(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148966
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20231005BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20231005BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20231005BHJP
F16L 55/033 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16L5/00 N
F16L57/00 A
F16L55/033
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057271
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
(72)【発明者】
【氏名】片野 景一郎
【テーマコード(参考)】
2D061
3H024
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB02
2D061AB05
2D061AC07
3H024AA03
3H024AB07
3H024AC05
3H025CA01
3H025CB39
(57)【要約】
【課題】上部カバーと下部カバーとの間を通して水が外部に流れ出るのを抑制する配管構造を提供する。
【解決手段】配管構造1は、縦管P1,P5に接続可能な縦管接続部16,21を有する継手本体24、及び、継手本体の外周面に突出され、横管P3に接続可能な横管接続部17を有する集合管継手10と、継手本体における上方の部分を覆う上部カバー30と、継手本体における、上部カバーに覆われた部分よりも下方の部分を覆い、上部カバーとは上下方向に間を空けて配置された下部カバー35と、上部カバー及び下部カバーを覆う筒状の封止部40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦管に接続可能な縦管接続部を有する継手本体、及び、前記継手本体の外周面に突出され、横管に接続可能な横管接続部を有する集合管継手と、
前記継手本体における上方の部分を覆う上部カバーと、
前記継手本体における、前記上部カバーに覆われた部分よりも下方の部分を覆い、前記上部カバーとは上下方向に間を空けて配置された下部カバーと、
前記上部カバー及び前記下部カバーを覆う筒状の封止部と、
を備える、配管構造。
【請求項2】
前記封止部は、
前記下部カバー、及び前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間に位置する隙間部分を覆う筒状の下方封止部材と、
前記上部カバー、及び前記下方封止部材を覆う筒状の上方封止部材と、
を有する、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記封止部は、前記上方封止部材における前記隙間部分に対応する部分を覆い、前記上方封止部材を内側に向かって付勢する筒状の補強部材を有する、請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記封止部は、前記下方封止部材、前記補強部材、及び前記上方封止部材を覆う筒状の吸音カバーを有する、請求項3に記載の配管構造。
【請求項5】
前記封止部は、前記下方封止部材及び前記上方封止部材を覆う筒状の吸音カバーを有する、請求項2に記載の配管構造。
【請求項6】
前記封止部は、
前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間に位置する部分を覆う筒状の隙間封止片、前記隙間封止片から下方に向かって突出し、前記下部カバーを覆う筒状の下方封止片、及び前記隙間封止片から上方に向かって突出し、前記上部カバーを覆う筒状の上方封止片を有する封止部本体と、
前記隙間封止片を覆い、前記隙間封止片を内側に向かって付勢する筒状の補強部材と、
を有する、請求項1に記載の配管構造。
【請求項7】
前記封止部は、前記封止部本体及び前記補強部材を覆う筒状の吸音カバーを有する、請求項6に記載の配管構造。
【請求項8】
前記封止部は、
前記上部カバー、前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間に位置する隙間部分、及び前記下部カバーを覆う筒状の封止部本体と、
前記封止部本体における前記隙間部分に対応する部分を覆い、前記封止部本体を内側に向かって付勢する筒状の補強部材と、
を有する、請求項1に記載の配管構造。
【請求項9】
前記封止部は、前記封止部本体及び前記補強部材を覆う筒状の吸音カバーを有する、請求項8に記載の配管構造。
【請求項10】
前記封止部は、
前記下部カバー、及び前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間である隙間部分を覆うとともに、前記継手本体と前記上部カバーとの間に配置された筒状の下方封止部材と、
前記上部カバー、及び前記下方封止部材を覆う筒状の上方封止部材と、
前記上方封止部材における前記隙間部分に対応する部分を覆い、前記上方封止部材を内側に向かって付勢する筒状の補強部材と、
を有する、請求項1に記載の配管構造。
【請求項11】
