(例えば、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビス(プロピルアミン)など)。
・脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン(例えば、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)。
・芳香環含有脂肪族アミン類(例えば、キシリレンジアミン、テトラクロル-p-キシリレンジアミンなど)。
【0040】
C4~C15の脂環式ポリアミン;
例えば、1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,8-p-メンタンジアミン、4,4′-メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等。
【0041】
C4~C15の複素環式ポリアミン;
例えば、ピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、1,4-ジアミノピペラジン等。
【0042】
C6~C20の芳香族ポリアミン類;
・非置換芳香族ポリアミン(例えば1,2-,1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4′-および4,4′-ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルポリメチレンポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン,チオジアニリン,ビス(3,4-ジアミノフェニル)スルホン、2,6-ジアミノピリジン、m-アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン-4,4′,4″-トリアミン、ナフチレンジアミンなど)。
・核置換アルキル基(例えばC1~C4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン(例えば、2,4-および2,6-トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン,4,4′-ジアミノ-3,3′-ジメチルジフェニルメタン、4,4′-ビス(o-トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3-ジメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,4-ジエチル-2,5-ジアミノベンゼン、1,4-ジイソプロピル-2,5-ジアミノベンゼン、1,4-ジブチル-2,5-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノメシチレン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリイソプロピル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン、2,3-ジメチル-1,4-ジアミノナフタレン、2,6-ジメチル-1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジイソプロピル-1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジブチル-1,5-ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′-テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′-テトライソプロピルベンジジン、3,3′,5,5′-テトラメチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′-テトラエチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′-テトライソプロピル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′-テトラブチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,5-ジエチル-3′-メチル-2′,4-ジアミノジフェニルメタン、3,5-ジイソプロピル-3′-メチル-2′,4-ジアミノジフェニルメタン、3,3′-ジエチル-2,2′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノ-3,3′-ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′-テトライソプロピル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′-テトラエチル-4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′-テトライソプロピル-4,4′-ジアミノジフェニルスルホンなど)。
【0043】
ポリアミドポリアミン;
例えば、ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類:(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量(例えば分子量200~5000)ポリアミドポリアミンなど)。
【0044】
ポリエーテルポリアミン;
例えば、分子量100~5000のポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など)。
【0045】
(2)ジシアンジアミド誘導体;
ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物など。
【0046】
(3)ヒドラジン化合物;
ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ヒドラジンの無機塩類(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、チオシアン酸、炭酸などの無機塩類)、ヒドラジンの有機塩類(例えば、ギ酸、シュウ酸などの有機塩類)。
【0047】
(4)ポリヒドラジド化合物(ジヒドラジド、トリヒドラジド);
カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等。
【0048】
(5)アルデヒド類;
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のモノアルデヒド、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、1,8-オクタンジアール、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、両末端アルデヒド化PVA等のジアルデヒド類、アリリデン酢酸ビニルジアセテート共重合体をケン化して得られる側鎖アルデヒド含有共重合体、ジアルデヒド澱粉、ポリアクロレイン等。
【0049】
(6)メチロール化合物;
メチロールホスフィン、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、尿素樹脂初期重合物、メラミン樹脂初期重合物等。
