(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148958
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H02S 30/10 20140101AFI20231005BHJP
【FI】
H02S30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057257
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大原 貫太
(72)【発明者】
【氏名】藤川 藍
(72)【発明者】
【氏名】辻野 真次
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151JA02
5F151JA09
5F251JA02
5F251JA09
(57)【要約】
【課題】太陽電池パネルをフレームに載置する際に、太陽電池パネルから延びる電力取り出し用のケーブルが損傷しにくい太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】
複数の太陽電池パネルと、前記複数の太陽電池パネルを支持するフレームと、を備え、前記フレームは、前記複数の太陽電池パネルの外周縁に沿って配置される外枠と、前記外枠の第1辺と当該第1辺に対向する第2辺とを結ぶように設けられた複数の内枠とを有し、前記内枠は、当該内枠の延長方向に交わる方向に貫通する貫通部であって、各太陽電池パネルから延びる電力取り出し用のケーブルが貫通する貫通部を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池パネルと、前記複数の太陽電池パネルを支持するフレームと、を備え、
前記フレームは、前記複数の太陽電池パネルの外周縁に沿って配置される外枠と、前記外枠の第1辺と当該第1辺に対向する第2辺とを結ぶように設けられた複数の内枠とを有し、
前記内枠は、当該内枠の延長方向に交わる方向に貫通する貫通部であって、各太陽電池パネルから延びる電力取り出し用のケーブルが貫通する貫通部を備える太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記外枠または前記内枠は、内部に延長方向に延びる空洞を有し、
前記ケーブルが前記空洞に配置される、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記外枠または前記内枠は、前記空洞に内外連通した窓部を有し、
前記ケーブルは、他のケーブルに接続を行うためのコネクタを有し、
前記コネクタは前記窓部に一致した位置に設けられている、請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記外枠または前記内枠の内面には、前記ケーブルを当該内面からずれないように保持する保持部が形成されている、請求項2または3に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力取り出し用のケーブルが延びる太陽電池パネルを備える太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の太陽電池パネルを備える太陽電池モジュール(太陽電池発電装置)が提案されている(特許文献1)。この太陽電池モジュールは、複数の太陽電池パネルと、太陽電池パネルを支持する支持部材と、を備える。太陽電池パネルからは、出力ケーブルが下方に延びている(特許文献1の
図3)。この太陽電池モジュールは、屋根上に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この太陽電池モジュールでは、太陽電池パネルを支持部材(フレーム)に載置する際に、太陽電池パネルから延びたケーブルがフレームに当たる等して損傷するおそれがあった。
【0005】
本発明は、太陽電池パネルをフレームに載置する際に、太陽電池パネルから延びる電力取り出し用のケーブルが損傷しにくい太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の太陽電池モジュールは、
複数の太陽電池パネルと、前記複数の太陽電池パネルを支持するフレームと、を備え、
前記フレームは、前記複数の太陽電池パネルの外周縁に沿って配置される外枠と、前記外枠の第1辺と当該第1辺に対向する第2辺とを結ぶように設けられた複数の内枠とを有し、
前記内枠は、当該内枠の延長方向に交わる方向に貫通する貫通部であって、各太陽電池パネルから延びる電力取り出し用のケーブルが貫通する貫通部を備える。
【0007】