前記封止部は、前記上方封止部材及び前記補強部材を覆う筒状の吸音カバーを有する、請求項10に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合管継手に上部カバー及び下部カバーが巻きつけられた配管構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。集合管継手では、継手本体に横管接続部が設けられている。横管接続部は、上部カバーを貫通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の配管構造は、マンション、ホテル等の多層建築物(建築物)に用いられる。多層建築物では、上下方向に隣合う層が、床スラブにより仕切られている。床スラブには、スラブ孔が形成されている。配管構造の一部は、床スラブのスラブ孔内に配置され、スラブ孔は、モルタル等の充填材により埋め戻される。
【0005】
多層建築物に配管構造が施工される間に雨が降ると、床スラブ上に水が溜まることがある。この水は、上部カバーにおける横管接続部が通された部分を通して上部カバーよりも径方向内側に入ると、上部カバーと下部カバーとの間を通して水が流れ出る虞がある。流れ出た水は、床スラブにおけるスラブ孔の周縁部と下部カバーとの間を通り、床スラブよりも下方の層に漏れる虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、上部カバーと下部カバーとの間を通して水が外部に流れ出るのを抑制する配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の配管構造は、縦管に接続可能な縦管接続部を有する継手本体、及び、前記継手本体の外周面に突出され、横管に接続可能な横管接続部を有する集合管継手と、前記継手本体における上方の部分を覆う上部カバーと、前記継手本体における、前記上部カバーに覆われた部分よりも下方の部分を覆い、前記上部カバーとは上下方向に間を空けて配置された下部カバーと、前記上部カバー及び前記下部カバーを覆う筒状の封止部と、を備えることを特徴としている。
ここで言う筒状とは、例えば帯状部材を周方向に巻いて形成された形状ではなく、周方向に継目無く形成された形状を意味する。
【0008】
この発明では、縦管及び横管が接続可能な集合管継手を、上部カバー及び下部カバーにより覆うことができる。このとき、筒状の封止部により上部カバー及び下部カバーが覆われている。このため、上部カバーと封止部との間、及び下部カバーと封止部との間を通して、水が外部に流れ出難くなる。従って、上部カバーと下部カバーとの間を通して水が外部に流れ出るのを抑制することができる。
【0009】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記下部カバー、及び前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間に位置する隙間部分を覆う筒状の下方封止部材と、前記上部カバー、及び前記下方封止部材を覆う筒状の上方封止部材と、を有してもよい。
この発明では、継手本体と下部カバーとの間を通して水が流れるのを下方封止部材により抑制したうえで、上部カバーと下方封止部材との間を通して水が流れるのを上方封止部材により抑制することができる。
【0010】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記上方封止部材における前記隙間部分に対応する部分を覆い、前記上方封止部材を内側に向かって付勢する筒状の補強部材を有してもよい。
この発明では、上方封止部材及び下方封止部材における隙間部分に対応する部分を、補強部材により内側に向かって付勢する。これにより、継手本体と下方封止部材との間、及び下方封止部材と上方封止部材との間を通して水が流れるのを抑制することができる。この際に、上部カバー及び下部カバーが、補強部材により内側に向かって圧縮されるのを抑えることができる。
【0011】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記下方封止部材、前記補強部材、及び前記上方封止部材を覆う筒状の吸音カバーを有してもよい。
この発明では、下方封止部材、上方封止部材、及び補強部材を通して外部に漏れる、集合管継手内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバーにより吸収することができる。
【0012】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記下方封止部材及び前記上方封止部材を覆う筒状の吸音カバーを有してもよい。
この発明では、下方封止部材及び上方封止部材を通して外部に漏れる、集合管継手内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバーにより吸収することができる。
【0013】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間に位置する部分を覆う筒状の隙間封止片、前記隙間封止片から下方に向かって突出し、前記下部カバーを覆う筒状の下方封止片、及び前記隙間封止片から上方に向かって突出し、前記上部カバーを覆う筒状の上方封止片を有する封止部本体と、前記隙間封止片を覆い、前記隙間封止片を内側に向かって付勢する筒状の補強部材と、を有してもよい。
この発明では、補強部材により隙間封止片を内側に向かって付勢することにより、継手本体の外周面上の水の流れを隙間封止片により確実に抑制することができる。さらに、下部カバー及び上部カバーの外周面上の水の流れを、下方封止片及び上方封止片により抑制することができる。
【0014】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記封止部本体及び前記補強部材を覆う筒状の吸音カバーを有してもよい。
この発明では、封止部本体及び補強部材を通して外部に漏れる、集合管継手内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバーにより吸収することができる。