【0050】
(7)エポキシ化合物;
エピクロルヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、ポリエポキシ化合物等。
【0051】
(8)イソシアネート系化合物;
トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン-トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス-4-フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0052】
(9)フェノール系化合物;
フェノール系樹脂初期縮合物、レゾルシノール系樹脂等。
【0053】
(10)多価金属塩;
・ジルコニウム塩(硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、フッ化ジルコニウム化合物等)。
・チタン塩(4塩化チタン、乳酸チタン、テトライソプロピルチタネート等)。
・アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等)。
・カルシウム塩(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等)。
・マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)。
・亜鉛塩(塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等)。
【0054】
本発明において、オーバーコート液が含有することが出来る活性化ビニル化合物以外の架橋剤の含有量は、オーバーコート液が含有する架橋剤の全量に対して20質量%以下であることが好ましい。
【0055】
本発明において、オーバーコート液は、インク受容層塗布液を非吸収性支持体上に塗布・乾燥した後、形成したインク受容層上に付与する。本発明において「塗布・乾燥した後」とはインク受容層塗布液を塗布・乾燥し、形成したインク受容層の含水率が10質量%以下である状態を指す。オーバーコート液を付与する手段としてはスライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等の塗布方式が好適であるが、オーバーコート液の湿潤塗布量は、塗布ムラを低減する観点から、インク受容層の空隙容量以下とすることが好ましく、このため予め所定の塗布量となるように計量しておいた塗布液を塗布する前計量方式の塗布手段が好適である。具体的にはスライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式等が好ましい。中でも、オーバーコート液へ与えるせん断力の大きさの観点からグラビアロール方式が特に好ましい。
【0056】
本発明においてインクジェット記録材料が有する非吸水性支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等が例示される。これらの非吸水性支持体の厚みは、約50~300μm程度のものが好ましく使用される。
【0057】
上記した非吸水性支持体であるフィルムやオレフィン樹脂被覆紙を使用する場合に、インク受容層塗布液を塗布する面上には、コロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すことが出来る。更には、インク受容層塗布液を塗布する面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする下引き層を設けることが好ましく、特にゼラチンを主体とする下引き層は好適である。
【0058】
下引き層の塗布量としては特に制限はないが、固形分塗布量で5~2000mg/m2の範囲が好ましく、10~1000mg/m2の範囲がより好ましく、20~500mg/m2の範囲が特に好ましい。
【0059】
上記した非吸水性支持体は、帯電防止、搬送性改善、カール防止等のために各種のバックコート層を有することが出来る。バックコート層には無機および有機の帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有せしめることが出来る。
【0060】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお部および%は、特記しない場合は質量基準である。
【実施例0061】
(実施例1)
<ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調成した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型二酸化チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
【0062】
上記のようにして得たポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2(膜厚約0.05μm)となるように塗布、乾燥した。
【0063】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸2-エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0064】
<シリカ分散液の作製>
水にジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(第一工業製薬(株)製、シャロール(登録商標)DC902P、分子量9000)3部と気相法シリカ(日本アエロジル(株)製、AEROSIL300、平均一次粒子径7nm、BET比表面積300m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)を使用して分散液を得た。次に該分散液を圧力ホモジナイザーにて50MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液を作製した。平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA-920)にて測定した結果、140nmであった。
【0065】
<インク受容層塗布液1>
シリカ分散液 (シリカ固形分として) 100部
完全ケン化ポリビニルアルコール 21.8部
(日本酢ビ・ポバール(株)製、ケン化度99モル%、平均重合度4000)
部分ケン化ポリビニルアルコール 7.2部
((株)クラレ製、ケン化度88モル%、平均重合度3500)
塗布液に対して4%となるようにエタノールを添加し、水で調整して固形分濃度12%の塗布液を得た。
【0066】
<オーバーコート液1>
活性化ビニル化合物(富士フイルム和光純薬(株)製ビニルスルホン化合物、VS-B)
5.8部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB-R) 0.1部
水で全量を59部に調整してオーバーコート液1を得た。
【0067】
前記したポリオレフィン樹脂被覆紙の下引き層を設けた面に、前記インク受容層塗布液1を固形分塗布量が20.2g/m2になるように塗布した。塗布後10℃で20秒間冷却後、30~55℃の加熱空気を吹き付けて乾燥した。乾燥後のインク受容層の含水率は5質量%であった。次いで、インク受容層上に前記オーバーコート液1を、斜線グラビアロールを用いた塗布装置にて塗布を行い、45℃の温風を吹き付けて乾燥し、実施例1のインクジェット記録材料を得た。オーバーコート液の湿潤塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し18g/m2とした。