かかる構成によれば、ケーブルが少なくとも内枠の部分で、設置時に太陽電池パネルの下方に飛び出ないようにできる。このため、フレームを下方に位置する架台等に載置する場合に、ケーブルが架台とフレームとの間に挟まれることを防止できるため、ケーブルが損傷することを防止できる。
【0008】
前記太陽電池モジュールでは、
前記外枠または前記内枠は、内部に延長方向に延びる空洞を有し、
前記ケーブルが前記空洞に配置されてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、ケーブルが、損傷可能性のあるフレームから露出した区間を減らすことができる。
【0010】
前記太陽電池モジュールでは、
前記外枠または前記内枠は、前記空洞に内外連通した窓部を有し、
前記ケーブルは、他のケーブルに接続を行うためのコネクタを有し、
前記コネクタは前記窓部に一致した位置に設けられていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、ケーブルが外枠または内枠における空洞に配置されていても、コネクタによる接続が容易である。
【0012】
前記太陽電池モジュールでは、
前記外枠または前記内枠の内面には、前記ケーブルを当該内面からずれないように保持する保持部が形成されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、外枠または内枠においてケーブルを容易に保持できる。
【発明の効果】
【0014】
以上より、本発明によれば、太陽電池パネルをフレームに載置する際に、太陽電池パネルから延びる電力取り出し用のケーブルが損傷しにくい太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
【
図2】
図2は、前記太陽電池モジュールの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III位置における断面図である。
【
図4】
図4は、前記太陽電池モジュールの底面図である。
【
図5】
図5は、前記太陽電池モジュールを架台に設置した状態の斜視図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る太陽電池モジュールにおいて、1つの太陽電池パネルを外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、
図1~
図5を参照しつつ説明する。
【0017】
太陽電池モジュール1は、
図1に示すように、複数の太陽電池パネル2と、複数の太陽電池パネル2を支持するフレーム3と、を備える。本実施形態では、太陽電池パネル2は、各々の平面視が長方形状(正方形状も含む長方形状)である。また、太陽電池モジュール1は6つの太陽電池パネル2を備え、フレーム3は6つの太陽電池パネルを支持している。なお、太陽電池モジュール1が備える太陽電池パネル2の数は、2つ以上5つ以下、乃至、7つ以上であってもよい。本実施形態の太陽電池モジュール1は、各太陽電池パネル2を挟むようにしてフレーム3に固定される押さえ具4を備える。また、この太陽電池モジュール1は、平面視が長方形状の板状である。
【0018】
各太陽電池パネル2は、複数の太陽電池セル、ガラス材、及び、封止材等が積層されて形成される。複数の太陽電池パネル2は、各々の長辺20側が隣接するように並べられた状態でフレーム3に固定されている。また、複数の太陽電池パネル2は、一方向(図示左右方向)に並べられた状態でフレーム3に固定されている。本実施形態では、各太陽電池パネル2の長辺20が延びる方向は、太陽電池モジュール1の短手方向と一致している。なお、複数の太陽電池パネル2は、直交する二方向(例えば、図示左右方向及び図示縦方向)に並べられた状態でフレーム3に固定されていてもよい。
【0019】
フレーム3は、
図2に示すように、各太陽電池パネル2の長辺側端縁200を支持する一方、短辺側端縁210を支持せずに離れて位置している。これにより、フレーム3と各太陽電池パネル2の短辺側端縁210との間で空間部Sが形成されている。つまり、太陽電池モジュール1において、短辺側端縁210は露出した形態となっている。本実施形態では、フレーム3は、一対の短辺側端縁211、212の両方を支持せずに離れて配置しているため、フレーム3と一対の短辺側端縁211、212の両方との間で空間部Sが形成されている。また、フレーム3は、短辺側端縁210に対して太陽電池パネル2の長手方向において離れて(空間部Sをあけて)位置している。なお、フレーム3は、短辺側端縁210に対して太陽電池パネル2の長手方向に加えて、厚み方向において離れて位置していてもよい。
【0020】