【0015】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記上部カバー、前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間に位置する隙間部分、及び前記下部カバーを覆う筒状の封止部本体と、前記封止部本体における前記隙間部分に対応する部分を覆い、前記封止部本体を内側に向かって付勢する筒状の補強部材と、を有してもよい。
この発明では、継手本体と上部カバーとの間、及び継手本体と下部カバーとの間を通して水が流れるのを封止部本体により抑制することができる。さらに、継手本体と封止部本体との間を通して水が流れるのを、補強部材により確実に抑制することができる。この際に、上部カバー及び下部カバーが、補強部材により内側に向かって圧縮されるのを抑えることができる。
【0016】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記封止部本体及び前記補強部材を覆う筒状の吸音カバーを有してもよい。
この発明では、封止部本体及び補強部材を通して外部に漏れる、集合管継手内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバーにより吸収することができる。
【0017】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記下部カバー、及び前記継手本体における前記上部カバーと前記下部カバーとの間に位置する隙間部分を覆うとともに、前記継手本体と前記上部カバーとの間に配置された筒状の下方封止部材と、前記上部カバー、及び前記下方封止部材を覆う筒状の上方封止部材と、前記上方封止部材における前記隙間部分に対応する部分を覆い、前記上方封止部材を内側に向かって付勢する筒状の補強部材と、を有してもよい。
この発明では、継手本体と下部カバーとの間を通して水が流れるのを下方封止部材により上下方向においてより広範囲に抑制したうえで、上部カバーと下方封止部材との間を通して水が流れるのを上方封止部材により抑制することができる。そして、補強部材により、継手本体と下方封止部材との間を通して水が流れるのを抑制することができる。この際に、上部カバー及び下部カバーが、補強部材により内側に向かって圧縮されるのを抑えることができる。
【0018】
また、前記配管構造において、前記封止部は、前記上方封止部材及び前記補強部材を覆う筒状の吸音カバーを有してもよい。
この発明では、下方封止部材、上方封止部材、及び補強部材を通して外部に漏れる、集合管継手内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバーにより吸収することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の配管構造では、上部カバーと下部カバーとの間を通して水が外部に流れ出るのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態の配管構造の一部を破断した正面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態の配管構造の要部における、一部を破断した正面図である。
【
図3】本発明の第3実施形態の配管構造の要部における、一部を破断した正面図である。
【
図4】本発明の第4実施形態の配管構造の要部における、一部を破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る配管構造の第1実施形態を、
図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の配管構造1は、多層建築物(建築物)101に用いられる。多層建築物101では、上下方向に複数の層102が重なっている。複数の層102同士(即ち、上層階と下層階)の間を、床スラブ103が仕切っている。床スラブ103には、上下方向に貫通するスラブ孔103aが形成されている。
配管構造1は、集合管継手10と、上部カバー30と、下部カバー35と、封止部40と、を備える。
【0022】
ここで、集合管継手10、上部カバー30、下部カバー35、及び封止部40は、それぞれ筒状に形成されている。集合管継手10、上部カバー30、下部カバー35、及び封止部40それぞれの中心軸(軸線)は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O1と言い、軸線O1に沿う方向を軸線O1方向と言う。集合管継手10、上部カバー30、下部カバー35、及び封止部40は、軸線O1が上下方向に沿って配置される。なお、これらは、軸線O1が上下方向に対して傾斜するように配置されてもよい。
【0023】
軸線O1方向のうち、後述する上部接続管11に対する下部接続管12側を下方Z1と言い、下部接続管12に対する上部接続管11側を上方Z2と言う。配管構造1を上下方向から見て、軸線O1に直交する方向を径方向と言い、軸線O1回りに周回する方向を周方向と言う。
ただし、図中の下方Z1及び上方Z2は、向きを便宜的に示すものであり、本来は基準となるものに対する向きである。
【0024】
集合管継手10の形状は、後述する縦管接続部16,21及び横管接続部17を有していれば、特に限定されない。例えば、集合管継手10は、上部接続管11と、下部接続管12と、を有する。
【0025】
上部接続管11は、上部本体15と、上部縦管接続部(縦管接続部)16と、横管接続部17と、を有する。
上部本体15は、円筒状である。なお、上部本体15は、角筒状等の筒状であってもよい。
上部本体15の内部には、上下方向に延びる縦リブ15aが設けられている。縦リブ15aは、横管接続部17の基端側の開口部を避けて配置されている。
上部本体15の外周面に、図示しない複数のリブが設けられてもよい。複数のリブは、上部本体15から径方向外側に向けて突出する。例えば、軸線O1方向に互いに間隔をあけた3つのリブが、周方向に互いに間隔をあけて4組配置される。4組のリブは、周方向に互いに等間隔に配置されている。各リブの径方向の大きさは、特に限定されない。