【0068】
(実施例2)
オーバーコート液1に代えて下記オーバーコート液2を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録材料を得た。
【0069】
<オーバーコート液2>
活性化ビニル化合物(富士フイルム和光純薬(株)製ビニルスルホン化合物、VS-B)
2.9部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB-R) 0.1部
水で全量を59部に調整してオーバーコート液2を得た。
【0070】
(実施例3)
オーバーコート液1に代えて下記オーバーコート液3を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録材料を得た。
【0071】
<オーバーコート液3>
活性化ビニル化合物(富士フイルム和光純薬(株)製ビニルスルホン化合物、VS-B)
8.7部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB-R) 0.1部
水で全量を59部に調整してオーバーコート液3を得た。
【0072】
(実施例4)
インク受容層塗布液1に代えて下記インク受容層塗布液2を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット記録材料を得た。
【0073】
<インク受容層塗布液2>
シリカ分散液 (シリカ固形分として) 100部
完全ケン化ポリビニルアルコール 27.6部
(日本酢ビ・ポバール(株)製、ケン化度99モル%、平均重合度4000)
部分ケン化ポリビニルアルコール 1.4部
((株)クラレ製、ケン化度88モル%、平均重合度3500)
塗布液に対して4%となるようにエタノールを添加し、水で調整して固形分濃度12%の塗布液を得た。
【0074】
(実施例5)
<インクジェット記録材料5の作製>
インク受容層塗布液1に代えて下記インク受容層塗布液3を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例5のインクジェット記録材料を得た。
【0075】
<インク受容層塗布液3>
シリカ分散液 (シリカ固形分として) 100部
完全ケン化ポリビニルアルコール 17.4部
(日本酢ビ・ポバール(株)製、ケン化度99モル%、平均重合度4000)
部分ケン化ポリビニルアルコール 11.6部
((株)クラレ製、ケン化度88モル%、平均重合度3500)
塗布液に対して4%となるようにエタノールを添加し、水で調整して固形分濃度12%の塗布液を得た。
【0076】
(比較例1)
インク受容層塗布液1に代えて下記インク受容層塗布液4、オーバーコート液1に代えて下記オーバーコート液4を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録材料を得た。
【0077】
<インク受容層塗布液4>
シリカ分散液 (シリカ固形分として) 100部
完全ケン化ポリビニルアルコール 21.8部
(日本酢ビ・ポバール(株)製、ケン化度99モル%、平均重合度4000)
部分ケン化ポリビニルアルコール 7.2部
((株)クラレ製、ケン化度88モル%、平均重合度3500)
活性化ビニル化合物(富士フイルム和光純薬(株)製ビニルスルホン化合物、VS-B)
5.8部
塗布液に対して4%となるようにエタノールを添加し、水で調整して固形分濃度12%の塗布液を得た。
【0078】
<オーバーコート液4>
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB-R)0.1部
水で全量を59部に調整してオーバーコート液4を得た。
【0079】
(比較例2)
実施例1のオーバーコート液の塗布を行わなかった以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録材料を得た。
【0080】
得られたインクジェット記録材料について、以下の項目を評価し、その結果を表1に示した。
【0081】
<発色性評価>
インクジェットプリンタ-(セイコーエプソン(株)製、EP-881AB:染料インク)を用いて黒のベタ印字を行った後、光学濃度(OD値)を光学濃度計((株)きもと製、Gretag Machbeth AG SpectroEye No.16228)で測定した。本発明において、数値が高い方が印字濃度は高く良好である。
【0082】
<インク吸収性評価>
インクジェットプリンタ-(セイコーエプソン(株)製、EP-807AB:染料インク)を用いて画像を印刷し、インク吸収性について下記の基準にて評価を行った。なお、評価に用いた画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーンの各色ベタ印刷画像および各色ベタ画像部中に白抜き文字を組み入れたパターンからなる。本発明において、◎あるいは○であればインク吸収性が優れる。△であれば実用上問題とならないものとする。
◎:ルーペ(50×)で目視観察。速やかに各インクが吸収され、印字部が隣接する境界にも滲みは認められない。
○:ルーペ(50×)で目視観察。各インクが吸収され、印字部が隣接する境界にも滲みは認められない。
△:ルーペ(50×)で目視観察。各インクがややあふれ、印字部が隣接する境界に少し滲みが認められるが、実使用上は問題とならない。
×:目視観察で各インクがあふれている。また印字部が隣接する境界にも滲みが認められ、実使用不可。
【0083】
<耐折り割れ性評価>
円筒形マンドレル屈曲試験器(コーテック(株)製)を用いて折り割れ試験を行った。各サンプルを15cm×5cmにカットして23℃50%RHの環境下で3時間シーズニング後、屈曲バー直径8mmで試験した。評価基準としては以下の通りとした。本発明において、◎あるいは○であれば折り割れ性が優れる。△であれば実用上問題とならないものとする。
◎:ルーペ(50×)で屈曲箇所を目視観察。塗層割れは認められない。
○:ルーペ(50×)で屈曲箇所を目視観察。僅かに塗層割れは認められるが、実使用上は問題とならない。
△:ルーペ(50×)で屈曲箇所を目視観察。塗層割れは認められるが、実使用上は問題とならない。
×:屈曲箇所を目視観察。明らかに塗層割れが発生しており、実使用不可。
【0084】
<塗布液安定性>
インク受容層塗布液に関して、作製直後の40℃粘度(V0)と40℃で8時間経時後の40℃粘度(V1)を、B型粘度計(No.2ロータ、60rpm)を用いて測定し、その比の値、V1/V0を下記の基準で分類し、塗布液の粘度安定性を評価した。
○:V1/V0が1.5未満
△:V1/V0が1.5以上5.0未満
×:V1/V0が5.0以上
【0085】
<塗布欠陥(クラック)>
記録材料5m2中に存在する大きさ1mm以上の塗布欠陥のうち、クラックの頻度を目視で評価し、下記の基準で評価した。
○:5個未満
△:5個以上20個未満
×:20個以上
【0086】
【0087】
表1の結果から、本発明によって、優れた発色性、インク吸収性、および耐折り割れ性を有するインクジェット記録材料を得ることができ、かつ生産時の塗布液安定性および塗布欠陥の発生が改善されていることがわかる。