各太陽電池パネル2の長辺側端縁200には、弾力性を有するガスケット5が取り付けられている。本実施形態では、太陽電池パネル2の長辺側端縁200のうち、別の太陽電池パネル2と隣接している長辺側端縁200の全てに、ガスケット5が取り付けられている。ガスケット5は、
図3に示すように、フレーム3に当接している。ガスケット5の材質は、例えば、ゴム等の樹脂である。
【0021】
この構成では、太陽電池モジュール1で、
図5に示すように、一般的な配置である、各太陽電池パネル2の長手側一端(例えば、一対の短辺側端縁210のうち一方の短辺側端縁211)が高く(具体的には、建物の屋根の棟側に)、他端側(例えば、他方の短辺側端縁212側)が低く(具体的には、建物の屋根の軒側に)配置された場合、受光面22に落下した水分や塵埃は、各太陽電池パネル2の他端側に位置する空間部Sに移動しやすい(
図2参照)。そのため、フレーム3と各太陽電池パネル2の短辺側端縁210との間に形成された空間部Sは、受光面22から水分を排除できるとともに、受光面22に塵埃が溜まることを防止できる。さらに、弾力性を有するガスケット5のフレーム3に対する摩擦により、各太陽電池パネル2のフレーム3に対する長手方向への位置ずれを防止できるから、太陽電池パネル2が水平面に対して傾いた状態で太陽電池モジュール1が設置されても、空間部Sを保持できる。このように、空間部Sを保持できることから、受光面22に対する雨水等の水分への対策や塵埃が溜まることへの対策を継続的に長期にわたって行える。また、複数の太陽電池パネル2の位置がずれて美観を損ねることを抑制できる。
【0022】
本実施形態では、ガスケット5は、押さえ具4の固定により圧縮された状態、特に、太陽電池パネル2の厚み方向に圧縮された状態でフレーム3(本実施形態では、後述するフレーム3の内枠7)に当接している(
図3参照)。この圧縮力を伴う当接のため、ガスケット5のフレーム3に対する摩擦を強化でき、各太陽電池パネル2のフレーム3に対する位置ずれをより効果的に防止できる。
【0023】
ガスケット5は、例えば、長尺状の部材であり、各太陽電池パネル2の長辺20に沿って延びている。本実施形態では、ガスケット5の断面形状は、略コの字状である。具体的に、ガスケット5は、フレーム3に当接するフレーム当接部51と、押さえ具4に当接する押さえ具当接部52と、フレーム当接部51及び押さえ具当接部52を接続する接続部53と、を備える。
【0024】
押さえ具当接部52は、各太陽電池パネル2の受光面22と反対側に位置する面である裏面23の端部(裏面23における長辺側端縁200を含む端部)に当接している。以下、各太陽電池パネル2の受光面22側を上側、裏面側を下側として説明する。
【0025】
フレーム当接部51は、各太陽電池パネル2の受光面22における長辺側端縁200を含む端部に対して、太陽電池パネル2の厚み方向に隙間をあけた状態で配置されている。また、フレーム当接部51は、部分的にフレーム3に当接している。具体的に、フレーム当接部51のフレーム3と対向する面(下面)には、各太陽電池パネル2の長手方向に延びる溝が設けられている。フレーム当接部51の下面には、複数の溝(本実施形態では、3本の溝)が設けられているが、1本の溝が設けられていてもよい。フレーム当接部51の下面に溝が設けられていることにより、太陽電池モジュール1の組み立て時にガスケット5の取り付け方向(上下方向の取り付け)のミスを防ぐことができる。また、ガスケット5の材料コストを抑えることができる。なお、フレーム3の内枠7の上部にフレーム当接部51の下面に設けた溝に対応する形状の凸部を設けて、内枠7の凸部とフレーム当接部51の溝とをかみ合う構造とすれば、内枠7とガスケット5との接触面積を増えることにより、ガスケット5が内枠7に対して滑りにくくなる。
【0026】
本実施形態では、接続部53は、各太陽電池パネル2の長辺側端縁200に当接しているため、接続部53の内面と長辺側端縁200との摩擦力により、太陽電池パネル2のフレーム3に対する位置ずれをより効果的に防止できる。なお、接続部53は、長辺側端縁200に当接していなくてもよい。
【0027】
フレーム3は、
図4に示すように、複数の太陽電池パネル2の外周縁24に沿って配置される外枠6と、少なくとも、外枠6の第1辺61と当該第1辺61に対向する第2辺62とを結ぶように設けられた複数の内枠7とを有する。このフレーム3では、外枠6が、第1辺61及び第2辺62と、辺63、64(後述)を含む4つの辺60を有する。また、このフレーム3では、内枠7が、隣り合う太陽電池パネル2の間に配置されている。さらに、このフレーム3は、5つの内枠7を有する。
【0028】
外枠6は、長方形の枠状である。外枠6の第1辺61及び第2辺62は、例えば、外枠6の長辺である(
図2参照)。外枠6の残りの辺63、64は、例えば、外枠6の短辺である。