集合管継手10を多層建築物101に施工する際に、図示しない支持金具が複数のリブに対して径方向外側から当接することにより、集合管継手10が保持される。
【0026】
この例では、上部縦管接続部16は、受口である。上部縦管接続部16は、上部本体15の上端部に設けられている。上部縦管接続部16は、第1縦管(縦管)P1に接続可能である。第1縦管P1は、ポリエチレンやポリ塩化ビニル等の樹脂で形成された管である。第1縦管P1の下端部は、上部縦管接続部16内に配置されている。上部縦管接続部16内には、第1縦管P1が下方Z1に移動するのを規制するストッパ、及び第1縦管P1と上部縦管接続部16との間を水密に封止する封止部材が設けられていることが好ましい。
なお、上部縦管接続部は、挿口、フランジ等でもよい。
【0027】
横管接続部17は、上部本体15の外周面から径方向外側に向けて突出されている。この例では、横管接続部17は、受口である。本実施形態では、集合管継手10は、横管接続部17を2つ有している。2つの横管接続部17が延びる方向は、平面視で90°をなす。
なお、集合管継手10が有する横管接続部17の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。横管接続部は、挿口、フランジ等でもよい。
【0028】
横管接続部17は、接続部本体17aと、受口ユニット17bと、を有する。接続部本体17aは、筒状であり、上部本体15の外周面から径方向外側に向けて突出されている。以下では、上部本体15(後述する継手本体24)における横管接続部17が設けられた部分を、接続部設置部分15bと言う。
受口ユニット17bは、接続部本体17aに着脱できる。受口ユニット17bは、横管P3に接続可能である。横管P3は、外径が第1縦管P1よりも小さいこと以外は、第1縦管P1と同様に構成される。横管P3は、水勾配を有するとともに、ほぼ水平面に沿って配置されている。横管P3の端部は、受口ユニット17b内に配置されている。受口ユニット17b内には、上部縦管接続部16と同様に、ストッパ及び封止部材が設けられていることが好ましい。
なお、受口ユニット17bは、接続部本体17aと一体に構成されてもよい。
【0029】
上部接続管11を構成する上部本体15、縦リブ15a、上部縦管接続部16、接続部本体17aは、樹脂組成物を射出成形等で一体に成形して構成されている。
樹脂組成物を構成する樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を例示でき、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。「ポリオレフィン系樹脂」とは、ポリオレフィン単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、質量が最も多い樹脂がポリオレフィンである樹脂を意味する。同様に「ポリ塩化ビニル系樹脂」とは、ポリ塩化ビニル単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、質量が最も多い樹脂がポリ塩化ビニルである樹脂を意味する。
【0030】
上部接続管11のスラブ孔103a内に位置する外面又は内面には、熱膨張材を含む耐火材を設けてもよい。熱膨張材としては、火災時に発生する熱により膨張する素材であればよく、例えば、熱膨張性黒鉛等を例示できる。耐火材を上部接続管11の外面に設ける場合には、シート状に成形された耐火材を巻き付けて設けることができる。耐火材を上部接続管11の内面に設ける場合には、円筒の管状に成形された耐火材を上部接続管11の下部の内部に配置することで設けることができる。円筒の管状に成形された耐火材については以下に詳細を説明する。
【0031】
下部接続管12は、傾斜管部20と、下部縦管接続部(縦管接続部)21と、を有する。なお、上部本体15、上部縦管接続部16、傾斜管部20、及び下部縦管接続部21で、継手本体24を構成する。
傾斜管部20は、下方Z1に向かうに従い外径及び内径がそれぞれ小さくなる筒状である。傾斜管部20の内部には、上下方向に延びる整流板20aが設けられている。
例えば、傾斜管部20は、樹脂組成物を射出成形することで製造される。
傾斜管部20を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を例示でき、中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。ポリ塩化ビニル系樹脂であれば、火災時に管路をより確実に閉塞できる。
【0032】
下部接続管12のスラブ孔103a内に位置する外面又は内面には、熱膨張材を含む耐火材18を設けてもよい。熱膨張材としては、火災時に発生する熱により膨張する素材であればよく、例えば、熱膨張性黒鉛等を例示できる。耐火材を下部接続管12の外面に設ける場合には、シート状に成形された耐火材を巻き付けて設けることができる。耐火材を下部接続管12の内面に設ける場合には、円筒の管状に成形された耐火材18を下部接続管12の上部の内部に配置することで設けることができる。
なお、耐火材18は上部接続管11と下部接続管12の両方に設けてもよく、上部接続管11の下部と下部接続管12の上部にまたがる範囲に設けてもよい。
【0033】
円筒の管状に成形された耐火材18は、全体が単一の樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。耐火材18が複層構造の場合、いずれかの層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、耐火材18が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されたものが挙げられる。
【0034】
表層、中間層及び内層は、吸熱剤を含有していてもよい。吸熱剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン系鉱物(カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト)やハイドロタルサルサイト等の無機水酸化物、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク、マイカ、石英、ゼオライト、ワラストナイト、ネフェリンサイアナイト等の吸水作用のある無機化合物を例示できる。
【0035】
中間層が熱膨張性黒鉛を含有する場合、中間層は黒色を呈する。そのため、表層と内層は黒色以外の着色剤を含有させ、中間層と区別可能にしておくことが好ましい。
表層及び内層の厚みは、それぞれ0.3mm以上3.0mm以下が好ましく、0.6mm以上1.5mm以下がより好ましい。表層及び内層である被覆層の厚みが0.3mm以上であれば、傾斜管部20の管としての機械的強度を充分に確保できる。被覆層の厚みが3.0mm以下であれば、傾斜管部20の耐火性の低下を抑制できる。
また、傾斜管部20は、JIS K6741、硬質ポリ塩化ビニル管に記載の性能を満たすものが好ましい。
【0036】
この例では、下部縦管接続部21は、受口である。下部縦管接続部21は、上部縦管接続部16と同様に構成されている。下部縦管接続部21は、傾斜管部20の下端部に設けられている。下部縦管接続部21は、第2縦管(縦管)P5に接続可能である。第2縦管P5は、第1縦管P1と同様に構成された管である。
下部縦管接続部21は、上部接続管11と同様の材料で形成される。なお、下部縦管接続部は、挿口、フランジ等でもよい。
上部接続管11及び下部接続管12は別々に製造され、上部本体15と傾斜管部20とが接着材等により互いに接続されている。
以上のように構成された集合管継手10は、樹脂製である。
すなわち、本実施形態では、集合管継手10は、接続管11,12という2つの部材を互いに接続して構成されている。なお、集合管継手10は、1つの部材で構成されてもよいし、3つ以上の部材で構成されてもよい。
【0037】
上部カバー30の構成は、限定されない。例えば、上部カバー30は、上部吸音カバー31と、上部遮音カバー32と、を有する。
上部吸音カバー31は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。上部吸音カバー31は、筒状である。上部吸音カバー31は、継手本体24における、接続部設置部分15b、及び接続部設置部分15bよりも上方Z2の部分を径方向外側から覆う。上部吸音カバー31は、継手本体24の外周面に直接接触している。上部吸音カバー31の下端は、接続部設置部分15bよりも下方Z1に位置する。上部吸音カバー31には、横管接続部17を通すための貫通孔31aが形成されている。
【0038】
上部吸音カバー31は、例えばニードルフェルトで形成されている。例えば、ニードルフェルトには、ポリエチレンテレフタレートが40%~50%、アクリル繊維が35%~45%、ウール・レーヨンが10%~20%含まれている。ニードルフェルトを製造する際には、トゲの付いた針をニードルフェルトに刺し込み、機械的に繊維を交絡させている。
なお、上部吸音カバー31をサーマルフェルト、PETフェルト等のフェルトや、アクリル繊維混合物、グラスウール、ロックウール、発泡ウレタン等で形成してもよい。上部吸音カバー31の密度は、80kg/m3以上であることが好ましい。上部吸音カバー31の厚さは、10mm程度であることが好ましい。
【0039】
上部遮音カバー32は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。上部遮音カバー32は、筒状である。上部遮音カバー32は、上部吸音カバー31を径方向外側から覆う。上部遮音カバー32は、上部吸音カバー31の外周面に直接接触している。上部遮音カバー32の下端の上下方向の位置、及び上部吸音カバー31の下端の上下方向の位置は、互いに等しい。上部遮音カバー32には、横管接続部17を通すための貫通孔32aが形成されている。貫通孔32aは、上部吸音カバー31の貫通孔31aの径方向外側となる位置に配置されている。
上部遮音カバー32の厚さは、例えば1~5mm程度であることが好ましく、2mm程度であることがより好ましい。また、上部遮音カバー32の面密度は、1~8kg/m2であることが好ましく、3.4kg/m2程度であることがより好ましい。
上部遮音カバー32は、例えば、オレフィン系材料(オレフィン系樹脂100重量部に対して、無機フィラーを300~600重量部含有する樹脂組成物)等といった弾性を備えた樹脂材料により形成されている。
【0040】
前記無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
これらのうち、重量とコストのバランスから炭酸カルシウムを前記無機フィラーとして用いることが好ましい。なおこれらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
前記オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリαオレフィンが挙げられる。中でも密度が0.87~0.93g/cm3のポリエチレンが、前記オレフィン系樹脂として好ましい。なお、密度が0.87g/cm3未満だと、上部遮音カバー32の強度が十分ではなく、0.93g/cm3を超えると、上部遮音カバー32を偏平させたとき上部遮音カバー32が座屈してしまうおそれがある。また、オレフィン系樹脂の曲げ弾性率が、100~3000kg/cm2であれば、強度、巻き加工性として十分である。