【0029】
外枠6の長辺を構成する長辺部材65は、例えば、長尺状の部材である。また、長辺部材65は、各太陽電池パネル2の平面視において、各太陽電池パネル2の短辺側端縁210と空間部Sをあけた形で隣接している。さらに、長辺部材65の延長方向における端部は、外枠6の短辺を構成する短辺部材66の延長方向の端部に重なっており、短辺部材66の延長方向の端部に、固定部材(本実施形態では、ビス)により固定されている。長辺部材65は、外枠6の保形と内枠7の支持とをなす。また、
図5に示すように、長辺部材65には、取付部材9が取り付けられる。
【0030】
外枠6の短辺を構成する短辺部材66は、例えば、長尺状の部材である(
図2参照)。また、短辺部材66は、太陽電池パネル2の長辺側端縁200を支持する。本実施形態では、短辺部材66は、太陽電池パネル2の長辺側端縁200の受光面(表面)22を覆っている。具体的に、短辺部材66は、長辺側端縁200を太陽電池パネル2の厚み方向において挟み込む支持部を有する。この支持部は、例えば、ガスケットを介して長辺側端縁200を挟みこんでいる。このガスケットは、短辺部材66の太陽電池パネル2に対する位置ずれの抑制に寄与している。
【0031】
内枠7は、例えば、長尺状の部材であり、本実施形態では、例えば、押出成形により成形された略筒状の部材である。内枠7には、各太陽電池パネル2の側辺(本実施形態では、長辺20)が沿うように配置される。本実施形態では、内枠7には、各太陽電池パネル2の長辺側端縁200が載置されている。内枠7は、外枠6(本実施形態では、外枠6の長辺部材65)に、固定部材(本実施形態では、ビス)により固定されている。
【0032】
また、内枠7は、各太陽電池パネル2の長辺20と間隔をおいた位置に平行に立ち上げられた壁部70を有する(
図3参照)。この構成では、地震等により太陽電池モジュール1が外力を受けて、フレーム3がある程度平行四辺形状にゆがんだとしても、壁部70と各太陽電池パネル2の側辺との間に距離が保たれているため、フレーム3が各太陽電池パネル2を圧迫しにくい。そのため、太陽電池モジュール1が地震等による外力を受けても、フレーム3が各太陽電池パネル2に圧迫することによる破損が生じにくい。
【0033】
本実施形態では、内枠7は、上部に壁部70が設けられた略角筒状の筒部71と、筒部71の下部から各太陽電池パネル2の短手方向の両側に延びる板状の延在部72と、を有する(
図3参照)。
【0034】
内枠7は、内枠7の延長方向に交わる方向に貫通する貫通部73を備える(
図4参照)。貫通部73は、各太陽電池パネル2から延びる電力取り出し用のケーブルCが貫通する。本実施形態では、貫通部73は、筒部71に設けられている。この構成では、ケーブルCが少なくとも内枠7の部分で、設置時に太陽電池パネル2の下方に飛び出ないようにできる。このため、
図5に示すように、フレーム3を下方に位置する架台B等に載置する場合に、ケーブルCの太陽電池パネル2の下方に飛び出た部分が架台Bとフレーム3との間に挟まれることを防止できるため、ケーブルCが損傷することを防止できる。なお、貫通部73は、材料を押し出しして略角筒状の部材を形成した後、この形成した部材を部分的に切り欠くことで形成される。本実施形態では、ケーブルCは、内枠7の外側に配置されている。
【0035】
内枠7は、内部に延長方向(本実施形態では、各太陽電池パネル2の長手方向)に延びる空洞74を有する(
図3参照)。この空洞74は、例えば、筒部71の内部空間である。
【0036】
なお、空洞74には、ケーブルCが配置されてもよい。この構成では、ケーブルCの少なくとも一部が内枠7に覆われるため、損傷可能性のあるフレーム3から露出した区間を減らすことができる。
【0037】
また、内枠7が、空洞74に内外連通した窓部を有していてもよい。この場合、ケーブルCが他のケーブルCに接続を行うためのコネクタを有し、このコネクタは窓部に一致した位置に設けられていてもよい。この構成では、ケーブルCが内枠7における空洞74に配置されていても、コネクタによる接続が容易である。
【0038】
さらに、内枠7の内面75(本実施形態では、筒部71の内面710)には、ケーブルCを当該内面75からずれないように保持する保持部が形成されていてもよい。例えば、保持部は、内枠7の断面視で対向する一対のC字状であり、筒部71と一体に形成される。保持部は、内枠7の押出成形時に一体成型されるため、内枠7の延在方向において連続して延びていても、断続的に延びていてもよい。さらに、保持部は、互いに対向して一対(2つ)設けられている以外に、1つ、乃至、3つ以上の複数設けられていてもよい。この構成では、内枠7の保持部においてケーブルCを容易に保持できる。
【0039】