上部遮音カバー32は、オレフィン系材料とは異なる材料で形成されていてもよく、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等のエラストマー材料等を用いても構わない。
【0042】
下部カバー35の構成は、限定されない。例えば、下部カバー35は、下部吸音カバー36と、下部遮音カバー37と、を有する。
下部吸音カバー36の材質、厚さ等は、上部吸音カバー31と同様に構成されている。下部吸音カバー36は、筒状である。下部吸音カバー36は、継手本体24における、上部カバー30に覆われた部分よりも下方Z1の部分を径方向外側から覆う。下部吸音カバー36は、継手本体24の外周面に直接接触している。下部吸音カバー36は、上部カバー30の上部吸音カバー31とは上下方向に間を空けて配置されている。
下部遮音カバー37の材質、厚さ等は、上部遮音カバー32と同様に構成されている。下部遮音カバー37は、筒状である。下部遮音カバー37は、下部吸音カバー36を径方向外側から覆う。下部遮音カバー37は、下部吸音カバー36の外周面に直接接触している。下部遮音カバー37の上端の上下方向の位置、及び下部吸音カバー36の上端の上下方向の位置は、互いに等しい。下部遮音カバー37は、上部カバー30の上部遮音カバー32とは上下方向に間を空けて配置されている。
【0043】
以下では、継手本体24における、上下方向において上部カバー30と下部カバー35との間に位置する部分を、隙間部分24aと言う。カバー30,35間の隙間(隙間部分24aの上下方向の長さ)が20mm以上である場合に、本実施形態、及び後述する第2,3実施形態のように構成することが好ましい。
【0044】
封止部40は、上部カバー30の下端部及び下部カバー35の上端部をそれぞれ径方向外側から覆う。より詳しく説明すると、封止部40は、下方封止部材41と、上方封止部材42と、補強部材43と、吸音カバー44と、を有する。下方封止部材41、上方封止部材42、補強部材43、及び吸音カバー44は、それぞれ筒状に形成されている。ここで言う封止部40の構成に対する筒状とは、例えば帯状部材を周方向に巻いて形成された形状ではなく、周方向に継目無く形成された形状を意味する。
下方封止部材41、上方封止部材42、補強部材43、及び吸音カバー44は、それぞれ軸線O1と同軸に配置されている。
【0045】
下方封止部材41及び上方封止部材42は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の合成ゴムで形成されている。
下方封止部材41は、下部カバー35の上端部、及び隙間部分24aを径方向外側からそれぞれ覆う。この例では、下方封止部材41は、上部カバー30に、上部カバー30の下方Z1から突合せられている。すなわち、下方封止部材41の上端の上下方向の位置、及び隙間部分24aの上端の上下方向の位置は、互いに等しい。
【0046】
上方封止部材42は、上部カバー30の下端部、及び下方封止部材41における上下方向で隙間部分24aに対応する部分を径方向外側からそれぞれ覆う。上方封止部材42の下端は、下部カバー35の上端よりも上方Z2に位置する。
補強部材43の上下方向の長さは、隙間部分24aの上下方向の長さよりも短い。補強部材43は、下方封止部材41及び上方封止部材42よりも大きな弾性力を発揮する合成ゴムで形成されている。補強部材43のヤング率(弾性係数)は、下方封止部材41及び上方封止部材42のヤング率よりも大きいことが好ましい。
補強部材43は、上方封止部材42における上下方向で隙間部分24aに対応する部分を覆う。言い換えれば、補強部材43は、上下方向において隙間部分24aの範囲内に配置されている。
補強部材43は、上方封止部材42を径方向内側に向かって付勢する。
【0047】
吸音カバー44の材質、厚さ等は、上部吸音カバー31と同様に構成されている。
吸音カバー44は、下方封止部材41、補強部材43、及び上方封止部材42を径方向外側からそれぞれ覆う。吸音カバー44の下端は、下方封止部材41の下端よりも上方Z2に位置する。吸音カバー44の上端は、上方封止部材42の上端よりも下方Z1に位置する。
【0048】
例えば、封止部40は、床スラブ103のスラブ孔103a内に配置されている。横管P3は、床スラブ103よりも上方Z2に配置されている。下部縦管接続部21は、床スラブ103よりも下方Z1に突出している。
床スラブ103におけるスラブ孔103aの開口周縁部と配管構造1との間には、モルタル等の充填材104が充填されている。
なお、多層建築物101内において、床スラブ103よりも上方Z2の層102には、図示しないトイレ等の排水設備が設けられている。排水設備は、第1縦管P1及び横管P3に接続されている。
【0049】
次に、以上のように構成された配管構造1の動作について説明する。
排水設備から、第1縦管P1及び横管P3を通して集合管継手10内に排水が流れ込む。排水は、集合管継手10内で縦リブ15a及び整流板20aに当たりながら下方Z1に向かって流れる。排水は、集合管継手10から第2縦管P5内に流れ込み、適宜排水される。
集合管継手10内を排水が流れる際に発生する音は、カバー30,35によりカバー30,35の外部に漏れ難くなる。
【0050】
次に、以上のように構成された配管構造1が多層建築物101に施工されるときの水(雨水)の流れについて説明する。なお、このときには、スラブ孔103a内に充填材104が充填されている。
多層建築物101に雨が降ると、床スラブ103上に図示しない水が溜まることがある。この水は、矢印A1で示すように、上部カバー30における横管接続部17が通された部分を通して上部カバー30よりも径方向内側に入ると、上部カバー30と下部カバー35との間を通して水がカバー30,35の外部に流れ出る虞がある。
【0051】
この課題に対して、本実施形態の配管構造1では、第1縦管P1及び横管P3が接続可能な集合管継手10を、上部カバー30及び下部カバー35により覆うことができる。このとき、筒状の封止部40により上部カバー30及び下部カバー35が覆われている。このため、上部カバー30と封止部40との間、及び下部カバー35と封止部40との間を通して、水が外部に流れ出難くなる。従って、上部カバー30と下部カバー35との間を通して水が外部に流れ出るのを抑制することができる。
【0052】
封止部40は、下方封止部材41及び上方封止部材42を有する。これにより、継手本体24と下部カバー35との間を通して水が流れるのを下方封止部材41により抑制したうえで、上部カバー30と下方封止部材41との間を通して水が流れるのを上方封止部材42により抑制することができる。
封止部40は、補強部材43を有する。上方封止部材42及び下方封止部材41における上下方向で隙間部分24aに対応する部分を、補強部材43により径方向内側に向かって付勢する。これにより、継手本体24と下方封止部材41との間、及び下方封止部材41と上方封止部材42との間を通して水が流れるのを抑制することができる。この際に、上部カバー30(上部吸音カバー31)及び下部カバー35(下部吸音カバー36)が、補強部材43により径方向内側に向かって圧縮されるのを抑え、防振性を維持することができる。
【0053】
封止部40は、吸音カバー44を有する。従って、下方封止部材41、上方封止部材42、及び補強部材43を通して外部に漏れる、集合管継手10内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバー44により吸収することができる。
なお、封止部40は、吸音カバー44を有さなくてもよいし、補強部材43及び吸音カバー44を有さなくてもよい。
封止部40は、補強部材43を有さなくてもよい。この場合には、吸音カバー44は、下方封止部材41及び上方封止部材42を径方向外側からそれぞれ覆う。この変形例の配管構造では、下方封止部材41及び上方封止部材42を通して外部に漏れる、集合管継手10内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバー44により吸収することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図2を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図2に示すように、本実施形態の配管構造2は、第1実施形態の配管構造1における封止部40に代えて、封止部50を備える。
封止部50は、封止部本体51と、補強部材43と、吸音カバー44と、を有する。
封止部本体51は、隙間封止片52と、下方封止片53と、上方封止片54と、を有する。隙間封止片52、下方封止片53、及び上方封止片54は、それぞれ筒状に形成されている。
【0055】
隙間封止片52の上下方向の長さは、隙間部分24aの上下方向の長さよりも短い。隙間封止片52は、継手本体24の隙間部分24aを径方向外側から覆う。
下方封止片53は、隙間封止片52における径方向外側の部分から下方Z1に向かって突出している。すなわち、隙間封止片52と下方封止片53との間には、径方向に段差がある。下方封止片53は、下部カバー35の上端部を径方向外側から覆う。
上方封止片54は、隙間封止片52における径方向外側の部分から上方Z2に向かって突出している。すなわち、隙間封止片52と上方封止片54との間には、径方向に段差がある。上方封止片54は、上部カバー30の下端部を径方向外側から覆う。
封止部本体51を構成する隙間封止片52、下方封止片53、及び上方封止片54は、封止部材41,42と同一の材料で一体に形成されている。
【0056】
補強部材43は、隙間封止片52を径方向外側から覆う。補強部材43は、隙間封止片52を径方向内側に向かって付勢する。
吸音カバー44は、封止部本体51及び補強部材43を径方向外側から覆う。この例では、吸音カバー44の上端における上下方向の位置、及び封止部本体51(上方封止片54)の上端における上下方向の位置は、互いに等しい。吸音カバー44の下端における上下方向の位置、及び封止部本体51(下方封止片53)の下端における上下方向の位置は、互いに等しい。
【0057】
以上のように構成された本実施形態の配管構造2では、上部カバー30と下部カバー35との間を通して水が外部に流れ出るのを抑制することができる。
さらに、封止部50は、封止部本体51と、補強部材43と、を有する。補強部材43により隙間封止片52を径方向内側に向かって付勢することにより、継手本体24の外周面上の水の流れを隙間封止片52により確実に抑制することができる。さらに、下部カバー35及び上部カバー30の外周面上の水の流れを、下方封止片53及び上方封止片54によりそれぞれ抑制することができる。
封止部50は、吸音カバー44を有する。従って、封止部本体51及び補強部材43を通して外部に漏れる、集合管継手10内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバー44により吸収することができる。
【0058】
なお、
図2中に二点鎖線で示すように、補強部材43は、封止片53,54を径方向外側から覆い、封止片53,54を径方向内側に向かって付勢してもよい。このように構成することにより、カバー30,35の外周面上の水の流れを封止片53,54により確実に抑制することができる。
本実施形態では、封止部50は吸音カバー44を有さなくてもよい。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図3を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図3に示すように、本実施形態の配管構造3は、第1実施形態の配管構造1における封止部40に代えて、封止部60を備える。
封止部60は、封止部本体61と、補強部材43と、吸音カバー44と、を有する。封止部本体61は、筒状に形成されている。封止部本体61は、封止部材41,42と同一の材料で形成されている。