なお、内枠7の代わりに、外枠6がケーブルCを配置する空洞を有していてもよく、内枠7及び外枠6の両方がこの空洞を有していてもよい。また、内枠7の内面75の代わりに、外枠6の内面に、ケーブルCを保持する保持部が形成されていてもよく、内枠7の内面75及び外枠6の内面の両方にこの保持部が形成されていてもよい。なお、外枠6の外面や内枠7の外面にこの保持部が形成されてもよい。
【0040】
押さえ具4は、例えば、長尺状の部材である。本実施形態では、押さえ具4は、各太陽電池パネル2の側辺(本実施形態では、長辺20)に沿って、隣り合う太陽電池パネル2の間に配置されている。押さえ具4の断面形状は、例えば、略T字状である。また、押さえ具4の材質は、例えば、金属である。
【0041】
また、押さえ具4は、各太陽電池パネル2の厚み方向で、フレーム3とともに各太陽電池パネル2を挟むようにしてフレーム3に固定される。本実施形態では、押さえ具4は、固定部材(本実施形態では、ビス)によりフレーム3(内枠7)に固定される。また、押さえ具4は、内枠7の壁部70に沿う突出部40であって、壁部70の太陽電池パネル2と反対側に位置する突出部40を有する。この構成では、突出部40を有する押さえ具4によって太陽電池パネル2を確実に固定できつつも、壁部70による太陽電池パネル2の破損抑制を維持できる。
【0042】
なお、各太陽電池パネル2のうち、押さえ具4に挟まれない側の端縁(本実施形態では、短辺側端縁210)は、フレーム3に固定されないから、フレーム3に固定されない自由状態とできる。このため、各太陽電池パネル2の自由状態となる端縁(本実施形態では、短辺側端縁210)では、地震によるフレーム3のゆがみの影響が各太陽電池パネ2ルに及ばない。
【0043】
以上の太陽電池モジュール1は、例えば、民家等の建物の屋根に瓦の代わりに配置される瓦一体型太陽電池モジュールから製造される。具体的に、太陽電池モジュール1の製造方法は、瓦一体型太陽電池モジュールから、太陽電池パネルの周囲に設けられていた枠体を取り払うことにより、太陽電池パネル2を形成するパネル形成工程と、パネル形成工程で形成された太陽電池パネル2を並べてフレーム3に固定する一体化工程を備える。本実施形態の一体化工程では、太陽電池パネル2は、フレーム3(例えば、外枠6及び内枠7)に対して取り外し可能に(例えば、ビス等の固定部材により)固定されている。この構成であれば、必要なときに、太陽電池パネル2をフレーム3から取り外すことができるため、太陽電池モジュール1を構成する部材のリサイクル性、メンテナンス性が高い。
【0044】
以上の太陽電池モジュール1は、
図5に示すように、フレーム3の外枠6の長辺を部材65に、取付部材9(本実施形態では、L字状の取付金具9)を取り付け、且つ、取付部材9をビス等の固定部材により架台Bに固定することで、架台Bに固定される。
【0045】
本発明の太陽電池モジュールは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0046】
フレーム3において、各太陽電池パネル2に覆われる部分には、上方に付勢されつつ突出し、各太陽電池パネル2の載置に伴い反発力を発しつつ下方に変形する突起部(図示しない)が形成されていてもよい。具体的に、内枠7の筒部71の上部に、このような突出部が形成されていてもよい。この構成では、太陽電池パネル2のフレーム3への載置に伴い突起部が下方への変形するときに発する反発力により、各太陽電池パネル2のフレーム3(例えば、内枠7)に対する位置ずれをより効果的に防止できる。
【0047】
また、太陽電池モジュール1は、
図6及び
図7に示すように、フレーム3に固定され、各太陽電池パネル2を下方から支持する板状の支持板8を備えてもよい。この構成では、支持板8により、各太陽電池パネル2を下方から面で支持できるため、各太陽電池パネル2を補強できる。
【0048】
さらに、この支持板8は、少なくとも太陽電池パネル2の長手方向の一方に、各太陽電池パネル2の短辺側端縁210に引っ掛けられる立ち上げ部80を有する。このような支持板8によれば、立ち上げ部80と各太陽電池パネル2の端縁(本実施形態では、短辺側端縁210)との当接により、各太陽電池パネル2のフレーム3に対する位置ずれを防止できる。即ち、支持板8は、ガスケット5による各太陽電池パネル2のフレーム3に対する位置ずれ防止を補完できる。
【0049】
また、支持板8が、フレーム3に固定される1枚以上の第1部分81と、第1部分81に対して、各太陽電池パネル2の長手方向に沿って移動可能な1枚以上の第2部分82と、を有する。図示した支持板8は、第1部分81及び第2部分82を1枚ずつ有する。さらに、第1部分81が第1立ち上げ部810を有し、第2部分82が第2立ち上げ部820を有する。ただし、支持板8の有する板状の部材の枚数は、限定されない。この支持板8によれば、各太陽電池パネル2の大きさに合わせて、第2部分82の第1部分81に対する位置を調整することで、立ち上げ部80(具体的には、第2立ち上げ部820)の位置を容易に調整可能である。
【0050】
上記実施形態では、外枠6の長辺部材65と短辺部材66とが、固定されているが、この構成に限らず、太陽電池パネル2を固定するフレーム3を構成する一対の部材は、互いに離間する方向へ移動しないように係合されていればよい。例えば、フレーム3を構成する一対の部材のうち一方の部材には凹部が設けられ、他方の部材はこの凹部に嵌合する凸部を有していてもよい。また、フレーム3を構成する一対の部材同士が、ビスで締結固定可能であってもよい。このような構成であれば、太陽電池モジュール1に外力がかかっても、フレーム3を構成する一対の部材同士が外れることを防止できる。
【0051】
また、フレーム3を構成する部材に断面形状に、コの字状のレールが形成されており、太陽電池パネル2をこのレールに対してスライドすることで、太陽電池パネル2が固定可能であってもよい。この構成では、太陽電池パネル2をこのレールのコの字の内側に配置することで、太陽電池パネル2がフレーム3を構成する部材に対して、太陽電池パネル2の厚み方向において位置ずれすることを防止できる。
【0052】
さらに、フレーム3を構成する部材は、断面形状がコの字状のレールに加えて、このレールの延長方向の端部に凸部を有し、太陽電池パネル2の端部(例えば、長辺側端縁200)がこの凸部に接触することで、太陽電池パネル2に対して位置ずれしないように固定可能であってもよい。さらに、太陽電池パネル2に、フレーム3を構成する部材の凸部に対応した形状の凹部を設けて、この凹部が凸部と嵌合することで、太陽電池パネル2を固定可能であってもよい。このような構成であれば、太陽電池パネル2をフレーム3に対して確実に固定することができる。
【0053】
なお、この場合、太陽電池パネル2の凹部とフレーム3を構成する部材の凸部との嵌合は取り外し可能であってもよい。この構成によれば、太陽電池パネル2のリサイクル性、メンテナンス性が高くなる。
【0054】
また、フレーム3がプッシュリベット状の部分を有し、太陽電池モジュール1を固定する架台Bがプッシュリベット状の部分を挿入可能に構成されていてもよい。この場合、太陽電池パネル2を固定するフレーム3の凸部の形状は先端が太くなった略T字状の凸部となっていてもよい。また、架台Bには、フレーム3の凸部が嵌合するだるま穴状の凹部が設けられ、フレーム3の凸部が凹部の広い部分から狭い部分へとスライドすることで、嵌合可能であってもよい。
【0055】
このような構成では、太陽電池モジュール1を架台Bに設置する際に、プッシュリベット状の部分が成形されたフレーム3のみを架台Bに設置し、架台Bに設置されたフレーム3に太陽電池パネル2を取り付けることにより、フレーム3のプッシュリベット状の部分が太陽電池パネル2で押さえつけられ、フレーム3と架台Bとが嵌合して固定されてもよい。この場合、フレーム3を架台Bに別部材で固定する手間を省いて、ワンタッチで固定することができる。
【0056】
また、太陽電池モジュール1を架台Bに設置する際に、太陽電池モジュール1を押さえるL字形状の金具9を用いる場合、この金具9は、太陽電池モジュール1を押さえるための先端に爪状部を有していてもよい。この場合、フレーム3(例えば、外枠6)に凹状の溝が設けられ、金具9の爪状部がフレーム3の凹状の溝にかかることで、固定されてもよい。このような構成では、金具9の爪状部が太陽電池モジュール1(例えば、フレーム3)を押さえるため、太陽電池モジュール1の架台Bに対する位置ずれを防止できる。
【0057】
上記実施形態では、外枠は長方形状であったが、正方形状であってもよく、六角形状等の四角形状以外の多角形状であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…太陽電池モジュール、2…太陽電池パネル、3…フレーム、4…押さえ具、5…ガスケット、6…外枠、7…内枠、8…支持板、9…取付部材(取付金具)、20…長辺、22…受光面(表面)、23…裏面、24…外周縁、40…突出部、51…フレーム当接部、52…押さえ具当接部、53…接続部、60、63、64…辺、61…第1辺、62…第2辺、65…長辺部材、66…短辺部材、70…壁部、71…筒部、72…延在部、73…貫通部、74…空洞、75…内面、80…立ち上げ部、81…第1部分、82…第2部分、200…長辺側端縁、210、211、212…短辺側端縁、710…内面、810…第1立ち上げ部、820…第2立ち上げ部、B…架台、C…ケーブル、S…空間部