封止部本体61は、上部カバー30の下端部、継手本体24の隙間部分24a、及び下部カバー35の上端部を径方向外側からそれぞれ覆う。カバー30,31に対する隙間部分24aの形状となるように、封止部本体61における上下方向の中間部は、封止部本体61における上端部及び下端部に比べて、外径及び内径がそれぞれ小さい。
【0060】
補強部材43は、封止部本体61における隙間部分24aに対応する部分を径方向外側から覆う。補強部材43は、封止部本体61を径方向内側に向かって付勢する。
吸音カバー44は、封止部本体61及び補強部材43を径方向外側からそれぞれ覆う。
この例では、吸音カバー44の上端は、封止部本体61の上端よりも下方Z1に位置する。吸音カバー44の下端は、封止部本体61の下端よりも上方Z2に位置する。
【0061】
以上のように構成された本実施形態の配管構造3では、上部カバー30と下部カバー35との間を通して水が外部に流れ出るのを抑制することができる。
さらに、封止部60は、封止部本体61と、補強部材43と、を有する。従って、継手本体24と上部カバー30との間、及び継手本体24と下部カバー35との間を通して水が流れるのを封止部本体61により抑制することができる。さらに、継手本体24と封止部本体61との間を通して水が流れるのを、補強部材43により確実に抑制することができる。この際に、上部カバー30及び下部カバー35が、補強部材43により径方向内側に向かって圧縮されるのを抑えることができる。
【0062】
封止部60は、吸音カバー44を有する。このため、封止部本体61及び補強部材43を通して外部に漏れる、集合管継手10内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバー44により吸収することができる。
なお、封止部60は吸音カバー44を有さなくてもよい。
【0063】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について
図4を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態の配管構造4は、第1実施形態の配管構造1における封止部40に代えて、封止部40Aを備える。
封止部40Aは、下方封止部材41と、上方封止部材42と、補強部材43と、吸音カバー44と、を有する。すなわち、封止部40Aは、封止部40と同様に下方封止部材41、上方封止部材42、補強部材43、及び吸音カバー44を有するが、これらの配置が封止部40とは異なる。
【0064】
下方封止部材41は、下部カバー35の上端部及び継手本体24の隙間部分24aを径方向外側からそれぞれ覆うとともに、継手本体24と上部カバー30の下端部との間に配置されている。
上方封止部材42は、上部カバー30の下端部、及び下方封止部材41を覆う。この例では、上方封止部材42の下端部は、下方封止部材41の下端部よりも上方Z2に位置する。
補強部材43は、上方封止部材42における隙間部分24aに対応する部分を径方向外側から覆う。補強部材43は、上方封止部材42を径方向内側に向かって付勢する。
吸音カバー44は、上方封止部材42及び補強部材43を径方向外側からそれぞれ覆う。この例では、吸音カバー44の下端は、上方封止部材42の下端よりも上方Z2に位置する。吸音カバー44の上端は、上方封止部材42の上端よりも下方Z1に位置する。
カバー30,35間の隙間が5mm以下である場合に、本実施形態のように構成することが好ましい。
【0065】
以上のように構成された本実施形態の配管構造4では、上部カバー30と下部カバー35との間を通して水が外部に流れ出るのを抑制することができる。
さらに、継手本体24と下部カバー35との間を通して水が流れるのを下方封止部材41により第1実施形態よりも上下方向においてより広範囲に抑制したうえで、上部カバー30と下方封止部材41との間を通して水が流れるのを上方封止部材42により抑制することができる。そして、補強部材43により、継手本体24と下方封止部材41との間を通して水が流れるのを抑制することができる。この際に、上部カバー30及び下部カバー35が、補強部材43により径方向内側に向かって圧縮されるのを抑えることができる。
【0066】
封止部40Aは、吸音カバー44を有する。これにより、下方封止部材41、上方封止部材42、及び補強部材43を通して外部に漏れる、集合管継手10内を流れる排水により生じる音や振動等を、吸音カバー44により吸収することができる。
なお、封止部40Aは吸音カバー44を有さなくてもよい。
【0067】
以上、本発明の第1実施形態から第4実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態から第4実施形態では、配管構造1,2,3,4は、縦リブ15a及び整流板20aを備えなくてもよい。
封止部40のうち、集合管継手10の外面と接触する下方封止部材41、隙間封止片52又は封止部本体61が設けられる位置は、本実施形態のように、上部接続管11の下端と下部接続管12の上端とに跨る位置でもよく、上部接続管11の下部の外面のみであってもよく、下部接続管12の上部の外面のみであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1,2,3,4 配管構造
10 集合管継手
16 上部縦管接続部(縦管接続部)
17 横管接続部
21 下部縦管接続部(縦管接続部)
24 継手本体
24a 隙間部分
30 上部カバー
35 下部カバー
40,40A,50,60 封止部
41 下方封止部材
42 上方封止部材
43 補強部材
44 吸音カバー
51,61 封止部本体
52 隙間封止片
53 下方封止片
54 上方封止片
P1 第1縦管(縦管)
P3 横管
P5 第2縦管(縦管)